小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
人と関わることへの恐怖や自己否定の感情が、痛いほど率直に描かれていると感じた。
主人公は常に他人の顔色をうかがい、道化を演じることで社会に適応しようとするが、その姿は次第に自分自身を追い詰めていく。
有名なフレーズ、「恥の多い生涯」という言葉に象徴されるように、主人公が自分を許せず、社会からも切り離されていく過程は、弱さや醜さを隠さずにさらけ出す語り口でやや不快ですらあるが、その正直さゆえに強い説得力を持っており、それに惹かれ読み込んでしまう。
暗く救いのない物語でありながら、人が人として生きることの難しさを突きつける作品である。
読む側の心の状態によって、共感にも拒否にも変わる点が、何度 -
Posted by ブクログ
最近『翠雨の人』という女性偉人伝ものを読んだばかりだったので、つい比較してしまうが、同じように史実をベースにしながらも、こちらはぜいたくに津田梅子や新渡戸稲造などを中心に、明治の文化史を彩るスーパースターを山ほどぶちこんで、面白いエピソードがふんだんに出てくるので、単純に好奇心をかきたてられる。またそれ以上に河合道さんのキャラクターがとっても魅力的だった。戦前のああした雰囲気の中で、アメリカでの生活で身につけた自由主義と女性の権利拡大という理想を掲げながら、表面的には相手を立てつつも、実質的な実を取る良い意味での「ずぶとさ」が小気味良い。対立する相手をも魅了し、協力者に変えてしまう姿には、「格
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Posted by ブクログ
ネタバレオリエさま、幸せになって欲しい…とずっと思いながら読んでいたので本当によかった…。
海外の蝗害のニュースを見たことがあったから、あっこれは…とうっすら思いながら読み進めていた。
何のために存在するか分からない規則がより現実的な損得勘定の前に徐々に失われてしまうのも仕方のないことだと思うし、被害を直接目にしていない人をいくら説得したところで分かりました稲を焼きましょう、とはならないのも当然だよなとは思いつつ、災厄を予期していても、やがてそれが現実になっても対応が後手後手になってしまうのがとても歯痒かった。
しかしああなる前にアイシャたちに他に何ができたか?と考えると、何もない…というか既にでき -
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ネタバレまた騙されたという感じです(笑)
面白すぎました。方舟に続いてとんでもないお話。。
全てを知ってから読み返すと全く違う観点で読めて没頭して読んでしまいます。
前作方舟では予想もしなかった人物が犯人だったので、もう騙されるまい!と意気込んでいたこともあり、当初はひょっとして綾川さん犯人なのでは?と実は思っていました。
ただ、読み進めていく中でいやさすがに綾川さんがそんなことすると考えにくいなあ...なんて感じ、父を犯人だと予想しましたが、まんまとやられました(笑)
今思えば綾川さんのおかしな部分がたくさんあります。
例えば、11月で肌寒い時期なのに、朝起きた時に綾川さんが汗をかいたジャージを -
Posted by ブクログ
個人的には、今年読んだ小説の中で間違いなく1番の作品という前置きをした上で、作品自体や筆者を批判する意図は全く無いけど、とにかく読書中(特に終盤にかけて)は胸糞悪く、いやな感情が渦巻いていました。
作者もあとがきで「いやな気分といやな感情を探る想像小説」と述べられてるように、まさにそんな作品でした。
本章を、「東大ではない人間を馬鹿にしたい欲」だけだった、と締めくくってますが、この"東大"の部分は、どんな身分、肩書、環境にも置き換えられて、誰しもに宿る感情だと思うと、この作品で描かれているような被害者&加害者というのは、そこら中の日常に潜んでいると思うと怖くなりま