【感想・ネタバレ】ザリガニの鳴くところのレビュー

あらすじ

ノースカロライナ州の湿地で青年の遺体が見つかる。村の人々は「湿地の少女」カイアに疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられ、人々に蔑まれながらたった一人湿地で生き抜いてきたカイアは果たして犯人なのか

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Posted by ブクログ

湿地でひとり生き抜き、ついには名のある人の仲間入りを果たすほどの成功を得たカイアの強さに心打たれた。
少ないながらもカイアに寄り添う人たちの優しさに救われたり、ふたりの男性との愛に翻弄されるカイアの姿に心が苦しくなったり、ミステリーというよりは〝湿地の少女〟の人生譚を楽しんだように思う。
とはいえ結末には驚かされた…赤い繊維についてよく考えてみると、答えはそれ以外になかったのだけど。

1
2025年09月08日

Posted by ブクログ

私は、この本を読んで、「人生のピークは遅いほうがいい」って思うようになりました。
ノースカロライナの湿地で、たった一人で生きる少女・カイアの話です。家族に見捨てられて、村の人に蔑まれて、でも彼女は息をしている。著者が動物学者だからか、自然描写がほんとに細かくて、読んでいるとそこに身体ごと入り込む感覚があります。
何がいいって、この本は「ミステリー」として読んでも、「成長小説」として読んでも、「自然観察記」として読んでも、全部が成立するんです。複数の見方ができるというか。カイアという人物を、どの角度から見るかで、全然違う物語に見えてくる。
読み終わってから何日間も、このカイアのことを考えてました。完璧じゃない、親に見捨てられた、村に蔑まれた、男に裏切られた。でもこの人は、ここにいる。生きてる。その事実が、こんなに大事だったんだって気づきました。
子育てをしていて「正しい親なのか」って悩むことが多いです。でもカイアの人生を読むと、その迷いさえも含めて人生なんだって思えてくる。カマキリやアメリカザリガニの世界は残酷だけど、美しい。その両方があるのが世界なんだなあって。
翻訳もすごくいい。詩の翻訳も含めて、原文を読みたくなるほど。

0
2025年12月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ラストがなければ星4にしてたかもしれない。
“なぜ被害を受けた側が赦すことで前に進まなければならないのか”
許しを求められる立場にされることへの違和感や不条理を突くような一文が特に印象に残った。
孤立が弱さじゃなく生きる力に変わっていく過程が、物語の芯としてしっかりと響いた。しばらく余韻に浸る。

0
2025年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何度も泣いた。主人公がどうなってしまうのか気になり、ページを捲る手が止まらず1日で読んでしまった。感情が動かされっぱなしのお話。

テイトが戻ってこなかった時、チェイスの婚約を紙面で知った時、戻ってきたジョディをなかなか受け入れられなかった時、お母さんが亡くなってたと知った時、、他力の幸せに裏切られて、何度も何度も孤独を味合わせられてもなんとか気持ちをやりくりしてるのが可哀想で…カイアが自然の中でたくましく生き抜いているのでそちらに気が向いてしまうのだけど、守られるべき子供が孤独に生きているというのが切なくて、何度も涙が溢れてしまった。

チェイスに関して、貝殻をずっと付けていてくれたの、本当は本当にカイアを愛してたのでは、と思ったけど、、多分、周りの環境がそれを許さなかったから歪な形になってしまった愛なんだと思うんだけど、、守られるべき子供時代に、親に捨てられて自分には自分しかいないという絶対的な孤独から出発してるカイアにとって、カースト上位の男子から想われて…とか、貝殻をずっと付けてる意味…なんて想像してる余裕はないんだろうな。そういうのは、家族や集団の中の普通の地位など、他に守ってくれる人や環境がある場合に考えられることであって、自分には自分しかいないような場合、生存本能から彼を亡き者にして脅威を除くのは必要なことだったんだなと納得。彼女は自然そのものだ。
ただ、カイアが生涯貝殻をずっと隠してたのは何でなんだろうと思った。そこは、人間らしい矛盾なのかも。思い出をできているということか、それとも完璧な蒐集家のどうしようもない性質なのか。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

なるほど名作だった。
ラストが少々エンタメよりの収束だったので、そこだけは好みが分かれるんだろう。個人的にはエンタメよりに収束させるよりも、文学的な方向に収束させて欲しかった気もする。とはいえ、そこは単なる好みの問題だろう。素晴らしかった。タイトルの「ザリガニの鳴くところ」というのも実に素晴らしかった。

0
2025年11月17日

Posted by ブクログ

正直、こんなに分厚い小説を読み切れるだろうか?と手に取った時不安に思った。しかしすぐに、物語に引き込まれてあっという間に読み切ってしまった。

それほどまでに夢中になれる要素が散りばめられている。
アメリカ南部の情景を思わせる表現、湿地の自然や動物たちの生態、主人公の悲しくも純粋に生を全うする人生、彼女が出会う人たち…五感を通して訴えかけるものがこの作品には存在している。

謎の死を遂げた青年の背景と、野生の生き物たちと生きてきた主人公が見事なまでにリンクして、様々な推測をさせる。
そんなミステリーな要素や、主人公が家族や恋愛を通して感じる人間としての暗い側面や孤独と向き合う姿や感情が繊細に表現されており、長年自然と共に生きてこられた動物学者である著者の感性を随所に感じる。

人間もまた、自然の一部であり、美しく儚い、また残酷にも見える面を持っているのだと感じされる。
自然からは学べないことも学んだ主人公の人生もまた、この作品を厚みのある物語にさせる要素なのかと思った。

自然と共に生きる主人公の孤独や恋愛、展開に感情が動かされて涙が自然と出てしまった。
主人公のような境遇とは全く違った人生だが、共感せずにはいられない。
タイトルも含めて、大好きな作品になった。
この小説に出会えて嬉しい。

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2025年10月29日

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家族に置き去りにされ、孤独の中で生きてきた少女の成長物語でもあり、村の青年の謎の転落を追うミステリーでもあります。

湿地帯の鳥や動物たち、木々の描写が本当に静謐で美しくて読んでて映像が出てくるようです。小説版ナショナルジオグラフィックという感じ。

読んでると「そいつに惹かれないほうがいいよー」と思うのですが、主人公には届かない。もどかしい。

600ページある長編ですが、貧困や暴力や生き物の美しさとかいろんな要素が散りばめられていて、飽きずに読めます。私なんぞは涙なしには読めませんでした。

ネタバレとかそういう無粋な表現では語りきれない結末が待っています。「人間もひとつの生き物」なのだと思いました。

0
2025年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分が湿地に住む生き物になってカイアを見守り続けたかのような小説。
湿地のイメージが漠然としていたから、事前に「ノースカロライナ 湿地」を画像検索してから臨みました。(あとがきで「ディズマル湿地」がモデルになっていると知ったけど)

翻訳作品を読み慣れてなかったため序盤は時間がかかりしんどかったけど、翻訳であっても美しい表現や著者独特の言い回しは受け止められた気がします。翻訳家さんのご尽力にひたすら感謝です。けどやっぱり原文のまま読める方々羨ましい…
テイトやチェイスが登場してから先が気になって止まらなくなり、序盤のローペースが嘘みたいにするする読めた。

事件後とカイアの幼少期以降を行ったり来たりしながら進んでいくのがスリル満点。なぜチェイスは殺された?カイアが容疑者?真犯人は?っていうたくさんの???を抱えながら読み進めるドキドキが楽しかったし、カイアの過ごす日々と事件の日が少しずつ近付いて合流するのも面白かった。

ーーーーーーーーー
・カイアがお母さんが帰ってくると信じてるところがつらい。諦めながらも全然諦めてない。悲しい。幸せになってほしい。カイアの人生はすべてお母さんとの記憶なのに。
お母さんが出て行った理由は後の方で言及があってスッキリ。それでも親子で一緒にいられればよかったよね。6年間母さんと過ごした日々の記憶だけでその何倍もの年数を生き抜くことができるほどの存在なのに。
・テイト、大学生とはいえ約束全スルーはさすがにひどい。カイアがしばらく許さなかったのもわかる
・カイアが一目惚れ?するくらいの容姿と肉体を持つチェイス。典型的な遊び人なのに、カイアに対して辛抱強くアプローチしてたのは意外。街の女の子にはないものをカイアが持ってたのね
・カイアが自分の力で大金を稼いで生きていく展開は胸熱で、これまでの不遇な日々が報われたような気持ちになり嬉しかった。
・チェイスの無責任な将来の約束にカイアが前向きに反応してしまうのを見てるのが辛かった。家族や友達に紹介してもらえるのかな、と密かに思っているところとか。かなしい
・母さんが死んだことを知ったのも犯行を助長しただろうな。もう母さんに会えないとわかって自暴自棄のタイミングにチェイスの言動。
父さんに殴られ続けて出て行った母さんと自分を重ねて、あの日の母さんを救うためにチェイスを殺さなければっていう気持ちもあったのかも
・カイアは人ではなくもはや湿地という自然の一部なんだよな。だからこそ証拠を残さずに人を殺す方法をわかっていた。自然災害で人が死んでも自然を裁けないように、カイアがチェイスを殺しても裁けなかった。
・裁判はドキドキしながら文章を追えて面白かった。トム・ミルトンさんはすごい。カイアが無罪になった時は涙が出た。
・カイアが犯人とは思いたくなかった。けどテイトやジャンピンがカイアを救うために人殺しまでするとは思えないし。真犯人は意外な動機があるのかな、とか思ってたけど…。ホタルやカマキリの雌が雄を殺める描写がとりわけ印象的に描かれていたし、チェイスとの関係がどんどん悪化するから現実味が増していく…でも最後の詩を読んで、カイアにとって必然の行動だったんだと納得させられてしまった。
・テイトにも誰にも真相を話さずにしっかり寿命を全うしているあたり、罪悪感もほぼなかったのかな。カイアにとっては不幸な事故のような感じ?バークリー・コーヴに近付かなかったことがカイアなりの罪滅ぼしなのか…?

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2025年10月26日

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サスペンス要素はいらないんじゃないかと思いながら読んでいたが、読み終えた後は、それは主人公のミステリアスな雰囲気を際立たせてもいたんだなと納得した。
動物学者が作者だけあって、自然の描写が本当に美しく感じたし、人間も結局、野生の本能を残している自然の一部であるのだなと思った。
なによりも、ひとりぼっちで生きてきた主人公の、愛と孤独に翻弄される描写と静かな自然との対比が良かった。
映画版も絶対見ようと思う!

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2025年10月19日

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カイアのような孤独な人生は嫌だと思いつつも、そんな風に生きたいと羨ましいと感じたりもする。カイアの一生を体験するような話だった。

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2025年10月17日

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ネタバレ

最近読んだ中で抜群に面白かった!
全体通して、具体的な情景や雰囲気、空気がどんどん頭に入ってきて読みやすい文章だった。またそれらを美しいとも思った。

読み終えてから途中で挟まれる詩がカイアの気持ちをなるべく表現されているのではと思った。
なのでそれらを読み返してみたらカイアは最後まで孤独と愛の間を揺れ動いていたのではと考えた。そして終盤、彼女は愛を選びテイトと結婚をする。(釈放後の詩では孤独を選ぼうとしてたように思える。)
そこからアマンダハミルトンの詩は1回も出てこないので、その選択が彼女にとって最善だったかはわからない。

釈放後、カイアはジョディを拒絶する。みんなで頑張ったのにまだ無理なの!?って思った。カイア自身もなんで自分が怒ってるのかわからない様子だ。彼女はやはりザリガニの鳴くところを最後まで求めていたのかも。

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2025年10月09日

Posted by ブクログ

1960年代アメリカの片田舎で湿地に住む少女。差別に晒されている中ある殺人事件の犯人であると疑われてしまう。人間の善悪両面を描きながら、それを包み込むように存在する自然。孤独の素晴らしさと他者との関わりの難しさなど、物事の両側面を描くこの小説自体が全てを受け止める包容力を持った大自然のような小説だった。

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

ずっと読みたいと思っていた「ザリガニの鳴くところ」。
いやーすごかった。。

幼い頃から家族や大切な人たちに見捨てられ、激しい孤独と寂寥感をかかえながら、湿地の小屋で一人で生き延びてきた少女カイヤ。

前半部はやや長い印象もあったが、読み終わってから振り返ると、カイヤがどれほど寂しかったか、生き延びるのがどれほど大変だったかを感じ取るのには必要な長さだったと思う。「つらいのは、いくどもの拒絶によって自分の人生が決められたこと」。特にここは心臓がぐっとつかまれたように苦しくなった。

また、著者が動物学者ということで、自然に対する洞察力とその表現が卓越しているところがこの小説の大きな特徴。
そして、自然のなかを生きる生物の生態と、登場人物の行動を重ね合わせているところに唯一無二感を醸し出している。
子供を捨てた母親、暴力によって相手を従わせようとするオトコたち、そして何より最後に明かされるカイヤの秘密などなどが、人間に残る原始的な遺伝子に依拠した行動として表現されていて、なんとなく儚さを感じる。

ラストの衝撃も凄まじく、トータルで本当に素晴らしい作品だった。オススメです。

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

引き込まれる。登場人物はそれほど多くない。  
カイヤにとって、自然は家族、自然の中では、動物たちは生きるために残酷なこともする。カイヤはただそうしただけ。罪悪感などないのかもしれない。ケイトと結ばれたけれど、なぜか切ない。

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2025年08月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久々に読んだ海外長編小説。好きな作品でした。
色々な要素がギュギュッと詰め込まれているのに、とても読みやすくて、物語の世界にスッと入って没頭できた。

ノースカロライナの風土の描写が生々しく想像掻き立てられる。主人公の少女カイアが境遇が可哀想だけど、逞しく生きていて魅力的。
カイアを取り巻く登場人物も、目に浮かぶような人物描写でイメージしやすく、翻訳物苦手な人でも読みやすそう。
ミステリー要素もあって先が気になって一気に読んだ。
生物の知識も学べてとても面白かった!

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2025年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

美しい湿地の情景が浮かんできます。
カイアの住む小屋の描写も好きです。
辛い場面が多く、いちいち胸を締め付けられながらも、カイアのたくましさにページを繰る手が止まりません。
まさかの法廷シーンがあったり
ラストでは「あーあー…」と脱力したり
感情が忙しい〜

映像化しているんですよね。
きれいなんだろうなぁ

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2025年07月25日

購入済み

静かな波が立つ作品

なんでしょうね。波は立たないストーリーなのに、読後、ココロが揺さぶられてしまいました。ジャケ買いっぽく買いましたが、正解でした。

#切ない

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2024年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久しぶりの海外文学。
カタカナ苦手なので登場人物覚えられるか分からなかったけど、出てくる人数が少なくて理解できた!

ミステリーというより一人の少女が成長する話だった。幼少期はどうしようもないくらい切ないと感じてたけど、色々外との関わりが増えたりして話が膨らみ良かった。
最後が急いでまとめられただけに、テイトと結ばれるシーンなど心変わりした描写はしっかり描いてほしかったな、、でも全体的にはとても良い作品だった!

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2025年12月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

あらすじでサスペンスミステリーだと思ったら、カイアの人生・湿地の自然・アメリカ社会のドキュメンタリーだった。
あらゆる要素が絡み合ってカイアの無罪を信じたくなる。

カイアがチェイスから暴力を受けた時はウワ〜最悪!って思った。
カイアは孤独でも生きていけるけど、誰かから加害心を向けられた時に一人で生きるのはグンと難しくなる。
保安官に訴えても自分の立場ではどうせセカンドレイプされるだけ…というのがキツい。
社会が犯罪から守ってくれないのは困る。

あとアメリカの裁判こんな感じなんだ〜って見れてよかった。
弁護士が強かった。
検察側にも弁護士側にも決定的な証拠がなくて、弁護士の口先で勝ち取った無罪だった。

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2025年12月20日

Posted by ブクログ

人間の生殖を野生の生殖と合わせて考察するカイアが湿地で育っている風情とリンクして面白かったです。若干の英訳の遠回りな部分があり読むのに時間はかかりましたが、人種差別や背景を考えさせられる一冊になりました。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

かなりの長編小説なのに、終始ドキドキしながら一気読みした。最初から最後まで感情が揺れっぱなし。
まず、家族に置いていかれたあとも、健気に帰りを待つ幼児カイアに胸が締め付けれる。時折り挟まれる母との回想シーンは毎回涙が出てしまった。
そんなときに現れたテイトの存在に、ほっとすると同時に、別れの予感に苦しくなる。
そしてチェイスへの怒り。「わたしを邪魔すんなー!」
裁判のシーンでは、テイト、ジャンピン夫妻や弁護士のトムへのあたたかい感謝の気持ちと、それに応えきれないカイアの強情さに腹立たった。
そして望んだ生活を手に入れて、こちらも幸せな気分になったあと、最後の真相を知り深淵をのぞいた気持ちになるという…感情が大忙し。

湿地の情景も心理描写も繊細に描かれている。
ストーリーを追うのに必死で、そういった部分を味わいきれていない気がするので、映像版で補強しようかなと思う。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

犯人はコイツかな、、、アイツかな、、、と考えながら、一気に読み進めるがなかなか分からず、、、ラスト。そういう事ね。となる。

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2025年11月10日

Posted by ブクログ

原文は美しいし翻訳も素晴らしい。沼地や自然が生きているように描かれる。カイアの幸せを願わずにいられない。心の平穏は訪れたのか。でもラストは納得いかない。読んだ人と話したくなる作品

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

ノース・カロライナの湿地で村の青年チェイスの死体が発見された。
人々は真っ先に湿地の少女と呼ばれるカイアに疑いの目を向ける。
6歳で家族に見捨てられ、生き延びてきたカイア。
村の人々に蔑まれながらも、
生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へ
思いを馳せ暮らしていた彼女は果たして犯人なのか……

読み終え、脱力感の様な不思議な感覚に襲われている。
前半がとにかく重く辛い。
カイアの人生が想像を絶するほどに過酷すぎるのだ。
数えきれない別れ、そして偏見、決めつけ、差別。
そういった負の感情が次々と描写されている。
だが胸を張って酷いとどれぐらいの人が言えるのだろう。
立場が違えば、自分もこうしているのではないかという恐怖すら感じる。

これは単なる犯人当てのミステリーではない。
湿地の少女の人生を生きることができるのか、
そう問われているかのような重厚な物語だった。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

某インフルエンサーさんがおすすめしていて、普段は翻訳ものは苦手なのですが、なんだか気になって購入。

わたしが思う読書の魅力のひとつに、日本語の文章の流れが好き、という点があって、
翻訳ものが苦手なのは、そんな日本の文章の魅力が削がれてしまいがちで読みづらいからっていうのがあるんだけど、

にもかかわらず、この本はグイグイ読めてしまった。
おそらく、そんな苦手ポイント以上に、自然の描写の美しさが勝っていたんだと思う。

主人公の心の揺れ動きにも胸がツーンとなって、共感できた。あれもこれもフレーズをメモ。

あと翻訳ものってなぜか、この先とても怖いことが起きるんじゃ…?っていう恐怖感があるっていうのも敬遠ポイントのひとつ(アメリカの凶悪犯罪的な)で、

この本を読んでいる間も、そういう恐怖感をほんのり持ちながら読み進めることになってしまい、早く読み進めなければ…という強迫観念によりしっかり堪能できなかった気がする(;ᴗ;)

もっと堪能すればよかった!と思えるような、潟湖の自然描写の美しさ。
だがしかし読み返すにはひるんでしまう分厚さ。。

潟湖って、なんて読むんだっけ…って何回か辞書ひいた。せきこ。

サスペンス味はあるけど、ホラーではない。

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2025年09月17日

購入済み

危うい美しさ

殺人事件から物語が始まり、ミステリーのつもりで読んでいました。
確かに殺人事件の捜査が物語の中で進んでいきますが、一旦過去に戻り、親にも家族にも置き去りにされた少女の物語も進行していきます。
その少女の物語が、孤独と沼地の自然の中で進んでいくのが、なんとも美しく寂しい物語でした。
映像化されているということなので、配信を探してみたいと思っています。

#切ない #エモい #深い

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2025年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

3.5くらいかな…
中盤までは湿地や自然の描写が浮かべなくて、それは多分鳥や草木をイメージ出来ない自分が居たからだと思います。だから読み進めるのダレました。

後半は色々と小説を読んでいて初めて法廷のシーンや弁護士や検察の主張のセリフや描写が本当に素晴らしくて感嘆しました。あのシーン面白かった。映像が頭にイメージ出来ました。
判決が出て、お兄さんに車で送られる中、カイアが兄に『あなたの中の荒地を見つめてほしい』みたいな独白とその下りがとても好きです。
無罪放免になって、テイトと結婚し、兄夫婦や甥や姪と『家族』っぽいやり直しの温かなシーンが出てきますが、なんか嘘くさくて、ラストを読むと、(あえてそう嘘臭い描写にしたのかなあ)って思いました。といってもカイアの心中は計り知れませんが、
小さな頃からの少女の孤独や不信はそう簡単に他人には満たせないんじゃないかと。

善悪は集団社会から疎外され一人で生きてきたカイアになにがルールで善悪かそこだけ従わせるのはズルいとは思います。でも、信じてくれてたジャンピンや奥さん、お兄さんや出版社の方やテイトの信頼や気持ちを裏切る行為は好きになれません。勿論彼女は性暴力や差別の被害者なのですが。
あとチェイスの結婚相手が法廷に出てこなかった(と思う)描写が無かったのもなんでだろうって。
ラストの貝の首飾りを捨てないで取っておいた理由もわからない。
監房でカイアの独白や煩悶、『なぜ私が!?』って描写が無かったのもやっぱりそうなんだな、って犯人分かって思いました。
残り数十ページの辺りで、本当にこれ話終わんの?って思いながら最後の方、読んでました。
事実を知らずに亡くなったジャンピン、好きになって、支えて、信じて、結婚して晩年を共に過ごし、彼女の死後、事実を知り、これからも生きなければならないテイト、それ考えるとちょっとつらいです。
あと、カイアの人間不信なトコ私そっくり。彼女の様な才能はありませんが。
アン・シャーリーみたいに、同性の女友だち最後まで出来なかったの、(あるいは作らなかった)可哀想。
あとルッキズムの話になりますが、カイアが男性に魅力的な外見をして無かったら物語が成立するのか、そして、研究や出版で社会的に有名、富も得ますが、その背後にはそれらをなし得ないで親や家族に捨てられ『ただ消えて行った』たくさんの数え切れないトラッシュのままのカイアたち、あるいは少年たちが居るのだと思います。

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2025年12月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後の最後までは世界観が細かく描かれており、それぞれの登場人物の心の移り変わりも読み取れて没入してしまいましたが、判決が下ってから終わりまでの書き方が好きではありませんでした。
結末の意外性を強めるための、読み取りにくい心情や今までの人物像とかけ離れた行動が多々気になりました。
カイアがジョディに怒りをぶつけるシーンや
あれだけ拒否していたテイトをあまりにも
唐突に受け入れるシーン。
繊細に描かれていた心情は一体なんだったんだ?
と思いました。
またあれだけ村人を毛嫌いしていたカイアが
地方紙に自分の詩を投稿していたっていうのも
全く行動として結びつかない…。
最後の数ページで一気に冷めてしまいました。
それまでが良かっただけに凄く残念……。
 

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

 無防備で無邪気で、手に入れたと思ったらすり抜けられて、時には牙をむかれるのにどうしようもなく惹きつけられる。彼女は自然そのものだった。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カイアの壮絶な人生。過酷な状況の中でも生き抜いていく姿がリアリティがあって引き込まれた。特に裁判のあたりからは臨場感があってどんどん読めた。が、少し長く感じた…。

でも最後のどんでん返しがえ!?ってなって面白かった。そこが一番飲みどころだったかも。

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

漢字の備忘録( ´_ゝ`)
潟湖(せきこ)、櫓(やぐら)

あーやっと読み終わった。時間かかった。

まず湿地ってどんな場所なのか知らない、なんとかドリとかなんとかワシとかも知らない、
というわけで情景を思い浮かべるのが激ムズから始まった。
翻訳も直訳に近いような、スラスラと読めるような日本語にはなってなくてほんと頑張って読んだ、って感じ。

野生の女、カイア。
話しかける相手カモメ、隠れる時は四つ這いで移動、足にクギ刺さっても自然治癒。
栄養取れてなさそうな食事ばっかしてたけど、それでよく175センチ?まで伸びたな。生命力すごい。

そして結局犯人カイア。
男装したり、おばあさんぽくして夜中にバス乗ってたってことでおけ?
赤い帽子の繊維ついてたってことは、元の帽子の持ち主のテイトが実は犯人だったのかな、っていうミスリードあったけど、カイアだったんだね。
てことは、「赤い繊維、4年前のものかも説」が無いのはテイトは知ってて、カイアが犯人てことに気付いてたんだよね?いや気付いてないのか?
ちょっとそこらへんわからず。

そう、なんかわからない、はっきりしない、って思うことが多かった。
その情景を想像することができないし、絶妙に登場人物の気持ちが入ってこない。
そしてカイアって人馴れしないで生きてきたのに、
死刑になりかけ→無罪勝ち取るっていうそこに至るまでの計算高さというか、裁判で無言を貫いて人に見破られないようにしていた姑息さとか、すんごく「人」を感じた。
いくら周りの人がどんどんいなくなったからって、それで信じられるのは自分だけ、と決めたからって、人と関わってこなかった人がこんな簡単に人を欺けるのかねえ。

ずっと前から気になっててようやく文庫買ってみて楽しみにしてたけど私はハマれなかった

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

家族に見捨てられながらも、広大な湿地でたったひとり生きる少女に、ある殺人の容疑がかかる-。

初めてのディーリア・オーエンズsan。
ようやくご縁があり、読むことができました。

舞台は米国ノースカロライナ州の湿地帯。1969年に発見された死体と、1953年の”湿地の娘”の成長を追った2軸の展開。カイアの生い立ち、閉ざされたコミュニティ、ボーイフレンドたち。

湿地帯の森林や潟湖(せきこ)などの自然の描写がとても美しく、とにかく悪い人はカイヤに近づかないで! と祈りながら読み進めました。

裁判の結果は正直予想できてしまったのですが、最後の詩「ホタル」には胸を打たれました。

”愛もまた移ろうもの いつかはそれも、生まれるまえの場所へと戻っていく。 A.H.”

【2021年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位】

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2025年09月28日

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