あらすじ
伊藤亜和――彼女はいったい“何者”なのか。
父の日、X(旧Twitter)上にぽつりと投稿されたnoteの記事「パパと私」が瞬く間に話題となり、著名人の目に留まった彼女。
彼女の淡々とした語り口で紡がれる物事の数々は、我々の世界の解像度を少しだけクリアにしてくれる。
彼女のフィルターを通して見えている世界を体感し、彼女の一端に触れることが出来る、家族、人間、愛にまつわる珠玉のデビュー作!
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私の努力で報われたことなどなにもない。
だからせめて、この1冊目は愛してくれた貴方たちに捧げます。
私を信じてくれてありがとう。
互いの愛おしさに耐えられなかった私たちへ、言いそびれてしまったことが全て届きますように。
(「わたし」より)
感情タグBEST3
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都会じゃないが田舎でもない。窓を空ければ潮風が吹き抜ける。育ったのは本牧から少し離れた山の上。向かいには”放置子”が住む。お菓子を運んであげて、利用されているなんて意識はない。怒りや憎しみという感情を持ち続けるのは不得意。誰かを思いやっていたい自分の意思。汚いことも飲み込んだ上で、『清くあろう』という音がする。優しさを粗末にしている自分自身。幸せも不幸も努力も、その本当の手触りを知らずに死んでいくのは怖い。…家から歩いて1分の場所に住む。パパとは7年会っていない。名前はアワ、亜細亜の亜に、平和の和と書く。
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トークイベント参加に先駆け、購入済みだったこちらを。本当に言葉のセンスが素晴らしくて、もっともっと読みたくなった。お婆様との話が特に好きで、文句を言いながらも世話をしてくれる姿が愛おしい。ジェーン・スーさんと共に推し文筆家として読んでいきたい。
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ペンの力。楽しいとか心地よいだけじゃない一冊だった。育ってきた環境、家族、学校、社会、全てが似通った人なんていない。
それでも共感する何かを、ペンの力で、文章、言葉、エピソード、その時の感情を表現することで他者、読者に伝わるってのはもうとんでもなく凄いことなんだよな。
父親との関係って、本当に難しい。私にとっては、年々難易度が増している。これを読み切った今日も、なんとも言葉にできない嫌悪感を感じて、できるだけ距離を置きたいと思ってしまった。
作者が10年会ってなくても「親孝行したい」と思えるのは、何がそうさせるんだろう。しょっちゅう会っている私とは全然違う感覚なんだとは思うけど、何かどこかで同じ色の成分が混ざってるように感じられる本だった。
出てくる人がみんな素敵。それは文字を通しているからだろうし、私の脳内で美化して想像しているからだろうけど。
とてもいいエッセイを読んだ。妻にもすすめる。
ありがとうございました。
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亜和ちゃんが出版区で、
「知らない人の知らない話読んでなにが面白いの?笑」って言った時から私はこの人に興味が出た。
私の長年のプチコンプレックスに同意する人がこの世にいたなんてと感動すらした。
どんなにおもしろいと言われてるエッセイでも、その人に興味が持てないと私は途中で挫折してしまう。
亜和ちゃんのことを知りたいと思ったからか、この本は一気読みでした。
言語化できない感情や現象を表現するのが上手な人。わかる〜と異世界…!が混在する人。
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『引き出しが多い、おもしれー女』
伊藤亜和さん、めっちゃ失礼でごめんなさい。
でも心の底からリスペクトしての表現です。
ポッドキャストも聴いてます。
さくらももこみがあるというか、中央線沿いに住んでいた頃の星野源みがあるというか。
作中に"清濁併せのむ"という表現が出てくるのだけど、筆者の文章もこんな感じ。
これまで読んできたエッセイって、ゆとりや余裕があって丁寧な暮らしを匂わせていたりとか
時間とお金に糸目をつけずに旅と食を満喫してたりとか
浮世から数センチ離れてるような、庶民的とは言えない作品が多かったのだけど
今作は、大卒後フリーターとしてわかりやすくどこかに所属しているわけではない、何者でもない若者のむちゃくちゃパーソナルな部分を曝け出している日々のエッセイ。
実際、知らない怪しいおじさんの前で服を脱いでいる筆者。
かといって無鉄砲ではなく、もちろん下品なわけでもなく、むしろめちゃくちゃ知的。
静謐なのに、胸裏では箴言とも取れるようなことをたくさん考えている。
それがこの本一冊に、彼女なりの耐えられないくらい胸がいっぱいになるのに面と向かってはうまく伝えられない愛おしさとしてぎゅぎゅっと綴られている。
習い事を"習い事"としか書いてこなかったことでエンタメみが増すP128〜のチャプターに痺れ、時間が経つのを忘れてあっという間に読んでしまった。
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2024.10.18発売の雑誌『CU』の書評コラムで紹介させていただいた1冊。自分の人生がこれからどうなるかわからない、自分のやりたいこともできることもわからない——そんな漠然とした不安を抱えながら生きてきた経験と、その時々考えたことを赤裸々に、ユーモアたっぷりの文体で綴っている。
飾っていない伊藤亜和さんの人柄に触れるたびに、ポジティブにさせてくれた一冊だった。僕も自分の身に起きた面白いことや楽しいこと、悲しいことさえもこんな風に綴れたらなと思う。
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4.5よりの5!
文章が軽快でこんなにも人柄が出るんだって面白い。読者に何か伝えようとかそういうエゴが感じられない不思議な文章。脱力しすぎて5じゃないのかも?
でも好きな文章を書いてて書籍も出版してってすごい素敵なストーリー。でも彼女としてはストーリーに消化されるのは嫌そう。これがゴールじゃないしゴールってなに?って思ってそう笑
これからも応援したい!
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絶妙—
この本を読み始めてから最後まで一貫して私が感じたことである。
日頃から私は人の気持ちや感情は白黒ではなく白と黒の間のグレーゾーンにあると考えているが、伊藤亜和さんはそのグレーゾーンを自由に動き回り、我々では言語化できない気持ちや感情をドンピシャで表してくる。
だから、読んでいると妙に心地よさを感じるのである。
読んだ人が「そうそう、同じこと思ってた」、「そうそう、こういうこと言いたかった」と言っているのが聞こえてくる、そんな本である。
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なるほど、ね。
ジェーン・スーさんに注目してたら⁉︎
辿りつきまして。
温度感のない文章と、静かに刺さるワード。
エッセイ⁉︎なんだか、違う感か、なと、感じました。
セネガル人のパパとの喧嘩。
読書を楽しむ母。
ブタニクの話。
山男とじょっぱり女。「放送」
⑤よかった。親孝行に、気がつく。学ぶ。
アマチュアのクレーマー山口。
メメとスピノザ‼︎
めっちゃ気になるのだけど…。
な、コトが、盛りだくさん。
日々、日常の切り口が軽くないエッセイ。
巻末もキチンと読ませてくれる。
タイトルのルーツ⁉︎
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noteに掲載した「パパと私」がXで注目を集める。家族・人間・愛を綴ったエッセイ集。
「パパと私」
警察が来るほどの大喧嘩をして以来何年も一度も顔を合わせていない。喧嘩の様子はチョップやドロップキックが出てくるほど激しく痛々しい。
''あれからパパは私の話をしなくなったらしい。
中略
今もパパは弟にお説教をすとき「亜和はひとりでも生きていけるくらい強い。すごい子だ。お前も見習え。女に負けるな」と言っているらしい"
すごい大喧嘩をしても娘を認めているところがいいなと思う。
エッセイはもちろん、ジェーンスーさんとの巻末対談も、あとがきにも、人柄があらわれていて素敵な女性だなと思いました
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彼女の存在を知ったのはなんでだったか思い出せない。
が、話題になった(この本にも収録されている)“パパと私”を読んだのは発刊後だと思う。
本を読めなくなって久しい。
今年も数冊チャレンジしているが読み切ったのはこれが初。
いちばん好きなのは「わたし」
少し泣いた
山口さんとのやりとりも好き
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noteの記事「パパと私」が話題となった彼女は一体"何者"なのか__
俯瞰的で淡々とした語り口の中、感情の起伏を表すように文章が熱を帯びる箇所があった。何者かになりたくて、抗って、苦しみ、羨んだ...亜和さんの飾らない言葉が胸を打つ
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家族、恋人、友人。それぞれの人たちをいろんな角度から愛している亜和さんを尊敬せずにはいられなかった。
そして私の両親も国際結婚なので、家族を想いながら読んでいると自然と涙が出た。
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ジェーンスーさんがnoteの記事「パパと私」をXで紹介していたのをきっかけに著者を知りました。
登場する「山口」や「メメ」、同居する祖父母も魅力的だけどなんだか全体的に淡々と書かれた文章で読みやすい。表現力も絶妙で、今後の活躍に期待したい方です。
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OVER THE SUNで紹介されてたから読んでみた。
年下のエッセイってなんとなく悔しい気持ちになるから読まないんだけど、作者の生き方・境遇が自分とかけ離れているからなのかあまり嫉妬せずに楽しく読めた。
ギョッとするような事件も、日常の些細な出来事も一貫して冷静な文章で書かれているのが独特。
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ジェーンスーさんがラジオでおすすめしていたので、読みました。
綺麗な文章なのに、なぜかSNSか動画コンテンツを見ているみたいに軽く読めるところに、人に読ませる文章を書き慣れているなと感じました。SNS世代だからか、これが文才というやつなのか…
内容は、素直に赤裸々に日々の出来事を書かれています。私もそう思うことあるある、と代わりに表現してもらったと思う部分が多かったです。
スーさんとの対談でも書いていたけど、私も外れ値的な立ち位置で育ったからかな。
これからも文章を書かれるのであれば、彼女の世界観がどのように変わっていくのか、見ていきたいと思いました。
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異様なまでの客観的なエッセイで、「本当に思ってること書いてんのかな。見せるための文章では?」と、どうしてもSNS的な文章だなと感じてしまった。女友達とのやりとりは正直寒い。ただ、恋人の話あたりで著者の可愛らしさを感じた。共感はしないけど、自分にとって大事な事を話してくれているんだなと思った。
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曝け出してるな、とことん。正直な方だなという印象。話は好き好きあるが、引き込まれるものがあり
読み進める。知的で哲学的な考えにも惹かれた。やはり山口とメメの話は好きである。でもやはりパパと私かな。そしてミランクンデラ存在の耐えられない軽さは未読であったので彼女のおかげで読むことになった。この世界線が本を読む意義でもあるな。
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「パパと私」がネットで話題になったエッセイ集。
実際「パパと私」は本で読み返してもうわー!!!となったのですが、読み進むに連れちょっと飽きてしまうというか、エッセイだからそりゃそうなんだけど、基本家族とか出自の話なんだなあ、なんて思っちゃいました。
文章センスはちょっと度肝を抜かれるほど洗練されてて驚きましたが、最後まで楽しく読めるかって言うとそこまでではなかったかな、となりました。同じエッセイでも北大路公子とかとは対極というような。
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大切な方に買っていただいた本。
全く人物像を知らない方のエッセイを読むのは新鮮だった。
これまで、小説作品を読んだことのある作家や、芸能人のエッセイを読んできたので。
文章は上手で表現も面白いけれど、帯の「各界の著名人、激賞!」というほどの良さは、私には分からなかった。全体をとおしてちょっと暗い雰囲気。
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著者とその周りの方々との関係やエピソードを中心に、俯瞰的な視点でユーモアを交えながら著者が感じたことを綴ったエッセイ
あまりエッセイというジャンルに興味がなかったが、最近読んだ向田邦子氏のエッセイがとても面白く、他の方のエッセイも読んでみたいと考えていた頃、noteやYouTubeで著者を知り、興味を持って本書を手に取った。
それほど多くのエッセイを読んだことがないので、あまり偉そうには語れないが、エッセイを読む楽しさの半分以上は文体を楽しむことだと思う。その「文体」とは何かと問われれば、文章のリズムと言葉選びなのではと思うが、本書に関してはそのどちらも心地よく、音楽でも聴くように読むことができた。また、秀逸な一文で締められる話が多かったのも印象的だった。
多くの話が著者の身近な方々を中心として描かれており、彼ら/彼女らへの愛情を感じられる本だった。
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▼「小説家志望の若い女性がSNSなどに書いた自分史的文章」が、著名人に激賞され、イッキにブレイクして本になった、ということだそうです。
▼従って、この本は自分史晒しエッセイです。多少ゆるいところもありましたが、それなりにオモシロく読み切りました、基本恐らく若い女性向けでしょうから、当方が大感動しないのはむべなるかなですが。
▼主人公というかつまりは作者の伊藤さんは、(創作をしていない限りは)恐らく関東圏のご出身で、お父様がアフリカ系の方で、イスラム教徒で、肌の色で言うと黒人さんである。お母様は日本人である。つまりはご両親が国際結婚で、いわゆる「ハーフ」。そして伊藤さん自身が見た目は「黒人さん」。なんだけれど、日本生まれ日本育ち日本国籍、日本語しかしゃべれない。
ありていにいうと、上記の特殊性と、そのお父様との葛藤がいちばんの「売り」なんですね。
▼そして、当然ながらかなり赤裸々に晒していらっしゃる(そうぢゃないと話題にならないでしょうね)。お父様はかなりの激情家のようで、かつイスラムの戒律に忠実なようで、愛が深い一方で、カッとなると暴力をふるう人だった。そして伊藤さんが思春期頃?に離婚した。伊藤さんは母親と暮らすことになった。以降はお父様は、どうやら近所で暮らしているようだけど、絶縁状態のよう。
▼伊藤さんは見た目が黒人さんですから、日本人の子供の社会ではいろいろ辛い思いもされたよう。それから、お父様もお母様も、「お金持ち」でもなかったようで。そして伊藤さんは大学生くらいの頃には「作家になりたい」と思う。そして恐らく外見もその頃にはエキゾチックな魅力?もあったようで、ご本人曰く「ほんのちょこっとだけモデルの仕事」もされたそう。大学を卒業するが、会社員になるのではなく、作家になりたくて、水商売など仕事転々しながら過ごす。そしてSNS(”note”というのかしらん)で自分晒しエッセイを書く。それがあるとき、お父様との赤裸々なあれやこれやを書いたものが、著名人に激賞され、イッキにネットで大ブームになる。出版社からホンにしないかと声がかかる。
▼ということだったようで、正直、本全体の半分くらいは「自分史エッセイの本を出せる!そのためにもうちょっとネタが要る!」という需要がありけりで書かれたもので、女友達との珍道中なプチ旅行記とか。そのあたりは、正直言って面白くはありません。
まあ・・・、若い人が「ワタシって、私たちって、ほらこんなにちょっとユニークなんですよ自慢」の延長に過ぎないような。
▼ただ、それらも含めて読ませる文章力は、これは上質なんだろうなあとは思いました。
Posted by ブクログ
ジェーン・スーさんが絶賛してたのでいつかは読みたいと思ってて、いまだと思って買いました。よかった。共感はあまりしないし考え方自体がめちゃくちゃ好き!という感じではないけど、言葉の選び方は好き。小説も書いてらっしゃるのかな?読んでみたいな。
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「パパと私」が評判になってた というのを知らずに読みました。各界の著名人激賞!とあって なるほど!という感じでした。読んでもらうより 読ませる 文章がすごく上手い。結構 キツイ内容もあるのに さらーっと読めちゃうのが 不思議。巻末対談で ジェーン・スーさんが
文章は練習すれば上手くなるものだけど 世の中をどうみるかはセンスだと思う とおっしゃるのを読んで あーそうかーと納得。noteも覗いてみたくなりました。