小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
【継承】
競馬はまったくやりませんが、父が週末に観ていたGIをただボーッと眺めていたのが小学生から中学生の時の記憶です。
社会人になってからも競馬と関わる機会は多くないですが、時折流れる競走馬たちの勇姿やかつての名勝負や名実況にはなぜか目を奪われました。
この本に出てくる馬はもちろんフィクションであり、描かれるのは競走馬を巡る“ファミリー”の話です。
本で涙を流したことはありませんが、初めてボロ泣きしました。これは私のこれまでの人生での競馬との繋がりや子どもの時に父の近くで観ていた名勝負と熱くなる父の姿などいろいろな要素が絡まりあって結果なのかなとも思いながら、、、
ただ、私の読んだ -
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小学5年生の純矢は母に突然捨てられた。サマーキャンプに行っている間に家が引き払われても抜けの殻になっており、手紙があった。近くの親類の家に世話になれというのだ。
第1話 その家には歌子さんと、そのお母さんのお婆さん政江、41歳無職居候の太助、67歳無職居候の江口が住んでいた。太助がご飯を作ってくれて、月500円のお小遣いを歌子がくれて、順調に生活が始まる。
第2話 たまたま江口の故郷がテレビで流れた。江口と純也はバスを乗り継いで江口の故郷へ行くが、江口の村はダムの底に沈んでいた。
第3話 大晦日を迎えた。お節を大晦日に食べる北海道の風習について言い争いが勃発。そしてまた居候が増えるのだっ -
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ネタバレ救いのない、ではどうすればよいのかもわからない顛末。
黄美子さんとはどういう存在なのか。
世間で虐げられる危うさを持つ弱者であることは間違いない、けど同じような境遇に立つ弱者のそばにいることができる。意図しない優しさで他人を掬い取ることができる力があるように思われる。徐々に少しずつ削れていくように、存在が希薄になっていく描写がいたたまれない。
エンタメ性も兼ね備え、お金とはという命題に挑む。
お金に踊らされないように、お金なんてただの紙といえるのはある一定以上の恵まれた階級の詭弁なのかもしれないと惑う。夢や希望を持つことも許されないジュブナイルな展開に心穿たれる。 -
Posted by ブクログ
上の青春篇も下の花道篇も、どちらも怒涛の展開で、主人公の歌舞伎に賭けた喜久雄の波乱万丈の人生が描かれていてとても読み応えがあった。
歌舞伎のシーンを映像ではなく文字で描写するのは難しいと思うが、それをやってのけた吉田修一さんはすごいとしか言いようがない。
歌舞伎は伝統芸能だけに才能というよりは血筋で継承されるものとばかり思っていたが、そうではないことも知ることができた。
個人的には喜久雄の兄弟のような存在の徳次が好きで、徳次がいたからこそ喜久雄は歌舞伎役者を続けることができたと思う。
瀧晴巳さんによる歌舞伎の演目の解説も面白かった。
この小説のおかげで、今まであまり関心がなかった歌舞伎に少し関 -
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俗にいう、「お受験」がテーマ。
小学生の十和が主人公で、最初の頃は、思春期まっただ中で父親を毛嫌いしているのかと思いきや、読んでいくうちに、だんだんと家族のありようが見えてきた。
約半数が私立を受験するという都会ならではの大変さ、塾の存在が大きい事、学校生活がほとんど書かれていない。
小学生とは思えない生活ぶりに、頭が下がる。
まさに家族一丸とならなければ、受験戦争には勝てないだろう。
十和の家族のように、受験で家族が一つになって絆が深まることもあるだろうけど、中には家族崩壊を迎える場合もあるだろう。
受験だけがすべてではない。
やったことはきっと無駄ではないけれど、
やらなかったことで幸