【感想・ネタバレ】ハゴロモのレビュー

あらすじ

長い不倫の恋が終わったほたるは、彼と過ごした東京を離れてふるさとに戻ってきた。失恋の痛手を負いながら祖母の喫茶店を手伝うほたるは、出会った瞬間に懐かしいと感じる赤いダウンジャケットの男の人に出会う。確かに会ったはずなのに、なぜ思い出せないんだろうーー。
誰かを失った心の痛みをゆっくりと癒してくれる、あたたかな物語。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

るみちゃん、好き。
人のやさしさはハゴロモ。心の成長を一押ししてくれる。すごく沁みた本。読んでよかった。

人も幽霊も同じだよ、こちらの思い入れで接すると必ず痛い目に合う。・・・背筋を正して接していれば何かわかりあえるものがある。

あのおじさんは君と見ている世界が違うから、自分の世界を大切にして、何度壊れても作り直してね、

そして突然、わかった。
私は失恋してかわいそうな感じで東京追われてきたので仕方なくここにいるわけではなくて、今ひまだし、好きこのんでここにいるのだ、
そしてこれからもどこにいたっていいのだ、とい
うことが。

あとがき
もし自分が本当に弱っていて、でもそれが病気や事故など命に関わることではなくって、そんなことでこんなに弱っている自分も情けない…と言う気持ちの時に、この小説を誰かが書いてくれたらいいな、と再読して人ごとのように思った。

0
2025年10月27日

Posted by ブクログ

川の流れや雪景色に優しく包まれたおとぎ話ヒーリング小説だった。
サッポロらーめんの塩とみそミックス食べたい。
悪役令嬢転生ものや溺愛漫画を読みすぎて、お互いゆるゆかに好意を持っている男女をすぐくっつけたがる自分がいるが、その関係性でなくても支え合える尊いやさしい羽衣的ソウルの関係もあるんだよ!と自分に喝を入れた

-人の、意図しない優しさは、さりげない言葉の数々は、羽衣なのだと私は思った。いつのまにかふわっと包まれ、今まで自分をしばっていた重く苦しい重力からふいに解き放たれ、魂が宙に気持ちよく浮いている。

0
2025年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ばななさんがあとがきで、弱っている時にしか価値がないとも言えるが、弱っている時にじんわりしみてくる気がする小説だと書いていた。出会うべき時にこの小説に出会えた気がする。なんとなくずっと苦しくて落ち込む数日間を過ごしてたのに、この本を読んだらホッとした。川とか山とか、親しい人との繋がりとか、本当に大事にすべきものが人間にはあると思います。(この本読んでTwitter消せた!!)

「でも私だって、実のところ、もしもみんなが等しく鳩を愛するだけの世界だとしたら、私はそこに住んで幸せだろうか?っていつでも考えてしまうもの。別の考えに触れたときの感じは、やっぱりいつでも衝撃的で、自分の世界が広がっていく気がするから。」

対立したり、自分の気持ちが人にわかってもらえない時ってとても苦しいけど、それが人間の面白さであることを忘れずにいたい。

0
2025年01月02日

Posted by ブクログ

高校生以来の再読。内容は何も覚えてなくて、ただ好きな小説のひとつという印象だけ残っていた。

久しぶりに読んでみたら、よしもとばななの言葉選びや文体が懐かしく、当時と変わらず好きだと思えた。

あとがきに書いてある通り、どうにもほっとできない気持ちの中にいる人が、ふと読んで、何のメッセージを受け取るでもなく、ただちょっとだけ苦しみのペースを落とすことができるような、そんな本。

0
2024年04月14日

Posted by ブクログ

2024年、読み始め!
またもや温かい光で包まれたお話だった。

時は淡々と進んでいくのに、ある時点に自分の気持ちが囚われてしまって、今との乖離がどんどん大きくなっていってしまうことって、たしかに亡霊になるのと一緒だなあと思った。森絵都さんの『ママ』に出てきたセリフを思い出した。
(これが収録されているのは出会いなおしだっけ、風に舞い上がるビニールシートだっけ)

川の流れとともに、いろんな人との温かい関わりがあって、自分も誰かを助けながら助けてもらって、そうして今をちゃんと取り戻していく感じ、やっぱり素敵だった。
登場人物みんなそれぞれいろんなことを抱えているのに、真っ直ぐ向き合って大人でいる人たちばかりで、すごい。

よしもとばななは回復の物語が多いよね、と母が言っていて、確かに、と思った。

0
2024年01月01日

購入済み

愛人は卒業。焦らない今後。

別の女性との間に割り込んで
それでも大した身分でもなくて
きっぱりと捨てられて、
神様が水を振りまいたような川のある
川からくる気のようなものに
包まれて、いろいろ
不思議な観応があったり、
変わった経験、変わった趣味の人が
割と集まっている、
そんなところに戻ってきた。
ありそうな、いや、あってほしいような
不思議な結びつき。
自然と縁がつながる、
再生の過程。
病気の姑候補さんも回復しそう。
愛人だったころに身につけた
テクニックも、
はっきりとは書かれてないけど
あるかもしれないが、
愛人だったくせに
(甘いということは傍迷惑でもあるな)
何とも
かわいらしい傷心の女性と、
あせらない恋人候補。
いいね!
ラーメンの材料を真剣に
買い出しするところが
今をしっかり生きているってことだね。

#ほのぼの #癒やされる #エモい

0
2022年03月30日

購入済み

心の弱っている時おすすめです

まずこの本に出会えて良かったです
優しい気持ちになれます
心が癒されます
今日から読書を趣味にしたいこうか、何を読んだらいいのかと、検索し この本を選びました。
この本を推してる方のレビューをみて、優しい光の感じなどに癒されるとありどんな話だろうと興味持ちました。読んでいると自分も癒されてゆく本です。心が疲れていたりしている人ほど読んで欲しいです。おすすめです。

0
2021年02月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

誰にでも恐ろしいくらいの孤独が現れる。それは何にも例えようがないもの。鋭く痛く貫くような。でもそんな傷でさえ、ちゃんと時が癒してくれる。「時間薬」とはまさにそのことだ。人を失った苦しみは何にも比べようがないから助けてあげられないけれど、いつかあなたにも暖かい光が差し込みますように。全てのあやまち、迷いから抜け出せますように。私の大切な一冊にこめて。
「何か大切なことを忘れているような気持ちにさせる。

0
2025年08月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ


恋愛するということ
誰かとともに生きるということは
ひとりではないということ

誰かの人生が自分の一部となり
自分の人生は誰かの一部となる

しかし、その誰かと離れたとき
私はひとりであること
もともとひとりであったことを
思い出す

愛人と離れた主人公が
自分自身の人生を生きはじめる

そこには彼女が生まれ育った土地
家族、街の人々、友情、
彼女自身に関わる人間関係があった

愛人とともにあった生活を失い
ぽっかりと空虚で透明になっていた彼女が
自身の過去や周りの人々と向き合う中で
様々な記憶や感情を取り戻し
色鮮やかになっていくように感じられた

それは″生きる″ということを
思い出していく過程のように見えた

ひとは結局いつまでも
ひとりなのかもしれないと思う

ひとりであって
はじめてだれかといられる

彼女と関わるひとみんな
不思議な力があるようだった
目に見えないことを信じていた

目に見えないことがほんとうで
目に見えることはほんの一部のように

自身の過去を、自身の物語として、
点と点が線で結ばれたとき
ほんとうの意味で
ひとは癒されるのかもしれない

そしてわたしも彼女の物語を通して
こころの奥深くのどこかで
共鳴したなにかが
癒されたように感じた



0
2025年04月17日

Posted by ブクログ

誰しも心にぽっかり穴が空いてしまうことがあって、そこを優しく温かく埋めてくれるようなお話しでした。ちょうど穴が空いていたので空虚な気持ちで過ごしている人の心にちょうどハマるかもしれない。

0
2025年04月09日

Posted by ブクログ

全体的に私にはまだ難しかったところも多い。けど、心に残ったフレーズをメモに。。



「自分が大丈夫じゃないのかもしれないな」と薄ぼんやり思えた時、実家に帰りたくなる。
さほど折り合いも良くない人が住む代わり映えのしない町に帰りたくなる。
/
多少恥ずかしくても、思い出が迫ってきて苦しくても、後悔したくない。後で思い出せば絶対に大切なんだ、と思えるから。
/
里帰りは人が死んだ時と同じ感じがするから、切なくて胸が苦しく、世界が奇妙に美しく見える。
/
人と人の間に言葉は無い。ただ全体の感じがあるだけ。その全体の感じをやり取りしてるだけ。
/
もしみんなが等しく鳩を愛するだけの世界だとしたら、
私はそこに住んで幸せだろうか。
/
自然に、川のように流れて、あるところに自然に着いてしまう、こういうのが最高なんじゃないか?
時間をかけて、自分がちゃんと流れ着くようなところへいこう。


0
2025年02月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後、みつるくんじゃなくて、るみちゃんとの時間で物語が終わるのがよかった。

私のひいおばあちゃんも人を惹きつける不思議な力がある人物だったらしく、よく街のいろんな人が相談に来ていたと父が話していたのを思い出した。私が生まれたときにはもう亡くなっていたけれど、いつか夢の世界で逢えるといいな。

0
2025年01月17日

Posted by ブクログ

人との触れ合いが、人の心をこんなにも弱くしたり強くしたりするものなのだなと思った。
失恋をして田舎に帰り、田舎の空気や自然や人に癒やされていく様が丁寧に綴られていて、私の日常に疲れて弱った心も元気になっていくような感じがした。
天女の羽衣みたいな軽やかで優しい、よしもとばななさんの言葉が印象的だった

0
2024年12月15日

Posted by ブクログ

ばななさんの作品は、なんとなくしんどいなあと思う時期に読むと更に共感できる。きっと、ばななさんもそんな経験したんだろうなあって感じられる文章があって、自分の心にある誰にも伝わらない繊細な感情を見事についてくる。「ハゴロモ」は失恋から再生していくお話であり、辛さや寂しさや虚無感から徐々に心に温かさを取り戻していく過程が描かれている。バスターミナルのお婆さんや、手袋の繋がりや、夢の話は、ばななさんらしく優しくて幻想的だなあと感じた。また再読したい。

0
2024年08月02日

Posted by ブクログ

Xで、失恋した方が『この本の言葉はどれも今の私に刺さる』とポストされていたので気になって手に取った本です。かく言う私も失恋したばかりで、自分の存在意義や後悔に押しつぶされそうになっていたけれど、なんとなくこの本を読んでホッとしたような気がしました。これからは自分を生きよう、川の流れのように、少しずつ回復して前を向いていこう。

0
2024年03月24日

Posted by ブクログ

あとがきに、「弱っている時に癒してくれるような小説」との一文に、心惹かれて手に取る。

はじめはなかなか文章が頭に入らず困ったけど、だんだんなんとなく心に刺さる文章や言葉が増えてきて、読後感は良かった。

また落ちついて読み直したい。

0
2024年02月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・そしてそういう景色には、見ている側の甘えをきっぱりと拒むような、何かぞっとするところもあった。

・だから、どうにもほっとできない気持ちの中にいる人が、ふと読んで、何のメッセージを受け取るでもなく、ただちょっとだけ苦しみのペースを落とすことができたらいいな、と思います。(あとがき)

0
2024年02月15日

Posted by ブクログ

みつるくんのおばあちゃんのようになりたい。
困っている人の話を聞いて、寄り添って。
おこがましいけど。

誰かにやさしくするには余裕が必要で、その余裕をまず手に入れなければならない。心の安定とか、金銭的余裕とか。

0
2023年12月12日

Posted by ブクログ

ばななさんのあとがきに書かれた言葉が、読み終わった私の気持ちをすっと代弁してくれた。
今読んで良かった、数年前に買った自分、積読して読むべきタイミングで読めました。
少し疲れた時に、また読みたい。

0
2023年11月21日

Posted by ブクログ

病気になった人のほうがつらいと、誰が決めたのだろう、と私は思った。病気にならず、泣かず、ちゃんとごはんを食べて、散歩もして、友達に会ったりしている人のほうがつらいということもあるかもしれないと、なぜ彼は思わなかったのだろう。

まるで春にきれいな風が吹いてきて鼻先がちょっとあたたかく甘い匂いがするのが好きなのと同じように、冬にストーブの前にいて膝が熱くなって幸せになるように、ただただ楽しかった。

人の、感じる心の芯のところは、決して変わることがないようだ。

人の、意図しない優しさは、さりげない言葉の数々は、羽衣なのだと私は思った。いつのまにかふわっと包まれ、今まで自分をしばっていた重く苦しい重力からふいに解き放たれ、魂が宙に気持ちよく浮いている。

心の強い人は、たいてい心さえしっかりしていれば体はなんとかなる、って体のことをばかにしているんだ。
でも人って、ある線をすぎると、こんどは体が弱っていることが心を引っ張っていってしまうんだ。

たとえどんな死に方をしても、どんなつまらないことの巻き添えになって死んでしまったのだとしても、そのお父さんの魂が汚れることは決してない。つまらない意図で、つまらない人生に行き詰まってはた迷惑な生き方や死に方をした甘えた人が決して、絶対に遺せないずっしりしたものが確かにあるし、それは、形を変えて絶対に続いていくはず。
遺していく力の重みこそが、きっと人間が唯一このどうしようもなくたまらない世界の中に置いていける何かなのよ。

0
2023年09月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

長さというものは、それ自体がひとつの生命を持つような感じで、いつのまにか思わぬ大きさにふくれあがっている。


そして本当の別れというのは、縁がぶちっと切れるということは、死よりもよっぽど死に近いことなのだ、とさとった。


人の、感じる心の芯のところは、決して変わることがないようだ。


「同じような気持ちでそばにいるだけで、語り合う言葉がないほうがかえって通じ合えるということのすばらしさを私はその歳にしてもう知っていたみたい。」


人の、意図しない優しさは、さりげない言葉の数々は、羽衣なのだと私は思った。


「そういうのが最高なんじゃないのか?自然に、川のように流れて、あるところにいつのまについてしまうっていうのが。」


その遺していく力の重みこそが、きっと人間が唯一このどうしようもなくたまらない世界の中に置いていける何かなのよ。

0
2025年09月08日

Posted by ブクログ

東京で18歳から8年間愛人として暮らし、
その終焉とともに故郷へ帰ってきたひとりの女性が、
その川の多い土地でおくる生活を綴った小説。
柔らかで優しい、再生への息吹きが感じられます。

彼女がこれを書いたのが37,8歳のころと思われるのですが、
今これを読んだぼくがそれくらいの年齢であることもあるのか、
語られる考え方や思想めいたものにすごく共鳴するところがあった。
そこのところを考えている、感じている、
とぼくが内に宿しているものが表現されていた。

そして、その表現されていてぼくと共鳴する部分は、
きっとぼくも表現できる手合いのもので、
レイテストのぼくの小説にもちょっと重なるところはあったように思うし、
ぼくが書きたい方向性としても、すごく似ていた。
つまりこれは、ほんとうに縁があって読んだ小説でした。

他方で、オカルトタッチ、スピリチュアルタッチが強い部分があるのだけれど、
そこはぼくとは方向性を異にするところです。
いや、まあ、もしかするとわざと(あるいは自然の流れで)
そういったカラーを使うことがあるかもしれない。

あとがきから、
弱っているひとが読んで、すこしでも寄りそえたらいいな、
というような感じを著者自身が再読して思ったようなのですが、
ぼくはとくに弱ってはいませんが、
同じような読者を想定して書きたいなあと思うことがあるので、
そこらへんで引き込まれたのかなあ、と思いました。

しかし、まったくの想像で、
東京暮らししかしたことのない著者が
こういう地方の物語をかけてしまうのはすごいなあ。
地方に住む僕が、すんなり読めてしまうもの。

また、相手役の男が精神的にどっしりしていて、
何か宗教やってるの?と訊かれますが、
ぼくもこないだ仕事仲間に「精神が安定している」と評されて、
はじめてそんなことを言われたけれど、
そういうリンクもあり、
やっぱり読むべくして読んだ縁のある作品だった気がします。

おもしろかった。
好きな小説がまたひとつ増えた。
(でもまあ、たいてい、読んだら好きになるんだよね・・・)

0
2025年07月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大人のためのやわらかなおとぎばなし。

ふわふわで口に含むとほろり、ととけてしまう甘さ控えめのケーキのようなおはなしでした。
UAがBGMによく合います。

新潮文庫の100冊と言うキャンペーンが、2006'9,25迄やってます。
対象の本の帯にあるマークを2枚集めて送ると、Yonda?マスコット人形がもれなくプレゼントです。
※別の読書サイトから感想を移行中なので、その当時のオハナシ。

0
2025年05月28日

Posted by ブクログ

文庫版あとがきに書いてあった、「弱っているときにしか価値がないともいえるが、弱っているときにじんわりとしみてくる気がする」という言葉が、まさにぴったりな表現だと感じました。
この言葉自体は著者自身の作品に対しての評ですが、よしもとばななさんの作品全体にあてはまる言葉ではないかと思います。
ストーリーのなかで大きな出来事が起こるというよりは、登場人物がゆっくりと時間をかけて回復していく様子が描かれている。リアルな人間の姿ですよね。
だからこそ、平坦でおもしろくないと感じる人もいるとは思います。ただ、人生の重みに耐えられなくなったときに読むと静かに寄り添ってくれるような、そんなお話が多いと感じます。
こちらの「ハゴロモ」も同じように、人と人との繋がりの、ほのかな温もりを感じられるお話でした。

0
2025年10月25日

Posted by ブクログ

科学では証明できない現象や勘ってあるよなーと思った。最近切ない恋愛小説ばかり読んでいたから、心がぽっとするようなこの本に出会えてよかった。

0
2025年10月15日

Posted by ブクログ

自然の風景の表現が素敵で引き込まれた。「人の、意図しない優しさは、さりげない言葉の数々は、羽衣なのだと私は思った」という一文が印象的だった。少し終わり方に心残りがあったが、逆にそういう終わり方の方がハッピーエンドでもバッドエンドでもなく良かった。

0
2025年07月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

田舎ならではの暖かさや人との繋がりの温度感は伝わってくる。しかし、登場人物の大半に超能力(?)があるのは予想外で、運命だと無理やりこじつけている気がした。

主人公への感情移入もできない。
18歳からの8年を不倫相手だけに捧げたからなのか、多面的に物事を見る力に乏しい。
不倫という関係性において、病気の奥さんよりも自分の方が辛いという意見は私には聞き入れがたかった。

全体を通して見ると、すっきりとまとまっており、主人公が失恋から立ち直るまでの心境の変化が丁寧に書かれている。彼女がこの先どの道を選ぶか、どの道に進むのかは分からないが、この本を通して成長は遂げたと思う。

この作品において、私はみつるの母が一番好きだ。
病床に臥せったとしても、ただ死を待つのではなく、自分の気持ちと折り合いをつけ、回復をじっと待っているその姿は、私が今1番手本とするべき考え方だと思う。

失恋した時に見ると、また違う感想を抱くのだろうか。今はあまり、ピンと来ない。

0
2024年07月21日

Posted by ブクログ

ちょっとスピリチュアル過ぎると感じた。
主人公が夢で出会った男の子と大人になって再会する一点でもかなりそうだが、バスターミナルの神様おばあちゃんや、その娘である占い師のさらに娘であるるみちゃんの3世代で登場人物のほとんどがスピリチュアルだった。

東京での恋愛に失敗して地元に戻った主人公が、その冴えない生活の中で段々と生きるリズムと人生観を取り戻していく姿は良いストーリーだった。

せっかく、実直な暮らしと周囲の人との繊細な思いやりが時間と共に生活を癒す様を描いているのに、その理由づけが偶然と個々人の心がけに還元されず、謎の夢の縁や川のある町の雰囲気やスピリチュアルなパワーのあるとされた人々のおかげ、という持っていき方にはがっかりした。

0
2024年05月12日

Posted by ブクログ

そうだった、よしもとばななの書く小説はこうだった、と思わせてくれる本。
寂しくて悲しくてどうしようもない暗い日に毛布を一枚かけてくれるような本、そういう本を書いてくれる人だった。

「病気になった人のほうがつらいと、誰が決めたのだろう、と私は思った。病気にならず、泣かず、ちゃんとご飯を食べて、散歩もして、友達に会ったりしている人のほうがつらいこともあるかもしれないと、なぜ彼は思わなかったのだろう。」

0
2024年03月03日

Posted by ブクログ

私自身も、失恋をきっかけに雪崩のように色々なことが上手くいかなくなり、東京から田舎に帰りました。自分と重なる部分は多かったです。こういう、なんでもなく、あたたかくて柔らかい色が浮かぶおとぎ話が、人との関わりに疲れている時にふわっとさせてくれるのかな。

0
2024年01月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

既婚者の愛人として囲われる日々に突如終止符が打たれ、抜け殻のようになった主人公が地元に帰って傷ついた心をゆっくり回復させる話。
多分どん底にいるときに読んでもピンと来ないだろうが、ある程度色々なことを乗り越えた今だからこそ沁みる話だと感じた。

0
2023年12月25日

Posted by ブクログ

失恋と都会の疲れを癒すため、故郷へ戻ってきたほたる。大きな川の流れるその町で、彼女は大切な何かを取り戻せるだろうか。


長く続いた愛人関係を清算して、故郷に戻ってきたほたるという女性と、故郷で出会う人たちとの癒しと再生の不思議な話。
自分で何も選んでいないのにただ流させるように生きることは、自分もそう生きていた自覚があるので良くないことだという意識がずっとあったのですが、自然に、あるように流れてそのまま居ついてしまう事も、実はそんなに悪くないのかも……? と、少し救われるような気分になりました。

何も否定せず、そっと背中を押してくれる。
実際にはタイトルは、都会の生活で疲れ、奪われていた本来の姿を羽衣伝説になぞらえているのかなと思うのですが、それこそハゴロモのようにふわっと軽くて優しい話です。

0
2023年06月20日

「小説」ランキング