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Posted by ブクログ
人は同じ過ちを繰り返す。多くの命が失われてもなお、無くなることはない戦争。その愚かさを心に刻みながらも、その概念が人の記憶から消されることは無い。しかし、結果が同じ過ちであったとしても、その後が同じであるとは限らない。一度目の過ちは、過ちであるかもわからぬままに犯してしまう。しかし、二度目は過ちであると知りながら犯したのだ。己の信じる未来のために、希望と共に暮らすことができる世界のために。エリンはその選択をしてみせた。かつて災いを起こし、二度と同じことを起こさぬようにしてきたジェの意思は、既にあった小さな綻びを突いてみせたエリンの手によって崩された。しかし、そのエリンによって、かつて起きた災いの全てを人々の耳に届かせ、真に同じ過ちを繰り返さぬ世界が作られた。新たな世界は、一つの綻びさえ許されず、精巧でいて、堅牢であった。
人と獣。同じ世界で暮らしながらも、決して交わることのない、二種の生き物。互いの尊厳を、生活を、未来を守るために生きてきたエリン。それは苦しく、辛い道のりであった。そんな中で彼女は一際輝く幸せを胸に、これほどのことを成し遂げた。自らを産み、育ててくれた母。命を救われ、身体も心も恩人であるジョウン。知識を求める彼女を受け入れてくれた恩師と、そばで支えてくれた友人。そして、彼女が何よりも大切に思い、長く短い時を共に過ごしてきた夫と息子。多くの点が一本の線として繋がり、この物語は幕を閉じた。しかし彼女が繋いだ確かな線はまだまだ先へと伸びていく。それはジェシの手によって。さらに向こうの知られざる誰かの手によって。
この物語を最後まで見届けることができて良かった。もしかすると、遠い未来にも同じ過ちを繰り返してしまうかもしれない。しかしながらそんな未来は来ないと心から信じられる。それほどまでにエリンが残し、繋げたものは大きいものであり、人々の胸に深く刻まれた。
Posted by ブクログ
嗚咽が止まらなかった。最後苦しくて苦しくて仕方ないけど、4冊を通してたくさんのことを学ばせてもらった気がする。人生のバイブル。
小学生の頃にアニメが大好きで小説を読んだけど、大人になって再読。感じ方がまた変わっていて、母になって読んだらまた違うと思う。
上橋菜穂子さんの綴る物語は質感がしっかりとしていて、本当にその人生を生きている感覚がする。ファコの香ばしい香りや闘蛇の甘い香り、人の表情や感情が体験しているかのように感じられる。本当にその国や人物が歴史として存在したんじゃないかと錯覚してしまうような物語です。
今も私の中には確実にエリン、イアル、ジェシ、エサル、ジョウン、その他の人々が生きていると感じる。それぞれの思いを持って生きていると信じられるような感覚がある。
全てをかけて獣を自由にしたいと願い、愛するものと平和に暮らしたいと願って懸命に生きたエリンの思いは、日々を大切に生きようと思わせてくれました。
こんな素敵な物語を残してくれて、上橋菜穂子さんには感謝の思いでいっぱいです。
・人は松明の火のように、少しずつ確実に何かを繋いでいく。その時は相手に伝わらないと思っていても、後々その言葉が生きてくることがある。伝えることに意味がある。
・掟や法則では測りきれない絆や愛が、獣の中にはあるということ(人間も獣の一部として)
・人は知って考えて考え抜くことが必要。分からないものを追い続けることが大切
・戦争はなくならないし、その果てに勝者も敗者もない
・なぜ言ってはいけないのか分かるようになるまで、言ってはいけないことがある
※ 余韻がすごいのでこのあとダラダラ続きます
生き物の生態に無邪気に目を輝かせていた少女時代のエリンが懐かしい、、、色々なことを知ったからこそ考えられる、それが素敵なことであり残酷なことであるなあと。
エンディングに関して、聡いエリンなら何が起こるか予測できていたはずでは?リランには音無し笛の耳栓をするべきだったのでは?もっと早くソヨンたちが忠告に来るべきで、そもそも霧の民の人々がもっと早く動くべきだったのでは?と納得がいきません笑
なんとかイアル、エリン、ジェシで幸せに暮らして欲しかった、、、束の間でも愛する人と結ばれて生活できたことが唯一の救いですが。
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小説・文芸
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