あらすじ
出版社の営業部員・馬締光也(まじめみつや)は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書「大渡海(だいとかい)」の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作! 馬締の恋文全文(?)収録!
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2012年の本屋大賞を受賞し、松田龍平さんと宮﨑あおいさん主演の実写映画でも話題となった本作。
いつもなにげなーく使っている辞書の裏側に、こんなドラマが潜んでいたとは…!
「辞書」の持つ、愛想のなさやお堅いイメージのせいか、エライ先生たちが事務的にクールに作っていると思っていたのは、どうやら間違いだったようです。
熱い、熱いよ…!
辞書作りに携わる人たちの、なんといきいきとしていることか!
興味のない人間にしてみれば、「あがる」と「のぼる」の違いなんてどうでもいいことだけど、主人公の馬締くんにとっては大問題。融通がきかなくて、クソ真面目で不器用……でも、そこが逆に愛おしい。こういう男はいい女を捕まえるものである…と思ったら、ほらやっぱり。
そう、これは仕事小説としても、ラブストーリーとしても楽しめる、おいしい一冊なのです。
ちなみに、2016年秋にはノイタミナ枠でアニメ化も予定されているそう(キャラデザはなんと雲田はるこ先生!)。(書店員・水玉)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
NHKのドラマを見た後に読みました。
辞書作りの終わりのない苦労、登場人物のキャラクターがとても面白かった。
松本先生が亡くなってしまうのは残念でした。
私も癌を患っているので、先生のように人生をかけてなす仕事があることが羨ましく思え、次に生まれ変わるとしたら、仕事に関わらず何か志しを持ってできる何かを持ちたいと感じました。
あと何年生きれるのかわからない(誰もわからない)ですが、今からでも何かできることがないか考えてみたい気持ちにもなりました。
Posted by ブクログ
NHKのドラマを見て本も読んでみたくなった。
ドラマを見た後なのに、松本先生の言葉には目頭が熱くなったし、馬締のキャラクターも好きだった。捕まえることなんてできない言葉を辞書にすること、その意味、言葉が持つ力、いろんなことを感じさせられる、かつ、ほほえましい物語でした。
Posted by ブクログ
辞書という全く自分の趣のなかったものにも、作る人の苦労があり想いがある。
《引用》
言葉は時として無力だ。
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物理的な死を超えてなお、魂は生きつづけることがあるのだと証すのもの。
ニヤニヤしながら読んだところもあるから、誰かに見られてたら恥ずかしいね。
Posted by ブクログ
映画化、ドラマ化されているがNHKのドラマが1番好きだ。BSで見て、地上波で見て、やはり,本を読もうと思い手に取った。
読みやすい文章で時間を忘れて読みいってしまう。
ドラマでは描かれていない部分が第1章。
辞書編集部やかぐやとの出会い、頷きながらサクサク読める。
そしてドラマとは違う終わり方、そうか、そうなのかと思いながら読める。
何度でも読み返したい名著。
仕事に疲れた時にも読み返したくなる。
仕事の意味も教えてもらえた。
Posted by ブクログ
どうして早く読まなかったのか‥!と自分を叱咤したくなりました。何となく手に取らずに居ましたが、読書好きなら読むべしと知り合いから言われて完読。
とても素敵な小説でした。タイトルもお洒落。
テーマは「辞典」です。登場人物が全員個性的ですが、本当の悪人はいません。
愛情溢れていて、馬締と香具矢が微笑ましい!お互いの仕事を尊重し、支え合ってる。不器用なところも身近に感じられてすごく素敵です。
タケおばあさんも、西岡も良いキャラで物語を盛り上げてくれます。
馬締の職場で働きたいなと思いました。
言葉は本当に奥深くて日常に欠かせないものなんだと、強く感じられました。お互いを尊重する事は、自分自身を成長させるのかもしれません。
Posted by ブクログ
やっと読んだぜ本屋大賞。
辞典ひとつ作成する為には、そりゃあ膨大なページと文字のバランス、紙の質感、厚み、誤字のチェックなど、途方もない作業の繰り返し完成されるのだと。知ってるようで知らない世界に没頭させて貰った。
そんな作業を日々繰り返す愛すべき変人たち。笑いと、関心と、最後には泣かせて来るとなれば最高評価せずにはいられない。
Posted by ブクログ
言葉に対する興味をより強く持つことができた。膨大な言葉に触れ合い、自分にしか出来ない表現を身に付けていきたいと思った。
辞書を編纂するという過程を魅力的な小説に仕上げる力量に感嘆した。
Posted by ブクログ
三浦しをんさん大好き。
人物像の描写が卓越。
様々な困難に立ち向かいながら舟を編んでいく仲間たち。
笑いもあり、明るくて前向きになれる物語だと思う。
Posted by ブクログ
1.仕事物としての面白さ
辞書作りという、普段は想像もしない世界の仕事の流れが鮮やかに描かれていた。用例を集める地道な作業や、細部にこだわる校正の場面は、一見地味なのに、読んでいると息を呑むほど緊張感がある。『大渡海』が完成した瞬間、長い年月の積み重ねが一気に報われるような感動があった。自分の仕事にも「良さ」はどこにあるのかを改めて考えたくなった。プログラミングも地道な作業と細部へのこだわりの結晶だと信じているよ。
2.仕事に対する熱い想いがよかった。
登場人物みんなが仕事に対して熱い想いを持っているのが感じられてよかった。馬締が熱心なことは当然として、西岡やみどりもみんな結局熱い人だった。まさに「魂の熱量過多」な感じがする。馬締のような仕事人間タイプでも回りの人から愛される物語に救われた。俺も必死に仕事を中心の生活をしていたが、それでいいのかと思うようなことも多かった。この小説が「仕事に真摯であることは、その人の魅力でもある」と肯定してくれた気がした。俺にも自分を理解してくれる“香具矢”のような存在がいてくれたら…と願わずにはいられなかった。
3.文学的表現がよかった。
香具矢の登場シーンのきれいな感じや、言葉の説明を考えるときの苦悩している感じがよかった。小説で読む良さを感じられる点になった。辞書という仕事関連で、「左右」の説明や「大渡海」に込めれらた意味なども面白かった。
Posted by ブクログ
最後は泣いた
難しい?真面目?そうなタイトルからは想像できないテンポ良い出だしで、読みはじめてすぐに声を出して笑ってしまい、あっという間に物語に引き込まれた。不器用な人たちが精一杯に生きていくその姿に胸を打たれた。
『人は辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かびあがる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。』
最後は思わず泣いてしまったし、まだまだ読んでいたかった。
良かった
映画上映された時話題になっていたが、スルーしていた、あるきっかけでアニメ版を観てなんとなく原作本を購入して読んで凄く世界感が素敵で読んでいて楽しかったです。
Posted by ブクログ
辞書をつくるお話なだけあって、的確な日本語が使われていた。というか知らない言葉が多かった!
以下調べた言葉たち。
めれん
物故
注進
自愛専一
カストリ
装幀(装丁との違い)
茫洋
豪放磊落
嚆矢となる
花布
松が取れて
輾転反側
ただ、辞書ではなくグーグルの検索窓で調べた。辞書は学生時代以来手にしていないし、家にもない。知らない単語をスマホでサクッと調べることが、少し寂しいことのように思えた。
辞書ごとに特色があるのも知らなかった。辞書にこんな熱い想いが注がれていることを意識したこともなかった。辞書をつくる過程がみえて面白かった。辞書を買ってペラペラとめくり読みしたくなった。
「西行」をめぐる西岡の心境の変化、まじめの辞書に対する考え方の揺るがなさが特に好きだった。
Posted by ブクログ
三浦しをんさんの文章は女性的でも男性的でも、感情ベースでも事実ベースでもなくニュートラルな感じがして個人的にすごく読みやすい。
辞書作りの大変さや辞書にも性格があることなどを知れた。登場人物みんな分量に関係なく個性的で魅力があり愛着が湧く。西岡の章が特に好きだった。
Posted by ブクログ
言葉は色々な形を持って私達と関わっている。言葉が生きた時間は長く、その時間の分だけ言葉は変化している。そんなことを教えてくれる小説だった。
様々な人間ドラマを挟みながら展開される、情熱的な辞書編集作業は、読んでいるこちらまで手に汗握り、体を震わせ、最後には目頭を熱くさせるような臨場感があった。
三人称の小説が読みたい。そんな思いで手に取った小説だったが、駆け抜けるように読んだ今は、胸の内に仄かな熱が宿っている。面白かった。文章に巻き込まれ、冷静ではいられないほど感情を揺さぶられる。最高の小説だった。
Posted by ブクログ
いい意味で想像を裏切られた。
辞書が題材ということで難しい言葉だったり堅いものかと思ったが、ユーモアのある個性豊かな登場人物と温かくも力強い物語にすぐに引き込まれた。
辞書を読みたくなるような一冊。また言葉の大切さも実感した。
Posted by ブクログ
本屋大賞を受賞、ドラマ化されるのも納得の一冊。
とにかく読みやすかった。
家にある辞書を引張り出してきて暫し物思いに耽る、いいもの読んだなーって感じ。
Posted by ブクログ
辞書という日常的でありきたりなものに情熱を注ぐ人に心動かされた。自分も仕事をする際にはこの人たちのような情熱を持って向き合いたいと思った。また、向き合える仕事を見つけたいと思った。
Posted by ブクログ
「辞書が好きな人」がいると知って面白かった。一つの辞書でもどの言葉をいれるか、どのような解説にするか、紙の質までとことんこだわっていると知って面白かった。
キャラクターも面白い!
Posted by ブクログ
ハートフルなお話。登場人物をすべて抱きしめたくなる。みんなどこか憎めない、一生懸命で魅力的な方たちばかり。
何かに真剣になるってかっこいいな、いいな。
Posted by ブクログ
辞書というニッチな題材だから面白かった、だけではなかった。
個人的に心にグサッと来たのは主人公”馬締”の同僚の”西岡”の心情の部分。仕事にそれなりに向き合いながらも、誰かの熱量やを羨ましく踠く、全ての人に読んでほしい。
「まーくん、いい辞書を作ってね」
特に西岡と彼女のやりとりは、西岡と同じく熱の魂が喉に上がってきた。
綺麗事かもしれないけど、やっぱりお金を稼ぐだけじゃ仕事ら続けられない。熱中してる、真摯に仕事に向き合う人たちに恥ずかしくないように自分のできることをやっていこうと思えた。
Posted by ブクログ
辞書製作に編集者、営業、専門家、製作業者などそれぞれの立場で没頭する姿、それを何年も重ねてようやく完成する、素晴らしいチームプレイの集大成となる成果物を作り上げて行く過程が素晴らしく、印象に残りました。最初は自分に合わないと思っていた者がだんだん取り込まれ、天職のように成長していく様子も素敵でした。程よい距離感で物語が進んで暑苦しくなく読みやすかったです。
Posted by ブクログ
飄々と情熱を注ぐ 私は感情のコントロールが出来ず、毎日ドンチャン、てんやわんやの日々を送っています。家族も友人も、同僚も私に関わる人には迷惑をかけて生きていると自認しています。申し訳ありません。
そんな私でも後世に紡いでいきたい思いや、気持ちを持っています。特に、これまで諸先輩方が残してくれた、生きることの楽しさ、苦しさ、哀しさ、愛おしさは伝えられたらと思っています。
そんなことは、自分で知るものかも知れませんが。。。
Posted by ブクログ
本の中でも普段あまりスポットライトの当たらない「辞書」を題材とした小説。ですが、そんな読む前の認識を一変させるかのような、馬締さんの辞書にかける情熱にこちらも胸が熱くなりました‼︎語釈や用例が正しいかを何時間かかってでも追求する辞書編集部員達の姿を見ていると、たくさんの言葉で溢れた海の中で自分は適当に言葉を選んでいなかっただろうか…と考えさせられます。普段何の気無しに使っていた言葉をもっと大事にしたいと思わせてくれる小説でした‼︎
Posted by ブクログ
辞書を買いたくなりました。
最後に使ったのはたぶん中学生…。
この話を読み終えた今、辞書との距離が近くなったような気持ちになる。
とはいえ、他部署から移動してきた
岸辺さんが、馬締さんに対して戸惑う気持ちは
現状の自分と上司の関係性に似ている部分があった。
そして、ちょっと希望をもてた。
登場人物の中で、嫌な人がいなかった印象。
それぞれが肯定されてる書き方よかったな。
Posted by ブクログ
読みやすかった。
題材が興味深いし好き。辞書をじっくり眺めてみたくなった。
どこかテレビドラマのあらすじ記事を読んでいるみたいで、今まで読んできた他の小説とはちょっと様相が違う感じがした。
「ふんふん、そんで?」とずっと思いながら読み進める感じ。淡々としているといってもいいかもしれない。
Posted by ブクログ
今は携帯で何もかもが調べれる時代
辞書という物が誰がどうやって何を思って作られていたのかこの本を読むまで知らなかった。
便利なこの時代でも本を通して知ることが出来ることがまだまだ沢山あるんだな
Posted by ブクログ
読書再開したいと思い、You Tubeの読書本でお勧めされてたので購入
読み始めは、久しぶりの私には読みやすい
面白くなりそうな予感がした
読み始めて、直ぐの頃
メンタルの調子を崩してしまい
少しずつしか読めなくて、読み終わるのに2ヶ月かかってしまったけど
本を読むことが続けられて、読み切ったのは
小さな達成感になりました
人気作品なので、調子が良くなったら
また、読み直したい
Posted by ブクログ
三浦しをんさんの作品に好きものが多かったので、満を持して読みました。
自分の仕事も半年かけて何千人に関わるような仕事に携わっているので(十数年単位で編纂される方々と同じというのはおこがましいですが)、膨大な情報量を編み上げる感覚というものはよく分かります。
同時並行で大量の情報を捌かなければならないので、脳みそが古くなったリチウムイオン電池みたくパンパンに膨れ上がるんですよね。
というわけで、今回は楽しく読むというよりは分かる分かるという感覚で読んでしまいました。
Posted by ブクログ
言葉の偉大さが分かる一冊。
有名な本らしいが、恥ずかしながら私は知らずただあらすじを読んでおもしろそうと思って手に取った。
色々忙しく、読み終わるのに時間がかかってしまったがやっと読み終わった。
「言葉は、言葉を生みだす心は、権威や権力とはまったく無縁な、自由なものなのです。」
言葉は自由で偽りがない。何かを伝えるには言葉が必要。でも、その言葉をどう使うかによって、人によって伝わり方、表現も、変わってくる。数多くの言葉を当たり前ように使っていたけど、この本を読んでから言葉がどれだけ偉大でどれほどの意味があるのか知ることができて、楽しかった。
海外に住んで、外国語を使ってる私からすると、この本を通して日本語の美しさも知ることができた気がする。22年間生きてきたけど、まだまだ知らない言葉が多い!これを読んだあとに、辞典を読むのが楽しくなりそう。