あらすじ
17歳の夏、「黄色い家」に集った女たちの共同生活は、
ある死をきっかけに瓦解し……。
世界各国で翻訳刊行中!
孤独な少女の闘いを渾身の力で描ききった最高傑作。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
機械が発展し古典的な犯罪が取り残され、段々追い詰められていく様子に、西部劇映画の明日に向かって撃て!を、栄枯盛衰の日々を過ごしたのち何も残らず、時間だけが過ぎていく、でも少しだけ希望のようなものも見えたラストに北野武のキッズリターンを思い浮かべた。
琴美さんとのカラオケのところはとても綺麗だった。黄色い家が崩壊していく中、蘭と桃子はやっぱり持っている側というか居場所がありなんとかなる側で、花と黄美子さんはなんとかならない側で、花のお母さんもなんとかならない側で、そこの断絶が残酷だと思った。花のお母さんが72000円を残していたのも心に残った。
人生、レールの上を走れている時は大丈夫だけど、一旦レールを外れると復帰するのは本当に大変で、世の中どうにもならない中、必死で生きている人がいっぱいいるんだろうなと思いを馳せた。
Posted by ブクログ
登場人物たちが、その時代を生きた一人の人間として、これでもかと深く深く描かれている。奇妙で掴みどころがなくて心惹かれて、それでいて何か危うさもある黄美子さん。
少女たちは自分の意思をもった一人の人間であると同時に、未熟な存在でもある。一人の大人として自分もそう思う。だが、花が去った後の黄美子さんのことを思うと、あまりにも切ない気持ちになった。
Posted by ブクログ
川上さんの作品の中で一番好き
親ガチャに外れたのに理由なんてない
生きてくためには犯罪も仕方ないことなのかもしれない
その中の小さな幸せが愛おしい
Posted by ブクログ
何もかも無くした花
お金を取り戻すため
ヴィヴィアンから裏の仕事に手を染める
そこから花は金への亡者に
身分証も無く
縋る場所で足掻く、お金もない、今の環境から抜け出せない、幸せを見出せない負のスパイラル。
読んでいて、泥沼を目の前に読み手にも判っているけど、抜け出せない。花、花、花は何処を目指すの?
やっぱり続きが読みたく、どハマり
読書好き人は必読
Posted by ブクログ
読みながら、お金の切れ目は縁の切れ目ってまさにその通りだなと。
主人公花が本当に手にしたかったものはお金ではない情緒的な温かい愛のある関わり方だったんじゃないかなと思いました。ただ、お金がないと将来への不安が高まり、ネガティブな想像が切り離せなくなってしまう。20歳前後の女の子がこんなにも追い詰められ、精神的におかしくなる様子をありありと想像できるように表現する作者に尊敬の念を感じます。
色々と今のご時世と照らし合わせて、考えさせられる本でした。
Posted by ブクログ
つらい、苦しい、やり切れない…本当に不幸の波状攻撃というか、もうこんなのやめてやめて…と言いたくなるような小説でした。
いや、小説なんですが、同じように苦しんでいる人たちはいるし、自分も主人公の花と似たような気持ちになったことはあって、そういう辛い気持ちを急に思い出してハッとするような瞬間が何度もありました。
両親がいる温かい家庭があり、学校に行って、就職して、結婚して…という当たり前のように語られる普通は普通じゃないというか、そういう普通に手が届かない人たちがいる。
登場人物のヴィヴさんが花に「金は権力で貧乏は暴力だよ」と話す場面があるのですが、本当にそうだよなぁ、と。貧乏ってずっと暴力を受け続けるようなものだよな…と。こういう境遇の花が犯罪に手を染めるのを誰が非難できるだろう。
そして、相変わらず川上未映子さんの文章がとても良くて。川上さんの文章を摂取しているときの多幸感ってなんなんだろう…。文章を読みながら、美味しいって思ってしまうような。ひたすらムシャムシャ貪っていたい文章でした。
Posted by ブクログ
読み進めるほど辛い作品でした。
「お金が人を変える」とはまさにこのことだと思いました。
お金はあくまで何かをするための「道具」であって、「目的」ではない。
お金が減っていくと、少し嫌な気持ちになるのも分かります。
幸福のためのお金だと考えさせられました。