【感想・ネタバレ】エピクロスの処方箋のレビュー

あらすじ

「医療では、人は救えないんだよ」
現役医師が描く、人の命と幸福について。

2024年本屋大賞第四位&京都本大賞受賞、映画化決定の感動作『スピノザの診察室』続編、ついに刊行!
※シリーズではありますが、本作単体としてお楽しみいただけます。

「君はここまで来るために、何人の患者を死なせてきた?」
思想する医師・雄町哲郎は今日も京都の街をゆく。
大人気、哲学エンタメシリーズ待望の第二弾!

【あらすじ】
大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。
ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。
患者は82歳の老人。
それは、かつて哲郎が激怒させた大学病院の絶対権力者・飛良泉寅彦教授の父親だったーー。

「エピクロスが主張している快楽の本質は、何よりも『精神の安定』のことなんだ。だから自分は快楽主義者だと言う奴に出会ったら十分に注意することだ。心の平静を求めているのか、ひたすら快楽を求めているのか、こいつは全く別物だよ」(本文より)
エピクロス……古代ギリシャの哲学者。快楽主義を提唱した。

【著者からのメッセージ】
「幸福」とは何か。
本書の主題は、前作『スピノザの診察室』と同じく、この問いの中にあります。
幸福に生きるとはどういうことか。幸福は環境が与えるものなのか、それとも自分の力で生み出すものなのか。幸福と快楽とは何が異なるのか。
これらの問いが私の中で年々重みを増しているのは、臨床現場で様々な命の在り方に出会うからかもしれません。無論、容易に答えが出るものではありませんが、思索の旅を少しずつ前へと進めています。
古代ギリシャの哲学者エピクロスは、快楽主義の祖と言われる人物ですが、この問いに、実に簡潔な答えを示しました。
それは、心に悩みがないことと、肉体に苦痛がないこと。
彼が提示したこの素朴な条件に、私はもう一つだけ付け加えます。
すなわち「孤独ではないこと」。
多様性の名のもとに、人と人とのつながりが断ち切られ、互いに歩み寄ることが難しくなりつつある現代だからこそ、この物語が多くの人の足下を照らす、温かな灯火となることを願っています。
――夏川草介

【著者プロフィール】
一九七八年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。⻑野県にて地域医療に従事。二〇〇九年『神様のカルテ』で第十回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書は二〇一〇年本屋大賞第二位となり、映画化された。他の著書に、世界四十カ国以上で翻訳された『本を守ろうとする猫の話』、『始まりの木』、コロナ禍の最前線に立つ現役医師である著者が自らの経験をもとに綴り大きな話題となったドキュメント小説『臨床の砦』、二〇二四年本屋大賞第四位、京都本大賞を受賞した『スピノザの診察室』など。

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Posted by ブクログ

前作「スピノザの診察室」と合わせてこちらに感想を書かせていただく。
前作共々「幸せとは何か」を題材とした作品で、主人公の医師「マチ先生」と個性豊かな患者たちを通して、恐らく筆者自身が医療現場で働く中で至ったのであろう信念や価値観が伝わってくる作品だった。

自分は普段、人が死ぬミステリを好んで読みがちで、こういった所謂「感動の物語」的なものはあまり読まないのだが、今年の6月に母方の祖父を癌で亡くしたことをきっかけにこの本を手に取ってみた。

正月に会ったときはいつも通り元気で、まだまだ長生きするものだとばかり思っていた祖父だったが、ある時期から「ご飯が美味しくない」と訴え始めたらしく、4月には末期の癌であることが発覚した。
その頃には身体中の至る所に転移しており、癌の発生元がどこかも分からない状態だった。
人間ご飯が食べられなくなると死ぬまであっという間だった。自分は就職で東京に出ており、GWを最後に祖父に会うことはできなかったが、葬式で見た痩せ細った祖父の遺体に、柔道黒帯で自分が小さい頃腕にぶら下がって遊んでもらったり、70代になっても5キロのダンベルで悠々とトレーニングしていた姿は見る影もなかった。
母曰く、最後まで決して弱音を吐かず、痛みを訴えたりもしない、祖父らしい生き方だったという。

それでも、母や姉、母の兄家族らは祖父の家でその最期を見届けたのに対し、仕事とはいえ母からのLINEで死を知った自分に、どこか煮え切らない思いを抱えていた。
生前最後に会った入院中の祖父が、別れ際心なしか寂しそうにしていた気がするのは気のせいだろうか。最期は苦しまずに逝くことができたのだろうか。休みを取ってでも会いにいくべきではなかったか。祖父は幸せだったのだろうか。
こんな悶々とした後悔とも言えない自分の思いに、この本は1つの答えをくれた。
祖父が体調を崩しているからといって、わざわざ休みを取って会いにいくなんて、まるで死ぬのを見にいくようではないか。朝起きて、ご飯を食べ、出勤し、仕事をする。そんな日常を過ごすことを祖父も望んでいたはずだ。そう思うことで、少し心が軽くなった。

これから先、祖母、両親、姉、恋人、友達など大切な人々を看取ることになるかもしれない。或いは自分が看取られる側かもしれない。死は誰にも平等で必ず訪れる最期だ。
だからこそ、その最期に後悔や思い残しがないよう、今の時間を大切に精一杯生きていこうと思う。

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2025年12月21日

Posted by ブクログ

 お医者さまになられる方々は高校時代にとても優秀な学業成績を収めた方々です。
偏差値70前後やそれ以上の成績で医学部に入学し、信じられないほど膨大な医学の知識を学び、実験をこなし、実技を習得して、国家試験に合格し、さらに医局で研鑽を積んだ「科学の子」たちです。

 しかし、ひとたび臨床の場に立てば、そこにいるのは、同程度の偏差値を収め医学に詳しい人たちではなく、病を患うひとりの患者(人間)です。
 その時、医師に必要なのは、病巣に立ち向かう高度な医学力に加えて、人間に向き合うための人間力なのではないでしょうか。
 患者の境遇は一人ひとり異なり、過ごしてきた人生も、培ってきた人生観(死生観)も異なります。さらに、家族構成も異なれば経済的環境も異なります。

 本書で、我らが主人公 京都は原田病院の雄町 哲郎(おまち てつろう)医師(通称 マチ先生)は、こう言います。
「医療では、人は救えないんだよ」

 たとえ医学的に正しい処方を行っても患者が幸せになれるかどうかは分かりません。それは、裁判で法律的に解決したとしても当事者が幸せになれるかどうか分からないことに似ています。そこには「できること」と「しても良いこと」の違いがあるからです。そして「しても良いこと」は人によって異なるのです。
 例えば、本書には、自分で食事を摂ることができなくなった人への「胃ろう(管を通して栄養を直接胃に送り込む処方)」の話が出てきます。
 栄養は生命体としての人体を維持するには必須ですが、かといって、患者の人生の幸福を維持するためには必須でしょうか。意思表示能力が無い人にはどうしたら良いのでしょうか。難しい(人としての)問題に医師は日々悩み苦しむのです。

 不慮の事故や災害で医療が必要になる人たちや、予期せぬ病気で人生設計が狂う人たち。医師は、それらの人たちの個々の事情を目の当たりにしつつも治療を行わなければなりません。
 その時、最適解はどこにあるのでしょうか?

 医師によっては答えを純粋に科学に求める人もいるでしょう。宗教に求める人もいるかもしれません。
 そして、マチ先生のように哲学に道を求め(心揺らぎ)ながら、個々の患者を温かい目で見つめて、できうる限り丁寧に患者に寄り添おうとする医師もいることでしょう。心に痛い経験値を積み重ねながら人間力を培っていくしかないのでしょうか?

 我らがマチ先生には、内視鏡内科の超絶に高度な技量があります。洛都大学医学部の医局長だったマチ先生は、3年前、ひとつ年下の妹 奈々さんが闘病の末に亡くなったことから、シングルマザーだった彼女の子ども 龍之介くん(当時小学4年生)を引き取って育てるために医局を退職しました。
 そんなマチ先生の類まれな能力を惜しみ、また必要として、先輩である洛都大学消化器内科の花垣 辰雄(はながき たつお)准教授が、マチ先生を大学に戻そうとします。
 また、マチ先生の天才的な見立てと緊迫した手術の場面は本書でも描かれています。

 医療とは何か?
 わたしたちは医療にどう向き合うのが良いのか?
 人生の終末をどのように迎えたいのか?
本書中に惜しみなく披歴される箴言を噛みしめながら考えてみてはいかがでしょうか♡

〔作品紹介・あらすじ〕
「医療では、人は救えないんだよ」
現役医師が描く、人の命と幸福について。
2024年本屋大賞第四位&京都本大賞受賞、映画化決定の感動作『スピノザの診察室』続編、ついに刊行!
※シリーズではありますが、本作単体としてお楽しみいただけます。

「君はここまで来るために、何人の患者を死なせてきた?」
思想する医師・雄町哲郎は今日も京都の街をゆく。
大人気、哲学エンタメシリーズ待望の第二弾!

【あらすじ】
 大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。
ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。
患者は82歳の老人。
それは、かつて哲郎が激怒させた大学病院の絶対権力者・飛良泉寅彦教授の父親だったーー。
「エピクロスが主張している快楽の本質は、何よりも『精神の安定』のことなんだ。だから自分は快楽主義者だと言う奴に出会ったら十分に注意することだ。心の平静を求めているのか、ひたすら快楽を求めているのか、こいつは全く別物だよ」(本文より)
エピクロス……古代ギリシャの哲学者。快楽主義を提唱した。

【著者からのメッセージ】
「幸福」とは何か。
本書の主題は、前作『スピノザの診察室』と同じく、この問いの中にあります。
幸福に生きるとはどういうことか。幸福は環境が与えるものなのか、それとも自分の力で生み出すものなのか。幸福と快楽とは何が異なるのか。
これらの問いが私の中で年々重みを増しているのは、臨床現場で様々な命の在り方に出会うからかもしれません。無論、容易に答えが出るものではありませんが、思索の旅を少しずつ前へと進めています。
古代ギリシャの哲学者エピクロスは、快楽主義の祖と言われる人物ですが、この問いに、実に簡潔な答えを示しました。
それは、心に悩みがないことと、肉体に苦痛がないこと。
彼が提示したこの素朴な条件に、私はもう一つだけ付け加えます。
すなわち「孤独ではないこと」。
多様性の名のもとに、人と人とのつながりが断ち切られ、互いに歩み寄ることが難しくなりつつある現代だからこそ、この物語が多くの人の足下を照らす、温かな灯火となることを願っています。
――夏川草介

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2025年12月21日

Posted by ブクログ

この本自体が処方箋!
心の処方箋、読後のほっこり優しさに満たされ感、前作を大きく上回る気がした。
マチ先生の患者さんに対する、行動・所作・言葉にならない深い感動に包まれる。
古都の街並み温かさ、季節の移り変わりも落ち着きと安心感のような世界観が、物語を盛り上げる。

人生に哲学や倫理観の重要性、最終的に「精神の安定」という言葉を含め、多くの金言や名言にあふれ清々しい余韻を楽しめた。
素晴らしい本に出会え感謝!
読書って本当にいいな!



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2025年12月21日

Posted by ブクログ

古都の街並みが豊かな彩りに包まれていた

素敵な出だしの文章、やっとマチ先生に会えました

原田病院で秋鹿先生との日常の会話
凄みのある飛良泉教授との緊迫した会話
母を病で亡くした甥龍之介との何気ない会話

それぞれの場面にマチ先生の人柄と哲学が溢れています

意思表示もできないまま、最期をマチ先生に委ねた患者さんの感謝の気持ちがじんわりと心にしみます
穏やかな空気に包まれた、人を安心させる雰囲気は今回も変わっていません


「哲学のない医師は危険 羅針盤のない舟のようなもの」

「幸福とはなんなのか」
「幸福と快楽のちがい」
ここで古代ギリシャ哲学者エピクロスが登場
マチ先生のぶれない考え方が、なるほど!と納得の連続です

もちろん本書ではマチ先生の医師としての腕の良さも光ります

龍之介の成長も、花垣先生の目指す医療も、登場人物がいきいきと描写された最高の作品でした

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2025年12月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自身の力を最大限に伸ばす努力を惜しまずしながら、楽観的ではなく、生よりも死に、患者に対して向き合う姿勢が素晴らしいと思った。

主語というか、目的が病気を治すではなく、患者を主軸として何が今ある中で最善を選び取ろうとする主人公に惹かれました。

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2025年12月21日

Posted by ブクログ

地域病院で働く内科医、雄町哲郎が、現代医療と幸福の在り方を問う傑作。雄町先生が唱えるエピクロスの快楽主義とは、享楽ではなく**「精神の安定(アタラクシア)」**のこと。「ただ長らえること」ではなく「心穏やかに生きること」の価値を深く考えさせられる。

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2025年12月17日

Posted by ブクログ

なんですか?この終わり方は?
こういうのありなんですか?

はっきり言いますね
いつもいつもふわっふわしたレビューだと思ったら大間違いですからね
言うときは言うんです

最高か!
最高の終わり方か!
言い方変えると最高か!(変えてない)
視点を変えると最高か!(変えてない)

もう、次作が楽しみでしゃーない
明日出してほしい
いやすでに出てても許す

という訳でね
人の死を見つめるマチ先生の『エピクロスの処方箋』どすえ(急な京都)

哲学✕医療小説っていうね
どっちも好き!
恐らく夏川草介さんのターゲットはわいなんじゃなかろうか
ありうるな(ない)

そして今回はエピクロスですよ
古代ギリシャの哲学者ですね
そして前作に引き続きスピノザの言葉も出てくる
さらには「正月は冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」なんて日本の賢人の言葉もぶっ込んでくる
古代ギリシャなんぼのもんじゃい!っていうね

うーん、えがったの〜

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2025年12月16日

Posted by ブクログ

時々やってくる目頭が熱くなるシーン。
爽やかな読後感。
前作同様、読んでよかったです。
出てくる人が全て魅力的です。
是非,読んでいただきたいと思います。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「スピノザの診察室」の続編。
スピノザ・・・のほうは映画化が決まったそうですが、この世界観がぶち壊しにならないようなキャスティングを切に希望します。

大学病院でのシーン、原田病院でのシーンなど様々ですが、私が好きなのは訪問医療での家族とのやり取り。
淡々とした態度や口調のマチ先生ですが、死期迫る家族を抱えての在宅医療・介護をしている家族への語りかけが救いがあって、頑なさのある家族の心がほぐされていく過程がたまりません。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

前作読んでない、、
忙しかったからか


マチ先生は私よりももっと忙しいと思うのに
なんで
こんなに魅力的なんだろう。。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

心が救われる言葉をかけてくれる本です。
この本は人との別れが多く書かれていますが、物語に登場する『レストラン蓮花門』の寝たきりの奥さんと介護する主人に対してマチ先生がかけた言葉がとても心に響いて残っています。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

楽しみにしていた続編
雄町先生の言葉や人柄がじんわりと胸に染み込んできます

ハッとさせられる言葉もたくさんありました。
前作よりも、雄町先生の過去や心情が色濃く出ている印象

医療では人を救えない。
でも癒せない哀しみはない。

亡き妹とのこと、医師と患者、伯父と甥、自分自身のあり方、様々な立場で迷いながら、「今」をどう生きるのか、そのためにどのように寄り添うことができるのか模索していく雄町先生。

遠くではなく、足元をみつめて今を大切に生きていきたい。そんなふうに思わせてくれる一冊でした。

スピノザの診察室とともに繰り返し読みたい。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

幸福とは何なのか…今を笑顔で過ごしたい、大切なことを見落とさないようにしたい、幸福について考えるというのはとても深く難しい。考え続けても答えは見つからないかもしれない。幸福の感じ方は一人一人違うけれど、マチ先生の言葉は心にスッと入って、また大切なときにふと思い出したい、考え方の柱になってくれそうです

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

楽しみにしていた続編は、色づく秋の京都をマチ先生の自転車が訪問診療先に向かう場面から始まりました。

マチ先生の患者との向き合い方は変わらず優しく、消化器内科医としての技術もさすがでした。小説は、患者自身の思いや患者家族の思いもえがかれ、病気がもたらすものの大きさを感じることもできました。

また、マチ先生の言葉は人の心に染み込むものが多く、今回も多くの言葉が読者の私にも染み込んで来ました。哲学者エピクロスが追求した幸福についてもマチ先生なりの解釈が加わって、なるほどと思いました。

そしてマチ先生と暮らす龍之介くんと、後期研修医の南先生には、大きな成長を感じました。中将先生の考え方もよかったです。

今回は教授の家族の治療がひとつの焦点でした。医療は誰のためにあるのかを考える物語でもありました。その中で、これから治療する患者にも看取る患者にも同じように大丈夫と言える医師になりたいというマチ先生、最高でした。「人を救うのは、医療ではない、人なんだ」と言いきった言葉も、読者の私の心にとても響きました。

スピノザ、エピクロスと続いて次はどんな哲学者をモチーフに小説が紡がれるのか、楽しみです。更に続編があることを期待して待ちたいです。



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2025年12月07日

Posted by ブクログ

2025.11
神様のカルテの作者である夏川先生の作品。出てくる人がみんな温かくてまっすぐでだいすき。

マチ先生の哲学に、いろんな人がいろんな形で触れて、医療にできることは何なのか、その人物たちと一緒に思索することになる。

マチ先生も完璧ではなくて、そこを春風のようなあたたかさでフォローしてくれるその人やあの人。激務の中、闘病の中、喪失感の中、辛い時人は人に支えられてなんとか立つことができるのだということを、これでもかというほど感じさせてくれる話。ほんと大好きです(告白)

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

マチ先生の患者さん、介護者ともに後悔のない最後を迎えられたようでうらやましいです。
医師不足が問題になっているこの時期、夢のような話ですが
こうあって欲しいなと思います。

すべての人が「精神の安定」が保てるようになることを願います。

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2025年12月04日

Posted by ブクログ

期待以上の「スピノザの診察室」のマチ先生の続編。ムチャクチャいいです。感動できます。医療界、ほんと問題多いですよね。でも、飛良泉教授も分かるな。困ったことですね・・・

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2025年12月04日

Posted by ブクログ

この著者の作品を読むたびに思うことだが今回もとても良かった。
この著者は好きな作家ベスト3の中に確実に入る。
このシリーズはこれからも続きそうな感じなので嬉しい。
早く次の作品が読みたい。

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2025年12月04日

Posted by ブクログ

大好きなスピノザ診察室の続編。
好きと言いながら前作が少しづつ薄れゆく中でも、やっぱりマチ先生好き!と何回も思った。
今回は医療に関してもだけど、マチ先生のプライベートな話も詳しく書いてある。
マチ先生は素晴らしいお医者さんだけど、原田病院にいる今のマチ先生は妹さん、甥っ子くんの影響がかなりあり生だけでなく死についても考えるようになったんだと思う。
医療小説だから重たい部分もあるけど、重くなりきらないのはやっぱりマチ先生の雰囲気と患者さんと向き合う姿勢からだと思う。
とにかくマチ先生の言葉が素敵で覚えておきたいけど、忘れてしまう…でも
治せない病気が山のようにある。けれども癒せない哀しみはない
マチ先生の信念を見習いたい。

0
2025年12月04日

Posted by ブクログ

今回はマチ先生の診療と現代の医療機関が抱えている問題が書かれていました。

今回心に残った文章は、
「人間はとても無力なんだよ」との言葉に続き

「我々には未来を変える力はない。変えられないということは、虚しいことのように思えるけれど、実はそうじゃない。目の前の哀しい出来事は、誰のせいでもないということだ。」

「誰かの努力によって変えられるほど、世界は脆弱ではないんだ。だけどその理不尽で強固な世界の中でも、我々にできることはたくさんある。降り続く雨を止めることはできないが、傘をさすことはできる。暗くて危険な夜道に、灯をともすこともできる。」

です。

近しい人の死を経験したことのある方、または近しい人の死を身近に感じている方はこの言葉に救われるのではないでしょうか。
私はそうです。

0
2025年12月04日

Posted by ブクログ

覚悟とは何か。
働くことの責任、使命感、今の時代では言葉にすればすぐにハラスメントになる。けれど、その中でも、忘れてはいけない「哲学」が、どの職業にも付随している。
覚悟は、私にあるのだろうか?

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2025年12月02日

購入済み

レビュー1番手?

発刊同時に一気読み
家内用に書籍も購入。

今回も清々しく何度見てもホロりとする場面が多数
やはり先書のスピノザから読まれてからをオススメ

また京の街の銘菓巡りへ出掛ける用事が出来ました
前書拝読後、銘菓巡りのバス停待ちで後ろ走る自転車が
同じお店の名前の話しをしながら通り過ぎていったのは
いい想い出

#エモい

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

続編…前回と同様に看取る人と逝く人に
教えられました。
賞味期限が3日しかないお菓子を
亡くなる2日前に、甘い物が好きな先生へのお礼にと準備する心遣い。
人は死と向き合った上で、それでも絶望とは距離をとり、なお他者の心を致し、思いを馳せる。
母も最後まで、笑っていたな…

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2025年12月20日

Posted by ブクログ

読みながら静かで透き通った感覚の時間の流れを感じる本でした。
生きる事、死に向き合う事を押し付けることなく考えさせられるます。

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2025年12月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

スピノザの診察室の続編。

前作から、この小説の雰囲気がとても好きなんだよね。

大学病院に勤めていた雄町哲郎は、妹が亡くなりその忘れ形見の龍之介を引き取ることに決めた。大学病院をやめて、町の地域病院である、原田病院に転職。
・・・ってのは、前作にありまして。

その龍之介はもう中学1年生。
元いた大学病院では、辞職願を出したとき、ものすごく引き留めた飛良泉教授としては哲郎を目の敵にしている部分がある。
同僚の花垣などはもう龍之介が中学生だし、戻ってきてほしいと画策する。

だが、哲郎は原田病院で一人一人としっかり向き合うこの状態に満足している。
ギリギリまで病院に来なくて、半ば手遅れだったり、
ずっと何年も訪問治療で家に通ったり、
患者それぞれの人生と、生き方、死に方。
それに対して、「治す」だけが目的の大学病院と違い、
患者の「しあわせ」を考える、ってのがテーマなところがあって。

でも大学病院で働いている医者たちを否定するわけじゃないのよ。
彼らには彼らの役割があって、最先端治療や、臨床より研究を重視する医者もそれはそれで正解だったりする。
教授、准教授、誰が次に上にいくのか・・・って話もちらっとあるけど、それはメインでなくて、「そうじゃないじゃん!」って主張するための話。
患者には関係ない。

映像化するならだれがどの俳優だろう・・って思いながら読んだんだけど、どうやら映画化されるらしい。まだ配役は発表されてないけど。
龍之介がどうしても、大好きな斎藤潤くんで想像していたんだけど、中1だからちがうよなぁ。
年齢関係ないなら(あかんやろ)、哲郎は、岡田将生さん、龍之介が斎藤潤くん、皆美さんが松岡みゆさん、のイメージなんだよね。
年齢的に無理があるだろうけど・・・
映画化、楽しみだな~

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

雄町先生、待っていました。
エピクロスという言葉が見事に合っている小説でした。

「快楽主義」のエピクロス。
「快楽主義」というと誤解をされやすいけれど、質素に生き、恐れと不安を減らして平穏を保つというのが本来の思想。

様々な人生の終末期。
患っている本人を置いていかない医療が大切だと改めて気づかされる。

病と快楽は両立することがあるのかもしれない。
けれど、幼い子供を兄の雄町先生に託して亡くなってしまった奈々さんのことを考えると「快楽主義」は難しい思想だなとも思う。

龍之介くんの健やかな成長と雄町先生の今後も知りたいので、続編を楽しみにしている。

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2025年12月12日

Posted by ブクログ

スピノザの診察室がとても良かったので待望の続編
今回も間違いありませんでした
マチ先生の考え方、いつも考えさせられる。医療従事者としてどうあるべきかいつも見つめ直すきっかけをもらっています。

マチ先生が見えてきた『第三の道』。

本当に大切なのは目の前にいる人が今を笑顔で過ごせるということ。

チ先生の患者に寄り添う姿勢、私もこんなセラピストでありたいと思いました。

読んでいく中で京都の情景が目の前に浮かぶような表現も素晴らしいと感じました。

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2025年12月12日

Posted by ブクログ

「スピノザの診察室」の続編を読んだ。
雄町哲郎(マチ先生)の往診患者のなかには意思疎通ができなくなっている人もいる。そんな人にもマチ先生は声をかけながら診察をしている。
また終末期の患者と楽しく会話する場面にも感動した。
人を救うのは医療ではない、人なんだ…
本当に大切なのは、目の前にいる人が笑顔で過ごせること…
こんな先生に最後まで診察してもらえる人は幸せだ。
患者やその家族たちとの会話、同僚の医師や家族との会話の一つ一つが心に残るものがあった。
続編にも期待したい。



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2025年12月05日

Posted by ブクログ

マチ先生続編
医師でありながら医療では人を救えないと言い切るマチ先生。その上で医療に何ができるのか。何をすべきなのか。その問いに正解はないが、真摯に向き合うマチ先生の根幹には哲学がある。今回のマチ先生にはこれまでよりも迷いがないように感じる。
トップレベルの技術を維持することと、地域医療に向き合うことが、実際に両立できることなのかどうかは知らない。可能ならそんなやり方もあっていいのかなとは思う。
京都の町の雰囲気(住んだことはないのでイメージでしかないが)が、マチ先生の佇まいにぴったりでとても良い。京料理も京の御菓子も前作以上に魅力的。
いずれ龍之介が医師となるまで見届けたい。

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

読み終わるのが勿体無くてゆっくりと読んでた

今回もまたマチ先生の紡ぎだす言葉にぐっとくるし、甥っ子は日々成長 大人びている

すぐに再読したい
今度は付箋を付けながら

秋から冬へと向かう京都の風情
美味しそうな甘いもの

人は皆必ず死ぬ

此岸と彼岸の間が緩やかに繋がっているのか

解釈の仕方で穏やかな人生の最後を迎える事ができるのか
送る側、旅立つ側も辛いが受け止めなくてはいけない

此岸と彼岸の間で過ごす時間が穏やかでありたい

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

医療系の本が多すぎて前作は読んだ気もするが覚えていない…。
冬の京都の描写が良かった。
医療物語でもあり哲学的な話でもある。
医療が救うのではなく人が人を救う。
南先生との関係も気になるところ。

0
2025年12月21日

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