小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
最近は対談集をよく読んでいる。この本もその流れで買った。村上春樹と河合隼雄。小説界と心理学界の大御所対談。やはり面白く、読むたびに自分のなかで立ち上がる何かがある。
「深く病んでいる人は世界の病いを病んでいる」という言葉が印象的だった。
病むということは、その人が病んでいる、というよりも、世界や社会、時代の病いをその人が引き受けている、というニュアンスで書かれており、なるほど確かにそうかもしれないと唸らされた。
私はこれまで社会と個人を分けたものとして考えていたかもしれないが、それは渾然一体としているのかもしれない。
----------
このレビューを書いている現在、衆議院選挙が行 -
Posted by ブクログ
のっけから
「今日では、人間とはなにか、を知っている人はほとんどいない。しかしそれを感じている人はおおぜいいる。それで、その人たちはほかの人よりは安らかに死んでいく。ちょうど私がこの物語を書き終えたら、いくらか安らかに死ねるように。」
と書かれ、ちょっとさせられる。本編は戦争中に執筆された。
「われわれはみんな同じ深淵から出ているのだ。しかし、みんな、その深みからの一つの試みとして一投として、自己の目標に向かって努力している。われわれはたがいに理解することはできる。しかし、めいめいは自分自身しか解き明かすことができない。」
タイトルの少年が主人公かと思われるが、主人公はエーミール・シ -
Posted by ブクログ
ドラマを先に見て、原作も読みたいと思った作品。
そして、競馬というものの面白さに気づかせてくれた作品。
本当に面白い作品だった。
競馬というものはギャンブルだと思っていたし、この作品に触れた今もそれは変わらない。
ただ、考えが変わったのは、何に賭けているかということだ。これまでは、競走馬がゴールする順番ただそれだけ、その事実に対する予想だけに賭けていると思っていた。だけど、この作品に触れてからは、競走馬が受け継いできた血統、調教師の熱意、牧場の愛情、ジョッキーの闘志、馬主の情熱、それら全てが一つとなって形作る勝利という夢に、私達も一緒になって賭けているのだと気付かされた。
どんなに準備をしても -
Posted by ブクログ
ネタバレメチャクチャ面白かった
久しぶりに読み終わるのが凄く寂しくなる作品だった
曲を作るプレッシャーに負けて、音楽に触れることができなくなった天才元ギタリスト
田舎に引っ込み、仕事もせず犬と一緒に毎日何もせずに暮らしている
一方曲作りに悩む女性シンガーライター
たまたま元ギタリストの曲を聴き、心を奪われる
そこからギタリスト探しが始まり、2人の共通の知り合いの縁でギタリストに辿りつく
ギタリストはギターを見ることできないくらいトラウマを抱えていたが、彼女が何度も訪ねてきて少しずつ音楽に触れさせてくれる
結果、2人で一つの曲を作る
それがイノセンス
それは元ギタリストのバンド名でもある
これか -
Posted by ブクログ
ネタバレ映画を見た。美しい映像に食い入るように見た。映像は一個の芸術作品で説得力に満ちていた。それでも熱がひけてくると、登場人物の行動にハテナが多くつき、それであればと原作小説を読むことにした。
この小説にはハテナはない。ガラスケースに閉じ込められた美術品、あるいは絵はがきのようなポートレートではなくて、においのする人間が生きている。この話は「ミミズク」たちと「山」たちの生き様かもしれないと思った。価値観も立場も違う皆それぞれに、幸福と不幸がある。何が正義でどれが悪なのか、一様に決められないのが人の生なのかと思わされる話だった。
喜久雄の歩む道は険しいけれど、小説は孤独でなくて救われた。
下巻も楽しみ -
Posted by ブクログ
ネタバレ住まい手がなく取り壊しを待つ家。
その家もかつては住まい手があった。
薮さん、圭さん、緑の歴代3人の住まい手たちの日常を見てきた家。それぞれの思いが詰まった家。
薮さんは「意匠」を大事にし、自分の心に向き合うつもりで、細部にまで思い入れを持ち、この家を建てた。薮さん亡き後も、薮さんと懇意だった不動産屋が住まい手を選ぶほど、思い入れの強い家だった。
緑は夫と距離を感じている専業主婦。この家で塾を開き、第二の人生を始める。圭さんは、夫とすれ違いを感じながらも、別れないための理由を探していたがいつしかしこりもなくなり、夫の転勤のため引っ越すことになる。
最期は住まい手がなくなり、取り壊しになる家。 -
-
Posted by ブクログ
半日で読み終えてしまった。
単行本として出版された頃からずっと面白そう、読んでみたいと気になっていて、今回文庫本が出ているのを書店で見つけて迷わず購入。
何年経っても、湊かなえさんの小説がいちばん好きだ。
いったいどんな風に生きていたら、こんな物語が思いつくのだろう。
今までの湊かなえ作品の中で群を抜いてグロテスクだった気がする。猟奇性があまりにも現実離れしていて、感情移入することはできず、どこか遠いところから彼らの生き様を眺めているような、そんな視点で読み進めていった。
前半は、榊史朗が人間標本をつくるに至った経緯が、手記のようなかたちで記されている。グロい。私は比較的グロいのに耐性
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。