あらすじ
気づいた時には、もう戻れなくなっていた
直木賞受賞作『鍵のない夢を見る』と連なる、
圧巻の辻村ワールド!
大学進学で上京したのに、コロナ禍ですべてが狂った。
孤独感が募るなか、割のよいバイトに誘われる(「2020年のロマンス詐欺」)。
優秀ですんなり合格した長男に比べ苦戦している次男の中学受験。〝特別な事前受験〟があると囁かれた母は(「五年目の受験詐欺」)。
人気漫画原作者・谷嵜レオのオンラインサロンは、オフ会の創作講座が大好評。しかし、主催している紡は、谷嵜に会ったことすらない(「あの人のサロン詐欺」)。
騙す者と騙される者の切実な葛藤と後悔を描く、
スリリングな短篇集。
解説・一穂ミチ
単行本 2022年8月 文藝春秋刊
文庫版 2025年11月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
面白かった!リアル過ぎて辛くなるところに少しだけファンタジーみたいな、救いがあって、胸がキュッとなります。その後が気になるストーリーばかりですが、その後は自分が主人公ならこうする(こうなる)かも、、と考えています。
Posted by ブクログ
まさにジェンガのごとく主人公たちの嘘が崩れていく様は、心がギュッと縮む思いをしつつも、怖いもの見たさで展開を追ってしまう。それは辻村深月さんの円熟した筆さばきというか物語作りの巧さに他ならない。常に高いクオリティを提供してくれる安心の作家であることは既に織り込み済みにも関わらず、本作も優に超えてくる切れ味ある短編になっている。
嘘をついたことによって取り返しのつかないことになりそう、そういった経験は大なり小なり誰もがありそうで、その言語化があまりに秀逸すぎて、毎回唸らされる。傑作です。
Posted by ブクログ
短編集。
受験詐欺の話が1番、グッサグサ刺さり号泣しながら読んだ(いつもだな…)。親目線でも子ども目線でも読めていたけど、今回ばかりはほぼ親目線。子どもの幸せだけが母親の望み。そのためならなんでもできるって思うのがわかりすぎる。。
うちは間違いなく夫婦円満だけど笑、 もし同じ状況になったら完全に一致!だなと読みながら思った。夫婦に限らず言葉の温度差ってあるよね。何度も確認したのに!「え、そういうつもりで言った訳では…」とか、軽く言ってくるのが夫という生き物なのかな…(悪口ではないです!) 何度も相談してたのは?なぜ相談してると思っていたのか?
母親の方が、絶対子供との距離が近いよなぁ。夫は助手席に座ってる感じで、実際運転してるのは母親だから。
Posted by ブクログ
文庫が出るのをチラシで見て、Honyaclubに注文し最寄書店で購入。
辻村先生の作品を久しぶりに読みました。
この作品を読んでしまったために、
私からかける高校生の息子への言葉一つ一つにハラハラしてしまう。
Posted by ブクログ
この本の中に三つの物語がありますが、どの話も印象に残る話で自分自身にも置き換えて考えれる話でした。
特に二つめの話は考えさせられることが多くて、
私は小さい頃から手の焼けるタイプの子供だったと思います。私自身が自分の子供だったら子育て嫌になってたと思うくらいです
でも私の母は小さい頃から色んなところに連れて行ってくれて三人兄弟でしたが、二人の時間をよく作ってくれました。毎週図工の体験行ったり、その帰りにお買い物とかご飯を食べて帰ったり。
二つめの物語でも親子の関係についての話ですが、私は愛をたくさん貰ってたんだなと気づけました。そしてあと1ヶ月ほどで子供を産みますが、こんな親子関係になりたいなと考えさせられる本でした。
Posted by ブクログ
騙す者と騙される者。嘘つき“ジェンガ”というタイトルも秀逸。
人間誰しも嘘をつく。程度の差こそあれ、今まで嘘をついたことのない人はいない。
その嘘がばれて例え取り返しのつかない事態になったとしても、それでも人生はこれからも続いていくのだ。
Posted by ブクログ
ずっと文庫本になるのを待ってました。
辻村深月さんの世界観を久しぶりに読んで懐かしさと面白さと期待を裏切らないところとか色んな感情が出てきて読み終わったあとスッキリしました!
タイトル通り嘘が嘘を呼ぶ世界でした。
Posted by ブクログ
辻村深月にハズレはない!という感じ。
三つともいいおはなしだった。『ジェンガ』ね。
そう、ジェンガ、なんだけど、たしかに遊んだ後も人生は続くよね。それが嫌ではなくなるこの感じは、本当に嬉しい。チヨダ・コーキに一瞬触れられたのも嬉しかったし、後書きの一穂さんのラストの文まで全部良い。お勧め。
Posted by ブクログ
自分達の日常は当たり前じゃない
コロナ禍という期間を過ごしてきた自分は
今こうして普通に本を買えて読んでいることがとてつもなく幸福に感じる
日常はきっと簡単に崩れてしまう事もあるのだ
だから毎日当たり前じゃない事を噛み締めて
感謝して生きていきたい。
不安になることがある分からないこともある
そんな中でも愛するものだけは信じていたい
信じて叶った時には一緒に笑いたい
人生は劇的じゃない
それでも劇的であってほしいと思う
劇的な感情と悲しいくらい普通な日常
その温度差を少しでも埋めれるように努力したい
Posted by ブクログ
3話とも自分とは違う人生なのに、なぜか感情移入してしまうし、その痛みが分かる気がしてしまうし、その中にある温かさ?人間の心?に泣きそうになってしまう。
展開もハラハラでどうなるのか分からなくて、すぐに読み切ってしまった。
Posted by ブクログ
詐欺に関わる三篇。
辻村深月作品はダークで読むのにパワーがいるイメージだったが、「登場人物たちのその後が気になる、早く安心させて!」という気持ちで一気読みした。
詐欺を働く側の人物も、まったくの悪人ではなかったり、描かれる孤独もまったくの孤独ではなかったり、全体的にほんのり温かさがある。
また詐欺を行ったり詐欺にあったりしたことで失うものより得るものが大きくなりそうなラストが優しい。
犯罪ものは、なんとなく登場人物(特に犯人が主人公の場合)が【頭の切れる乱暴なやつ】とか【どこか憎めない小狡いやつ】【巻き込まれた悲壮感漂うやつ】【仕返しに燃えるやつ】だと既視感あるが、この作品は違った。
Posted by ブクログ
ジェンガは嫌い、性に合わない。
本書題名は絶妙! 不安定にどんどん積み上げられた嘘が崩れる様を描いた3話収録。
帯に「鍵のない夢を見る」と連なる——、とあるが共通点を私はあまり感じなかった。
コロナ禍のロマンス詐欺・親心につけ入るお受験詐欺・有名人に成りすまし詐欺。
ラストは希望が見え、詐欺の話なのに後味は悪くない。 なんと言っても、辻村深月氏への絶対的な信頼で、全てを委ねて読んだ♡
チヨダ・コーキが出てきて萌え(^^)
嘘をつかない人はいない… 一穂ミチ氏の解説も良かった!
Posted by ブクログ
昨今の世の中で、また誰の身にも身近にありそうな、状況を舞台に描かれる嘘にまつわる3つの物語の短編集。その後の解説文中の、「辻村さんの筆は冷徹なほど克明ではあるけれど、人の弱さを見下したりはしない。誰の感情も嗤うことなく、ただ心の中にあるもの、としてフラットな目線で描く。多くの読者は、辻村深月の眼差しのフェアさに絶大な信頼を置いていると思う」という文言が、今回の短編集でも敵面に発揮されていると感じました。
Posted by ブクログ
初めての辻村作品でした。
面白かった
最初の違和感が徐々に明かされていく感じがたまらなかった。
他の作品も読みたいと思えるものです。
短編集というのも、飽きない
個人的には、3つ目の話がすき
Posted by ブクログ
3遍の話、小さな嘘から成り立つ物語。
俺は2つ目の『5年目の受験詐欺』が好き。
キュン、ゾワゾワと、話によっては、いろんな人に突き刺さるポイントがあるだろうな。
さすがの辻村深月。
Posted by ブクログ
「詐欺」をテーマにした短編集でした!
2020年のロマンス詐欺
五年目の受験詐欺
あの人のサロン詐欺
騙す者と騙される者の視点が書かれており、心情の変化もこれでもかというくらい書かれていました。
物語に入り込みすぎて、つらい展開のときは先を読むのがしんどくなっていました。辻村さんの心情描写は本当にすごいと思います!
嘘を重ねるほど自分の足元はぐらつき、一度失敗してしまうと一気に崩れていく様がジェンガのようだなと感じました
読後感はどれも爽やかで一筋の光がさすようなものでした!
Posted by ブクログ
解説も含め秀逸な作品でした。短篇集なので、スルスル読んでしまい気付いたら終わっていました。
嘘を嘘で隠してもいつかはジェンガのように崩れてしまう。ジェンガも一喜一憂の遊びだと思うが、この作品も同じように、その場凌ぎ(?)のような嘘をついてさらに嘘をついて…と、読んでいるこちらがハラハラして楽しかったです。
Posted by ブクログ
この時代に起こりうる嘘というか問題というか現実というか。。。
自分が心から望んでなくても起こってしまうこと。。。
その時に自分はどうするのか???
それぞれの物語の主人公になって考えると思いがいろいろ浮かびます。
Posted by ブクログ
最初はこのくらいならいいかと軽くついた嘘が、
自分を守るための嘘になり、
それがどんどん膨らんで
気がつけば、嘘のために嘘を重ねるしかない状態になっている。
まるでジェンガのように
ぽっかりあいた嘘をブロックを埋めるために別のブロックに手を出して、それを繰り返すほど、どんどん不安定になる。
そして崩れてしまう。
嘘を選ぶしか無かった気持ち。
追い詰められていく過程が現実味を帯びていて
胸が苦しくなる。
Posted by ブクログ
「2020年のロマンス詐欺」は、
「神様の罠」に収録されている話だったーーー
気付かず購入。3話中1話既読のため、ちょっと損をした感じは否めない、、、
と言うわけでそっこー読み終わった。
嘘つきジェンガというタイトルが天才すぎる。
まさにどの話もみんな嘘ついててグラグラ。
そして、うわー言っちゃったーーとかバレちゃったーーというジェンガが崩れた時の感覚まで一緒に味わえる。おもしろい。
それでも日常は続いていて、、みんな頑張れ、私も頑張るよ、、と、なる。笑
Posted by ブクログ
タイトルが絶妙。
嘘をつくと、それを正当化するための嘘が次々と必要になる。
この作品では嘘がひょんなところからバレて「世界が終わった」と思われるシーンを迎える。
その上で、正直に何もかも曝け出すと、案外「なんてことなかった」「早く言えば良かった」というシーンがあり…やったことは取り返せないけれど、その後地に足をつけて生きることはいくらでもできる、というメッセージが詰まっているように感じた。
Posted by ブクログ
詐欺グループに引っかかって詐欺をしてしまう人。詐欺に引っかかってしまう人。
詐欺をしてしまう人。
の三つの視点で構成される短編集。
絶対詐欺なんてしない!絶対詐欺なんか引っかからない!みんなそう思ってるが当事者になってみるとそうもいかない。
心が痛くなる場面が多いですが、内容はホット。
最後までハラハラドキドキ読む事ができました。
Posted by ブクログ
嘘と不安の連作短編集。
この先、どうなってしまうのか。未来の見えない不安とかすかな恐怖に負けて、流されて嘘をついてしまう人々。そして、未来の見えない不安とかすかな恐怖に負けて、流されて嘘にすがってしまう人々。
騙す方も騙される方も、私たちはどちらにもなり得る。それに気づいた時、不安が物語から跳ね返ってくる。
不安定で脆弱な嘘。それでも積み重ねるしかない。「やめたらいいのに」と、何度も思った。でも、そう思うのは、読者の目だから?自分自身が渦中の人となった時に、嘘の危うさに気づけるだろうか。
Posted by ブクログ
えと、積ん読が有るのに書店に行ったら、新刊文庫本がずらり(笑)何冊かまた買っちゃったあ。あちゃ〜(笑)でも我慢できない。
そんな私も詐欺に引っ掛かるのかな。
詐欺にまつわる3人のお話。
3人とも優しいがゆえ、まっすぐなゆえ、知らず知らずに詐欺に荷担するまたは、嘘をつく。
2020ロマンス詐欺
最初は自分がさみしいからと言う理由と、コロナ禍でバイトが出来ないと言うところから、詐欺グループに引っ掛かり。。。こんな風に若者は引っ掛かるのかなと思った。このお話はロマンス詐欺を持ちかけた相手を助けようとする。途中ドキドキしたが、すごくよい終わり方でホッとした。
5年目の受験詐欺
許せないね〜母の子を思う気持ちに寄り添うふりをして、引っ掛かける。
ずっと裏口入学だと思いながら過ごしてきた5年はそうでは無くて。旦那さんの吐く「愚か」は辛すぎたが、とうの子供は優しい。
そんな子供に助けられる母親。これまた最後はホッとする。
あの人のサロン詐欺
この短編については、のめり込むがゆえ、なりきり詐欺をしてしまう。嘘を重ねる主人公にずっとモヤモヤする。
途中、チヨダコーキの名が出てきてニヤリとするけど(笑)
このお話も最後はホッとする。
いやいや辻村さん。やっぱり面白いわ。
一気だもん(笑)
Posted by ブクログ
皆必死に生きる人間だった。自分のため、誰かのために嘘をつく。騙されていたとしても、それでも守りたい何かがある。罪悪感を持ったり、自分を正当化したりしながら、必死に生きている。綺麗なことばかりではないからこそ、本物の人間らしさがある。三者それぞれが何らかの詐欺に関わっているけれど、最後にはそれぞれの真っ直ぐさが感じられる物語だった。
Posted by ブクログ
さすが辻村深月さん、心理描写が凄いな、リアルだなと思える、伝わってくる。詐欺に関した3つの短編集。題名通りいつ崩れるかわからないウソで固めた生活、まさにジェンガ状態。騙される人、騙す人の心理描写がリアルで追体験できました。辛く悲しいストーリーにならない、ちょっとほっこり救いのある話で個人的には良かったです。
Posted by ブクログ
なんとなくごまかしたり
仕方なくしらを切ったり
そんな日常を重ねていく中で
ひとつのことに
いつまでも縛られたり
ずっと引きずったりするならば
できる限り真摯に
可能な限り誠実に
日々を歩んでいくことがよい