【感想・ネタバレ】ザリガニの鳴くところのレビュー

あらすじ

ノースカロライナ州の湿地で青年の遺体が見つかる。村の人々は「湿地の少女」カイアに疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられ、人々に蔑まれながらたった一人湿地で生き抜いてきたカイアは果たして犯人なのか

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ラストがなければ星4にしてたかもしれない。
“なぜ被害を受けた側が赦すことで前に進まなければならないのか”
許しを求められる立場にされることへの違和感や不条理を突くような一文が特に印象に残った。
孤立が弱さじゃなく生きる力に変わっていく過程が、物語の芯としてしっかりと響いた。しばらく余韻に浸る。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何度も泣いた。主人公がどうなってしまうのか気になり、ページを捲る手が止まらず1日で読んでしまった。感情が動かされっぱなしのお話。

テイトが戻ってこなかった時、チェイスの婚約を紙面で知った時、戻ってきたジョディをなかなか受け入れられなかった時、お母さんが亡くなってたと知った時、、他力の幸せに裏切られて、何度も何度も孤独を味合わせられてもなんとか気持ちをやりくりしてるのが可哀想で…カイアが自然の中でたくましく生き抜いているのでそちらに気が向いてしまうのだけど、守られるべき子供が孤独に生きているというのが切なくて、何度も涙が溢れてしまった。

チェイスに関して、貝殻をずっと付けていてくれたの、本当は本当にカイアを愛してたのでは、と思ったけど、、多分、周りの環境がそれを許さなかったから歪な形になってしまった愛なんだと思うんだけど、、守られるべき子供時代に、親に捨てられて自分には自分しかいないという絶対的な孤独から出発してるカイアにとって、カースト上位の男子から想われて…とか、貝殻をずっと付けてる意味…なんて想像してる余裕はないんだろうな。そういうのは、家族や集団の中の普通の地位など、他に守ってくれる人や環境がある場合に考えられることであって、自分には自分しかいないような場合、生存本能から彼を亡き者にして脅威を除くのは必要なことだったんだなと納得。彼女は自然そのものだ。
ただ、カイアが生涯貝殻をずっと隠してたのは何でなんだろうと思った。そこは、人間らしい矛盾なのかも。思い出をできているということか、それとも完璧な蒐集家のどうしようもない性質なのか。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分が湿地に住む生き物になってカイアを見守り続けたかのような小説。
湿地のイメージが漠然としていたから、事前に「ノースカロライナ 湿地」を画像検索してから臨みました。(あとがきで「ディズマル湿地」がモデルになっていると知ったけど)

翻訳作品を読み慣れてなかったため序盤は時間がかかりしんどかったけど、翻訳であっても美しい表現や著者独特の言い回しは受け止められた気がします。翻訳家さんのご尽力にひたすら感謝です。けどやっぱり原文のまま読める方々羨ましい…
テイトやチェイスが登場してから先が気になって止まらなくなり、序盤のローペースが嘘みたいにするする読めた。

事件後とカイアの幼少期以降を行ったり来たりしながら進んでいくのがスリル満点。なぜチェイスは殺された?カイアが容疑者?真犯人は?っていうたくさんの???を抱えながら読み進めるドキドキが楽しかったし、カイアの過ごす日々と事件の日が少しずつ近付いて合流するのも面白かった。

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・カイアがお母さんが帰ってくると信じてるところがつらい。諦めながらも全然諦めてない。悲しい。幸せになってほしい。カイアの人生はすべてお母さんとの記憶なのに。
お母さんが出て行った理由は後の方で言及があってスッキリ。それでも親子で一緒にいられればよかったよね。6年間母さんと過ごした日々の記憶だけでその何倍もの年数を生き抜くことができるほどの存在なのに。
・テイト、大学生とはいえ約束全スルーはさすがにひどい。カイアがしばらく許さなかったのもわかる
・カイアが一目惚れ?するくらいの容姿と肉体を持つチェイス。典型的な遊び人なのに、カイアに対して辛抱強くアプローチしてたのは意外。街の女の子にはないものをカイアが持ってたのね
・カイアが自分の力で大金を稼いで生きていく展開は胸熱で、これまでの不遇な日々が報われたような気持ちになり嬉しかった。
・チェイスの無責任な将来の約束にカイアが前向きに反応してしまうのを見てるのが辛かった。家族や友達に紹介してもらえるのかな、と密かに思っているところとか。かなしい
・母さんが死んだことを知ったのも犯行を助長しただろうな。もう母さんに会えないとわかって自暴自棄のタイミングにチェイスの言動。
父さんに殴られ続けて出て行った母さんと自分を重ねて、あの日の母さんを救うためにチェイスを殺さなければっていう気持ちもあったのかも
・カイアは人ではなくもはや湿地という自然の一部なんだよな。だからこそ証拠を残さずに人を殺す方法をわかっていた。自然災害で人が死んでも自然を裁けないように、カイアがチェイスを殺しても裁けなかった。
・裁判はドキドキしながら文章を追えて面白かった。トム・ミルトンさんはすごい。カイアが無罪になった時は涙が出た。
・カイアが犯人とは思いたくなかった。けどテイトやジャンピンがカイアを救うために人殺しまでするとは思えないし。真犯人は意外な動機があるのかな、とか思ってたけど…。ホタルやカマキリの雌が雄を殺める描写がとりわけ印象的に描かれていたし、チェイスとの関係がどんどん悪化するから現実味が増していく…でも最後の詩を読んで、カイアにとって必然の行動だったんだと納得させられてしまった。
・テイトにも誰にも真相を話さずにしっかり寿命を全うしているあたり、罪悪感もほぼなかったのかな。カイアにとっては不幸な事故のような感じ?バークリー・コーヴに近付かなかったことがカイアなりの罪滅ぼしなのか…?

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2025年10月26日

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ネタバレ

最近読んだ中で抜群に面白かった!
全体通して、具体的な情景や雰囲気、空気がどんどん頭に入ってきて読みやすい文章だった。またそれらを美しいとも思った。

読み終えてから途中で挟まれる詩がカイアの気持ちをなるべく表現されているのではと思った。
なのでそれらを読み返してみたらカイアは最後まで孤独と愛の間を揺れ動いていたのではと考えた。そして終盤、彼女は愛を選びテイトと結婚をする。(釈放後の詩では孤独を選ぼうとしてたように思える。)
そこからアマンダハミルトンの詩は1回も出てこないので、その選択が彼女にとって最善だったかはわからない。

釈放後、カイアはジョディを拒絶する。みんなで頑張ったのにまだ無理なの!?って思った。カイア自身もなんで自分が怒ってるのかわからない様子だ。彼女はやはりザリガニの鳴くところを最後まで求めていたのかも。

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2025年10月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

引き込まれる。登場人物はそれほど多くない。  
カイヤにとって、自然は家族、自然の中では、動物たちは生きるために残酷なこともする。カイヤはただそうしただけ。罪悪感などないのかもしれない。ケイトと結ばれたけれど、なぜか切ない。

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2025年08月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み始めから重苦しくて、息が詰まりそうになる。
主人公のカイアは6歳。
ある日、母さんがよそ行きの服を着て旅行用のカバンを持って家を出た。
それをきっかけに二人の兄たち二人の姉たちも次々に家を出て行った。
残されたのは6歳のカイアと、父さんだけ。

父さんに捨てられないように、カイアは一生懸命家のことをする。
酔っぱらっているか不機嫌な時しかない父さんが暴力をふるいそうになると、カイアは逃げる。湿地に隠れる。
父さんが何日も帰ってこないとき、カイアは家にあるものを少しずつ食べて10さんを待つ。
学校には行かせてもらっていない。

母さんから手紙が来た日、父さんは家を出て行った。
その日からカイアは、たった一人で生きてきた。
生活の糧は、湿地で掘ったカキなどの貝や魚を売って得たが、それは黒人の雑貨屋ジャンピンの好意によるところが大きかった。
後にジャンピンの妻メイベルによって服や靴などをもらったり、初潮を迎えたときに世話をしてもらったりしたが、カイアはずっと一人で生きてきた。

14歳になって、カイアは兄ジョディの友だちだったテイトと知り合い、文字を読んだり数を数えたりを教えてもらう。
この時点で1970年代。
科学の進歩からも国の繁栄からも取り残された湿地の少女・カイア。

カイアはずっと家族が欲しくて、仲間(女友達)が欲しくて、ただそれだけが望みだったのに。
白人と黒人で住むエリアが交わることのない南部で、白人の大人たちがだれ一人カイアを救おうとしなかったこと。
カイアが黒人だったら、黒人のエリアでそれなりに暮らすことができたのかもしれない。

カイアとテイトの幼い恋も、二人が純粋であればあるほど、その恋愛を成就させることの難しさが重苦しく二人の、いやテイトの前に立ちはだかる。
もうねえ、本当に読んでて辛い。

後半、殺人事件の被疑者として裁判にかけられるカイアの、どうしようもない孤独。
カイアを信じてくれている人が少なくとも数人はいたんだけど、カイアの心が、人を信じることを拒絶してしまうのだ。

ネタバレになってしまうからこれ以上のことは書けないけれど、カイアは最後まで孤高の湿地の少女だった。
彼女が心から信頼したのは湿地の生き物たちと、留置所の猫だけだったのだろう。

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2025年08月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリーだと思って読んでたんですが、一人の女性の生涯の話だなと思いました。
夢中になって読みました。もう、ほんと色んな場面で泣きました。
お兄ちゃんと再会したところとか、お母さんの話とか、裁判の話とか。
また、テイトが一時期離れてしまった気持ちも分からなくはないです。
改めて客観的に見るとね…

作者さんはこれが初の小説とのことでしたが、人物の心情を書くの上手だなと思いました。翻訳の方も素晴らしいんだと思います。
カイアの心の動きが分かり易かったからこんなに感動できたんだと思います。
次回作も書かれているとのことなので楽しみです。

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2025年08月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久々に読んだ海外長編小説。好きな作品でした。
色々な要素がギュギュッと詰め込まれているのに、とても読みやすくて、物語の世界にスッと入って没頭できた。

ノースカロライナの風土の描写が生々しく想像掻き立てられる。主人公の少女カイアが境遇が可哀想だけど、逞しく生きていて魅力的。
カイアを取り巻く登場人物も、目に浮かぶような人物描写でイメージしやすく、翻訳物苦手な人でも読みやすそう。
ミステリー要素もあって先が気になって一気に読んだ。
生物の知識も学べてとても面白かった!

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2025年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

美しい湿地の情景が浮かんできます。
カイアの住む小屋の描写も好きです。
辛い場面が多く、いちいち胸を締め付けられながらも、カイアのたくましさにページを繰る手が止まりません。
まさかの法廷シーンがあったり
ラストでは「あーあー…」と脱力したり
感情が忙しい〜

映像化しているんですよね。
きれいなんだろうなぁ

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2025年07月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後の最後までは世界観が細かく描かれており、それぞれの登場人物の心の移り変わりも読み取れて没入してしまいましたが、判決が下ってから終わりまでの書き方が好きではありませんでした。
結末の意外性を強めるための、読み取りにくい心情や今までの人物像とかけ離れた行動が多々気になりました。
カイアがジョディに怒りをぶつけるシーンや
あれだけ拒否していたテイトをあまりにも
唐突に受け入れるシーン。
繊細に描かれていた心情は一体なんだったんだ?
と思いました。
またあれだけ村人を毛嫌いしていたカイアが
地方紙に自分の詩を投稿していたっていうのも
全く行動として結びつかない…。
最後の数ページで一気に冷めてしまいました。
それまでが良かっただけに凄く残念……。
 

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カイアの壮絶な人生。過酷な状況の中でも生き抜いていく姿がリアリティがあって引き込まれた。特に裁判のあたりからは臨場感があってどんどん読めた。が、少し長く感じた…。

でも最後のどんでん返しがえ!?ってなって面白かった。そこが一番飲みどころだったかも。

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

漢字の備忘録( ´_ゝ`)
潟湖(せきこ)、櫓(やぐら)

あーやっと読み終わった。時間かかった。

まず湿地ってどんな場所なのか知らない、なんとかドリとかなんとかワシとかも知らない、
というわけで情景を思い浮かべるのが激ムズから始まった。
翻訳も直訳に近いような、スラスラと読めるような日本語にはなってなくてほんと頑張って読んだ、って感じ。

野生の女、カイア。
話しかける相手カモメ、隠れる時は四つ這いで移動、足にクギ刺さっても自然治癒。
栄養取れてなさそうな食事ばっかしてたけど、それでよく175センチ?まで伸びたな。生命力すごい。

そして結局犯人カイア。
男装したり、おばあさんぽくして夜中にバス乗ってたってことでおけ?
赤い帽子の繊維ついてたってことは、元の帽子の持ち主のテイトが実は犯人だったのかな、っていうミスリードあったけど、カイアだったんだね。
てことは、「赤い繊維、4年前のものかも説」が無いのはテイトは知ってて、カイアが犯人てことに気付いてたんだよね?いや気付いてないのか?
ちょっとそこらへんわからず。

そう、なんかわからない、はっきりしない、って思うことが多かった。
その情景を想像することができないし、絶妙に登場人物の気持ちが入ってこない。
そしてカイアって人馴れしないで生きてきたのに、
死刑になりかけ→無罪勝ち取るっていうそこに至るまでの計算高さというか、裁判で無言を貫いて人に見破られないようにしていた姑息さとか、すんごく「人」を感じた。
いくら周りの人がどんどんいなくなったからって、それで信じられるのは自分だけ、と決めたからって、人と関わってこなかった人がこんな簡単に人を欺けるのかねえ。

ずっと前から気になっててようやく文庫買ってみて楽しみにしてたけど私はハマれなかった

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2025年10月10日

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