あらすじ
宇宙のはじまりはカップからこぼれたコーヒー? 人間が豚を食べられるのは遺伝子のおかげ? 作家、小川洋子が様々な分野で活躍する科学のスペシャリスト7人にインタビュー。科学の不思議を解き明かすため、日々研究に打ち込むひとびとの真摯な姿に迫る。そこから見えてきた興味深い成果の数々とは。ふとした疑問から巨大な謎まで、科学に関するあなたの『?』を解決する珠玉の入門書。
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Posted by ブクログ
科学のスペシャリスト7人のお話は、平凡な暮らしをしている私には到底聞き及ぶ事のない分野のお話ばかりで、時に難解なものがあるのは当然のこととして、とても興味深く貴重なお話の数々、感動しながら読みました。
そもそも科学の扉をノックする小川洋子さんが流石だな〜というのと、それを読みやすくまとめてあるのがまたすごい。
村上和雄先生のサムシンググレート。
アポロ宇宙飛行士もその言葉を発したのではなかったでしょうか。
偉大なる何ものか。先生の本も読んでみたい。
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これは面白い!一気読み。しばしば感涙しそうになる。「1.宇宙」「2.鉱物」「3.DNA」「4.スプリングエイト」「5.粘菌」「6.遺体科学」「7.トレーナー」という科学のスペシャリスト7人へのインタビューなんだけど、この感動はなんだろう?どの方も素晴らしいのは確かなんだけど、お話を聴き受け止める小川さんの感性に共感するところが大きいのかなぁ。
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理系の知識を付けたいと思い、色々読んでたけど、文系の私に一番しっくりきたのがこの作品。数式や原理原則がつらつらと書かれているのではなく、物語的に宇宙とか鉱物などの自然科学のことが語られています。ロマンティックです。
Posted by ブクログ
この本を楽しむのに、見ただけで頭が痛くなるような化学式や、小難しい物理法則といった知識の類は必要ありません。
主役はあくまで、科学の根底にある美と、その神秘を日夜追い続けている科学者達の生き様であるからです。
また彼等を描き出す小川洋子の清潔な文章からは、科学への強い憧れと静かな感動が溢れんばかりに感じられます。
宇宙、鉱物、粘菌、遺伝子――テーマによってマクロとミクロを自由自在に行き来しつつも、常に肌に近い言葉でもって表し読者に伝える表現力は、さすがという他ありません。
小説家の感性から科学の現場を捉えている本書は、タイトル通り科学という学問への案内書となるだけでなく、私達が生きるこの世界の奥深さについて改めて気付かせてくれる、非常に物語的な一冊であるように思います。
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タイトルだけでちょっと難しいかな、と積んでたけど、開いてみたらいつも通りの小川さんでした。
世界の美しさを本当に綺麗な言葉で伝えようとする人だなぁと思います。
Posted by ブクログ
まさにタイトル通りの本。
宇宙の話、鉱物の話、遺伝子の話、粘菌の話はまだ馴染みのある方だけど、スプリングエイトの話、遺体科学の話ははじめましてだった。
特に遺体科学にとても興味があるので、遠藤先生の著書を読みたい。
「遺体にひそむ謎を追い、遺体を人類の知のために保存する」のが「遺体科学」らしい。
解剖するだけではなく、保存するのだという。しかも「無制限・無目的」に。
なんともスケールが大きいと思う。ドキドキする。
この本は1冊でその分野のことがよく分かるという本ではないけど、その分野の魅力がとてもよく伝わってくる。
それはインタビューを受けている先生方のお話の魅力はもちろんのこと、小川さんのキラキラとした好奇心によるところが大きいと思う。
特に最終章の阪神タイガースのトレーニングコーチのインタビューはさすが小川さんという感じ。
バランスボールの上でタイガースを応援している小川さんを想像してにこにこしてしまう。
この本を入門書として、学生の頃とは違う関係を築けるかもしれない、そんな気持ちにさせてくれた。
Posted by ブクログ
各分野の科学のスペシャリストの元を作家・小川洋子が訪ねインタビューして著した本。対談集かと思ったのですが、小川洋子自身の言葉で書き表されており、文系人間にも取っ付きやすくなっております。
何せ「あの」小川洋子の手によるのですから。怪しげで魅力に溢れた科学者を生み出し、些細な物事にもキラ星の如く光を与える小川洋子の筆によって科学は物語となります。いや、科学自体に物語となる核が秘められていたのかも。科学者の語る言葉は、作家が紡ぐ物語と同じ力をもっています。
天体、鉱物、遺伝子、微細物、粘菌、遺体学、スポーツ学。どれも遠い世界だと思っていたのが、身近に感じられます。しかし科学書ではないので、あくまで興味を沸き立たせるという感じ。ここで興味を持ったものについては、改めてそれぞれの科学者の方々の著書を読むのもありでしょうね。僕としては動物遺体学に興味が沸きました。
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文学部出身の著者ではあるが、新聞で一番好きな記事は科学の記事だという。
そんな人物が第一線で活躍する科学の専門家7人にインタビューをしたもの。根っからの文系人間の僕には理解不能な箇所もあるが、それでも努めて平易に書こうとしてくれる。宇宙の神秘のような超マクロから、細胞の中のDNAの塩基配列の超ミクロまで。研究テーマは多種多様。しかしどんな対象であっても、終わりなき解明に挑む研究者の皆さんの姿は等しく輝いている。
Posted by ブクログ
数学はいつでも苦手だったけれど、科学はどうだったか思い出せない。自分が親しく科学的学問を学んだのは高校生の頃、地学で星の運行にふれたのが最後。
目に映るもの全てに詩情があるというなら、同じく科学のまなざしを持って世界を読み解くことが、こんなにも豊かに可能であるとこの本は教えてくれる。
特にすきなのは3章と6章。
死への流れと死のかたち。
Posted by ブクログ
小川洋子さんが様々な科学者にインタビューする本です。
科学では、知れば知るほどわからないことがたくさんあること。
宇宙、鉱物、遺伝子、生物、、、まったく異なる分野なのに、なにか共通するものがあり、人間社会に通ずる話が見えてきます。そこを小説家が絶妙に料理してくれるので、小説に膨らむ妄想を楽しみつつ、それぞれの分野の最先端を理解することができます。
科学の初心者におすすめの本
Posted by ブクログ
10年近く本棚に眠っていたので手に取った。
まずこの本の特徴として、小川洋子さんが書いているだけあって文章が読みやすい。
読みやすいといってもユーモラスだというわけではなく、何というかスラスラ入ってくる。
それは一つ一つの情景・感情描写にも普段から気を使い、細部にまで目を向けているからだろう。
このような作家特有の繊細さを持って科学について書かれるとどうなるか。
科学をストーリーとして味わえるのだ。
科学の内容だけでなく、そこに携わる科学者の心情までも事細かに描いてくれている。
よって、「科学をしている人」を客観的に見ることができるのだ。
「科学者はそんなことを考えながら科学と向き合っているのか」と感心させられることが多い。
科学者が書いた本だと、どうしても科学の内容に重点が置かれる。
作家が科学について書くことで、科学と科学者との間の相互作用を描くことができるのだ。
自分は特に
3章 命の源”サムシング・グレート”
6章 平等に生命をいとおしむ学問”遺体科学”
7章 肉体と感覚、その矛盾に挑む
の3つの章が非常に印象に残った。
科学者も人間であり、理性と感情を完全に分離して考えることなど不可能なんだと教えられる。
人間臭い科学者こそが魅力的なのだ。
Posted by ブクログ
宇宙、鉱物、遺伝子、放射光、粘菌、遺体科学を専門とする6名の研究者と、プロ野球のトレーニングコーチを取材して、それぞれの専門的な内容にも触れつつ、宇宙や生命といった科学の奥深さ、面白さを紹介した本。
著者の小川洋子さんの科学に対する愛が端々に感じられ、大人でも子どもでも、読んだ人たちが、科学に興味を持つきっかけにもなると思う。
Posted by ブクログ
作品名のとおり、入門書の一歩手前のようなインタビュー記事のようなものでありながら、小川洋子さんの妄想から始まる各章はとても物語的。グルーヴ感満載の読み心地で、研究者の方々の人となりがひしひしと伝わってきて楽しい。
Posted by ブクログ
作家の小川洋子氏が科学のスペシャリスト7人にインタビューしたもの。
ふだん関わりのない事柄であるが、とても面白く読むことができた。
特に、宇宙に関する内容が印象深かった。
「木星、土星、天王星、海王星、この四つはガスでできているため、大地がありません」(p16)
だから、人間が降り立つことはできないのだそうだ。
ガスでできた星。
宇宙の神秘さを感じさせられた。
また、粘菌の生態も興味深かった。
動物と植物の中間の様な状態になって、増殖を繰り返す。
生物の動きには、すべて意味があることを改めて感じた。
人間の力の及ばない自然科学の世界には、ロマンと壮大な気持ちを覚えた。
Posted by ブクログ
星座を作っている星、これは変わらない星と言うので恒なる星恒星と名付けられたわけです。ちょこまか動く回っているのが惑う星惑星です 孤立した小さな存在ではなく、無限の宇宙とつながっているのだと言う、不思議な安堵感を覚える 宇宙を探索することは、自分自身とは何もであるかを探索することに等しくなる 鉱物学者には、ルーペとハンマーを持って山へ行き、石を叩く義務があると先生はおっしゃる。大地に出向いて石を叩く、これが鉱物学者の最初の仕事だと先生はおっしゃる 薬の代わりにお笑いビデオを出すような病院が出てくるかもしれません。だから私は、笑は副作用のない薬だ、と言っているんです 要するに大きな仕事は、あるところから常識を超えないとダメなんです。理性だけではないんです。ジャンプするのです
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「博士の愛した数式」などの作品で有名な作家、小川洋子氏が、それぞれ分野の違う7人の科学者たちを訪ねるという内容。
文系の人が書いた自然科学の本ということで、科学本としては読みやすい部類に入る。
ただ専門用語や若干複雑な説明も書いてあるため、理数系はからっきしだめという人には、ちょっと辛い部分があるかも。
ただこの本の魅力は、単に科学に対する見識を深められるというところにあるのではない。
そうではなく、小川洋子氏の科学への純粋な興味と、作家ならではの独創的な解釈。
そういった単なる知識ではないところにこそ、この本の面白さがあると思う。
だからこの本を読むときは科学の知識を理解する、理解しようとする必要はまったくない。
身構えずに純粋、もっと言えば無心な気持ちになって読むのが良い。
ところで、素人目線で科学を見るとどうなるか。
そこには未知の世界に対する純粋な驚きがあるわけだけれども、その感情を文章としてわかりやすく表現できる著者の穏やかでいながら鋭い洞察のこもった筆致にも、とても感銘を受けた。
Posted by ブクログ
作家の小川洋子氏が、専門知識をもった科学者たちへのインタビューを通して、科学の面白さを追求するもの。
宇宙や遺伝子、素粒子、遺体科学の話しなどについて、素人目線で専門家に質問してくれているのが嬉しい。
作者は、いかにこの本が作者のわがままに満ちあふれているか、と謝っているが、人の物事の興味というのは主観であってわがままであることは当然のことで、そういう意味では逆にそのことがこの本の面白さを表しているのだと思う。
STAP細胞のことなどで、もし科学への興味を失う子供達いるのなら、この本はいい後押しとなることだろう。
Posted by ブクログ
完全文系人間にとって、未知の世界。入門書といえど書いてある内容は難しく、わからなかった。しかし小川さんによる感想、解説が興味深く、登場する学者さん達に敬意を払わずにいられなかった。好奇心をもつこと、想像力をもつこと、命について考えること。あらゆる学問の原点は同じなんだと。文系・理系で二分化せずに、知的好奇心を培っていきたいと思わせてくれるような1冊。
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「博士の愛した数式」の作家が、科学者に直接その分野の魅力と不思議を聞く。表紙を描いている南伸坊氏とよく似たスタイル(文体も)で、難しいはずの内容もするすると頭に入ってくるのは快感。特に鉱物学や遺体学のあたりは、小川氏の書く小説のリズムとばっちり合っている。数学がなかったのは残念だが、他の作が有るのね。村上先生の話の項はよく知っている内容なので、やや足りない感あり。最後に相変わらずのタイガース愛があふれる一項。全体に科学と言えども構えずに読めるので、全世代にオススメです。冗談のない南伸坊。
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p.146「解剖学で進化を研究するのは、歴史学と同じなんです。歴史を研究する人が、お墓を発掘したり、古文書を解読したりして多角的、総合的に皆を納得させるような歴史像を描いてゆく…」
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小川洋子らしい目線で
科学的な題材と向き合ったエッセイ。
7つのテーマが収録されている。
科学の説明というよりは
科学的題材と向き合う研究者の人柄や
ストーリーに主眼が置かれている。
家庭の医学が好きだった子供時代など
小川洋子作品の表現でみたシーンも出てきた。
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73冊目『科学の扉をノックする』(小川洋子 著、2011年3月、集英社)
作家・小川洋子が科学のスペシャリストたち7人にインタビューをし、それを纏めた一冊。
ジャンルは天文学や鉱物学、生物学、スポーツ科学など幅広いが、いずれも専門的な内容ではないため、全くの門外漢でも問題なく読むことが出来る。
小川洋子らしい柔らかな文章で書かれており、一つ一つのインタビューはまるで物語のようなユニークさ。
科学に興味がなくても十分に楽しめる。
「私は今日ほど安らかな気持で、死の話に耳を傾けたことはなかった」
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小川洋子(1962年~)氏は、岡山市生まれ、早大第一文学部卒の小説家。『妊娠カレンダー』で芥川賞(1991年)、『博士の愛した数式』で本屋大賞(2004年)、そのほか谷崎潤一郎賞、野間文芸賞などを受賞している。
本書は、2008年に出版され、2011年に文庫化された。
本書は、「子供の頃から、新聞で一番好きなのは科学の記事でした」という著者が、科学の7分野の研究者に対して行ったインタビューをまとめたものである。
章立て及び対談相手は以下である。
1章:宇宙を知ることは自分を知ること/国立天文台教授 渡部潤一
2章:鉱物は大地の芸術家/鉱物科学研究所所長 堀秀道
3章:命の源“サムシング・グレート”/筑波大学名誉教授 村上和雄
4章:微小な世界を映し出す巨大な目(SPring-8)/財団法人高輝度光科学研究センター特別研究員 古宮聰
5章:人間味あふれる愛すべき生物、粘菌/京都大学名誉教授 竹内郁夫
6章:平等に生命をいとおしむ学問“遺体科学”/東京大学総合研究博物館教授 遠藤秀紀
7章:肉体と感覚、この矛盾に挑む/阪神タイガースファームトレーニングコーチ 続木敏之
研究者や(科学)ジャーナリストが、特定の分野に関して、一般向けに網羅的にまとめた入門書や、最新の研究結果をレポートしたものとは異なるが、好奇心の塊のような著者と、研究愛に溢れた各研究者のやりとりから得られるものは少なくない。
また、宇宙科学や生命科学のような注目される分野については、否応なく関心も向くし、知識・情報に触れる機会も多く、自ら関連する書籍を読むことも少なくないが、そのほかの、そうした機会の少ない分野(先生方には申し訳ないが)についても取り上げられており、そういう意味でも本書の価値は大きいと思われる。
宇宙科学、生命科学から鉱物学、粘菌学まで、様々な科学の扉をたたき、興味を呼び起こしてくれる、作家と研究者の対談集である。
(2021年6月了)
Posted by ブクログ
再読本。
数年前は楽しく読んでいたような気もする。改めて読んでみると、著者が言うように興味あるものを気の赴くままに書き綴ったインタビュー本である。なので科学のこの分野を知りたい!と読むとがっかりするかも。
著者によって擬人化された諸々の表現や、安易な可愛い発言が目についてしまって残念。恐らく私には合わなかっただけなのだろう。
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『さよなら、僕が愛した九つ目の』
冥王星が惑星ではなくなった時、彼又は彼女を偲んで泣いた少年の歌を聴いていた。
それから、十年。
冥王星は仲間はずれになったのではなく、もっと近い仲間の元へ帰ったのだと知る。
嬉しくてちょっぴり恥ずかしくて、でもやっぱり、嬉しくて。たった、数行に私は救われてしまったんだ。
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野球好きなんで第7章はひとまず置くとして、第6章が秀逸。
作家の小説世界と見事にクロスしていて、かつ内容も凄く興味を抱かせる。
他は興味があるので覗いてみました、といった印象かな。
対談(インタビュー)集になると、この作家特有の研ぎ澄まされた静謐感が失われていると感じるのは気のせいかな?
Posted by ブクログ
作家・小川洋子さんの対談集。素朴な疑問を科学のスペシャリストが優しく答えてくれる。
一番感じたのは、科学者の情熱。その道を究めた人物の話は、どんな分野でも面白い。
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一群のサイエンスライターは措くとして科学がテーマの対談と言えば知の巨人こと立花隆氏。若手なら『パラサイト・イヴ』の瀬名秀明氏か?両氏とも非常に面白いのだが時にはテーマにのめり込み読者そっちのけで熱く語り過ぎる嫌いがある。さて本書は直木賞作家 小川洋子による『文系の文系による文系の為の』科学読み物!宇宙、鉱物、遺伝、極微、粘菌、遺体に関して斯界の権威に教えを請う。最後に科学は科学でも少し毛色の異なるトレーニング科学についてタイガースの続木コーチと対談するところが大の猛虎党らしく同病患者としては微笑ましい^^