【感想・ネタバレ】時の家のレビュー

あらすじ

第174回芥川賞&第47回野間文芸新人賞受賞作!

ここで暮らしていた人々の存在の証を、ただ、描きとめておきたい。
三田文學新人賞でデビューした注目の小説家が、傑出した完成度で紡いだあたらしい建築文学。

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いしいしんじ氏&松永K三蔵氏、推薦!

「大切に建てられた一軒の家に、ひとの気配がやどる。流れる時のすきまから、あまたの声がもれだしてくる。いつかまた、この本のなかに帰ってこようと思った。」
――いしいしんじ

「紐解かれていく「時の家」の記憶は、語られなかった想いに繋がる。物質(モノ)がこれほど繊細に語り得る小説を私は知らない。」
――松永K三蔵
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青年は描く。その家の床を、柱を、天井を、タイルを、壁を、そこに刻まれた記憶を。
目を凝らせば無数の細部が浮かび、手をかざせば塗り重ねられた厚みが胸を突く。
幾層にも重なる存在の名残りを愛おしむように編み上げた、新鋭による飛躍作。

【装幀】水戸部 功

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Posted by ブクログ

ネタバレ

人物に対してよりも物体への情景描写が多く、その物体への多彩な表現が輝いている作品。
特に、舞台である「家」の微細な音や見た目の表現は、私的に建築を勉強・仕事をしていたものからすれば、惹きつけるものを感じた。
また、家の庭にある「木」にも終始焦点を当てており、これもまた細かな表現がされている。その中で「とりとめもなく、記憶の中を舞う言の葉」という表現が、作中に登場する人物ストーリーと、「木」の様子を交えている箇所がとてもお気に入り。

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2026年02月22日

Posted by ブクログ

最近出版された本の中で一番好きでした。
この方の本をもっと読みたい。もっともっとたくさん書いてほしい。

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2026年02月22日

Posted by ブクログ

初めて芥川賞受賞作を読みました。
普段、純文学は全く読みませんが、この作品は、スッと読めました。
ページ数が少ないこともありますが、文章がとても丁寧で、情景を思い浮かべやすかったです。
いつかまた、読み返したい作品です。

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2026年02月20日

Posted by ブクログ

取り壊し寸前の家を物語の中心に据え、かつて住んだ人たちの生活というフィルターを通すことで、一方通行の小説という枠組みの中でも、時間が重層的に感じられてよかった。ところどころに作者の時間や記憶に対する哲学が挟まれ、共感するところがあったこと。ある登場人物たちにとって阪神大震災がキーになっていることが、宝塚出身の作者のバックボーンを重ね合わせられ、同様に阪神間出身の私の物語にもリンクしたことが近年の芥川賞作品とは異なる点だった。私にとってはとてもよい作品だった。

4.5という感じだけど、四捨五入しちゃう!
ちょっとしつこいくらいの冒頭の家の描写は三島へと通ずるのか?と思いながら、頭の中で光景を組み立てた。

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2026年02月18日

Posted by ブクログ

この作者、本当に人柄良いと直感的に感じてしまった。なんて優しい物語なのだろうか。
芥川賞受賞作。
一軒の家にこれまで暮らしていた人々の営みと思いが積み重なる。家で言葉にしたことできなかったことの一つひとつが降り積もる雪のように堆積し、家が愛おしくなっていく。
登場人物が繋がるように書かれる文体は、シームレスに時代を越えていき、読者をこの家に繋ぎ止める。決して不滅ではなく最期には無くなる家という存在は、人間によく似ているかもしれへんなぁと言う登場人物の言葉通り、その儚さに思いを馳せた。

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2026年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

住まい手がなく取り壊しを待つ家。
その家もかつては住まい手があった。
薮さん、圭さん、緑の歴代3人の住まい手たちの日常を見てきた家。それぞれの思いが詰まった家。
薮さんは「意匠」を大事にし、自分の心に向き合うつもりで、細部にまで思い入れを持ち、この家を建てた。薮さん亡き後も、薮さんと懇意だった不動産屋が住まい手を選ぶほど、思い入れの強い家だった。
緑は夫と距離を感じている専業主婦。この家で塾を開き、第二の人生を始める。圭さんは、夫とすれ違いを感じながらも、別れないための理由を探していたがいつしかしこりもなくなり、夫の転勤のため引っ越すことになる。

最期は住まい手がなくなり、取り壊しになる家。
薮さんの生前に交流のあった青年は、取り壊し前の家に忍び込み、薮さんの意匠や、建具についた傷から歴代の住まい手たちの息遣いを感じる。

人の命がついえるように、家にも終わりが来る。
ただ、「亡くなって会えないのと、遠くにいてずっと会えないことのちがいはなんなんだろう」という言葉が出てくるが、姿形は消えてしまっても、記憶は残る。残った記憶を縁に、生き続ける。

慈しまれた家が跡形もなく潰される描写、その落差が心を打つ。

筆者のコラムを拝読し、この小説が生まれた背景や願いを知ることで、より深く鑑賞できた。生業に真摯に向き合う専門職の小説であった。

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2026年02月03日

Posted by ブクログ

P31
人生の全体像を真面目に想像したことなどなかったが 1/3以上の時間を表示した時点でこんなに 無彩色で だらりとしたものになるとは思っていなかった。結婚でもしていれば子供でもできていれば違った色の時間を過ごしていたのだろうか。 一昔前なら誰かに急かされて誰かと結婚して家族を持ったりしていたのだろうか。 恋人を作らなくても子供を作らなくてもある程度 理解ある人に囲まれてしまった 今の自分は誰に咎められるでもなく 肯定をされるでもないが否定もされずに多様性社会に散らばっている 余白の穴にすっぽりとはまってしまったようだった。 はまってしまったことも否定されずにはしごのない 余白の穴の中で自分は一体何に縋って生きていくのだろうか。

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2026年02月08日

Posted by ブクログ

設定を理解するのに時間がかかり、最初は入り込めないかと思ったが、後半からどんどん引き込まれた。最後のシーンで思わずあっと口を開けた。建築という初めてのジャンルだったが、丁寧な描写に興味が湧いた。籐巻きの柱がわからなかったので、検索したら物凄く綺麗だけど物凄く手間がかかってて驚きだった。

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2026年02月01日

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本を読んでいる最中の感覚としてこの上ないものをもたらしてくれる小説だった
冒頭一文目から情景に惹き付けられ、その後は文体や、回想から現実(?)への滑らかな繋ぎなどに堪らない心地良さを覚えながら読むことができた
記憶は不確かではあれど、不正確なものではない

取り壊しが目前に迫っている家を見て、青年は家を描き残しておこうと思い立つ
籐の巻かれた柱や白い漆喰の壁を写していくうちに、家に残る熱や湿気から「思い出される」過去の住人の記憶
震災で亡くした友人、塾の教え子、離婚した両親に思いを馳せた先には何があるのか
「家っていうのは時の幹やから」

非常に感動した
目が覚めるようなオチの強さを期待するのでなく、微睡んでいるような文章の心地良さに陶酔しながら読書をできたのは凄いいい体験だった
ぜひ一読を

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2026年01月28日

Posted by ブクログ

解体予定の家に忍び込み、時の流れを遡るかのように室内をスケッチする青年。この家の施主だった薮さん、この家で塾を開いた緑さん、そして圭さん脩さん夫婦の3代に渡る住人の記憶があたかもこの小説を一戸の家として建築するかのように緻密に構成されて描かれる。傑作です。

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2026年01月26日

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もうすぐ取り壊しになる一軒家を通して
この家を建てた一代目の住人、薮さん、
かつて薮さんにスケッチを教わった青年、
二代目の住人である塾の先生、緑、
三代目の住人の圭と修の記憶が代わるがわる語られます。

例えば壁の凹凸や籐を巻いた柱や取っ手から
それらにまつわる出来事やその時の住人の気持ちが全く混乱することなくそのシーンが蘇り、
読者も、自然に自由に時代を行き来できるのです。
家にとって時間軸など大したことではないんですね。

二代目の緑が震災で亡くなった友人のことを
しばらく会っていないだけのような気がして
亡くなったことをまるで忘れているかのような感覚になるという話が特に印象に残りました。
あまりに大事な人の死は受け入れ難く、本当そういう感じになるのかも。

今まで読んだ事ないようなスタイルの本で
それでいて優しく、心に沁みました。

最後の解体シーンは
かつての実家を思い出し胸がきゅーとなりました。

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2026年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

家の一生を辿る建築小説。
これほどまでに物理的でありながら、同時に幻想的な〈家鳴り〉を読んだことがない。こんなにも美しい現象だったのかと驚かされた。
文字の多さを感じさせないほど、言葉が自然に頭へ流れ込み、その流れに導かれるように物語へと没入していく。物語に、家に、包み込まれるような感覚だった。
4間四方の空間の歴史を、人生の最期に重ね合わせる。その最期が必然だと知っていてもなお、ひどく理不尽なことのように思えて、思わず駄々を捏ねたくなる。
最終ページ。不意に、強烈な淋しさがこみあげてきた。

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2026年02月15日

Posted by ブクログ

ここ最近の芥川賞作品の中でも割と好きだった。家が主人公で時をテーマにした作品は長嶋有さんの「三の隣は五号室」を読んでたから新鮮味は少なかった。
 人の記憶というものの儚さ。ある出来事が時間を経ることでその人個人の頭の中でのその事実が変わってくる。
 最近は自分も辛いことがあったとしても時間が解決してくれることを頼みに仕事をしていることもある。会社で失敗して怒られても「お互いこのことを忘れるだろうなぁ」という安心感を頼りに。
歳を重ねるにつれて昔の記憶は本当に朧げになって、何が真実だったかも曖昧になる。
 だからこそ「今このとき」は何をすることが大切なんだろうか。金を使って何か経験を得たり何かを読んだりすることに何か意味があるのだろうか。人は何のために何かを覚えてそれを忘れるのだろう。今何かをしてそれが何かいい思い出になったとして、それは将来思い返した時のノスタルジーでしかないのでは?結局人が何のために生きるのかみたいな究極論につながるのかなぁ。

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2026年02月14日

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2026年前期の芥川賞受賞作品。このプロットをサラッと読ませる技量もスゴいですが、文章から感じる達観っぷり‥‥30代前半の作者、まだまだとんでもなく化けそうです!

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2026年02月14日

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まさかの家が語り手。空き家となって久しく、荒れてしまった家だが、そこに青年がやってくる。
初代の住人で家の設計者・藪さんのことを知っている青年は、家の中に入り、細部をスケッチしていく。

青年の目は、家の柱に巻き付く籐のわずかな違いや、壁の小さな凹みなど、細かいところを見つめる。そこに、以前住んでいた人たちの生活の跡を見る。青年はその傷や凹みがなぜできたのかを知らないが、家は知っている。以前の出来事が、青年が見つめることで蘇るような描写に引き込まれた。

家に住んでいた三代の住人たちのことや、阪神淡路大震災、コロナ禍など、家が長く建っているからこそ知っていることがあり、震災で亡くなった人や病で亡くなった人の存在がある。
時の流れが記憶を薄れさせ、曖昧になっていく過去の出来事や人物のことを、私はどれだけ覚えているんだろうか、と思った。なんてことのないシーンでちょっと泣きそうになる作品だった。

身内に建築関係の仕事をしている人がいるというのも大きかったのかもしれないけれど、芥川賞の作品としては読みやすい方だと思う。最後の方は、ひとつの終わりを見たようで、とても切なかった。

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2026年02月11日

Posted by ブクログ

改行が、あって2回程度のページが延々と続く、現代の読み物ではあまり見かけない余白の少なさに面食らう。こんなにも美しい景色を、このぎちぎち文字配置でみせるなんて勿体無いと感じる。
視覚的描写のきめ細やかさに対し、人物は簡素で温度を感じられないほど。その熱量の違い、ちぐはぐ感は、第一印象として興味深かった。

薮さん、緑、圭さん、青年。彼らを見つめ「こちら」と言うおぬしはだれだ感と、文字びっしりの中で時間軸がころころ変わる流れに、序盤はだいぶ困惑した。圭さんと脩さんが登場したあたりからだんだんと読みやすくなるものの、どこから目線なのか、なぜこんなにも淡々としているのか、それに気づくのはまだ先。情報を入れずに読む1度限りの愉しみ、最高。

震災の記憶が殆どない世代がその爪痕に触れ、受賞し注目され、多くの人に届き、残る。それはとても意義のあること。だからこそ、ほんのりとでもそこで生きる人の温度に触れたかったし、カタチのないものへの道標をもう少しはっきりと示して欲しかったかなという気持ち。

日常そこにあって当たり前としている存在や、見過ごしがちな想いの取り扱いを見直したくなる。
なんとなく、堀辰雄を読み返したくなる。
柱に籐を巻いてみたくなる。

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2026年02月07日

Posted by ブクログ

時間の流れを静かに感じる本だった。

1つの家を中心に、そこに関わった人たち、この家を建てた建築家、その後の住人の歴史を紡ぐ内容。何か大きなイベントがあるわけでもなく、淡々と流れていた日常に震災や離婚を絡めて人々の心情を描き出す。

丁寧な内容の一冊でした。

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2026年01月26日

Posted by ブクログ



これは!建築の世界とその「建築物としての家」の中に住んだ人々の物語が、作家鳥山まことさんの建築の知識と巧みな文章によって綺麗に交互に編み込まれたような作品!
それを読者の私が「浴びる」体験でした!

この本の直後に直木賞受賞作を読んだのですが、やはりとても良い意味で「人を楽しませよう」とエンタメ要素が強い文学作品の直木賞とは違って、芥川賞は作家の表現したいものを「浴びる」ものだと改めて感じました!

歴史的な建築物を学ばないといけない時期が学生時代にあったのですが、その時から建築について考えたり、理解したりするのが苦手だったので、今回の本でも細かい家の作りとかの描写は正直完全に理解していないまま読み進めたけれど、それでも作品の美しさは十分に堪能できたと思います!!

「浴びれた」と思う!!

要所要所にでてくる、「今」を表現するところ(例えばコロナ禍のとき、こっそり同じマスクを2日間使ったりというところとか、ポストコロナに「あれはなんだったんだ?」ってなるところ)に、「生まれたばかりの文学作品を読めてるー!嬉しい!!」という感動が止まらず、昔の名作も素晴らしいけど、生まれたてをオンタイムで読めることの良さも実感しました。

ラストのクライマックスでは、胸が締め付けられました。

家は「木」のようだというところ、好きでした。


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2026年01月21日

Posted by ブクログ

その家にはかつてその家を建てた設計士が、次に数学を自宅で教えていた女性が、最後に子どものいない夫婦が住んでいた。
やがて、売物件となり取り壊されることとなった家にかつて設計士を知っていた青年が忍び込み家の中を細部まで丹念にスケッチをしていく。。
スケッチする度に立ち上がるはかつて人がそこに居た情景。

容赦ない時の流れの中、消えゆく運命の家は人の一生にも似ていて、シームレスに行き来するそこに住んでいた人々の記憶の断片は家が記憶を辿ってるようでもあった。

芥川賞受賞作品。選ばれたからと言うこともないけどその発表記者会見での著者のお話を聞いて是非読んでみたいと思った。

著者もその奥さまも建築士だそうで、そのおふたりが共同で建てたご自宅がモデルになってると。
薮さんが拘りぬいた、あの家のような家なのだろうな、、それは見てみたいと思った。
家の一生を見届けたような、自分にもあるかつて住んでいた家の思い出を揺り起こすような、いつまでも心に余韻が残る、まさに他にない建築文学でした。
今住んでいる家を大事にしよう、、とも思った。

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2026年01月21日

Posted by ブクログ

第174回芥川賞受賞、第47回野間文芸新人賞受賞作、ということで早速、手に取る。
著者は建築士だそうだ。

読み進め、読み終えると「時の家」というタイトルが腑に落ちるようだった。
家が建つところから解体されるまで、その家に住んでいた、訪れた四人の人間の記憶、意識が、まるでその家が語り手であるかのように描かれている。
木造の平屋の家。漆喰の壁や籐を巻いた柱。今はもうこのような家は珍しいのではあるまいか。
思わず祖父母の家や、自分の実家を思い出して懐かしい思いがした。
密度の高い詰まった文体と、四人の人間の記憶がスムーズに入れ替わって行く手法は、時間感覚を上手く忘れさせ、思い出させる。

専門的な家の部位部分の用語が冒頭から積み重なり、少し驚いたのと、それが続いて多少の読みづらさはあった。この部分は人を選ぶのかもしれない。

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2026年01月19日

Posted by ブクログ

芥川賞に読んでも解らないのではと思ったが、思いの外すっと入ってくる。大きすぎると思える寝室に誰かに売る時のためかなどと思ったが、そこには確かにもう一人が寝ているのだと後になって思う。薮さんの上棟式の挨拶は中々沁みる。

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2026年02月19日

Posted by ブクログ

家が語り手の小説というところにまず驚いた。
著者の鳥山まことさんは建築家なのだそう。
家に関する描写はとにかく細かくて、素人には分かりづらい部分もあったけど、この小説には不可欠な箇所だったのだと思う。
この家の住人三世代の話が入り乱れていくので、集中して読まないと訳がわからなくなってしまいそうだった
ラストは自分の家の未来と重ねて、切なくなってしまった。

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2026年02月15日

Posted by ブクログ

最後新幹線に酔いながらだったので流し読みしてしまった。でも後悔はないっていうあらすじ。
いろんな人の思い出が交錯するのはおもしろいし、重なる瞬間も絶妙でよかった。

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2026年02月14日

Posted by ブクログ

主人公がスケッチを通じて家の細部に宿る住人の形跡から過去の物語に戻るという構成はオシャレだと感じた。過去の住人の登場人物が多く、その間に何か関係性があるのかが不明瞭で、全体として何を伝えようとしているのかは読み取ることができなかった。

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2026年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

同業界の方が芥川賞を受賞ということで、拝読。冒頭から仕事でよく目にする語彙が並んでいたので資料を読んでいる気持ちになりつつ、三世帯&青年と家との関係性が混ざりつつ丁寧に描かれていて愛を感じた。思っていたより建築色が強い小説だった。
なぜ木造住宅の話なのに表紙はコンクリートなんだろうと疑問に思っていたが、最後まで読んで納得した。
登場する女性に関して、夫を家で待つとか夫の仕事に影響を受けるという描写が多いことか気になった。
あと青年が家買い取れば?と思ってしまった。

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2026年02月06日

Posted by ブクログ

一軒家に住まう三代の人びとの人生が、当時の時間を遡るように、静かに語られていく。
家を設計した藪さんと、その建築に関わった人々。海外赴任から一人帰国し、家で数学塾を開く女性。両親の離婚を経験し、自身もまた夫との微妙な距離を抱えながら暮らす女性。
それぞれの時間は断片として現れ、家という空間を媒介に、幾層にも重ね合わされていく。

藪さんの「家っていうのは時の幹」という言葉のとおり、家のさまざまな場所に刻まれた記憶は、時を経て三代分が交差する瞬間を生み出す。過去は遠ざかるものではなく、静かに積層していくものなのだと感じさせられ、読み進めるうちにノスタルジックな感情が胸に残った。

すでに実家を出て数十年が経つが、幼少期の記憶を辿ると、そこには必ず住んでいた家の風景がある。引っ越しに伴い、その家はすでに失われてしまった。それでも、いま自分が暮らしている住まいも、将来、子どもたちにとって同じように思い返される場所になるのだろう。
そのときに良き思い出として残るように、そしていつか人生の終わりに、今の住まいを懐かしく思い返せるような暮らしを重ねていきたいと思った。 ★3.9

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2026年01月25日

Posted by ブクログ

語り手は家?
家が語る住人たちの歴史たち。
様々な想いを持ってこの家にやってきた
住人たち。
取り壊しが決まった今だから語られる物語。
建築士でもある著者だからこそ創れる、ストーリーだと実感しました。
家に携わる人に読んでほしい。


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2026年01月18日

Posted by ブクログ

一つの家に住んだ歴代の住人たちのお話。歴代それぞれの住人が主体になって話が進んでいくが、その話の区切りは特になく、全てが繋がるようにスムーズに流れていく。大事な人を亡くしたり出会いがあったり、たくさんのエピソードを家がそっと包んで見ていてくれる。壁の傷一つとってもそこに何か歴史がある。
日本では新築の方が価値があるとされるが、いろんな人に受け継がれて歴史をつないでいく家もいいなと思う。

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2026年01月16日

Posted by ブクログ

思い出すとは一体何なのか、読み進めるうちによく分からなくなった。ふと写真フォルダを見返していると、ある数年だけが妙にたくさん残っていて、それだけで測れるわけではないと知りながらも当時の自分がやけに眩しく思えた。そんな記憶の爪痕みたいなものが家にも残るのかもしれない。思い出さずに生きてゆくことなどできるのだろうか。

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2025年12月31日

Posted by ブクログ

取り壊し予定の家視点の小説。

青年が家の傷などをスケッチしながら、そこに住んでいた人々の記憶を辿る物語。

建築士の筆者らしく繊細な表現でその記憶を立体的なものにしています。その繊細な表現は本著の良さですが、建築関係の専門用語が多く、その都度調べながら読んでいたので読みづらかったです。

全体的には淡白で清らかな世界観で、心が澄むような読後感。家という空間を起点として物語を描き切っています。

設定 3.0
読みやすさ 2.0
表現力 4.5
統一感 4.5
読後感 3.5
★総合 3.5

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2025年12月25日

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