小説・文芸の高評価レビュー
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ネタバレアンソニー・ホロヴィッツの著書『メインテーマは殺人』が映画化されることになった。だがその撮影の最中、ホーソーン役の俳優デイヴィッドが殺害される。当然、探偵ホーソーンと〈わたし〉ことアンソニーが捜査に乗り出すことに。デイヴィッドは監督や脚本家、俳優仲間との間で数々の因縁があったため、捜査は難航する。そんな中でアンソニーはあることに気がつく。それは、犯人はデイヴィッドではなくホーソーンを殺すつもりだったのではないかというものだ。
ホーソーンには一つ、心当たりのある過去の事件があった。その事件でホーソーンが犯人と名指ししたハリー・モーガンなる人物が、実は無実であった可能性があったのだ。ハリーの妻デボラは夫の無実を今でも信じており、あからさまにホーソーンを憎んでいた。だが結局ホーソーンの推理は間違っておらず、ハリーは娘の犯行の罪を自らかぶっただけだったということがわかる。そのため、妻のデボラもデイヴィッド殺害の容疑者からは外れたように思えた。
しかしホーソーンは、デボラが犯人であることを告げる。デボラはホーソーンと間違えてデイヴィッドを殺したのではなく、デイヴィッド本人とわかったうえで殺したのだった。環境活動家を謳っていたデイヴィッドは以前、高速道路を封鎖してのデモ活動を行っていた。その渋滞のせいでデボラと娘はハリーの刑務所に面会に行くことができず、刑務所暮らしで病んでいたハリーは翌日自殺してしまったのだ。しかもその後デボラは、デイヴィッドがデボラの店でステーキを食べているところを目撃する。環境活動家でありヴィーガンであると公言していたのは、単なるポーズだったのだ。そのことにより、デボラはデイヴィッドへの殺意をますます強くし、殺害に至ったのだった。
このシリーズの魅力は掴みどころのない探偵ホーソーンと、それに振り回される〈わたし〉とのかけ合い。関係者一人一人を当たっていく王道かつクラシカルなスタイルの中で、ホーソーンの知られざる過去にも迫っていく。被害者がホーソーンを演じていた俳優ということで、容疑者の幅が被害者本人だけでなくホーソーンの周囲にまで広がる点が面白い。ホーソーンを恨んでいた人物にスポットが当たることでホーソーンの過去に自然と話がスライドしていくため、シリーズものとしての深みがより一層際立っている。 -
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野宮さんの作品は初めてでした、そしてつい最近まで伊坂さんの殺し屋シリーズを4冊読んでいたので、そのお二方の作品の棲み分けに面白みを見出せました。
こちらの作品は展開としては、まるで半沢直樹のような、ドラマのような、中ボス - ラスボスと倒していくステップがとても軽妙でした。とても300ページ強とは思うないくらい濃密でした。その中で20名以上の登場人物を用意し、かつ各々ものすごくキャラクター性豊かで一度姿を思い浮かべたら忘れることがないような、そんな真剣味とユーモアに溢れたキャラたちでした。
次作もじきに読んでみようと楽しみになりました。 -
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ネタバレ精神的なことながら、とても理解しやすい内容だった。少年が夢でみた宝物を探して砂漠を旅して、砂の一粒に全てを感じたのと同じように、自分自身の人生の中で石ころひとつに対して敬意を払い、素材について探求してきたことに親和性を感じる。金属やマテリアルを扱いジュエリーを制作している時の私の人生はこれによく似ている。精神的な事象と物質的な事象を同等に誠実に扱うこと。
最後、少年が夢に見た宝物はピラミッドではなく、もともと自分のいた始まりの場所にある。いま目の前にないものを"探しにいく"ことが人と出会い、人生の知恵や発見や気づきを増やし、愛する人を見つけて、仲間と共に旅をすることを与えてくれた。「大切なものは欲しいものよりも先にきた」これにつきる。 -
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河井道の史実を元にした小説
柚木麻子さんの母校 恵泉女学園中学・高等学校の創立者 河井道
その道とシスターフッドとして支え続けた一色ゆりとの絆を描いた、ある意味で女子大河小説
柚木麻子さんは、実際に在学していた90代の方々にも取材をしたそうな
そして皆、戦時中でも学校が「楽しかった」という
そんな学校の設立の経緯と運営のあれこれ
河井道と一色ゆり
冒頭は、一色乕児が渡辺ゆりにプロポーズするところから始まる
河井道とはシスターフッドなため、自分と結婚するという事は河井道とも一緒に暮らすということ
そんな条件を受け入れて結婚した乕児も、当時としてはかなりの変わり者のように思える
シスターフッドとは、イエス・キリストのもとに集う姉妹、つまりは血縁関係を持たない女性同士の絆の事
そんな二人が理想の女学校を立ち上げた経緯と、その後の運営のあれこれが描かれている
河井道は三重県生まれで神職の娘
父が友人への資金トラブルで信頼が失墜し、北海道に移住
父がキリスト教に傾倒して改宗
そこで出会った新渡戸稲造に見出され、アメリカ留学のため、女子留学を支援するという津田梅子の元に行く
ブリンマー大学卒業後は津田梅子の女子英学塾時代で勤務
そこで、生徒であった一色ゆりと出会い、押しかけ女房的に同居する事になる
主人公は河井道だけれども、実在する関係者も多数登場するし
河井道が津田梅子の一番弟子のような立場のため、日本に於ける女性の自立に関するエピソードが多数
津田梅子の学校の生徒達で有名な人もいるし、他にも実在の人物が多数登場する
平塚らいてう
山川菊栄
神近市子
伊藤野枝
広岡浅子
村岡花子
市川房枝
柳原白蓮
それぞれで本になる、むしろそんな本が存在しているような面々
正に、日本のフェミニズムのアベンジャーズのような作品
男性でも、新渡戸稲造、有島武郎、野口英世、ロックフェラー、ボナ・フェラーズ、太宰治、白洲次郎など
河井道はとにかく目的意識がはっきりしていて、そのためには諦める事がない
お金はないし、時には計画性もない
だが情熱はある
女子教育という灯りを絶やさない決意を感じる
戦時下でも強かに学校を存続させる対応をする
国策と女子教育との狭間で、のらりくらりと抜け道や言い訳で生徒達の安全と生活を守ろうとする
「学園だけは楽しく」「それが私たちにできる戦い」だと生徒達を励ます
題名の「らんたん」は津田梅子も留学していたブリンマー大学の行事に由来する
先輩が後輩にランタンの火を継承する儀式
上級生から下級生に知識の象徴として継承されるランターンの火
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らんたんの灯を絶やさないで。それは教育という名の希望なのだから──。
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光をシェアして社会を明るく照らしていこうという指針
当時、女学校と言えば良妻賢母という教育が基本だった中
ひとりの人間として生きるための女学校が必要だと尽力した河井道
作中で、度々シスターフッドの理念が出てくる
「女が手を取り合わなければ、男たちはすぐ戦争を始めてしまう」
「女たちが手を取り合えば男たちは戦争ができなくなる」
多分、こういった事が一番言いたかった事なのかと感じた
執筆の経緯としては、近所の屋敷からそこに住む老婦人の話を思いついて執筆したのが「マジカルグランマ」
そしてその屋敷は、実は母校の創立者である河井道と一色ゆりの暮らした一色邸である事を知る
そこで河井道についての話を書こうとして母校の資料室に出入りしていたが、コロナ禍のためそれもできなくなる
しかし、母校に入れなくなっても、他の偉人の記録を調べると河井道の記述が見つかるという
あと、子供を連れて行ける取材先がないけれども
「子どもが泣き声を出せない場所は、どこかいびつで変なのよ」という作中の言葉の通り、母校では子供の泣き声が迷惑ではないという理由もあったようだ
解説は村岡花子の孫の村岡理恵
作中に登場する関係者に解説を依頼できるのも、史実を元にした小説ならではですね
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この灯は、「妻」や「母」ではなく、「私」のためにある。
明治・大正・昭和の女子教育を築いた女性たちを描く大河小説!
世界中が熱狂する『BUTTER』著者の原点がここに――。
らんたんの灯を絶やさないで。それは教育という名の希望なのだから――。伊勢に生まれた河井道は、札幌で新渡戸稲造に学び、米ブリンマー大学に留学、帰国後は津田梅子が創設した女子英学塾で教えた。良妻賢母ではなく、ひとりの人間として生きるための女学校をつくろうと、道は教え子の渡辺ゆりと奔走する。明治・大正・昭和の女子教育を築いた〈魂の姉妹〉を描く、輝きに満ちた大河小説!(解説・村岡恵理)
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Posted by ブクログ
2026.9.14
良かったー!!すっごく良かったーー!!!
またまた中国語学科だった大学生の頃を思い出しちゃった。あの頃中国語を覚えるためもあって、日本で上映される中国の映画を見に行ってたなー。すーーんごい小さな映画館でしかやらないんだけど、中国の大革命の頃を題材とした映画だったけど…あれ…今考えるとよく映画化できてたなぁ…改革開放時代だったから良かったのかしら…今だとダメな気がするなぁ…なんとなく……
ソ連の粛清の下りは、その映画やその頃を書いた書籍が思い起こされたよ。
大学の中国語の先生(中国人)から、私が買った大革命で粛清にあって生き延びた方が出版した手記の本を見て、貸して欲しい!って言われたのを思い出すなぁ。日本でしか見れないから読みたい!って。
その本の著者も大丈夫だったんだろうか…かなりな事が書いてあったんだけど…外国で出版してたから大丈夫なのかな…
ロシアの歴史を勉強したくなったよ!
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