【感想・ネタバレ】世界99 下のレビュー

あらすじ

小説というものの輪郭が、いわば地球を覗く窓の形が、本書によりまた大きく更新されました。
それはつまり、この本の中で初めて寛げる人がいるということです。
救済と爆弾は同じ姿で在れるのだと気付かされました。
朝井リョウさん(作家)

本当は貴方もわかっていたんだろう? と迫る声が脳内に鳴り響く。
熱に浮かされるようにページを捲る手が止まらない。
これは本型ワクチン。
世界99に誘われ、もう元いた場所へは戻れない。
宇垣美里さん(フリーアナウンサー・俳優)

足元の地面がふいになくなり、
正常と異常の境目が消え失せ、目眩がする。
人間という生き物の滑稽さ、グロテスクさ、美しさ、不思議さが、
この本の中にすべて詰まっている。
岸本佐知子さん(翻訳家)

空子がこの世界で体に蓄積する小さな暴力の音とか、風とか、どれも僕の心に刻まれていきました。
物語で一緒に過ごせた時間は、僕の宝です。
ロバート キャンベルさん(日本文学研究者)


私たち、ピョコルンに、全部捨てられるようになりましたよね。
性欲を。出産を。育児を。介護を。人生の時間を食いつぶす、あらゆる雑務を。

14年前、「リセット」を経験した人類は混乱の最中にあった。
しかしラロロリン人の考えた「人間リサイクルシステム」がうまく機能し、やがて社会は再生を迎える。
そして49歳になった空子は「クリーンな人」として、美しく優しい世界を生きている。生まれ育った街「クリーン・タウン」の実家に戻り、同級生の白藤遥とその娘・波とともに。
ようやく訪れた穏やかな社会の中心には、さらなる変貌を遂げたピョコルンがいた。

村田沙耶香渾身の大長編、ここに完結。
都合の良い「道具」・ピョコルンを生み出した果てに、人類が到った極地とは――。

【著者略歴】
村田沙耶香 (むらた・さやか)
1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年「コンビニ人間」で芥川賞受賞。著書に『マウス』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』『生命式』『変半身』『丸の内魔法少女ミラクリーナ』『信仰』などがある。

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Posted by ブクログ

世の中の流れが変わるにつれて「良い」とされてるものが変わりそれに人々が乗っかっていく感じや、自分の本当の感情(汚い感情)に蓋をして周囲の人に馴染めるよう”クリーンな人”でいようとすることは現実の世界でもあると思う。
人との付き合いの中ではもちろん汚い感情を出す事が正解ではない場面もある。

どこかおかしいと思いながらもその環境の中で理想とされる”クリーンな人”であろうと心掛けるあまり自分の感情を押し殺す。
しかし、その結果、その環境で感じるべき感情と自分の本当の感情にギャップに苦しみながら生きている人たちも少なくないのではないだろうか。

自分がこれまで生きてきた中で感じてきた違和感が言語化されていた作品でした。
出会えて本当に良かったです。

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2026年06月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

続きが気になって一気読みでした。

男性と女性、加害者と被害者の対立構造にピョコルンやラロロリン人を入れることで、キャラクターが加害者・被害者に固定化されずにどちらにもなりうる、という点を上手く描きすぎてて読んでてしんどかった。

家族愛やシスターフッドのような無償の愛ではなくある程度の損益で協力し、それぞれが孤独のまま物語が終わるのが良かったです。

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2026年06月17日

Posted by ブクログ

あまりにもグロくてリアルで見てられないんだけど確かにこの世界にある現実でもあって、人によっては価値観が破壊されてしまうんじゃないかってくらいダメージを与えそうだし、逆に救われる人もいそうな、そんな作品だと感じた。
自分はどんな視点で世界を見ているだろうか、とかそういうことを考えた。

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2026年06月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

だから、ラロロリンガール・ライフってなんだよ(笑)と序盤から突っ込みを入れながら読み始めた下巻。ようやく読み終わりました。
いや~強烈でした。ここまできっつい話はそうそう読めないですよね。
こんな無茶苦茶な話あってたまるか!!と思いたいところですが、それがそうでもないのでは?というのが今の感想です。ラロロリンキャリアも、ピョコルンも存在しない我々の実生活ですが、皆、何かに搾取され隷属しているのは大なり小なりあるわけで、案外無意識に空子みたいに達観して世の中眺めている人そこそこいるんじゃないのかな?

怖いなぁと思ったのが、観覧車で空子と音が話するシーン。今更ながら気付いちゃいました。「あ、これAIチャットじゃん。」
この人は自分の理解者と判断したら、そこからはその人の言うこと考えなしで受け入れてしまうもんだよなぁ・・考えようとしない空子なら猶更ですよね。
空子は音に儀式の話をされ共感、参加を決めるのも自然な流れかと。AIにそそのかされて、考えようとしない人、一杯いますもんね。
そういう風に見ると、この話のようなディストピアな世界にあるなんてこともあながち・・・・って思い、怖くなりました。

しかし、なんで空子はピョコルンになる選択をしたのか・・・ちょっと考えてみた。
空子はずっと“他者に合わせて生成される存在”として生きてきた訳で、全部世界のために最適化され、己自身のための「自分」が存在しない。
一方ピョコルンは話の中では欲望のはけ口とか人生の時間を食いつぶす雑務のごみ捨て場みたいなこと言われてましたが、雑務をやる=相手のために存在するというか・・・役割を果たすための生き物、とも考えられないだろうか?
これが成立すると、空子ってある意味ピョルコン的な存在だったのかもと。
思うに人って、自己を持つ、自己選択する、自己責任を負うみたいなことをやっていかないと生きていけないところもあるわけですが、空子は基本そういったことが欠落している訳で、自分を持たなくていい存在=ピョコルンになる、ということは、空子に最も合った生き方であるとも言えるのでは?
と、考えると、空子は「ピョコルンになることが一番“自分らしい”」と感じたからそうしたので、逃げでもなんでもなく彼女にとっては自然な帰結だったのかなぁ?と思いました。

あと、読んでて悲しくなったのは、儀式直前のお祭りに行った場面での、空子のある意味対極的なポジションにああった白藤さんに対して抱いた感想。
「やはり白藤さんこそが人間ロボットだったのかもしれない、と思った。最初にダウンロードしたデータでしか生きられない人間ロボット。かわいそうに。」

白藤さんは、最後まで自己を持ち続けようとして、そして世界に絶望しながらこの話が終わった先も一人生きていくことになるのかと、想像すると何とも言えないものがあるとしみじみ。

他にも思うこといっぱいあるけど、きりが無いのでこの辺にしたいと思いますが、冒頭でも述べましたが、強烈な話でした。痛くておぞましい話でした。

星5つの内容だと思いますが、強烈すぎて他人には絶対進めたくない本・・・ですね。

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2026年06月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

白藤さんは私が考える人間のまま世界を見続けてるんだな。
疲れきった人がピョコルンになりたがる、名誉なことなのか?
女性が負わなければならなかった妊娠出産家事育児をピョコルンに負わせることができる世界。羨ましいと思い読み進め、最終的には…おぞましい世界観だった。
何か別のものに押し付けるのではなく、夫婦で、家族皆で分担すればいいよね。妊娠出産は今のところ女にしかできないし、女も正社員を一生続ける現代だしね。1人だけ便利に使われ続けるなんて嫌だから、それを見てきてるから少子化なのもあるよなぁ。
「子宮を見張られる」と、空子母の「次はお前の番だ」的な表現や圧、あるある過ぎて読んでて苦しかった。
いじめやお母さん関連、男関連。胸糞悪いところが多かった。オーバーだけど文章にすればこういうことだよねって納得できて現実で知ってるシーン過ぎて…。
すごいものを読んだなぁ…

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2026年06月12日

Posted by ブクログ

多少冗長なところもあったけど上下巻でたっぷり読めてよかった
みんなのぴょこるんはどんなイメージだろう

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2026年06月11日

Posted by ブクログ

すごい世界を見た感じ。舞台は現在とほとんど変わらないけど、人間の嫌なところを面白く描いてる。最後までニコニコしながら楽しめた。ぼくの中では名作。

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2026年06月07日

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一日で読み切った。いやぁ、疲れた(笑)
人間社会や人間自身のもつ醜さ、卑しさとにかく蓋をしたいことにピントを合わせてこれでもかと鮮明に、驚異的な表現力で色んな角度から突き抜けられる。SFでありながら現実世界と地続きな部分もあり私の考える常識もある世界や世代からはきっと異常性があるのだろう。今この瞬間も私は社会や国、環境に媚びて洗脳されて生きている、そう自覚させてくれる作品。

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2026年05月31日

Posted by ブクログ

世界99下巻、中断しつつ2ヶ月くらいかけて読み終えました笑

バケモンだなやっぱ村田沙耶香って。

物語自体も独特で面白いけど、終始作者はなぜこの発想に至るのか。
に思考が引っ張られていた。

この世界にいたとしたら…
ピョコルンにはまだ自分はなりたくないなあ笑

にしても世界99と自分が重なると思う部分は少しある。
空子みたいに世界を分けるのに似たようなことを自分もやっていて、それが趣味や分野ごとにSNSのアカウントを分けていること。
このアカウントではこういう言葉遣いでつぶやこうとか。
ここではここからここまでを曝け出そうとか。

このアカウントは①のアカウントより落ち着いている人が多いから自分もリラックスした丸い性格で呟けるなぁとか。

どこか架空なんだけどちょっとリアルさも時に感じられた。

それから自分は犬を飼っているから、もしこの子の中身が死んだ人間だとしたら…なんで考えたらゾッとする。
その反面、その中身の人間が〇〇だったら…
家での行動をもしその人に全部見られてたら。
みたいな変な妄想をしたりして楽しんだ。

村田沙耶香の作品は、いい意味で頭の使ってない部分を使ってるような考え方をするからなんか、狂う。いい意味で。

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2026年05月25日

Posted by ブクログ

上巻が今回の物語の核となる部分なら、下巻はエピローグ的な感じだと思った。主人公が色んな世界を色んなキャラクターで行き来し、世の中の本質をガツガツ突くのが面白かったが、下巻は世界が統一された後の話なので、上巻に比べると少しワクワク感に欠けた。

下巻で男性に搾取され続けていた空子がピョコルンを前にして男性側の思考になるの、大分えぐい。ここの展開が見事で好き。明人ピョコルンの末路もいい。

私はピョコルンがいる世界も、記憶ワクチンで思考が共通になる世界も、とてもいいと思った(笑)。その方がみんな楽だし傷つかないしハッピー★
こんな風に思ってしまうぐらいには、私は今の世界に疲れているんだと思うヽ(^。^)ノツカレタ‼︎

ヨルゴス・ランティモスとかに映画化してほしい。

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2026年06月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

産まれてから死ぬまで、女性というだけで、性処理、家事、出産、育児、全てを押し付けられる。
愛玩動物だったピョコルンが、時を経て、家事や出産、性処理、育児、今まで女性に押し付けられていたことを全て担うようになった。
そして今度は、感情を捨て、同じ記憶を持ち、皆同じ表情で過ごすようになる。
それは、平和な世界。だって、皆同じ記憶で感情だから。争いもない。

でも、それって本当に幸せなのだろうか?
怒りや悲しみはないけど、喜びもない世界なのでは?

世の中は難しい。
皆が一人一人、自分の尊厳も他人の尊厳も守って生きていくことができなければ、一部の「賢い人」の思惑によって、いつかこのような世界が来てしまうのかもしれない。

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2026年06月18日

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村田沙耶香独特の言い回しが時にぎょっとし、時に笑え、性、子育ての問題今の女性たちが厄介に感じていることをピョコルンで見事に解決。それは本当に幸せで滋味あふれる社会と言えるのか!?

ピョコルンが登場するたび、頭の中でぴょこるんの画像を思い浮かべるが、私の思ってるピョコルンをここへ描いてみたい。みんなは果たしてどんなピョコルンを思い描いているのだろう。

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2026年06月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読む皮肉。だけど、下巻は皮肉度減ってて面白かった。最初ぴょこるん気持ち悪いって思ってたのにだんだん慣れていく自分がまさにリアルでゾッとした。

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2026年06月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ


人間不信になりそうな世界で、
久しぶりに本を読んで暗い気持ちになった。

誰も好きになれませんでした。 …笑

とにかく出てくる男性全員が無理でした。

だけど、
自分の中では言語化できてなかったことを言葉で表してくれて分かりやすく理解できる
そのような箇所がいくつもあって、とても興味深かったです!!
みんな生まれた時は最初は空っぽで、自分というものは無いのかもしれない、いやたぶんないんだな〜そこから周りの環境や人たちが1人の人間を形成していく、本書でいうトレース。うーん確かに!そうだなと思いました。
自分も色んな人たちをトレースしてきて自分があって、それを自分だと思い込んでいるのかなって。


「見ていてもらえますか」とは、「死なないように見張っててください」ということでもあり、~~~もしこの期待を裏切れば、お前は残酷な存在としえ裁かれるだろう。
→いや、それは全くこの言葉通りなんだけど、言葉にするとめちゃくちゃ重い!!!って思いました。


世界によって都度言動を変えたり差別をする空子たちには共感できませんでした…自分が空っぽならそれを貫いてなんでもいいよスタンスで貫けば良くない?それが空子なんだからと思ってしまったが、それすらも私はどこかでトレースされた考えなのだろうか…と。
空子を自分は空っぽだと思わせていた、それすらも周りの環境や人達だったのだろうか…。
空子という名前もピッタリすぎた。


いじめられてて大人になってからその人たちと仲良くとか無理すぎる!
正直レナがあっさり死んだのショックだった、いちばん好になれそうなキャラだったのに。

ラロロリン人が先導して世の中の人たちの人格を統一したり、クリーンにしたり、考えるのを放棄させて、人間が衰退してしまうのでは…??と思いました。


白藤さんが一番会いたかった人に会えると思うって誰のことだったんだろう??


ピョコルンが人間ていうのも…最後の方の「儀式」もなんだかすごく人体実験じみててグロかった。あのグロシーンは必要だったのかは謎。

なんで最後、儀式中に担当医は空子が家族がいると言っただけで、親だと分かったんだろう???分かるセリフとかなかったと思うけど…。






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2026年06月07日

Posted by ブクログ

直接的なグロテスクな表現はあまりないのに、こんなに食欲が減退する本は初めてです。

気持ち悪い、でもわかる、こんな世界ありえない、でもこれって現実も一緒じゃない?そんな気持ちの繰り返しで頭がおかしくなりそうでした。

でも村田沙耶香先生にしか書けないこの物語が、世界観が好きなんだなぁと改めて思ったりしました。

第4章を迎えた空子がどんなことを感じて、思って生きているのかもっと知りたいと思った。

コミュニティによって使い分けている部分があるという自覚はあったけど、これが私の世界への「媚び」なのかもしれないなぁ。

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2026年06月02日

Posted by ブクログ

感想としては、最初は違和感しかなかった空子に対して、「あっ、でもこんなこと自分もやってる!?」とドキッとして、違和感と共感(認めたくないけど!)を同時に感じた。
自分も空っぽでトレースして考えで生きているだけなのでは?などと考えてしまうくらい、この世界に入り込んでいた。だってこんなにも奇抜な世界を描いているはずなのに、ものすごく現実味と説得力が
あったから。
感動も不幸話も娯楽で、可愛い動物動画見たらキャッキャしなくてはいけなくて、不幸な話を聞いたら悲しいふりをしなくてはいけない?たしかに!

人間は過去の記憶や経験から行動が決まるプログラミングされたロボット化してるのか。

世の中は多数派の変化で変わっていくわけで、鼻の穴のホワイトニングもみんながする時代が到来する未来がくるかも!?

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2026年06月02日

Posted by ブクログ

村田さんワールド全開!といった感じ。現実離れした不思議な世界を前にして、はじめは首を傾げてページをめくるが、気づけばその世界の構造を理解してしまっている。それはきっと、村田さんが作り出すその不思議な世界は、現実世界の人々がもつ一面(しかもなるべく認識したくない、口にしたくない一面)を内包しているからなのかなと思う。

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2026年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おもしろかったのは間違いない。だけどこの作品に惹き込まれた理由はおもしろかったからじゃないんだよ。うまく言えないけど、社会に順応する人間の内部に蠢いているもの、その深淵に触れるような感覚というか……。結局は怖いってことなのかもしれないけど、そんな簡単な表現で収まるものじゃない気もするんだよなぁ。私はうまく言語化できないので、誰か代わりにうまいこと説明しといてください。

従来の価値観が崩壊し、新しい常識の中で生きていく人々。その中には当然、過去を捨てきれずに、自分の中の正しさを追い求め続ける者もいる。しかし、周囲に白い目で見られ、自身の幸福を投げ売ってまで、その信念を貫く意味はあるのかなと私自身も思ってしまう。そもそも正常、常識的であることというのは、結局は多数派の考えに合わせるということだと思うので、この考え方からすれば前述する人は異常者ということになる。社会という大きなコミュニティの中のマジョリティをそう簡単には崩せない。まぁそれが起こってしまったのが前巻の最後なわけだけども。簡単に崩すことはできないけど、崩れてしまえば変わるのは一瞬、ということだ。そういう人間の薄情さみたいなものを感じるのもこの本を読むのがしんどい部分の一つかもしれない。

また、この世界ではピョコルンなる生物が家事や育児、性欲処理、なんと出産までも担当する便利な存在として君臨している。実際はそこまで完璧にすべてをこなせるわけでもなく、所有者はその尻拭いをさせられ疲弊しているのだけど、そんな便利なものを持っているあなたたちは楽をしている!ズルい!と陰で言われてたり。
不憫だなと思いつつも、物が違うだけで今の状況とさほど違いはないなとも感じる。世の中どんどん楽になってはいるけど、人間の介在まったくなしでできることはそんなにない。結局は誰かその作業を担う人がいるわけで、そういう人たちの存在を軽視してますよね?と言われているようでグサグサ刺さりました。
普段目に見えないところを勝手に想像して自分たちに都合のいいように解釈する人間の悪いとこ出てるわー。私もその人間の一人だわー。もう人間でいるの嫌だわー。

ということで、あんな結末になるのもわからないでもないんだよ。そう考えるとこの物語はハッピーエンドと言えなくもないのかもしれない。悍ましいけど。

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2026年05月27日

Posted by ブクログ

差別・利用の矛先の循環、感情の循環、色々考えさせられる話だった。上巻よりずっと問題提起感が強いように感じた。恐らくこの物語のことを理解しきれていないので、曖昧な感想しか出てこない。もう一度読み返したい。

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2026年05月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻では、高級愛玩動物であるピョコルンが、実は差別対象であったラロロリン人をリサイクルした存在だったことが明かされる。これにより、それまでの常識が覆り、差別されていた側が一転して価値のある存在になる。“正しさ”や“常識”は時代や状況によって変化する脆いものだと感じた。

また、『感動は娯楽であり、かわいそうな人はみんなの娯楽』という描写が心に残った。私は女性であることで嫌な思いをした経験があり、自分を被害者側だと思っていた。しかし同時に、自分より弱い立場の人を無意識に探し、同情することで安心感を得ていた部分もあったのではないかと気づかされ、自分の中にある差別意識や醜さにゾッとした。感動することと見下すことは、本質的には表裏一体の様に描かれていたことも印象的だった。

作中で“クリーンな人”という分類が生まれて以降、人々の思考停止が加速していく。確かに、何も考えずに正しさへ従うことは楽である。炎上や他者からの批判を恐れ自分の本当の意見を伝えず包み隠して相手や世間に合わせることで自分を守っているのかもしれないがどんどん自我が薄れていく…この感覚は自分も経験があったので共感しながら読み進めた。

クリーンな人、かわいそうな人、恵まれた人――誰が正しいのか最後までわからなかった。そして、登場人物たちが誰一人として楽しそうに生きているように見えなかったことも印象的だった。その閉塞感が、登場人物達の“死にたい”という感情につながっているように感じた。

ラストではワクチン接種が進み、人々が同じ価値観を共有する“クリーンな世界”が完成していく。その世界では皆が穏やかに微笑んでいるが、私には非常に不気味に映った。自我が薄れ、同じ思考を持つことが善とされる世界は、まるでクローン社会のようだった。また、現代社会もAIが普及することで、人間も“効率的で正しい答え”を求めるようになり、多様な価値観よりも均一性が重視されやすくなってきているのではないかと感じる。本作はAIと人間が共存する未来への皮肉にも見え、強い薄気味悪さを感じた。

そして自分のこととして考えたことは、私は空子と同じように世界をトレースして、クリーンな人として今を生きている。けれども、自分の本当の意見を押し殺し、正解と予想されることばかりを話すことで、自分は概念的には、死んでいたのかもしれない。もっと自分の意見を伝えたい。自分の意見を上手に伝えられるようになりたい。この本を読んでそう思わずにはいられなかった。

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2026年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

誰かをトレースして、キャラクターになる
この場面では、この感情、このセリフを言えばいいんだ
いつもその世界の正解を探して、振る舞う
その感覚を知っている

世界に媚びている感覚を私も持ったことがある
媚びている人だと思ったこともある
誰かに役割を押し付けたことも、押し付けられたこともある
これは、突拍子もない話ではなく、
この世界の成れの果てだと思った

平均的な記憶をみんなが持つのだから
平和なはずなのに、息苦しい

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2026年04月27日

Posted by ブクログ

49歳になった空子はピョコルンになることを選択し公開手術を受ける。世界から個性も感情もなくなり、性愛が求められなくなる。なんとも理解し難い展開の連続(これが村田さんらしいところ)であったが、この本を通して村田さんには生きるとはどういうことなのかを問われたような気がする。

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2026年06月05日

Posted by ブクログ

思い通りに世界を創造する。そして、安らかに生きる。謎生物になる為に手術することになった。友情婚、記憶の統一化といった言葉が登場するのも特徴的だ。
今作は著者の集大成的なものと言えるだろう。

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2026年06月03日

Posted by ブクログ

上巻はどんどん読み進めて、しんどい・苦しいところもありつつ話の内容は掴めた。
ピョコルンとか、ラロロリン人とかSF要素はありつつ現代社会への問題提起にもなっていた?かと思えた。

そのまま下巻でどうなるかと思いながら読んだ。
読み終わりました。
正直分からない!天才すぎて分からない!

空子がピョコルンになったけど…
村田沙耶香さんは何を1番に伝えたかったんやろ…

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2026年05月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「世界99上」に比べて話がだいぶ難しくなったように感じます。
リセット後の世界が統一されてきて、それが汚い感情のないクリーンな世界。そこには感情も表情も感動もない、かわいそうな人もいない。そんな素敵な世の中で記憶を操作してロボットのように生活する⋯なるほど、面白い結末になったなと思いました。
ピョコルンが最初から最後まで大活躍で、ここまで重要な鍵を握っているとは上の時点では予想していなかったです。
また、村田さんの女性の性に対する考えや出産や育児に対する想いが所々の言葉(搾取など)で溢れていて、やっぱり女性ならではの思考だなと共感しました。特に「母ルン」という言葉は私の中で大ヒットです!思わず笑ってしまいました。私も母ルンですし、世の中のがんばっているママたちを見る度に「がんばれ、母ルン!!」と応援したくなります。
泣いて笑って怒って、一生懸命空気読んで、場面場面でキャラ変えて、1人の時にホッと一息ついて、各々の寿命まで人生の楽しみを見つけていきましょう!

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2026年05月30日

Posted by ブクログ

苦手な要素を次々突きつけられ、頭がパンクしそうだった。

人は“都合のいい物語”を作って生きている。忘却も改竄も、他人事じゃない。

もう二度と読みたくないような、
でももう一度読みたいような作品。

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2026年05月29日

Posted by ブクログ

上まではめっちゃおもしろかったのですが、
下でちょっと飽き始め、
下の後半からはもう、もう村田沙耶香いいかも!!!!って気持ちになってしまった

村田沙耶香さんは本当に人間の不気味さを描くのがうますぎる。そして、言葉にならないモヤモヤっとした気持ちや感覚を言語化するのがめちゃくちゃ上手すぎる!!!これ以上の表現はないだろってくらいそれがうまい。ただ、不気味が続きすぎて何が何だかわからなくなってきて、えっえっえって感じで終わって、結局得られたものは人間って何者も不気味だよねってことだった笑

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2026年05月25日

Posted by ブクログ

下巻、共感できることがほとんどなくて読んでて辛かった。

家事、性欲、出産、育児、介護…これらは人間の時間を蝕むのかもしれない。だけど、一筋縄で行かない面倒くささこそが、生きる意味なのではないのかなと思った。
それを雑務だとして、ピョコルンに任せられる社会は、果たして本当に幸福なのだろうか。本書の世界で人間が生きる意味、幸せとはなんだろう。

世界は一部の優秀な人たちのおかげで、よりよい社会が作られる。それなのに、可哀想な人たちは、感謝もせず不満ばかり言う。これはたしかにそういう面もあるなと思った。

いまの私には難しい作品だった。

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2026年06月01日

Posted by ブクログ

下巻は上巻より、重みも気味の悪さが増して読み進めるのがしんどかった。(特にピョコルンがトラウマになりそう。。)

「私たちはみんな人間ロボットで、自動的にできたペルソナに支配されているだけの空洞」と表現される通り、一部の人を除いては、前半と後半で社会における立ち位置も人間関係も発する言葉もすべてが変わる。

絶対おかしい世界なのに、大衆は考えることを放棄する(放棄させられる)ことでなんだかんだでうまく適応し、自分の意思を強く持つ一部の人たちは狂っていく。世界の基準は定期的にリセットされ、リセット前と後では180℃変わるが、表面的には何事もなかったかのように人々の生活は続いていく。

著書はこの世界をこんな感じで捉えてるのだろうかと思うと、とてつもなく大きいダメージを負う。村田作品はもう当分読みたくないけど、でも次作が出たら多分読むのだろうなと思う。

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2026年05月24日

Posted by ブクログ

気持ち悪い小説。
村田沙耶香さん節炸裂。よっぽど男の人に嫌悪感あるんかな。あんなひどい人しか出会ってこなかったんかなって心配になるレベル。
これを上下読んだら、ちょっとご飯食べられない。
何が気持ち悪いんだろう。普通の人に見える、普通に見えるように努力してる人が一番ヤバいから?
だとすると、私もそうなんかな???ってそんなとこあるんかなって、怖くなる。
私の世界も数えたら7個くらいはあった。

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2026年06月21日

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