あらすじ
小説というものの輪郭が、いわば地球を覗く窓の形が、本書によりまた大きく更新されました。
それはつまり、この本の中で初めて寛げる人がいるということです。
救済と爆弾は同じ姿で在れるのだと気付かされました。
朝井リョウさん(作家)
本当は貴方もわかっていたんだろう? と迫る声が脳内に鳴り響く。
熱に浮かされるようにページを捲る手が止まらない。
これは本型ワクチン。
世界99に誘われ、もう元いた場所へは戻れない。
宇垣美里さん(フリーアナウンサー・俳優)
足元の地面がふいになくなり、
正常と異常の境目が消え失せ、目眩がする。
人間という生き物の滑稽さ、グロテスクさ、美しさ、不思議さが、
この本の中にすべて詰まっている。
岸本佐知子さん(翻訳家)
空子がこの世界で体に蓄積する小さな暴力の音とか、風とか、どれも僕の心に刻まれていきました。
物語で一緒に過ごせた時間は、僕の宝です。
ロバート キャンベルさん(日本文学研究者)
この世はすべて、世界に媚びるための祭り。
性格のない人間・如月空子。
彼女の特技は、〈呼応〉と〈トレース〉を駆使し、コミュニティごとにふさわしい人格を作りあげること。「安全」と「楽ちん」だけを指標にキャラクターを使い分け、日々を生き延びてきた。
空子の生きる世界には、ピョコルンがいる。
ふわふわの白い毛、つぶらな黒い目、甘い鳴き声、どこをとってもかわいい生き物。
当初はペットに過ぎない存在だったが、やがて技術が進み、ピョコルンがとある能力を備えたことで、世の中は様相を変え始める。
3年以上にわたる著者初の長期連載がついに書籍化。
村田沙耶香の現時点の全てが詰め込まれた、全世界待望のディストピア大長編!
【著者略歴】
村田沙耶香 (むらた・さやか)
1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年「コンビニ人間」で芥川賞受賞。著書に『マウス』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』『生命式』『変半身』『丸の内魔法少女ミラクリーナ』『信仰』などがある。
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Posted by ブクログ
ディストピア作品だと思って読み始めましたが、単なる架空の世界ではなく、私たちの現実の延長線上にある物語なのだと強く感じました。
設定自体は非常に大胆で、現代のモラルからするとインモラルに思える出来事も数多く描かれています。しかし、それらが淡々と書かれる事でかえって不気味すぎるほど現実味を帯び、これは決して他人事ではないと思わされる瞬間が何度何度もありました。少し怖くなるくらい。
主人公・如月空子の、場面ごとにペルソナを使い分ける在り方には強く感情移入をしました。だからこそ、白藤さんの生き方はどこか眩しく映り、対照的な存在として印象に残っています。私は白藤さんになりたかった。
村田沙耶香さんの作品は、どれも既存の価値観や常識を揺さぶる圧倒的なパワーがあり、本作も圧巻でした。読んでいる間は常に思考を刺激され、読み終えた後にはどっと疲労感が押し寄せますが、その感覚こそが心地良く、魅力だと感じています。
ピョコルンに関する衝撃的な事実が明かされる場面で物語が一区切りを迎える構成が印象的で、「ここで終わるのか」と思わされつつ、続きへの期待が強く高まりました。早く下巻を読みたいとウズウズとしてしまいました。
この作品の世界は一見すると極端に見えますが、現実を細分化して、それを淡々と描き出しているに過ぎないのではないかとも感じました。空気を読み、その場に適した役割を演じるという行為は、すべての人が日常的に行っているのではないでしょうか。
いじめや性的な描写も含め、すべてが淡々と同じ温度で提示されることで、強い違和感と衝撃を与えられます。だからこそ、少しの主人公の動揺に、読者である私も呼応して、ドキドキとさせられてしまうのです。この容赦のなさこそが本作、そして著者の魅力であると改めて実感しました。
Posted by ブクログ
買い物という点では、横浜駅が最強だ。駅周辺になんでもある。『世界99』は、横浜駅みたいな小説だと思った。人のあらゆる醜さ、愚かさ、卑劣さ、しょうもなさがなんでも見つかる。人の醜さを直視させられ、そこから目を背けても、背けた先に別の醜さが目に入る。人間の汚点のバーゲンセールだ。
まあもちろん小説なので醜さを露呈しているのは登場人物なのだが、それが読み手の自分にガンガンに跳ね返ってきて気が滅入る。いちいち皮肉の攻撃力が高くて「止めてくれ、その術はオレに効く」ってなりまくるし、皮肉が刺さる以外でも嫌な気持ちになる場面が目白押しだ。読んでいて特に嫌だなと感じた登場人物の言動や考えこそが、自分が排除したいけどその欠片を持ってしまっている醜さそのものなんだと思う。自分の欲望の写し鏡となる小説だ。
パーフェクト善人は一人も出てこなくて、みんなそれぞれ多様にクソなのだが、なぜこんなに多様なのに似たような薄気味悪さを感じてしまうのだろうか、と疑問に思いながら読み進めた。暫定的な答えとしては、登場人物みな自らの欲望に向き合わず外的な価値や倫理に逃げているように見えるからだ、という感じだろうか。だから、少なくともある程度は欲望を直視している主人公や小早川さんが良くも悪くも爽やかに見えるのではないか、と。
エンタメ的楽しさはなく、ストーリーに感動できるわけでもない。それでも読まれるべきすごい小説である。ちなみに、「深く考えさせられた」という感想を持ってしまいそうになるが、そういう態度もしっかり刺されている(本書の言葉でいうと「それ世界3っぽい!」と言われそう)ので、実は感想を言いにくい本。
Posted by ブクログ
冒頭から、ピョコルンという名の謎の生き物が出てきて、読み進めると、姿形等がわかるようになり、それでも判然としない感じだったけど、最後まで読むとそういうことかと一応納得。
物語としては、全般的に気持ち悪いのだが、世界99という意味には共感できた。
主人公のトレース、呼応というのは、人間なら誰しもやっていることだと思う、そうした方が、過ごしやすい、生きやすいと思うときがあるから。ただ使いすぎると自我は何なのかってわからなくなるのも、確かにその通りだと思った。
下巻も、きっと気持ち悪い世界なのだろう。
Posted by ブクログ
すごい!めちゃくちゃ面白い!!
ディストピアSF版人間失格みたいな。こんなに事細かに露悪的な小説は久しぶり。
キャラクターがパンチが効いているし、ガジェット…扱いしてよいのかわからないけれど、1回10万円の枯れ葉食べるセッションだの、「訪れた」言葉を書く書道だの本当に最高!大笑い。
まあでもね、描き方はあれだけど、わたしたちの世界もだいたいこうだからねえ。痴漢のところとか、あるあるすぎる。
わたしも空子ちゃんを少しはダウンロードできたかしら。
Posted by ブクログ
2週間くらいで読み終わった!
さすが村田さんの小説,今回も面白い。
キーワードとして,呼応,トレース,の2つが挙げられる。
主人公の空子(名前からして空っぽ…)は,他人に呼応し,振る舞いをトレースすることで生きてきたので,自我がなく,感情がない。
ピョコルン,という謎の生物が登場し,後にキーとなる。また,ラロロリン人という,迫害されるべきか否かわからない人種が出てくる。後々,ラロロリン人は完全なる悪として扱われ,下巻へと続く。
結婚すると,女は男に飼われ,家電・性処理道具として消費されることを母を通して気付いた空子は,1人で生きるか葛藤するが,結局結婚する。
大人になると,空子は色々な世界を行き来し,人格を変えながら(合わせながら)生活する。
そこで,小早川という職場の後輩が,自分と似たように人格を変えながら生きていることを知る。
人格を変えながら生きていることを俯瞰して見ている(自覚している)人格がいる世界を,世界99,として,タイトルの伏線が回収された。
最後は,ピョコルンが人間のリサイクルであることが,ラロロリン人の暴露により明らかになり,世界が混迷。明人(空子の旦那)がピョコルンになるため,空子に離婚を切り出したことで,上巻が終わり。
うん,面白い。
下巻は買ってあるからさっさと読みたい。
何より,呼応とトレースは人間が皆無意識のうちにしていることな気がした。
何より私が共感したのは,世界99の存在。
自分のことや自分の人生や社会を俯瞰して見てる人格の存在,を認めるのが世界99だもんね。
みんなあるよね,何やってんだろ自分って思ったり。俯瞰して見るとおかしいことなのに,その場では流されちゃったり。皆,トレースしてる,って事だろうね。
あとこれはこれを読んでて気付いたけど,村田さんの句読点の癖が自分の句読点の癖と合ってるから,めちゃくちゃ読みやすい。私自身句読点が多いと思うけど,同じテンポで村田さんも句読点を打つから,スラスラ読める。そういう相性も,小説を読む上では大事なのかもとか思ったり^_^
Posted by ブクログ
主人公が周りに合わせて人格を変えて生きている姿が独特で、不気味さがありつつもどこか共感してしまった。自分を持たずに「うまく生きる」ことの楽さと怖さが同時に伝わってきて、読みながら少しゾッとした。これから世界や人間関係がどう変わっていくのか気になる作品だった。下巻が楽しみ。
Posted by ブクログ
良い意味で不快な気持ちになった。
ディストピア小説と呼ばれるような物語の設定もあって自分自身と物語を切り離して考えていたが、登場人物たちは単に振り切れているだけで、私たちにもどこか彼らと同じ部分、似た部分もあるのではないかと思えてきて嫌になる
Posted by ブクログ
読み終えて。「村田沙耶香の全部盛り」と聞いてましたがそうだなと納得しました。でもやはり読む人を選ぶ作品。私は大好きです。
上巻を読み終えてずっとピョコルンの事を考えたりしてます。空子のトレースして世界が何世界もあるのは現実の生活の中でもきっとある事だと思います。
でもそれ以上に明人の人生って何だったんだろうとフィクションながら真剣に考えてしまいました。
ラロロリン人とわかり周りに差別を受け壮絶なイジメを体験し、大学へ出て、ラロロリン枠で就職。
長時間労働の上見栄を張る生活。自分の不幸ストーリーを見せ物のように披露し、最後はピョコルンになりたいだなんて。
ピョコルン手術を受けたら幸せになれるのか。
考えものですね。世界①.②.③の住人はどうなったのだろう。下巻を読むのが楽しみでなりません。
Posted by ブクログ
超絶怒涛のノワール作品である。
村上佳菜子作品に通底する性へのグロテスクとプラトニックが混在するアンビバレントな距離感。
ここまで執拗に弱者を虐げ、その当事者がある意味その境遇を受け入れてしまっていることへの制御できない嫌悪感を醸し出す作風で、筆者に比肩する現代作家はいないのではないか。更に本作は、今まで中編や短編で断片的に綴られてきたテーマが一緒くたに襲い掛かる重厚さ。
作品の内容には触れずにおこう。上巻で物語として成り立っているだが、ここからどのように下巻へつなげるのか、楽しみである。「コンビニ人間」で村田沙耶香からご無沙汰している方々は、ぜひ本作で著者の真髄を味わってみましょう。
Posted by ブクログ
ほのぼのした”神去なあなあ”の後に読んだため(対極すぎて)ダメージ倍増
主人公は自分の意思がないような究極の八方美人で関わる世界毎にキャラを切り替えて生きる”コンビニ人間”の進化形な感じ
村田先生の小説でよく出てくる”性行為や妊娠出産の外注化”や”欲望むき出しで自分のことしか頭にない登場人物ばかり”で読んでいて気持ち悪く心がどんどん削られていくけど嫌いではない世界観だし展開は読めないし下巻も早く読みたい
”自殺したのではなく心を殺されたので体をそれに合わせただけ”という印象的なフレーズ
上巻では世界1~8が消えて世界99に統一されていくところで終わっておりこれはこれで終わりにできなくもない
Posted by ブクログ
おもしろすぎて読む手が止まらない。ただ長い(笑)
登場人物みんな変わってるな〜と思いながら読んでたけれど、その中の誰かに自分が重なる部分もあって。奇妙に描かれているけど、実は自分たちが生きる世界の物語だと気がついたとき、気持ちが悪かった。これを書きながら、すでに下巻を読み始めている。
Posted by ブクログ
初めての村田沙耶香さん!皆さんの感想で心して読み始めましたが、しっかりボコボコにされて上巻読み終えました。
村田さんの文章がとても巧みで読みやすいおかげで、1日で一気読みしてしまった。
人間があえて言語化してない後ろめたい部分を隅から隅まで豊富な語彙で綴っていて、この本で初めて明文化された人間の機微がいくつあるんだろう?
潜在的に言語化すべきでないとみんながぼんやり思ってることを美しく流暢な言葉で明らかにしまう…。それ文字にしちゃっていいの?!と思うのに理解共感できちゃうから、自分の中にその感情があることを自覚させられてしまうのだよね。
こんな文章を出力するのは想像の上でもできないなと思う。すごい。
1文字目からずっと不穏で、どんどん状況は悪化していくが、ここまで読んでしまったら最後まで見届けたい!と思って頑張って分厚いページをめくり続ける。しかし予想を超えたあらゆる最悪が次から次へと…
最初は、自分に性格や感情があってよかった♪でも私の大切な人たちはもしかしたら…なーんて!
みたいなテンションで読んでたが、進むにつれそんな心理状態は保てなくなり…
この後きっと何とかなるよね…?この人は大丈夫だよね…?という希望を抱けば一つひとつ丁寧に想像以上の絶望になって返ってくるので、第二章にもなればもう希望を持つことは無駄、心が疲れるからやめておこう、と思うようになった。心の防衛機制が働いた。
これで上巻?下巻どうなっちゃうの…
早くこの先を知りたくて、下巻も間違いなくスピード読破できる。
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・レナちゃん、あのタイミングで死んだのがもはや最善だったのでは。一抜けしたのが賢く思えてしまう。
・徳岡、ピョコルン死ぬまでやるって。中盤で最大のショックシーン。その後はお咎めなくのうのうと生きてるのか?ピョコルンも命なのに。
・空子が怪しい消毒の資格に引っかかってしまったのにびっくり。人の真意とか表に出さない思惑を冷静に見抜ける人かと思ったのに、引っかかってしまうんだね。空子が1番人間らしいと思ったシーンかも。
・そういえば空子パパどうなったんだ?シタガイコクに行ったまま?
・白藤さん小学校の頃からずっと正義を貫いていてすごい。唯一白藤さんの言動に救われ続けているけど、下巻でも無事でいてね…
・小早川さんに対する前向きな描写がありすぎて不安。空音コンビ好きだけど幸せになれなさそうで怖い
・ピョコルンの中身が上巻最大の絶望。ニュース見て淡々と解体始める空子もさすがだし、ラロロリンバラバラにしたパーツを梱包するのが段ボール…?とことんひどい。その段ボールの耐久性もすごいけど。メイドインアビスを思い出した。
Posted by ブクログ
『世界99』を読み終えてまず感じたのは、これはディストピア小説ではないということだった。設定だけを見れば、十分にディストピアだ。人格を使い分ける主人公、生活のあらゆる負担を肩代わりする存在、再構築される社会。しかし本作が描いているのは、崩壊した未来でも管理された社会でもなく、「すでに私たちが生きている世界の延長線」だ。極端に見える構造は、むしろ現実を誇張しただけに過ぎない。
主人公・如月空子は「性格のない人間」として描かれる。彼女は相手や環境に応じて人格を作り替え、「安全」と「楽」を基準に生き延びてきた。コミュニティごとに異なる自分を持ち、それぞれを“世界①”“世界②”と切り分ける。その姿は一見すると異常だが、読み進めるほどに気づくのは、これは誰もが多少なりともやっていることの極端な形だという点だ。空気を読み、場に合わせ、期待される役割を演じる。それを徹底した結果が空子である。 
本作の核にあるのは、「主体性の欠如」ではなく、「主体性とは何か」という問いだ。自分の意思で生きていると思っている人間も、実際には環境や他者の期待に強く規定されている。空子はそれを隠さないだけだ。むしろ、意識的にそれを最適化している。その意味で彼女は“空っぽ”ではなく、“最も合理的に社会適応した存在”とも言える。
そこに登場するのがピョコルンという存在だ。かわいらしい外見を持ちながら、人間の負担を引き受ける装置として機能する。出産、育児、介護、性、労働といった「面倒なもの」をすべて委ねることで、人間は快適さを手に入れる。しかしここで重要なのは、負担が消えた先に何が残るかという点だ。人間は自由になるのではなく、むしろ「何のために生きるのか」という問いに直面する。 
この構造は非常に冷酷だ。多くの物語では、苦しみから解放されることが救いとして描かれる。しかし本作では、苦しみが消えたあとに空虚が残る。役割を失った人間は、自分の存在理由を見失う。ここで浮かび上がるのは、「不自由さそのものが人間を形作っていたのではないか」という逆説だ。
さらに本作は、社会の再構築というテーマにも踏み込む。一度崩壊した世界は、「よりクリーンで優しい社会」として再生される。しかしその“優しさ”は、徹底的に管理され、最適化された結果でもある。誰も傷つかない世界は、同時に誰も逸脱できない世界でもある。この均質化された世界の中で、個人はどこまで自由でいられるのか。本作はそこに明確な答えを出さないまま、読者に突きつける。 
読後に残るのは、不快感に近い違和感だ。だがそれは単なるグロテスクさではない。「自分も同じ構造の中にいるのではないか」という感覚だ。空子のように極端ではないにせよ、私たちもまた場に応じて人格を変え、楽な選択を積み重ねている。その延長線上にこの世界があるのだと考えると、本作はフィクションとして処理できなくなる。
『世界99』は、奇抜な設定のSFではなく、人間の適応と最適化を極限まで突き詰めた思考実験だ。社会に合わせて生きることは、本当に「自分として生きること」と両立するのか。快適さの先にあるものは何か。本作はそれらの問いを、容赦なく読者に突き返す。読み終えたあとに残るのは答えではない。むしろ、「このままでいいのか」という持続的な違和感だ。それこそが、この作品の本質的な価値だと感じた。
Posted by ブクログ
主人公以外の人たちは、自分が大事にしているものしかこの世に存在していない。他の世界など存在しないと生きている。そこに主人公と同様に世界99の感覚を持った人物・小早川さんが現れる。ピョコルンの実態が世に知られ、主人公以外の人たちは、ほかの世界との境界線を見失っていく。視野狭窄?から広い世界へ
序盤はコンビニ人間の拡大版かーとつまらない話の進行を予想していたけれど、後半の後半で3つぐらい予想外の展開が待っていた。
・世界99の存在を主人公が感じたとき
・同じく世界99の世界観を持っている小早川さんとの出会い
・ピョコルンがリサイクル人間だったこと
Posted by ブクログ
ピョコルンという謎の生き物、差別を受けるラロロリン人、クリーンランド…という定義も曖昧な情報が飛び交う奇妙な世界。
その世界で性格がなく、呼応とトレースを活用して生き抜く主人公。
不可解で気持ち悪さに包まれるのだけど、現代にも共通するところもあって面白かった。
この世界はいろんなコミュニティがあって、そのコミュニティのなかしか通用しない常識や価値観がある。
人は一つのコミュニティに所属しているわけでなく、複数のコミュニティを使い分けて生きている。
だから複数のコミュニティのなかで矛盾したり、別キャラの自分がいたりするけど、器用に使い分けて生きている。
でも時々どれが本当の自分なのか?って疑問に思うこともある。これがいろんな世界で生きる自分を俯瞰する世界99?
私自身、結婚式で自分の所属するコミュニティが一堂に集まった時、自分はどのキャラでどう振る舞ったらいいんだろう?って悩んだことを思い出した。笑
Posted by ブクログ
ああ、村田沙耶香!
(ああ、無情!的に)
人間の持つグロテスクな部分を顕在化させているので、不気味で読み進めると異次元?パラレルワールドへワープさせられる。
ピョコルンを何故かFFのチョコボの容姿に脳内変換してしまった私は、最後までイメージを払拭できず、辛かった
Posted by ブクログ
「生命式」の「孵化」という小説をすごく長くしたバージョンが世界99なのかな?って感じ。
「信仰」に出てきた鼻の穴のホワイトニングが出てきてニヤニヤできたり、夫婦での性生活でいったら「消滅世界」の雰囲気あるかな、とか、「地球星人」で感じた苦しさ気持ち悪さが凝縮されてるな、とか、村田沙耶香詰め合わせみたいな小説だった。
Posted by ブクログ
自力では生きて行けず、誰かに養ってもらう為に、相手に合わせて自分を作り上げていく空子。
ある時は「世界①」の自分、またある時は「世界②」の自分。相手に合わせて口調や性格、態度も変えて生きていく。
SNSではアカウント毎に自分を作っていたりもするので全く他人事とは思えないだろうけど、度が行き過ぎてる。
これぞ村田紗耶香…!この世界観!
上巻ラストに世界が崩れるような出来事があり、どうなっていくのか気になり過ぎる!ので早速続きを読みます!!!
Posted by ブクログ
タイトルの意味も最後の方に理解できてなるほどと思った。主人公は極端ではあるけれど、接する人に合わせて自分の口調や人物像を変えることはあるので、割と共感できた
Posted by ブクログ
村田ワールド全開。次が気になりすぎて夜更かししてしまった。主人公ほど極端でなくても、その場の空気やコミュニティに合わせてペルソナを変えること、またそれをメタ認知している自分。メタ認知している自分の孤独さ、は私も共感する部分があった。安定した狂気レベルで下巻も気になる!
Posted by ブクログ
意識的にも無意識的にも、人はコミュニティによって自分を使い分ける。私自身も時々どれが本当の自分か分からなくなり、「すべて本当の自分なんだ」と納得することでごまかしている。正しさを押し付けられるとイラッとするくせに、子どもには「はい」と言わせるまで、押し付けることをやめられない時がある。
人が誰しも抱くであろう自分に対する違和感を、これでもかというほど冷静に皮肉的に言語化された世界99の世界観は、コンビニ人間からの流れもあり、村田ワールドとしてすんなり受け入れられた。ラスト10ページを読むまでは。
ラスト10ページは、目の前がぐにゃりと変形するほどの衝撃。さすがは村田沙耶香。ここでは終わらない。下巻がどう展開されていくのか、楽しみ。
Posted by ブクログ
空子のように、ほとんどの人が周りに合わせて人格を微調整しながら、コミュニティごとにキャラクターを使い分けている。だから、読む人はその感覚分かるとなる。一見、本当に空っぽで意思が無いように見えるが、「使われる側」になることを拒否しているところが、空子のアイデンティティなんだろうか。
ふと、考えてしまう。個性や意見など十人十色と思われていることも、全ては過ごしてきた年月の中でインプットし続けて洗礼されたものに過ぎず、本当の意味でのオリジナルなんてないんじゃ無いかと。
Posted by ブクログ
私は村田沙耶香は4作目くらいだけど、めっちゃ面白い上巻の終わり方だった。うぇーーっ!!!でもこんな衝撃期待してたー!!って感じだった。で、タイトルがこう繋がるのね!っていう納得感。読み始めも読み終わりも面白かった。
前半で空子がすこしズレた「社会性」を身につけてゆく様が、見ていて恐ろしいというか。(偏った)世間の声のままに育つと、こういうことになるのだな……と思わされる。
物語全体を通して、人間が無意識にやってる対人での人格の使い分けをこれでもかとあけすけに描写する。宇垣美里が「武器」だって評価してたけど、ほんとそうだなと思いながら読んでた。下巻でどう決着されるか楽しみ!
Posted by ブクログ
怖い!気持ち悪い!
でも世界がいくつもある感覚は自分にもあるのではないかと思ってしまったり。
夫が結婚式をもしやるとしたら小学生から社会人までの友達が一堂に会するなんて変な儀式じゃない?と言っていたのを思い出す。
たしかに自分もそれぞれで違う人間だったのかもしれない。
コンビニ人間で先に村田沙耶香を予習しておいてよかった。まだ少し耐性ができていた気がする。
下巻はどうなってしまうのか。
Posted by ブクログ
常識の皮を一枚めくった先にある、奇妙で冷たい人間の風景が描かれる。私たちは日々、「ふつう」という見えない規範の中で息をしている。だがその枠が少しずれただけで、社会はたちまち不穏な輪郭をあらわにする。村田の筆は、異様な設定を借りながら、むしろ現実の息苦しさを照らし出す。笑うべきか、怖れるべきか、読む者はたびたび足場を失うだろう。それでも頁を閉じた後に残るのは、他人の異常さではなく、自分もまた異常な世界の被害者であると同時に、その世界を支えている当事者であるという静かな戦慄に襲われる。
Posted by ブクログ
ものすごくカロリー消費が重く、気合を入れて読み進めました。世界をミクロに切り取って丁寧に構築したディストピア小説。ドロドロしていて目を背けたいけど背けられない。自分にも覚えがあるようで共感できる、でも聞きたくない音を聞かされ続けている違和感があるそんな小説でした。この世界がどんな決着をつけるのか下巻が楽しみです。
Posted by ブクログ
映画や小説を途中で投げ出すなんて人を珠に見かけるが、物語の面白さや妙味なんて、最後まで読まなければわからないのになにやってんだ。といつも思っていたが、本書は投げ出す人がいても仕方がない気もする。
嫌悪感が凄く、倫理観が壊れていく。
静謐な雰囲気ながら、世界そのものが狂いすぎており、気持ちが悪い。
しかし、よくよく考えてみると現在の倫理観や常識を肥大化させているにすぎず、どことなく理解できてしまうところがまた薄気味悪い。
Posted by ブクログ
なんとも不思議な感覚に包まれる世界。
それでいて強く引き込まれ、思わず続きが気になってしまう作品だった。
人間の本質が、摩訶不思議な描写を通して浮かび上がり、
読んでいるうちに自分の思考回路まで刺激されるような感覚になる。
現実と非現実の境界が曖昧な中で、
「人間とは何か」を問いかけられているような、不思議な読後感が残る物語だった。
Posted by ブクログ
上巻の半分(第1章)を三連休の中日に一気に読んだ。
ディストピア小説とか言われているけど、グロテスクなほどにリアルだなという感想。続きを読むべきか迷ってる。とりあえず連休に読む本ではない。
子供には薦められない。