あらすじ
銀(しろがね)の光を見つけた者だけが、この地で生きられる――。父母と生き別れ、稀代の山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、石見(いわみ)銀山の坑道で働き始める。山に穿(うが)たれた深い闇に恐れと憧れを抱きながらも、そこに女の居場所はない。熱く慕う喜兵衛や、競うように育った隼人を羨むウメだったが、勢いを増すシルバーラッシュは男たちの躰(からだ)を蝕(むしば)んでゆく……。生きることの苦悩と官能を描く、直木賞受賞作。(解説・北方謙三)
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実写化されるなら喜兵衛は鈴木亮平だなと思う。
石見銀山に行きたくなる。
石見銀山の歴史を学びたくなる。
今まで興味もなかった場所に思い焦がれるような本に出会えてよかった。
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夜目が効く、貧しい百姓の生まれの少女ウメの壮絶な人生を描く。
千早茜さんの作品を読むのは、「透明な夜の香り」に続き二作目。個人的に抱いている文章の印象は、ほの暗く淡々としているというものだが、話の展開が巧みで、つい先が気になってしまう。
今作はその静かな文章で描ききられた激動の人生、特に何に縋って生きていくのか、という熱いテーマが深く胸をうった。
「透明な夜の香り」があんまりささらなかったな〜という人にもぜひ読んでみて欲しい。おすすめである。
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銀山で生計を立てていく人々の死と隣り合わせの生活を『ウメ』という主人公の女性を通して描かれた人生の物語です。
幼い頃に、両親と逸れ、遭難の中に出会った銀山の大男が、この少女の命を救います。幼い少女は、両親と落ち合うという希望も失いながら厳しい環境の中、逞しくなっていきます。口に出さない人としての優しさや包容力、また、本来の助け合いについてどんな物か感じさせてくれます。
ウメの様に切り替える逞しさって、現実的に今の時代必要かもしれませんね。
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当時の銀山を取り巻く文化や人間模様は、なにか異世界に近い感覚でその世界に引き込まれしまう。その舞台で主人公に起こる数奇な運命は、決して綺麗な絵空事ではない圧倒的な現実感がある。襲いかかる過酷な現実に、立ち向かうというよりただただ持ち堪えている様な危うさが、彼女を含めた当時の人達全てに在って、それが繊細な文章で伝わってくる。命の尊さとかそんな事を考える余裕は今だからできる贅沢なんだと思わされる。
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人間の業を感じた。石見銀山の史実を元にしながらも女性や山や銀掘の関係を生き生きとそして冷静で深く向き合いながら書いている。
夜目がきくウメと山師の喜兵衛は蛇の寝ござを始めとして生い茂る草木を見分け天気の変わり目の空気を感じ生命の息吹たる山の地脈と対話しながら銀掘を使っている。それが貨幣経済に頭を支配されて銀を富としか見ない権力者が管理するようになったら。途端に間歩はぽっかりと冷たく暗い口を開け銀掘たちはその闇に飲まれて黒い血を吐き胸を病んでしまう。それでも営みを続ける者たち。銀を生み出すこと、女であること、命を生み出すこと、血が繋がらなくても伝え繋がっていく者たち。
後半は隼人が血を吐き苦しんでいる描写が冷え冷えとして淀んだ気持ちになってしまった。ウメと喜兵衛の関係と後年に知った殺人の真相、銀山や隼人との家族たちとは別枠で特別なものだったと思う。
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ものすごく濃ゆいウメという石見銀山で生きる女性の一生の物語。
富、権力、愛を求める人間の業が息苦しいほどに色濃く描かれていた。
四季折々の山の景色、銀を掘る穴の闇、冷たさ、人の肌の温もり、匂い、音など、五感が圧倒された。
生きること理、いろんな辛いことがありながらも何故生きるのか?何故生きようとするのか?そう問いかけられ、それでも逞しく生きる姿に胸が締め付けられる思いがした。
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ウメの生き方がとても格好良く、沢山傷ついてきているのに堂々と生きていこうとする姿が美しくてとても好き。
また、銀を長い間掘っていると鉱毒に体を蝕まれてしまい長生きする人がほとんどいないことを全く知らなかったので驚いた。
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石見銀山に魅入られた少女の一生。
予想以上の質量のある長編でした。さすが直木賞。こういう小説を読めると嬉しくて震える。
同じ女性として、主人公ウメの内側から溢れ出る強烈な生命力や強さに圧倒される。憧れる。
男たちの短い一生の中で、女や子のために生きて、命を燃やし尽くすさまも心に残りました。
絶望から何度も立ち上がって、愛した男たちと真正面から向き合って、こんなふうに生きたい。
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戦国末期の石見銀山を舞台に、幼くして父母と生き別れた少女ウメがたくましく生きていく物語。
銀で潤う町の様子とは対照的な、まっ暗闇の坑道「間歩」(まぶ)。
「信じるものがないとその闇は耐えられない」という喜兵衛の言葉から、そこに向かう鉱夫たちがどうやって自分を奮い立たせていたかを考えてしまいます。
当時の鉱夫の平均寿命は30歳ほどだったとのことですが、そこに明るく健やかな女たちの存在は大きかったんだろうな。
間歩の闇に魅せられ、恐れたウメ。
目を覆いたくなるような酷い目にも遭い、胸にズシンとくる辛い場面も多いです。でも自分を見失わず、時にしたたかに立ち回るウメの姿に、どうか闇にのまれないでくれと願いながら読みました。
ツツジや血の赤、夕鶴の白いうなじ、にぶく光る銀、そして間歩や闇夜の漆黒など、色の描き方もとても印象的。
魅力的な登場人物も多いのですが、なんといってもヨキ。ヨキ何者。ヨキ気になりすぎる。ヨキに全部持ってかれた。
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千早さんは、誰も入る隙のない2人で完結された空間を描くのがお上手だと思っていて、今回もそんな静謐な雰囲気の漂う作品。
変えられない運命を嘆きながらも、やはり間歩から離れずに、男たちを最期まで支えたウメは、銀堀にはなれずとも確かに喜兵衛の手子だったと思う。
胸が引き裂かれそうな闇の中でも、"おなご"として、母として、ひたむきに強く生き抜いたウメは
とても美しく輝いて見えました。
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祝文庫化!2023年の直木賞受賞作品。
読後、「体内回帰」という曲を思い出した。
喜兵衛、ヨキ、岩爺、隼人、龍‥‥みんな還っていったんだなぁ‥‥
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一言で言うと読んで良かった。
千早茜さんの作品が好きで
直木賞受賞作品は読んでおかねば
と思ったが、歴史ものは苦手…
難しい漢字、知らない単語も
多く調べながら読み進めた。
この時代の食べる、生き続ける事の厳しさ
現代では考えられない命の削り方を
ウメの一生を通して知る事が出来た。
愛する人が死ぬと分かっていながら
間歩へ送る事の辛さは計り知れない。
そして千早さんの描く男性はいつも魅力的。
喜兵衛も隼人も龍も真っ直ぐで優しく
そして強い。
現代の女性にも必要な強さを
ウメは持っている。
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戦国末期から江戸時代、石見銀山に生きる人々の生き様に没入。主人公ウメの眼差しを通して、その時代の個性豊かな人々の内面をリアルに感じることができた。ウメの夫隼人が銀掘の末路がたとえ死であっても、いや死であるからか、その生業が憧憬となり己の矜持となり、命を燦然と輝かせて死んでいくところが印象的だった。
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性を売り悲しく果てていく女性、性暴力を受ける女性、優れた能力を持っていながら職を制限される女性、女性に立ちはだかる困難は今の時代も変わっていないなと思う。
今作の主人公がこんなにも強く描かれているのは、それだけ女性には障壁や困難が多いことの現れではないだろうか。
多くの困難に遭いながら銀山という男性社会の中で女性性に抗いつつ、心を寄せる男性や子を思う姿それも限りなく女性である。
本に性別があるのなら、この作品は究極の「女」本だと思う。
Posted by ブクログ
⭐️4.5
時代を感じる文章が苦手な私でも読めた稀な本だった。(千早さんの綴られる文と内容が素晴らしいからとしか言いようがない)
人の一生が素晴らしく愛おしく思える物語。
現代までの命の繋がりを感じた。
心に残る一冊。
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ずっと展開が読めず、主人公の生き様を描いており、つまらないと感じていたが、後半になってからとたんに面白くなった。
男女の生き様が描かれている。
後半はかなり苦しい。人生はこんなにも辛いことの連続かと思ってしまう。そこをいかに乗り越えていけるのか、自分ごととして考えさせられた。
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終始、執念を感じた。様々な執念。
山に多くの間歩(坑道)を掘って、銀を掘ろうとする男たち。
新たな鉱脈を探そうと躍起になる男たち。
一方、物語の主人公のウメの執念も凄まじいもので。
ウメは女の子らしく生きることに疑念を抱き、男たちと一緒になって間歩のなかで銀堀をした。
しかしそんなウメも初潮を迎え、間歩が穢れるといわれ、間歩から追い出されてしまった。
ウメは必死に食い下がったが、不運な出来事も重なって村に下りることになった。
また、この物語にあった執念はもうひとつ。
愛という執念だった。
ウメを傷つけた者を殺す男(あえてぼかします)から始まり、ウメに婚約を求める者、何より愛する男を守りたいというウメの執念は読み応えがあった。
男は女がいないと生きられない、女も男がいないと生きられない。と小説では語られている。
そんな依存から執念が生まれたんだろうか。
(現代に置き換えると、なかなか古い価値観ではある気がするけど…多様性の話はもちろんだけど、普通にいろんな娯楽が溢れてしまってて、異性に依存することが当たり前じゃなくなってしまっている)
愛が執念を生むのか、執念が愛を生むのか
どっちなんだろうね。
そして執念は決して良い方に向かうとは限らない。
殺人もあれば、DVもあるし、自殺だって一種のそれだと思う。
物語にあった『死にたいというのは生きたいと同義かもしれん』との言葉。これは自分自身も前から思っていたことで、こんな形で小説の中に落とし込まれていて、嬉しくなった。
話は変わるが、この物語の舞台は石見銀山。
今年のゴールデンウィークにその辺りをうろついてて、残念ながら石見銀山はスルーしてしまったんだけど、この物語読むと、聖地巡礼したくなった
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島根県石見銀山を舞台とした。ウメの成長物語。貧しい村を抜け出し山師・喜兵衛に拾われる。しかし女という、差別や性の対象と見られる。しかし男達は銀山への弊害で若くして死して行く。そんな中、ウメもその渦に飲み込まれるが‥男は間歩と同じく女の肚の中(手のひらの上)の様。喜兵衛、隼人、龍の傍にはウメが!そんな大河ドラマを是非一読
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もう何冊目読んだかわからない千早さんの作品。
今回は時代物だったので、苦手な私は最初は少し読み進めるのに時間がかかりましたが、ウメが喜兵衛に出会ってからは、その世界観に入り込めどんどん読み進められました。
癖の強い登場人物ばかりですが、その人の色々な面を知ると魅力的になり、なのに一人また一人と亡くなってしまうのが悲しかった。
銀の山が無ければ、こんなことにならなかったけれど、銀の山があったからこそ、彼らは出逢えた…
今まで読んだ千早さん作品とは全く違う作品でしたが、この作品で直木賞を受賞したことに納得しました。
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小学生の時に読んだ、『モチモチの木』を思い出した。
どこか懐かしい感じがする。
最初の方は一気に読み進め、
最後の方はストーリー展開が早すぎて
少々疲れてしまいました。
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千早茜さんの直木賞受賞作とのことで手に取りました。
夜目が利くウメが、人生の暗い部分も目を凝らして現実を受け入れながら、人生の喜びと絶望の中でひたむきに生きる姿に胸を打たれました。
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石見銀山に惹かれて購入。女性として銀山で生きていく上で避けられない「役割」。そこに憤りはあれど、妻として夫を愛し、母となり子を成すことに喜びを感じるのも事実。どちらも本当のウメ。でもウメの側にはいつも闇がある。その闇はウメ自身と銀山すべてを飲み込んで、一体化して、銀山の歴史を眺め続けているのかもしれないな、と思わされました。締めくくりはなんなだか、急に幕を下ろされた気分にもなりました。
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主人公のウメが山師に拾われ、どう生き抜いていくのかが興味をそそられた。またウメの魅力に引かれる男たちの存在や、その男たちを追いかける女たちなど、男女の恋心のもつれも描かれていて、読んでいて飽きなかった。銀を掘る男たちが短命で亡くなっていっても、その場を離れず、闇とともに生きるウメの覚悟に胸を打たれた。
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男まさりの強い女性が、地域社会に適応していく中で様々な葛藤と人間的成長を経験していく。
強姦した犯人を殺害したのが喜兵衛だと知った場面で、思わず泣いてしまった。
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石見銀山を舞台に孤児となった少女の一生を描いてる。食べていけない農村より豊かであるけど男たちは病に倒れていく。支える女たち。登場人物のキャラクターも際立っていて、その時代に想いを馳せる。
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この作者さんの既刊をボチボチと読んでいく、の6冊目。
今回は直木賞を受賞されたこの本で。
夜逃げの途中で家族とはぐれ、山師の喜兵衛に拾われた少女ウメ。夜目が利くのを頼りに、女だてらに銀掘になろうと間歩(坑道)の中で働き出す…という出だし。
喜兵衛とウメ、加えて喜兵衛に従うヨキの銀山での日常が描かれる前半では、銀を掘る仕事やそこで働く銀堀たちの姿が描かれ、山の深さや間歩の暗さ、風の爽やかさや土の湿り気、水の冷たさなどの描写も染み渡る。
男ばかりの間歩の中での、女であるが故の窮屈さが、ウメが女を感じさせるようになるとともに増長して、物語の後半では、好きに生きたいように生きられないウメの半生が積み重ねられる。
男は命を削って銀を掘り、女は子供を産んで銀堀に育てる、という銀山での宿命というべき生き方がなんとも…で、時代の変化の中で生き様を閉ざされた喜兵衛や死ぬと分かっていて間歩に向かう隼人をはじめとする男たちの姿が遣る瀬無い。
一方、銀山での宿命や女であることのしがらみに直面し続けたウメではあったが、多くの死を見送りながらも彼女なりに抗いながら生きた姿が哀しくも逞しく、異国に出自を持つヨキや龍、男でありながら女として生きる菊など“異端”とされる者たちの存在感が印象深い。
とまとめてはみたが、物語に込められたであろう重厚且つ深遠なテーマを十分咀嚼したとは言えない読後感ではある。
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千早茜『直木賞受賞作品』
千早茜、初読み。
戦国末期の石見銀山。
シルバーラッシュに沸く、石見銀山に家族とともに向かうウメ。途中、父母と生き別れ、山師・喜兵衛に拾われる。
銀山で銀掘として、間歩に入りたいと願うウメだったが、喜兵衛からは許されなかった。
銀に魅せられ、銀山に入っていく、男たち。
そして、男たちのからだは蝕まれていく…
銀山に生きるひとたち。
銀山に魅せられ、銀山にしか生きられない男たちと、共に生きる女たちの世界。
ウメは、喜兵衛に魅せられたからこそ、銀山に魅せられた。自分も喜兵衛のようになりたいと…
山師になることはできなかったが…
銀山に入る隼人や龍、息子たちを支え続けることで自らの生きる糧としたのだろう。
喜兵衛がウメの仇をとっていたことには溜飲を下げた。喜兵衛は大きな男だった。
願わくば,ウメには山師のもとに嫁いで欲しかった。石見で成功してもらいたかった…
石見銀山に魅せられたのだから…
ウメに関わる男たちが銀山に魅せられ、肺の病で死んでいったことがやるせない…
わかっているのに、変えれなかったのか、と。