【感想・ネタバレ】時の家のレビュー

あらすじ

第174回芥川賞&第47回野間文芸新人賞受賞作!

ここで暮らしていた人々の存在の証を、ただ、描きとめておきたい。
三田文學新人賞でデビューした注目の小説家が、傑出した完成度で紡いだあたらしい建築文学。

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いしいしんじ氏&松永K三蔵氏、推薦!

「大切に建てられた一軒の家に、ひとの気配がやどる。流れる時のすきまから、あまたの声がもれだしてくる。いつかまた、この本のなかに帰ってこようと思った。」
――いしいしんじ

「紐解かれていく「時の家」の記憶は、語られなかった想いに繋がる。物質(モノ)がこれほど繊細に語り得る小説を私は知らない。」
――松永K三蔵
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青年は描く。その家の床を、柱を、天井を、タイルを、壁を、そこに刻まれた記憶を。
目を凝らせば無数の細部が浮かび、手をかざせば塗り重ねられた厚みが胸を突く。
幾層にも重なる存在の名残りを愛おしむように編み上げた、新鋭による飛躍作。

【装幀】水戸部 功

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Posted by ブクログ

ネタバレ

藪さんが自分のために設計した家がある。その家は賃貸となり、それぞれは無関係な人たちの人生を受け止める家となる。人生というかもっと普遍的な時間を受け止めると言っていいかもしれない。過去の住人の青年は売家となったその家で壁からタイルなどあらゆる物をデッサンする。その描写は時の流れを描きながらもその瞬間の時を止めたようにも思える。家や庭の景色があまり変わらないが、住人は変わる。家の時間と人の時間は交わらないような感じだ。もし交わるとすれば、家が取り壊される時なのかもしれない。

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2026年05月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第174回芥川賞&第47回野間文芸新人賞受賞作。

空き家に忍び込んで細部をスケッチする青年とその細部にまつわる過去のその家の住人の話に展開する構成は面白いと思いました。
ただ、全体の流れとなる物語が無いので読みづらいです。
読み終われば、それぞれの住人の物語があった、と言えるのですが、むしろ震災やコロナ影の怖さや家が解体されるときの痛みを感じ取ることができました。
読み手の力量が試される小説でした。

0
2026年04月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

冒頭、屋根が温められて下地材がきしむ音。設計者であるという作家のあいさつ代わりか。空き家の中のよどんだ空気感、細かい細かい内装の描写に作家の意図を図りかねて読みづらい。
描きたかった一つは、この建物の建て主であり設計者である藪さんの、建築設計という仕事への思いや、それを支え、一緒に楽しんだ昔の職人の仕事ぶりか。設計者目線では一つの理想であろう。
もう一つは、建物が、時間をかけて劣化しいてく様子。住人の生活を通して床の傷や壁のひび割れの由来が念入りに描かれ、青年はそれらをスケッチブックに描き止める。細く流れる人の死と記憶の話は、いずれ壊されるこの建物をだれが記憶しているだろう、という伏線のよう。終盤、建物はあっけなく取り壊され、青年がスケッチをしたように、せめて記録を残したいという思いか、解体の描写は執拗に緻密。
藪さんが意図して点検口を配置したのか、屋根裏の図面たちに後の住人が誘導され、これはとてもいい場面で、解体時にそれを救出するかと思いきやそのままだった。

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2026年04月18日

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