【感想・ネタバレ】世界99 下のレビュー

あらすじ

小説というものの輪郭が、いわば地球を覗く窓の形が、本書によりまた大きく更新されました。
それはつまり、この本の中で初めて寛げる人がいるということです。
救済と爆弾は同じ姿で在れるのだと気付かされました。
朝井リョウさん(作家)

本当は貴方もわかっていたんだろう? と迫る声が脳内に鳴り響く。
熱に浮かされるようにページを捲る手が止まらない。
これは本型ワクチン。
世界99に誘われ、もう元いた場所へは戻れない。
宇垣美里さん(フリーアナウンサー・俳優)

足元の地面がふいになくなり、
正常と異常の境目が消え失せ、目眩がする。
人間という生き物の滑稽さ、グロテスクさ、美しさ、不思議さが、
この本の中にすべて詰まっている。
岸本佐知子さん(翻訳家)

空子がこの世界で体に蓄積する小さな暴力の音とか、風とか、どれも僕の心に刻まれていきました。
物語で一緒に過ごせた時間は、僕の宝です。
ロバート キャンベルさん(日本文学研究者)


私たち、ピョコルンに、全部捨てられるようになりましたよね。
性欲を。出産を。育児を。介護を。人生の時間を食いつぶす、あらゆる雑務を。

14年前、「リセット」を経験した人類は混乱の最中にあった。
しかしラロロリン人の考えた「人間リサイクルシステム」がうまく機能し、やがて社会は再生を迎える。
そして49歳になった空子は「クリーンな人」として、美しく優しい世界を生きている。生まれ育った街「クリーン・タウン」の実家に戻り、同級生の白藤遥とその娘・波とともに。
ようやく訪れた穏やかな社会の中心には、さらなる変貌を遂げたピョコルンがいた。

村田沙耶香渾身の大長編、ここに完結。
都合の良い「道具」・ピョコルンを生み出した果てに、人類が到った極地とは――。

【著者略歴】
村田沙耶香 (むらた・さやか)
1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年「コンビニ人間」で芥川賞受賞。著書に『マウス』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』『生命式』『変半身』『丸の内魔法少女ミラクリーナ』『信仰』などがある。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻の内容うっすらとしか覚えてない、、、
”世界99”(ピョコルンの中身が公表されて)以降の話
結局立場が視点が変われば忌み嫌っていたり蔑んでいた連中と同じように感じるし行動するどうしようもないのはやはり人間の意志?
最終的に人類の記憶を共有してカウンセリングで整える(均一化する)という伊藤計劃氏の”ハーモニープログラム”的な着地点
似たような着地点でも世界99は”有機的”でハーモニーは”無機的”なイメージ
ピョコルンにだけはなりたくない、、、

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2026年03月17日

Posted by ブクログ

清潔でクリーンな社会に/言葉によって削られるもの。スポットライトが当たるその場所の周縁にあるもの。それはノイズであり不細工な感情であり無意味な思考であり、何より個人的なもの。クリーンの先にある究極は、「人間なんかいらない」だ。

物語化することで人は都合よく事実を捻じ曲げ記憶を改竄する。安心して気持ち良くなってしまうそのあり様はポルノ的で、そういうコミュニケーションをサービスかのように提供するのは果たして誰か。権力は相対的で流動的。わたしたちは誰も無関係ではいられない。男性と女性、人間とペット、人種、資産、思想。
入れ子構造。マトリョーシカ。搾取と感動と暴力の連鎖の中で私たちは生きているということ。

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2026年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

男女差別論に一石を投じる。
男性に搾取されてる女性も搾取する存在がいたらそれをするだろ?
男性は暴力的に描かれてるけど、単なるフェミニズム小説ではない。むしろ女性を批判しているといってもいい内容なのではないか。
被害者だからといって、本当に加害者になってないのかを問いかけている
きれいな感情がいいとされているけどそれが本当に良いことなのか?嫌なことから目を背けているだけではないのか?
きれいな感情しか持たない人たちしかいない世界になったら?
怒りのない世界は恐ろしい
正しさを貫き続けることは本当に正しいことなのか。
その人を作っているのは環境、人間関係であって、変わりうる
世界の嫌な部分を凝縮させた作品

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2026年03月06日

Posted by ブクログ

ピョコルン=言われたことしか出来ない、やらない
ラロロリン人=命令する側の人、又は政治家
ととらえました。
どちら側になっても苦しい、そこに救いがあるのかな。

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2026年03月26日

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上巻とは違って、主にピョコルンというこの世界に存在する生き物に焦点をあてて話が進む。
ピョコルン…一体どういう生物なのか想像するしかないけど、それを「人間」と扱うのか「家畜」と扱うのか。
SF色がやや強くなるけど、村田ワールドは健在。
ラストの空子の選択。周りの人物の反応。
自分は「クリーンな人」に近いかも。感情の起伏はなるべく平坦でありたいと思ってしまう。

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2026年03月24日

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ネタバレ

友達と「家事してくれるアンドロイド欲しいね」という話をしたことがある。
部屋に散らばる洗濯物を回収するところからやってほしい、もちろんご飯も作ってほしい、と私たちは願望を口から吐き出していた。
男性型のアンドロイドだとどうしてもセクサロイド感が出てしまいそうだからという理由で、「やっぱり女性型のアンドロイドがいいね」という話になった。
でも私は、「ヒト型のアンドロイドは奴隷みがあって嫌だ」と思い直した。もっと、猫とか犬とかデフォルメされた動物的なものの方がいいと思った。セクサロイド感も奴隷みもないファンシーなもの。いいと思った。名案だと。

しかしこの小説に出てくるピョコルンは人間の形をしていないのに、動物的なフォルムなのに性的に消費されていく。

怖かった。人間がすごく怖かった。
ピョコルンのAVが撮られていることも、その需要があることも。
確かにこの世には獣姦というものが存在する。エロ漫画とかだとゴブリンに犯されて〜みたいなものもあるだろう。その種類の性癖なのだろうか。
でもピョコルンとのセックスは「一部の性癖」的な扱いではなくなっていく。
当たり前になっていく。ピョコルンはすごいスピードで消費されていく。性欲も、出産も、育児も、介護も。愛玩動物としても。

女の苦しさみたいなのを上巻でどんどん出していって、下巻で女の気持ち悪さにスポットを当てるのがおもしろかった。
私たちは確実に苦しいものを背負っている。
「女の子は男の子をサポートしてあげなくちゃ」とか「女の子はしっかりしてるんだからバカな男を許してあげなくちゃ」と言われながら、同時に「女のくせに生意気だ」「女はでしゃばるな」とか「バカな女の方がモテるよ」とか、いろいろ、いろいろ勝手に言われる。
私たちはそんな風に「教えて」もらっていて、役を「与えられて」いて、それに呼応してこなければならなかった。それに呼応しないとコテンパンにされて、「これだから女は」とやれやれ顔をされた。勝手に評価されて、勝手に消費された。
けれど女だって汚い面はある。
主人公がピョコルンのAVを観ながら自慰をしてピョコルンを罵倒するシーンは特に唸るものがあった。
環境や立場によって変化する、呼応する、増える性格。
そして自分がピョコルンを養うようになると、また汚い気持ちがぞわぞわと湧く。
人間はいろいろなペルソナがある。

しんどいけどおもしろい小説だった!
そこまで気持ち悪さを感じなかったのは村田沙耶香作品を何冊か読んでいたからかも。
私は彼女の書く文章が好きだ。世界が好きだ。癒される。心地よい。

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2026年03月29日

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ネタバレ

読み切った。最後の空子の感覚がわからなかった。ずっと「使われる側」になることを恐れていたはずなのに、音と出会ってからオリジナルでいられることへ気持ちが傾き、最終的にはクリーンな世の中に貢献する側(最大の使われる側)に堕ちていく。本当に少しずつ、少しずつ、その変化が描かれて、初期の空子のイメージを拭えずにいると、理解が遅れる。どうしてなんだろう。どうして、そちら側を選んだんだろう。読解力が足りないな。

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2026年03月17日

Posted by ブクログ

上巻の最後に行われた「リセット」後、ピョコルンはいなくなるのかと思ったら意外にも健在だった。ラロロリン人がピョコルンとして搾取されることを引き受けたから。世界は3つの階層に分かれ、それぞれの世界で感情は均質化されている。上巻で被害者だった空子は、下巻では搾取する側にいる。
さらに下巻では空子の次の世代である、波や琴花たち(生まれた時からピョコルンが搾取対象としている世代)が描かれる。どういった経緯でピョコルンが家事労働や性的処理を引き受けることになったのか知らないので、いまだに母親がその役割を引き受けている低所得層の家庭を見て、うちにも「母ルン」がいればいいのに。ピョコルンがかわいそうとのたまうのだ。これを読んだ現役の「母ルン」たちはどう思うのか。ギョッとするし、なんかグサッとくる。
最後は「記憶のワクチン」によって、人々の記憶が共有され均質化された未来が描かれる。ユートピアのようなディストピア。
白藤さんだけは白藤さんのままのようで、なんだかほっとした。「かわいそうな人」としてカタルシスを得るための娯楽にされてしまったのかも知れないけど。

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2026年03月17日

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上巻のラストが、ここで終わっても良いくらいの圧巻のテンションだったこともあり、下巻は淡々と進む。人生のサンプルを集めている音。そこから物語が動き出す。
テーマが多岐に渡り、1人の娘の父親、1人の男性、1人の人として考えさせられ、自分を振り返ることになった。

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2026年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

SFディストピア小説のような、2020年代の現実社会を風刺した小説。ピョコルンという人間にとって面倒で残酷な穢れを押し付けることができる存在を手にしたらという衝撃の思考実験だった。

本作が描くのは、SNSのアカウントごとにタイムライン(世界観)を切り替え、コミュニティごとに正解の振る舞いを「トレース」して生きる私たちの姿そのものだ。我々はすでに、世界①、世界②と無数の世界を所有し、その場にふさわしい人格をアルゴリズム的に最適化して演じている。そして、その無数の「世界」を俯瞰し、画面を切り替えるように自分を操作している一つ上のレイヤーこそが、現実=「世界99」なのだという指摘に、スマホをのぞいてタイムラインを増加している自分の姿が重なり、ゾッとした。

下巻では、ピョコルンという装置によって性欲、家事、出産、果ては「汚い感情」すらも外部化し、人類はさらなるクリーンな世界へと突き進む。一見、おぞましい思考実験に思えるが、現実的とこの点以外何が違うのだろうと思った。

幸せの形は広告やSNSのバズに規定され、美醜の価値観は骨格診断やパーソナルカラー、画一的なアイドル像に収斂していく。正解の行動はYouTubeのコスパ論に集約され、性格はMBTIなどの診断によって規定される。そして、そこから外れた「正しくない行動」は炎上という形で可視化され、排除される。

ピョコルンが実在しないだけで、私たちはすでに自ら進んで「個」を手放し、何らかのアルゴリズムに自分を最適化させて生きているのではないか。
この本を閉じた後、自分がどの世界のアカウントで、どんな役割を演じているのか。そして、世界99にいる「本当の自分」などというものは、果たして存在するのか。個人としての自分の、自己同一性、アイデンティティが破壊されるような恐ろしい体験だった。

「人間」という概念の終わりを見せつけられるような、逆に「人間らしさ」や「人間の本質」が浮き彫りになるような、そんな小説でした。

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2026年03月17日

Posted by ブクログ

上巻では愛玩動物、なのか? と思っていたピョコルン。
私もかつてピョコルンであり、いつでもまたピョコルンになり得るし、誰かをピョコルンにしていることにぞっとする下巻でした。

「嘘つきじゃない私たちなんて存在するのだろうか?」強烈。

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2026年03月15日

Posted by ブクログ

上巻が今回の物語の核となる部分なら、下巻はエピローグ的な感じだと思った。主人公が色んな世界を色んなキャラクターで行き来し、世の中の本質をガツガツ突くのが面白かったが、下巻は世界が統一された後の話なので、上巻に比べると少しワクワク感に欠けた。

下巻で男性に搾取され続けていた空子がピョコルンを前にして男性側の思考になるの、大分えぐい。ここの展開が見事。明人ピョコルンの末路もいい。

私はピョコルンがいる世界も、記憶ワクチンで思考が共通になる世界も、とてもいいと思った(笑)。その方がみんな楽だし傷つかないしハッピー★
こんな風に思ってしまうぐらいには、私は今の世界に疲れているんだと思うヽ(^。^)ノツカレタ‼︎

ヨルゴス・ランティモスとかに映画化してほしい。

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2026年03月11日

Posted by ブクログ

この物語がディストピア作品とよばれているが、ピョコルンかAIだったらと考えると100年後200年後そうならないとは言えないのではないかと思った。

その時代になってしまったら今の私からすると人間なんて居なくなってもいいのではないか?
いる意味がわからないなーと思ってしまった。

差別だったり、嫌なことを何かに任せてしまったり、自分自身の醜さとも向き合わされ、考えさせられる重い1冊だった。
読後は何とも言えない気分だけど読んで良かったと思う。

次はライトな本を読むぞ。

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2026年03月06日

Posted by ブクログ

まさかの展開に村田ワールドに楽しませて頂きました。ピョコルンの地位が確立したことで変化した世界。現世で恵まれていたのだから奉仕し続ける事が当たり前と捉える人々。その後、ピョコルンを使い続ける。クリーンな人が増えたと言いながらクリーンってなに?みんなで同じ思想に向かうことって怖い。とにかく村田作品は色々な面で考えさられて私は好きです。

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2026年03月07日

Posted by ブクログ

 読み(聞き)終わって、登場人物たちをひとりひとり思い浮かべてみる。誰の言い分も少しずつわかるし、誰の言動も、多少なりともそういうところ自分にもある、と思う。加害と被害、上と下、そういうものは遍在しているし、どちらにもなりうる。
 そう考えてみて、なかでもいちばんわかりみ(この言葉初めて使ったかも)が“低い”のは誰かなあと思いを巡らすと、おとちゃんかな?と思う。主人公のソラコとおとちゃんは、世界99的であるという意味では同じところにいるけど、なにかしら決定的な違いがあるということだろうか。この小説で語られたソラコから見える世界の中では、おとちゃんは終盤で物語を動かす側になっていくから、おとちゃんの背後の世界はよく見えないからかもしれない。

・はじめの方で語られるソラコの感じ方は、太宰治の人間失格みたいだなと思った。
・呼応してトレースするという応答の仕方は、chatGPTのようなLLMの対話AIぽい。プロ友だちね。
・人間も、入力があって処理があって出力があるという意味ではコンピューターだって誰かが言っていたし(本書の話ではない)、私もそれを否定できないと思うので、みんな無意識で鈍感なだけで人間ロボットじゃんね、っていう感覚はわかる。ソラコがたまに漏らす「下手だな」ににやっとする。
・「女が、道具が、意思を持ったら面倒」であり、かつ「養われるものが勝ち」という価値観。上に立つものが実は支配されているという視点。本当にうまい汁をすすってる人って、どこで何してる人なんだろう。

※Audibleで聞いたので名前の表記がわからない&確認していない。

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2026年03月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

わくわくしながら読めた上巻と違って、下巻は読むのがかなりしんどかった
早く読み終わってみんなの感想を見たいと思いながら読んでいた。
白藤さんが、母が、主人公が、救われて欲しいと思った

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2026年03月25日

Posted by ブクログ

上巻より抵抗感が薄れてきた感じがしたので⭐️3にした。ピョコルンが子供を産んだり、家事をしたりするのが当たり前。女性は子宮を取ったり、黒目だけにしたり鼻の穴を白くしたりする。友情婚により、同姓2人+子ども+ピョコルンの形が最も理想な世界。女子中学生同士の子どもをピョコルンが産むシーンや、空子がピョコルンになるシーンがグロテスクだった。
〈登場人物〉
空子・白藤さん・波ちゃん・ピョール・音ちゃん・匠くん・琴花ちゃん・アミちゃん・睦月さん・京介さん・奏さん・雨

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2026年03月22日

Posted by ブクログ

本書のキーとなるピョコリンという空想生物が上巻では性的処理と出産と作者の考える女性の忌避する行為を代行するペット?だったものが、下巻では更に進化して家事、育児、と代行可能範囲を広げる一方、能力の格差、美醜の格差と評価(価格など)が広がる世界が描かれる。
その一方で主人公の母親が虐げられてきた奉仕と犠牲の世界は縮小されている。
上巻で若かった主人公が環境や人間関係で変化(順応?)するキャラ(反面空虚な傍観者)の立場から傍観者としていた見ていた(と本人は意識している)大人の年齢(49~50歳)となりながらも空虚な心理状態は不変なまま、ピョコルンになる儀式に導かれる恐怖が描かれる。
ただピョコルンになっても主人公の意識が存続しているのはどうも矛盾しているような気もする。
本書の読書後の感想で印象的なのは世界の階層の単純化(空想小説だから仕方ないかもしれない)を背景にした、女性性の鬱憤であり妊娠、出産、性欲処理、家事からの恨みつらみでどうにも救われない感が強い。
これでは主人公のように人生を諦め死を選択ないし空虚(宗教的な達観?)するしかなくなるかもしれないなと思わなくもない。
ただどうにも作者の世界観が独特なことは認めつつも偏狭でマスターベーションのような印象も強かった。

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2026年03月21日

Posted by ブクログ

下巻は上巻より、重みも気味の悪さが増して読み進めるのがしんどかった。(特にピョコルンがトラウマになりそう。。)

「私たちはみんな人間ロボットで、自動的にできたペルソナに支配されているだけの空洞」とは表現される通り、一部の人を除いては、前半と後半で社会における立ち位置も人間関係も発する言葉もすべてが変わる。

絶対おかしい世界なのに、大衆は考えることを放棄する(放棄させられる)ことでなんだかんだでうまく適応し、自分の意思を強く持つ一部の人たちは狂っていく。世界の基準は定期的にリセットされ、リセット前と後では180℃変わるが、表面的には何事もなかったかのように人々の生活は続いていく。

著書はこの世界をこんな感じで捉えてるのだろうかと思うと、とてつもなく大きいダメージを負う。村田作品はもう当分読みたくないけど、でも次作が出たら多分読むのだろうなと思う。

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2026年03月21日

Posted by ブクログ

この本に生きる人にとってはハッピーエンドなんでしょう。

読み終えた自分にはバッドでもハッピーでもなく、疲れた。頭の体操?つまらない訳じゃないから、自分にしては一気に読み終えたのだけれども。自分が物語の世界に浸食されていく感覚を覚えて、少し慄いた。

これも一種の終末論的な物語。何となくエヴァの人類補完計画みたいな香りもする。

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2026年03月20日

Posted by ブクログ

鬱of鬱。三宅香帆さんが「現代の若者を風刺している」って言ってたから読んでみて、まあそれはあってるんだけど、内容はひたすら絶望アンド失望。上下合わせて600ページ?くらいにわたって絶望なので、鬱ゲー(ブレスオブファイアとか?知らんけど)が好きな人にはめっちゃ刺さるかも。
とにかく僕は後半は早く読み終えたくてサッと読み流してた

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2026年03月19日

Posted by ブクログ

ここ数日狂わされた。。笑
コミュニティによって世界が分裂していくのはわかるなあと思った。個人から分人へ、的。
主体性のない主人公、自分で自分を養っていくのか、家畜となるのか、
家畜となってくれるピョコルン。。
均一な記憶のワクチン。。。

全員が苦しい世の中。誰かを憎みたくてラロロリン人を迫害?
分がこの世界の男だったらパパみたいにちゃんと搾取するだろうし、女だったら上手く立場見つけてサバイブするかな。
世界が変わってもマジョリティに紛れて記憶を改竄するだろうな。

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2026年03月18日

Posted by ブクログ

ピョコルン。わたしは白いアルパカみたいなのを想像してるけどあってるのかな???
全部で4章で構成されてるとこ…、
あ、ここからが4章目なんだ…ってなりました。
最終章なのに、序章みたいな、新しい生き方が始まったところで終わったなあ。

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2026年03月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻のほうが評価が良いのは知ってて、
なーんかそれなら下巻読まなくてもいいかも?と思ったりもした。
けど見届けた。
けど下巻どうだった?と言われるとあんま覚えてない。
上巻の「ピョコルンの中におじさんの頭入ってた」が衝撃すぎて、もうそれは超えない。

白藤さんが自分の思想と現実のギャップに悩まされて、太った。そして赤ちゃん返り(?)してキサちゃん、とか呼んできたりする。もうちょっと大人の人だと思った。
ていうかそう、下巻では40代、50代とか描かれてるけど、みーーーんな話し方が変わらなくてほんとに成長してるのか?と思った。時が止まってる。
特に音ちゃん。空子さん変わらないですねー、実際そうですねー、みたいな、あの必殺語尾伸ばし。
50歳の大人がその話し方するの想像できない、、

あとは波ちゃんが怒りとか憎しみを知らないから、怒る時に「ガァァァァ」ってカラスになっちゃうところ、怖かった。
怒りとかって湧いてくるものじゃなくて、周りの人たち(波ちゃんの場合はカラス)に形成されるものなの?!と。新しい考え。

ピョコルンは結局1000万払っても所詮容姿に見合った価格な訳で、高価だから家事ができる、育児ができる、ってわけじゃあないんだな。選ぶの難しっ。

最初、この本の表紙がなんだか宗教チックな割に、内容は「周りの人をトレースして生きてく主人公」ってパンチ弱いなあなんて感じちゃったけど、そんなん序の口の序の口すぎて。
ピョコルン、リサイクル、ラロロリン人、ウエガイコク、、、すごい世界に引き摺り込まれた。こりゃ表紙も意味不明で納得。

すごい読書体験をありがとうございました。

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2026年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まっっっっじで気持ち悪かった。
最後は気持ち悪すぎて目を細めながら読んだけど、圧倒的に強烈な読書体験をした。虚無。読後、しばらく何も出てこない。
じんわり浮かんだ、はちゃめちゃにディストピア小説だな……という感想と一緒に、そういえば1984年を読んだ後もこんな読後感だったな、と。。
人間が均質化することで利を得る人がいたとして、均質化することで楽になる人がいたとして、果たして損得勘定したときにそれぞれにそれで本当によかったとなるんだろうか。。。ぞっとする世界なのにどこか現実と地続きな世界観なのがまたぞっとさせられる。

正直冒頭は、上巻から時代が飛びすぎて理解できなかった、というか置いてかれた気分になりながら読んだ。小早川さんと離れた直後の空子に何が起こったか、明人とどう別れたか、みたいな部分は直接的には触れられていなくて、40代の空子の様子から想像するしかない。ピョコルンという謎の生物の気味悪さは上巻より身近に、即物的になっていて。
だけど、例えば現代で「こんな姿形が最先端の美」として、気味の悪い何かを流行として、文化として放出したなら、徐々に侵食されて、さもそれが当たり前、みたいに誘導されてしまうんだろうな。。。と思うと、やっぱ本気で顔を顰めるくらいには気持ち悪い!!!!

上巻が「若さ」や「女」という現代人の共感しやすいテーマを扱っているのだとしたら、下巻は未知の、だけどこの先ありえなくないような、えげつない差別を描いていると思った。

それにしても、人間をリサイクルする、何もかも均質化する、といった倫理観ぶっとんだ設定も、村田先生の社会への違和感が呼び起こしたものかもしれないと思うと、住み良く管理されきった生活に浸りすぎるのは危険なのかもしれないよね……

好きじゃない!と思うのに、定期的に手を伸ばしてしまうのは、私にとってもやはり「かわいそう」とか「気持ち悪い」は娯楽なんだろうな。

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2026年03月15日

Posted by ブクログ

そうなりたくない像を内面化している自分から逃げ、誰かを下に見ることで自分を正当化する。多かれ少なかれ表情を使い分けて生き延びる現代人を過剰なメタファーで描ききった感じ。クリーンさで誤魔化し続け自己を自覚できなくなる未来は他人事ではない。

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2026年03月15日

Posted by ブクログ


なんと言っていいか正直わからなくなる。
正しいことってなんだっけ???
でも こんな世の中がくるかもしれないなぁ...
と思ってしまった。

ピョコルンが蔓延る
クリーンな感情の人しかいない世界。

いまの世界とどっちが幸せなんだろう?

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2026年03月13日

Posted by ブクログ

社会環境、親族、知人の言葉から知らず知らずのうちに、影響を受けてその場に適したペルソナを確立していくことが得意な主人公。全く異なるペルソナが、目の前の出来事について多角的に受け取るシーンが最後まで続きます。私自身の日常の思考についても唯一でないと思い直すと同時に、自身もまた他者もお互いに影響を与えながら出来上がっているのだなぁ、と思いました。

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2026年03月11日

Posted by ブクログ

電子書籍でちまちま読み進めていった。
上巻は割とスルスル読めた気がするけれど
下巻は中弛みしてしまい、この物語をどう締めくくるのかだけ気になって、少し10%ほど読み飛ばし気味になった。

中身の無い空子のことを全く理解できない人物だとは思えなかった。むしろ相手や環境やコンディションによって自分持っている面を変えている感覚は私にもあるし、
しんめいP著作『自分とか、ないから』にもあるように
自己の確立っていっても、そもそもはこれまで出会った人や環境から刷り込まれたものでできているのだと考えている。
MBTIなどの自己分析系の診断テストも「時と場合によらん?」と思ってしまって出来なくて、そんな自分はブレブレで良くないのでは…と思ったこともあったけど、朝井リョウさんが全く同じことを何かで喋っていて何故か泣きそうになるくらい共感しすぎたりして。

話が逸れた…

この作品は非現実的なディストピア小説とはいえ今の現実世界を誇張したような世界観だったように思う。
男尊女卑の世界観とか、女性に求められている世間の厳しい目とか、多様性云々とか、村田沙耶香さんの怒りにも似た主張が伝わってくる気がした。

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2026年03月06日

Posted by ブクログ

ピョコルン、母ルン、ウエガイコク、シタガイコク、恵まれた人、クリーンな人、かわいそうな人、存在しない人
見事なディストピアの描写。そして、それは現実の世界の持つ側面。

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2026年03月06日

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