【感想・ネタバレ】ザリガニの鳴くところのレビュー

あらすじ

ノースカロライナ州の湿地で青年の遺体が見つかる。村の人々は「湿地の少女」カイアに疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられ、人々に蔑まれながらたった一人湿地で生き抜いてきたカイアは果たして犯人なのか

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ネタバレ

湿地の描写が全て目に浮かぶようで心地良い、失われてしまうとわかっても父親とふたり過ごしたところが好きだなあ。カイアが1番に自然と共にあったからこその結末、めっちゃ好き。

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2026年05月12日

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ネタバレ

一つの章が細かくて連ドラみたいに読めた。ジャンピンが好きだった。ミステリー小説というくくりだけでは足りないような気がする。続きが気になってしょうがない話だった。
父との関係に自分の母親を重ねて読んだ。あそこまで酷くないが、相入れないと思っていた相手とふとしたときに仲良くなれたときの自分が生まれてきてよかったのかもと思える幸せと、やはりどこかで食い違いまた仲違いしてしまったときの仲が悪かった期間分と仲が良かった期間分が積み上がり倍増する喪失感とやるせなさに。

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2026年02月15日

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ネタバレ

面白かった。カイアにあまりにも感情移入をしてしまい、家族が全員去っていったとき苦しくなり、テイトに恋をし、失望し…チェイスに関してはだめだー!だめだよカイアー!と思いながら結局こういう男にハマってしまうんだよ…という気持ちにもなり(カイアが私ではない誰かが彼を待ち望んでいるような気がする、みたいなことを言っていたけど孤独に晒され続け愛されたい少女だけが一人歩きしてしまったみたいですごく理解できて苦しかった)、ただ最後まで結末がわからずに読んでいたので虚を突かれた。
だが、性暴力をされ、鍵なんてない小屋のような家に暮らしている女の子が、これからも襲われるのかもしれないという恐怖に晒され続けたら生活ができたもんじゃないよな、と思う。しかもこんな閉じた街で、差別され、身寄りもなく、相手は身分的にも物理的にも間違いなく勝てない相手、しかも物証なんてほとんどない時代、命を奪う他ないのかもしれない。
野生と共に過ごしてきたカイアは、肉食動物の危険に晒され続けるくらいならばと、ホタルやカマキリやその他諸々の野生から受け取った知恵を使い、誘い込んで、相手を葬った。そして自身の安寧を手に入れた。そうでもしないと彼女は生きていけなかったんだ。
ある意味では、テイトも共謀者なのではないか、と思っている。

湿地の描写があまりにも美しく、壮大で、残酷で、ずっとこの湿地の鳥たちに囲まれていたい、と思った。
私の家の近くには、朝の早い時間に鷺が4羽固まって行動をする川がある。鷺は、それぞれ細く長い足でゆったりと優雅に歩き、かと思うと素早く嘴を水面に突き刺し、魚を食べる。そしてあの見た目からは考えられないくらい野太い嗄れた声で鳴く。一時期その鷺たちを観察するのにハマっていた時期があるのだが、それを思い出し、妙に親近感を覚えたのも、この物語にハマった理由の一つかもしれない。
また彼らを観に行こうかな。

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2026年02月04日

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ネタバレ

カイアと言う一人の女性の人生譚、成長譚であり、湿地帯の美しさを描き、ミステリとしても上質。どこを切り取ってもハイレベルなすごい一冊だった。

社会からも家族からも見捨てられサバイバルさながらに独りで生きてきたカイアがチェイスを殺すと言う結末は、迫害され最底辺に位置するものによるその最上位に位置するものに対する下剋上であり、それを助けたのは唯一の味方であった自然とそれにまつわる知識であったと言う構図がとても良い。
しかし、テイトと幸せなその後を過ごしつつもそれを最期まで隠し続けたカイアの心情を思うと結局彼女は孤独であり続けたのではないかと、果たして幸せだったのか、報われたのかと勘繰ってしまう。

そして見逃せないのがチェイス。彼は作中では悪ではあるが、カイアに対する愛は本物で、名声もあり社会的に地位があるが故のジレンマの狭間で揺れ動いた結果がカイアに対する最後の仕打ちに繋がったのだと思う。
社会から見捨てられたからこその自由を持つカイアと社会から認められているために不自由なチェイス。どこへ行っても"チェイス"と言うレッテルが付き纏うなかで唯一個人として向き合ってくれたカイアが心の拠り所であったが、結局相反する二人が結ばれることはなく、望まぬ結婚をしてカイアと離れ、酒を飲み自暴自棄になった結果があの凶行だったんじゃないかと想像できる。
行いは許されるものではないが彼もまた社会に翻弄された一人で、カイアと形は違えど同じ孤独の渦中にあり続けた人生だったのではないかと同情してしまう。どこかで歯車が噛み合えば違った結末もあったのではないかと。

妄想や想像を含みつつもすごく奥行きのある物語でとても楽しめた。
余談だけど、直後に見た実写映画はディテールが削られた恋愛ものになっておりチェイスもただのクズに成り下がってて残念でした。小説は本当に傑作です。

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2026年01月15日

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ネタバレ

で、本作も面白かったですねー。

訳者の友廣氏が『この作品のジャンルを特定することは難しい。フーダニットのミステリであると同時に、ひとりの少女の成長譚とも、差別や環境問題を扱う社会は小説とも、南部の自然の風土を描いた文学ともとらえることが出来る』(P.605)と語っていましたが、確かに奥行のある作品でした。

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私は生物学系の本としてとらえました。

湖沼のほとりに打ち捨てられた少女・カイヤですが、実地と図書から学んだ知識は教授顔負けというところでしょう。そこでの観察を人間社会や人間関係へ適用しつつ考察するのを見て、私はかつて読んだコンラート・ローレンツの作品だったり、長谷川眞理子氏の作品を思い返さずにはいられませんでした。

また、男に裏切られ人を信じなくなった少女カイヤが今後どこまで閉鎖的になるのか、というところや彼女自身の心情描写にはぐっと引き付けられました。人恋しいのに、やっぱりまた騙されるかもって、他人との交わるを極度に嫌がるようになるカイヤの姿が印象的でした。

そんでもって、最後の最後、彼女の死後のほんの数ページの展開が心憎かったですねえ。ここはどちらかというとミステリーですよ。あの部分で本作は更に株を上げたなって感じました。

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ということで、2021年本屋大賞・翻訳部門一位の作品でした。

美しい風景描写、緻密な生物学への造詣、細やかな心情描写、そして最後の驚きの事実。どれも面白い納得の一位作品だったと思います。

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2026年05月11日

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ネタバレ

カイアの人生があまりにも凄絶で悲しかった。
なんであんな小さな子を家族の皆が皆置いて行ってしまうのかと信じられなかった。兄が教えた逃げる術も果たして良かったのだろうか、孤児院の方がマシなのでは、と考えてしまった。
チェイスは悪者にされがちだが、貝のネックレスを着用し続けていたり、デートで伸び伸び過ごしている様を見ていると、カイアへの想いは確かにあったのだろうと思った。当時の社会や男性の在り方などが愛情もチェイスそのものも歪めてしまったのだろうか。もちろん彼のした事は許されることでは無い。狭い世界で生きるカイアがどれ程恐ろしさを感じていたか、父親の記憶により一層増幅されていたことを思うと気の毒でならない。
裁判は弁護士が優秀なこともあり、検察側の言い分は大分苦しいという印象だったが、判決が出る時には随分ドキドキしてしまった。のだが、最後の展開にはやはりとも思ってしまった。とは言えじゃあ彼女がどうすれば良かったのかという代案を提示することは出来ず、なんだか胸の内に爪痕だけが残った気がした。

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2026年03月14日

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ネタバレ

よかった。
序盤は文字を追っている感じだったが、途中から夢中で読んだ。6歳から一人で生きたカイアの孤独と成長、テイトの存在。続きが気になった。
チェイスの死は物語のエッセンスだとしても、最後の謎解きは無くてよかった。カイアの無罪判決が出たところで、自分の中で犯人捜しはどうでもよくなっていた。解説の「ずっとカイアに寄り添い、彼女の幸せを願ってきた読者は、もしかしてラストで突き放されたようにも感じるかもしれない」が、「その通り」だった。

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2026年02月14日

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ネタバレ

ザリガニの鳴くところ
茂みの奥深く、生き物たちが自然のままの姿で生きてる場所ってことさ。

愛もまた映ろうもの
いつかはそれも、生まれるまえの場所へと戻っていく。A.H.

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2026年02月06日

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ネタバレ

読み終わった後どうして作者がミステリのような形式でこの作品を描いたのかわからなかった。繊細な心理描写と美しい情景描写でカイアとカイアが生きた湿地を見てきたのだから事件のこともカイアと共有したかった。チェイスの死にはあんまり興味が湧かなかったから、ミステリとしての醍醐味(誰が、いつ、どうやっての解明)も薄いと感じていた。
しかし、しばらく考えて私のカイアと事件を共有したかったという願望はカイアに対する仲間意識から来ており作者はミステリの形式で事件の真相を読者から秘匿することによってその仲間意識は間違ったものであることを示そうとしたのではないかと考えた。
カイアはテイトにもジャンピンにも自分がチェイスを殺害したと告白しなかった。これはカイアが2人と本当の仲間ではないことを表している。そして事件の様子を読者に共有しないことはカイアが読者とも仲間ではないことを示している。カイアの仲間は人間ではなく湿地なのだ。だからカイアはチェイスとの関係を誰かを頼るという人間の方法ではなく、雌のホタルのようにおびき寄せて害するという湿地の方法をとったのである。

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2026年02月05日

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ネタバレ

カイア、一人でよく頑張ったねぇ…。みんなから尊敬される存在になったんだねぇ…!と感動していたら、最後の最後で、んんん!?となる記述が。

たしかに法廷の場面とかを思い返すと…。という部分もあるけども。
でも、アメフトやってるようなガタイの良い男性を、細身の女性一人でやれるもんなんだろうか。

この小説はミステリーなんだろうか?
だとしたら、結局真実ははっきり語られておらず、アリバイとトリックは、法廷の場と、テイトの想像でしか語られていない。
ミステリーというよりはカイアという女性の成長物語のような感じだったかな。

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2026年01月05日

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ネタバレ

エンタメ小説。
沼地に住む女の一生を描いた作品。事件の行方と主人公の人生の浮き沈みが、シンプルに面白く描かれている。最後唐突に始まった裁判のシーンですら面白かったから、この作者はどんなものでも面白く書けるのだろう。

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2026年04月01日

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