あらすじ
似ているようでまったく違う、
新しい一日を懸命に生きるあなたへ。
『お探し物は図書室まで』『赤と青とエスキース』で本屋大賞2位。『月の立つ林で』『リカバリー・カバヒコ』『人魚が逃げた』で5年連続の本屋大賞ノミネートの著者、最高傑作。
長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士、親から離れて早く自立したいと願う女子高生、仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩むアクセサリー作家――。
つまずいてばかりの日常の中、それぞれが耳にしたのはタケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』だった。
月に関する語りに心を寄せながら、彼ら自身も彼らの想いも満ち欠けを繰り返し、新しくてかけがえのない毎日を紡いでいく――。
最後に仕掛けられた驚きの事実と読後に気づく見えない繋がりが胸を打つ、心震える傑作小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
青山美智子先生の作品は、本当に好きだ。
言葉選びも章の運び方も美しく、登場人物たちが細く透明な糸でつながっては、プツンと切れて、離れることの素晴らしさを伝えてくれる。
登場人物が別の登場人物に対して抱いた感情もひと言ふた言程度しか書きあわらさない、その何気なさにもキュンとくる。
個人的には『お天道様』がグッときたが、『針金の光』の終盤からの「母さん、僕ね、好きな人ができたよ」はもう…胸がいっぱいになる…!
とても心が癒された。
2025年12月5日、たまたま今年最後の満月の日に読み終わったことも嬉しい…!
Posted by ブクログ
青山さんの作品は、いつも温かく。人と人との繋がりが心に染みるストーリーで大好きです。疲れているときや寂しいとき、そっと与えてくれるビタミン剤のようで、元気にさせてくれます。本作は特に僕も大好きな月がテーマでお勧めです。
Posted by ブクログ
うわあ 素敵な本でした。
5つの短編が最後に繋がっていく。
一つ一つの話しに 深い愛情を感じました。
お天道様の 娘が嫁に行っちゃう父親の話し
ぐっときました。
世の中の口下手で不器用なお父さんたち
娘がこんなふうに言ってくれて 婿がこんなふうにしてくれる。
自分が気が付かなかったことは おくさんが解説してくれる。
ここまできて やっとわかるお父さんは 手間がかかるけど 幸せな人です。
そしてそのお父さんのやってる修理工場が 次の話し
ウミガメの逢坂那智のオートバイ神風を 直してくれて 繋がっていく。
離婚して 子供がどっちの親と暮らしても
なかなか口に出せない思いが 難しい
みんないい人で 一生懸命生きているんだけどね。
お話しを繋いでいるのが ポッドキャストの ツキない話し です。
最後にツキない話し の話してる人もわかってきます。
上手だなあ!と思う構成です。
Posted by ブクログ
青山さんの書かれるお話は、みんなが繋がっていて、最後は心が温かくなることが想像されるのだけど、毎回、読み進めていくにつれ、ワクワクして落ち着かなくなってしまいます。和栗ましてや、細切れに読むとわからなくなって、読み戻すこともしょっちゅう。
今回も最後まで楽しく読み、心温まるお話でした。
Posted by ブクログ
青山美智子さんの著書を読むのはこれで4冊目。
今回は見えない月(新月)で繋がる話だった。
新月を気にして見たことがなかったけど、次の新月はじっくりと探して見てみたい。
「見えない」けど、ちゃんと「ある」。
Posted by ブクログ
青山美智子さん作品は初。
タイトルと装丁がきれいで手に取りました。
本の紙質も厚めでなんだかいい感じです。
5章からなる連作短編小説。
人の役に立ちたいと生きてきた看護師。
夢を追う売れない芸人。
娘の相手に腹を立てながらも温かく見守る整備士。
親から自立したい女子高生。
仕事と家庭の両立に悩むアクセサリー作家。
みな、身近にある日常の悩みを抱えながらも
しっかりと人生を送っている。
それぞれの登場人物が
皆つながっていて相関図が頭の中でぐるぐる…。
そしてみな温かくて良い。
彼らはみな、ちょっとしたきっかけで
ポッドキャスト「ツキない話」を聞くようになる。
月の話を聞いていくことで、
悩みからの視点を少しずつ変えながら
新しい一歩を踏み出すことのきっかけになっていく。
月のお話は、ポッドキャストを聞いてるかの如く
とても楽しむことができました。
本当にこのアカウントがあったらいいのに…
とさえ思うくらい。
「竹林からお送りしております。
タケトリ オキナです。かぐや姫は元気かな?」
ではじまるポッドキャスト。
この伏線も最後には…。
月の輝きが
行く先を照らすような素敵なお話でした。
再読したい本です。
Posted by ブクログ
『月の立つ林で』は、さまざまな悩みを抱える人たちが、ポッドキャスト「ツキない話」を通してそっと救われていく物語です。登場人物同士は直接関わらないのに、見えないところでつながり合い、それぞれが少しずつ前に進んでいく様子が温かく胸に残ります。日常の不安や孤独に寄り添い、静かに背中を押してくれるような一冊です。
題名の「月の立つ林で」は、
月=満ち欠けする心や人生の象徴
林=迷いや暗がりのある日常
月が立つ=そっと光が現れ、道を照らす
というイメージを重ねたもので、物語全体に通ずる“見えないつながり”と“やわらかな希望”を象徴しているように思います。
構成がかなりしっかりしているので最後まで楽しめました。
眠れない夜にゆったりと読むのにぴったりの一冊です。
Posted by ブクログ
短編だけど話がそれぞれ繋がっていて、とても楽しく読めた。
朔の意味、新月、ついたちなど知らなかったのでとても興味深い。
それぞれ美しいストーリーだったと思う。
Posted by ブクログ
青山美智子さんの『月の立つ林で』は、月にまつわるさまざまな知識が物語の中にさりげなく織り込まれていて、読んでいてとても面白い作品でした。
天体の話だけでなく、登場人物たちの揺れる心情が月や太陽と重ね合わせて描かれており、その表現がとても温かく、美しく感じられます。
物語は五つの短編で構成されていますが、すべてが少しずつ繋がっていて、まるで見えない糸が世界を結んでいるようでした。
「知らない誰か同士が、どこかで支え合いながら生きているのかもしれない」――そんな静かな希望が物語を通して伝わってきます。
学校や仕事、日々の生活では、どうしても嫌なことや逃げたくなることに目が向きがちです。でも、この本を読むと、月と地球の距離のように、いったん遠くから自分を見つめ直すことの大切さに気づかされました。ふっと肩の力が抜けるような、不思議な安らぎがあります。
読みやすく、心がやさしく温まる一冊です。
静かな夜に、月を見上げながら読みたくなる本をいかがでしょうか。
Posted by ブクログ
大好きな青山さんの作品。
今作は月にまつわるポッドキャストが共通している連作短編集
5篇どれも誰かの優しさにふれおだやかになれる優しいストーリーたち
月についての知識も楽しくてきっとみんな夜空を見上げてみたくなるはず。。
Posted by ブクログ
エスキースに続いて、今回も素晴らしかったです。
青山さんの作品が本当に好きだ…。
日々の生活に疲弊したとき…
自分を見失ったとき…
どうにもできないことが身に降りかかったとき…
さびしいとき…
そんなつらい時に、月になぞらえて寄り添い肯定してくれる作品です。
汚れて重たくなった心が洗われ、
前を向いて頑張って行く力が湧きました。
しんどくなった時におすすめなので、
ぜひ読んでみてください。
Posted by ブクログ
読み終えた瞬間、もう一度最初から読み返したくなる一冊だった!
短編集で、複数の主人公が登場するけれど、全て同じ世界線で繋がっている。
共通点は、タケトリ・オキナという男性が配信するポッドキャスト「ツキない話」を聞いていること。
物語を追ううちに「あの人とこの人は繋がっていたんだ」「あの後こんな風に続いていたんだ」と思いがけないところで話の続きが知れたり、まさかの関係性が知れたり、驚かされる瞬間が何度もあった。
散りばめられた伏線がひとつずつ繋がっていくたびに、心が痺れた。
自分や誰かの何気ない言動が、誰かの心を動かしたり、元気を与えたり、救ったり、自分の知らないところで誰かに影響を与えながら、与えられながら生きているんだなと考えさせられた。そう考えると、私たちが生きてる今この瞬間も気付いていないだけで沢山の伏線で満ちていて、きっと後から振り返るとこの物語のように輝いているのかもしれないな〜と感じた。
Posted by ブクログ
4作目の青山 美智子作品。タイトルと綺麗な青い表紙に惹かれて、手に取りました❗️
5編の連作短編集。青山作品の凄いところは、どの連作作品でも一つ一つの話しが少しずつ繋がっていて、最後はこんな繋がりだったんだとびっくりさせられることです❗️本作品もその通りの展開となっています。
それから本書のキーマンとなる『タケトリ・オキナ』の正体を推理しようと、様々な描写から自分なりに推測していましたが、残念ながら見事にハズレてしまいました❗️
好きな話しは、『三章 お天道様』です。普段本を読んで余り涙を流すことは少ないのですが、ここだけの話し最後はちょっとウルウルと涙をさそう、とても温かいエピソードでした❗️
Posted by ブクログ
元看護師、売れない芸人、バイク整備士、女子高生、アクセサリー作家など、いろいろ登場人物たちが、あるポッドキャスト「ツキない話」を通して一歩踏み出し成長していく話し。
気付かないような当たり前のことが実は大切だと気づかせてくれる良い本だと思えました。
Posted by ブクログ
神様当番から読みはじめて同じふうに書かれる文体ですがより洗練されて、ため息出るほど上手ですね。でもやっぱり神様当番好きかも。ポッドキャストの主もやっぱりそうなのかとか minaにすぐにリリカに教えてあげてとか、余計なことばかり浮かぶ今日この頃
Posted by ブクログ
他の人からは見えにくい、自分のなかで抱える日常のままならなさ。
主人公たちは、ポッドキャスト「ツキない話」を聞きながら自分自身の思いや周りの人の存在に気付いて踏み出していく。
其々のお話の主人公の日常が重なり合って、実は支え合って、回収されていく青山さんのお話が改めて好きだなぁ。静かに流れていくのに緻密で繊細で。
タケトリ・オキナがポッドキャストの中でしてくれる、月にまつわるお話もどれも知らないことも多くて楽しかったです。
Posted by ブクログ
自己肯定感の低い主人公たち。どうしても輝いている人たちと比べて落ち込んでしまうけれど、自分も誰かにとってのレゴリスであると、そう思って生きたい。
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長らく病院を辞めた40歳独身の女性元看護師、夢を諦めきれない売れない30歳の芸人、結婚し離れていく娘との関係に悩む工場経営者、母からの自立にひとり悩む女子高生、仕事と家庭、家族との関係に悩むアクセサリー作家…
彼らが毎日聴いているのは、ポッドキャスト『ツキなない話』。
月についてのうんちくを聴きながら、何かを気づいていく…
そして、『ツキない話』を毎日更新する本人も…
どう繋がっていくんだろう…
結局、最後にはすべてが繋がる。
いい話だった。
いいひとばかりで。
出てくるひと、出てくるひと、みんないいひとで。
そして、みんなが気づき、前向きになっていく。
悩んでいたことも、違う見方をすれば、全然違うんだと…
迅くんはお母さんに会えるんだろうな。
『この夏の星を見る』、『月まで三キロ』、『月の立つ林で』と、月で繋がっていて、なんだか、得した気分に。
Posted by ブクログ
連作短編。この人は、前に出てきたあの人のこと? この人とこの人がつながるんだ。ここが家族か…などなど、伏線が伏線を呼ぶつながり。青山さんの作品はこのスタイルだから、私も学習してもいいはずなのに、また今回も何度も元に戻って「探す」作業をしながら読みました。
3章の「お天道様」が苦しかった。そして、一番心に沁みました。
Posted by ブクログ
現代の社会で苦労をしている人たちが、
あるポッドキャストを通じて、救われていくお話。
ポッドキャストは、月に関する話を毎朝7時に10分だけ配信され、
ちょっとした知識を教えてくれる。
短編小説ですが、ポッドキャスト中心の物語で、
読みやすく、引きまれるものがあり、ささっと読めた。
特に、一人娘を嫁がせた父親の苦悩の物語は、
娘をもつ父親として共感できるところがあり、
娘からの電話で涙腺がゆるんでしまった。
Posted by ブクログ
青山美智子さんの作品は、優しい。
5つの話が、登場人物の知らない糸(意図)でつながっている。
こういう作品、好きだなあ。
程よい感動。
ある章をラーメン屋で読んでて、少し涙ぐんでしまいました。
Posted by ブクログ
青山さんの作品特有の、物語と人との優しい繋がりが温かく、やはり人としての在り方や考え方について再度考えさせられた。
自分も気づかないうちに誰かの助けになれているのだろうか。
Posted by ブクログ
想像通りすごく読みやすかった。
様々な人の生活が最終的に次々と結びついていく構成のものは、ドラマやアニメが映画化された映画のように不自然にきゅっとラストまでもっていったなぁというか
読んでいる途中これも伏線なんだろうなぁと分かってしまうし、その伏線がどんどん勢いを増してきらきらしていく感じが苦手だった。
でもこの本はわりと穏やかにラストを迎えることができて読んだあと気持ちがふわっとした。
青山さんが書かれた赤と青とエスキースが好きで、手にとってみたけれど読んで良かった。
この本も綺麗なお話しだった。
Posted by ブクログ
よかったです。
読んでてほっとする、優しい物語です。
普段、月のことを意識することはあんまりなくて、月の満ち欠けに名前と意味があることを初めて知りました。
新月は新しい時間のスタートのタイミング。
なんか、素敵だなと思いました。
たまには天気がいいときに、夜空を眺めたいなと思いました。
ツキない話、どこかで配信されてないかな〜。
わたしも聴きたい。
Posted by ブクログ
・三章の「お天道様」泣いた。
私も頑固だから、お父さんの気持ちも娘さんの気持ちもすごくわかる。
思っている本音を言えず、素直になれない時もある。けど、もっとオープンにして、気持ちを伝えることが大事なのかも。
親子の話にはめっぽう弱い。
・どんな状況も、私たちには良い悪いとすぐにジャッジすることなんかできないのかもしれない。
・月についての知識も知れるし、なんだかとても神聖で心が落ち着く。
最後の解説が野口聡一さんなのも、とっても素敵。
★また繰り返し読みたい。
Posted by ブクログ
心が疲れた時に読みたい一冊。それぞれの章の登場人物がポッドキャスト「ツキない話」に出会って人生がゆったりと満ち欠けを繰り返しながら進んでいくお話で、ポッドキャストである番組に出会うというのが現代的で身近でした。大丈夫、大丈夫って自分に言い聞かせながら誤魔化しながら生き急いでるけどたまには立ち止まってもいいしゆっくりでいいんだよねって再確認できる小説。個人的には二章レゴリスのポン重太郎に共感した。別の章で明らかになるけどポン重太郎がミツバ急便での仕事がめっちゃ丁寧なのが本当に好き。気の配れる、仕事が丁寧な人って本当に尊敬するしそうなりたいと思う。
Posted by ブクログ
ポッドキャストで語られる「ツキない話」
5人の主人公の人生を、月の満ち欠けに重ね合わせて描いた心温まる物語。
毎朝7時に更新される「ツキない話」は、5人それぞれの人生を支え、少しずつ変えていく。語り手も登場人物も互いを知らず、まったく別の道を歩んでいるように見えるが、世の中は目に見えないところで確かに繋がっているのだと感じさせられる。
本作では「新月」という言葉が繰り返し登場するが、それは「物事を新たに始めるタイミング」を象徴している。人生においても、続けてきたことや信じてきたものがふと揺らぎ、立ち止まる瞬間がある。しかし、何万年も前から存在する月でさえ満ち欠けを繰り返しているのだから、私たちの人生もまた始まりと終わりを繰り返すものなのだと思う。
満ちては欠け、欠けては満ちる月のように、人生もまた光と影を行き来する。月が夜を照らすように、私たち自身も誰かの人生を照らす道標でありたいと願う。その「誰か」は特定の人物でなくてもよい。日々を重ねる中で、ふとした優しさに触れ、それを受け止めることが、次の誰かへと受け継がれていく。私もどこか知らない場所で、誰かのためになっているのかもしれない。そうして人の心は、月の光のように静かに広がり、繋がっていくのだと信じている。