あらすじ
17歳の夏、「黄色い家」に集った女たちの共同生活は、
ある死をきっかけに瓦解し……。
世界各国で翻訳刊行中!
孤独な少女の闘いを渾身の力で描ききった最高傑作。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2026.2
ページを捲る手が止まらない。
読んでいる文字が映像になる。
ほぼ映画だった。
泣いた。
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P60 ふいに母親の笑っている顔が浮かんできた。その瞬間、ずきんと音をたてて胸が痛み、お母さんは、こんな肉を食べたこともなければ、このさき食べることもなく、そして世の中にこんなものがあることすら知らないんだと思った。
P72 「世の中は、できるやつがぜんぶやることになってんだから、考えたってしかたないよ。無無駄。頭を使えるやつが苦労することになってるんだよ。でもそれでいいじゃんか」
P73 「幸せな人間っていうのは、たしかにいるんだよ。でもそれは金があるから、仕事があるから、幸せなんじゃないよ。あいつらは、考えないから幸せなんだよ」
P85 「あんたが貧乏だったこと、あんたに金がなかったことに、なにか理由がある?理由があったか?」〜「ないよ。あんたが生まれつき貧乏だってことに理由なんか。」
P126 一緒の部屋で寝たり起きたりしていても、肝心なことはなにもわからないんだ。そう思うと複雑な気持ちだった。でもそれは自分もおなじだった。
P134 みんな、どうやって生きているのだろう。道ですれ違う人、喫茶店で新聞を読んでる人、居酒屋で酒を飲んだり、ラーメンを食べたり、仲間でどこかに出かけて思い出をつくったり、どこかから来てどこかへ行く人たち、普通に笑ったり怒ったり泣いたりしている、つまり今日を生きて明日もそのつづきを生きることのできる人たちは、どうやって生活しているのだろう。そういう人たちがまともな仕事についてまともな金を稼いでいることは知っている。でもわたしがわからなかったのは、その人たちがいったいどうやって、そのまともな世界でまともに生きていく資格のようなものを手にいれたのかということだった。どうやってそっちの世界の人間になれたのかということだった。わたしは誰かに教えてほしかった。
Posted by ブクログ
境遇は全くと言って違えど、お金の不安、共依存関係など、心に刺さりまくる物語だった。感情の表現の仕方が見事すぎて読む手が止まらなかった。年始に読めてよかった。
Posted by ブクログ
親ガチャ、貧困、生まれ持ったルーツ、境界性認知
いずれも自分のせいではなく背負わされたもの
抜け出そうとするもしがらみから出られず絡め取られるように追いかけてくる
上巻はエピローグしっかりしてるので下巻の追い上げがすごい。
登場人物全員難あり、どこかおかしい。
面白かった!
Posted by ブクログ
後半からスピード感が出てくる、久しぶりに一気読みした小説。
生まれた家庭環境によってこんなにも人生が違うんだと、自分も一歩違えばこうやって犯罪に加担していた人生だったのかもしれないとすごく恐怖に駆られた。最近では特殊詐欺とか闇バイトとかあるけど、この本を読むと、本当に加害者だけが悪いのか。そんな疑問を持ってしまう本だった。
上下巻ありかなり読むのに体力は必要だったけれど、まったく飽きず最後までドキドキしながら読めた。感情移入しすぎて読んでいる最中ほんと苦しくてつらかった〜。負けという表現はおかしいけれど、小説家(川上未映子さん)に敗北のような気持ちでいっぱいです。
Posted by ブクログ
闇バイトってどうして無くならないんだろうとニュースを見て思っていましたが、この本を読んで、生活苦や危機感などいろんなものが合わさって無くならないのかとしみじみ思いました。
花ちゃんの変わりようから、人間立場が変わると次第に性格も変わってしまうのかとも思いました…
友達関係からリーダー的立場になり、頑張らなきゃという気持ちが先行。それに蘭ちゃんや桃子が付いて来てくれるかと思ったらそんなこともなく、今までと変わらず呑気に見える2人や頼れない大人の黄美子さん…
何かを一緒にするするとき、同じ熱量、同じ価値観がないと破綻してしまうのかと思った。
最初からお金があったら解決した問題なのかと考えたが、お金がある家庭の桃子が闇バイトに手を出したので(親から金を制限されたのが問題だが)、お金だけの問題では無いんだろう…
お金や家庭いろいろなことが影響して、人生は複雑に変わるというのを教えてくれた本だと感じた。
Posted by ブクログ
上下巻、あわせてあっという間に読みました。
感想は、下巻のレビューのみ記載。
p134
みんな、どうやって生きているのだろう。……
でもわたしがわからなかったのは、その人たちがいったいどうやって、そのまともな世界でまともに生きていく資格のようなものを手に入れたのかということだった。わたしは誰かに教えてほしかった。
花ちゃん自ら選んでこうなっているというより、そもそも花ちゃんにはまともな選択肢がなくて、選択肢を自分で用意する力も知恵もなくて、まともな方法で手を差し伸べてくれる大人が生まれてから周りに誰一人いない環境で分断された世界にいるのだとハッとさせられました。だからといって、犯罪に手を染めることはいけないことですが、何も知らない子どもたちをどうやって救い出せばよいのかは私もわからない。考えさせられました。
また、花ちゃんは母親のことを、「しっかりものを考えられない、適当でばかでどうしようもない母親だけれど、でも母親は騙されるばかりで人を騙すような悪人ではない」と感じています。
騙されて借金を抱えた母親に、花ちゃんはお金を貸して経済的に困窮し、闇バイトのようなものに手を出す。それ以来、花ちゃんは人を騙しお金を稼ぐ「悪人」になる。花ちゃんが身を置く世界の構造に、やるせなさを感じます。
Posted by ブクログ
淡々とした文章から登場人物たちがひたむきに生きていく姿を想像して胸が熱くなった。
衝突し追い詰められ、どんどん窮地に陥っても「死」という選択肢を誰も選ばないのが印象的だった。
本で思いっきり泣いたのは久しぶりかも。
Posted by ブクログ
すごかったすごかったすごかった。上巻もまあまあ面白かったけど、下巻はさらにページをめくる手が止まらなかった。金や犯罪の話ではあるんだけど、絶対にそれだけではなくて。貧困、ネグレクト…。イヤミスとかとはまた違ったグロさというかえぐさがあって、読後感はとても重い。いい意味でフィクションっぽくない。現実でも全然ありそう、というかあるんだろうな。主人公の花がやっていたことは間違いなく犯罪だし、それを斡旋したり何も言わない大人ももちろん。でもだとしたら、花や蘭、桃子はどうすればよかったんだろう。花と蘭と桃子、全員運が悪かったとしか言いようがない。正しい知識技あれば福祉とつながることもできたんだろうけど…。
読んでいて苦しいんだけど止められない。お金に対する感情で、共感する部分もあるし。結局、黄美子さんってなんだったんだろうなって思う。最後まで正体がわからないまま逮捕された記事のことが実際行われていたのか、真偽はわからないまま。でも花たち3人は更生する機会がないまま、どうやって全うな生活を手に入れたのだろうと思った。花についての事件後の言及はあったけど、蘭とか子供いるみたいだけどどうやってそこまで行ったんだろうか?
Posted by ブクログ
面白かった。引き込まれすぎて読んでいる間は鬱々とした気持ちで家事もままならない程ボーッとしてしまった。
「幸せな人間っていうのは、たしかにいるんだよ。金があるから、仕事があるからじゃない。考えないから幸せなんだ。」帯にもなったこのセリフがグッときた。よいクライマックスでした。
Posted by ブクログ
「黄色い家 上」で築き上げたものがあったからこそ下巻では興味を強く惹き付けられて読むことができました。
上巻でしっかり話の根幹が頭の中に入っていたからこそ下巻の良さが引き立てられたと感じております。
Posted by ブクログ
救いのない、ではどうすればよいのかもわからない顛末。
黄美子さんとはどういう存在なのか。
世間で虐げられる危うさを持つ弱者であることは間違いない、けど同じような境遇に立つ弱者のそばにいることができる。意図しない優しさで他人を掬い取ることができる力があるように思われる。徐々に少しずつ削れていくように、存在が希薄になっていく描写がいたたまれない。
エンタメ性も兼ね備え、お金とはという命題に挑む。
お金に踊らされないように、お金なんてただの紙といえるのはある一定以上の恵まれた階級の詭弁なのかもしれないと惑う。夢や希望を持つことも許されないジュブナイルな展開に心穿たれる。
Posted by ブクログ
機械が発展し古典的な犯罪が取り残され、段々追い詰められていく様子に、西部劇映画の明日に向かって撃て!を、栄枯盛衰の日々を過ごしたのち何も残らず、時間だけが過ぎていく、でも少しだけ希望のようなものも見えたラストに北野武のキッズリターンを思い浮かべた。
琴美さんとのカラオケのところはとても綺麗だった。黄色い家が崩壊していく中、蘭と桃子はやっぱり持っている側というか居場所がありなんとかなる側で、花と黄美子さんはなんとかならない側で、花のお母さんもなんとかならない側で、そこの断絶が残酷だと思った。花のお母さんが72000円を残していたのも心に残った。
人生、レールの上を走れている時は大丈夫だけど、一旦レールを外れると復帰するのは本当に大変で、世の中どうにもならない中、必死で生きている人がいっぱいいるんだろうなと思いを馳せた。
Posted by ブクログ
登場人物たちが、その時代を生きた一人の人間として、これでもかと深く深く描かれている。奇妙で掴みどころがなくて心惹かれて、それでいて何か危うさもある黄美子さん。
少女たちは自分の意思をもった一人の人間であると同時に、未熟な存在でもある。一人の大人として自分もそう思う。だが、花が去った後の黄美子さんのことを思うと、あまりにも切ない気持ちになった。
Posted by ブクログ
川上さんの作品の中で一番好き
親ガチャに外れたのに理由なんてない
生きてくためには犯罪も仕方ないことなのかもしれない
その中の小さな幸せが愛おしい
Posted by ブクログ
黄色い家。SISTERS IN YELLOW、こっちの方がしっくりくる。英語と日本語の大きな違い。
四つ打ちの音楽に身を委ね気持ちよく踊るように読み進めてしまえる、読みやすさ小気味よさがある。
でも内容は重い。何が力なのか強いのか、強さとなってくるのか。
自分で選択して生きた人生でも、積み上げてきたものが崩れ壊れてしまってやり直せないことがある。外側にある、自分の中に影響してくるものほど積み上げやすく力となるけど、弱くて脆い虚構であり崩れやすい。そしてそれは執着、依存、拘泥…となり、本当の自身の裁量や尊厳を奪っていく。
また選択したつもりでも、実はどうしようもない運命として社会に定められたものがある。
例えば金。金に関する価値観は大きい。
あと、酒も名声も…パートナーでさえも、外側から己を維持していて心地よく支えるものほど危うく、簡単に裏切ってくる。
内側から強くならないと、簡単に乱れる。
Posted by ブクログ
黄美子さんが、いろんな面があり不思議な存在。
でも、いろんな事を包んでくれるような安心感があり魅力がある。
上巻では、上手く仲良くやってきた人間関係にも変化があり起こる問題は全てお金に絡む事。
お金があると、あるで不安になったり疑心暗鬼になるのは。 経験はないけど、わかる気がする。
Posted by ブクログ
主人公と同年代なので当時の空気感やXのくだりはとても
懐かしく映像として想像しやすかった。
自分達の時代、あからさまに貧乏な子はいたし、主人公達ほどでは無いが違法に金を稼ぐ連中はいた。
そんな感じで時代背景や周りの景色が想像しやすく、上巻は不穏な空気を纏いながらもあまり物語が進まなかったが、下巻からどんどん転がって行く様に進むので読むのが止まらなかった。
主人公の背景や黄美子さんヨンスなど同情出来る部分もあるが、やはり誰かを不幸にする稼ぎ方はクズだと思う。
物語としてとても楽しめました。アンメルツヨコヨコ
Posted by ブクログ
クライマックスで、グッと気持ちが持っていかれた。黄美子さんが最後まで不思議な存在。
ものすごく印象に残ったのは「みんなどうやって生きているんだろう」「いったいどうやってまともな世界でまともに生きていく資格のようなものを手に入れられたのか」という言葉。
真っ当にお金を稼いだり生きていく方法って、実際そんなに教わらなくて、周りの大人の生き方を見ることで変わっていく。反面教師にする子もいれば、素直で良い子ほど進んでは行けない方に進んでいってしまう気がする、花ちゃんみたいに。
自分の生き方が子供達にも影響する責任を大人がちゃんと理解して、後ろめたさを感じない生き方を選んでいかなければいけないと感じた。
Posted by ブクログ
生育環境が悪く、人生マイナススタートの人間たちが自分なりに頑張るけどさらに状況は悪くなっていく地獄のような話と、しかしその中で光っていた希望の話
黄美子さんが逮捕されたニュースで上巻は始まって、昔話に移り、下巻の最後にはまた現代に戻ってくるんだけど、その頃にはもう「黄美子さんにそんなマインドコントロールみたいな器用なことできるはずがない」と思うようになっていた
物語は終始、主人公花の一人称で書かれている
彼女は色々なことを1人でぐるぐると考えていて、その思考の波に飲まれて読者は感情移入するし、黄色い家に住んでいるメンバーの中で唯一先のことを考えていて責任感が強くまともに見えるので、彼女自身がだんだんおかしくなっていっているのに気付きづらい
なので、サブキャラの見え方も花の感情に寄ったものになる 最初はあんなに頼り甲斐があった黄美子さんがだんだんと庇護対象に見えてくるし、琴美さんと映水さんはなんか頼れる大人だし、桃子とトロスケはカス
読者を引き込む力が物凄い 一気に読み進めてしまった
しかしカスほど花の姿を具体的に言語化できているというのも皮肉な話で…
自分の意外な一面に気付かせてくれる人って、自分が嫌いな人なのかも
桃子は色々な作品に触れてるからなのか、罵倒に表現の幅があっていいですね
まあカスなんだけど…「人にはそれぞれ苦労がある」は親の金使いまくってる人間が言う言葉じゃないんだよな…最後も結局親頼みだし
最後の黄美子さんはもうボケてしまってるんだろうけど、また2人で一緒に暮らすなんてことにならなくて良かったと思う
また同じことを繰り返して、今そばにいる人たちを失うことになるかもしれないから
Posted by ブクログ
"主人公補正"というものが存在しない。登場人物の中からからたまたま選ばれた人の視点。極限まで生身の描写。フィクションとは思えないエグ味。どこかで起こっていそうなリアル感。
現実に近過ぎて気持ちが悪い。身近で起きていたとかでは無いし、ジェンダーでいえば経験しようの無い話なのだが、何故がわかってしまう。起こっていることは何一つ正しいことはなく歪で不安定、思考も未熟。だが"悪い"ことと切り捨てられないよな、それは生き残ることを否定することになるよな、と思いながら読んだ。
母の死自体が悲しいということはなかったのに、返そうという意思はあったことが分かった時の切なさ。貯金額を見て、何年働いても到底貯まることもなく、全額返済なんて夢のまた夢というどうしようもなさ。哀愁。
Posted by ブクログ
下巻になると4人の関係にも変化が起きてきます。
ネタバレにならないようにすると何も言えないのですが、とてもリアルな描写が続くのでぜひ読んでもらいたいです。
幼い頃の出会いや教育が違えば、主人公にはもっと別の道があったのではないかと思わずにいられません。
犯罪者といえば凶悪な性格の人ばかりと思いがちてすが、この本に出てくる人たちは誰かを気にかけたり、優しい言葉をかけたりしていて、なんだか切ない気持ちになりました。
Posted by ブクログ
何もかも無くした花
お金を取り戻すため
ヴィヴィアンから裏の仕事に手を染める
そこから花は金への亡者に
身分証も無く
縋る場所で足掻く、お金もない、今の環境から抜け出せない、幸せを見出せない負のスパイラル。
読んでいて、泥沼を目の前に読み手にも判っているけど、抜け出せない。花、花、花は何処を目指すの?
やっぱり続きが読みたく、どハマり
読書好き人は必読
Posted by ブクログ
読みながら、お金の切れ目は縁の切れ目ってまさにその通りだなと。
主人公花が本当に手にしたかったものはお金ではない情緒的な温かい愛のある関わり方だったんじゃないかなと思いました。ただ、お金がないと将来への不安が高まり、ネガティブな想像が切り離せなくなってしまう。20歳前後の女の子がこんなにも追い詰められ、精神的におかしくなる様子をありありと想像できるように表現する作者に尊敬の念を感じます。
色々と今のご時世と照らし合わせて、考えさせられる本でした。
Posted by ブクログ
つらい、苦しい、やり切れない…本当に不幸の波状攻撃というか、もうこんなのやめてやめて…と言いたくなるような小説でした。
いや、小説なんですが、同じように苦しんでいる人たちはいるし、自分も主人公の花と似たような気持ちになったことはあって、そういう辛い気持ちを急に思い出してハッとするような瞬間が何度もありました。
両親がいる温かい家庭があり、学校に行って、就職して、結婚して…という当たり前のように語られる普通は普通じゃないというか、そういう普通に手が届かない人たちがいる。
登場人物のヴィヴさんが花に「金は権力で貧乏は暴力だよ」と話す場面があるのですが、本当にそうだよなぁ、と。貧乏ってずっと暴力を受け続けるようなものだよな…と。こういう境遇の花が犯罪に手を染めるのを誰が非難できるだろう。
そして、相変わらず川上未映子さんの文章がとても良くて。川上さんの文章を摂取しているときの多幸感ってなんなんだろう…。文章を読みながら、美味しいって思ってしまうような。ひたすらムシャムシャ貪っていたい文章でした。
Posted by ブクログ
読み進めるほど辛い作品でした。
「お金が人を変える」とはまさにこのことだと思いました。
お金はあくまで何かをするための「道具」であって、「目的」ではない。
お金が減っていくと、少し嫌な気持ちになるのも分かります。
幸福のためのお金だと考えさせられました。