小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ「まだ死んでない」
濃密な一週間
普段、我々一般人が過ごすことのない一週間
ジェットはその目的のために費やそうとした
その僅かな時間の中で、生の意味、自分の存在意義をはかろうとした
迫りくる確実な死
怯え、焦り、悩みながらも自分を殺した犯人に迫ろうと駆け抜けた
その一週間に、いつもそばにいて寄り添っていたビリー
プラトニックながらも他の誰ともかえがたい強い絆
何かのタガが外れて底なしに笑い合う二人が愛おしかった
ミステリとして読めばたぶん、最上級のものではないと思う
けれど物語を紡ぐ作者の想い、引き込ませる筆力、翻訳者の情熱、それらがひしひしと伝わってくる小説
ジェットの強い意志が心に伝わってくる小説 -
Posted by ブクログ
一瞬で読み終わってしまったと思う。すごく面白くて好きだったーまた読み返したいな
真のお母さんは何も得意なことがないと自分で思っているから色々なものに興味をもってたくさんのことに挑戦するんだけど、なかなか続かなくて。お母さん自身はそのことを飽き性で何も続かないとコンプレックスとして捉えているのね。でも真のお父さんはそんなお母さんのことを行動力があって色々なことに挑戦していてえらいと尊敬しているのね。
自分は短所だと思っていてもそれが誰かを助けているかもしれないし羨ましく思われるところだったりするのよね!そしてそうやって肯定してくれる人がいることも肯定してくれる人に出会えていることが尊いよな( т т )と夫婦に感動してしまったよ。人と人との出会いの素敵なところが素敵に表現されているから好きなのだよ( т т )みんなそれぞれ色々な絵の具を持ってる!カラフル!ということ!
また読み返そうと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレアイクとバディーリーの未熟な二人の父親たちの話
彼らがともに同じ後悔と哀しみを抱え、憎しみという名の復讐へ舵を切る
バイオレンス、セクシュアリティー、人種差別、家族愛、それらが紡ぐ一見複雑に見える事件が、実はシンプルな一本の糸で繋がっている
アイロニーとドライなセリフ、彼らにしか理解し合えないユーモア
その世界にしかない共通語
未だ、この世はそんなもので満ち溢れているのかも知れない 悪意、自己顕示欲、暴力、偏見…
そして物語がある着地点へと辿り着き、ふと、思う
「後悔」ってなんだろう?
アイクとバディーリーは完全に取り返しのつかないことを息子たちにしてしまっていた
それは彼らを理解しようとしなかったこと、そして「愛」を伝えなかったこと
息子たちの非業な死の後でいくら悔やんでも、彼らには遅すぎた
「後悔」とは、もはやどうにもならない、行き着く先を見出せない、自分の中でいつまでも鳴り響く「残響」のようなものなのかもしれない
その後、父親たちが果たした復讐には何の意味があったのか?
「カミソリみたいな涙」
もどかしく、言いようもない哀しさを孕んだ贖罪の物語 -
Posted by ブクログ
サリーダイヤモンドのパーソナリティが冒頭からぶっ飛んでて引き込まれる
アスペルガー的なサリーが社会性を得ようとなんとなく手探りで努力していく様
不器用なりに人々と適応していこうともがいていく様
それをサポートする人々、見守る人々、ヤジかます人々
戸惑いながらも少しずつ前へ進もうとするサリーに共感していく
彼女を形成した抗いようもない過去、忘れ去られた幼い頃の記憶
突発的に湧き起こる衝動的な怒り、他者との触れ合いを敬遠する性質が彼女を混乱させる
そして、裏主人公ピーター
一人の無垢なる人間がいかにして崩れ落ちていったか
彼に同情してよいものか
孤独な、あまりにも救いようのない彼の苦悩が物語に暗い影を落とす
サリーのイノセントな日々の描写と対比するようにすすむピーターとその父親のノワール
想像した以上に凄惨な血脈の物語
サリーダイヤモンドのその後の幸せを願う -
Posted by ブクログ
今村翔吾さん著「九紋龍」
羽州ぼろ鳶組シリーズの3作目。
今作品も素晴らしい。
これはきっと残りのシリーズ全て共通だろう。
今作の中心人物は「ろ組」の辰一。
彼に纏わる背景がミステリー風に描かれていく。そこに絡ませてくる人情物語。読み応えが抜群。
この先のこのシリーズ、「火喰鳥」率いるぼろ鳶組と新キャラクターを掛け合わせて火事場を設ければ幾らでも物語が描けてしまうだろう。
著者のこの黄金プロットに脱帽。
それにしても毎回ここまでの人情劇を絡ませてくる著者の力量、本当に素晴らしい。
まだまだ続くぼろ鳶シリーズ、読破目指して読み進めていきたい。 -
Posted by ブクログ
本好きの魂が震える、温かさと希望に満ちた最高の一冊。
読み終わったあと、「本当に良い本を読んだ!」という幸福感と心地よい高揚感で胸がいっぱいになった。
本を愛するすべての人に、心からおすすめしたい作品。
主人公のカールが、顧客たちの抱える苦しみや閉塞感を、ひょんなことから知り合った少女・シャシャと協力しながら本を通して解きほぐしていく前半は、まるで曇り空が綺麗に晴れていくような明るい希望に満ちている。
「ただ面白い」という枠を超えて、自分と同じように本を愛し、その力を信じている「同志」と楽しさや尊さを分かち合えたような、深く満たされる感覚を味わえた。
だからこそ、後半でカールが陥る孤独の描写には、心が激しく掻き乱された。
前半の光が眩しかった分、その影の濃さが引き立ち、胸が締め付けられるほど切なくなった。
けれど、そこからの展開と読後に待ち受ける極上の余韻は、本当に素晴らしくて温かかった。
わかり合えない関係も描かれていて、単なる綺麗事のファンタジーではない、現実のほろ苦さがある点も良かった。
登場人物たちの人間関係を通じて、「人はいつからでも新しく変われるし、逆に環境が変わってもこれまで通りの自分を貫くこともできる」という、それぞれの生き方が優しく肯定されているように感じる。
相手のすべてをコントロールしようとするのではなく、違いを認め、そっと寄り添う。
相手の全部を知らなくても、人と人は確実に繋がっているし、思い合える。
そして、その温かい繋がりの真ん中に、いつも「本」がある――。
本好きにはたまらない、生涯宝物にしたいと思えるような一冊との出会いに感謝。
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