あらすじ
東京の片隅で、中年店主が老いた父親を抱えながらほそぼそとやっている中華料理屋「昭和軒」。そこへ、住み込みで働きたいと、わけありげな女性があらわれ……「夕映え天使」。定年を目前に控え、三陸へひとり旅に出た警官。漁師町で寒さしのぎと喫茶店へ入るが、目の前で珈琲を淹れている男は、交番の手配書で見慣れたあの……「琥珀」。人生の喜怒哀楽が、心に沁みいる六篇。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
短編6編。現状、幸せとは思えない主人公たちが、恵まれない現状から一歩先に進もうとするストーリー。
ほんのり温かかったり、固い決意だったり、さまざまだけど、人はまだまだ頑張れるんだな。っていう勇気をもらえた気がする。
人生っていい事よりも悪い事の方が多いらしい。でも悪い事も考えようによってはいい事に向かうステップにもなりうるのかも。
Posted by ブクログ
浅田次郎作品は、ノスタルジックな雰囲気がとても好きなのだけど、この作品集はその持ち味にプラスして、いろんなジャンルの話があってとっても好きだった!
全て読後感が良く、終わってもはぁ…と余韻に浸る感じ。
全部が全部ハッピーな終わり方では無いのだけど。
考える隙を与えてくれるこの短編集は手元に置いておきたいなぁ。
Posted by ブクログ
「特別な一日」が一番よかった。定年最後の日と思いきや、実は…。いま読むのと、10年後に読み返すのでは、さらに感想が変わるんだろうなぁ。
Posted by ブクログ
6つの短編からなるこの小説はどの章を読んでもすぐに映画のような映像が浮かんでくる。
登場人物が生き生きとそれぞれの置かれた境遇でそれぞれの運命を受け入れながらも少しの諦観を持って生きている。全てのお話がもやもやと夕闇に包まれて終わっていくようだった。
Posted by ブクログ
表紙の雰囲気が好きで買ってみました。個人的には浅田次郎作品は初めてでしたが難しい漢字が多く調べながら読んでいたため読み終わるまでに時間がかかりましたが、ストーリー自体は面白かったのでスラスラ読めました。
Posted by ブクログ
浅田次郎さんって、不思議な人だと思う。
登場人物の誰も彼もがものすごく人間くさい。
どうしようもない一面
生々しい欲望
切なくなるほどの胸の内
鮮烈で個性の塊みたいなそれらがぐちゃぐちゃに混ざり合っているはずなのに、なぜか立ち上る風景は、全てがセピア色だ。
それでいて、人間くささはあっても
計算くささは全くない。
6つある短編はどれも決して長くはないのに、
なぜか読み終わった時にどっしりと余韻が残る。
余韻に絡めとられて、
すぐに次の話には行き難くなる。
日を変えて次の話を読めば、
また知らないうちにその世界に囚われてしまう。
戸惑いながら読み始めても、
いつしか目が離せなくなる。
いろんな人の人生を、少しずつ覗き見た気持ち。
一体どこまで計算して書いているんだろう。
浅田次郎さんって、本当に不思議・・・
Posted by ブクログ
BSテレ東 西田敏行追悼ドラマ「琥珀」
東京の片隅で、中年店主が老いた父親を抱えながらほそぼそとやっている中華料理屋「昭和軒」。そこへ、住み込みで働きたいと、わけありげな女性があらわれ……「夕映え天使」。定年を目前に控え、三陸へひとり旅に出た警官。漁師町で寒さしのぎと喫茶店へ入るが、目の前で珈琲を淹れている男は、交番の手配書で見慣れたあの……「琥珀」。人生の喜怒哀楽が、心に沁みいる六篇。
Posted by ブクログ
浅田次郎の短編集。
面白かったのは「夕映え天使」と「琥珀」でした。
「夕映え天使」
中年店主がほそぼそとやっている中華料理屋「昭和軒」。そこへ、住み込みで働きたいと女性がやってきて…
短い時間を共に過ごす。
「琥珀」
定年を目前に控え、三陸へひとり旅に出た警官。喫茶店へ入った際に見つけた店主は、時効まであと少しの殺人犯…。
ただし、大手柄を挙げたとしても、報告できる妻もなく。
「本当ならこの秘密をわかちあうであろうたった一人の連れ合いを失ってしまったのだと、米田はようやく気づいた」
歳をとること。人を愛すること。悲しみを描いた味わい深い短編集です。
Posted by ブクログ
SFチックなテイストを感じる小作品を収録した短編集。
定年を迎える1日の話かと思って読み進めた「特別な一日」がそうではない「特別な一日」の話だったことに気づいて「…してやられた。」な。
タイトル作の「夕映え天使」からして、SFとはいえないが、不思議な読後感に包まれる。
時効迄の一週間の邂逅を描いた「琥珀」もいい。三陸の寂れた漁村と偶然そこに降り立った定年間近の老刑事、曰くのありそうな過去を抱える2人のその後が気になる。
「切符」、「丘の上の白い家」も捨てがたい。作者の実体験をベースに書かれたと思われる「樹海の人」も余韻を残す。
おれの認識している浅田次郎スタイルとは異るアナザーサイドオブ浅田次郎のアンソロジー。
つぎは何を読もうか。
Posted by ブクログ
父と息子2人だけの小さな中華料理店。味気ない日々を過ごす俺たちの前に現れた天使のような女・純子。あいつは儚い思い出を俺たちに残し、突然消えてしまった。
Posted by ブクログ
定年間際や初老男性が主とする短編集より
あまり人生上手くいっていなさそうな人達の、感情が伝わってくる。どの話もあまり幸せな展開には感じられなかったけど、各々の気持ちが迫ってきました。
夕映え天使
救ってやれず、本当は惚れていたかもしれないと最後に気付いた感情。それを共有しつつも僅かに反発心を感じる関西のうどん屋。
一緒にいて幸せだった時間がもう戻らないのが、悲しいが諦めてしまっている感もあり、切ない。
特別な一日
定年の日を特別な日にしないと決めて臨んだその日、普通に過ごそうとするのだが、突然の玉音放送。
?戦時の話だったかな、いやいや違うよ、と少し話に追い付けずページを戻す。
特別な日はこの人だけではなかった。急展開だけども周囲のひとも日常を普通に過ごしている。
最後に夫婦でこれから人生よりも長い一瞬を過ごす、という感覚は破滅的に感じるも、幸せなのかもしれない。
Posted by ブクログ
帯には「最多涙小説」、泣かせの浅田次郎とありました。帯に釣られました。
6編の作品集です。表題の「夕映え天使」のラスト、泣けますね。
他も短いながら、どれも映画化できそう。
「特別な一日」は前半、微妙に違和感のある会話が後半で一気に展開が変わります。
起承転結、伏線回収とはこういうことか、
プロの小説家の凄さを感じる作品でした。
Posted by ブクログ
読み出してすぐに前に読んだことがあると気付いたが、物語に引きずり込まれるように積読することになった。
浅田次郎の小説は、知識と調査に裏打ちされて長編も短編も感嘆符付きの素晴らしいものが多いが、特に切ない短編を書かせたら右に出る作家はいないのではと思う。本書もどの編も胸が締め付けられるような切なさが残る。一方、時代背景やシチュエーションがかなりバラエティに富んでおり、SF ショートショートような話もあって面白い。
Posted by ブクログ
どれも浅田次郎らしい、人間の、一言では表現の出来ない感情や思考、生活や人生を描いていると思った。それが短編という形でサクッと読めるので、なんというか、、ちょうど良かった。
Posted by ブクログ
琥珀を読みたくて…。
西田敏行が亡くなりました。彼が出演している2時間ドラマの一つに"琥珀"を原作にしているものがあります。西田敏行、寺尾聰と鈴木京香の3人のが素晴らしくて心に残るドラマの一つです。
Posted by ブクログ
6編からなる短編集。
最初が表題作から始まり、なんか切ない気持ちにさせられる物語で、期待とともに、その後はどんな物語が続くのかなと思って読み進めたが、最初の表題作が自分には1番良かったかな。
Posted by ブクログ
"哀愁"って言葉がピッタリな短編集。
読後のじんわりとくる余韻に浸って、短編という短さで書かれてないあれこれを考えた。
初浅田次郎!他も読んでみたい!
Posted by ブクログ
表題作を含む六篇からなる短編集。
切なさ、空虚、不思議、と様々な感覚を楽しめた短編集。
特に好きだったのは「特別な一日」
そうだろうな〜から、あぁそういうことか〜に変わった。読んでる途中から感じてた不思議な違和感が腑に落ちた。
Posted by ブクログ
帯には「泣かせの浅田次郎史上、最多涙小説」とありましたが、自分の涙腺のポイントとは違っているようで、まったく涙は出ませんでした(笑)
とはいうものの人生の哀愁を感じる物語
6編からなる短編小説
■夕映え天使
■切符
■特別な一日
■琥珀
■丘の上の白い家
■樹海の人
なんとも、驚いたのがSFチックな
「特別な一日」
退職を3か月繰り上げた高橋の、その退職の日の物語かと思いきや、最後はびっくり。
また、
「丘の上の白い家」
はブラックな感じです。
丘の上の白い家の少女に親友の清田を紹介したところ、しばらくして二人は心中したとのこと。
その死の真相は?
遺書のメッセージがブラック..
「琥珀」
では定年間際の老刑事が旅先で、見つけた時効寸前の放火殺人犯。
老刑事のとった決断は?
どの物語も、哀愁を感じるものばかりです。
THE・昭和の物語
Posted by ブクログ
一番最後の「樹海の人」を読んだとき、村上春樹さんの、題名は「鏡」だったと思う、短編を思い出した。夜の校舎だったかで、壁の鏡に自分がうつっていたが、その表情がものすごい憎しみの表情で、怖くなって持っていたバットで鏡を割ったが、後でその場所に行ってみたら鏡などなかった。「樹海の人」は未来の自分が世をはかなんで樹海で自殺しようとするのに出くわしたと信じるようになった。自分は何のために生きるのか、自分とは何者なのか、自分自身の存在意義を考えさせられる。
Posted by ブクログ
この作品を批判する気は毛頭ない。
でも、書店でこの作品を買おうと思ったのは帯に「泣かせの浅田次郎史上最多涙小説!」と派手に書いてあったから。
それなのに、私は6編のうち1つも泣けなかった。
Posted by ブクログ
三十代の女です。
帯の煽り文句のように泣くことはおろか涙ぐむこともなく、共感することもあまりなかったです。ただ、読み終わってから思い返すことが多い小説でした。
特に印象的だったのは、地球最後の日を描いた『特別な一日』でした。たった一日にフォーカスを当てることによって、彗星の衝突が避けられないと知ったときのことやこの三年をどう生きようかと苦悩したであろう人々の思いを想像する余白があり、たくさんの登場人物に思いを馳せることができました。
ひとりぼっちで世界の終わりを受け入れる方もいるようで切なく思いつつも、この一日こそがその人の生き方の集約のように思えたりもしました。でも、人生をそんな一日ごときで語るのは軽いかなとも思いつつ。
もし同じ状況なら私は何をするかな?と考えましたが、なんとなく今とそう変わりない生活を過ごしそうです。
楽園のような花の庭で奥さんと最後を受け入れる主人公は幸せだと、今の私は思います。
私が言えるようなことではありませんが、六編にはどことなく昭和の男性の見栄っ張りなところというか本音を言わないところというか、ずるさというかもどかしさというか……そういうものがあって、これは今の私にはちょっとわからないなぁと思いました。女性として昭和平成令和を生きている私は、素直に物を言ったり気持ちを伝えることの方が得るものが多いと感じているからです。
もう少し歳をとれば分かる想いが増えるのかも知れません。今のなんかよくわからないなーって気持ちをまた違う角度で持ち直すかも知れません。
だからまた十年後くらいにも読み返したいです。
Posted by ブクログ
いくつかの短編で構成された小説
時代背景の匂いがしてきて、没頭するとこが出来た。
あとがきにもあったように浅田次郎が三島由紀夫の自死を経て自衛隊に入隊したのは知らなかった。
Posted by ブクログ
「最多涙小説!」
うーむ。
泣けない。。。
時代背景の古さや、
登場人物の年齢などから、
感情移入できない。
この本だけでなく、
浅田次郎が合わないのかも。
Posted by ブクログ
他の短編集も読みましたが、作者が幼少期のころから現代までの話があります。それぞれの話の主人公も子供から60歳と、さまざまです。それぞれの話で情景が浮かぶような描写があり、本当に素晴らしい文体です。話の終わりにはとても感動します。とくに 特別な一日 は感動しました。