【感想・ネタバレ】黄色い家(下)のレビュー

あらすじ

17歳の夏、「黄色い家」に集った女たちの共同生活は、
ある死をきっかけに瓦解し……。
世界各国で翻訳刊行中!
孤独な少女の闘いを渾身の力で描ききった最高傑作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻読んだ後1週間くらい下巻を楽しみに待って、手に入れてから1日でのめり込んで一気読みした。
さあ、いつ黄美子は豹変するのか?と今か今かと待ち構えるも、あれっ、おかしいな、下巻の黄美子は上巻の黄美子のまま。残りページ数が少なくなって、これからどうやって風呂敷を畳むんじゃーと思っていると、なんと黄美子、豹変しないまま終わってしまった。と言うより上巻の花の視点で見ていた得体の知れない存在感すらなくなっており物語の中心人物なのかと疑わしい程に影が薄い。出てきても横になってテレビ見てるか無駄に掃除してるからだし。花との会話シーンも少ない。

冒頭の記事は何だったのか?もう一度読み返してみるとまるで桃子が脱走を試みた時に言った事に似てる。つまりそう言うことか。桃子や蘭だって未成年だったとは言えある意味自分の意思でそこにいたのに行き詰まって先が見えなくなると都合の良いように勝手に解釈して何も無かったことにした。黄美子はそういう風にさせられたむしろある意味では被害者だったのかもしれない。善悪の判断や先の見通しをつけるのが難しかったり、豹変していく花の手下みたいに動く姿はヒトラーの下のアイヒマンのよう。成長過程での発達障害や知的障害などがあるのだろうか、と疑ってしまう。

黄美子は逮捕されて記事にされるが、実際の所の真実は密室であるが故に闇の中。ある意味言ったもん勝ちなところもあるよな。先日の某プロ野球監督の家庭内暴力の件だって擁護する声もあるけど、娘の事後の反省文の表明で本当は普段は何もないのです、というのが本当かどうかなんか他人には分からない。もしかしたら日常的に家庭内暴力がなされていたのかも知れないし、他人から見るととんでもないことをその家では大したことないと日常的なことだったりもする訳だし。

ビビさんのバカラをやるやつらは既にちょっとずつ死んでる、っていう所が印象的だった。何かが起こる時っていきなり起こるのではなくてそうなる要素が少しずつ積み重なって積み重なってそして最後に溢れてしまう、そんなイメージ。

花の猶予の話。そうか…と納得してしまった。金や時間や人間関係は貯蓄として最初にあればその分猶予がある。立ち止まったり、転んだり、たまには後退したって猶予があれば、またやり直せる。
でも最初から猶予がない場合、立ち止まることも転ぶこともましてや後退する事も許されず、後ろからどんどん崖が自分の方向に迫ってくる感じなのかな。

花のお母さんが、花にお金を返すためにひっそりと千円札を貯めていたのを死後に発見するシーン、花が母からの電話を無視した事を悔いて泣くシーンにもらい泣きした。

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68 金以上の何か。バカラをやるやつって最初からちょっとずつ死んでる、自分を殺してる。そう言うやつがバカラをやりにくる、金の奥に行こうとする。死にながら生きてるのは辛いからさっさと白黒つけたいのかもね。本気でバカラやるやつはちゃんと死ねるから。バカラやってもやらなくても、病気でも事故でもわたしらみんな死ぬからね。呼び方が違うだけでいくか何かに殺されてるのと同じだよ。
頭を使える奴が全部やることになってんだよ。でも苦労できない馬鹿よっかましでしょ。あいつら幸せかもしれないけど馬鹿だよ。あいつらは考えないから幸せなんだよ。
知恵絞って体使って自分で掴んだ金を持つとね、最初から何の苦労もなく金を持ってるやつの醜さがよく分かる。
89 ヤクザは実態があるからどんなにデカくても秩序があってブレーキがある。でも暴対ができて力が弱くなって暴走族上がりとか中国上がりとか守るものが何もないから何でもやる、顔が見えない、分からない。

106 生きててもしょうがないのかなって思っていたけど花ちゃんがいるから大丈夫だって思えるの。
(上巻の冒頭で蘭は久しぶりに再開した花にもう連絡しないで欲しいと言っていたのに)

113 「は」目の前のひらがなを発音するかのような感じで声を出した。何の感情もない無機質な音でしかないような声で、でもその視線にはわたしを向こう側まで射抜くような妙な威圧感があった。

130 これからのこと、お金のこと家賃のこと、話さなければならない事はたくさんあってどれも切羽詰まっていたけどそれを話した瞬間に、今こうして皆が黙っている事でかろうじて保っている全てがそこで本当に終わってしまうようなぎりぎりの感じがあった。

134 今日を生きて明日もその続きを生きる事ができる人はどうやって生活してるのだろう。私が分からなかったのはその人達がどうやってそのまともな世界でまともに生きていく資格のようなものを手に入れたのかと言う事だった。ねえお母さん、生きていくのって難しくない?お金を稼ぎ続ける事ってすごくすごく難しくない?ねえお母さん、私分からないんだよ、どうしていいか分からないんだよ。

200 三茶を歩いているとみんな顔からはみ出しそうな屈託のない笑顔を見せて幸せそうに見えた。その幸せは多分親なのか家族なのか彼氏なのかは知らないけれど自分より強い誰かに守ってもらえているという自信と安心感から滲み出る何かであるように思えた。そんな光景を見た後には胸の辺りにどす黒いものな渦巻くのを感じた。

201 金はいろんな猶予をくれる。考えるための猶予、眠るための猶予、病気になる猶予、何かを待つための猶予、世間の多くの人はその猶予を作り出す必要がないのかもしれない。ほとんどの人間にはその猶予がある程度与えられているのかもしれない。誰だってみんな金が必要で汗水垂らして働いている。誰の汗水がいい汗水で、誰の汗水が悪い汗水なのかを決める事ができるあなたは一体どこでその汗水をかいているんですか?多分とても素敵な場所なんでしょうね。


263 2165万9千円。紙の束でもあり両手で掴もうと思えば掴めるくらいの大きさしかなくただのものでもあった。私たちはこの数年目の前のこれを集めるのに必死だった。誰かが望むものに速やかに形を変えるもの。自分や大事な人を守り満たし時間と可能性そのものになるもの。未来、安心、強さ、怖さ、ちから。頭にやってくる言葉の全てが真実だと言う気もしたし全てが的外れだとも思えてきた。

291 全部黄美子さんがやった。いい?私たちの事実はこれだからね。この家のことなんか誰も知らないし私らは何にもしていない。全部やらされてただけ。利用されてただけ。歯向かったらなにされるかわからなかった。それが事実だからね。
全てはあそこにいた頭のおかしい大人達が自分達のためにしでかしたことであり、私たちは判断のつかない子供で酒を飲まされ働かされ生活を支配されてどうしようもなかった。
自分を自分に繋ぎ止めるためには2人の言う通りそう思うしかなかった。
私は黄美子さんが怖かった?

303 白い封筒に鉛筆の薄い小さな文字で花ちゃんにわたす用と書かれており中にはほとんどが皺のよった千円札で全部で7万3千円が入れてあった。私はきつく目を閉じた。最後に会ったのはいつだったか。最後に話したのはいつだったか。何度か着信があったのにわざと出ないこともあった。私に何か話したい事があったかもしれないのに。声を聞きたいと思ったかもしれないのに。笑顔ばかりが思い出されて私は膝を抱えて泣いた。

307 あの家を出た私たち3人が私たちのための事実を創り上げたように十数行の文字で書かれた事件の記事の後ろあるもの、あったかもしれないものと、20年前の私たちが過ごした日々の区別がつかなくなっていた。

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2026年06月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

黄美子さん、やっぱり何かできる人ではなく、悪いこともいいこともできる人ではなく、冤罪に近い形で捕まったのかなと思いました。それをなんともなくやり過ごしてるんだろうなと。苦しいのは花。1人でやり抜いたと言っても過言ではない。誰も花たちが出ていったことを責めない。こういう世界って、そうなのかな。苦しいし最後は涙がでたけれど、読んでよかったと思いました。なかなかこんな本出会えないんじゃないかな。

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2026年05月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

シノギ、シマ、アガリ、ポン中、、、
知らない言葉ばっかりの、闇の世界が描かれている小説だった。
別にハートフルな話ではないと思ってたけど表紙が可愛かったので予想外。

ここ最近読んだ本の中では読みやすくてスラスラ〜と読めた。
親がイカレポンチで歪んでしまった子どもたちと黄美子さんの共同生活。
黄美子さんってものすごく何かが欠けていて不思議、、なんと言ったらいいんだろ、、
優しそうに思える時もあれば人の気持ち全く理解してなさそうな時もある、
何考えて生きてるんだろ?まあ基本ボケーっとしてるのかな?と思ったらラッセンの絵を振りかざしてふすまボコボコにしちゃう
そして常に拭き掃除してる
近くにいたら私は「こわい大人」と認定して近づかないんだけどね、花にはその感覚がなかったみたい。むしろ黄美子さん=救世主

金ために水商売や詐欺をする花。
ただ、金金金!とはなってるけど別に贅沢な暮らしがしたいわけじゃなくて、中卒で身分証もない・銀行口座もない、の状態だからこれでやっていくしかないんだよね。
ほんとはどれもこれも、親のせいだと思うのよ。
色々あったからお金貸してと娘に無心してくる親。しかも200万。
で結局亡くなった後にどれくらい貯めてるのかと蓋を開けたら7万、、、、7万って。返す気なさすぎだろ。
とか思うけど本人(花の母)は本気で頑張って7万貯めたんだろうね。
日本のどこかにリアルに存在しそうな人たちではあったのでちょっと心痛くなった。

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2026年07月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こうやって人はみんな闇バイトのようなものに手を出していくんだな…と、そして主人公がどんどん染まっていって、変わっていく思考や言動がリアルに描かれています。
追い込まれていく感覚がすごいです。
もっと他の選択肢はなかったのかと思ったりもしますが、きっと同じような環境の人はいるのだろうなと、色々と考えさせられました。
とにかくヨンスさん生きてて良かった笑

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2026年05月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ニュースの記事で、黄美子が監禁・傷害事件で裁判にかけられたことを知った花。それを契機に、彼女らに蘭と桃子を加えた四人で擬似家族のように生活していた記憶が蘇る。冒頭のような状況に至るまでに何があったのか、花の回顧録。

お金は、買えるものしか買えない。
ほとんどの物はお金で変えるが、買えないものが欲しい時、人はどうするのだろう。買えないものがほしくならないようにするための仕込みが、幼少期になされるのだろうと思った。子どもと呼ばれる時代に、親の庇護下にあたりまえのようにいられるうちに、挑戦も失敗も、不遜な態度も無茶な甘えも、一生分吐き出して大人になれなかった花は、なるべくしてこの結末を迎えたのだと感じた。
花の欲しかった家族もお金では買えないものの筆頭である。友達は金で買えないこともないが、蘭も桃子もそれ以上の存在にはなってくれなかった。あくまで疑似家族。家族のような存在止まりであった。見る背中がなかったんだろうな。破滅に向かう花が未熟でいらつく展開も多かったが、花は確かに未熟だった。成熟する機会を持てなかったのだ。

花の大事がみんなの大事じゃなかった。
映水に花がやっと打ち明けた琴美の死の真相も、花が大事にしていた疑似家族の関係も、当人たちにしてみれば一番大事な事じゃなかった。こういうことは、日常生活ありふれているが、非常に孤独感が募るものだ。自分の価値観と他人の価値観が違うことは普通のことであると学ぶ機会が、示唆してくれる存在が周りになかったのだ。後半の花の暴走の根っこは、やはり幼少期にありそうだ。閉じた世界で、限られた人間関係の中で生きるのは安心感がある一方で、多様な価値観に触れる機会を奪う。他人の価値観と共存できない奴は、社会の中ではモンスターだ。

なんか黄色って幸せなイメージだったんだけどな。
ぽかぽかして、なんとなく極楽浄土な感じで、金運とかのイメージもある。お金関係のイメージも、元々お金に困っていない人がのんびりと金運アップを狙ってるような、なんかこう平和なイメージの色だった。
この作品の中では全然違った。花が、お金の事をカネと言うようになってから作品が不幸せな方に転がりだした。お金が、汚くて、血が血を呼ぶ生臭い代物になりさがった。トロスケが花に再会して驚いていたが、確かに花の純粋な部分は枯れ、品性が削げ落ちていた。そういうのは人相に如実に表れる。花が破滅へ向かっていることは分かるが、花がこんなになってしまった理由を言葉にしようとすると難しい。

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2026年05月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読みにくくはないのだけど、下巻と途中までは入り込めず時間がかかった。

貯めたお金を銀行に預けず、部屋に保管していたのでこれは盗まれてトラブルになるのだと予想していたが、そんな浅い話ではなかった。

お金があることが必ずしも幸せだとは思わないけど、お金があることによって解決する問題は多い。

私もお金がない生活が不安で、お金を貯めないとという強迫観念みたいなのがある。お金を稼ぐことが何かの手段ではなく目的になってしまう。

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2026年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

下巻も1日で一気読み。
なんというか、悲しいお話だったと思う。発達障害の境界線ギリギリかアウトな母親との貧乏生活を抜け出すために、母親の知り合いの女の人についていって東京でどんどんダークな犯罪の方向へ転落していく主人公、花。みんな、たぶん悪い人はいなくて、ただひたすら生きようとしていただけ。主人公が幼かった頃は気づけなかったけど、親との生活を捨ててついて行った女の人も、発達障害か自閉症かなにかしら大人としては大事なものが欠けている黄美子さん。
幼少時代から母親からの愛に飢えていた主人公は、結局貯めたお金を母親の借金に充ててしまったり、せっかく過去を清算してなしにしたはずなのに、黄美子さんに会いに行ってしまうラスト。
愛を与えられなかった幼少期から拗らせた家族愛への執着、視野の狭さ、貧乏、不幸…
救われなさが悲しいお話だった。
本当にこういうことが世の中でいくつも起きているんだろうな、と思わせられるとてもリアルな人物像と都会の見逃されて続けているだろう軽犯罪の闇だった。

自分のために、自分の人生を納得できるように生きなきゃいけないと改めて思った。毒親はバッサリ捨てるべし。

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2026年04月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ニュース記事で知人女性による監禁・傷害事件を知った花。
彼女と二人の少女たちと疑似家族のように暮らしていた20年前軒を句が蘇る。
人はなぜ金に狂い、罪を犯すのか。

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2026年04月30日

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