あらすじ
17歳の夏、「黄色い家」に集った女たちの共同生活は、
ある死をきっかけに瓦解し……。
世界各国で翻訳刊行中!
孤独な少女の闘いを渾身の力で描ききった最高傑作。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
"こういう風“にしか生きられなかった人たちの物語。今でいうもろ闇バイトだけど、報道のうらにはこんな物語があるのかも知れないと想像して、苦しくなった。
Posted by ブクログ
上巻読んだ後1週間くらい下巻を楽しみに待って、手に入れてから1日でのめり込んで一気読みした。
さあ、いつ黄美子は豹変するのか?と今か今かと待ち構えるも、あれっ、おかしいな、下巻の黄美子は上巻の黄美子のまま。残りページ数が少なくなって、これからどうやって風呂敷を畳むんじゃーと思っていると、なんと黄美子、豹変しないまま終わってしまった。と言うより上巻の花の視点で見ていた得体の知れない存在感すらなくなっており物語の中心人物なのかと疑わしい程に影が薄い。出てきても横になってテレビ見てるか無駄に掃除してるからだし。花との会話シーンも少ない。
冒頭の記事は何だったのか?もう一度読み返してみるとまるで桃子が脱走を試みた時に言った事に似てる。つまりそう言うことか。桃子や蘭だって未成年だったとは言えある意味自分の意思でそこにいたのに行き詰まって先が見えなくなると都合の良いように勝手に解釈して何も無かったことにした。黄美子はそういう風にさせられたむしろある意味では被害者だったのかもしれない。善悪の判断や先の見通しをつけるのが難しかったり、豹変していく花の手下みたいに動く姿はヒトラーの下のアイヒマンのよう。成長過程での発達障害や知的障害などがあるのだろうか、と疑ってしまう。
黄美子は逮捕されて記事にされるが、実際の所の真実は密室であるが故に闇の中。ある意味言ったもん勝ちなところもあるよな。先日の某プロ野球監督の家庭内暴力の件だって擁護する声もあるけど、娘の事後の反省文の表明で本当は普段は何もないのです、というのが本当かどうかなんか他人には分からない。もしかしたら日常的に家庭内暴力がなされていたのかも知れないし、他人から見るととんでもないことをその家では大したことないと日常的なことだったりもする訳だし。
ビビさんのバカラをやるやつらは既にちょっとずつ死んでる、っていう所が印象的だった。何かが起こる時っていきなり起こるのではなくてそうなる要素が少しずつ積み重なって積み重なってそして最後に溢れてしまう、そんなイメージ。
花の猶予の話。そうか…と納得してしまった。金や時間や人間関係は貯蓄として最初にあればその分猶予がある。立ち止まったり、転んだり、たまには後退したって猶予があれば、またやり直せる。
でも最初から猶予がない場合、立ち止まることも転ぶこともましてや後退する事も許されず、後ろからどんどん崖が自分の方向に迫ってくる感じなのかな。
花のお母さんが、花にお金を返すためにひっそりと千円札を貯めていたのを死後に発見するシーン、花が母からの電話を無視した事を悔いて泣くシーンにもらい泣きした。
-----.-------------
68 金以上の何か。バカラをやるやつって最初からちょっとずつ死んでる、自分を殺してる。そう言うやつがバカラをやりにくる、金の奥に行こうとする。死にながら生きてるのは辛いからさっさと白黒つけたいのかもね。本気でバカラやるやつはちゃんと死ねるから。バカラやってもやらなくても、病気でも事故でもわたしらみんな死ぬからね。呼び方が違うだけでいくか何かに殺されてるのと同じだよ。
頭を使える奴が全部やることになってんだよ。でも苦労できない馬鹿よっかましでしょ。あいつら幸せかもしれないけど馬鹿だよ。あいつらは考えないから幸せなんだよ。
知恵絞って体使って自分で掴んだ金を持つとね、最初から何の苦労もなく金を持ってるやつの醜さがよく分かる。
89 ヤクザは実態があるからどんなにデカくても秩序があってブレーキがある。でも暴対ができて力が弱くなって暴走族上がりとか中国上がりとか守るものが何もないから何でもやる、顔が見えない、分からない。
106 生きててもしょうがないのかなって思っていたけど花ちゃんがいるから大丈夫だって思えるの。
(上巻の冒頭で蘭は久しぶりに再開した花にもう連絡しないで欲しいと言っていたのに)
113 「は」目の前のひらがなを発音するかのような感じで声を出した。何の感情もない無機質な音でしかないような声で、でもその視線にはわたしを向こう側まで射抜くような妙な威圧感があった。
130 これからのこと、お金のこと家賃のこと、話さなければならない事はたくさんあってどれも切羽詰まっていたけどそれを話した瞬間に、今こうして皆が黙っている事でかろうじて保っている全てがそこで本当に終わってしまうようなぎりぎりの感じがあった。
134 今日を生きて明日もその続きを生きる事ができる人はどうやって生活してるのだろう。私が分からなかったのはその人達がどうやってそのまともな世界でまともに生きていく資格のようなものを手に入れたのかと言う事だった。ねえお母さん、生きていくのって難しくない?お金を稼ぎ続ける事ってすごくすごく難しくない?ねえお母さん、私分からないんだよ、どうしていいか分からないんだよ。
200 三茶を歩いているとみんな顔からはみ出しそうな屈託のない笑顔を見せて幸せそうに見えた。その幸せは多分親なのか家族なのか彼氏なのかは知らないけれど自分より強い誰かに守ってもらえているという自信と安心感から滲み出る何かであるように思えた。そんな光景を見た後には胸の辺りにどす黒いものな渦巻くのを感じた。
201 金はいろんな猶予をくれる。考えるための猶予、眠るための猶予、病気になる猶予、何かを待つための猶予、世間の多くの人はその猶予を作り出す必要がないのかもしれない。ほとんどの人間にはその猶予がある程度与えられているのかもしれない。誰だってみんな金が必要で汗水垂らして働いている。誰の汗水がいい汗水で、誰の汗水が悪い汗水なのかを決める事ができるあなたは一体どこでその汗水をかいているんですか?多分とても素敵な場所なんでしょうね。
263 2165万9千円。紙の束でもあり両手で掴もうと思えば掴めるくらいの大きさしかなくただのものでもあった。私たちはこの数年目の前のこれを集めるのに必死だった。誰かが望むものに速やかに形を変えるもの。自分や大事な人を守り満たし時間と可能性そのものになるもの。未来、安心、強さ、怖さ、ちから。頭にやってくる言葉の全てが真実だと言う気もしたし全てが的外れだとも思えてきた。
291 全部黄美子さんがやった。いい?私たちの事実はこれだからね。この家のことなんか誰も知らないし私らは何にもしていない。全部やらされてただけ。利用されてただけ。歯向かったらなにされるかわからなかった。それが事実だからね。
全てはあそこにいた頭のおかしい大人達が自分達のためにしでかしたことであり、私たちは判断のつかない子供で酒を飲まされ働かされ生活を支配されてどうしようもなかった。
自分を自分に繋ぎ止めるためには2人の言う通りそう思うしかなかった。
私は黄美子さんが怖かった?
303 白い封筒に鉛筆の薄い小さな文字で花ちゃんにわたす用と書かれており中にはほとんどが皺のよった千円札で全部で7万3千円が入れてあった。私はきつく目を閉じた。最後に会ったのはいつだったか。最後に話したのはいつだったか。何度か着信があったのにわざと出ないこともあった。私に何か話したい事があったかもしれないのに。声を聞きたいと思ったかもしれないのに。笑顔ばかりが思い出されて私は膝を抱えて泣いた。
307 あの家を出た私たち3人が私たちのための事実を創り上げたように十数行の文字で書かれた事件の記事の後ろあるもの、あったかもしれないものと、20年前の私たちが過ごした日々の区別がつかなくなっていた。
Posted by ブクログ
[上・下 合わせた感想]
めちゃくちゃ良かった。ヒリヒリするのに瑞々しくて、自分とはかけ離れた世界のはずなのに、どこか「知ってる」気がしたり。距離感が絶妙な感じがした。素晴らしい物語だった。
Posted by ブクログ
黄美子さん、やっぱり何かできる人ではなく、悪いこともいいこともできる人ではなく、冤罪に近い形で捕まったのかなと思いました。それをなんともなくやり過ごしてるんだろうなと。苦しいのは花。1人でやり抜いたと言っても過言ではない。誰も花たちが出ていったことを責めない。こういう世界って、そうなのかな。苦しいし最後は涙がでたけれど、読んでよかったと思いました。なかなかこんな本出会えないんじゃないかな。
Posted by ブクログ
『黄色い家』 川上未映子
最後の最後まで食い入るように読んだ。まるで自分が「花」になってしまったかのように布団に丸まりながら読み切ってしまった。最後の方で思い出したかのように好きな箇所に付箋を貼った。
すごく簡単に人は犯罪に手を染めてしまうんだなあ、でも犯罪ってなんなのだろう。何が悪くて何が正しくて、ずっと変わらない確実なものなんてない気がして。
出てくる登場人物に、極悪人なんていなかった。
みんないい人で。
でもいい人って何?直接暴力を振るったりされなかっただけで、本当はあの中で花は洗脳されていたんじゃないの?
けど、花も同じようなことしてたよね?
でもそれって避けられないものだったかもしれないよ?
いろんな自分の頭の中の思考に目眩を覚えながら読み切った。
もっといろんな人に読んでほしい。
Posted by ブクログ
スナック「れもん」も今まで住んでいた場所も失い、生きるためにどんな方法でも金を得なければいけなくなった花は、カード詐欺に手を染め、金に狂い始める。
他には味わえない緊張感とともに読む手が止まらなくなります。
お金のない生活からどうやったら抜け出せるのか、ふつうの人たちがどうしているのかまったくわからないまま、十五歳からの五年間の青春の日々はついに終わりを迎えます。
真実がどこにあるかなんて誰にもわからないし、無理にわからなくてもいいんだ。
彼女たちには選択肢などなく、誰かの人生を一方的に非難することなんてできない。
苦しいけれど、花と黄美子さんとの関係は今となってはハッピーエンドだったのかもしれないと思う…。
Posted by ブクログ
外部から成熟を要求される時、振り返ることができない。
花というヤングケアラーの少女が、親から安心できる環境を得られず、成熟を要求されざるを得ない立場に居続けた。外部に頼れない花は自身の空想のユートピアに頼らざるを得なくなる。彼女の居場所を彼女自身か守るために。それが「れもん」でもあり、「黄色い家」だった。
心が壊れること。ユートピアが崩壊すること。
長い時間をかけて出来事が過去になること。
そこから、やっとあの出来事が過去になり、花があれはなんだったのだろうと振り返れるようになったところ、そこが物語のスタートだ。
傑作だと思います。
Posted by ブクログ
琴美がカラオケで「想い出がいっぱい」を歌う描写がされてから、物語の終わりまでずっと頭の中でその音楽が流れていました。
自分たちの"幸せ"が何かもわからない未成年の少女3人が、"幸せ"を求め生きて行く。
彼女たちはもちろん答えは持っていないし、ヒントをくれる人もいない。自分で自分の道を切り拓くのはこんなにも難しいのかと改めて思った。
自分だったらどうするか、とか自分だったらどう関われるか、みたいな視点を小説を読むときに持っているが、自分の物理的な力はもちろん、育んできた考え方ではどうにもできない大きな渦に少女たちが呑み込まれていく、それがひたすらにどうしようもなく辛かったです。
Posted by ブクログ
ひとつの事柄も見る人、見る立場によって全く違うものになる。それは実像であり虚像である。そう感じた作品でした。読み進めるごとに苦しく、体力を消耗するのに、文字を追うスピードは減速しない。
読んでよかった作品でした。
Posted by ブクログ
お金があったら幸せかって、言われたらうんと答えるのだろう。人生って綺麗事じゃ幸せになれないし。
いつも楽天的な黄美子さん
お金で繋がってきたヴイヴイさん
頼りになる映水さん
大好きだった琴美さん
お金で多くの人が繋がってきた、はな
お金があるから繋がるし、ないから繋がった人もいる。
なんだかんだ、人はお金で繋がるのだなと思う。
だから、お金が幸せを持ってくるは合っているよねと思う
Posted by ブクログ
これぞ純文学という文体で大衆文学を書いたような印象を受けた。ストーリーに大きな展開がなくても、川上未映子さんのような独特な言い回しでリズムよく心地よく読める本が好きになってきた。
本書は持たざる者の苦悩と葛藤を描いており、今の日本の裏社会に通ずるものがある。犯罪に手を染める人々はその実、染めざるを得ないのかもしれない。とは言え、いかなる理由があれど犯罪は紛れもなく許されない。ここにももどかしさのようなものを感じるが、そこを打破できるのは社会であり政治であり国であろう。しかし、持たざる者を救う政策を打ち出す人は持つ者から疎まれる。いやはや、難しい。得てしてマジョリティに迎合した政治家が生まれるんだなと思わざるを得ない。
Posted by ブクログ
花と、蘭と、桃子と、黄美子さんの4人の生活が少しずつ崩れていき、ある時堰を切ったように大崩壊するところが印象的で、特にそのパートはグイグイ読み進めてしまった。
花が、蘭と桃子に、「花は黄美子さんに騙されてる、いいように利用されてる」ことを告げられた時の描写が劇的で、つい読者である自分も、当たり前のように10代の頃から夜に仕事をしている花に見慣れていたせいか、ハッとさせられた。
面白かったです
Posted by ブクログ
途中、かなりの重さに読むのをしばらく中断。しかし再開後は一気読みだった。
黄美子さんは、考えることが苦手な人というのだろうか。生い立ちのせいもあるだろうが‥
登場人物は皆キャラが立っているが、蘭と桃子は結果的には常識人だったようだ。
花の思考回路は自分に近い部分がある、と感じるところがあり、それを桃子にビシッと指摘されて、うぐぐ、と胸に食い込んできた。
---
「苦労するのは、いいことなんですか」
「いいことだとは言ってないよ。しょうがないってこと。でも苦労もできない馬鹿よかましでしょ。あいつらは幸せかもしれないけど、馬鹿だよ。」
自分だけが苦労してきたぶってるとこね。どんなふうでも人にはそれぞれ苦労があるんだよ。
でもあんたはこう言ってほしいんだよね、花ちゃんは、ほんとにすごいなぁって。しっかり者で気が利いて、ピンチをチャンスに変えられる、いつでも一生懸命で結果を残す、すごい人って
Posted by ブクログ
下巻は黄色い家での生活が崩壊していく流れがハラハラドキドキ描かれます。大黒柱となった花は苦悩の連続・・・
現在に戻って描かれるラストは納得! 映水さんがいい味出してます。
Posted by ブクログ
2026/5/28
後半は一気読みだった。
母親の恋人に、アルバイトで貯めたお金を盗まれたことから家を出、母親の友人と暮らし始めることになる主人公の花。
同じような境遇の少女2人も加わって、生きていくために犯罪に巻き込まれていく。
誰が悪いのか、何が悪いのか。
どうすれば良かったのかわからなくて頭がぐちゃぐちゃになった。
悪いことだとわかってはいても、生きていくためにはそれしかできない。
そんな花たちの生き方がとても苦しい。
川上未映子さんの作品は、表現がとても映像的で鮮やかだと思う。
特に、母親の友人で生活を共にすることになる黄美子さんと再会する場面や、家をペンキで塗りたくる場面は映画を観ているようだった。
Posted by ブクログ
こうやって人はみんな闇バイトのようなものに手を出していくんだな…と、そして主人公がどんどん染まっていって、変わっていく思考や言動がリアルに描かれています。
追い込まれていく感覚がすごいです。
もっと他の選択肢はなかったのかと思ったりもしますが、きっと同じような環境の人はいるのだろうなと、色々と考えさせられました。
とにかくヨンスさん生きてて良かった笑
Posted by ブクログ
ネグレクト気味な母子家庭の少女のサバイバルノワール小説
スナックで働く母の友人だという黄美子に伊藤花が出会い、惹かれ、共に暮らした数年間のお話
冒頭で40代の花は、黄美子が起こした少女障害監禁の事件をニュースで知る
当時一緒に暮らしていた欄に連絡を取り、自分も同じ状況にあった事の回想
ある日、いつの間にか家で隣に寝ていた黄美子
母からはネグレクト気味で、学校ではいじめられている花にとって黄美子の醸し出す雰囲気は自らの生活の清涼剤
しかし、黄美子は冷蔵庫を食材でいっぱいにして出ていってしまう
そして、高校生になった花は黄美子と再会する
家を出て黄美子と同居し、スナック「れもん」を始める二人
花の同年代の欄、桃子も含めた疑似家族生活
「れもん」焼失による生活環境の変容
現在の生活を維持するため、花はカード犯罪の出し子のシオギに手を染める
さらに生活に行き詰まった彼女らは、他2人と黄美子も巻き込んで新たなシノギに手を出す
いずれ来る破綻の日
そしてその後
花の一人称で描かれるので、不安感や焦燥感、イライラがよくわかる
ネグレクト気味な母親に関してはある程度の諦めもある
でも、自分で汗水垂らして稼いで貯めたお金をトロスケに盗られたところもそうだし
こんな母親は見限ってもしかたがないとも思える
黄美子は、最初は素敵な女性なんだろうと思うのだけど
途中からはちょっと怪しくなってくる
左右盲のところとか、ヴィヴさんから黄美子には何もさせるなと言われるあたりで、何らかの障害か知能に難ありなのが伺える
そんなにヴィヴさんが警戒するということは、前に何かやらかした事があるのでしょうね
あと、執拗に拭き掃除をするところとかも気になる
何か過去にあったのだろうなぁと思う
でも、難しい事はわからないけど、目の前の人がお腹空いてないかとか悲しんでいないかとか心配することはできる
人として大切な事はそんなところなのかもしれない
最初の別れにしても、普段はは空っぽの冷蔵庫に食べ物が隙間なくぎゅうぎゅうに詰めて出ていくあたりは、もう花への愛そのもの
あと、花の学校のヤンキーっぽい花の同級生とも仲良くなれるたりと
不思議な魅力はある人なのでしょうね
花を中心に、黄美子、蘭、桃子の共同生活
シスターフッドの物語でもある
花が本当に執着していたのは黄美子との暮らしで、実際はお金ではなく、人に依存していたように思える
その生活を維持するために必要なのがお金
でも、自分は何も稼ぐ力を持っていない
だからこそのシノギに手を染めてしまい、どっぷりと浸かってしまう
「貧困」と「普通に生きる」という事の難しさが描かれている
花はある意味で真面目だしちゃんとしてる
倫理観が壊れているわけでもない
未成年の飲酒は現代と価値観の違いもあるから許容するとして
ヴィブさんのシノギに最初に手を染めた時の緊張感は読んでいて伝わってくる
それがどんどん麻痺しつつも、ヤバい橋を渡っている自覚はある
ちゃんとしてるからこそ、いけない事をしている自覚はある
でも、お金を稼ぐには他にないという判断なんだよな
花はどの時点でどうやっていればまだ救いがあったのだろう?
現代の貧困の問題は解決が難しい
ただ、ラストの展開は悪くない
花にも黄美子にも救いであればよいのだけど……
あと、差別についても描かれている
映水(ヨンス)と兄の雨俊(ウジュン)、幼馴染である志訓(ジフン)
生まれは日本なのに国籍の違いによる差別
裏社会でなければ稼げない境遇という共通点を演出してるのかな?
全体的に感じた事としては
川上未映子さんは、ホステスとして働いていた経験があるわけで、そんな自らの過去を一部投射しているのかと偏見を持って読んでしまう
彼女の人生にもこんなものがあったのでしょうかね?
-------------
2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。
-------------
Posted by ブクログ
闇バイでためたお金で幸せになれますか?
お金がすべてでしょうか?
人は生まてから不平等だな。子供は親を選べない
主人が平穏な日常を過ごせるのだろうか?
いま自分が置かれた立場から色々考えさせられた本でした
Posted by ブクログ
ニュースの記事で、黄美子が監禁・傷害事件で裁判にかけられたことを知った花。それを契機に、彼女らに蘭と桃子を加えた四人で擬似家族のように生活していた記憶が蘇る。冒頭のような状況に至るまでに何があったのか、花の回顧録。
お金は、買えるものしか買えない。
ほとんどの物はお金で変えるが、買えないものが欲しい時、人はどうするのだろう。買えないものがほしくならないようにするための仕込みが、幼少期になされるのだろうと思った。子どもと呼ばれる時代に、親の庇護下にあたりまえのようにいられるうちに、挑戦も失敗も、不遜な態度も無茶な甘えも、一生分吐き出して大人になれなかった花は、なるべくしてこの結末を迎えたのだと感じた。
花の欲しかった家族もお金では買えないものの筆頭である。友達は金で買えないこともないが、蘭も桃子もそれ以上の存在にはなってくれなかった。あくまで疑似家族。家族のような存在止まりであった。見る背中がなかったんだろうな。破滅に向かう花が未熟でいらつく展開も多かったが、花は確かに未熟だった。成熟する機会を持てなかったのだ。
花の大事がみんなの大事じゃなかった。
映水に花がやっと打ち明けた琴美の死の真相も、花が大事にしていた疑似家族の関係も、当人たちにしてみれば一番大事な事じゃなかった。こういうことは、日常生活ありふれているが、非常に孤独感が募るものだ。自分の価値観と他人の価値観が違うことは普通のことであると学ぶ機会が、示唆してくれる存在が周りになかったのだ。後半の花の暴走の根っこは、やはり幼少期にありそうだ。閉じた世界で、限られた人間関係の中で生きるのは安心感がある一方で、多様な価値観に触れる機会を奪う。他人の価値観と共存できない奴は、社会の中ではモンスターだ。
なんか黄色って幸せなイメージだったんだけどな。
ぽかぽかして、なんとなく極楽浄土な感じで、金運とかのイメージもある。お金関係のイメージも、元々お金に困っていない人がのんびりと金運アップを狙ってるような、なんかこう平和なイメージの色だった。
この作品の中では全然違った。花が、お金の事をカネと言うようになってから作品が不幸せな方に転がりだした。お金が、汚くて、血が血を呼ぶ生臭い代物になりさがった。トロスケが花に再会して驚いていたが、確かに花の純粋な部分は枯れ、品性が削げ落ちていた。そういうのは人相に如実に表れる。花が破滅へ向かっていることは分かるが、花がこんなになってしまった理由を言葉にしようとすると難しい。
Posted by ブクログ
若くして闇バイトのような犯罪に手を染めざるを得ない状況となってしまった主人公とその仲間たちが共に必死に生き抜いた日々を追体験するような感覚で読み進めることができる作品。
登場人物たちの感情の表現が素晴らしく、その時感じたであろう、悲しい、悔しい、辛いといった感情がありありと表現されていて、自分の中にそのまま雪崩れ込んでくるような、そんな力強い表現力を感じた。
貧困や格差など重いテーマを扱っているため読むのにはエネルギーが必要だが、間違いなく傑作だった。
Posted by ブクログ
殴り書き。ネタバレあり。
苦しい。黄色い家を読み終えて感じたことは、この一言だけでした。世の中の不条理。負の連鎖。お金、貧乏、家庭環境、グレーゾーン。とにかく誰にもどうにもできない。
主人公の花は、障がいギリギリの母親との生活を中学生まで過ごす。その最中に出会った黄美子さんに惹かれて一緒に暮らすことになるが、結局、母親の二の舞というか、ヤングアラーの話しでもあると感じた。金銭面の管理や家事を、母親と暮らしていた期間に主人公がこなしていたし、黄美子さんとの暮らしでも同じことをしていた。
蘭や桃子、映水や琴美の話もそれぞれインパクトのある話や関係ではあったが、あくまで主人公と黄美子さんに焦点を当てると、かなりキツイものを感じた。最終的に、花は黄美子さんと今後一緒に過ごすことになるのだろうが、ハッピーエンドと言えるのだろうか。そもそもこの物語に答えなんてない。何も分からない。ただ、読み終わっても苦しい余韻だけがひたすら残り続けた作品だった。
Posted by ブクログ
面白かった。終盤の勢いがすごくて出張の行きの飛行機で一気に読み切ってしまい出張中の読書計画が崩れました。序盤に想像していた展開や終わり方とは違っていたので再読してみるのも面白そう。
どの小説も多かれ少なかれそういうものだとは思うのだけど、川上さんの小説は登場人物の状況や性格・特性などへの想像力が働く距離にいるのかどうかで印象が大きく変わりそうだなといつも思う。花や黄美子さんの性質や振る舞い、そして生き方などに、共感したり、「そうだよねがんばったね」ってなる人もいれば、「なんでそんなことを…」とか「こんな人いるわけない」と感じる人もいるんだろう。その距離をつくるものは性格・性質でもあるし、あるいは貧しさとその周囲にあるものでもある。こうしたものにたまたま私は想像力の働く距離にいたと思う。と、そんなことを書きながら、こういう風に書けるのも結局自分が想像できる範囲のことだけであって、私が感じ取れなかった機微や苦しさやどうしようもなさみたいなものもたぶんいっぱいあるんだろうとも思う。例えば私は男性なので、描かれていた女性たちから受け取りきれていないものもあるんだろうな、と。失踪するように読ませる引力の強さを持ちながら色々なことを考えさせてくれる良い小説でした。
Posted by ブクログ
上巻の感想で「続きが楽しみです」と書いちゃったんだけど、「楽しみ」ってのはちょっと違ったのかもしれない。
下巻はいよいよ皆が犯罪に関わっていくフェーズ。花ちゃんに感情移入して、ずっと息苦しかった。蘭や桃子ほどのいい加減さを持ち合わせていれば良かったのかもしれないけれど、真剣に生きようとすればするほど犯罪にからめとられ、巻き込まれていく。花の生き方を上から目線で否定することも可能だけれど、本人目線で見れば「他の選択肢はなかった」ように思える。そんな花ちゃんの生き様を追体験する650ページ。濃厚でした。
Posted by ブクログ
読みにくくはないのだけど、下巻と途中までは入り込めず時間がかかった。
貯めたお金を銀行に預けず、部屋に保管していたのでこれは盗まれてトラブルになるのだと予想していたが、そんな浅い話ではなかった。
お金があることが必ずしも幸せだとは思わないけど、お金があることによって解決する問題は多い。
私もお金がない生活が不安で、お金を貯めないとという強迫観念みたいなのがある。お金を稼ぐことが何かの手段ではなく目的になってしまう。
Posted by ブクログ
カバーを見て気になって読んでみた。
ポップな内容を想像していたけど実際はとても貧乏くさい話だった。
花が蘭と桃子にキレるシーンがアニメ『日常』のみおがゆっこにキレるシーンと重なって笑ってしまった(笑)
花の視点で読んでいるから周りの大人たちがそれほど悪い人には思えないが、客観的な情報だけで評価すると子供を犯罪に利用しているわけだからどいつも褒められた人物ではない。しかし彼らは本当に悪人だったのか?
Posted by ブクログ
下巻も1日で一気読み。
なんというか、悲しいお話だったと思う。発達障害の境界線ギリギリかアウトな母親との貧乏生活を抜け出すために、母親の知り合いの女の人についていって東京でどんどんダークな犯罪の方向へ転落していく主人公、花。みんな、たぶん悪い人はいなくて、ただひたすら生きようとしていただけ。主人公が幼かった頃は気づけなかったけど、親との生活を捨ててついて行った女の人も、発達障害か自閉症かなにかしら大人としては大事なものが欠けている黄美子さん。
幼少時代から母親からの愛に飢えていた主人公は、結局貯めたお金を母親の借金に充ててしまったり、せっかく過去を清算してなしにしたはずなのに、黄美子さんに会いに行ってしまうラスト。
愛を与えられなかった幼少期から拗らせた家族愛への執着、視野の狭さ、貧乏、不幸…
救われなさが悲しいお話だった。
本当にこういうことが世の中でいくつも起きているんだろうな、と思わせられるとてもリアルな人物像と都会の見逃されて続けているだろう軽犯罪の闇だった。
自分のために、自分の人生を納得できるように生きなきゃいけないと改めて思った。毒親はバッサリ捨てるべし。
Posted by ブクログ
3人の未成年を中心に、アングラな世界を覗き見るような1冊。夜の世界のぬめりと温かみと独自性を味わえる。知らない世界に潜り込んでしまった。
登場人物は大人も子供も関係なく、真っ当に生きようと、生き延びようとしているのに、選択肢がないせいで溺れていく様子が妙にリアル。はなちゃんはじめ登場人物はみんなどこか欠けている。選んでいる言動はなにもハートフルじゃないのに、どこか温かみを感じさせる空気の作り方が面白い。どんな世界にも人との関係はあって、それの全てにお金は絡んでいて、お金が絡むと人は変わってしまう。
終わりについては、そんな生き方をしてきた人がそうなるのか わたしはとても疑問である ここはリアルと違う気がする
Posted by ブクログ
花は、悪に憧れて染まったわけではなく、純粋でまっすぐなあまり、何にでも染まりやすく、見ていてとても辛い。ここにいていいと言ってくれる人に合わせ続けた結果、倫理観まで悪に染まっていく様子が見ていられなかった。このリアルな侵食されていく描写、川上未映子すごいな、どうやったら描けるんだろうと不思議にも思った。
たらればばかりが浮かんだ。もし途中で、正しい選択肢を教えてくれる優しい大人がいたら。居場所を見つけてくれる人がいたら。救いの手をどうにか差し伸べられなかったものか。
途中の花の黄色への執着も怖かった。
最初は黄美子さんの真似っこで、幸せへの憧れに見えたが、だんだん信仰や呪いへと変貌する。
黄色コーナーの埃に怒る場面では、この世界を維持するために鬼気迫る必死さが恐ろしかった。
思い返せば、れもんが心のオアシスだった。普通に働いて、人と会話して、穏やかな日常が流れている場所。あそこだけが、犯罪共同体じゃない居場所だった気がする。