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「Hマート」は、アジアの食材を専門に扱うアメリカのスーパーマーケット。人々が「故郷のかけら」や「自分のかけら」を探しにくるところ。韓国人の母とアメリカ人の父のあいだに生まれたザウナーは、アイデンティティに揺れる十代のときに音楽活動にのめりこみ、猛反対する母親とは険悪な関係に。それから十年、やっとわだかまりがとけかかったころ、母親の病気が発覚。辛い闘病生活の末に母は亡くなってしまう。喪失感から立ち直れず、途方にくれていた彼女を癒してくれたのは、セラピーでも旅行でもなく――韓国料理だった。ミュージシャンとしても活躍するミシェル・ザウナー(ジャパニーズ・ブレックファスト)のメモワール。
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Posted by ブクログ
自宅のカウチで泣きながら、読みました。
アメリカ人の夫を持ち、日米ミックスの子どもたちを持つ自分にとって、とても他人事とは思えない手記。この辛く尊い体験を我々にシェアしてくれてありがとう、と著者に伝えたい。
著者のオンマのように、自分は日本の食文化を子どもたちに継承することができるだろうか? レシピだけじゃなく、「風邪のときには松の実のおかゆ」「後でお腹がふくれるとわかっていても食べてしまう寒空の下の焼き栗」のような、シチュエーションやエピソードに紐づいた食の文化を? うちの子たちは、アメリカンなごはんばかり食べているので。
19章に、「母はわたしの守護者(チャンピオン)、わたしの記録保管庫(アーカイブ)だった。」という一文が出てくるけど、母は韓国文化の守護者、記録保管庫でもあったんだなと思う。母がいなくなると、子はその文化にアクセスできなくなる。祖国の言葉も忘れ、祖国に残った家族とのつながりも断たれる。だから自分が死ぬ前に、アーカイブを子どもに移さないといけない。それは親子だけのパーソナルな関係でなく、もっと長期的・社会的に考えなければいけない問題でもある。
とはいえ、「今は英語で会話している自分も、病にふせったら日本語が中心になり、日本食だけを求めるようになるのかな?」と不安になり、ちゃんと看病してもらえるように夫と子どもに日本語教育しないとな……などと、個人的思惑も十分にかき立てられる。うちの夫なんて、風邪のときはベーコンエッグとか作ってくるもの。
そんな、社会的にも個人的にも捉えられる壮大な手記でした。
この物語がアメリカで大ベストセラーになったのも、アジア系としては嬉しい。今度アメリカへ行ったときは原著を入手しよう……もちろん翻訳も素晴らしかったけども。英語の本なのに韓国語の固有名詞が多くて訳すの大変だったろうな。訳してくださり、ありがとうございました。
Posted by ブクログ
人気急上昇中のバンドJapanese Breakfastのボーカリストでもあるミシェル・スナウザーさんののエッセイ。友人に勧められて読んでみました。
米韓ミックスで米国生まれ育ちの著者と、韓国人のお母様との関係をが軸になっている一冊。韓国系スーパーやyoutuberの韓国料理レシピを通して著者は母の人生をトレースし、自分の中の母、自分の中の韓国人としての要素を見出そうとする。
他地域がそうではないとは言わないけど、やっぱり特に日本や韓国、中華圏、アジアでは家族や親子、愛情の象徴となるのは食べ物だよね。翻訳の妙もあって美味しそうなご飯の描写がとても印象に残った。
中盤ではお母様が癌に倒れて亡くなるまでの過程を結構生々しく描写していて、癌の罹患率が高い日本の人にとっては読むのがしんどかったり、自分の家族や自分自身もこうなるのかも…と思わず想像してしまう(私はそうなった)。
でも私にとって涙が出そうになったのはその場面ではなく、Japanese Breakfastが成功してアジアツアーを回ることになり、韓国でライブや打ち上げを楽しむ様子や、おばのナミとのやりとりだった。親は子どもの記憶の中で生きているし、言い換えれば亡くなった人は生きている人の記憶の中で生きている。
私の母はケーキやおせち料理、クリスマスディナー、誕生日などはいつも自分で作って家族に振る舞ってくれている。幸いまだ元気だけど、老いや病で動けなくなる前に作り方を教えてもらおうと思った。
ー
★時間とお金のムダ
★★普通〜微妙
★★★よかった
★★★★心が動いた(感動した、意表をつかれた、ショックだった)
★★★★★人生の本棚に入れたい
Posted by ブクログ
これは友達に勧めてもらった本。最初はなかなか流れに乗れなくて読み進められなくて、面白いんかなーなんて疑いを持ってしまったけど。とんでもない。疑うのが愚かな行為だって思わされるほど、親子の関係について、親子の関係にどれ程深く「食」というものが絡み合ってるか、また子への母の愛情の深さ(もちろん、父の愛情もあるだろうけど、この本は母がメイン。)があるのか再確認させてくれた。私の母はまだまだ健在だし、元気いっぱいだけど、いつかの別れについて考えさせてもくれた。命あるもの、いつか朽ち果てる。たまにこういった本を読まないと親は永遠ではないことを忘れてしまう。
親子の関係については、とにかくこの2人はファンキーだった。全体を通してファンキー。特に、お母さんの方が物凄い強烈。だけど、読み進めると、娘もなかなかしっかり強烈で、親子だなって感じがする。
そして、この話の肝、親子関係に絡んで美味しそうな母の手料理の話がたくさん。韓国料をたくさん知らないけど、ぜひ食べてみたいなってご飯がたくさんあった。それと同時に、やっぱりどの国でも母の料理の偉大さ、自分を作った母の味は一生物なんだなって。読み進めながら、自分の母親のご飯が恋しくなった。なんで今私は母のところにいないんだって何度も思った。何度も大好きな母の料理を思い出した、他人の母の料理なのに。それくらい色こく親子関係に「食」が韓国のカルビのタレみたいに絡み合ってた。
ちなみに、彼女のお母さんが彼女にブーツを贈った話の時はもう涙が溢れそうになった、通勤ラッシュの満員電車で。
とにかく、母は偉大なんだな。私は今のところ、母になる予定はないけど、なるならちょっとこのお母さんにみたいにファンキーで自分の母みたいに愛と優しさに溢れた感じになりたいな。
Posted by ブクログ
声をあげて号泣した一冊。父の書斎に置いてあったのを何気なく手に取り読み始めたが、3時間夢中で読み切ってしまった。素晴らしい翻訳による韓国料理の描写にお腹を空かせつつ、もう若くはない自分の両親を大事にしようと思える本だった。
カナダに留学中Hマートにお世話になっていたので、懐かしく感じたり、またルーツが韓国にある自分にとってはジョンやわかめスープなどの韓国料理や家族間の韓国文化など、馴染みの深い話が多かった。それもあって余計に感情移入してしまったのかもしれない。
アメリカに住む韓国人ハーフとして、多感な思春期には自分の韓国人の部分を隠そうとしたり、逆に韓国に訪れる際には自身に韓国の血が流れていることを証明する部分を探してアピールする主人公が、自分を客観的に描写されているようで少し心がザワザワした。
そして何より、主人公と母の関係がリアルで、自分と重ねてしまった。何歳になっても、親に褒められたい・認めてほしいという気持ちが自分にもあるのかもしれないなと思った。
キムチ、作ってみたい。
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