【感想・ネタバレ】共喰いのレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2016年05月15日

共食い/第三紀層の魚、両方とも面白かったです。共食いは芥川賞、第三紀層の魚は前年の候補作だったそうで、対照的な物語でした。
著者が山口県下関の出身だからかもしれないが、釣りに関する描写が多い。前者は鰻釣り、川、後者はチヌ釣り、海。ただ一辺倒な描写では無く、両作ともに主人公の心理や作中の雰囲気にそ...続きを読むぐうように描かれていました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年01月29日

てっきり私小説だと思って読み始めたら、全然違っていて戸惑ったまま読み終わってしまった。なので再読。
すると親子二代にわたって受け継がれる暴力的なセックスについての話だってことがわかってきた。どうしようもない人たちが行き場のない土地で生きていく様は中上健次を思わせた。社会的包摂を受けられず、不幸が連鎖...続きを読むする様は、毎日のようにおこる家庭内の事件を見ているよう。このようにあらすじだけを追って書いていると陰惨きわまりないのだけど、古風で美しくそして巧みな文章だけに読後感は悪くなかった。それは最後に大雨のシーンを持ってくることで嫌な感情はすべて洗い流されるのかも。猫や鰻、蝸牛といった動物の使い方も実にうまい。
もう一つの作品も老いと戦争、そして若者という対比を実にうまく使っている。

最近の安倍批判の作品は薄っぺらくてたいしたことがないが、この本に関しては完璧。すごいのひと言。

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Posted by ブクログ 2015年09月01日

ある古本屋で初版一刷の美品を見つけたので、作品の中身を確認するまでもなくひとりでに手が動いてしまった。中身の話に移れば、「共喰い」は久しぶりに面白い作品を読んだというのが正直な感想。セックスと犯罪が好きなやつは是非読むべし、といったところである。「第三紀層の魚」は滅びゆく「戦後」に想いをはせながら、...続きを読む変わりゆく人々にもまた想いをはせながら、一文字一文字をていねいに編み上げたのだろうか、そんな想いがいたします。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年10月04日

おそらく誰も自分の人生なんて生きられていない
そんなもの幻想だ

“親殺し”というモチーフを、地方の絶望と人間のうちなる欲望の破壊性を用いて見事に描き出した傑作

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Posted by ブクログ 2020年10月03日

不謹慎だけど‥‥ おもしろい。
映画、探したけど、もう配信してなかった。
前は怖くて、見えなかったんだ。今は観たい。

もらっておいてやるの作家。
とんがってるのに、記者が笑ってたのが違和感で、そういうのは受け入れてくれるひとなのかなと思った。ほんと、怖いけどおもしろかった。
ただメンタルが強い...続きを読むときじゃないと落ち込むな。
すんごく重くて沈むのに、諦めに似た明るさがある。好きな作品。

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Posted by ブクログ 2019年01月18日

芥川賞受賞作品を今さらながら読んだのは、同僚に勧められたから。
受賞会見の印象が強くて、文章もクセがありそうと勝手に読まず嫌いしていた。

ですが、読みやすく1時間くらいでスイスイ読んでしまった。
「共喰い」は好き嫌いわかれるでしょうね。
男女の情事の話だから。

個人的には、併録されている「第三紀...続きを読む層の魚」が良かった。

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Posted by ブクログ 2019年01月09日

すごく面白かったけど、『共食い』は読んだことあったわ。
一緒に入ってた話は、子どもながらの思いを表現する適当な言葉が見つからない感じがよく表現されているように思った。
自分も源氏はちょっとかじっているけど、瀬戸内寂聴との対談は別にいらなかった

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Posted by ブクログ 2018年09月10日

自分の中の暴力的な血と葛藤する話なんだなあと思いながら読んでたら最後の方ふつーに急展開で面白かった。
ただ地の文がものすごく読みにくかったので星減らしたよ。臭い川とか土砂降りの雨とかタバコの煙とか鰻の頭とか、どれもいいんやけど、地の文がなんというか、いっしょうけんめい話にぴったりな舞台装置を説明して...続きを読むいるみたいな、なんというかわざとらしい印象を受けた。だらだらと感じるのも話の雰囲気に合わせてるのかわからんけど、読みにくいだらだらさだったのでわたしは結構読み飛ばしてしまったよ。文章の上手いヘタはわたしにはわからん。

第三紀層の魚は面白かった。主人公すごいいいこやし、大人らもいろいろ考えとることはあってもいい人ばっかで平和な話やなとおもった。祖母みたいな立場には絶対になりたくないな。な???

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Posted by ブクログ 2017年12月03日

芥川賞受賞の時に聞いたことがあって、古本屋で売ってたので即購入した一冊。テーマがテーマなだけにその異質なところに惹かれて手に取ったのもあったけど、読み終えるとセックスと暴力や遠馬の家庭環境はそんなに気にならなくて、むしろ風景や行動の一つ一つが細かくきれいに描写されていることや繊細な人間関係の方が印象...続きを読むに残った。これは第三世紀層の魚にも言えることで著者の繊細な部分が良く見えた気がした。あと、水のながれや釣り、魚(共喰いでは鰻、第三世紀層の魚ではチヌ)の描写は特に多くてどちらの話でも物語の一角を担っている重要な存在だったと思う。著者自身のそのあたりの思い入れも少し気になった。
それでもこういう純文学を読んだときに、いろいろ感じているけど感想がこれしかでてこない。もっといろんな本を読んでみたい。あと個人的には寂聴さんとの対談を読んで源氏物語にも興味が出てきた。

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Posted by ブクログ 2016年10月09日

著者の田中慎弥氏は、高校卒業後、引きこもり同然で執筆活動に打ち込んでいる。作家は人生経験が必要と言われるが、そうなると彼には当てはまらない。そんな彼が自身に課している課題はひとつ、365日欠かさず「毎日書く」ことだ。本作を読むと作家に必要なのは想像力と他者陶酔なのだとわかる。併録の『第三紀層の魚』は...続きを読む作家としての能力の高さが窺える。文学作品としては『第三紀層の魚』のほうが表題作『共喰い』より出来が良い。とはいえ『共喰い』のプロットの破壊力は強烈だ。こちらのほうが印象に残る。

『共喰い』には、芥川龍之介の『斜陽』のような大正的陰鬱さが漂い、昭和の地方都市の閉塞感とうまく相俟っている。性暴力と性衝動、得体のしれない人間の闇。円は遠馬には一切暴力を振るわず、日常生活の異常性もない、しかし性行為の「殴る」恍惚感は制御できない。ゆえに円のこの廃疾は空恐ろしい感を受ける。そして遠馬は鰻を通し遺伝に気付く。彼は今後この闇とどう付き合っていくのだろう。仁子の「なあんもない」はハッピーエンドかはたまたバッドエンドか。

大家が居なくなってもまた新鋭が生まれる。文学界はやっぱり面白い。

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Posted by ブクログ 2016年10月02日

親を軽蔑し、こんな風になりたくないと怖れながら、こうなる以外の道がない、どこにも逃げたぜないと思う主人公の気持ちが恐い。
その気持ちが高じたとき、実母がもたらす解放。重苦しい。

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Posted by ブクログ 2016年07月28日

血生臭くてよかった。抗えない自分の中に流れる汚い血が、汚水とか魚とかに映っていた。男も女も所詮アホだとわかってても欲望は制御できるものではないし、アホな人間にめちゃくちゃにされた自分の愚かさが憎いのもわかる。一番殴りたいのは自分だけど、弱いから人を殴るのか、本気で殴るのが好きなのかわからなかったけど...続きを読む、常に内側から殴られる感じのする文章だった。

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Posted by ブクログ 2015年09月09日

芥川賞受賞の際の無茶苦茶な記者会見・・・

でも、この作品(共喰い)は情景の描写が良い。

会話は西の方の訛りが強く馴染めないが、情景描写からは何か美しいものが溢れてくる気がします。

下水が混じる汚い川辺の街が舞台で、暴力的なSEXを繰り返すダメ親父と自分の血の繋がりに悩む主人公からは、想像できな...続きを読むい美しい何かが滲み出てきているような気がしました。


もう一つの第三紀層の魚は出てくる登場人物達の気持ちが良い物語です。
中学生の読書感想文とかをこれで書いたら良いんじゃないのと思います。

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Posted by ブクログ 2020年05月01日

共喰いは、暴力を振るいながらの性交好きな父親に似ていく息子が、父親に似ていくのを悩み抱えていたところ、父親が彼女をレイプし、離婚した母親が父親を殺す話。
第3期層の魚は、曽祖父との死別や転校する話。小学生の不思議な心情、曽祖父と前日にたくさん話したから、熱が出て、死期が早まったことが、自慢になるなど...続きを読む、観点がよい。最後に釣れた大物がチヌでなかったのもいいと思う。
いずれも、心情描写を背景描写と重ねていて、背景描写の意味を探りながら、読むことになる仕組みで、面白い作りだった。

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Posted by ブクログ 2020年02月20日

共喰いはうまい言い回しが多いけど読みにくかった
ラストは良かった

第三紀層の魚は小学生の男の子目線の話なんだけどかなりリアルですごいと思った

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年09月22日

 文学的な評価とか、作者の伝えたいことは何かとか、あまり難しいことを考えずに読んでみて、単純に面白いのか。と言われると、法律が施工される前の排ガス臭い東京の下町や港湾都市を思い出させるような灰色の社会性を突きつけられるようである。それでいて、大人っぽさで割り切れない青臭さに似た幼児敵残虐性が感じられ...続きを読む、結局は遺伝子というメビウスの輪から逃れられない現実世界を直視させられているようでもある。
 この登場人物たちの本能にも似た単純性には共感することが出来ないものの、その人間性には嫌悪しながらも憧憬せざるを得ない部分もあり、だからと言って羨むべきでもなく、ただただ、こんな人もいるのだろうと。部外者的な俯瞰した目で見るのみでもある。
 比較的に読みやすい文体で書かれているので、より深く読む気力がないときであっても目を通すことが出来、後々反芻しながら思考を巡らせるのも良いのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2019年08月27日

自分の中に誰の血が流れているとか、
自分のこんな所は誰の遺伝だとか、
血の繋がりがあるってだけで安心したり、
血の繋がりなんかがあっても無くても
それ以上にしっかり結ばれた絆があったり。
.
家族ってのは色んな形があるにしても
実はどれも
歪な形をしているのかもしれないと思った。

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Posted by ブクログ 2019年03月25日

父親と同じように女性に手を上げてしまうことを恐れている思春期の少年の話

田舎の閉塞感がありありと描かれています
風景、人物、食べ物などの描写は細かなところが詳細に書かれていて匂ってきそうなほどリアルです
あまり風景描写などしげしげと読むタイプではありませんが一文字一文字味わいながら読みました

...続きを読む末の対談にもありましたが登場する女性は真面目で人を騙したりしない人なのだろうな、と感じます

ストーリーはハラハラするところもありましたが読者に色々考えさせるところで終わらせてあります

田中先生のもっと長文が読みたいです

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Posted by ブクログ 2018年06月02日

「共食い」は性暴力の描写がインパクトあるが、そのおかげでドロドロした感情を受けた。
『第三紀層の魚』は釣りをメインに家庭環境が描かれていて、田舎を離れて東京に行くという切なさをどことなく感じる。こちらのほうが作風的にはくせがなく読みやすかった。

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Posted by ブクログ 2017年07月13日

元夫からの暴力を伴うセックスに支配されていた仁子さんは、元夫との血の繋がりのある息子の遠馬と恋人の千種の身がわりとなって、元夫に復讐をするという風にも見えるが、彼女も息子に対して「あんたはあの男の種じゃけえ」と言って息子を捨てている。また、遠馬の弟になるはずだった児を堕胎している。支配されている者も...続きを読むさらに弱い者を支配しているという皮肉。
血縁、家(蝸牛)、汚れなどに絡まれて、自由になれない登場人物たちが共喰いしているような何も解決できないまま終わっていったなと感じた表題作。
併録された『第三紀層の魚』は、もう少し希望がある気がした。瀬戸内寂聴との対談もあり、この作者の男性視点による『源氏物語』、また父親を意識していること、文学者と政治など、見えて興味深い。

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