あらすじ
東京の片隅で、中年店主が老いた父親を抱えながらほそぼそとやっている中華料理屋「昭和軒」。そこへ、住み込みで働きたいと、わけありげな女性があらわれ……「夕映え天使」。定年を目前に控え、三陸へひとり旅に出た警官。漁師町で寒さしのぎと喫茶店へ入るが、目の前で珈琲を淹れている男は、交番の手配書で見慣れたあの……「琥珀」。人生の喜怒哀楽が、心に沁みいる六篇。
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Posted by ブクログ
「特別な一日」が一番よかった。定年最後の日と思いきや、実は…。いま読むのと、10年後に読み返すのでは、さらに感想が変わるんだろうなぁ。
Posted by ブクログ
浅田次郎の短編集。
面白かったのは「夕映え天使」と「琥珀」でした。
「夕映え天使」
中年店主がほそぼそとやっている中華料理屋「昭和軒」。そこへ、住み込みで働きたいと女性がやってきて…
短い時間を共に過ごす。
「琥珀」
定年を目前に控え、三陸へひとり旅に出た警官。喫茶店へ入った際に見つけた店主は、時効まであと少しの殺人犯…。
ただし、大手柄を挙げたとしても、報告できる妻もなく。
「本当ならこの秘密をわかちあうであろうたった一人の連れ合いを失ってしまったのだと、米田はようやく気づいた」
歳をとること。人を愛すること。悲しみを描いた味わい深い短編集です。
Posted by ブクログ
定年間際や初老男性が主とする短編集より
あまり人生上手くいっていなさそうな人達の、感情が伝わってくる。どの話もあまり幸せな展開には感じられなかったけど、各々の気持ちが迫ってきました。
夕映え天使
救ってやれず、本当は惚れていたかもしれないと最後に気付いた感情。それを共有しつつも僅かに反発心を感じる関西のうどん屋。
一緒にいて幸せだった時間がもう戻らないのが、悲しいが諦めてしまっている感もあり、切ない。
特別な一日
定年の日を特別な日にしないと決めて臨んだその日、普通に過ごそうとするのだが、突然の玉音放送。
?戦時の話だったかな、いやいや違うよ、と少し話に追い付けずページを戻す。
特別な日はこの人だけではなかった。急展開だけども周囲のひとも日常を普通に過ごしている。
最後に夫婦でこれから人生よりも長い一瞬を過ごす、という感覚は破滅的に感じるも、幸せなのかもしれない。
Posted by ブクログ
三十代の女です。
帯の煽り文句のように泣くことはおろか涙ぐむこともなく、共感することもあまりなかったです。ただ、読み終わってから思い返すことが多い小説でした。
特に印象的だったのは、地球最後の日を描いた『特別な一日』でした。たった一日にフォーカスを当てることによって、彗星の衝突が避けられないと知ったときのことやこの三年をどう生きようかと苦悩したであろう人々の思いを想像する余白があり、たくさんの登場人物に思いを馳せることができました。
ひとりぼっちで世界の終わりを受け入れる方もいるようで切なく思いつつも、この一日こそがその人の生き方の集約のように思えたりもしました。でも、人生をそんな一日ごときで語るのは軽いかなとも思いつつ。
もし同じ状況なら私は何をするかな?と考えましたが、なんとなく今とそう変わりない生活を過ごしそうです。
楽園のような花の庭で奥さんと最後を受け入れる主人公は幸せだと、今の私は思います。
私が言えるようなことではありませんが、六編にはどことなく昭和の男性の見栄っ張りなところというか本音を言わないところというか、ずるさというかもどかしさというか……そういうものがあって、これは今の私にはちょっとわからないなぁと思いました。女性として昭和平成令和を生きている私は、素直に物を言ったり気持ちを伝えることの方が得るものが多いと感じているからです。
もう少し歳をとれば分かる想いが増えるのかも知れません。今のなんかよくわからないなーって気持ちをまた違う角度で持ち直すかも知れません。
だからまた十年後くらいにも読み返したいです。