【感想・ネタバレ】Hマートで泣きながらのレビュー

あらすじ

「Hマート」は、アジアの食材を専門に扱うアメリカのスーパーマーケット。人々が「故郷のかけら」や「自分のかけら」を探しにくるところ。韓国人の母とアメリカ人の父のあいだに生まれたザウナーは、アイデンティティに揺れる十代のときに音楽活動にのめりこみ、猛反対する母親とは険悪な関係に。それから十年、やっとわだかまりがとけかかったころ、母親の病気が発覚。辛い闘病生活の末に母は亡くなってしまう。喪失感から立ち直れず、途方にくれていた彼女を癒してくれたのは、セラピーでも旅行でもなく――韓国料理だった。ミュージシャンとしても活躍するミシェル・ザウナー(ジャパニーズ・ブレックファスト)のメモワール。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

母への愛と喪失が、料理の記憶を通して静かに積み重なっていく本だと感じました。
キムチやスープ、Hマートでの買い物の場面など、丁寧に描かれた料理の描写一つ一つに、作者の母への愛を感じました。食べ物の記憶をたどることで、母の存在が鮮やかによみがえるように感じました。

0
2025年11月22日

Posted by ブクログ

読みやすさ★★★★★

セラピーとしての料理。キムチ作りがこんなにカタルシスのある作業に感じるとは。

0
2025年06月10日

Posted by ブクログ

人気急上昇中のバンドJapanese Breakfastのボーカリストでもあるミシェル・スナウザーさんののエッセイ。友人に勧められて読んでみました。

米韓ミックスで米国生まれ育ちの著者と、韓国人のお母様との関係をが軸になっている一冊。韓国系スーパーやyoutuberの韓国料理レシピを通して著者は母の人生をトレースし、自分の中の母、自分の中の韓国人としての要素を見出そうとする。
他地域がそうではないとは言わないけど、やっぱり特に日本や韓国、中華圏、アジアでは家族や親子、愛情の象徴となるのは食べ物だよね。翻訳の妙もあって美味しそうなご飯の描写がとても印象に残った。

中盤ではお母様が癌に倒れて亡くなるまでの過程を結構生々しく描写していて、癌の罹患率が高い日本の人にとっては読むのがしんどかったり、自分の家族や自分自身もこうなるのかも…と思わず想像してしまう(私はそうなった)。
でも私にとって涙が出そうになったのはその場面ではなく、Japanese Breakfastが成功してアジアツアーを回ることになり、韓国でライブや打ち上げを楽しむ様子や、おばのナミとのやりとりだった。親は子どもの記憶の中で生きているし、言い換えれば亡くなった人は生きている人の記憶の中で生きている。

私の母はケーキやおせち料理、クリスマスディナー、誕生日などはいつも自分で作って家族に振る舞ってくれている。幸いまだ元気だけど、老いや病で動けなくなる前に作り方を教えてもらおうと思った。


★時間とお金のムダ
★★普通〜微妙
★★★よかった
★★★★心が動いた(感動した、意表をつかれた、ショックだった)
★★★★★人生の本棚に入れたい

0
2024年12月05日

Posted by ブクログ

親の介護と死に向き合うことがいかに辛いことか、当事者のリアルな視点から語られており思わず感情移入してしまった。迷惑をかけた母親への後ろめたさと母親の力になりたいという思いの間で揺れる主人公の葛藤が伝わってきた。

0
2024年09月04日

Posted by ブクログ

めちゃ泣いた。東アジアの文化と個人主義な西洋社会で自己が板挟みになって辛い。エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスが思い浮かんだ。

0
2024年08月09日

Posted by ブクログ

これは友達に勧めてもらった本。最初はなかなか流れに乗れなくて読み進められなくて、面白いんかなーなんて疑いを持ってしまったけど。とんでもない。疑うのが愚かな行為だって思わされるほど、親子の関係について、親子の関係にどれ程深く「食」というものが絡み合ってるか、また子への母の愛情の深さ(もちろん、父の愛情もあるだろうけど、この本は母がメイン。)があるのか再確認させてくれた。私の母はまだまだ健在だし、元気いっぱいだけど、いつかの別れについて考えさせてもくれた。命あるもの、いつか朽ち果てる。たまにこういった本を読まないと親は永遠ではないことを忘れてしまう。
親子の関係については、とにかくこの2人はファンキーだった。全体を通してファンキー。特に、お母さんの方が物凄い強烈。だけど、読み進めると、娘もなかなかしっかり強烈で、親子だなって感じがする。
そして、この話の肝、親子関係に絡んで美味しそうな母の手料理の話がたくさん。韓国料をたくさん知らないけど、ぜひ食べてみたいなってご飯がたくさんあった。それと同時に、やっぱりどの国でも母の料理の偉大さ、自分を作った母の味は一生物なんだなって。読み進めながら、自分の母親のご飯が恋しくなった。なんで今私は母のところにいないんだって何度も思った。何度も大好きな母の料理を思い出した、他人の母の料理なのに。それくらい色こく親子関係に「食」が韓国のカルビのタレみたいに絡み合ってた。
ちなみに、彼女のお母さんが彼女にブーツを贈った話の時はもう涙が溢れそうになった、通勤ラッシュの満員電車で。
とにかく、母は偉大なんだな。私は今のところ、母になる予定はないけど、なるならちょっとこのお母さんにみたいにファンキーで自分の母みたいに愛と優しさに溢れた感じになりたいな。

0
2024年02月05日

Posted by ブクログ

声をあげて号泣した一冊。父の書斎に置いてあったのを何気なく手に取り読み始めたが、3時間夢中で読み切ってしまった。素晴らしい翻訳による韓国料理の描写にお腹を空かせつつ、もう若くはない自分の両親を大事にしようと思える本だった。

カナダに留学中Hマートにお世話になっていたので、懐かしく感じたり、またルーツが韓国にある自分にとってはジョンやわかめスープなどの韓国料理や家族間の韓国文化など、馴染みの深い話が多かった。それもあって余計に感情移入してしまったのかもしれない。

アメリカに住む韓国人ハーフとして、多感な思春期には自分の韓国人の部分を隠そうとしたり、逆に韓国に訪れる際には自身に韓国の血が流れていることを証明する部分を探してアピールする主人公が、自分を客観的に描写されているようで少し心がザワザワした。

そして何より、主人公と母の関係がリアルで、自分と重ねてしまった。何歳になっても、親に褒められたい・認めてほしいという気持ちが自分にもあるのかもしれないなと思った。

キムチ、作ってみたい。

0
2024年01月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

二年前くらいになんとなく聞いていたNPRで紹介されていて、気になっていた本。日本語版が出ているなんて知らなくて、たまたま見つけて即買い。

著者はいわゆる二世で、アメリカ人とのハーフ。
母親は韓国からの移民。
いわゆる反抗期から親との距離は精神的にも肉体的にも離れるが、ある日突然母が末期がんと知る。


一世が祖国の味を恋しく思うのはあたりまえだけど、特に母親の味というのはこうやって次の代にもつながっていくんだなぁ。
私の夫は四世にあたるけど、やっぱり二世三世と続いてきた味とそれに関連する想い出はいろいろあるみたい。

それにしても、これは涙なしには読めない。
お母さんって何なの?
海外で初めて暮らし始めた時に、バラバラな出身のみんなでそんな話で盛り上がった。どこの国のお母さんも、おなじような、ハハオヤという種類の生物なんだ。
"母は私のアーカイブだった。(中略)その母がいなくなり、こうしたことを聞ける人もいなくなった。記録されなかった事がらは母とともに死んでしまった。"

"あなたに本当のことを話すのはお母さんだけ。なぜってあなたを本当に愛するのはお母さんだけだから。自分の十パーセントは自分のために取っておきなさい。(中略)万が一のとき、頼れるものがあるように。お父さんにだって全部はあげない。"

お母さんってどうして子供や周りの人の、どうしようもないような細かーいことばかりなぜか覚えてて、そうか、それも愛なんだ。
"今Hマートで食事をしている人たちの、どれくらいが家族を恋しがっているのだろう(中略)わたしみたいに人生から永遠に失われてしまった人を恋しく想いながらご飯を食べているのはどの人?"

筆者のお母さまがご自身のお母さまを亡くされたところが、心がえぐられました。
家族・親と離れて暮らすのは、それが自分の選択でも、つらいですよ。親と国を残して、何年も何十年も・・・。
"あの時の私はまだ喪失の淵のこちら側にいて、向こう側には足を踏み入れたことがなかった"

親元を離れて初めて親のありがたさが分かる。。。多くの人が一人暮らしで経験することだと思う。ない人もいるけど、反抗期があって、うるさいな、ほっておいてよ、友達といるほうがいい・・・そんな態度をとり続けておいて、ころっとそう思えるのは子供だけで、親はしこりがあるんだろうか。


筆者のアイデンティティのゆらぎ?も面白い。
アメリカで生まれ育ち、白人からは白人として扱われず、韓国に行けば韓国人として見られない。(これも夫が前言ってたな・・・)
ずっとアメリカに溶け込みたかったのに、アメリカに居場所が欲しかったのに、お母さんの看病をするお母さんの韓国人の友人と一緒にいると自分を韓国人と認めてほしくてたまらない。お母さんの言葉、お母さんの家族の言葉、文化をわかりたい。
母の家族といても、沢山言いたいこと、伝えたいことがあるのに、それを韓国語にできない。


それにしても、彼氏(のち旦那さん)、良い人だなぁ。
そして、お母さんの最後まで苦しみながらもたくさんそばで過ごせたのは、言葉が適切かわからないけど、羨ましい。


お母さんを喜ばせようと必死に頑張った韓国料理
お母さんを亡くし、その料理に支えられる。


どんな高級なレストランの味よりも
お母さんが忙しい朝にばっとつくってくれた海苔段のほうが記憶に残り、あたたかく、おいしい。
料理があまり徳ではないおばあちゃんが、食パンを切ってバターでいためただけのおやつが、なつかしい、おいしい。
そんな料理が誰にでもあるはず。
この本を読みながら、どんなひとも自分の家族に思いをはせて、目頭を熱くするんじゃないかと思う。


私はまだ淵のこちら側だけど
いつか来るその日のことを考えてしまった。

一番近いのに
一番強く反発することもある

一番愛しているはずなのに
一番わかっていなかった人かもしれない

"痛みを散らしてあげたい、お母さんへの愛を証明したいと、これほど切に願ったことはなかった。添い寝をし体をぴったりと押し付けて、苦しみを吸い取ってあげられたらどんなにいいか。人生は子どもに、親を想う気持ちを証明するチャンスを与えるべきじゃないか"


訳(雨海弘美さん)も素晴らしいです。

0
2023年12月01日

Posted by ブクログ

移民であること、故郷とはなにか、属しているものとは、と色々考えさせられるが、著者の母親の闘病生活が辛すぎてしんどくなる人もいると思う、どうしたって自分と母親との関係が重なってしまう しんどいのだけれどグイグイ読ませられる

食べ物とは記憶であり、思い出であり、会話のツールであり、人との繋がりであるものだなと 

おそらくまたある時に紐解くであろうなと思わせる本 でもそれが遠く遠く先であることを望む本

0
2023年08月16日

Posted by ブクログ

先にJapanese Breakfastとして知っていたが、文才もすばらしいとは!過度にエモいわけではない、とてもみずみずしい筆致。

「母親」と「食物」という、人がどうしても逃れられない根源にとことん向き合う若さと勇気と、その先に至った悟りや郷愁のようなものが、作品全体に充満している。さらにそこに彼女自身のブレイクまでの道のりが重なり、まさに「生きざま」を映すような唯一無二の作品になっていると思う。

わたしは母であり娘でもあるので、ずっと涙腺が刺激され、胸がしめつけられるようだった。パートナーであるピーターの人となりも最高。

0
2023年07月13日

Posted by ブクログ

景色や音楽から記憶が甦り胸がヂリヂリした経験ならあったが味にも同じ効果があるんだなという発見

体がちぎれそうな程の苦しみや悲しみが描かれつつも
こんなに愛しくてたまらない本に出会えた事に感謝

親になんとか元気になってもらえる、喜んでもらえる為にと自分の一生で一番とも言える大きな決心をするというのは思い当たる記憶が自分にもあるのでこれをある種のあるあるという枠に入れるには抵抗があるが
今差し出せる精一杯の"何か"がそれにはあると信じる
気持ちはよーく理解できる

バンドの方から先に知り出版した本がベストセラーになったという話しは知っていたが、これほど胸を打つとは。なるたる幸せな読書時間を過ごせたのだろうと思い返すだけで数々の場面を思い出してはまた泣ける

0
2023年06月02日

Posted by ブクログ

料理や音楽は人と人の関係を繋ぐ存在であり、またセラピーともなりうる

ナミは私の母にはなれないし、私もナミの妹である母にはなれないけれど、その次に大切な人になることはできる

0
2023年02月26日

Posted by ブクログ

実家を出て、両親との距離感がうまく掴めるようになった。特に母との関係は、前よりもずっとずっと良くなったし、前よりもさらに母のことが大好きになった。
それなのに、両親は着々と歳をとっていて、私は着々と大人になっていて、いつか両親がいなくなることを否が応でも考えざるを得ない年齢になってしまった。
私が生まれてから、ずっと私を見守ってくれた両親。そんな2人がいなくなっても、私の人生が続くなんてとても想像ができない。

そんなことを考えていた頃にこの本を手に取った。
著者の苦労と悲しみは、いつかのわたしが経験するものなのだと思いながら読んだ。
第一章を読んでいるときから涙がどんどん溢れた。

大事な人を失った喪失感を深めるのも、その喪失感を慰めるのも、その人との思い出なのだと思う。

著者と叔母の関係性が、とても美しくて、とても切なかった。


著者と同じように、わたしも思春期の頃、母に当たったこと、ひどい態度をとっていたことを思い出した。「そんなことがあったけど、いまは良好な関係だ」とわたしはのほほんと構えていたけど、母には、この本のお母さんと同じように、顔に出さないだけでしこりが残っていたりするのだろうか。

0
2023年01月24日

Posted by ブクログ

通勤電車ではぐっと涙を堪えたけど、YouTubeのバンド公式ビデオで彼女とお母さんの写真を交えたPVをみてもう我慢できず。
エネルギーを遣い果たし、昼メシは韓国料理にしようと思いました。

0
2022年12月13日

Posted by ブクログ

読みやすいエッセイだけど、内容がとても重くて後半は特に辛かった。けれども同じくらい韓国料理の魅力も詰まってて読み終わった後はずっと家で韓国料理を作ってました。国は違えど色んな魅力に気付ける素敵な作品でした。

0
2025年09月29日

Posted by ブクログ

韓国人の母親と米国人の父親の間に生まれた著者は、米国で育ち歌手としてデビューしグラミー賞にもノミネートされた。そんな著者が、癌で亡くなった母親との関わりや、その苦しい闘病を支えた記憶や、自身の半分は韓国ルーツであるというアイデンティティなどを綴っている。
亡くなった人との繋がりが、食べ物を介して深く描かれる。

0
2025年08月15日

Posted by ブクログ

悲しくて、読んでるうちに涙が出てくる本だった。

全てを犠牲にして育ててくれた母親に対して、
自分の全てを犠牲にして母の面倒を見る娘の関係を見て、自分はこれができるのか
同じようなことがもし自分にあったらどうするか考えた。

0
2025年06月09日

Posted by ブクログ

米国の女性ミュージシャンが、韓国人の亡き母を偲んでものしたエッセイをもとに連作小説に。
ちょうど亡母の8回忌に読んでいたので…もう…思春期あたりに断絶があったことも含めて共感の涙涙。
記憶に残る母の味、癌と闘う母のために作る料理、伯母や母友の滋味あふれるごはん…泣きながらおなかがへるのです。
辻仁成が男手ひとつで息子を育てる助けとなったのは料理だったし、『検屍官』シリーズでスカーペッタが捜査の合間に作るのは凝ったイタリアン。料理することって、人を救うよね。

0
2022年11月29日

Posted by ブクログ

3.5 日本の在日韓国人の思いとも重なるルーツと向き合うアメリカ人ダブルのエッセイ。時代は流れても、ルーツと向き合うことで、解放されていく姿は清々しい。

0
2023年02月27日

「ノンフィクション」ランキング