【感想・ネタバレ】ある奴隷少女に起こった出来事(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

この本との出会いは、ほんの偶然、時間をつぶすためだったという訳者の堀越ゆき氏同様、私も、実家のある田舎の小さな小さな書店で、時間つぶしのために手に取ったことだった。
翻訳本、それも北欧ミステリー好きなのに、その書店にはそれの類が無く、仕方なく、、、期待もなく、、、海外コーナーわずか十数冊の中から選んだ一冊だった。
しかし、読み出したら止まらず一気読み。
作家でもない一人の奴隷少女によって書かれた彼女の過酷な実体験を綴った本作は、アメリカの古典名作ベストセラー・ランキングで上位というから納得である。
自由を得るために、彼女が選び自らに課した運命は、あまりにも悲痛なものであり、その痛みは想像を絶する。
最後に訳者によって語られる彼女の身内のその後には、言葉も失ってしまった。
彼女自身が持つ崇高な魂と、恵まれた有難い人々との出会いによって培われていく才気によって、過酷な運命を自ら切り開いていく彼女の強さから、生き方を学べたことは、この本を世に送り出してくださった歴史学者のイエリン教授や訳者の堀越氏に感謝しかない。
彼女が手にしようとした差別からの解放のための運動に対して、現在のアメリカの大学、航空業界、医療業界においては何%かの割合で黒人を受け入れることが義務付けられている。それは果たして、彼女が望んだ解放なのか?平等なのか?
彼女の自由を買い取るつもりでいる心優しい夫人の行為に対して、彼女は「自分の心が啓発されていくに従い、自分自身を財産の一部だとみなすことは、ますます困難になっていた。自分を痛ましく虐げた人々に金を払うことは、これまでの苦しみから、勝利の栄光を奪いとることのように思えた。」と考える。現代においては、有色人種であれ、女性であれ、各自の努力の上に手にしたものを最上で尊いと受け止めていくことが、彼女の生き方に近い気がした。優遇は、彼女の求めた平等や解放ではないはずだ。
彼女の如き、気高い精神を持ち、常に努力を怠らず、自己を磨いていきたい、と思えた。
私にとって、時間つぶしが珠玉の一冊となった。

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2024年03月26日

Posted by ブクログ

アメリカのかつての奴隷制度の、人を人として扱わない惨さ。ノンフィクションであることが怖いくらい。

体を伸ばすこともできない屋根裏部屋で7年間、死と隣り合わせで隠れて生活をしたり、北部に無事逃げてからも”持ち主”であるドクターフリントの追手から逃げながら生活をしたり、、
その中でも生きることを諦めずに、また多くの人と助け合いながら自由を獲得する姿はかっこいいと思った。

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2024年02月16日

Posted by ブクログ

その時代時代にある「常識」や「正義」なんかは
全然違うもので、今の基準で当時を裁くわけにはいかない。

悪いものは悪いけどね。
ホロコーストとか。

名目上の奴隷制度はないけれど、
人間みんな金の奴隷になってる現代社会。
たとえ奴隷だとしても、リンダのように
気高く、愛をたくさん抱えて生きていたいものだ。

「夜と霧」くらい、
読んだ方がいいかもしれない本。

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2023年11月29日

Posted by ブクログ

・奴隷に人権はない。主人の命令に反することは犯罪
・人間的な主人は、めずらしく稀
・善意からはじまり誠意がこめられた約束も、守られるかどうかは状況次第

聡明で強い意志を持った著者のおかげで、このように酷い現実を知ることができた。
目を背けていたこと、無知だったことが恥ずかしい。

この本に出会えたことに感謝したい。

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2023年11月12日

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これが、わずか200年前に起きていた事なんて。
そして、今でも(ここまで暴力的なことは減ったとしても)かたちを変えてこの残酷な差別が横行しているなんて。
まずは知ることから。
フタをし、目を逸らさずに考え続けるを手放さないように。

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2023年09月29日

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事実は小説よりも奇なり
まさにその通りの小説でした。
人はそこまで残虐になれるのか。
人はどんな残酷な目に遭おうと、志し次第で生きられる。
主人公の信念、賢さ、洞察力に脱帽。
ネットで主人公のお写真を拝見させて頂いたが、意思の強そうな目をしていた。
内容が衝撃すぎて、感想を述べる言葉すら浮かばなかった。

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2023年08月23日

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130年以上前の奴隷だった女性の半生記。奴隷、という歴史の教科書の中の言葉が、なまなましい人の人生として息遣いを持った。
自由になるための彼女の強靭な意志と行動力に心打たれる。

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2023年07月30日

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タイトルからしてキツイ内容を想像できるのですが、本当にきついです。
最初から最後まで息つく暇もないほど、緊迫感と痛みを感じました。想像を絶する辛さです。

人間に所有という概念がある世界。
自分が自分のものでない存在。自分が何者かに支配され続ける人生、それが奴隷制度。

当事者だけにしか、本当の辛さは分からない。
私たちは想像することしかできないけれども、彼女の痛みは理解できるはず。

この本を読んで、思ったこと。
「自由」とは何か、よりも「自由でない」事とは何かを考えさせられました。

自由でない状況とは、、、
やりたいことができないということではなく
イヤなものを「嫌だ」といえない状況なのではないでしょうか。

先の見えない中で自由を求め、あきらめずに命がけで戦い続ける著者の姿は私たちに勇気をもたらしてくれる。

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2023年07月26日

Posted by ブクログ

あまりに辛く、、衝撃的な内容でした。

奴隷として生まれた少女リンダ・ブレント(ハリエット・アン・ジェイコブズ)が、自身の半生を綴ったノンフィクションストーリー。

辛い境遇にいながらも、リンダは希望や信念、誇りを持ち続けた。
そして守るべきものがリンダを更に強くした。

リンダの生き方はとても心に響いた。
感動とはまた違う、これはどういう感情なのか今は言語化が難しいけど、リンダの生き方に大きな衝撃を受けたことは確か。

リンダ・ブレントに畏敬の念を込めて。

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2023年07月12日

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とにかく衝撃的。実際に奴隷少女だった著者が、本名だと捕まるのでペンネームで書いた実話。
「小説は確かに面白い、でもフィクションよりも圧倒的に考えさせられる実話です」という本屋さんのポップに惹かれて買ったけど、本当に読んで良かった。
当たり前に人間が売買され、モノとして扱われ、もし殺してしまっても罪に問われない恐ろしい制度。目を逸らしたくなる残酷さだけど、こういう暗黒の歴史を知るのは大切だと思う。読んで良かった。

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2022年12月28日

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積ん読本。
奴隷制度とは、得に女性にとって何と苛酷で凄惨なものか。
本書から150年経った今現在でも、差別と虐待は無くなっていない。
茂木健一郎氏によれば、人間の脳は縄文時代から変わっていないそうだから、考え方も変わらないかもしれない。
人間の恐ろしさを身に染みて読む。

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2022年06月20日

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ネタバレ

アメリカの奴隷制度について私は概要は知っていても真実や現実を知らないのだと思い知らされた。奴隷には逃げ場がない。人権がない。奴隷の子もまた奴隷であり、商品になるのだと。リンダは生き延びた。相当な精神的、肉体的なダメージを負いながらも生き延びた。言葉にならない。

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2022年04月02日

購入済み

衝撃

奴隷の女として生まれたから、という理由だけで虐げられ逃げ続けないといけなかった少女の話。
アメリカの奴隷制、南部と北部の関係性については学校で習って知っていましたが、このような小説は初めて読み衝撃でした。今の世界が実際どのような人種差別があるか実際のことろわかりませんが、少しでも平等になるよう祈るばかりです。

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2020年12月10日

ネタバレ 購入済み

課題図書にして欲しい

夜寝る前に漫画の広告を気になって数話読み、本書に飛んで一気に読んだ。最初に思ったのは「ムラート」「母親に付帯する身分を引き継ぐ」この2点は高校の世界史で学んだが、本書を読むまで言葉の暗記でしかなかったと気づいたということだ。いかに白人男性にとって都合の良いことなのかへの気づき、その"都合の良さ"は現代日本でも多く見られるという気づきである。訳者の言うように、もっと早くに会ったならやりたかった夢への後押しをしてくれたとも思う。しかしそれだけでなく、今も日々行なっている”女性らしさ、女性なんて"という固定観念と不自由さに対しての改善を求める個人の戦いへの後押しにもなる本であり、その固定観念のもたらす男性への影響に対する個人レベルでの改善運動も後押しする本当だと思う。
Black lives matter だけでなく現代に連綿と続くあらゆる固定観念や不自由に対して少しでも関心を持つすべての人に是非読んで欲しい。

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2020年08月09日

Posted by ブクログ

日本にいると、多様性について考える機会は、与えられない限り、あまりないかもしれない。
特にコロナ下においては、自ら情報を得ようとしないと日本社会特有の一般論での考え方に偏ってしまうこともある。

そんな時に読んだ本で、今も根強く残る黒人差別問題の渦中で劣悪な環境で過ごした130年前の実体験を綴られた本。理解できない言動、現実味のない情景、今も形を変えて残る差別問題を知ることの大切さを改めて感じた。

知らない国の知らない人が、どこでどう生きて考えて希望を見出しているのか、そこから自分は何を得て考えて行動できるのか。

日本が世間体や固定観念ではなく、多様性に寛容な社会になるには時間がかかると思うが、多様性を考える、権利を考える時間ができた。海外留学や旅行ができない今だからこそ、多様性を知る手段の中に本があることをより実感した。

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2021年12月18日

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奴隷制のあったアメリカで実際に奴隷として虐げられた黒人女性の手記。淡々と語られる奴隷所有者の仕打ち、また、南部州だけでなく北部州にもある社会全体の差別意識に心が痛めつけられる。奴隷という身分で産まれる中でも、男性以上に女性が人生で抱える不幸が大きいという主張は奴隷制度のない現代社会にも通じるところか

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2024年01月21日

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奴隷制について無知だったのが微知ぐらいになった気がする。今まで奴隷船の中の不清潔さとか、鞭ちのさとかばかり旨がいってたけど、この本は鞭打ちみたいな体罰的な苦痛よりも言葉とか女性ならではの苦痛が大きくて奴隷制の本当の闇の部分を見たように感じた。
、読んでると勝手にフ
ィクションだと思ってるけど、、ふとこれが本当の話だったと思い出してその度にこの作品の重要さを痛感した。多分、これはほんの一部だろうから
もっと奴隷制について知識を深めたくなった

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2024年01月04日

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パワーがすごい。
奴隷制当事者の貴重な手記というだけでなく、真のウーマン・リブ文学である。

J・F・イエリン教授や堀越ゆき氏に本書が発見されて本当に良かった。
衝撃作であることは間違い無いが、当事者文学であるからこそ努めて冷静に描写されており、妙に感情を煽り立てるような書き方をしていないので、結構誰にでもおすすめできる本な気がする。

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2023年11月16日

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ネタバレ

これが本当に起こった出来事なのだと思うと…。主人公リンダの7年もの屋根裏での潜伏、あまりにも壮絶だ。肉体的にも精神的にも自分なら耐えられないと思う。南部から北部へ向かう船での描写が心に迫った。北部へ行くのは悲願だ。夕日や頬を撫でる風に喜びを感じる。だけど愛する家族や世話になった人々は今去ろうとしている南部にいて、きっと二度と会えない。それでも進む。
旅行でアメリカを訪れたことがあるけど、その時のアメリカの印象とこの本に描かれるアメリカは別の国のようだ。かつてはあの土地でも同じような奴隷少女たちがいたのだろうか。

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2023年05月11日

Posted by ブクログ

奴隷制というものが有ったことは知ってる。
でも、何にも判ってはいない。
たくさんの人が読んだら良いと思った。

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2023年04月01日

Posted by ブクログ

確かにこの内容だとフィクションだと判断するしてしまうのも分かるぐらい、しっかりとした内容だった。

過去にこんな扱いを受けて来た事実、こんな扱いをした事実を受け止めて、今の問題に取り組んでいくためにクラシック上位にあると思うと改めてアメリカって凄いと思う。

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2022年11月29日

Posted by ブクログ

本書が出版された当初、白人によるフィクションであると思われたのも致し方ない程、想像を絶する体験手記である。
今よりもずっと差別と暴力が激しい時代に、奴隷と言う立場にありながら、信念を持って生きた女性の力強さを感じる。
どんな時でも、自分の所有者は自分自身なのだ。

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2022年08月13日

Posted by ブクログ

余りの惨さ、執拗さにおどろく。

1800年代アメリカ南部の黒人少女が次から次へと降り掛かる困難を持ち前の忍耐力、運、人との繋がりを用いて乗り越えようとする話。
人はどこまで残虐になれるのか、嫉妬深くなれるのか、執念深くなれるのか。
どうしたらここまで堕ちることができるのかと驚く。

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2022年08月08日

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ネタバレ

きっと次のページでは、良いことが起こるとずっと思いながら、最後まで来てしまった…

理不尽…あり得ない…そう思わざるを得ないけれど、これが現実であったことは知っておくべき歴史なのだろう。

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2022年07月19日

Posted by ブクログ

感想
当たり前に尊厳はない。何も起こらない。今日も明日も希望はない。絶望もできない。淡々と繰り広げられる地獄。今はもうなくなったのか。

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2024年01月07日

Posted by ブクログ

いただき本

とても読みやすくしっかりとした翻訳。
奴隷制の不条理と、悲しさ、そこに身をおかねばいかなかった人々の苦労は、私などには計り知れない。
強い意思を持ち、思慮深く生き抜いた作者を思う。

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2023年10月18日

Posted by ブクログ

250年前の出来事に胸が締め付けられるようだ。

 奴隷制がどのように運用されていたのか、所有者(雇用者ではなく)との関係性等、当事者の記録である本書から伝わってくる。

 少女を所有し意のままにしようとする所有者やその子供たち。嫉妬に苦しめられるその妻。意識のはけ口は残虐性や暴力なって奴隷を襲う。

 奴隷制は奴隷の精神だけではなく、所有者の精神も破壊してしまうとは、当事者である奴隷少女の言葉だ。

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2023年10月15日

Posted by ブクログ

南北戦争前のアメリカの暗い時代の話。この時代があって今がある。この事実に出会えて改めて考えさせられた。

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2023年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

奴隷制の奴隷女として生まれてきたことは不運であるが、暴力的な主人から逃れる策として他の白人の子を宿したり、主人のいかなる言葉にも否定したり、自己主張の強さとそれに伴う行動力が凄まじい。勿論、辛い日々が鍛えたのもあるだろうが、自由黒人である父の影響も強そうだ。
主人が恐らく嘘であろう優しい言葉や、偽りの手紙は優しすぎて実に滑稽で面白かった。
リンダとその子供たちは自由を手にしてハッピーエンドだが、伯母と祖母が切ない。特に伯母のエピソードは悲しい。床に寝かされて6回も流産してようやく部屋で寝ることが許され、2回出産するがどちらもしばらくして死ぬ。子を持てぬのもあり、リンダらに対して我が子のように接する、悲しい。
最期は叔母がいてくれて良かった。それでも悲しい。

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2022年07月21日

Posted by ブクログ

ノンフィクションと分かって読み始めたけど、読み進めるにつれてこんな残虐なことがリアルにあったと、想像するのは本当に難しかった
白人が黒人を奴隷として所有する「当たり前」、奴隷は人としてではなく物として扱われる「当たり前」
現代では考えられないような「当たり前」が数え切れないほど出てきたけど、それを「当たり前」で終わらせずに必死に抗い、自分の信念に従って動いてきたジェイコブスさん
自分が当時のジェイコブスさんだったら同じ行動がとれたのか、はたまたドクター・フリントだったら?
今生きている現代にもたくさんの「当たり前」があるけれど、全部「当たり前」と思っていいのか
色んなことを考えるきっかけをくれた本だった

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2022年02月25日

Posted by ブクログ

19世紀奴隷として生まれ、人として認められないその過酷な制度から、不屈の精神で、考え逃げて時に戦い遂に自由を掴んだ少女の手記。
書かれている全てが事実というところがベストセラーの所以。人はどこまで冷酷になれるのか、理解を超える事実もある。
文章はわかりやすいが、話のつなぎとか流れがぎこちないところがあり、多少想像しながら読み進める。もちろん奴隷制度の証言としても重要だと思うが、一人の少女の自由への渇望の物語。

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2021年11月23日

Posted by ブクログ

文章力のせいなのか、辛さが半分(もっと少ないかも)しか伝わってこない。
よーく考えればそんな狭い場所ではもっと辛かっただろうな。とか、それはすごい恐怖だろうな。とか、わかるんだけど。
最近問題になっている日本ハムの豚だったり、長野の崩壊ブリーダーだったりのニュースで心が痛いけど、豚や犬が文章を書ければこんな感じなのかな?

恥もあろうがどうせ書くならもっと事細かに書いても良かったんじゃないかな。

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2021年10月31日

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