【感想・ネタバレ】エピクロスの処方箋のレビュー

あらすじ

「医療では、人は救えないんだよ」
現役医師が描く、人の命と幸福について。

2024年本屋大賞第四位&京都本大賞受賞、映画化決定の感動作『スピノザの診察室』続編、ついに刊行!
※シリーズではありますが、本作単体としてお楽しみいただけます。

「君はここまで来るために、何人の患者を死なせてきた?」
思想する医師・雄町哲郎は今日も京都の街をゆく。
大人気、哲学エンタメシリーズ待望の第二弾!

【あらすじ】
大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望されながらも、母を亡くし一人になった甥のために地域病院で働く内科医の雄町哲郎。
ある日、哲郎の力量に惚れ込む大学准教授の花垣から、難しい症例が持ち込まれた。
患者は82歳の老人。
それは、かつて哲郎が激怒させた大学病院の絶対権力者・飛良泉寅彦教授の父親だったーー。

「エピクロスが主張している快楽の本質は、何よりも『精神の安定』のことなんだ。だから自分は快楽主義者だと言う奴に出会ったら十分に注意することだ。心の平静を求めているのか、ひたすら快楽を求めているのか、こいつは全く別物だよ」(本文より)
エピクロス……古代ギリシャの哲学者。快楽主義を提唱した。

【著者からのメッセージ】
「幸福」とは何か。
本書の主題は、前作『スピノザの診察室』と同じく、この問いの中にあります。
幸福に生きるとはどういうことか。幸福は環境が与えるものなのか、それとも自分の力で生み出すものなのか。幸福と快楽とは何が異なるのか。
これらの問いが私の中で年々重みを増しているのは、臨床現場で様々な命の在り方に出会うからかもしれません。無論、容易に答えが出るものではありませんが、思索の旅を少しずつ前へと進めています。
古代ギリシャの哲学者エピクロスは、快楽主義の祖と言われる人物ですが、この問いに、実に簡潔な答えを示しました。
それは、心に悩みがないことと、肉体に苦痛がないこと。
彼が提示したこの素朴な条件に、私はもう一つだけ付け加えます。
すなわち「孤独ではないこと」。
多様性の名のもとに、人と人とのつながりが断ち切られ、互いに歩み寄ることが難しくなりつつある現代だからこそ、この物語が多くの人の足下を照らす、温かな灯火となることを願っています。
――夏川草介

【著者プロフィール】
一九七八年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。⻑野県にて地域医療に従事。二〇〇九年『神様のカルテ』で第十回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書は二〇一〇年本屋大賞第二位となり、映画化された。他の著書に、世界四十カ国以上で翻訳された『本を守ろうとする猫の話』、『始まりの木』、コロナ禍の最前線に立つ現役医師である著者が自らの経験をもとに綴り大きな話題となったドキュメント小説『臨床の砦』、二〇二四年本屋大賞第四位、京都本大賞を受賞した『スピノザの診察室』など。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

小さな病院で働く有能な医師。しかし彼は驕ることなく、医療の限界を知っている。ゆえにただ淡々と自分の出来ることに全力を注ぎ、後はそっと患者とその家族に寄り添う。知識や技術よりも哲学。人を救うのは人。心に染みる。

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2026年01月09日

Posted by ブクログ

スピノザを読み、続編をとても楽しみに、待ちに待ったエピクロス。期待通り、優しい気持ちと勇気をもらいました。
マチ先生は医療の力には限界があると感じながらも、人の力を信じて、末期の患者の意識に関わらず人として接し、最後まで穏やかに過ごせるよう諦めない。花垣先生も上を目指しながらも患者第一で、ブレない。正反対なようで、信念は同じバディ。相変わらず素敵です。きっと、こんな人たちが存在すると思うだけで、自分も頑張れる気がする。まだまだ続編を期待してます。

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2026年01月09日

Posted by ブクログ

良いに決まっている。
その上で更によかったのは、スピノザに次いでエピクロスという哲学者を微かに知れたこと…
「エピクロスは、平穏で物静かな精神状態を快楽と定義し、これを乱すものは、不愉快なものだけでなく、愉快なものでも遠ざけるべきだと言っている。愉快も度が過ぎれば心の安定を壊すと考えていたらしい。もちろん彼は一般的な意味での楽しさや、身体的な快楽を否定しているわけじゃない。ただ、楽しいことよりも、苦痛がないことの方がはるかに大切で、心が落ち着いていることこそが最高の快楽だと説明しているんだ。つまり最初から『快楽』の定義が違うんだよ。

「そうさ、だから自分は快楽主義者だと言う奴に出会ったら十分に注意することだ。心の平静を求めているのか、ひたすら快楽を求めているのか、こいつはまったく別物だ。
エピクロスの少しあとの時代にエピクテトスという名前のよく似た高名な哲学者がいるんだが、彼はエピクロス派のことを、欲望のままに生きる自制心のない連中お攻撃、二人の哲学は実は本質的にとても似ているが、正反対の主張と思い込んでのこと。

人を生かす医療、亡くなる人を看取る医療、第三の医療、そこに重きを置く雄町哲郎、マチ先生

シングルマザーの妹美山奈々が病没し、大学病院を甥、龍之介の世話のために退社し町医者の原田病院で仲間と楽しく?過酷な現場を過ごす。
今回は見取りの話が多く、涙無くして読めない

南茉莉まつり、後期研修医の世話を通してお互いに良き影響となる。
ERCP (内視鏡的逆行性胆管膵管造影)が度々登場



「そういう意味で、元之助さんは本当に貴重な時間を積み上げてきた。その日常の中で、自然に旅立っていくのだとすれば、光恵さんはけして寂しくないと思います。こんな言い方が正しいかどうかはわかりませんが、元之助さんがいつものようにナポリタンを作っている方が、光恵さんは安心するかもしれません」


「こいつはスピノザの哲学に、私なりのアレンジをくわえた考え方だが、幸も不幸も突然空から降ってくるようなものじゃない。雑多な物事とともに我々の足下に埋もれていて、私たちがそこから何を見つけるかということなんじゃないかな」


仏教// 浄土宗、浄土真宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗など、天理教を筆頭とした真言宗、天台宗の新興宗教


門松は冥土の旅の一里塚
めでたくもあり めでたくもなし
一休宗純そうじゅん


「人が、自分の権利ばかり口にするのは、自分ひとりで生きていけると思っているからです。
でも人生はそんなに甘いものじゃない。生きていくことの哀しみを知っている人間は、理由な
どなくても、誰かの力になりたいと思うものですよ」

なるようにしかならない。
私は医療を信頼していない
確かに世の中には、治せない病気が山のようにある。けれども癒さない哀しみはない。


「希望というものは急に出てきたり、消えてしまったりしてしまうものじゃない。ずっとそこにあって、我々が気づけるかどうかという問題なんだと思う。


西洋人と東洋人の死に方、
西洋人は堂々たる巨象が地響きを立てて倒れるように死ぬ。東洋人は年月を経た樹木がゆっくりと枯れて土に還っていくように死ぬ。

「死」とは誰にとっても恐ろしいものである。直視することに耐えられる人はけして多くない。
人は死と向き合った上で、それでも絶望とは距離をとり、なお他者に心を致し、思いを馳せることができる
--さあ、笑顔、笑顔!!


「新聞記事を書くときの三つの原則?」
「わかりやすくすること、過澱にすること、そして安心感よりも不安感を与えること。価値のない情報でも、この三つの操作をくわえると集客力が上がる

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2026年01月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「スピノザの診察室」の続編。母を亡くし1人になった甥っ子のため大学病院を辞め地域の原田病院で働く雄町哲郎。マチ先生の哲学が心に響いた。「生きていくことの哀しみを知っている人間は、理由などなくても、誰かの力になりたいと思うもの」「歩く道のりさえ間違えなければ、人は暗い絶望の淵からでもきっと戻って来れる」「本当に大切なことは目の前にいる人が今を笑顔で過ごせるということ」「医療では人を救えないんだよ。治せない病気は山のようにあるが、癒せない哀しみはない」大黒屋の鎌餅ね。京の菓子とともに思想家シリーズになるかな。

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2026年01月06日

Posted by ブクログ

「病気を治す=医療の意義」ではないと考える主人公哲郎を中心に進む医療物語。
医療の意味を語る主人公哲郎を通して、自分の仕事の意義についても考えさせられる。
淡々とした中にも熱い思いもあり、実力もある魅力的な主人公と言葉選びから人を動かす力のある戦友花垣のやりとりが一見大人っぽくて内容は子どもっぽくて、とても魅力的。
こんなふうに仕事と向き合いたい。

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2026年01月05日

Posted by ブクログ

医療では人を救えない。
人を救うのは、医療ではない、人なんだ。
我々のゴールは、病気を治すことじゃない。それでは、治らない病気を抱えた人はどこにいくんだ。限られた時間しか残されていない人たちに、我々は何もらできないのか?
敢えて言う、
すべての人がいずれ必ず死ぬだとすれば、医師は何のために患者を診るんだ。

素晴らしい一冊。京都の和菓子もすごく気になりました。

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2026年01月04日

Posted by ブクログ

スピノザ〜の時も良い話だったけれど、続編のこちらも文句なしで素敵でした。
技術だけではなく、患者とその命に真摯に向き合う姿は変わらず、こんな医師が地域にいてくれたら、本当に心強いと感じました。
結局のところ、人は治りたい、良くなりたいと思って医療に頼っても、限界があり、それを悟った時に、限られた命の期限をどう生きるか、というところが大事なのだなと感じました。
医療の現実を交えて人生や道徳、哲学を語るところが良かったです。
哲学は自分にとっては難しいものだったけれど、こうやって何か具体例を引き合いに出してくれると、なるほどな、もっともだなと思います。
雄町哲郎と一緒に暮らす龍之介は父の生き様を間近で見ながら、立派な大人に育っていくのだろうな。
最高の技術を持っている雄町先生が大病院ではなく、街の医者として仕事をすると、確かに数では圧倒的に救える命は減ってしまうのかも知れないですが、一人ひとりに寄り添える医者も必要。
これからも大きな病院も小さな病院も、雄町先生の心持ちに共感する同業者が増えますように、と願うばかりです。

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2026年01月04日

Posted by ブクログ

医療がどうあるべきか、コロナもあり、作者には思うところがあるのだろうな

「医師になろうとする人間には、自分の人生を、少なからず犠牲にするだけの覚悟が必要や」
という飛良泉教授のことばは作者の代弁なのかなと映った

作者は40代前半、まだ若手と言ってもいい歳だが、どんな経験をしてきたのか気になってしまった

タイトルにあるエピクロスの快楽主義を引用した、現代の個人主義への批判が上記の部分以外にも全体を通して流れていて、難しい問いを扱っているなと思った

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「人が、自分の権利ばかり口にするのは、自分ひとりで生きていけると思っているからです。でも人生はそんなに甘いものじゃない。生きていくことの哀しみを知っている人間は、理由などなくても、誰かの力になりたいと思うものですよ」

前後も含めて、ここが妙に引っかかって、しばらく悶々としそう

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2026年01月02日

Posted by ブクログ

スピノザの続編。親しみの持てるさらりとした人間味のある登場人物達に変わりはなく、前作を思い出しながら読むことができました。

やはり、夏川さんの「死」への向き合い方が、しんみりと心を揺さぶります。最先端の医療を突き詰めた人間が奢りを持つことなく、その無力さと人の死に対して向き合うことの難しさを語っている。

ストーリーの背景となる京都の風景の描き方が、前作と異なり外国人観光客が多いことに触れています。やはり京都の現状、というか日本の「今」にも踏み込んでいる。

日本の少子高齢化の波は否応なしに医療の分野にも押し寄せている。そして医療そのもの、人の生死に対する考え方そのものにも疑問を投げかける。社会全体の風潮そのものにも。

日本の「今」を背景に最先端の医療の視点から人間の儚さや哀しさというものを優しく包み込んでくれるような筆致。夏川さんらしく、様々な問題点を提起しながらも希望を抱かせてくれるストーリーをしみじみとした思いで読み終えることができました。

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2026年01月01日

Posted by ブクログ

「スピノザの診察室」の雄町先生のシリーズ。

前作同様、京都を舞台に大病院ではない医療の日々が風情豊かに描かれている。
今回のメインの問題に行くまで、訪問医療での対応など人の命とは、人生とは何かを考えさせられるような展開が続く。

そして、雄町先生は「医療では、人は救えないんだよ」と言う。

雄町先生と同じ医者を目指し始めた甥っ子の龍之介君のこれから、花垣さんが目指すところ、飛良泉教授のたくらみ、寅重さんはどこにかつ丼を食べに行くのか、南先生の4月から2年間原田病院でどう成長していくのか・・・次のシリーズがただただ楽しみだ。

スピノザを読んでない方にはまずそちらから読むことをお勧めしたい。なぜ、どんな気持ちで雄町先生が大学病院をやめて原田病院に移ったか、そしてそこで何を見つけたか、それを把握してからの方が内容がわかりやすいと思うので。

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2026年01月01日

Posted by ブクログ

医療というものは、必ずしも病気の治療をするだけのものではない。もう治る見込みがない病気を抱えている人達が、最後のときまで出来るだけ心穏やかに暮らせるようにするのも医者の仕事だ。マチ先生はいつも生と死に向き合っている。

スピノザやエピクロスの様な難しい哲学書を愛読しながら、甘いものに目がないマチ先生。龍之介君や南先生の成長を楽しみながら、頼もしい仲間の信頼も得ている。次回作がとても楽しみ。

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2025年12月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

研修医の南にとって、哲郎の言葉は目の前の世界を反転させてしまう。だから哲郎のそばで学びたいと思っている。
私が夏川草介さんの作品を読みたいと思う気持ちとなんだか同じです。

どの登場人物も魅力的でした。

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2025年12月30日

Posted by ブクログ

医療、家族、生き方、様々なテーマが織り混ざって話が進むけれど、どのテーマにも至る所に身に染みる言葉が散りばめられている。
それを言葉にできるのは凄い事だなと思う。
夏川さんの他の作品も読んでみたいと思った。

「生きている間の時間を、どうやって寄り添いながら積み上げていくか、それが一番大事なんだと私は思っているんです」
「本当に大切なのは、目の前にいる人が今を笑顔で過ごせるということだよ。それが私の言う第三の道だ」
結果ではなく過程を大切に。
こんなお医者さんに出会いたいものです。

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2025年12月30日

Posted by ブクログ

マチ先生のお話。
やっぱりすてき!
医療に携わるものとして、忘れてはいけないことを思い出す刺激をもらえる。
生と死と。分けて考えるのではなく、人の生きる中でのつながり。
一言で片付けてはいけないけど、素直におもしろかった!

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2025年12月30日

Posted by ブクログ

前作に続き、面白かった
医療を通じて、日常のあり方を問い直せる
普通の内容だけど普通じゃない
視点が大きく変わる本

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2025年12月30日

Posted by ブクログ

治療の力を信じすぎない。生から死へ。治すとか看取るとか細分化しないで人そのものに向き合うこと。医療従事者としても人としても大切なことをマチ先生から教えてもらえている。続編楽しみにしています!

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2025年12月30日

Posted by ブクログ

前作『スピノザの診察室』を読んでから約2年経っての続編

分かりやすいし読みやすくて、前作の印象と変わらないと言えば変わらないけど、読んでよかった

ストーリーやら展開で読ませるエンタメ小説ではない(と思う)ので、忘れた頃にまた読もう


前作では気づかなかったけど、発行元の水鈴社という小さな出版社も気になった

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2025年12月30日

Posted by ブクログ

大学の医局を退職し街中の病院に勤務する雄町哲郎。神業のような内視鏡技術を持ちながら、医療の限界も達観し医師の在り方を考える。
そんな哲郎が大学の准教授から特別な患者の治療に関する相談が持ち込まれる。受けるか否か哲郎は悩む。これを解決したのは…

夏川先生の作品は、本当に素晴らしい。

生と死に向き合う医師の悩み。大学の医局のドロドロとした人間関係。医師としてのあるべき姿を突き詰める姿勢。恋かもしれない出会い。

痺れるほど夢中になって読んでしまいました

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2025年12月29日

Posted by ブクログ

研究者でありながら哲学者でもある医師とマチ先生のことを花垣先生は本の中で言っていましたが、とても分かるフレーズだと読み進める内に思いました。
患者さんに近すぎずかと言って離れすぎないマチ先生の人柄がとても魅力的で心温まる話です。

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2025年12月28日

Posted by ブクログ

これが今年一番好きかな。
シリーズ2作目だけど、前作に負けず劣らずの素晴らしい作品でした。

友人、家族、仕事、人生、そして死。

誰もが通る全ての事象に正面から向き合って、
一緒に答えを考えてくれる稀有な作品。

作品中では敵対するキャラも出てきます。
主人公のマチ先生はもちろん、花垣先生も飛良泉教授も西島先生もそれぞれに信念があり、医者としての矜持と葛藤を見せてくれるから誰も憎めない。

繋がりって大事。
誰かのことを考えるって大事。
誰かのことを大切にするって大事。

語り部は穏やかだけど、秘めたものはめちゃくちゃ熱い素敵な小説でした!

誰かの役に立てるように仕事頑張ろう!!

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2025年12月27日

Posted by ブクログ

マチ先生の卓越した内視鏡技術は患者や家族、医療スタッフからしたら、さぞや心強いだろう。でも何よりも、マチ先生の「人間には大したことができない」という諦観が、「医師と患者」ではなく、「一人の人どうし」として患者や家族と真摯に向き合わせているのだろう。そこがこの物語の最大の魅力だ。

一作目『スピノザの診察室』が映画化ということで、非常に楽しみ。2025/12時点で主演は未公表だけど、妻夫木聡さんだったら良いなぁと思いながら読んでいた。
30代半ばで大切な妹を見送った深い悲しみと医療への限界を味わったマチ先生を演じられる、深みのある役者さんだと思う。

内科医、外科医を目指す学生が減っているということだが、私の身内は外科医を目指して頑張っている。
心身を壊さぬことを第一に、患者さんにとって全力を尽くす健やかな医師になってくれればいいなと、身勝手に願ってしまう。

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2025年12月27日

購入済み

レビュー1番手?

発刊同時に一気読み
家内用に書籍も購入。

今回も清々しく何度見てもホロりとする場面が多数
やはり先書のスピノザから読まれてからをオススメ

また京の街の銘菓巡りへ出掛ける用事が出来ました
前書拝読後、銘菓巡りのバス停待ちで後ろ走る自転車が
同じお店の名前の話しをしながら通り過ぎていったのは
いい想い出

#エモい

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

期待にたがわず素晴らしい本だった。

前作の「スピノザの診察室」も同じだが、この本の主人公は、もちろんマチ先生なのだが、本当の主役は、マチ先生の前で、ゆっくりとひっそりと命を燃やし尽くしていく人々なのだと感じた。


膵がんを患いつつも、自分の生き様を全うし、豊かな髪を守るために抗がん剤を拒否し、自分が納得する死を選ぶ今川陶子さん。

人生の大先輩としてマチ先生に、人としての生き方を説きつつ、自身の臨終の二日前に、正味期限が3日間の和菓子をマチ先生のために購入していた。

まさに本書に表現されているように「人は死と向き合った上で、それでも絶望とは距離を取り、なお他者に心を致し、思いを馳せることができる」のだということを自身のさりげない死に様で示してくれた。


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2025年12月30日

Posted by ブクログ

前作『スピノザの診察室』同様、医療現場で日々生と死に向き合い続ける雄町先生の目を通して、「人にとっての幸福とは何か」という難しいテーマに向き合った作品。

「幸も不幸も、突然空から降ってくるようなものじゃない。雑多な物事とともに我々の足下に埋もれていて、私たちがそこから何を見つけるかということなんじゃないかな」

「誰かの努力によって変えられるほど、世界は脆弱ではないんだ。だけどその理不尽で強固な世界の中でも、我々にできることはたくさんある。降り続く雨を止めることはできないが、傘をさすことはできる。暗くて危険な夜道に、灯を灯すこともできる。」

「人を救うのは、医療ではない。人なんだ。」
「すべての人がいずれ必ず死ぬのだとすれば、医師はなんのために患者を診るんだ?」
「本当に大切なのは、目の前にいる人が今を笑顔で過ごせるということだよ。」

人は誰しも、いつかやってくる自分や大切な人の死から逃れることはできません。
それでなくても、生きていれば苦しいことはたくさんあり、人生に絶望することは簡単なように思われます。

そんな中で、雄町先生の哲学は哀しい事象に満ちた今を幸せになりたいと願いながら生きる全ての人に、絶望の淵から立ち上がるヒントをくれるように感じました。

「技術や知識よりも哲学が大事」は、医療現場以外の様々な仕事や場面に当てはまることだと思います。
私も雄町先生はじめ作中の登場人物たちのように、辛い現実に直面しても悲観的になることなく、固定観念や常識にとらわれず、常に目の前の人を思い遣った選択ができる人間でありたいと思いました。

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2026年01月11日

Posted by ブクログ

「神様のカルテ」シリーズや前作よりも一層深みが増したように思う。癖の強い登場人物が多くても、完全な悪人が登場しないのも面白い。

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2026年01月08日

Posted by ブクログ

生と死、幸せと快楽、絶望と希望。神様のカルテの頃から夏川先生の哲学的な思考は変わらないのだなと感じました。人と人との関わりの中で灯る、柔く温かい光を掬い上げ、そこに幸福を感じる。そんな穏やかで優しい生き方を私も真似してみたいと、夏川先生の作品を読むたびに思います。忙しない毎日で置き去りにしてしまう「優しさ」を思い出させてくれる作品でした。

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2026年01月03日

Posted by ブクログ

ミステリー系医療小説ではなくて………………
生と死、大学病院内や医療現場の問題などを
人間関係を絡めながらの話しで面白かった。。。

そこに甥っ子との家族愛でホッコリさせてくれて
もう一つホッコリアイテムとしての和菓子(^^)
実在する店舗の和菓子食べてぇ(@ ̄ρ ̄@)

『勝ち負けなんて、短い人生
何の意味がありますか?』

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2025年12月28日

Posted by ブクログ

スピノザに続いてエピクロスと哲学が続く。夏川さんの作品はどんどん哲学化に拍車がかかるよう。死亡する患者が多く、治療よりも死へ向かう患者が多いので哲学的にならざるを得ないのかも知れない。
内容は「神様のカルテ」シリーズや前作同様に色々な病気の人が出てくるし、難しい内視鏡治療の患者もあり、興味深く読ませてくれる。最後は恋愛らしきものもあり、次作を期待させてくれる。
医療現場の大変さも出てきて、現在は内科、外科の医者がいないということに驚く。直美(チョクビ)と言われ、若手はお金が稼げる美容外科に直接行くとか。働いて、働いて、、、は若手医者には遠い言葉のようだ。

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2025年12月26日

Posted by ブクログ

SL 2025.12.23-2025.12.25
雄町が向き合うのは終末期の患者たち。癌や脳梗塞や脳の難病。今回は亡くなる場面も多く、そこでの雄町の言葉に感嘆しながらもやはり哀しみはある。
「医療では人は救えない」
「無力であることは不幸を意味しない」
生きること、そしてどう死んでいくかを深く考えさせる。雄町のような医師が助からない患者に真摯に向き合うのであれば、その患者も自分の死にちゃんと向き合えるようになるのかな。

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2025年12月25日

Posted by ブクログ

マチ先生が「神様のカルテ」の一止化してきた様に思うのは気のせいなのか…?


「最先端と看取りと言う、その区分自体に落とし穴がある。我々はいつのまにかそうやって『生』に向き合う医療と『死』に向き合う医療とを無自覚に塗り分けてしまっている。ひとりの人間に対して、医師が勝手に2種類の医療を割り当てるなんて、随分傲慢だと思わないか」

生者が死者を思うとき、時間は普段とは異なる流れ方をする。未来は身を潜め、豊かな過去が眼前に現れる。他者がそこに立ち入ることは出来ない。

西洋人は堂々たる巨象が地響きを立てて倒れる様に死ぬ。東洋人は年月を経た樹木がゆっくりと枯れて土に還って行く様に死ぬ。どちらが良いと言う話ではない。

ふむふむ…アチコチに哲学が散らばってる…
やはり夏川草介先生スゴイ‼︎

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2025年12月25日

Posted by ブクログ

スピノザの診療室がとても良かったので、続けて読んだ。

雄町先生を始めとして、周囲のお医者様も含めて、とても素晴らしい医師としての哲学を持っている。

働き方改革が進められて、土日休みや残業時間の短縮等が、医療業界でも浸透しつつあるが、「患者の命がかかっている状況でも土日や深夜であれば、患者のもとに向かわなくていいのか?」、と問われればその意思決定をすることは医者の哲学に反するだろう。

医療関係者の担う社会的責任の重さを改めて認識させられる。

ただ一作目と比べると、お話が少し平坦すぎるな…というのは思った。

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2025年12月25日

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