【感想・ネタバレ】世界99 下のレビュー

あらすじ

小説というものの輪郭が、いわば地球を覗く窓の形が、本書によりまた大きく更新されました。
それはつまり、この本の中で初めて寛げる人がいるということです。
救済と爆弾は同じ姿で在れるのだと気付かされました。
朝井リョウさん(作家)

本当は貴方もわかっていたんだろう? と迫る声が脳内に鳴り響く。
熱に浮かされるようにページを捲る手が止まらない。
これは本型ワクチン。
世界99に誘われ、もう元いた場所へは戻れない。
宇垣美里さん(フリーアナウンサー・俳優)

足元の地面がふいになくなり、
正常と異常の境目が消え失せ、目眩がする。
人間という生き物の滑稽さ、グロテスクさ、美しさ、不思議さが、
この本の中にすべて詰まっている。
岸本佐知子さん(翻訳家)

空子がこの世界で体に蓄積する小さな暴力の音とか、風とか、どれも僕の心に刻まれていきました。
物語で一緒に過ごせた時間は、僕の宝です。
ロバート キャンベルさん(日本文学研究者)


私たち、ピョコルンに、全部捨てられるようになりましたよね。
性欲を。出産を。育児を。介護を。人生の時間を食いつぶす、あらゆる雑務を。

14年前、「リセット」を経験した人類は混乱の最中にあった。
しかしラロロリン人の考えた「人間リサイクルシステム」がうまく機能し、やがて社会は再生を迎える。
そして49歳になった空子は「クリーンな人」として、美しく優しい世界を生きている。生まれ育った街「クリーン・タウン」の実家に戻り、同級生の白藤遥とその娘・波とともに。
ようやく訪れた穏やかな社会の中心には、さらなる変貌を遂げたピョコルンがいた。

村田沙耶香渾身の大長編、ここに完結。
都合の良い「道具」・ピョコルンを生み出した果てに、人類が到った極地とは――。

【著者略歴】
村田沙耶香 (むらた・さやか)
1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島賞、2016年「コンビニ人間」で芥川賞受賞。著書に『マウス』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』『生命式』『変半身』『丸の内魔法少女ミラクリーナ』『信仰』などがある。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

こう、言葉では言い表せないけど、これは間違いなく評価されるべき傑作。
この社会課題を描いているという訳ではなく、社会の中にある歪さや気持ち悪さ、不快感などを世界というマクロな視点と空子の周りの人のミクロな視点で描いている。
白藤さんは上の時は、正義教に入っているのかもしれないと思うほど気持ちが悪かったけれど、下巻の正しさ、クリーンしか良しとされない世界になった途端に、白藤さん以外が気持ちと思うような構成で、それがなんだかものすごく都合が良いような気がして読み手の私たちも試されている気がした。
本当にこの本から受けた衝撃や感情沢山あるのに自分の中にそれを表せる引き出しがないことが惜しい

0
2025年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

世界99上・下を読んでから、心の中のに空子がいて、俯瞰で分析しててうるさい。笑

賢い人とそうでない人の対比に不思議と目が止まる。下の階層では波と琴花、上では白藤さんと空子の関係がその象徴にかな。空子は必死で操作されることを拒んでいて、波も似たような様子だった。現実でもそういう場面を見たことがあるし、自分もコントロールされることを嫌だと強く感じる。世の中の縮図のようなものを描いているのかなと思った。

白藤さんのことは、ずっと「生きづらそうだな」と思いながら見ていた。なぜそこまで自分を貫こうとするのか不思議に思う一方、それが「信仰」なのだろうとも思う。幼い頃、辛い時期に奏さんが手を差し伸べてくれ、それにずっと頼ってきた。だから今さらそれを手放せないのだろうなと思った。可哀想って思ってしまう。
私にも信仰と言っていいくらい信じて支えてもらっていた人がいて、今でも関係は良好だけど、縋る必要は全く感じない。独り立ちできるように鍛えてくれたからなのか、周りの環境に恵まれていたからなのか、それなりに上手く変容してこれたからなのか。何もかも結構運だよなぁと思うけど、それってもしかしてララロリン遺伝子みたいなこと??いやちがうかぁ〜面白かった〜

0
2025年12月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

世界99 下 
2025.11.24

「それにしても、差別されるっていいですよね。一種類の差別をされてるだけで、まるで自分が他の種類の差別を全くしてないような気持ちになれませんか?そんなわけないのに。差別者じゃない人間なんていないのに、あたかもそうであるような気分になれるのが、差別される唯一のメリットですよねー。」

「でも、かわいそうなことは素晴らしいですよね。僕、たぶん、将来。それって娯楽になると思うんですよね」

そんな見方があるのかーと何度も驚かされる、どんな生き方をしたらそんな視点を持つのだろう…と何度も疑問に思うくらい斬新。
誰かをかわいそうと思うことが娯楽になるという言葉は、私も知らぬ間にそうなっているのだろうなと感じた。誰でも差別はしているのにそれに気づけず、棚に上げてしまう。

ピョコルンを通した現代社会の投影が嫌というくらいにされている。生きることに虚しくなるような感じ。

ピョコルンは"白くてかわいい、個性のある"存在で性欲をはじめとする人間の欲のゴミ捨て場
=現代でいうキャバクラ、パパ活などの欲の解消
="倫理の賞味期限"の問題でいつかは当たり前かもしれない

例えば…
トー横や歌舞伎町の子供の問題がここ最近話題であるが、時代の変化で世界が変わったとしても結局のところ起きることややっていることは変わらないのだなとこの本で感じた。

上下の長編だったけれど、ピョコルンのいる世界観にどっぷりと浸かれていろんなことを考えるすばらしい機会だったー!

0
2025年11月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

感動や可哀想は娯楽で、光や夢は麻酔。そう感じる登場人物たちが生きる世界と、今私が生きているこの世界の違いがピョコルンの有無しか思いつかない。
最後、ピョコルンになっても意識が残り続けるのを知り、あまりにも残酷すぎると感じたが、私は意識がなかったらピョコルンを利用していいと潜在的に考えていたのだろうか。自分の社会に対する在り方を考えさせられた。

0
2025年11月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初から最後まですごかった。
長いけれど面白くて読みやすいし最後までだれることなく読み終えた。

やはり人間はトレースするものでこの本を読み終えた後、この本の主人公の物の見方で世界を見ようなする自分がいた。

面白いと思ったのが上はどちらかというと搾取される側で下は搾取する?というか今まで自分が言われてきた不条理な言葉を思ってしまう立場になる、反転みたいなものが面白かった。

新しい世界や価値観を取り入れようとせず、既存の価値観や自分の正しいという物差しで判断し生きていたら白藤さんみたいになってしまうのかなと感じた。いつの間にか逆に差別だよねって言われてしまうような。
リセットと生成ってやはり必要だなと実感した。

この話をディストピア、別の世界の話と捉えている人が多いが、そうでもない気がする。
この世界のピョコルンは私たちの世界でいう生成AIに言い換えることができるかもしれないと感じた。
自分の理想の性欲処理。生成AIに性欲をぶつけるのが当たり前になり、人間にその感情をぶつけるのは汚いという価値観の世界になるかもしれない。特に生成AIが浸透してから産まれてきた世代からは。もしかしたら世界99下に似た世界になるかもしれない。

0
2025年11月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

出会えてよかった

現代版『人間失格』だと思う

人格って何だろう性格って何だろう自己って何だろうと問われる作品。そして幸せって何だろう。
人間が人間であるからこさ生まれる残酷さと対極的に、正しさや美しさを信じ続けた白藤さん。キサちゃんに出会えて彼女の心の雨は止んだんだとおもう。キサちゃんと出会った日、キサちゃんとの思い出がずっと、シロちゃん、白藤さんを人間でいさせたんだと思う。

幼い時の記憶に支えられる人間の美しさを白藤さんは体現してる。人間の醜さと美しさを全て客観で観てきた、空子は理想郷へ旅立つ。何が正解で何が幸せなんだろう。
シロちゃんとキサちゃんが最後に学校で会話したところが美しくて儚くて心を揺さぶられました。

読んだ後に、やるせない気持ちになる作品。
全ての人格を保有してる個体って「PSYCHO-PASS」を想起させた。

この本に出会えて良かったって本当に思います。

0
2025年11月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最近「人間になろう」と努力しているという友人と、いっしょに読もうということで読んだ本作の下巻。衝撃的なラストだった。
女性の出産・育児の機能を外部化した存在、ピョコルンの登場によって、主人公の空子の感覚自体も、家父長的な男性の感覚になっていく。こちらは養ってあげているのに、この程度のクオリティの家事しかできないのか。
その感覚は、元々は、父から母に向けられ、空子自身の中にも内面化されていた男の視点だった。しかし、ピョコルンの登場によって、その眼差しは自分たち女性に向けられるものではなくて、女性もピョコルンに対して向けるものに変わっていく。それは、明人や匠くんといった男性キャラに対する空子の「トレース」と「分裂」という形で、フィクショナルに表現されるがゆえに、より残酷に見える。

この物語は、まず第一に、ピョコルンという「出産家電」の登場によって、女性もまた家庭的な抑圧者になりうるのだという物語なのだと思う。女が担わされてきたケア労働が、女から切り離されさえすれば、女もまた男になりうるのだという物語。それは、逆説的に現代社会で女性が担わされているものと、男が女性に対して向けるまなざしの残酷さを克明にしてくれているように思う。

空子は、物語の最後に自分もピョコルンとしてリサイクルされることを選ぶ。怖いというか、良かったと言うべきか、最後にピョコルンとなった空子の視点から語られる風景は、案外幸福そうに見えるということだ。
ここまで、空子は、自分の感情というものが分からないままに、「トレース」を繰り返し、周囲の人間の感情や言動を自分の中に取り込んでいくことをしてきた。彼女は、ピョコルンになることによって、その終わりのない「トレース」から解放されたとも言える。
しかし、それは同時に、ピョコルンに外部化されたことで、女性たちが解放された家事労働をする機械としてのあり方に戻ることでもあった。だからこそ、この結末は、女性というものの逃げどころのなさ、という意味において、絶望的だとも言える。

やはり、村田沙耶香の描く世界は、ディストピアなんだと思った。しかし、そのディストピアは、今の現実社会そのものであるところが、読んでいて痛々しい。この物語に出てくる「世界」や空子の「トレース」は、現実に自分たちがやっていることそのものなんじゃないか。そして、そうした内省をピョコルンという途方もない虚構で表現仕切れるところが、やっぱりすごい作家なんだと改めて思った。
現代に疲れた人が読んだら、より疲れたという感じの本。その圧倒的な完成度に満足するか、拒否反応を示すかは、人次第といった感じである。

0
2025年12月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上から世界やピョコルン、空子の生き方が変わった。
あらゆる世界に呼応していった空子がひとつの世界にだけいて、クリーンな考えになった時、こんなにも変わるのかと驚いた。
ピョコルンやラロロリン人も現代の世界や若い世代にとって尊重される存在になっていて、人の価値観は時代によってすごく変わるなと思った。
ョコルンは人間によって生み出された人間にとって便利な人間の生き物だなと思っていた。
けれど生み出す側も生み出されてしまった側でさえもが自ら希望してなる存在になった。
うーん、、ピョコルン、、何なんだろうか、、
難しい世界について考えさせられた作品。

0
2025年11月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読後感は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を観たあとに似てた。
衝撃的ではあるけどなんせ救いがなさすぎる。
閉塞感と絶望感がすごい。

登場人物が全員クソすぎてもう。とくに男性。揃いも揃ってまともな奴がおらん。気持ち悪すぎる。
各種のクソの描写がこまやかで見事なだけに、この世界にはマシな人間はいないんだな…というかこの世界はクソなんだな…って気がしてきてしんどい。

周囲にあわせて自分のキャラクターを作り、属する世界によってふるまいや思想まで変化させて使い分けている主人公。

たしかに誰でもそういうところはあると思うから、このあたりは共感しなくもない。
だけどこの主人公は感情がないっていいながら、たぶん無自覚に誰のことも嫌いで軽蔑してる。

唯一、自分と同じく周囲にあわせてキャラクターを使い分けていて、それをあっけらかんと語る音ちゃんっていう女性にだけは心惹かれる。

ここで愛を知って少しは救いが生まれるのか、または裏切られて傷つくことでなにか人間の本質的なものに気づくのか?
って思ったけど、そんな甘い展開にはならなかった。

差別っていうのが大きなテーマになってるのはわかるんだけど、上巻の最後あたりの急展開以降はわけわからんすぎて(吐き気するくらい気持ち悪い)、そこからはずっと「な、何を見せられてるんだこれは…」って感じが続いてしまった。

あえてなんだろうけど、一番肝心のピョコルンの造形が想像しにくいってのもある。

ふわふわのかわいい生き物、ってなってて、なんとなくアルパカっぽいのを思い浮かべるんだけど、まあとにかく存在自体はうっすら不気味でかわいいとは思えないし。

いつか希望みたいなものにたどり着くのかと思いながら(あとSF的な展開がどんだけ広がるのか見届けたい気持ちもあり)この分厚い上下巻をどんどん読み進めてしまうんだけどさ。

結局、人間ってのはみんなクソなので、残念ながらこの世界は生きるに値しないんだよ、って結論を叩きつけられてるような気がした。

どないせえゆうねん!!!
って読み終わった瞬間に卓袱台ひっくり返して暴れたい気になりました。

だってあの主人公はなにかを間違ったわけでもないのに、周囲どっちを向いても嫌な奴ばっかりで、八方塞がりだったじゃん。

しあわせになるためには、どうすりゃ良かったんだよ。
いやどうすればよかったのかは自分で考えろ、ってことなんだろうな。

現実社会で起きてることと重ねながら考えないといけないんだろうとは思う。
差別はあちこちにある。自覚しておかなければ蝕まれる、ってことかもしれない。

はーーしんどかった……。

【追加】なんとなくアルパカをイメージして読んでたせいで、いまアルパカ見るとウッて拒否反応が出るようになってしまった、後遺症がのこる小説すごい…

0
2025年10月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ん?喫煙所の人影は結局誰やったんやろ?匠くん?

とにかく物語に出てくる男性たちに対してずっっっと嫌悪感を抱いたまま、気づいたら読み終わってた。

あと白藤さんはかわいそうな人じゃなくて、最後まで自分の信念を曲げない強い女性やでー!!!!!って叫びたい。

0
2025年11月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんだろ、この読後は…
上)から逸した世界観が強すぎたが、さらに強まる…
この本は星評価しにくい、創造性としては文句なしの星5だが、個人的好みからするともう読みたくない!ので減らした

そもそも気持ち悪い笑
下)になりさらにグロい、それをクリーンな世界と評しているからタチが悪い笑
確かに汚い言葉がなくなり、ピョコルンが子供を産み、友情婚、さらには複数婚など自由度があがり、フィクションとしては本当に面白い。
ただ、人生を消費期限としたり、性関係が気持ち悪いとしたり、、しいては記憶の保存のために脳を捧げる⁈なんじゃそりゃ〜
村田沙耶香氏が進化しているのは強く感じた

いやーすごかった…


「犠牲者」
大衆は犠牲者に弱いからって。死後、私はちゃんとピョコルンになりますから、私の話を聞いてください、って呼びかけたら、まったく反応が違うからって。


人間の配偶者。美しいピョコルン。ピョコルンが産んだ子供。幸せの典型例


楽だよ、思考停止


匠くんは彼の内部で自動生成された言葉を吐き出す。女性差別、ラロロリン人差別、容姿差別や職業差別などを搭載したAIのようで面白かった。


私が人間ロボットではなく人間であるとしたら、自分の本質を証明するものが、自分の内側に結晶のように存在するのだろうと、どこかで考えていた。けれど、空虚こそ本質なのだった。私の中の空洞にこそ、私が人間であることの証明が、核心が、はっきりと宿っているのだった。


これから、年に一度、「儀式」は行われ続けるのだそうだ。この「儀式」は、記憶奉納祭と呼ばのだと、今日受け取ったパンフレットで知った。ピョコルンになる前に記憶を世界のために奉納し、まっさらになるという意味らしい。「儀式」は、宗教的意味合いは排除し、民俗学的考察に基づいてデザインされたものだということも長々とパンフレットに書いてあった。

0
2025年11月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(上)に引き続き気持ち悪い世界だけど、慣れてきた部分もある笑。手術当日の描写に入るとこっちもどきどきしてくるけど、術中・術後が案外あっさりで、めっちゃ"ぽいなー"と思った。
空子がピョコルンになり、そしてまたあのお家に戻ってきたとき、(こっわ ピョコルンになってもまた戻って消費されていくんだ、まあでも人間の時に比べたら感情がないし自分の意思も必要ないからマイナスの感情を抱くことはないのか)と思ってゾワゾワした。
いつかこんな未来がくるのだろうかと、怖さ ワクワク 奇妙さをかき立てられるお話だった。上下どっちも分厚いのによく読み切ったー!笑

0
2025年11月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

女性は男性に性的に使われる生き物。母親は家庭の奴隷。共感してしまう自分もいて少し嫌な気持ちになった。
私の母は、自己犠牲の塊のような人だ。私の母は、いつも家族のために献身的に動いて大変そうにしている。私はそんな母を見て、同じようにはなりたくないなと感じる。しかし、恋人と過ごしていると、母をトレースしたような行動を取る自分に気づき、その度に嫌な気持ちになる。この小説では、そんなことを思い出した。
私も死に対して羨望を抱くことが度々あるが、自分にとって未知な物事や、本来であれば体験することがないであろう物事に対して、希望的な見方をして、それを手に入れたいと思うのは、人間に備わっている本能なのかもしれないと感じた。それと同時に、誰しもがそれぞれの地獄を抱えて生きているのだから、その中でも、自分が納得できるような人生を送れるように、他者と比べず、自分らしさを追求していくことが幸せな生き方なのかなと感じた。
また、この小説の主人公である空子に対して、愛を感じることができていたら、もっと違う人生があったのかもしれないと感じた。愛を感じることができていたら、人との関わりの中で、幸福を感じられる機会もあったんじゃないのかなと感じた。

0
2025年11月12日

シリーズ作品レビュー

「小説」ランキング