あらすじ
妻を亡くし、息子の夏樹を一人で育てるフリーライターの海老原。そんな彼に雑誌『月刊クリスタル』編集部から、戦後の殺人鬼が起こした事件をもう一度掘り下げて検証してほしいとの依頼が入った。殺人鬼の名前は北川フサ。彼女は戦後の混乱期に5人の男を立て続けに殺し、死刑となっているという。取材を始めた海老原は、フサが赤の他人である少年とともに行動していたことを知る。そして、その当時の少年は、今も存命だった。単なる週刊誌の連載のはずが、いつしか海老原は、フサに導かれるように、事件に没入していく……。
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Posted by ブクログ
まことさん、師匠、ともちん、館なのさん、ゆーきさん、NISMOん55さん等々、そして同時期におびのりさんっ!嬉しい♡
錚々たるブクトモさん方が良かったとこの本!!
めっちゃ良かったですっ!!!٩(ˊᗜˋ*)و
この時期、読んで良かった。
海老原誠は、交通事故で妻を失い、夏樹という小学生の息子と二人暮らしをしていた。
父子家庭になり、これまでの仕事を辞めて、自由がきくフリーのジャーナリストになった。
勤めていた新聞社の出版局からルポタージユの依頼を受けていた。戦後の連続殺人犯、北川フサについてのルポを書いて欲しいと。
北川フサは戦後の混乱期に5人の男を次々に殺害し、逮捕され死刑判決を受けて刑が執行されていた。
誠は道上栄介という記者が書いた月刊雑誌を読み、道上の家を探し当て、資料一式を手に入れる。そこから少しずつ北川フサという人物が浮き彫りになっていく。
満州引き揚げのお話、東京大空襲のお話いくつかは読んでいますが、まだまだ知らないことだらけ。
その当時生きた人の生々しさが伝わってきました。自分だったらこの時代生き残れたのかな??
私は絶対西尾清子のようにはなれない。゚(゚´ω`゚)゚。
じゃあフサのような生き方が出来るのか!?
絶対出来ないだろ。弱っちぃから。
でも読み終わった頃、私は北川フサに取り込まれていたかも知れません。
自分がフサになって、、、
カエル男になって、、、ψ(`∇´)ψ
感情移入型の私、今回誰に感情移入したかって!?
それは靖男です。
全身垢まみれになって、靖男と共に戦後を一気に駆け抜けましたっ!
凄い早さでした。この本、爆走です。
とても良かったです*( ᵕ̤ᴗᵕ̤ )*
この本に出会わせてくださったブクトモさんみなさんに感謝ですm(_ _)m
Posted by ブクログ
『月白』
お久しぶりです( •ᴗ• )
宇佐美まこと さん♪
宇佐美さん を読むのは『展望塔のラプンツェル』 に
次いで2冊目となります。
今回の作品は……
妻を交通事故で亡くした 海老原誠 は息子の
夏樹 と 二人で生活する為に 新聞社を辞め、
フリーライターとして働くことを決意する。
フリーライターとなった誠への最初の仕事は、
戦後すぐに起こった連続殺人事件だった。
犯人は女性で…五人を次々に殺害した後 逮捕され、
死刑判決を受けて一年も経たないうちに刑が
執行されている という事件のルポだった。
……と、いう感じのストーリーです。
戦後81年です。
戦後81年がとても鮮明に描かれていて…
想像したくないくらいの衝撃でした。
戦後すぐの場面 と 現在の場面とを上手く行き来していて、飽きさせないストーリー、読み手を誘う工夫が素晴らしく…読む手がとまらなかったです。
父が息子に…
「お盆はさ、生きている者が死んだ人のことを思う期間なんだ……。」と母親のことを思う息子に父が伝える優しさがいいなぁって感じる一方、
戦後すぐのシーンでは…
「人を生き長らえさせる一番の感情は憎しみだ。」
……と、いうシーンがあります。
81年って長いようですが…戦争を経験した方たちにとっては…きっと 昨日のことの様なんだろうなって…
憎しみだったり いろんな感情が原動力になったりと
考えると辛いなぁ。。
これは…切なくなりました。でも、それだけ悲惨なのも事実であって…この言葉を 大人が 教えるんです。「憎んででも生きろ!」って…
実際に80年前には こういう事が起こっていたんだろう…と、思うと言葉もでなかったです。
『展望塔のラプンツェル』のときは あまり意識しなかったのですが…ひとつひとつの描写や、
情景が手にとるようで……
宇佐美さん…凄いですね!!
ちょっと…驚嘆レベル!
今 こうして本を手にとって読んでいられる事に
感謝しないといけない……と感じるばかりです。
Posted by ブクログ
現代と、戦後の時代描写があるのですが、世界観に引き込まれました。戦後に生きる人々を、大変だったねと軽々しく言ってはいけない、こういった人たちの下、日本はあるのだと思いました。とても素晴らしい作品です。
Posted by ブクログ
戦後の闇市、浮浪児、パンパン‥‥
猥雑な東京の町で生き抜く女性達、そして子ども達。
戦争のために家や家族を失い、生きていくためにはどんなことでもやらなければ、今日食べるものさえ手に入れられない。
そんな中で男達を次々に殺して殺人鬼と呼ばれ、死刑となった北川フサ。彼女のことをもう一度掘り下げて記事にすることになったフリーライターの海老原。
海老原の視点と、当時北川フサと行動を共にしていたとされる靖男の視点で物語は進む。
フサはなぜ男達を殺したのか、様々な人が想像して話すけれど、結局本人の口からは何も語られないところがいいですよね。語られないのに、フサを知ろうとした者達は、沼に嵌るようにフサから抜けられなくなる‥‥それは何故なのか‥‥
戦後を生き抜いてきた人達がいて、今の日本があるんだな、と強く感じた一冊。悲しくもエネルギーを強く感じる一冊でした。
Posted by ブクログ
宇佐美まことさんの作品は、重いものから比較的軽いものまで結構振り幅があると思うが、今作は個人的に当たりの重め作品だった。
章の構成と語り手の入れ替わりが上手いし、大垣氏がほとんど口を開かないのもいい。
上野駅の銀座線への連絡通路や階段はよく通っていたけど、あそこはなんとなく空気が重いと感じていたことを思い出した。
Posted by ブクログ
憎しみという感情を共にするフサと靖男。
北川フサによる終戦直後の連続殺人の深層に迫るフリーライターの海老原誠が主人公だが、物語は途中から、当時戦災孤児だった大垣靖男の回想を中心に進んでいく。
「焼夷弾の落ちた場所が少し違った」ことが運命を分け、路上に放り出された戦災孤児たちの描写がまさに壮絶で言葉を失う。フサの残虐極まる殺人に憧れを見出す靖男。そして靖男も憎しみを爆発させる。社会から存在を否定され、最愛の姉や親友など仲間の孤児たちが次々と(社会から)殺されていく中で、靖男の心も憎しみによって殺されかかっていたのか。とても自分に置き換えて推し量ることができない。
しかし、その靖男の記憶は誠には決して語られず、誠のルポルタージュは大きな反響を得ることはなかった。靖男に限らず、極限状況過ぎるゆえのとても語れない事柄が含まれるために、多くの戦中戦後の記憶は伝えられることなく消えていったのだろう。そういった中で、フィクションとして極限状況に生きた、忘れられた人々をすくい上げるこのような作品の意味は大きいと思う。
間違いなく今年一番衝撃を受けた作品でした。
Posted by ブクログ
スゴい本と出会ってしまった。ページを捲る手が止まらないとはこういうことを言うんだろう。本当に久しぶりに物語に没頭して読んだ。
戦後の混乱期に男だけを狙った連続殺人が起こる。犯人は子連れの女、北川フサ。
現代。妻を事故で亡くしたライターの誠は、その事件を請け負うことに。やがてフサが連れて歩いたと思われる人物と出会う。
戦後と現在。フサと大垣と誠。やがて物語は時代と3人が交差していく。
フサはなぜ何人もの男性を殺したのか。そして、なぜ大垣はフサに付いて行ったのか。もちろん読者である私たちはその全貌を知ることになるが、誠が全てを把握することはなく、なんともヤキモキした気持ちになってしまう。
それにしても、戦後の日本は本当に恐ろしい時代だったんだなと痛感する。戦争のない世の中になって欲しいと願わずにはいられない。
Posted by ブクログ
派手な展開はないのに途中から止められずに一気読み
戦争孤児の辛く厳しい日々
フサの憎しみ
戦争や貧困によって人生を翻弄されてしまったことを考え理解できる事をありがたく思う
今でもいつどうなるかわからない世の中で
今の平和を噛み締めている
Posted by ブクログ
主人公の現在の苦しみ、葛藤と主人公が書こうとしている過去の事件と戦後まもない時代の背景とが交互に描かれてて、最後まで飽きることなく読み進めれた。
Posted by ブクログ
靖男の言葉が
「みんな、川に還るんだ」
「子どもは守ってやらねばならん。一番近くにいる大人がな」
絶望の中でも
助けあって生きてきた人生の重みが
夏樹が自分の子供か?と信じられず苦しんできた誠を
それは大したことでも無いと
気づかせた
Posted by ブクログ
ワタシの初 宇佐美まこと は「羊は安らかに草を食み」で、それはそれは衝撃を受けたのですが、この「月白」も羊と同じ系統です。羊ファンならおススメです。
「戦後の混乱期に5人の男を殺した殺人鬼 北川フサ」について書くフリーライターの話ですが、この物語の主人公は、東京大空襲で親を亡くした13歳の男の子 靖男 です。戦争孤児というのかな、親を亡くした子供が生きていく環境が悲惨すぎる。
読み終えて、表紙を見ると青白い景色の中、ベンチに座る男性一人。
しかし、お姉さんの千代ちゃんや洋パンの清子たちの話もすごい。ワタシは自分が女なのでよく分からないけれど、男っていうのは食うや食わず生きるか死ぬかの状況であっても性欲っていうのはなくならないものなのか。戦後すぐにできた特殊慰安施設協会「良家の子女を守るため・・・」って、偉い方々が本気で考えたと思うと、情けなくて泣けてくる。
最後にフリーライターの話も出てくるけれど、なんだか靖男の話の後には、小さすぎてどうでもよくなるねぇ。(本当はどうでもよくないけど、靖男の話のがすごすぎ)
Posted by ブクログ
戦後80年という節目に刊行された作品。
妻を事故で亡くし、息子と二人で暮らし始めたライターのもとへ、戦後、男性ばかり五人を殺害した死刑囚・北川フサを検証するルポの依頼が舞い込む。
物語にはいくつもの謎が散りばめられ、読者を惹きつけていきます。しかし、この作品の核となるのは、北川フサは本当に冷酷な殺人鬼だったのかという問いでしょう。『月白』というタイトルが象徴するように、一度貼られた「凶悪犯」という色を、もう一度見つめ直そうとする物語なのだと感じました。
私が子どもの頃は、推薦図書にも戦争を扱った作品が多く、漫画やテレビドラマでも戦中・戦後は身近な題材でした。しかし戦後80年を迎えた今、その比重は震災やジェンダーなど、現代の課題へと移りつつあるように思います。
それでも、敗戦後に一般市民がどのような暮らしを強いられたのか、そして女性の地位が向上するまでにどれほど長い時間を要したのか、そうした歴史は、折に触れて優れた小説で語り継がれてほしい。この作品は、まさにそんな期待に応えてくれる一冊でした。
欲を言えば、裁判の場面だけでなく、主人公のライターが完成させたルポそのものも、作中作として読んでみたかったです。
Posted by ブクログ
妻を亡くし、小学生の息子夏樹を一人で育てることになった誠は
新聞社を辞め、フリーライターになった。
その初めての大きな仕事として、戦後の女性殺人者 北川フサのルポの依頼を受ける。
戦後の混乱期に5人の男性を殺して死刑となった女性、北川フサ。
時代背景や言論統制などがあり、当時のメディアではフサいう女性は同情の余地もないような鬼畜扱いに終始しており、何がフサを殺人に駆り立てたのかにはフォーカスしていない。
誠はもっと彼女自身を知るべく奔走し、やがて彼女と行動を共にしていた少年がいたことを知る。
物語は現代と戦後の混乱期を行き来します。
戦争で行き場を失った人々は上野駅の地下道で身を寄せ合って夜を過ごす。
浮浪児は闇市の仕事を手伝って少ない駄賃やおこぼれをもらったり、
盗みを働き、なんとかその日一日糊口をしのいで地下道に戻る。
栄養失調で死んでいく人々はゴミのように運び出される。
地下道の壁の色。冷たい白。月白。
復興と共に町の人たちの身なりが整ってきても、浮浪児たちの生活は変わらない。
かつては進学を目指していた浮浪児の目に映る学生服姿の少年。
焼夷弾の落ちた場所が違えば、立場は真逆だったはずの現在。
胸が締め付けられます。
女性や子供の地位が低い時代。
米兵専用の売春宿を国が作り、事務員募集と偽って女性を集めたり、
浮浪児を保護する施設は劣悪すぎて、栄養失調で子供が死んだりと、
あまりにも理不尽で読んでいて本当に辛かったです。
途中読むのをためらう気持ちもありましたが、臨場感に溢れる、記憶に残る知識としてこの本を読んで良かったと思いました。
時代によって価値観は変わるもの。
何歳になっても変化していく価値観にアップデートしていく気持ちを持つことは重要だと思っています。
反面、他者への思いやりとか、子供は守るべきもの、という変わってはいけない部分もあると思います。
生きるのに精いっぱいという状況に陥った時にも、優しい大人の箕部さんのように子供を慈しむ気持ちだけは保ち続けていたいなと思いました。
Posted by ブクログ
装丁に惹かれて、あらすじも知らないままページを開いたら、予想をはるかに超える衝撃の作品だった。
戦後の連続殺人犯の女性と、彼女が連れていた浮浪児。その二人の壮絶な人生と、現代になってその事件がなぜ起きたのかを静かに紐解いていくヒューマンミステリー。
戦後の過酷な時代を生きた二人は、憎しみを糧にしながら繋がっていた。その苦しみは言葉にするにはあまりに重くて、私自身も適切に表すことができない。
ノンフィクションかと思うほど丁寧に作り込まれていて、読み終わったあともしばらく心が重く沈んだままになるほど余韻が強かった。
もう一度読む自信はないです、、、でも重くて苦しいのに、ページをめくる手がどうしても止まらなかった。
Posted by ブクログ
戦後混乱期に5人の男を惨殺し、死刑となった北川フサ。
そのフサのルポを書くため取材をするうちに、どんどんフサという人物に強い関心を持った海老原誠。
海老原は、過去にフサと行動をともにし、今は仕事を引退し、余生を過ごす老人大垣靖男に話を聞こうとするが、大垣は口が重い。
海老原と大垣の両面から話が展開される。
容赦なく戦後の悲惨な状況が描かれている。
海老原が亡き妻や、一緒に暮らす息子のことで、ウジウジ悩む姿にはイライラさせられたし、大垣の偏屈じじいの態度にもイライラさせられ、人物像に魅力がないのかと思いながらの読書だったが、これがラストへの伏線だったとは。
簡単に語れないくらい重くて考えさせられる作品でした。
Posted by ブクログ
重い題材でした
最近は軽く読める本を好んで選んでいましたが、今回は読みながら深く感じさせられる感覚。読書の楽しさもずっしりと感じ取れた作品でした
Posted by ブクログ
★4.5
戦後の連続殺人鬼を追うフリーライター。過去の事件を掘り起こすことで今まで見えなかった部分も明らかになっていく。
5人の男たちを殺害した女性殺人鬼 北川フサ。
これは圧巻の犯罪小説!
なんと言っても、昭和20年の東京大空襲で家族を亡くした孤児たちがどうやって生きてきたか。
壮絶な生き様と人間の根源でもある「憎しみ」「哀しみ」を深く描いている。人の感情の奥底に潜む感情にライターも惹きつけられる。
タイトルの「月白」は冷たく淡い青みがかった白色。
その色が当時の情景をよく表していると思う。
衝撃的ではあったけど、深く考えさせられた作品だった。
さすが宇佐美さん!
良いもの読ませていただきました。
Posted by ブクログ
連続殺人鬼と呼ばれた、北川フサと一緒に
いた、靖男の回想で描かれる戦後の様子。
劣悪な環境に身を置くことでしか生きられ
なかった戦争孤児たちの過酷な状況、
生きるために身を売る選択をするしか
なかった女性たち。戦後の悲惨な状況が
詳細に描かれ、「13月のカレンダー」を
読んだ時も思ったが、この作者の描写は
本当に手加減がない。
「憎しみだけを支えに生きてきたんだ」
本の帯に書かれた言葉、
怒りと憎しみの感情が生きる原動力となって
いた、北川フサと靖男。
取材をするうちに海老原は、自分が抱えている
憎しみを、彼らの憎しみと重ね合うようになって
いく。海老原の憎しみと彼らの憎しみはかなり
違うような気もするが、海老原の話しに対して、
老齢の靖男が語った言葉が、この物語の中で
一番強く印象に残っている。
「子どもは子どもだ。誰の子かということが
それほど重要かね。
子どもは守ってやらねばならん。
一番近くにいる大人がな」
あの状況下で、子どもの靖男がフサに守られて
いたことは、海老原も取材から想像できたはず。
だからこそ、靖男の言葉には重みがある。
「月白」という淡く冷たい色彩を、
過去の体験が、時間を経ても残る感覚の
象徴として物語の中で何度も現れ、
読み終えた後も、私たちの脳裏に
その色彩は残り、深い余韻を残す。
読み応えのある小説だった。
Posted by ブクログ
戦中戦後の混乱期に起こった連続殺人。既に死刑となった北川フサのルポを手がける事になったライターの誠。
何故誠の設定を妻と死別したシングルファーザーにしたのかと思ったが、物語が進むにつれてなるほどこういう意味だったのかと思った。
誠と息子の夏樹が醸し出す空気が、単に妻や母を突然失った喪失感だけではない何とも言えない雰囲気があり、その表現し難い感じが見事だった。
ちょっとご都合主義な展開もあったし、決して褒められる事ではない秘密だったけれども靖男の終始一貫貫いた姿勢は良かった。
Posted by ブクログ
途中で読むことが辛くなってきて、目を背けるたくなる場面もあった。
あり得ない話のように思えるけど、このようなことがあったことは知っておくべきなのだと感じた。正直いまだっていつ何が起こるかわからないし、実際にこの状態の国だってある。
もちろんこんな経験はしたくないけれど、全く他人事にすべきではない。
私は心からの憎しみという感情はたぶん知らなくて、それはとても幸せなことなのだと思う。
フィクションとはいえ、登場人物の心が癒やされますように。
Posted by ブクログ
戦後、親も兄弟も家も何もかも無くした人たち。絶望の中でそれでも生きなければならない。
そんな中で、まっとうに生きるとは、いったいどう生きることなのだろう。まっとうに生きるとは、人間としての最低限の環境があってこそのことではなかっただろうか。
残虐な殺人を繰り返した連続殺人犯の女。その事件を追い続けたルポライターがその犯人に魅力を感じ始めるという内容を見て、魅力??っと疑問に思って読みはじめた。
この時代、この状況下で、憎しみだけを支えに生きてきた人。憎しみを心の中に抑え込み、生きるために毎日を戦ってきた人。なんと酷い時代だったことだろう。
重く辛い内容ではあったが、現実に起こった、この日本での出来事であることを、私たちは知り、学ばなければならない事だろう。
Posted by ブクログ
宇佐美まことさん初めましてでした。
戦中戦後のリアルが読んでて辛かったです。
フサの芯の強さがすごかったです。
こんな人がいたら惹かれてしまいますね。
私も、きっと惹かれていたと思います。
殺人鬼だけれども、たくさんの苦悩と憎しみを抱えていたこと。
その中で人間らしい、大切なものを守るという気持ちもあったのがわかってきます。
前半と後半では、フサへの思いが違ってきました。
『誰の子かということがそれほど重要かね?』『子どもは守ってやらねばならん。一番近くにいる大人がな』
この言葉がとても沁みました。
養子でも、里親でも、知らない子でも大切にしていきたいですね。
Posted by ブクログ
妻を亡くし、一人息子の夏樹を育てるフリーライターの海老原。彼が次に取材し、エッセイにするのは昭和に起きた大事件。5人もの殺人を犯した女性、北川フサ。この事件は犯人が女性と言うこともあり、世間で話題になったが、どの記事もフサは恐ろしい快楽殺人者として報道されていた。しかし、海老原はフサの事件を追うごとにそれは本当のフサの姿だったのか疑問をもつようになる。調べていくうちに、フサと行動を共にした少年がいたことを突き止める。大垣という少年は、一代で会社を起こし、今は有名な塗料会社の会長だった。海老原はフサの話を聞くために大垣に接触を試みるが…
月白という色、白に少し青みがかかった色。表紙も綺麗で、少し寂しい、寒々しい色。この本の主役は大垣少年だった。東京空襲のあまりにひどい有様が伝わる内容だった。宇佐美さんの作品は戦争の恐ろしさをストレートに伝えてくるから、心が揺さぶられる。実際に起きたことなんだ、と思うとなんと豊かな時代になったのかと感謝せずにはいられない。何がここまで大垣、フサを駆り立てたのか。「憎しみ」の強さを思い知った。
Posted by ブクログ
タイトルの「げっぱく」は、色を指す言葉で、薄い青が混じった白だそうだ。
戦後5人の男を殺して死刑となった北川フサのルポを書くことになったフリーライターの誠。取材の中で、道上と言う記者によるフサの事件の書籍に出会い、その姿勢に共鳴しながらフサの過去を追う。その中でフサに同行してた少年がいたことを知る。かつての少年靖男は既に90歳の高齢ではあるが、誠は彼を探し出して取材を試みる。
靖男は誠の取材を拒否。物語は靖男の視点で語られる。戦後家も家族も失った浮浪児の壮絶な日々が綴られるが、靖男の独白であり、誠には届かない。
フサと靖男の関係が誠に伝えられることはないが、誠は自身の視点からその繋がりを読み解く。フサの殺人に正当な理由があるとか、実は良い人だったとか、安易な想像で書かない誠は誠実なライターだ。
フサと靖男の繋がりは、憎しみを持つ者同志ということだけではなかった。靖男は誠に、誰の子かは重要ではない、子どもは近くにいる大人が守ってやらねばならないと話す。それはフサが靖男に伝えたことだった。
読後感としては‥ちょっとしんどい。
Posted by ブクログ
※
戦後の大混乱の中で5人を殺めた女性。
何が彼女を連続殺人鬼にしたのか、
真実、事実、動機を追うライターの物語。
憧れ、投影、魅入られるとは。
Posted by ブクログ
北川フサという殺人者に魅入られたのだ。人身売買や戦後の浮浪児、パンパン、凄く嫌な時代、どうしようもなかったんだ。分かるほどに切なくなる。フサの息子一二三くらいかな?救われるエピソードは?