あらすじ
「医療では、人は救えないんだよ」
現役医師が描く、人の命と幸福について。
2024年本屋大賞第四位&京都本大賞受賞、映画化決定の感動作『スピノザの診察室』続編、ついに刊行!
※シリーズではありますが、本作単体としてお楽しみいただけます。
「君はここまで来るために、何人の患者を死なせてきた?」
思想する医師・雄町哲郎は今日も京都の街をゆく。
大人気、哲学エンタメシリーズ待望の第二弾!
【あらすじ】
大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。
ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。
患者は82歳の老人。
それは、かつて哲郎が激怒させた大学病院の絶対権力者・飛良泉寅彦教授の父親だったーー。
「エピクロスが主張している快楽の本質は、何よりも『精神の安定』のことなんだ。だから自分は快楽主義者だと言う奴に出会ったら十分に注意することだ。心の平静を求めているのか、ひたすら快楽を求めているのか、こいつは全く別物だよ」(本文より)
エピクロス……古代ギリシャの哲学者。快楽主義を提唱した。
【著者からのメッセージ】
「幸福」とは何か。
本書の主題は、前作『スピノザの診察室』と同じく、この問いの中にあります。
幸福に生きるとはどういうことか。幸福は環境が与えるものなのか、それとも自分の力で生み出すものなのか。幸福と快楽とは何が異なるのか。
これらの問いが私の中で年々重みを増しているのは、臨床現場で様々な命の在り方に出会うからかもしれません。無論、容易に答えが出るものではありませんが、思索の旅を少しずつ前へと進めています。
古代ギリシャの哲学者エピクロスは、快楽主義の祖と言われる人物ですが、この問いに、実に簡潔な答えを示しました。
それは、心に悩みがないことと、肉体に苦痛がないこと。
彼が提示したこの素朴な条件に、私はもう一つだけ付け加えます。
すなわち「孤独ではないこと」。
多様性の名のもとに、人と人とのつながりが断ち切られ、互いに歩み寄ることが難しくなりつつある現代だからこそ、この物語が多くの人の足下を照らす、温かな灯火となることを願っています。
――夏川草介
【著者プロフィール】
一九七八年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。⻑野県にて地域医療に従事。二〇〇九年『神様のカルテ』で第十回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書は二〇一〇年本屋大賞第二位となり、映画化された。他の著書に、世界四十カ国以上で翻訳された『本を守ろうとする猫の話』、『始まりの木』、コロナ禍の最前線に立つ現役医師である著者が自らの経験をもとに綴り大きな話題となったドキュメント小説『臨床の砦』、二〇二四年本屋大賞第四位、京都本大賞を受賞した『スピノザの診察室』など。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
何度も涙が込み上げて空を見上げた。
意思の疎通ができなくなった患者に語りかけること、それが患者の家族の孤独を癒すこと。
医療は人を癒せない、人を癒すのは人なんだと。
自分はどんな風に老いて死んでいくのだろう。それまでどんなふうに生きて誰かと関わっていけるのだろう。
Posted by ブクログ
この人間愛に満ちた物語を書いているのが医師であるということに大きな感動を覚える。人の命に関わる医療の世界にはきっと想像以上に様々な悩みや苦労があることだろう。それでもこの物語を書いてくれることに。この物語の中の医師は医療を行う専門家としての存在である前に人のことを想える人である。夏川さんの作品はいつも根底に人間の優しさがある。読んでいてこちらも優しい気持ちになれる、人のことを想える気になる。この物語は読者へ処方されたお薬なのかもしれない。
Posted by ブクログ
不治の病で無力になることはあるが絶望は感じてはいけないし医師として伝えてはいけない。生かすこと、死ぬこと以外の第三の治療、医師としてのあり方を考えさせられる話だった。特に無力感を感じても絶望感は感じさせてはいけないが印象深い。
Posted by ブクログ
京都で奮闘する医師の物語、といってしまうと一言で終わってしまうのですが、暑くなってきた今の時期に読むのがぴったりの、夏の風を感じる爽やかな小説です。
緑樹庵清水の金平糖をちょうど京都で購入した後に読み始めたもので、金平糖をピルケースに入れて持ち歩くようになりました(影響されています)。
「人を救うのは、医療ではない。人なんだ。」
は、本の帯に書かれそうなグサっとくる一言。この主人公、私よりも年下なのに説教くさくて哲学くさくて、大好きになってしまいました。
シリーズものらしいので、一作目も読んでみたいと思います。
以下はお気に入りの文の引用です。
「本当に複雑な物事を理解するには、時間が必要なんだ。読んだ瞬間からに理解したと感じたなら、それはもともとわかっていることを確認したしただけの作業さ。大切な事柄は、あとからお前の人生に追いついてくる。」
「最後までにお前を支えてくれるのは、書物の言葉じゃない。お前が直接経験したことや、実際にはに出会った人の言葉なんだから」
「人が、自負の権利ばかり口にするのは、自分ひとりで生きていけると思っているからです。でも人生はそんなに甘いものじゃない。生きていくことの哀しみを知っている人間は、理由などなくても、誰かの力になりたいと思うものですよ」
「結果論で悔やんどったら、医者なんぞやってられんぞ」
「人にはね、いろんな役割があるの。(略)大事なことは、それぞれの役割に敬意を払うってこと(略)仕事も家事も子育ても、全部半分こにしたら平等になるわけじゃないんだよ」
「亡くなる瞬間に手を握って別れの声をかけてやるというのは、テレビドラマでよく見かけるシーンですが、本当に大切なことはそういうことではないと思います。亡くなるまでの時間を、つまり生きている間の時間を、どうやって寄り添いながら積み上げていくか、それが一番大事なんだと私は思っているんです」
「楽しいことよりも、苦痛がないことの方がはるかに大切で、心が落ち着いていることこそが最高の快楽だ」
「なによりも生きることへの活力を失っていない。聞きたい音楽があり、食べたい食べ物がある。治療に踏み切る理由としては、十分すぎるほどだ。」
「大切なことは、立ち止まって答えを探すことではなく、自分なりの歩みを続けていくということであろう。」
「人を救うのは、医療ではない。人なんだ。」
「『借りたものを返す』という意味なら、雄町はきっと今も返し続けていますよ。あの小さな病院で」
「無力であることは不幸を意味しない。(略)どうにもならない世界で、それでも人間にできることは何かと考え続けたんだ。こいつはなかなか魅力的な思想じゃないか」
Posted by ブクログ
人を救うのは、医療ではない。
──人なんだ。
2026年本屋大賞第4位の本作。前作『スピノザの診療室』に引き続き、主人公である『マチ先生=雄町哲郎』を通して描かれる、町先生の矜持とも言える自身の哲学、『人として』を強く描いた道徳感、物語を通して徐々に輪郭が見えてくる死生観、そして医療というフィルターを通して見えてくる人間ドラマ。
いやー、スピノザからのエピクロスの流れ、物語を通して訴えかけてくるメッセージ性の解像度がますます上がってくるのを実感する。
幸福に生きるとはどういうことか。幸福は環境が与えるものなのか、それとも自分の力で生み出すものなのか。幸福と快楽とは何が異なるのか。クエスチョンの質が益々哲学的になっていく。
メチャクチャ考えさせられるよ、この作品。だけど、この思考の渦はすごく心地良い。
またひとつ、素晴らしい作品に出会えたというこの幸せを噛み締めたいと思います。
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医療では、人を救えないんだよ──。
大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。
ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。
患者は82歳の老人。
それは、かつて哲郎が激怒させた大学病院の絶対権力者・飛良泉寅彦教授の父親だった──。
※シリーズですが、本作単体としてお楽しみいただけます。
Posted by ブクログ
人の役割、命の大切さ、幸福とは、哲学的な内容を織り込みながら、それぞれの登場人物の強さを描いているあたり、山場はそんなにないものの柔らかなストーリーの中で感じるものは多い。
まだ続くのかもしれないがこの2作は良い作品であった。
Posted by ブクログ
命とどう向き合うべきなのか考えさせられます。
正解がないからこそ、優秀なお医者さんが哲学を取り入れながら悩み続けている。深いわ…。
今作も素晴らしい作品でした!
Posted by ブクログ
心に染みる言葉がいくつもでできて、患者の病だけでなく人生としっかり向き合うマチ先生のファンになっていた。医師にも色んなタイプがいて、それぞれ信念を持って、自分の役割を全うしようとしていることを感じた。
Posted by ブクログ
京都を舞台にした医師の話です。甘い物と哲学をこよなく愛する内視鏡のプロフェッショナルが、新人教育や院内政治に翻弄されながらも、患者中心の医療とは何かを考え続けます。著者は医師とのことで、医療現場の様子が生々しく伝わってきます。
Posted by ブクログ
今年は本屋大賞の候補作品10冊読むことにしたけれど、それぞれの個性の方向性は違えど、どれも良い。
心の平穏を見つけることは難しい、最期を迎える時にこそそれを見つけられるのかもしれない。
Posted by ブクログ
『スピノザの診察室』の続編。今作も良かった。
本当に良い作品は読後、「良かった」以外の言葉が出てこないことがある。色々な思いが頭の中で回って、言語化できない。「素晴らしい」などの言葉が陳腐に感じてしまう。本作もそんな感じだった。
エピクロスは「快楽」ではなく「精神の安定」に重きをおいた。哲郎は、患者さんが精神を安定を保ち、最期まで幸せに生きられるよう日々考え、診察している。それがタイトルの『エピクロスの処方箋』ということなのだろう。
しかしながら、根底にあるのは、やはりスピノザの思想のように感じた。
「降り続く雨を止めることはできないが、傘をさすことはできる。暗くて危険な夜道に、灯をともすこともできる。私が目指しているのは、所詮その程度のことかもしれない。」(本文222ページより引用)
哲郎が南に語ったこのセリフはまさにスピノザ的だと思った。
哲郎が龍之介にエピクロスの思想について、快楽ではなく精神の安定だよと語ったあと、
「でも、幸福と快楽って難しいですよね」
「ん?」
「だって長五郎餅を食べているときの先生って、最高に幸せそうに見えるから」(本文179ページより引用)
と龍之介が切り返したシーンは笑ってしまった。
哲郎は甘いものという「快楽」が大好きだからである。
「快楽」もほどほどなら必要なのでしょうね。
龍之介にプレゼントのフルートを渡すシーン。眼頭が熱くなってしまった。母親を亡くしたのは不幸なことではあるが、周囲に優しい大人に囲まれて龍之介は幸せだと思う。このように、子どもは幸せになる権利がある。
主題からは脱線するが、医師の多忙さゆえに、若い医師が忙しい担当科を敬遠する話がでてくる。それに対し、ベテラン医師は嘆いている。
働き方改革は一般的には浸透してきたが、医師にとってはより難しい問題だと感じた。
Posted by ブクログ
マチ先生が患者と向き合う中で、命の尊厳や家族の思いが丁寧に描かれている。
正解はなくても皆にとって最善は何か、考え続けることが大事なのかな。
やはり医療って難しいし医療従事者の方々への尊敬の気持ちが強くなる。
あと京都に行きたくなる。
前作よりもマチ先生と南先生の距離感も近づいて今後も楽しみ。
Posted by ブクログ
前作もそうだがぐっと世界に没入してしまうので
今回も3駅乗り過ごし遅刻
施術シーンは読み手の心拍数が一気にあがり
読むことを止められない
緩急がもはや神レベル
最後はとにかく笑い笑いの締めくくり
とにかく次回作が楽しみで仕方ない
1番好きなページ
「大切なことは、最後まで読んでみることだ。途中でやめたりせず、要約やあらすじにも頼らず、自分の目でその難しい文字を最後まで追いかけること」哲郎は我知らず、懐かしげに岩波文庫に目を細める。
学生時代に読んだ本であるから、二十年近く前に買ったものである。上巻よりも薄い下巻には、鉛筆やボールペンでやみくもに書き込みが入っている。
「もちろん読書にも色々な方法論がある。ただ情報を拾い上げるだけなら、斜め読みでいいし、面白くなければ途中でやめたっていい。医学論文なんかは、私もそうやって読むし、最近じゃ読み上げてくれるアプリもある。だけど、世の中にはそうでない本というものもある」雑談めいた軽い口調に、しかし龍之介はまっすぐな目を向けている。だから哲郎は岩波文庫を食卓に置いて、話を続ける。
「たとえば「エチカ』はそのひとつだ。スピノザの世界を理解するには、この手強い本を少しずつでも咀嚼して、とにかく最後まで読んでみるしかない。途中で投げ出さず、忍耐強く取り男んで、最後の一行まで辿っていく。一度でもそういう経験をした本は、今は意味がわからなくとも、ある日突然部前の頭の中に戻ってきて、色々なことを教えてくれる。
1番好きなセリフ
「僕は思うんですよ。確かに世の中には、治せない病気が山のようにある。けれども癒やせない哀しみはない」
前作では3つのお餅を紹介され1度聖地巡礼して
京都に行く度に
阿闍梨餅と長五郎餅を食べているが
次回行く時は大黒屋の御鎌餅(おんかまもち)と
緑樹庵の金平糖を食べる
Posted by ブクログ
人の死を考えさせられる、優しい本。
読みやすく、すっと入ってくる。
京都の和菓子、いつも美味しそうで、食べたことないものばかり。
和菓子の一覧が欲しい
Posted by ブクログ
/_/ 感想 _/_/_/_/_/_/
夏川さんは医師であり小説家。年齢も近いですが、正直、次元の違いを感じます。物事をここまで深く考えられる方なのだと、強く感じました。
医師が優秀である理由の一つに、学びの段階から「死」を強く意識している点があるのではないかと、ふと思いました。人は死を強く意識したとき、はじめて自分の人生を意識するのではないでしょうか。もちろん、すべての医師がそうとは限りませんが。
本作は前作の続編ですが、情景描写が非常に豊かで、哀しみや喜びが鮮明に伝わってきます。特に哲郎の言葉には心に響くものがあり、自分自身の生き方を見つめ直すきっかけになりました。
香山泰子さんは、夫に先立たれ、息子夫婦も離れていき、寝たきりのまま胃瘻で6年間入院し、その生涯を終えます。病院関係者だけがその存在を認識し、他の誰にも顧みられない――それもまた、一つの人生のかたちなのだと感じました。
胃瘻は、生きるか死ぬかの選択ともいえるものです。命とはどうあるべきか、深く考えさせられます。
哲郎の言葉もいいです。
「哲郎の言葉に耳を傾けていると、ふと世界の見え方が変わる瞬間がある。」
世界の見え方が変わるという体験を意識することで、人生はより豊かで面白いものになるのだと感じました。出会いや気づきも大切ですが、何より「耳を傾けること」が重要なのだと思います。
「たとえ結果が自分の利益にならないと分かっていても、動くべきときに動ける大人になってほしい。」
この言葉も強く心に残りました。
「亡くなるまでの時間、つまり生きている時間を、どう寄り添いながら積み重ねていくか。それが一番大切なのだ。」
この一節を読み、母のことを思い出しました。母は突然亡くなり、最期に立ち会えなかったことに寂しさを感じることもあります。しかし、離れて暮らしながらも、ときどき会って楽しい時間を過ごせていた。それでよかったのだと思わせてくれる言葉でした。
最後の「ひどく眩しく見えた」という表現も印象的です。日々の生活の中にあるものに目を向け、耳を傾けていく――そんな生き方をしていきたいと感じました。
とても引き込まれる作品であり、死を強く意識させられると同時に、「今を生きる」ことの大切さを改めて考えさせられる作品でした。
また、スピノザ、サルトル、ドストエフスキー、西田幾多郎、エピクロスといった哲学者たちの思想にも触れてみたいと感じました。特にエピクロスが「平穏で静かな精神状態こそが快楽である」と定義している点には、強い興味を惹かれました。
/_/ あらすじ _/_/_/_/_/
地域病院で働く雄町哲郎が、死を間近にひかえた患者や家族と向き合っていきます。
/_/ 主な登場人物 _/_/_/
雄町哲郎
龍之介 妹美山の息子
花垣辰雄
南茉莉 まつり、優秀
秋鹿淳之介 総合内科
鍋島治 外科、原田病院院長
原田百三 理事長
中将亜矢 外科
土田勇
Posted by ブクログ
前作を読んだだけでは理解しきれなかったマチ先生の哲学により深く触れることができた。マチ先生の哲学はすでに完成しているものと捉えてしまっていたけれど、実際には医療の現場で日々患者と対峙し逡巡しながら、自身の内側と向き合っている。哲学とは考え続けることなのだな、と改めてわかった気がする。
幸福と快楽の違いや、哲学者エピクロスが説く精神の安定を本質とした快楽と世の中に浸透している快楽の違い。本作を読みかじっただけで理解するにはあまりに難解である。ただし思うことは、欲に塗れた卑劣な「快楽」に走って本質を見失わないように、そして、マチ先生の理論に置き換えるならば、「雑多な物事とともに我々の足元に埋もれている」幸に気付けるようになりたいと思った。
登場人物が皆素敵で好意的に描かれているのが夏川さんの著作の魅力だと思う。また折に触れて読み返したい。
Posted by ブクログ
齢を重ねてくると、お医者さんのお世話になることが多く、親身なお医者さんに診てもらうと感謝の気持ちも一層深まる。その時の心地よさを感じさせてくれる一冊だった。
Posted by ブクログ
スピノザの診察室の続編で循環器内科医マチ先生事、雄町哲郎の医療に対する姿勢を綴る内容でマチ先生の医療に対する言霊が刺さる。有能な医師である一方で万能で無い医療を心に留めて患者第一主義で置かれた状況、環境により患者に寄り添う医療の大切さも説く内容。生死を預かる医師は哲学的な考え方も非常に大事で今回は哲学者エピクロス(苦痛を避けて穏やかな快楽を追求)を題材とし語りかける。
哲郎は、亡くなった姉の息子龍之介と暮らしながら京都の原田病院で日直/当直ならび訪問診療を通して患者に寄り添い暮らす。そんな中、洛都大学附属病院を辞めた事で確執が生まれた飛良泉教授の父が膵臓の病で数度の手術で完治出来ず、哲郎の先輩であり友人の花垣准教授から内視鏡ステント挿入の難手術の共同参加を依頼される。哲郎は当初教授との確執から良からぬ噂となっていた手術の参加に否定的だったが指導医として接する南から1人の患者を治すとの助言から大学医局時代のライバルで研究職の西島から新しい膵臓ステントの提供を受け手術を成功させる。最後は花垣の思惑に嵌り南が洛都大学附属病院から原田病院に常勤移動して循環器内科の病院間パイプが強固となる。中々進展しない哲郎と南の間柄は持ち越しで次巻に期待する。
・治せない病気が山のようにある。けれども癒せない哀しみはない
・家族は胃瘻で少しでも長く生きて欲しいと願って1人になった患者に可哀想だと他人が決める事は危険で、出来ることはお疲れ様と声をかける事位かと。。
・最後だからといってずっと張り付くのはまるで亡くなるのを待っているかのようになる。。
・過ぎ去って時間を振り返ってあの頃は幸福だったと思ったり、若ければ幸せな未来を想像する事も難しくはない。でも今という時間に幸福を見つけることは意外な程難しい。
・幸福と快楽とは違う快楽は果てしなく求め走り続け幸福とは違う。エピクロスの快楽は平穏で物静かな精神状態と定義して別物。。
・生に向き合う医療(最先端)、死に向き合う医療(看取り)と違う第三の道。。
目の前にいる人が今を笑顔で過ごせる事。
・人が歴史を切り開いていくのでなく、人は大きな歴史という大河に浮かぶ流木のような存在
Posted by ブクログ
スピノザの診察室もすごく良かったけど、こちらもさらにパワーアップして良かった。
教授のご父君のERCPを、花垣、雄町、西島、南の総出で挑むのがアツい展開だった。
今川さんの最後が素敵すぎる。スピノザからでているキャラクターだから思い入れがあって、長生きしてくれと思いながら読んでいた。普段見取りで泣かない哲郎がぐっときてしまっている所もよかった。
南先生との関係が微笑ましすぎる。少しでも進展があると、本筋が入ってこないくらい嬉しくなってしまう。
スピノザ、エピクロスと連続で読んでしまい、続きがないのが悲しい。まだ続編が書けそうな展開なので、ぜひ出てほしい。
Posted by ブクログ
読み始めてすぐにデジャヴ。もしかして読んだことあった?と思ったら「スピノザの診察室」の続編でした。
甥を引き取ったことから大学病院を辞職し、地域の病院で働くマチ先生。ある日、大学病院の先輩から難しい内視鏡手術の話が持ち込まれるが、その患者は大学病院の教授の父親だった。。。
最近、ストレスフルな生活を送っていたせいか、志の高い先生たちの言動が、いちいち琴線に触れ、だいぶ救われた気持ちになりました。こんなにカタルシス求めてた?と思うくらいです。
エピクロス主義を通じて問うている死生観、幸福とは何かを強く考えさせられます。
著者の哲学と未来への憂いが強く感じられた作品でした。
レビュー1番手?
発刊同時に一気読み
家内用に書籍も購入。
今回も清々しく何度見てもホロりとする場面が多数
やはり先書のスピノザから読まれてからをオススメ
また京の街の銘菓巡りへ出掛ける用事が出来ました
前書拝読後、銘菓巡りのバス停待ちで後ろ走る自転車が
同じお店の名前の話しをしながら通り過ぎていったのは
いい想い出
Posted by ブクログ
順序がわからなくてこっちを先に読んでしまったぁw
マチ先生は、教授になれる技術を持ちつつも地域医療に就くのは甥のためだけではないと思う
自ら妹を亡くした経験からか、終末期の患者さんとその家族に寄り添い、医療を盲信しすぎない姿勢、いいお医者さんだなぁ、自分の終末期にこういう先生に出会えたら…と思わずにいられない
Posted by ブクログ
1作目から間をあけずに読めて良かった。
続編が楽しみ!
医療ものにありがちな「とんでもない悪人(悪い医者)」が出てこないのがとても良い。
実際、こんな感じなんじゃないかな~。と思えた。
それぞれが、違う信念をもっているから衝突はするけど、それは「医者としての矜持」であって、患者の事を考えていない医師が出てこないのがいい。
淡々と進むけど、そんな中にドラマがあり、学べるものがある。
人生ってこうあってほしい。
これを読んで死ぬ事・死ぬまでの時間について考えてしまった。
Posted by ブクログ
続編ということを知らずに読んだけど問題なかった
医療大学時代、そういえば医療哲学という教科があったなあと思い出した
大学病院ものお決まりの政治的なギスギスがなくてよかった
さかのぼってスピノザも読みたい
Posted by ブクログ
とにかく医療の専門用語が多いなあと思っていたら,作者の夏川さんはお医者さんらしいことを知って納得する。これだけ医療用語が出て来る文章は,なかなか書けるものではない。
一般的に「快楽主義」と呼ばれているエピクロスの哲学は,多分に誤解されている感がある。そのエピクロスを本書の題名にしたところが,作者の意図の表れだろう。
本書の内容と,エピクロスの主張との共通点を,指摘したいものだ――まだ,私の中ではまとまっていない。
「エピクロスが主張している快楽の本質は,何よりも『精神の安定』のことなんだ。だから自分は快楽主義者だと言う奴に出会ったら十分に注意することだ。心の平静を求めているのか,ひたすら快楽を求めているのか,こいつは全く別物だよ」(本文より)
ダーヴィン主義にしろ,快楽主義にしろ,間違って伝わっている「哲学」「科学」がけっこうあるような気がする。みんな,作者の原典に帰ることなく,なんとなく知ったままで前に進もうとするから,理解が不十分――どころかあるときには正反対になったり――することになるのだろう。
小説で,いろんなことに挑戦する人がたちがおもしろいね。
本作品もAudibleで聞いた。小説は聞きやすいが,頭にあまり残らない。
もったいない気もする。
著者からのメッセージには次のような言葉がありました。
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幸福に生きるとはどういうことか。幸福は環境が与えるものなのか、それとも自分の力で生み出すものなのか。幸福と快楽とは何が異なるのか。
これらの問いが私の中で年々重みを増しているのは、臨床現場で様々な命の在り方に出会うからかもしれません。無論、容易に答えが出るものではありませんが、思索の旅を少しずつ前へと進めています。
古代ギリシャの哲学者エピクロスは、快楽主義の祖と言われる人物ですが、この問いに、実に簡潔な答えを示しました。
それは、心に悩みがないことと、肉体に苦痛がないこと。
彼が提示したこの素朴な条件に、私はもう一つだけ付け加えます。
すなわち「孤独ではないこと」。
多様性の名のもとに、人と人とのつながりが断ち切られ、互いに歩み寄ることが難しくなりつつある現代だからこそ、この物語が多くの人の足下を照らす、温かな灯火となることを願っています。――夏川草介
Posted by ブクログ
西島先生も結局素直でかわいくてよかった!やっぱり登場人物に敵がいない話が好き!みんなそれぞれ良いところ悪いところあって、悪いところでさえも可愛げとして扱ってるところが好き!
でも私はスピノザの方が好きだったな!
説明が多く感じたけど気のせいかな?連続で読んで私が飽きちゃってただけ?期間あけてもう一回読んでみよう〜
Posted by ブクログ
医療とは何かを考えさせられる真面目なストーリー。入院するなら、実直で誠実な雄町先生のような人に診てもらいたいと思うが、同時にそういう医療を受けるに値するような患者でありたいとも思った。
京都の餅菓子が色々出てきたのがほっこりした。
Posted by ブクログ
前作『スピノザの診察室』に続く哲学エンタメシリーズ。
(帯文より)
スピノザが良かったので本作も手にした。
マチ先生の人物像の芯はブレることなく
患者や甥っ子・龍之介とのエピソードも楽しい。
ただ、今の医療体制の危機というか
作家で医師でもある夏川草介さんが伝えたいと
強く思う箇所が読んでいても浮いてしまい
私には少し理屈っぽく感じてしまった。
ストーリーがブツブツと切られるような…
そうは言ってもマチ先生の続編は楽しみに待ちたい。