【感想・ネタバレ】しろがねの葉(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

銀(しろがね)の光を見つけた者だけが、この地で生きられる――。父母と生き別れ、稀代の山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、石見(いわみ)銀山の坑道で働き始める。山に穿(うが)たれた深い闇に恐れと憧れを抱きながらも、そこに女の居場所はない。熱く慕う喜兵衛や、競うように育った隼人を羨むウメだったが、勢いを増すシルバーラッシュは男たちの躰(からだ)を蝕(むしば)んでゆく……。生きることの苦悩と官能を描く、直木賞受賞作。(解説・北方謙三)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

銀山に生きたウメと、彼女を取り巻く男たちの物語。
山師のもとで男でも女でもないような存在から、女となり妻となり母となり、世の中の奔流に踠きながら必死で生きたウメの一生の物語ではあったのだが、何よりそのとりまく男たちが魅力的な小説だった。ウメの全てだった喜兵衛、喜兵衛の影を宿すウメを包んだ隼人、その隼人の影を宿すウメを包んだ龍。すべてが銀山に飲み込まれ、そして全てが無に帰っていく無情を、美しく描き切った名作であった。

1
2025年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦国末期の石見銀山を舞台に、幼くして父母と生き別れた少女ウメがたくましく生きていく物語。
銀で潤う町の様子とは対照的な、まっ暗闇の坑道「間歩」(まぶ)。
「信じるものがないとその闇は耐えられない」という喜兵衛の言葉から、そこに向かう鉱夫たちがどうやって自分を奮い立たせていたかを考えてしまいます。
時の鉱夫の平均寿命は30歳ほどだったとのことですが、そこに明るく健やかな女たちの存在は大きかったんだろうな。
間歩の闇に魅せられ、恐れたウメ。
目を覆いたくなるような酷い目にも遭い、胸にズシンとくる辛い場面も多いです。でも自分を見失わず、時にしたたかに立ち回るウメの姿に、どうか闇にのまれないでくれと願いながら読みました。
ツツジや血の赤、夕鶴の白いうなじ、にぶく光る銀、そして間歩や闇夜の漆黒など、色の描き方もとても印象的。
魅力的な登場人物も多いのですが、なんといってもヨキ。ヨキ何者。ヨキ気になりすぎる。ヨキに全部持ってかれた。

0
2025年11月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

祝文庫化!2023年の直木賞受賞作品。
読後、「体内回帰」という曲を思い出した。
喜兵衛、ヨキ、岩爺、隼人、龍‥‥みんな還っていったんだなぁ‥‥

0
2025年11月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

千早茜さんの直木賞受賞作とのことで手に取りました。

夜目が利くウメが、人生の暗い部分も目を凝らして現実を受け入れながら、人生の喜びと絶望の中でひたむきに生きる姿に胸を打たれました。

0
2025年11月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

石見銀山に惹かれて購入。女性として銀山で生きていく上で避けられない「役割」。そこに憤りはあれど、妻として夫を愛し、母となり子を成すことに喜びを感じるのも事実。どちらも本当のウメ。でもウメの側にはいつも闇がある。その闇はウメ自身と銀山すべてを飲み込んで、一体化して、銀山の歴史を眺め続けているのかもしれないな、と思わされました。締めくくりはなんなだか、急に幕を下ろされた気分にもなりました。

0
2025年11月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

男まさりの強い女性が、地域社会に適応していく中で様々な葛藤と人間的成長を経験していく。

強姦した犯人を殺害したのが喜兵衛だと知った場面で、思わず泣いてしまった。

0
2025年10月18日

「小説」ランキング