あらすじ
幸せも不幸せも、ぜんぶ私が決める
離婚って、幸せになるための選択なんじゃない?
40歳を目前に夫から離婚を切り出されたまりえ。しかし、戸惑いながら始めたひとり暮らしは思いのほか快適で、自らを慈しむ日々は確実に彼女を変えていく。
そんなときに出会った年下の男性・由井くん。
そして、コロナ禍という非常事態の発生。想像もしなかった未来がまりえにもたらすものとは――。
直木賞作家が紡ぐ
結婚と幸福をめぐる物語
巻末に金原ひとみさんとの対談「私たちの離婚」も収録。
単行本 2023年8月 文藝春秋刊
文庫版 2025年12月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
『マリエ』を手に取ったのは、「離婚って、幸せになるための選択なんじゃない?」という一文を見かけたことがきっかけだった。ちょうど大切な人と別れ話の最中で、私自身「別れること=悲しいこと、不幸なこと」だと思い込んでいた。だからこそ、離婚というさらに先のフェーズさえも「幸せになるための選択」になり得るのかと気になり、ページをめくった。
物語の中で特に私の胸に刺さったのは、「私の幸も不幸も私が決める」という一節。
作中でマリエは、孤独死した昔の知り合いが周囲から勝手に「不幸だった」と決めつけられることや、自分が離婚したときに「大変だったね」と同情されることに、世間一般の考えと自分の感覚のズレ、そして「気持ちの悪さ」を覚える。その違和感からこぼれ落ちたこの言葉は、今の私の状況と痛いほど重なった。
私自身、周りから否定されて、決して手放しで応援されるわけではない状態にいる。世間の物差しから外れていると言われるたびに、これでいいのかと不安になり、つらさを感じていた。けれど、マリエのこの言葉に触れ、「幸も不幸も、他人が決めることじゃない。私が決めるんだ」と思えたとき、縮こまっていた自分の心をようやく許せたような気がした。周りに何を言われようと、私は自分の決めた選択を積み重ねる人生にしたい。そう強く背中を押された。
その一方で、作中で描かれる結婚や恋愛、条件をめぐる人間模様には、正直なんとも言えない複雑な気持ちになった。誰もが自分の心のよりどころを必死に探していて、その姿を見ていると「人間って、どこか生々しくて汚いな」とも感じてしまう。
それでも私は、心のどこかで「世間一般の考えのように、結婚して、子供を産んで、温かい家庭を築くことで幸せになりたい」という願いを捨てきれずにいる。打算や綺麗事だけでは語れない人間の弱さやずるさを突きつけられながらも、それでも自分がどういう幸せを掴みたいのかを、改めて考えさせられた。
世間が描く「正解」のレールから外れたとしても、あるいは王道の幸せを願うとしても、最終的に自分が選んだ道を「幸せだった」と言えるかどうか。それこそが人生において一番大切なことなのだと、『マリエ』は教えてくれた。誰かのためでも、世間体のためでもなく、自分の手で幸も不幸も選り取っていく。そんな覚悟を胸に、これからも自分の人生のハンドルを握りしめていきたいと思う。
Posted by ブクログ
離婚後の楽しい話なのかな?と思って読み始めたら、思った以上に現実的でグサグサくる話だった。
子どもがいなくて、仕事もあって、自分でそれなりに稼いでいる。それなら離婚したって、お金があれば自由に生きられるんじゃないかと思う。
でも、実際はそんなに簡単じゃない。
老後を一人で過ごすこと。
婚活。
年下の恋人との不安定な関係。
誰かと一緒に生きるなら、何かを妥協しなきゃいけない。かといって、一人で生きることにも寂しさや心細さがある。なんで人生って、こんなにうまくいかないんだろう。
現実って難しい。
そして読んでいて思ったのが、マリエさんみたいに生きられる人って、実はそんなに多くないんじゃないかなということ。
マリエさんには自分で生活できる仕事や収入があって、子どももいない。
もし子どもがいたら、離婚したあとも自分の気持ちだけで人生を決めることはできない。
経済的なことや子どもの生活、元夫との関係……考えなきゃいけないことは、もっと増える。
だから「離婚して自由になった!」なんて、そんな単純な話ではないんだと思う。
それでもマリエさんは、何かを選ばなかった。
結婚することも、再婚することも、誰かに人生を預けることも。それはそれで、いいな!と思えた。
読んでいて楽しいのに、現実がどんどん浮き彫りになってくる。
でも最後には、
「あたしもマリエさんみたいに、もう少しゆるく生きてもいいのかも」と思えた。
人生に、これが正解っていう選択肢はないのかもしれない。
だったら、無理に何かを選ばなくてもいい。
自分なりのペースで、ゆるく生きていくのも悪くないのかも。
Posted by ブクログ
千早さんは刺さる言葉というよりも身体に流れ込んでくる言葉を書く人だなと改めて思った
マリエとは性格は似ていないと思うけど、考えの巡らせ方が似ていた
だからなんとなくずっと感じていたことを言葉にされた感じがしてすぐに読み終えてしまった
多分この人は側から見たら友達も多くて明るくて充実した人生を送っている側の人間なんだろうな
Posted by ブクログ
なんか、ゆるく、刺さった。
刺さるという言葉と、ゆるくという表現が同居することはなかなかないと思う。
人間として共に歩むことを一度は決意した相手を失うことって、やっぱり、気にしてないと言いつつも、心のどこかにはひっかかってるんやとおもう。
自分もそうなんやろうなと自覚せざるをえない。
そしてたぶんその「ひだ」は、別に打ち消さなくていい。上書きもしなくていい。忌み嫌わなくてもいいし、かと言って大事にしなくてもいい。
別にそれはそれとして、失敗でもなく、ただの事実。
大事なのは、その経験と比べることなく、新たな人との出会いを楽しみ、思案し、想いをきちんと伝える努力を怠らないことなんだろうなと思った。
Posted by ブクログ
離婚というビッグイベントを経験した主人公の心境の変化を辿っていく物語。ただそこだけに終始せず、
結婚と恋愛の違いとは何か、
離婚は悪いことなのか、
人の価値観の受け入れ方、
男性と女性の社会的立場の違い、
相手を「選ぶ」ということについて、
そもそも幸せってなんなのか、
いろいろなことを考えさせられる小説だった。
最後の金原ひとみさんとの対談も赤裸々で、作家は自身の人生と知見を凝縮して作品を生み出しているのだなと畏敬の念に駆られた。
Posted by ブクログ
いくつになっても拠り所がある方が生きやすい。そんな中、人生の分岐点になるような出来事が起きて、年下の男の子から迫られたら、瞬時にこの人は年上の女性に夢を見てるのかなと思ってしまう。
急に名前で呼んでくるのあざといなぁ。
あと料理しにくるのが口実なのもあざとい。
全部マリエのためなのもあざとい。
Posted by ブクログ
離婚は結婚よりも労力が3倍ほどかかるらしいと書かれているのを何かで見たことがある
結婚と違って双方が同じ方向を向いてないかららしい
今どき離婚は珍しくないですね
この小説の中の離婚も重い感じではない
それよりも新しいことを始めるための離婚
千早さんの世界観はいいですね
香りと言えば千早さん
言葉選びも素敵です
Posted by ブクログ
ずっーと気になってた作家さん★
ホントは香りシリーズから入る予定だったが、急遽、こちらから〜。
世代的に、『あー。確かになぁ。』
と、思う節が多々ありで
あっと言う間に読み終わる。
始めて一通り読んだが、内容が面白いだけでなく、文章の使い方、表現の仕方が
すんなり頭に入ってくるので、私は
とっても読みやすかった!
勢いで、香りシリーズ、とりあえず文庫本になってる、初回と2作目、速攻で
買って読んでる所。
Posted by ブクログ
色々思うことはあるけれど、マリエさんはひたすらモテる人だと思った。
マリエさんの気持ちを試すために離婚を切り出した元夫
初めからマリエさんにメロメロだった7つ下の銀髪君
初めは全く興味なしだったのに最後は手土産を持ってくるほどの好意を持つようになった婚活の人
マリエさんが執着しないクールな感じが男性たちを引き寄せるのだと思うけど、そんなマリエさんがマリさんや銀髪君に対してほんのり執着を見せちゃうところが、人間ぽくて更に魅力的だった。
婚活をやっていた身からすると、香織さんの「身売り」の発言には心が痛んだけど、色んな事情を抱えて婚活している人がいるんだと改めて思い知った。いつか香織さんの事情を丸ごと受け止めてくれる心優しい人に出会ってほしい。
何はともあれ、最後にマリエさんが本当に大切なものに気付いてるのが良かったなあ。
婚活中の人、アラサー、アラフォー世代の女性におすすめの本です。
Posted by ブクログ
千早さんが伝えてくれる言葉ってなんでこう響くし刺さるんだろうと思いながら読んだマリエ。30代に差し掛かって、結婚しないことを特異に見られることも少なからずある中でマリエの中に出てくる言葉がどれも良くて。特に体面を気にする人から向けられる言葉って私たちの身を案じているようでその実、あなたがそうであることで自分までこう思われるからやめて欲しいって言われたりしてる気がしてしんどくなったりとかそういう今の年齢だからこそ余計に刺さる描写が多くてやっぱり好きだし、私の生きる上での考え方に影響を与えてくれるなあと思いながら読み終えました。まだまだ読みたいです、千早茜作品。
Posted by ブクログ
千早作品、「透明な夜の香り」に続いて2作目。
30代、結婚をうっすら毎日意識しつつ生活している中、過去の恋愛の苦い経験も思い起こされて、「うゔ、わかる」の連続。
未婚の今のうちは、結婚への理想やハードルがどんどん高くなってなかなか踏み出せていないのだけれど、離婚しても色んな道が続いているのだと思うと、少し肩の荷が下ろせる気がした。
やっぱり千早さんの文章は香りがする。とっても好きな文章だなぁ。
Posted by ブクログ
主人公と年齢が近いこともあり、どんどん感情移入してしまった。
結婚とは何かということをよく考えさせられた。
由井君との出会いは運命的なものを感じた。
こんなに年下の男性にここまで夢中になられるのは羨ましかった。
Posted by ブクログ
「知っている関係におきかえなくてもいいのよ。
どんな人との関係も初めてのものなんだから。かたちなんてないの。」
金原ひとみさんとの対談もおもしろかった!
Posted by ブクログ
40歳を目前に夫から「恋愛がしたい」という理由で離婚を告げられた主人公が、離婚をきっかけに恋愛とは、結婚とは、家族とは何かを考えていく。
自分は離婚を経験していないし性別も違うが、納得する部分が多かった。文体もどこか詩的で雑味がない感じが好み。
Posted by ブクログ
40代の離婚からの婚活、新しい恋愛、までの1年間の話。
日常で出会うことと、結婚相談所やアプリで条件を選んで、人を選ぶことの違いや、結婚と恋愛の違いってなんだろう、とかを悩む主人公に共感。
2人の共通の知覚を共有できることで世界は広がるし、そんな相手とずっと一緒にいたいものだと思った。
Posted by ブクログ
初読みの作家さん
別れた夫は、絶妙に存在しそうなタイプで面白いし、由井くんがめちゃくちゃ素敵だし、結婚相談所のリアルも面白いし、香りの描写や料理の描写がお洒落で世界観が好きな作品でした。
Posted by ブクログ
『神様の暇つぶし』の時に思ったことが確信に変わった。
千早さんは、私が好きな男性のタイプを知り尽くしてる。
ちょっと恥ずかしいくらいに、登場する男性に沼ってしまう。
どんな顔してるのかなとか、どんな声かなとか、
ずっと、考えちゃう。
ふー怖い怖い。
千早さんと恋バナしながら呑みたい気持ちでいっぱいです。(?)
Posted by ブクログ
最近この著者の作品がとても読み心地がいい
主人公が自分と近い年齢で、キャリアもあり自立していて感情移入しやすかった
離婚から新しい恋人との時間など、恋愛が主軸にあるものの甘くなく、社会に帰属していて時代に沿った価値観の女性視点の淡々とした感じがさくさく読めた
恋愛は必需品ではないが日常を少し元気に、時に煩わしくしてくれるもの、という位置付けが、私にはちょうどよかった
Posted by ブクログ
日常で感じる違和感みたいなものをゆるゆるとピックアップしているような話だった。
離婚に対するイメージはポジティブな方に変わった気がする。
1人でのびのびと生きていきそうなまりえさんもまた、自分の物差しで恋愛がしたかったのではないかと思った。
由井君との出会いは出来すぎだし、いくつになってもしんどいものでもあるのだなと感じたけど、それでも恋っていいなと思える内容だった。
作家の金原さんとの対談も面白かった。小説の書き方とか作家さんの視点の違いなど、新鮮で楽しかった。
Posted by ブクログ
とても好きな本。
香りと空気を色濃く感じ
この本を大切にしたい感覚を覚えた。
香水と小麦粉料理に興味が湧く。
自分が無さそうで
それなりにどうにでもできてしまう主人公は
とても現代っぽく感じる。
登場人物は意外と多いが
結局その中の誰にも主人公はよりかからないのが
周りの人が留まらない理由なんだろう。
他の千早さんの本も読み漁りたい。
Posted by ブクログ
恋愛がしたいから、という理由で夫に離婚をきり出された40歳の女性の話
主人公は自分のことについて考えて迷って答えのようなものを探してる
人生も恋愛も「こーかな、あーかな」と考えて、答えらしきものを自分で見つける、もしくは気づいていくしかないのだなと思った
相手から何を望まれているのか
相手に何を望むのか、
そして私は何をどうするのかと考えると、
はっきりさせるのは難しい
特に生活がからんでいくと
人との繋がりやありかたに正解がないから
「私がパートナーに望むのは世界を共有することなのかもしれない」と
言い切れる主人公は良い経験を積んで熟成してるように見えた
Posted by ブクログ
情景や心理描写が多すぎる文章はくどく感じてしまうが、この作者の文章はとても繊細なのにどこか淡々としていて読みやすい。好きでした。
まりえさんがマキさんのお話を聞くように、
私もまりえさんのお話を聞きたい。
どこまで歳を重ねても弱さや幼さはあるのだ、と垣間見せられたい。
Posted by ブクログ
ずっと気になってた!
ていねいな生活って感じの小説読み心地よい
ただ読み心地いいせいで かなりゆっくり読んでしまった
千早さんの作品はそんな話が多くて一休みにすごくいい
私はまだ結婚して1年も経ってないまだギリ新婚さんなので離婚しないようにしたい
でも離婚することがあるならこれをハウツー書として 参考にします
Posted by ブクログ
千早茜さん初読み。40歳を目前に夫から「恋愛がしたい」と離婚を切り出されたマリエが、離婚後の生活や恋愛、結婚について考えていく物語。
香りや食の描写が丁寧で、五感に訴えかける文章が印象的だった。
年下の彼との穏やかな恋愛も、一見幸せそうでいて、若さへの嫉妬や自分には与えられないものを考えてしまう気持ちに共感しながら、自分ならどうだろうと考えた。
一方で、落ち着いていて優しく、気が利く年下男性という人物像を見て、女性作家が描く「理想の男性像」には、やはり女性側の願望も投影されているのかな、とふと思った。
Posted by ブクログ
元旦那が元彼になんとなく似ていてイライラしながらやっぱこういう人いるよな〜となった꜀^. ̫.^꜆
それよりも由井がメロくて…………千早茜先生の書く男メロ男が多すぎる〜……!!!
Posted by ブクログ
彼女は1人で暮らせるタイプ
由井くんってなんなの?そんないい子現れたりすんの?素敵過ぎやしませんか?
なんかね、そういうライトな関係性いいなと思う。
夫婦や家族、がっつりな関係じゃなく、寄り添いたい時に寄り添う みたいなやつ
最高だ
Posted by ブクログ
離婚をして引っ越しをして、誰かに、とか、誰かとではないなく過ごし方を通じて、また自分の暮らしを作っていく。
それでも変わらない部分はあるし、そううまくはいかない。でも、恋愛や人との繋がりを通じて、変わらない自分や変わっていく自分をまた少しずつ知りながら生きていく。
千早さんの書く、お料理をはじめとする丁寧な暮らしで心が整っていく描写が好きだなと改めて。金原ひとみさんとの対談も良かったです。