あらすじ
四十年ぶりに、高校時代を過ごした淡路島を訪れた圭介。かつて打ち込んだ人形浄瑠璃部の仲間の思いがけない歓迎と恩師の死を機に、島を去る原因となった出来事と向き合い始める。それは運命に抗い、恋に溺れ、島を駆けた夜のことだった――。ベストセラー『あん』の著者が贈る、名もなき人々の人生を力強く肯定する最新長篇。
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Posted by ブクログ
人形浄瑠璃部に入部した高校生の爽やかな青春小説かなと思いながら読み進めた。確かにその通りかもしれないけど、深い苦しみをかかえながら生きる二人をはらはらしながら読んだ。 作家さんは、よくこんな重い人生を二人に背負わしたなと少し憤慨しながら。
最後に、人生のやり直しが出来そうな未来が見えて安心した。そして、30年ぐらい前に淡路島で人形浄瑠璃を見た事を思い出した。また、見に行きたいな。
2026年最初に読んだ本だが、良い本に巡り会えて良い年になりそう!
Posted by ブクログ
この物語を読み終えて、
向き合えなかった過去と向き合うことで、人生は再生されていくのかもしれない、
そんな思いが静かに残った。
人は、思い出そうとすると心の奥がチクチクと痛むような出来事に対して、
無意識のうちに蓋をして生きてしまうことがある。
ちゃんと見つめるには、あまりにも怖くて、
見なかったことにしたほうが楽だからだ。
主人公は、どうしようもない運命を背負いながら、悩み、迷い、それでも懸命に生きている。
何か大きな罪を犯したわけでもないのに、
まるで自分を罰するかのように生きてきた人のようにも見えた。
作中で恩師が主人公に直接伝えたがっていた
「いついかなるときも、潮の流れが止むことはない……」
という言葉は、とても印象に残っている。
人生もまた同じで、止まっているように見えても、時間も感情も、静かに流れ続けているのだと思わされた。
振り返ると、自分自身の人生も決して順調だったとは言えない。
迷い、決断できず、流されてきたと感じる場面も多い。
それでも、その時々で起こった出来事を受け止めながら、ここまで生きてきたのだという事実は残っている。
主人公の人生と自分の人生が重なり、
華やかではないけれど、
もう若くはないけれど、
それでもこれからの人生を、
自分なりにきちんと歩いていこうと思えた。
静かに、けれど確かに、
心の奥に波紋を残す一冊だった。
Posted by ブクログ
伝統のある浄瑠璃部のある高校、その学校に転校してきた高校生の成長の物語。
家庭に問題を抱えた二人の高校生が純粋に浄瑠璃の上達を目標にしながら、惹かれ合っていく。
様々な真実が明らかになっていく後半、不器用な人々の優しさが伝わってくる物語だった。
Posted by ブクログ
人形浄瑠璃というものを全然知らなかったので、イメージしながら読むのが難しかったんですが
YouTubeで人形浄瑠璃の動画を見たりして楽しく読めました!
圭介は家庭のこととか将来のこととか、高校生が背負うには重すぎるものがありましたが
そんな圭介に寄り添ってくれる浄瑠璃部の仲間たちや先生方がいて、とても温かいなと思いました
病院で一夜を明かした時に、皆が来てくれるのがジーンときました
Posted by ブクログ
恩師が危篤との知らせを受け、学生時代を過ごした淡路島を40年ぶりに訪れた主人公。高校で人形浄瑠璃に打ち込み、恋もしながら仲間と過ごした島から、なぜそれほどの期間離れることになったのか、昔の仲間との再会によりまた考えることになり・・・
青春の蹉跌ものですね。不遇な環境の主人公とその恋人。若さゆえの不安とその心情の描き方は、すごく突き刺さります。恩師から残された言葉「潮の流れは止むことはない」に、藤谷治「船に乗れ」で先生が主人公に言った「船が揺れ続けることを忘れてはいけない」というのを思い出しました。深いです。
関係ないけど、淡路島の玉ねぎはうまいです。
Posted by ブクログ
辛い事情により東京から祖母の住む淡路島へ移住し、島の伝統である人形浄瑠璃部に入った高校生・沢田を主人公とする青春物語です。
人形浄瑠璃を扱った作品といえば、目標に向かって真摯に突き進む姿が清々しい三浦しをんさんの『仏果を得ず』が思い浮かびますが、本作の主人公は終始ネガティブな思考にとらわれています。公式の紹介文には「名もなき人々の人生を力強く肯定する最新長篇」とありますが、主人公が過去や自分の置かれている環境にこだわりすぎ、なかなか前に進網としません。
また、脇を固める登場人物たちも、どこか既視感のある類型的な描かれ方に感じられました。理解のある若い女性教師、保守的な中年教師、ノリの軽い部活の仲間などです。そのなかで唯一異彩を放っていたのが、ライバルの安川という人物でした。最後まで人物像を掴みきれませんでしたが、複雑というよりはキャラクターとしてまとまりを欠いていた印象です。
ドリアン助川さんの作品には、『あん』や『水辺のブッダ』のようにずっしりと心に響く名作がある一方で、『あなたという国』や『星の降る町』(明川哲也名義)のように「イイ話」にありがちな既視感や、ストーリーの散漫さが気になる作品もあります。本作は残念ながら後者に属するように感じられました。
とは言え、エンディングはほのかに明かりが見えて、心地良かったです。
Posted by ブクログ
伝統芸能と青春物語。
序章 伝わらなかった言葉
第一章 うずしお高校人形浄瑠璃部
第二章 秘密の稽古場
第三章 弁慶の足
第四章 鮎屋の滝
第五章 本当の味
第六章 鬼の心
第七章 青い絵
父親の収監により、祖母を頼って淡路島に転校してきた圭介。
うずしお高校で人形浄瑠璃部に入部し、さつきとの淡くぎこちない青春時代を過ごす。
バブルの前衛的な時代背景をもとに、新しい生活、考え、浄瑠璃を目指そうとする高校生の青春と、挫折、困難。
不器用な青春時代を送った淡路島に、再び圭介が足を踏み入れる。
もう少し、ラストにひねりが欲しかった。