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ジュゼッペのあだ名は「トリツカレ男」。何かに夢中になると、寝ても覚めてもそればかり。オペラ、三段跳び、サングラス集め、潮干狩り、刺繍、ハツカネズミetc. そんな彼が、寒い国からやってきた風船売りに恋をした。無口な少女の名は「ペチカ」。悲しみに凍りついた彼女の心を、ジュゼッペは、もてる技のすべてを使ってあたためようとするのだが……。まぶしくピュアなラブストーリー。
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Posted by ブクログ
何度読んでも心が温まるストーリー。 一見するとばかげた行いに見えても、それがいつか役に立つ、救いになることを教えてくれる。 語り口調の優しい文なので、読書のリハビリにもぴったり。
映画を見たきっかけで本も手に取った。 映画も本も感動で、途中で涙がでてしまった。 こんな暖かい本に出会えて本当によかった。 子供にも進めたいと思った。
最初は「トリツカレ男=だいぶヤバイ奴」って印象だったのが、最後まで読むと、優しくてユニークな印象に変わりました。ペチカも結局トリツカレ女だったのがまた面白いです。ジュゼッペ(トリツカレ男)の色んなことに夢中になるところが自分と似ていて、たくさん共感できるところがありました。
あぁ……涙がとまらない。。。 『トリツカレ男』 この本の表紙を初めて見たとき 〈ホラー〉かぁ…って思ったの。 だって怖いでしょ…表紙。 食わず嫌い的に苦手なもんだから… それが全然違ってて… 100%ピュアなラブ・ストーリー❤️ ジュゼッペのあだ名は「トリツカレ男」。 何かに夢中になると、 寝...続きを読むても覚めてもそればかり。 オペラ、三段跳び、サングラス集め、ハツカネズミ……他にもいっぱい!! そんな彼が、寒い国からやって来た… 「ペチカちゃん」に恋をする物語。 第6章からなるこのお話… 第3章の「タタン」あたりから… 私の脳内に「クリープハイプ」の 「愛す」が流れて消えないの。 頭の中の音楽とジュゼッペとペチカちゃん …もう、やられました。。。 頭の中の音楽は… まぁ…しょうがない。 『トリツカレ男』 ひさしぶりにピュア♡…な気分に なった1冊でした♪
トリツカレること。 大抵は役に立たないし、自己満足なものだ。だけどとっても"意味のある"ことだと思った。 役に立つこと、と、意味のあること、はどちらが求められているだろう。大抵、というか、世間が欲してるように見えるのは役に立つこと、の方だと思う。でも役に立つものっていちばんしか...続きを読む求められてない。2番目以降はいちばんより役に立たないものになってしまうから。最新のスマートフォン、ゲーム機器、家電製品。最新を欲する人が多いのは当たり前だよね。それがいまいちばん役に立つものなのだから。 そんな世界の中で、じゃあ意味があるものって何だろうって考えてみたけど、むしろ世界には意味のあるものしかない、って思った。役に立たないけど、いちばんじゃないけど、わたしにとってはいちばん意味のあるもの。情報が増えて好きの分裂化が進む今なんて特にそうなんじゃないかな。 結局、それぞれが大切にしてるものって、大事にしてるものって、いちばん役に立つものじゃなくって、いちばん自分にとって意味のあるもの、なんだと思う。 トリツカレ男がいままでトリツカレてきたものはこの世界でいちばん役に立つものではないと思うし、誰にとっても意味のあるものでもない。 だけど、ペチカにとっては、タタンにとっては、何にも代え難いほど意味のあるものだったと思う。 それって世界中全員にとっていちばん役に立つことよりも何よりも素晴らしいことだなって思った。 たった数人にしかわからない価値だとしても、その数人にとっては何にも代えられないほどの意味を持っているって。 つい世間一般を見ては、わたしには価値がない、役立たずだ、って思ってしまいがちだけど、それって結局は何を求めてるんだろう。 きっと目に映るものぜんぶをぼやぼやとしか認識できてないんだと思う。 全員に好かれようと、求められようとしてるんだ。 でもどうしてもいちばんになることが良いとされてる世界の空気の中にいるから、そうなっちゃうのも仕方がないよね。。 たとえほとんどの人から求められてなくても、馬鹿だと思われても、たったひとりにとっては少しでも意味のある、役に立てる人になりたいと思った。
同じ作者の「麦ふみクーツェ」が好きすぎて、他の話がなかなか読めなかったのを、この本なら作風が似ていそうなので、えいやと購入。 確かに、音楽的なリズムや、一部の風物、おとぎ話のようで感動的なストーリーなど、「クーツェ」と共通するところが多かった。 冒頭の「おーい、ジュゼッペ」の繰り返しから、演劇やミュ...続きを読むージカルを思い描いて書かれた感じがする。実際に劇団キャラメルボックスの舞台にもなっているとのこと。 何かに手を出しては興味の対象が移り変わってしまう主人公ジュゼッペが、その時々で真摯に生きたために報われていく筋書きは、もしかしたらどこかに作者の人生が投影されているのかもしれないし、そんなことはないのかもしれない。 短いので直ぐに読み終わるのだけど、今後、手元に置いて何度も読み返したい小説。
何かにとりつかれるように日々を過ごせることは、良くも悪くもそのことに以外を考えずに過ごせそうで良いな、と思った。素晴らしい結末にカンドーした
ミュージカルアニメーションで映画化ということで読んでみようと手に取った作品。 新しいのかと思いきや奥付けを見たら平成十八年と結構古いのに驚いた。 ページ数も160ページと薄くて隙間時間に読むのにちょうど良い一冊。 装画も物語自体も童話のような不思議な世界観を感じさせられる。 こんなにも物事に夢...続きを読む中になれるジュゼッペが羨ましく感じた。 ただ好きだからという単純な理由でたくさんの事に次々と夢中になっていく。 何故か子供の頃の心を思い出させられる。 朝から夕方まで夢中でカブトムシやクワガタを採りに行ったり何をやるにも一生懸命だったなぁ。 大人になるとどうしても仕事が優先で効率や結果を求めたり時間が割けなかったりとそんな言い訳ばかりしてしまう。失くしてしまった子供の頃の純粋な気持ちを思い出させてくれる。 どこへいってしまったのやら… ジュゼッペの凄いところは下手の横好きではなく好きなものを極めてしまうところが半端じゃない。 アニメや異世界モノによくあるスキルが増えていくような感じかな。 しかも一見、夢中になったことはバラバラで無駄な事ばかりのように感じられるけと終盤に少女を救うために今までの経験が全て役に立つことになる。 ジュゼッペの生き方を通して「人生に無駄なことなど何もないんだよ」と身をもって教えてくれる。自分にもいつかそんな日が来るだろうかと考えてしまうが、そこまで物事を極めていないから無理か。 ジュゼッペのように一つの事に夢中になれるのは羨ましい才能。 その才能が結果的に大切な人、周囲の人を幸せにするのは素晴らしい。 でもそれは純粋な心で向き合ったからだろう。 そんな風になれるなら何かにトリツカレるのも悪くないかもしれない。
もらった本。 取り憑かれてしまう男のバイブル。 なんだか青春みたい。 青春の真っ只中に読んで、その時いた女の人との思い出が忘れられない、とかそんな物語があって私にくれたんだろうな。 忘れないでおきます
仙台駅にて。東京駅ゆきの東北新幹線の発車時刻を待つあいだ、僕は駅ビルの本屋にいた。とくに目的などはなく、ただ時間潰しを目的に。 本屋に入れば真っ先に、文庫本の棚を見てまわるのが、いつもの癖で。吸い寄せられるように、文庫本の棚の前に立ち尽くす。目的があれば目の色も変わるけれど、今日はとくに何もない。あ...続きを読むるとすれば、新幹線での移動時間いわゆる“繭の時間”を充実させるための何かを。さて、発車時刻まで、あと何分?そうのんびりとも、していられない。 “繭の時間”というのは、上白石萌歌さんのエッセイに出てきた言葉。海外へ向かう飛行機など、ある程度まとまった移動時間を過ごす際、乗客の思い思いの時間の過ごしかたを“繭の時間”と表現した。繭の中にはサナギがあって、目的地に到着したら、それらサナギは羽化して旅立つのだと。なんという表現をするのだろうか。僕はいつも、表現者としての彼女について、胸を躍らせながら見守っている。僕は、上白石萌歌さんに夢中なのだ。 仙台駅から東京駅まで、東北新幹線での所要時間はおよそ90分。萌歌さんは、自身のパリまでの空路を“繭の時間”としての例として綴っていた。所要時間は、およそ13時間。一方、僕の旅は90分程度。彼女の“繭の時間”に比べれば、繭に包まれた僕は、あっというまに羽化してしまうだろう。 僕の、僕なりの“繭の時間”を有意義に過ごすためには、やはり何か文庫本を手に入れよう。あまり重くなく、それは内容的にも物理的にも。ただしあまりに軽すぎるのも味気ない。我ながら欲張りだな…ゆっくり選ぶほどの時間もないのに。せいぜい15分ほど。いや、間に合うのかな、と汗ばんできた。 やや目を血走らせつつ文庫本の棚の中段の、新刊や、その時期ごとにおすすめの既刊の文庫本が、表向きに並べてあるコーナーにて、新潮文庫のその中に井伏鱒二の『黒い雨』を見つけた。僕の中でこの本は、いずれ読まなくてはならない一冊としての位置にある。 「白黒の写真に色がつくような 忘れ難い読書体験をしている」 上白石萌音さんが『黒い雨』について、記した言葉である。萌歌さんと同じく萌音さんのことも、僕は敬愛してやまない。 『黒い雨』については、さすがに内容くらいは知っている。ゆえに手に取ることを躊躇してきた。けれども萌音さんが読んだとなれば、ぼくも読まなければ。 憧れの人が読んだ本を、ぼくも読むことは、生涯交わることがないお互いの人生における、ささやかな交差点となり得るのではないか、と確信している。どうだろう。おかしいかな、こんな考え方は。 ただし『黒い雨』今日手にする本ではないだろう。さて…となると…『黒い雨』の隣には『トリツカレ男』の文庫本が。 トリツカレ男⁉︎ まさか、との思いが炸裂した。新潮文庫⁉︎ 原作が存在していたのか。 まったくの予想外だった。 今秋公開予定であるアニメーション映画 『トリツカレ男』の原作本。この映画で登場人物であるヒロイン“ペチカ”役の声優をつとめたのが上白石萌歌さんだった。『トリツカレ男』については、その線を通して知っていた。あくまでも映画のほうの『トリツカレ男』なのだけれど。まさか原作本があったとは。 アニメーション映画『トリツカレ男』は、その絵柄が、ぼくには、いまひとつ刺さっておらず、いくら萌歌さんが声優でも、情熱を傾けるほどには至っていなかった。 文庫本の『トリツカレ男』を手に取った。映画公開に合わせた特別なカバー。厚みはさほどでもない。この本なら東京駅までの道中“繭の時間”にぴったりなのでは? なにより萌歌さん出演作の原作である。 そうだな、今日のお供はこの本にしよう。 と、その前に。 状況を冷静に書き起こしているけれど、この時点での、ぼくの実際の心境は、とても冷静だったとは言い難い。 まずはじめに出た言葉は「うそだろ」だった。 思い出してください。 『トリツカレ男』の隣にあったのは『黒い雨』 ということは、上白石姉妹にまつわる本同士が隣り合っていた、ということです。 それを目の当たりにして「うそだろ」との声が出た、ということです。 すごくないですか? これはさすがに店員さん、ご存知でしたね? 上白石姉妹との関わりを。 ははあ…だからこの本同士が隣に…むしろ、そのほうが納得できます。いくらおすすめの本だとしても、隣同士に並べるにはコントラストがあるすぎるから。 ですよね? 店員さん? 周囲に居られる店員さんに聞いてみようかな、と思い周囲を見渡しているときに限って、店員さんはどこにもいない。 いい加減本屋を出ないと、新幹線が発車してしまう。会計を済ませカバーをかけてもらった。『黒い雨』『トリツカレ男』並んでいた真相に後ろ髪を引かれつつ、ぼくは『トリツカレ男』の文庫本を手に、本屋を飛び出した。 『トリツカレ男』 アニメーション映画の先入観があったものの、活字のみの文庫本、読み始めてすぐ映画の先入観は吹き飛んだ。さて、トリツカレ男とは。夢中になるというだけなら、僕にだって大いに心当たりがある。いま、このときだってそう。 「夢中になれるものがある人は、いいですね」 職場の同僚に言われた言葉だ。 いつもぼくは何かしら夢中になっている。 夢中になることが、できている。 けっして移り気というわけではなくて、ただの欲張りなのだ。好きなものはたくさんある。 好きなひとも、たくさんいる。 たくさんあって、たくさんいて、それぞれに夢中になれる。夢中になれる自分だからこそ、僕は、僕でいることができている。 ジュゼッペの言動には共感の一途。 彼は、しあわせだと思った。僕だって、心に抱く好きなこと。夢中になれる好きなひと。これは、きっとしあわせなのだ。 約一年振りの上京、昨年は演劇を観に行った。今日はライブを観にゆくための旅。 「東京駅から横浜駅に向かう。もう一度乗り換えた先の、最終目的地は、みなとみらい線の馬車道駅。 馬車道駅で下車し、ホテルのチェックインを済ませて、ふたたび馬車道駅へ。 新高島駅まで戻って下車。 目的地はKT Zepp Yokohama 」 という旅の計画。 今日は9月23日。 このライブハウスでadieu のライブが開かれるのだ。 “adieu”とは上白石萌歌さんの “クリエイティブコンソーシアム” クリエイターとの共同作業で作品…楽曲を創り出すプロジェクトネームが“adieu”である。 “adieu”…アデュー。 フランス語で“さようなら” 映画『ナラタージュ』テーマ曲を担当したのがadieu だった。映画と同じタイトルの『ナラタージュ』という曲。しかし当時のadieuは素性を明かしておらず、萌歌さんが本格的に音楽活動を始める際に 「adieuイコール上白石萌歌」 を明らかにし、adieu名義での音楽活動が始まった。 adieuは歌い手である。 僕を夢中にさせてくれる彼女の歌声を僕は 「固く織り込まれた感情の綾目を そっと解きほぐしてくれる」 という言葉に表してみた。 まろやかさと、はてしない響きを持った彼女の歌声に、僕はいま、夢中なのだ。 いわば、ぼくはadieuの“トリツカレ男”だった。 好きを貫くことは、悦びと困難が隣り合わせで、むしろ当事者には何かと困難ばかりがぶつかってくるけれど、それでも好きであることをやめないのは、その先にある悦びに、ほんの僅かでも希望を抱いているからだろう。それを求めることが果たして当事者の幸いになるのかどうか。ジュゼッペには“好き”という言葉しか見当たらなくて、困難を、困難とすら思っていない様子で、それでも何がジュゼッペ自身の、さらにはペチカの幸いに繋がるのか。大いなる覚悟を示して、好きを貫いてみせてくれた。 悦びも困難も事柄として在るだけで当事者の受け取りかた次第。のちの幸いを語るならなおさら。各々立場が違う。持っているものも見えかたも違う。何が幸いなのかも断言できない。それならなぜ好きを貫こうとするのか。ジュゼッペは貫くことができたのか。 adieuのことが、萌歌さんのことが好きでたまらない僕だって、どうにも覆らない困難を抱えている。はたして僕の“好き”は、この先どこまで行くことができるのだろうか。 そしてその先に、僕の幸いはあるのかな。 きっと、その先にこそ幸いはあるのだろう。 ジュゼッペは、すでに見出していたのだ。 adieuの楽曲“背中”のイントロが流れる。 ステージ前面に下ろされていた幕が開く。 何本もの光の糸が、あふれ出る… ライブのオープニング、あまりの美しさに、乗っけからため息が漏れた。 adieuは、駆け抜けるかのように、ひたすら歌い続けた。緊張感の表れなのかな、それとも意図したものなのか。それでも一曲ごとに両手を広げて「ありがとう」と告げる彼女の健気さが、いじらしくも感じられ…うん、とても可愛いかった。 “ナラタージュ”は、僕の涙腺を刺激してやまない大好きな曲。聴いても、鼻歌でも、いつも、こみ上げる感情を抑えることができなくなる。案の定、彼女の歌い始めから僕は顔を伏せてしまった。油断すると号泣してしまいそうなのを懸命に我慢しつつ、情感の込められた歌声に胸を震わせ続けた。 “心を探している”では彼女が愛用するテイラーのギターを構えるadieuの姿が。ずっと観たかったadieuのギター。そうか。今夜は弾いてくれるんだ。 彼女のスケジュールの充実ぶりは、よく理解している。今回のライブだって西日本を行ったり来たり、その合間に開催された。思うように準備する時間などあったのかな、と考えていた。それでも、こんなサプライズを用意してくれていた…頭の下がる思いだった。 アンコールは“元気?” adieuの新曲で、この日リリースされたばかり。抑揚が抑えられた曲調で、難しい曲だな、という印象だったけれど、そこはさすがのadieuでした。歌うことへの自信が感じられた。最近の彼女の歌声の安定感、頼もしくなってきた。 終演直後は余韻などまったく感じられず、ただただ終わってしまった、という虚脱感のみ。ホテルへの道のり、見慣れない夜道をどう歩いたものだったのか。ふわふわしたままホテルへ到着した。 ホテルの部屋に入ると壁掛けテレビの画面が勝手についた。VODサービス?映画があるのか…もの珍しさでメニューを開くと『366日』というタイトルに目が留まる。 映画『366日』は上白石萌歌さんが主演した映画ではないか。僕は、まだ観たことがなかった。おもむろに再生ボタンを押してみた。主演作だけあって、萌歌さんは、ずっと画面のどこかに映っていた。“美海”という役柄なれど、僕には萌歌さんにしか見えなかった。 「さっきまで僕は彼女のこと、見てたよね?」 ぼんやりと画面を眺めつつ、去来するライブの記憶を思い返した。 今朝、本屋で見つけた『トリツカレ男』 今夜の、adieu のライブ。 さらに、映画『366日』 今日は一日、上白石萌歌さんと一緒だった。 なんということだろう。 2025年9月23日は“上白石萌歌の日”だった。 2025年9月24日。帰路。 東京駅発、東北新幹線の車中にて。 僕は昨日の車中“繭の時間”に読んだ『トリツカレ男』文庫本の残りのページをめくっていた。 「ペチカ、お前もどうだい、歌? この世に朝がくるよ! 歌は生きかたをかえるよ!」 ペチカママの、この言葉で涙がこぼれそうになった。ダメだよ。新幹線の車内なのに。こんなところで涙なんて。 たしかにadieuの歌は、僕の人生をかえた。 実感が、ありあまる。 僕自身が歌わなくてもいい。 歌は…音楽は聴くだけで気分が変わる。 苦しい日にも、たのしい日にも、僕の傍らにある音楽が、僕を励まし、勇気づけてくれる。この上なく幸せな気持ちにしてくれる。 同じことを彼女も…僕の好きなadieu…上白石萌歌さんも言っている。音楽に何度も助けてもらったと。僕と彼女、互いの生きる世界に、たとえ果てしない相違があろうとも、たったひとつ、音楽があることで、いつか交わる世界線があるかもしれない。 この確信は、僕の人生における大きな励みなのだ。
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