あらすじ
美容外科医の橘久乃は幼なじみの志保から「やせたい」という相談を受ける。カウンセリング中に出てきたのは、太っていた同級生・横網八重子の思い出と、その娘の有羽が自殺したという情報だった。有羽は高校二年から徐々に学校に行かなくなり、卒業後、ドーナツがばらまかれた部屋で亡くなっているのが見つかったという。母が揚げるドーナツが大好物で、それが激太りの原因とも言われていた。もともと明るく運動神経もよかったというその少女は、なぜ死を選んだのか? 「美容整形」をテーマに、外見にまつわる固定観念や、人の幸せのありかを見つめる、心理ミステリー長編。
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Posted by ブクログ
面白かったです。
外見からその人の背景や環境を想像できても本当のことはわからないし、何が良くて何が悪いのか、現在に至るまでの原因がいつの何なのか、向き合うというのは難しいなと思いました。
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自分が本当にルッキズムに囚われているからこそ、客観的に考えられる良い機会になった。湊さんの美容への価値観は分からないけど、ここまで深ぼって、気持ちを捉えられる作家という仕事は想像を絶する程すごいと感動した。読んでよかった
Posted by ブクログ
面白かった。
物語としては各パート毎に話し手が変わり、聞き手の美容外科医の美人女医が、まるでカウンセリングを行うかのように話し手だけがずーっと喋っている、という構図。
物語の根幹にあるのは、ある1人の女性の自殺である。
聞き手の女医が、その女性の死を調べようとしているのか、少しずつ関係者をリレーしていくように謎に迫っていく。
美しさや醜さ、幸せや不幸せとは何なのか考えさせられる一冊。
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読みやすかった。主人公の話し相手の視点で物語が進んでるのがよかった。ルッキズムの問題を掘り下げている話だが、結局ブスは救われないという話でもある。
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いじりは相手にとって得があるものをよぶ。それが無ければそれはいじめになる。
皆がみんな同じ基準を持つ必要は無い。
いろんな欠片、ピースが上手くハマってひとつのパズルができるように、かけている所があるからこそピッタリとハマる。
一人の女の子が亡くなった。美容外科似通っていたようだ、そこの先生が自分が原因なのではないか、と有羽ちゃんの死んだ原因を突き止めるためいろいろな人のところを訪れる。昔の同級生や、有羽ちゃんのお母さん、担任など、、。まるで読者が先生の立場になったかのように物語はすすむ。外見で人を判断する醜さが伝わった。太った体型で馬鹿にされ嫌な思いをした横綱さんが、痩せた体型と言うだけで有羽ちゃんを千佳さんに重ねてしまい殺してしまったという終わり方で、外見で判断された人が判断する側に回ってしまったというなんとも言えない悲しさがあった。
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「自分ではそれほど気にしていない、もしくは気にしないようにしているのに、他者が無遠慮にそこを触り袋に穴をあけてしまうこともあります。
避けた袋からは砂が溢れ出す。この砂とは何か。自信です。自己肯定感です。誇りです。尊厳です。」
この文章がとても好き
本当に引き込まれる文章を書く人
Posted by ブクログ
私も日々生きていく中で、外見が人の価値を決めている事が多いと感じる事が多々あります。
そのような現実の中で生きる人の内面をこの本を通じてみる事ができた気がします。
自分の内面と外見に今一度向き合おうと思いました
Posted by ブクログ
「あたしは、幸せに、幸せに、太っていったの。」
主観のカケラの寄せ集め。
根っこの部分は何も変わってない(、きっと)。
躁鬱メーターが、一気に鬱側に振り切れてしまっていたのね。
ここまで真相を究明しようとするサノちゃんの意図は分からなかった。子供がいるという描写の必要性とは? 等。
構造上本作のストーリーテラーと言われたらそう。
幸せに太っていったの言葉に惹かれ、その観点の発想に相応しい見事な精神の登場人物でした。
Posted by ブクログ
はじめは文章が読みづらくて、戸惑いました。
読み進めて中盤以降は、え?っていう感じから一気に読みやすくなりました。
最初からまた読み直したらもっと理解できるかな...と思う素晴らしいミステリーでした。
Posted by ブクログ
整形をしたからって幸せに他人からの評価が上がるとは限らない。
他者からの評価が悪いのは実は外ではなく内面が原因かもしれないとも気付かずに。
自分が正しいと理想だと思っていることは他人にとってはそうでは無い。それを誰かに押し付けることは決してしてはいけないこと。
頑張って耐えて枠に当てはまろうとした有羽ちゃんは少しずつ心の袋が避けて砂が漏れてしまったんだろうな。
皆、母親が娘をここまで追いやったと押し付け自分じゃないと正当化する。だけど母親だけでなく、教師や友人、家族の全てが有羽を苦しめるてしまったのだと思う。
皆自分の考えだけを一方的に押し付け当本人の意見を全く聞く耳も持たなかったのが要因だと思う。
カウンセリングのようにコミュニケーション、言葉のキャッチボールが必要なのだと感じました。
久乃も久乃で人の容姿に対していじったりと相手が嫌がる言葉を言っているので久乃自身も自分を正当化しているのではないかと感じた。
各章一人だけしか喋っていないのに話が繋がったりして、矛盾点もあったり、とても続きが気になってサクサク読めました。
Posted by ブクログ
ナツイチで見かけて気になったのと、イヤミスを読んでみたくて購入。私自身太っていることがコンプレックスなので、美容外科が舞台なの面白そうって思ったことも理由。なんだろう、なんとも言えない気持ちになったけど、自分を好きな自分でいれるようにダイエット頑張ろうと思いました笑
Posted by ブクログ
女性の外見をめぐって、関わった人たちのそれぞれの思いをもとに真相に迫るインタビュー形式のミステリー小説。
イヤミスであるがため、最終的に誰が という追求までには至らない。
同じ人に対しても、それぞれの見方 感じ方 思い方 がある ってこと。
ただ、欠片の形を変えるのが、美容整形?
Posted by ブクログ
湊かなえさんらしい作品だなと思いました。
人それぞれ視点が違い、視点が合わないからこそ悲劇が起きてしまう。どこかで一度でも理解しようとする人がいれば防ぐことができたのではないかと感じました。
太っている人に対して何も考えずに痩せろというのはやり過ぎだと感じますが、100キロオーバーで膝も故障しているとなるとそう言いたくなるのもわかります。
色々考えさせられる作品でした。
美容整形のイメージとして、ただ患者が気にしているところを治す(整形)するだけだと思っていましたが、間違っていたみたいです。
最後の友利先生の解説もとても良いものでした。
Posted by ブクログ
カケラ。人によって違うもの。
女であること。愛してしまったこと?
誰を、何を、信じればよかったのかな
人の幸せを受け止めて喜べるひと
自分の幸せしか考えていないひと
Posted by ブクログ
やっぱり湊かなえ好き
最初はペラペラずっと語りが続いて読みにくかったけど、読んでいくうちに面白くなった
少しずつ繋がってくる
ルッキズム
太ってる
ドーナツ
動けるデブ
整形外科
Posted by ブクログ
おもしろい。ガッツリイヤミスという訳ではなく、明示されているオチを追求する形だが、体型ひとつとっても人によってその印象は食い違うこと、今や社会問題レベルで蔓延しているルッキズムについても、湊かなえ先生特有の生々しさをもってして描かれていてゾクゾクする。確かに小学校の頃は太ってる人に対して陰険だとか、そういうイメージ抱いてたな…
友利新先生の解説も、現役医師としてのお話が面白くて、読み応えがあった。
Posted by ブクログ
聞き取り型のスタイルにちょっと慣れず
調子がでるまで少し手間取りました。
読んでいくうちにこれは浅田次郎氏の珍妃の井戸的な感じ?と最後に主役の女医さんが
凄い悪役になるのを期待していたけど、
そんなどんでん返しは無かったのが
少し残念でした。
他人からやんや言われない程度、
ほどほどに"美しさ"を保っていこう!と
思った次第です。
Posted by ブクログ
こうあることが絶対に正しい、美しい、と考えてしまう独りよがりな登場人物が多かったですね。
美の基準なんて人それぞれだから自分が良ければそれで良しと思うのに、太っているから不健康、痩せろだの改めておかしな話です。
Posted by ブクログ
大量のドーナツに囲まれて死んだ少女。
そして人気美容外科医と因果関係は…?
ブッ刺さった…。
一度でも体型コンプレックスを抱いたことがある人には刺さる。
誰かにとっての砂糖は誰かには毒で、その逆もまた然り。
視点を変えることで見えてくるのが面白くて怖い。
Posted by ブクログ
伏線が散りばめられてる気がしたのと、
これは誰が誰か分からなくなりそうだと思って、
久々にスタートからメモしながら読んだ
自分のメモを見て、
あとから、あーこれやっぱり大事だった!とか、
これいらん話だったんかいwwwとか思うのが楽しかった
全体的に、相手が一方的に話しているのを聞くような感じで進むから、全部伏線じゃないのも、いらん話ぽい口調なのに逆に大切だったりするのも、リアルでよかったし、面白かった。
途中途中で、この人はこう思ってるけど、実際相手からはこう思われてたんだな、というのもまたリアル。
特に途中に出てきた担任の先生、
自分が辛い過去があって乗り越えたのはいいんだけど、
そこからの価値観を正義として押し付ける感じが苦手
といっても、私も無意識にそうしてるんだろうと思う
本を読む中で、
堀口くん達に対して、「こういう、筋トレにハマって栄養栄養って言ってくる人嫌だな〜」とか思ったり
人が幸せそうに食べているドーナツなのに、「あれ揚げ物で体に悪いんだよな……」とか思ったりもして
そういう読みながら思ってた自分の心も、なんだか暴かれていく感覚があって面白かった
自分が好きでいられる自分になるのが1番だし、それに関して人に何か言うのは控えた方がいいなと思った。
最後美容外科の先生は、たとえ鼻の下の産毛が生え放題で気になってても、目をしたいと言われてたら、鼻の産毛は指摘しないで、目についての話を聞くって感じのことが書いてあって
たとえ美容外科じゃなくても、友達との会話でもその通り
本当にそれを守ろうと思わされた笑
告白と似てる書き方と進み方だなと思った( ¨̮ )
Posted by ブクログ
ある少女の自殺をきっかけに、関係者の証言を基に少女の実像を辿る。湊さなえ氏に登場する人物は皆が皆ほんのり性格が歪んでおり一言多い。それが「イヤミス」を生み出しているのだが、ほぼ全員卑屈で偏った視点が重なるため、多面的なものの、自殺の真相は期待感を高めたわりには肩透かしを食らう。
ちなみに解説は友利新さん。なるほど、イメージにマッチするが、本人をモデルにしているわけではないので悪しからず(友利さんの「嫌な予感」は的中)。
Posted by ブクログ
一人の死に対して食い違う証言の数々。
学校の先生、友達、母親、、見えている世界ががらっと違うものなんだなあと感じた。
都合よく解釈していたり、見ていた"つもり"の部分。
見えていない部分で相手を追い詰めていないか、少し考えるお話でした。
Posted by ブクログ
美容整形の医師が、聞き手として物語が進んでいく。最初の部分は話の流れがわかりにくくてなかなかページが進んでいかなかったけれど、だんだんと謎が明らかになっていくにつれてストーリーに引き込まれた。
語り手、そして聞き手の医師共に人間のネガティブな部分を持っている。それをおまえそういうやつだったよね、ってある意味受け入れつつ生きてるのがリアルだった。
Posted by ブクログ
ルッキムズに囚われた人たちの話
結局は自分の気の持ちようだったり、周りとのコミュニケーションをお互い尊重し合って大切にしていれば、ルッキムズに囚われることなんてないんだろうな
Posted by ブクログ
久しぶりに湊かなえさんの小説を読んだ。有羽の死の真相が気になってほぼ一日で読んでしまった。ここ数年、本格派もしくは新本格派ミステリーばかり読んでいたからこういう社会派ミステリー(でいいのだろうか)もたまにはいいね。
章ごとに異なる人が主人公に語りかける形式でストーリーが進む。同じ出来事でも語る人によって捉え方が違っていたので人間はどうしても自分にとって都合よく物事を考えてしまう生き物なのだなぁと痛感した。
タイトルの意味を考えながら読んでみた。他人は私を一部でしか判断できないし、その見方もその人にとって都合がいい「私」でしかない。だから一部をたとえ全部集めたとしても「私」にはならない、そんな人間の潜在的な孤独を表現しているのではーーとかシリアスに考えていたら全然違った。え、そっちかーい(最後の講演)。
主人公の心情をダイレクトに表現できない分、思い描く主人公像は読者にかなり委ねられていると思う。だから最後の講演部分を言葉の通り素直に受け取ってよいのか否か、このあたりはかなり読者によって意見の相違があるだろうし本の評価も分かれそう。
Posted by ブクログ
有羽の死の真相が気になって一晩で読んだ。追い詰めた教師、言い方ややり方は間違っていたけれど100キロ越えは流石に健康面が心配になるから気持ちは分かる。でも他人の外見に安易に口出しするのは隠れた事情もあるだろうし絶対にやめた方がいいんだろうな。
ドーナツ食べたい。