あらすじ
ノースカロライナ州の湿地で青年の遺体が見つかる。村の人々は「湿地の少女」カイアに疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられ、人々に蔑まれながらたった一人湿地で生き抜いてきたカイアは果たして犯人なのか
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Posted by ブクログ
湿地でひとり生き抜き、ついには名のある人の仲間入りを果たすほどの成功を得たカイアの強さに心打たれた。
少ないながらもカイアに寄り添う人たちの優しさに救われたり、ふたりの男性との愛に翻弄されるカイアの姿に心が苦しくなったり、ミステリーというよりは〝湿地の少女〟の人生譚を楽しんだように思う。
とはいえ結末には驚かされた…赤い繊維についてよく考えてみると、答えはそれ以外になかったのだけど。
Posted by ブクログ
何度も泣いた。主人公がどうなってしまうのか気になり、ページを捲る手が止まらず1日で読んでしまった。感情が動かされっぱなしのお話。
テイトが戻ってこなかった時、チェイスの婚約を紙面で知った時、戻ってきたジョディをなかなか受け入れられなかった時、お母さんが亡くなってたと知った時、、他力の幸せに裏切られて、何度も何度も孤独を味合わせられてもなんとか気持ちをやりくりしてるのが可哀想で…カイアが自然の中でたくましく生き抜いているのでそちらに気が向いてしまうのだけど、守られるべき子供が孤独に生きているというのが切なくて、何度も涙が溢れてしまった。
チェイスに関して、貝殻をずっと付けていてくれたの、本当は本当にカイアを愛してたのでは、と思ったけど、、多分、周りの環境がそれを許さなかったから歪な形になってしまった愛なんだと思うんだけど、、守られるべき子供時代に、親に捨てられて自分には自分しかいないという絶対的な孤独から出発してるカイアにとって、カースト上位の男子から想われて…とか、貝殻をずっと付けてる意味…なんて想像してる余裕はないんだろうな。そういうのは、家族や集団の中の普通の地位など、他に守ってくれる人や環境がある場合に考えられることであって、自分には自分しかいないような場合、生存本能から必要なことだったんだなと納得。彼女は自然そのものだ。
ただ、貝殻をずっと隠してたのは何でなんだろうと思った。そこは、人間らしい矛盾なのかも。思い出をできているということか、それとも完璧な蒐集家のどうしようもない性質なのか。
Posted by ブクログ
なるほど名作だった。
ラストが少々エンタメよりの収束だったので、そこだけは好みが分かれるんだろう。個人的にはエンタメよりに収束させるよりも、文学的な方向に収束させて欲しかった気もする。とはいえ、そこは単なる好みの問題だろう。素晴らしかった。タイトルの「ザリガニの鳴くところ」というのも実に素晴らしかった。
Posted by ブクログ
正直、こんなに分厚い小説を読み切れるだろうか?と手に取った時不安に思った。しかしすぐに、物語に引き込まれてあっという間に読み切ってしまった。
それほどまでに夢中になれる要素が散りばめられている。
アメリカ南部の情景を思わせる表現、湿地の自然や動物たちの生態、主人公の悲しくも純粋に生を全うする人生、彼女が出会う人たち…五感を通して訴えかけるものがこの作品には存在している。
謎の死を遂げた青年の背景と、野生の生き物たちと生きてきた主人公が見事なまでにリンクして、様々な推測をさせる。
そんなミステリーな要素や、主人公が家族や恋愛を通して感じる人間としての暗い側面や孤独と向き合う姿や感情が繊細に表現されており、長年自然と共に生きてこられた動物学者である著者の感性を随所に感じる。
人間もまた、自然の一部であり、美しく儚い、また残酷にも見える面を持っているのだと感じされる。
自然からは学べないことも学んだ主人公の人生もまた、この作品を厚みのある物語にさせる要素なのかと思った。
自然と共に生きる主人公の孤独や恋愛、展開に感情が動かされて涙が自然と出てしまった。
主人公のような境遇とは全く違った人生だが、共感せずにはいられない。
タイトルも含めて、大好きな作品になった。
この小説に出会えて嬉しい。
Posted by ブクログ
家族に置き去りにされ、孤独の中で生きてきた少女の成長物語でもあり、村の青年の謎の転落を追うミステリーでもあります。
湿地帯の鳥や動物たち、木々の描写が本当に静謐で美しくて読んでて映像が出てくるようです。小説版ナショナルジオグラフィックという感じ。
読んでると「そいつに惹かれないほうがいいよー」と思うのですが、主人公には届かない。もどかしい。
600ページある長編ですが、貧困や暴力や生き物の美しさとかいろんな要素が散りばめられていて、飽きずに読めます。私なんぞは涙なしには読めませんでした。
ネタバレとかそういう無粋な表現では語りきれない結末が待っています。「人間もひとつの生き物」なのだと思いました。
Posted by ブクログ
自分が湿地に住む生き物になってカイアを見守り続けたかのような小説。
湿地のイメージが漠然としていたから、事前に「ノースカロライナ 湿地」を画像検索してから臨みました。(あとがきで「ディズマル湿地」がモデルになっていると知ったけど)
翻訳作品を読み慣れてなかったため序盤は時間がかかりしんどかったけど、翻訳であっても美しい表現や著者独特の言い回しは受け止められた気がします。翻訳家さんのご尽力にひたすら感謝です。けどやっぱり原文のまま読める方々羨ましい…
テイトやチェイスが登場してから先が気になって止まらなくなり、序盤のローペースが嘘みたいにするする読めた。
事件後とカイアの幼少期以降を行ったり来たりしながら進んでいくのがスリル満点。なぜチェイスは殺された?カイアが容疑者?真犯人は?っていうたくさんの???を抱えながら読み進めるドキドキが楽しかったし、カイアの過ごす日々と事件の日が少しずつ近付いて合流するのも面白かった。
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・カイアがお母さんが帰ってくると信じてるところがつらい。諦めながらも全然諦めてない。悲しい。幸せになってほしい。カイアの人生はすべてお母さんとの記憶なのに。
お母さんが出て行った理由は後の方で言及があってスッキリ。それでも親子で一緒にいられればよかったよね。6年間母さんと過ごした日々の記憶だけでその何倍もの年数を生き抜くことができるほどの存在なのに。
・テイト、大学生とはいえ約束全スルーはさすがにひどい。カイアがしばらく許さなかったのもわかる
・カイアが一目惚れ?するくらいの容姿と肉体を持つチェイス。典型的な遊び人なのに、カイアに対して辛抱強くアプローチしてたのは意外。街の女の子にはないものをカイアが持ってたのね
・カイアが自分の力で大金を稼いで生きていく展開は胸熱で、これまでの不遇な日々が報われたような気持ちになり嬉しかった。
・チェイスの無責任な将来の約束にカイアが前向きに反応してしまうのを見てるのが辛かった。家族や友達に紹介してもらえるのかな、と密かに思っているところとか。かなしい
・母さんが死んだことを知ったのも犯行を助長しただろうな。もう母さんに会えないとわかって自暴自棄のタイミングにチェイスの言動。
父さんに殴られ続けて出て行った母さんと自分を重ねて、あの日の母さんを救うためにチェイスを殺さなければっていう気持ちもあったのかも
・カイアは人ではなくもはや湿地という自然の一部なんだよな。だからこそ証拠を残さずに人を殺す方法をわかっていた。自然災害で人が死んでも自然を裁けないように、カイアがチェイスを殺しても裁けなかった。
・裁判はドキドキしながら文章を追えて面白かった。トム・ミルトンさんはすごい。カイアが無罪になった時は涙が出た。
・カイアが犯人とは思いたくなかった。けどテイトやジャンピンがカイアを救うために人殺しまでするとは思えないし。真犯人は意外な動機があるのかな、とか思ってたけど…。ホタルやカマキリの雌が雄を殺める描写がとりわけ印象的に描かれていたし、チェイスとの関係がどんどん悪化するから現実味が増していく…でも最後の詩を読んで、カイアにとって必然の行動だったんだと納得させられてしまった。
・テイトにも誰にも真相を話さずにしっかり寿命を全うしているあたり、罪悪感もほぼなかったのかな。カイアにとっては不幸な事故のような感じ?バークリー・コーヴに近付かなかったことがカイアなりの罪滅ぼしなのか…?
Posted by ブクログ
サスペンス要素はいらないんじゃないかと思いながら読んでいたが、読み終えた後は、それは主人公のミステリアスな雰囲気を際立たせてもいたんだなと納得した。
動物学者が作者だけあって、自然の描写が本当に美しく感じたし、人間も結局、野生の本能を残している自然の一部であるのだなと思った。
なによりも、ひとりぼっちで生きてきた主人公の、愛と孤独に翻弄される描写と静かな自然との対比が良かった。
映画版も絶対見ようと思う!
Posted by ブクログ
最近読んだ中で抜群に面白かった!
全体通して、具体的な情景や雰囲気、空気がどんどん頭に入ってきて読みやすい文章だった。またそれらを美しいとも思った。
読み終えてから途中で挟まれる詩がカイアの気持ちをなるべく表現されているのではと思った。
なのでそれらを読み返してみたらカイアは最後まで孤独と愛の間を揺れ動いていたのではと考えた。そして終盤、彼女は愛を選びテイトと結婚をする。(釈放後の詩では孤独を選ぼうとしてたように思える。)
そこからアマンダハミルトンの詩は1回も出てこないので、その選択が彼女にとって最善だったかはわからない。
釈放後、カイアはジョディを拒絶する。みんなで頑張ったのにまだ無理なの!?って思った。カイア自身もなんで自分が怒ってるのかわからない様子だ。彼女はやはりザリガニの鳴くところを最後まで求めていたのかも。
Posted by ブクログ
1960年代アメリカの片田舎で湿地に住む少女。差別に晒されている中ある殺人事件の犯人であると疑われてしまう。人間の善悪両面を描きながら、それを包み込むように存在する自然。孤独の素晴らしさと他者との関わりの難しさなど、物事の両側面を描くこの小説自体が全てを受け止める包容力を持った大自然のような小説だった。
Posted by ブクログ
ずっと読みたいと思っていた「ザリガニの鳴くところ」。
いやーすごかった。。
幼い頃から家族や大切な人たちに見捨てられ、激しい孤独と寂寥感をかかえながら、湿地の小屋で一人で生き延びてきた少女カイヤ。
前半部はやや長い印象もあったが、読み終わってから振り返ると、カイヤがどれほど寂しかったか、生き延びるのがどれほど大変だったかを感じ取るのには必要な長さだったと思う。「つらいのは、いくどもの拒絶によって自分の人生が決められたこと」。特にここは心臓がぐっとつかまれたように苦しくなった。
また、著者が動物学者ということで、自然に対する洞察力とその表現が卓越しているところがこの小説の大きな特徴。
そして、自然のなかを生きる生物の生態と、登場人物の行動を重ね合わせているところに唯一無二感を醸し出している。
子供を捨てた母親、暴力によって相手を従わせようとするオトコたち、そして何より最後に明かされるカイヤの秘密などなどが、人間に残る原始的な遺伝子に依拠した行動として表現されていて、なんとなく儚さを感じる。
ラストの衝撃も凄まじく、トータルで本当に素晴らしい作品だった。オススメです。
Posted by ブクログ
引き込まれる。登場人物はそれほど多くない。
カイヤにとって、自然は家族、自然の中では、動物たちは生きるために残酷なこともする。カイヤはただそうしただけ。罪悪感などないのかもしれない。ケイトと結ばれたけれど、なぜか切ない。
Posted by ブクログ
読み始めから重苦しくて、息が詰まりそうになる。
主人公のカイアは6歳。
ある日、母さんがよそ行きの服を着て旅行用のカバンを持って家を出た。
それをきっかけに二人の兄たち二人の姉たちも次々に家を出て行った。
残されたのは6歳のカイアと、父さんだけ。
父さんに捨てられないように、カイアは一生懸命家のことをする。
酔っぱらっているか不機嫌な時しかない父さんが暴力をふるいそうになると、カイアは逃げる。湿地に隠れる。
父さんが何日も帰ってこないとき、カイアは家にあるものを少しずつ食べて10さんを待つ。
学校には行かせてもらっていない。
母さんから手紙が来た日、父さんは家を出て行った。
その日からカイアは、たった一人で生きてきた。
生活の糧は、湿地で掘ったカキなどの貝や魚を売って得たが、それは黒人の雑貨屋ジャンピンの好意によるところが大きかった。
後にジャンピンの妻メイベルによって服や靴などをもらったり、初潮を迎えたときに世話をしてもらったりしたが、カイアはずっと一人で生きてきた。
14歳になって、カイアは兄ジョディの友だちだったテイトと知り合い、文字を読んだり数を数えたりを教えてもらう。
この時点で1970年代。
科学の進歩からも国の繁栄からも取り残された湿地の少女・カイア。
カイアはずっと家族が欲しくて、仲間(女友達)が欲しくて、ただそれだけが望みだったのに。
白人と黒人で住むエリアが交わることのない南部で、白人の大人たちがだれ一人カイアを救おうとしなかったこと。
カイアが黒人だったら、黒人のエリアでそれなりに暮らすことができたのかもしれない。
カイアとテイトの幼い恋も、二人が純粋であればあるほど、その恋愛を成就させることの難しさが重苦しく二人の、いやテイトの前に立ちはだかる。
もうねえ、本当に読んでて辛い。
後半、殺人事件の被疑者として裁判にかけられるカイアの、どうしようもない孤独。
カイアを信じてくれている人が少なくとも数人はいたんだけど、カイアの心が、人を信じることを拒絶してしまうのだ。
ネタバレになってしまうからこれ以上のことは書けないけれど、カイアは最後まで孤高の湿地の少女だった。
彼女が心から信頼したのは湿地の生き物たちと、留置所の猫だけだったのだろう。
Posted by ブクログ
ミステリーだと思って読んでたんですが、一人の女性の生涯の話だなと思いました。
夢中になって読みました。もう、ほんと色んな場面で泣きました。
お兄ちゃんと再会したところとか、お母さんの話とか、裁判の話とか。
また、テイトが一時期離れてしまった気持ちも分からなくはないです。
改めて客観的に見るとね…
作者さんはこれが初の小説とのことでしたが、人物の心情を書くの上手だなと思いました。翻訳の方も素晴らしいんだと思います。
カイアの心の動きが分かり易かったからこんなに感動できたんだと思います。
次回作も書かれているとのことなので楽しみです。
Posted by ブクログ
久々に読んだ海外長編小説。好きな作品でした。
色々な要素がギュギュッと詰め込まれているのに、とても読みやすくて、物語の世界にスッと入って没頭できた。
ノースカロライナの風土の描写が生々しく想像掻き立てられる。主人公の少女カイアが境遇が可哀想だけど、逞しく生きていて魅力的。
カイアを取り巻く登場人物も、目に浮かぶような人物描写でイメージしやすく、翻訳物苦手な人でも読みやすそう。
ミステリー要素もあって先が気になって一気に読んだ。
生物の知識も学べてとても面白かった!
Posted by ブクログ
これはミステリーじゃない
人生で1番好きだったかも
出てくる植物とか動物を立ち止まって調べて、情景想像しながらゆっくり読み進めて行くのが楽しかった
初めて顕微鏡を覗いたカイアが、初めて星空を見たような気持ちと言っていたのが印象に残ってる。そんな感性を持ってるカイアが大好き。
Posted by ブクログ
幼い一人の女の子の四半世紀と、十数年後に起こった殺人事件が交互に展開される小説。
カイアの壮絶な人生を通して、人種差別、裏切り、貧困、戦争にまつわる話なども絡んでいてなかなかに複雑。
飢えをしのぐため、あの手この手でサバイバル生活を送るカイアは本当にたくましい。
テイトとチェイスの2人の男性との恋愛模様も見所。特にテイト…テイトの気持ちも分かるけど、テイトがカイアを「住む世界が違う」とあそこで見放していなければ、彼女は罪を犯さなかったのではないかと思ってしまう。
チェイスと出会うこともなく、殺さなければ生きていけないという決断にも至らなかったと思う。
裁判中、優秀な弁護士の元無罪になったが、法廷ですべての手口が間接的に明かされていくことに、なんともいえぬ驚きが…。
そして、テイトはどんな思いで、カイアの告白ともいえるポエムを受け止めたのだろうか。書きながら思ったが、その心情がラストのシーンにつながるのかもしれない。
ザリガニの鳴くところへ、死ににいったのかもしれない。
湿地の美しさと、1人の少女の一生をすごい近い距離で体験した気がする。傑作。
Posted by ブクログ
美しい湿地の情景が浮かんできます。
カイアの住む小屋の描写も好きです。
辛い場面が多く、いちいち胸を締め付けられながらも、カイアのたくましさにページを繰る手が止まりません。
まさかの法廷シーンがあったり
ラストでは「あーあー…」と脱力したり
感情が忙しい〜
映像化しているんですよね。
きれいなんだろうなぁ
静かな波が立つ作品
なんでしょうね。波は立たないストーリーなのに、読後、ココロが揺さぶられてしまいました。ジャケ買いっぽく買いましたが、正解でした。
Posted by ブクログ
かなりの長編小説なのに、終始ドキドキしながら一気読みした。最初から最後まで感情が揺れっぱなし。
まず、家族に置いていかれたあとも、健気に帰りを待つ幼児カイアに胸が締め付けれる。時折り挟まれる母との回想シーンは毎回涙が出てしまった。
そんなときに現れたテイトの存在に、ほっとすると同時に、別れの予感に苦しくなる。
そしてチェイスへの怒り。「わたしを邪魔すんなー!」
裁判のシーンでは、テイト、ジャンピン夫妻や弁護士のトムへのあたたかい感謝の気持ちと、それに応えきれないカイアの強情さに腹立たった。
そして望んだ生活を手に入れて、こちらも幸せな気分になったあと、最後の真相を知り深淵をのぞいた気持ちになるという…感情が大忙し。
湿地の情景も心理描写も繊細に描かれている。
ストーリーを追うのに必死で、そういった部分を味わいきれていない気がするので、映像版で補強しようかなと思う。
Posted by ブクログ
原文は美しいし翻訳も素晴らしい。沼地や自然が生きているように描かれる。カイアの幸せを願わずにいられない。心の平穏は訪れたのか。でもラストは納得いかない。読んだ人と話したくなる作品
Posted by ブクログ
ノース・カロライナの湿地で村の青年チェイスの死体が発見された。
人々は真っ先に湿地の少女と呼ばれるカイアに疑いの目を向ける。
6歳で家族に見捨てられ、生き延びてきたカイア。
村の人々に蔑まれながらも、
生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へ
思いを馳せ暮らしていた彼女は果たして犯人なのか……
読み終え、脱力感の様な不思議な感覚に襲われている。
前半がとにかく重く辛い。
カイアの人生が想像を絶するほどに過酷すぎるのだ。
数えきれない別れ、そして偏見、決めつけ、差別。
そういった負の感情が次々と描写されている。
だが胸を張って酷いとどれぐらいの人が言えるのだろう。
立場が違えば、自分もこうしているのではないかという恐怖すら感じる。
これは単なる犯人当てのミステリーではない。
湿地の少女の人生を生きることができるのか、
そう問われているかのような重厚な物語だった。
Posted by ブクログ
1960年代の湿地帯に住む孤独な少女の生涯の話。
話は過去編と現代編が交互に展開され、過去編では少女の幼少期が、現代編では湿地帯で起こった殺人事件の捜査に焦点が当たり、やがて少女が被疑者として捉えられてしまい、、、といった話。
全米でトップヒットした小説としてハードルが上がっていたが非常に楽しめました。
湿地帯での生活の描写が生々しく、差別があまりない日本では感情移入がしにくい場面もありましたが勉強になりました。
Posted by ブクログ
家族に見捨てられた少女カイア
一人で湿地と共に生きてきたカイアに訪れる
ある日湿地で遺体で見つかった青年に対する犯人疑惑の日々
村の人々には疎まれ
カイアには頼れる人もなく
湿地でその自然と共に生きているカイアは
何を思い、何を感じて生きたのか
結末にはひとそれぞれ感じることはあるだろうけど
私は
全てから解放されて自由になった
ステキな笑顔のカイアが頭に浮かんだ
Posted by ブクログ
某インフルエンサーさんがおすすめしていて、普段は翻訳ものは苦手なのですが、なんだか気になって購入。
わたしが思う読書の魅力のひとつに、日本語の文章の流れが好き、という点があって、
翻訳ものが苦手なのは、そんな日本の文章の魅力が削がれてしまいがちで読みづらいからっていうのがあるんだけど、
にもかかわらず、この本はグイグイ読めてしまった。
おそらく、そんな苦手ポイント以上に、自然の描写の美しさが勝っていたんだと思う。
主人公の心の揺れ動きにも胸がツーンとなって、共感できた。あれもこれもフレーズをメモ。
あと翻訳ものってなぜか、この先とても怖いことが起きるんじゃ…?っていう恐怖感があるっていうのも敬遠ポイントのひとつ(アメリカの凶悪犯罪的な)で、
この本を読んでいる間も、そういう恐怖感をほんのり持ちながら読み進めることになってしまい、早く読み進めなければ…という強迫観念によりしっかり堪能できなかった気がする(;ᴗ;)
もっと堪能すればよかった!と思えるような、潟湖の自然描写の美しさ。
だがしかし読み返すにはひるんでしまう分厚さ。。
潟湖って、なんて読むんだっけ…って何回か辞書ひいた。せきこ。
サスペンス味はあるけど、ホラーではない。
危うい美しさ
殺人事件から物語が始まり、ミステリーのつもりで読んでいました。
確かに殺人事件の捜査が物語の中で進んでいきますが、一旦過去に戻り、親にも家族にも置き去りにされた少女の物語も進行していきます。
その少女の物語が、孤独と沼地の自然の中で進んでいくのが、なんとも美しく寂しい物語でした。
映像化されているということなので、配信を探してみたいと思っています。
Posted by ブクログ
カイアの壮絶な人生。過酷な状況の中でも生き抜いていく姿がリアリティがあって引き込まれた。特に裁判のあたりからは臨場感があってどんどん読めた。が、少し長く感じた…。
でも最後のどんでん返しがえ!?ってなって面白かった。そこが一番飲みどころだったかも。
Posted by ブクログ
漢字の備忘録( ´_ゝ`)
潟湖(せきこ)、櫓(やぐら)
あーやっと読み終わった。時間かかった。
まず湿地ってどんな場所なのか知らない、なんとかドリとかなんとかワシとかも知らない、
というわけで情景を思い浮かべるのが激ムズから始まった。
翻訳も直訳に近いような、スラスラと読めるような日本語にはなってなくてほんと頑張って読んだ、って感じ。
野生の女、カイア。
話しかける相手カモメ、隠れる時は四つ這いで移動、足にクギ刺さっても自然治癒。
栄養取れてなさそうな食事ばっかしてたけど、それでよく175センチ?まで伸びたな。生命力すごい。
そして結局犯人カイア。
男装したり、おばあさんぽくして夜中にバス乗ってたってことでおけ?
赤い帽子の繊維ついてたってことは、元の帽子の持ち主のテイトが実は犯人だったのかな、っていうミスリードあったけど、カイアだったんだね。
てことは、「赤い繊維、4年前のものかも説」が無いのはテイトは知ってて、カイアが犯人てことに気付いてたんだよね?いや気付いてないのか?
ちょっとそこらへんわからず。
そう、なんかわからない、はっきりしない、って思うことが多かった。
その情景を想像することができないし、絶妙に登場人物の気持ちが入ってこない。
そしてカイアって人馴れしないで生きてきたのに、
死刑になりかけ→無罪勝ち取るっていうそこに至るまでの計算高さというか、裁判で無言を貫いて人に見破られないようにしていた姑息さとか、すんごく「人」を感じた。
いくら周りの人がどんどんいなくなったからって、それで信じられるのは自分だけ、と決めたからって、人と関わってこなかった人がこんな簡単に人を欺けるのかねえ。
ずっと前から気になっててようやく文庫買ってみて楽しみにしてたけど私はハマれなかった
Posted by ブクログ
家族に見捨てられながらも、広大な湿地でたったひとり生きる少女に、ある殺人の容疑がかかる-。
初めてのディーリア・オーエンズsan。
ようやくご縁があり、読むことができました。
舞台は米国ノースカロライナ州の湿地帯。1969年に発見された死体と、1953年の”湿地の娘”の成長を追った2軸の展開。カイアの生い立ち、閉ざされたコミュニティ、ボーイフレンドたち。
湿地帯の森林や潟湖(せきこ)などの自然の描写がとても美しく、とにかく悪い人はカイヤに近づかないで! と祈りながら読み進めました。
裁判の結果は正直予想できてしまったのですが、最後の詩「ホタル」には胸を打たれました。
”愛もまた移ろうもの いつかはそれも、生まれるまえの場所へと戻っていく。 A.H.”
【2021年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位】