【感想・ネタバレ】時の家のレビュー

あらすじ

第174回芥川賞&第47回野間文芸新人賞受賞作!

ここで暮らしていた人々の存在の証を、ただ、描きとめておきたい。
三田文學新人賞でデビューした注目の小説家が、傑出した完成度で紡いだあたらしい建築文学。

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いしいしんじ氏&松永K三蔵氏、推薦!

「大切に建てられた一軒の家に、ひとの気配がやどる。流れる時のすきまから、あまたの声がもれだしてくる。いつかまた、この本のなかに帰ってこようと思った。」
――いしいしんじ

「紐解かれていく「時の家」の記憶は、語られなかった想いに繋がる。物質(モノ)がこれほど繊細に語り得る小説を私は知らない。」
――松永K三蔵
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青年は描く。その家の床を、柱を、天井を、タイルを、壁を、そこに刻まれた記憶を。
目を凝らせば無数の細部が浮かび、手をかざせば塗り重ねられた厚みが胸を突く。
幾層にも重なる存在の名残りを愛おしむように編み上げた、新鋭による飛躍作。

【装幀】水戸部 功

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Posted by ブクログ

ネタバレ

1つ1つの細かなディテールから始まり、読み進めていくにつれて設計図書が完成、完成した空間に想いを馳せ、記憶として刻む。そしてあっけなく解体。
この物語の構成自体が、設計から解体その後までの建築そのものの物語で、共感を覚えました。

形や部材やキズ1つ1つに、家と一緒に過ごした人の物語がある。
それを意図し、意図しない。
美しく儚い建築の物語。


細部にわたる空間の息遣いまでリアルに読み手に感じさせるためにはここまで必要だったのか、専門書以外でどんどん出てくる建築用語を読み進めたのは初めてだったので、著者の変態具合にわくわくが止まりませんでした。

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2026年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

取り壊される住宅のディテールとそれにまつわる住人の記憶を、淡々とつづった小説。程よく凛とした文章が美しく、静かで豊かな時間が過ごせる本でした。あと装丁も好み。

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2026年03月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

冒頭、屋根が温められて下地材がきしむ音。設計者であるという作家のあいさつ代わりか。空き家の中のよどんだ空気感、細かい細かい内装の描写に作家の意図を図りかねて読みづらい。
描きたかった一つは、この建物の建て主であり設計者である藪さんの、建築設計という仕事への思いや、それを支え、一緒に楽しんだ昔の職人の仕事ぶりか。設計者目線では一つの理想であろう。
もう一つは、建物が、時間をかけて劣化しいてく様子。住人の生活を通して床の傷や壁のひび割れの由来が念入りに描かれ、青年はそれらをスケッチブックに描き止める。細く流れる人の死と記憶の話は、いずれ壊されるこの建物をだれが記憶しているだろう、という伏線のよう。終盤、建物はあっけなく取り壊され、青年がスケッチをしたように、せめて記録を残したいという思いか、解体の描写は執拗に緻密。
藪さんが意図して点検口を配置したのか、屋根裏の図面たちに後の住人が誘導され、これはとてもいい場面で、解体時にそれを救出するかと思いきやそのままだった。

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2026年04月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

固く執拗に細部を積み上げていく文章が、家を中心に据えた物語を体現している。

一つの家の細部を観察しながら、その家にかつて住んでいた人の感情を辿る。
「家っていうのは時の幹だから」
作中の重要な言葉だが、正直書かれていることはこの一言に尽きる。設計図のように、物語が予想外な方向に行くことはない。家の堅固さに最後まで頼る、とても美しいものとして描いているのは、作者が建築に携わる人間と知って納得した。もっと家が牙を剥いたり、爆散したり、消えたりして欲しい。物語のおいしいところがない。

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2026年03月12日

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