小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
こんなにも心温まる物語があっただろうか。
一生心に残しておきたい言葉もたくさん書かれてあって、私にとってとても大切な一冊になった。
刑事の妻として心の底から支えていく、覚悟をもった女性がとてつもなくかっこよく、こんな人間になりたいと思う。
人生、自分が得ることばかりを考えてはいけない。
損得を考えず与えられる人間になりたいと思えた。
◾️心に残った文章
あるときを境に人生とは目的を持って手に入れたものを一つずつ手放してゆかねばならない旅路となる。
それは遍路に通ずる苦行である。
自分のものであると信じて疑わなかったものを一つ一つ失いゆく。
望むと望まざるとに関わらず、その荷を背から下ろして旅路は終わりへと近づいていく。
最後には唯一無二の自分の命すら手放して一生を終える。
ずっと晴れとっても人生はようないんよ。
日照りが続いたら干ばつになるし、雨が続いたら洪水になる。
晴れの日と雨の日がおんなじくらいがちょうど良い。、
すべての人間が本人の意思とは関係なくこの世に生み落とされる。
望まれて生まれてくる命とそうでない命。
だが命の重さは変わらない。
どの命もこの世に生まれたことを祝福されるべきだ。
祝福される人間はひとりでも多い方がいい。
その人間が自分とは赤の他人の刑事であっても。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「細部に神が宿る」とはまさにこのこと。本筋だけを辿ればごくシンプルな話だが、あらゆる場所あらゆる時代のあらゆる人々の思想や哲学や歴史が異常性を感じるほど丁寧に積み上がってゆく。神話が秘めた暴力性とアンダーグラウンドの奥底の世界が響き合い、生み出されるとてつもないリアリティを帯びた虚構。それらが混じり合い、現代日本で激流となる姿が美しかった。
この物語には、巨大ビジネスを動かす天賦の才に恵まれた人間が数々登場する。彼らは隅々まで理性的に動き、落ち度や抜け道をゼロにして事を運ぶ。その行程は計算し尽くされた美しさすら湛えている。
だが、彼らの常識の外側から小さな異質分子たちがそこに溶け込む。彼らも感知し得なかった異質分子はやがて非常に人間味のある綻びをもたらし、途方もない時間をかけて計算尽くで築き上げられた物事は、突如として予想だにしない崩壊を迎える。この崩壊もまた美しい。
最終的に、人間らしさを失わなかった者が残した言葉や生きた証は、未来へと確かに刻み付けられ手渡される。物語の激流のはじまりに立っていた者たちの感情を排した苦闘の日々は、どこにも繋がらずに無関心の世界へ打ち捨てられる。この対比が、血と暴力と死が積み重なってきた物語に一筋の光をもたらしているように感じた。
しかし、すべてのはじまりとなった神話が再び突如として語られる。あれだけの血と暴力と死を積み重ねても、人智の及ばない力を起点とした混沌を前に一度は退避しても、人々が紡ぎ出した神話は再び後世の人々を飲み込み、再び世界を覆い尽くし、再び現実世界に影を落とし続ける。その繰り返しの中でみずから希望を手にする尊さを知った時、この物語は虚構を超えて現実世界に届く。まさに神話のように。 -
Posted by ブクログ
ネタバレやっぱ私は殺人系の本とかが好きだなって思った
繋がってなさそうなのに実は複雑に絡み合ってて、あ〜あの人はこの人に殺されたんだ!とか最後の方のスズメバチの薄気味悪さとか鈴木の肝の座り方とか本当に面白かった
ただなんで殺さないんだろう?って思った場面も多かったかな〜
王子が本当に嫌いすぎてずっと王子が死ぬことだけを望んでたから木村夫妻にボコボコにされたと思うとそこまで描写して欲しかったなとも思う
王子の俺の方が優位だってずっとカーストだけを気にしてる感じが中学生特有だなとか、それを分かった上で淡々と返答する鈴木の教師らしさとか、木村夫妻の何をしても勝てない経験値の差とか、殺し屋の話で現実味ないはずなのに身近な話をされてるかのような気持ちになった
渉が無事って知るまで感情をあまり出さなかった王子はやっぱり凄いし、それまでの微かな変化を読み取ってた七尾はこんな殺し屋だらけの空間を逃げ切れるだけのスキルを持ってたんだなと思う。だからこの2人は最後まで生きていられたんだろうな。王子が木村夫妻にボロボロにされていく瞬間は爽快だったけど。
人を殺しちゃいけない理由って確かに難しいな〜久々にグラスホッパーも読みたくなった -
Posted by ブクログ
2023年出版とあったので、最近の話かなと思って買ってみたところ、元々は1985年に刊行された本とのこと。著者も1933年生まれということで、私の親よりもさらに年上の世代の方でした。
なので40歳で中国語通訳者になったというのも、計算したら1973年ごろの話になるんですね。
1972年が日中国交正常化した年なので、国交のない時から中国語を勉強し始め、国交回復の波に乗り、活躍し始めるという流れ。
その国交回復当時の様子やムードがわかって、なかなか面白いです。
なにより著者の前向きさ真面目さパワフルさがすごすぎて、読んでて元気が出ます。
あと序盤の「今はまだ幼い子どもたちが可愛くてしょうがないけど、この子達が親離れしたあと、自分はどう生きていくべきか?」という問いは、ほんまそれですわーと思いました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ読む順番は完全ランダムで決め
4-6-5-1-2-3章の順番で読みました。
最後が3章はナシだよと、読み終わったあと軽く頭を抱えました笑
3章読む前までは完璧な順番で読んだなと思っていました。
・6章で精一が死ぬことを知っていたため、唐突な精一の死に対して心の準備が出来ていたこと
・江添の能力についても語られていたため、もやもやしないで1章を読めたこと
・最初に読んだ4章で登場する錦茂が、ニシキモとして2章で登場し天から咲く花を見られたことが判明したこと
2章を読み終わったあとはもう読み終えてもいいと思うほど最高の読後感に浸っていました。
しかし3章を読み、最高の読後感はどこかへと消え去りました。
私が一番好きだった話は5章です。2章と4章、1章と6章はそれぞれ強い繋がりがあり、セットで読んで本領を発揮したという印象でしたが、5章はたった1つの章として段違いに面白いと思います。
10歳とは思えないほどのオリアナの心の強さや、ステラの本心が描かれる場面は、今でも特に強く印象に残っています。
だからこそ3章がとても苦しいのです。
笑わない少女がオリアナを形容する言葉であると気づいた瞬間に気分はどん底へと沈みました。
5章を読み終わった段階ではオリアナはホリーとの別れを受け入れ、ステラとの新しい生活をして幸せに過ごすストーリーを思い浮かべていました。
しかし、3章においてそんな上手くできたお話は無情にも粉砕されてしまいました。
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読み終わったあと思ったことをひたすら文章に起こしてみて、自分は綺麗な話を求めてるんだなと気付きました。
5章は知真目線での話で、オリアナがホリーとの別れを受け入れたなんて書かれていません。そして実際には受け入れられていませんでした。
10歳の子どもが親の、しかもただ唯一の親の死を乗り越えるなんて簡単にできるものでないなと今になってそう感じます。
綺麗な終わり方に強引に当てはめることは、登場人物の感情を半ば無視していることに繋がってしまうのだと痛感しました。
小説などの物語はただの娯楽であり、
ハッピーエンドだと見てよかったと思うし、バッドエンドで気分が沈むなら時間をかけなきゃよかったと思っていました。
けれど、登場人物は私を楽しませるための道具ではなく本の中で生きている人間であると、この作品では感じることができました。物語に対する楽しみ方の幅が広くなったような気がします。
正直、読む順番が720通りあっても大して変わらないだろうと考えていました。ですが、今では、読む順番が違えば絶対にこんな感想を抱かなかったと断言できます。それほどまでに読む順番によって作品の見え方が変わることに、この作品の面白さや奥深さ、そして少しの恐ろしさを感じました。 -
Posted by ブクログ
衝撃
中盤あっけにとられ、いったん、呆然と本を閉じた
1、2、と積み上げた物語の果てにこの展開
「死んだも同然」
ピップのとった行動、下した決断、覚悟
その重たく暗い闇の奥に救いはあるのか?
「正義」とは一体何なのか?
そんなものは幻想に過ぎない
警察が暴けないのなら自分が暴いてやる
法が裁けないのなら自分が裁いてやる
ピップの抱えるトラウマ
ピップが抱える重荷
愛する人たちを守ろうとするが故の彼女の孤独
そして陰ながら彼女を支えようとする恋人、家族、友人たち
圧倒的なボリュームと濃密なストーリー
綺麗事では解決しないトラブルがある
善悪をシンプルに図れない選択がある
物語を読み終えても、結局ピップが正しかったのか、間違っていたのか、自分には答えが出せなかった
けれど、わからないけれど、なんとなく、彼女の選んだ行動とその結末に拍手を送りたいと思った
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