あらすじ
人間も一番美しい時に標本にできればいいのにな――。ひどく損壊された6人の少年の遺体が発見されると、社会はその事件の異様さに衝撃を受けた。大学の生物学科で蝶の研究をする榊史朗は、蝶の世界を渇望するあまり、息子を含む6人の少年たちを手にかけたと独白する。蝶に魅せられ、禁断の「標本」を作り上げたという男の手記には、理解しがたい欲求が記されていた……。耽美と狂おしさが激しく入り乱れる、慟哭のミステリ。
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Posted by ブクログ
榊史朗…西島秀俊
一之瀬佐和子…公彦…留美…宮沢りえ
一郎
一之瀬杏奈…伊東蒼
深沢蒼
石岡翔
赤羽輝
白瀬透
黒岩大
ビーダブル
榊至…市川染五郎
ジョン
前田コウセイ
マエダ恵麻
Posted by ブクログ
【2025年146冊目】
山中から見つかった6人分の死体には、着色されたような痕跡が遺されていた。遺体の発見から数日後、一人の蝶学者が出頭。自らの息子も含めた6人の男の子たちに手をかけ、まるで標本のごとくにそれぞれを見立てたのだという。猟奇殺人として騒ぎ立てる世間。だがその裏には隠された真実があった――。
「人間標本」なんていうパンチの強いタイトルを知ってから、文庫本化されるのを楽しみにしていました。人はおぞましい物を忌避しながらも、同時に惹かれてしまう生き物なのかもしれません。それでも、文字で描写される標本の作成過程と、その完成図はあまり頭の中で描かないようにしながら読みました。時に想像力は働かせすぎない方がいいこともあるので…。
イヤミスの女王たる湊かなえさんの作品なので、ただでは転ばないだろうと思ってたら、何度もひっくり返される羽目になりました。なんという最悪の連鎖。地獄のぷよぷよ(?)過ぎる。
少しずつ伏線は散りばめられているので、「おや?」と思ったことは覚えておいた方がいいです。ちょっと気になったのは外国語で話してても、記録として残って解読されたりしないのかな?ということ。いろいろな物事がひっくり返りそう。
スピンオフまで読んで、狂ってる人が狂わずにきていたことがわかって、より恐ろしくなれました。映像化、興味ありますが見たい気持ち半分、見たくない気持ち半分です。
Posted by ブクログ
蝶の標本作りに魅了された少年が、生物学者となり、「最も美しい瞬間」を閉じ込めたいという執着を、人間へと向けてしまう。手記形式で進む物語は、彼の理屈や価値観が静かに、しかし確実に狂気へと踏み外していく過程を追体験させます。
手記という形式で描かれる狂気は、生々しい暴力ではなく、理性的だからこそ怖い。
親の期待に応えたい子どもの心、子を愛するがゆえの親の願い─その捻れと行き違いが積み重なった先に生まれる悲劇。湊かなえさんらしい“イヤミス”が、重くのしかかります。読後感の爽快さはありませんが、だからこそ胸に残る一作です。
なお公式サイトには、蝶をはじめ、物語に深く関わる“とある”画像も掲載されています。読書中に覗いてみると、作品の空気がより濃密に伝わるかもしれません。
12月に映像化が予定されているとのこと。原作の静かで強烈な不気味さが、どのように表現されるのか注目したい作品です。
Posted by ブクログ
湊かなえさんの作品を読むのは初めてでしたが
イヤミスの女王と言われるだけはあります。
↓語彙力が乏しいので以下、心の叫び↓
ぎゃあ。うわ、うわ……。
あれ? ちょっと待てなんだそりゃ。マジかぁ。
これドラマ化するって正気か?(←ゴメンナサイ)
(家族がいるのでカバーなしでは読めませんでした)
Posted by ブクログ
描写も綺麗でしたし、それぞれの人物に対して詳細を書くのではなくあくまで論文としてある程度まとまっていたので「事実」として眺めて読めました。
ただ二転三転以上するので、これを言えば前のことが全部嘘、のようになるのであれれれ、、?と最後はなるかもしれません。ただ全体的に言うのであれば蝶々の綺麗さなど想像できるので面白かったです。