小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
各章でそれぞれ違う生徒や人物が主人公を務める連作短編っぽい作り。学園青春モノにアレルギーがあるのでじっくり根気よく取り組もうと思っていたのだが、定時制で年代も育った環境も違う登場人物達は、思いのほか背景がしっかり人格に反映していて魅力的だった。
主要人物は大人ばかりだが、雰囲気はYAなので、読みやすいと思う。
要素だけ見ると、青春モノらしい雑然とした会話や展開がありそうなものだが、良い意味で裏切られた。ストーリー、会話、科学のバランスが良く、全体的に無駄な表現がない作品という印象。
この本は、傷を舐め合ったり、薄っぺらい友情を見せつけてきたり、「ほらほら可哀想でしょ?」「共感できるでしょ?」と馴れ馴れしく話しかけてきたりはしない。ページを進むうちに、どこか理系らしい素っ気なさと、見た目ではわからない整頓された構成が浮き彫りになってきて、内面を知るたびに好きになる。そういう作品だ。
一話目から教室内の人々の背中や顔が見えるので、どんな人なのか知りたい、という欲求がわくのも良かった。
不良の子から話が始まるので、テンションがやや落ちたが、数ページで「こいつ頭悪くないやんけ!」となって、楽しく読めた。
ちょっとしたことで躓いて、やる前から色んなことを諦めるようになっちゃうの、あるよなあ……。大人がきちんと見てあげられればいいんだけど。
生徒達は皆何かを抱えていて、一見バラバラに見えるが、「学校に通いたい」という意思は同じ。登場人物達は現実の苦さも知りつつ、かなり前向きなので、安心して読んでいい。
それにしても……、モデルにした学校があるとなると、現実っていうのも案外捨てたもんじゃないなと思わされる。
誰かが一途に光に向かって走っていると、その背中に光を見てしまうなあ。なるほど、課題図書になるわけだ……。なんとも清々しく、手元に残しておきたい本の一冊。 -
Posted by ブクログ
友人から貸してもらって紙で読んだ ブックデザインもめちゃよくこれは紙で読むべき本だ!内容もずっと等身大を少し深くしたちょうどいい読み口でわくわくが続く 電車を乗り継ぎ継ぎ足しながら多摩川135キロを河口から歩く、だけ聞くとハ〜趣味人ですなあとしか思わないけど、なぜなら宇宙が出来てから135億年だからだと繋がると途端にわくわくのスケールが爆発しちゃう 多弁で人間くさいpanpanyaみたいな それってすごく好きってことじゃん すごく好きだった かつての福岡の小学生の道草をたどりながら初めましての方と散歩する章、2台のポンコツカーナビを連れて目的地を目指す試み(この出オチ企画を最後までオモロにさせる筆ヂカラはさすがのインターネットオモロ仕込みというかんじで懐かしうれしくもある)、かつての青春の学生寮に一泊だけ泊まるときの廊下でのモノローグなんかもよかった 子どもがランダムに指したところを目指して週末お出かけするやつ子がもう少し大きくなったらわたしもやってみたい
日記だけど、今日読み切ってオフィスのデスクに置いておくかたちで返しちゃいたい!と思って1時間半の通勤路で読んでいったら会社の最寄駅に着いてもギリ読み切らなくて しゃーないと歩きながら読んでいってもうオフィスに着いちゃうよ〜でもちょうど読み切りそう〜最後の章のエモーショナルすごい〜〜の緊張の中でオフィスの目の前で読み切って顔を上げて社員証ピッてしてゲートを通って あんまりに感情が昂って涙目で出社してしまった その等身大のたましいの伸びがこの本の読後感ととてもあってて最高に気持ちよかった! -
Posted by ブクログ
ネタバレ読んでいて全然飽きなかったし読みやすくてとってもよかった◎
最後まで読んで、店長だいすきになった。
最初はこんなところでは働けないとおもってたけど、だんだん可愛く思えた。梨木君の人のことばっかり気にして自分のこと後回しなところにも気づいて、オムライスにレンコン入れてくれたり。口は悪いけど目立たない思いやりがあって素敵だなと思った。梨木君との掛け合いも面白かったしアフターデイズも好きだった。
態度が悪い人、意地悪な人にもそうなってしまう原因があったのかもと思えば人を憎まなくて済むのかと思った。
常磐さんの話は泣いた。いい親子だと想う
名刺がわりの一冊になった!
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Posted by ブクログ
ネタバレ人間が不老不死になったパラレル世界を群像劇で描いた作品。一体どんな世の中になるのだろうと読者にも思考実験を促してくるようで実際にあれこれ考えてしまう。特にタイトルの「百年法」は飽和する人口と停滞を解消する手段として掲げられるが、「HAVIという不老処置を受けて百年経ったら強制安楽死」という内容は一般的には人権侵害という感覚しかない。けれども深刻な社会問題に必要な処置だと改革を訴える登場人物達の熱心さを見ていると、私達の世界とは前提が違うのだし、そうなのかと説得させられてしまう上、否決した時には一緒に嘆息してしまう。けれども実際に期日を迎え、死を受け入れた人や拒否者にクローズされると今度はやっぱり人権について考えてしまう。全体的に非常にうまい構成になっていた。メタ的な視点でもどのように物語、掲げられた問題を畳むのだろう、この人類はどこに向かうのだろうと思っていたので、良い着地になっていたと思う。不老不死のカラクリが巧妙だった。またアレルギーのように嫌われそうな独裁の扱いについてもうまい具合に描かれていたなと感じた。
個人的には不老不死の世界は生き過ぎた個人主義になっていてダメだなと思った。国とは集団の集まりで構成員の帰属意識、そして国という仕組みを維持しようという意思が必要になる。この国という集団を分解していくと都道府県とか市区町村とか最終的には家族まで小さくなるが、この世界では家族という枠組みは崩壊してしまっている。大切な人、家族、とりわけ子供の為に良い未来を作りたいと考える人は多いと思うし、社会作りにはそうした考えが少なからず基盤になっていると考えているが、この物語の社会では家族の柵が失われた結果、原動力や頑張る理由、社会を維持する為の意味が揺らいでしまっている。安全安心な社会は自分が生きている間には必要だろうが、個人主義な世界観では死んでしまった先はどうでも良いと考える人も多いだろう。そうすると百年法って毒にしかならないような気もするが、有限であるリソースの事を考えると本当に扱いが難しい。ひとつ驚いたのはこの世界では安楽死が認められていなかったことだ。真っ先に議論されそうなのに。でもこれを認めると作中の停滞社会では不利な若年層の死亡率が上がるのだろうか…
不老不死社会は色々と思考実験の甲斐がある。難しい問題も多そうだ。面白い機会を得たと思えたし、シミュレートの結果としてひとつの世界の歴史を垣間見れて満足している。 -
Posted by ブクログ
面白かったー。痛快!愉快!!
20代の頃に読んでたら、菖蒲のこと理解できなかったかもしれないし、むしろ嫌悪感を抱いたかもしれない。でも、自分も大人になったことと、コロナによるパンデミックを経験して、人生楽しまないともったいない!時間と体力とチャンスは有限であることをつくづく実感させられた今、自分の価値観とかマインドがだいぶ変化したと思う。今やりたいことできることを、お金がかかってもやっていこうって思うようになった。だから菖蒲の気持ちにすごく共感したし、だからといって菖蒲のようにはなかなかやりたい放題できなくて、読んでいて自分の代わりに楽しんで人生を謳歌している菖蒲を見てとても爽快な気分だった。
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