ブックライブの高評価レビュー

小説・文芸の高評価レビュー

  • 私が大好きな小説家を殺すまで

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    ネタバレ

    梓は小説家の先生のことが好きで、先生も梓のことを好きで。だけど、先生のスランプと梓の才能、信仰が2人の関係を変えてしまった。
    先生が本当に梓の家族の代わりになろうと思っていたこと、互いを大切に思う気持ちは本物だった。最後までずっと。
    迎える結末はあまりにも救われなくて、でも2人が出会った瞬間からこの結末は決まっていたのかななんて考えてしまう。
    初めてのデート、小学校の卒業式、梓が小説を持ってきた日。先生視点があったら間違いなく数週間は引きずってた。

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    2025年11月30日
  • 世界99 下

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    村田沙耶香さん初の上下巻の長編は、ただただすごかった
    下巻では世界がリセットされ「汚い感情」のないクリーンな世界
    性欲処理や出産、汚かったり命がけな仕事をピョコルンが引き受けてくれるから心はクリーンでいられる世界
    ウエガイコク、シタガイコク
    恵まれた人、クリーンな人、かわいそうな人、最後には見えない人
    かわいそうな人のもっと下に見えない人…
    なんでこんなに穏やかな優しい口調でグサグサ刺してくるんだろう…
    人間のグロテスクさを、この穏やかな優しい口調であらわにされ、こちらの心は終始混乱するのだけれど、この長編を締めくくるラストの壮大な『儀式』では、自分が空子になったかのように静かな気持ちで没入で

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    2025年11月30日
  • 十角館の殺人〈新装改訂版〉

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    ネタバレ

    大学のミステリー研究会のメンバーが孤島にある「十角館」に行くと、そこで連続殺人が起こる。本土と島で展開するストーリーが絡み合い、謎が明らかになっていく。

    前に読んだことがあったのに”あの一行”を忘れてしまっていた。久しぶりに読み返し、人生2度目の衝撃。ある意味忘れていたことが幸運だったかもしれない。

    館シリーズの他作品を読んでみたい気持ちもありつつ、本の厚さにビビってる自分もいる。気が向いたら読みたい。

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    2025年11月30日
  • 細長い場所

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    絲山秋子さんらしく、また、絲山秋子さんらしからず……ファンとしてうれしい作品だし、ここちのよいさびしさを味わえる

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    2025年11月30日
  • 赤と青のガウン オックスフォード留学記

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    だいぶ前に話題になっていた本を積んでいたのを、ようやく読んだ。もちろんオックスフォードでの苦労話が主なのだけれど、日本での皇族としての暮らしや父親との関係なども書かれている。随所に笑えるエピソードが入っていて、著者とそれを取り巻く人たちに親しみを感じる構成になっている。法隆寺の壁画の模写の発見エピソードなんて、それだけで一冊書けるんじゃないかと思うのに、次の章では、英国での生活の話に戻ってしまうブレのなさ。ベストセラーになるのも納得の面白さだった。

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    2025年11月30日
  • 時をかけるゆとり

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    インザメガチャーチを読んでからの時をかけるゆとりでした。朝井リョウってこんな面白い人なの!?電車や休憩時間に読むべきじゃなかった。本を読んで笑ったのは初めてでした。

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    2025年11月30日
  • 波乱万丈な頼子

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    なんだかなぁ。真梨さんの本は癖になる。とりあえず新刊が出れば手に取ってしまうこの強い引力に抗えない。今作の人間関係は、ちょいややこしいぐらいで初期の作品からは考えられないぐらいややこしくない。我ながら変なこと言ってるな。七十代の頼子という女性が、自分の困窮した生活や波乱に満ちた人生を語る動画がバズっている。どこまで本当なのか「物乞いビジネス」や「余命ビジネス」と呼ばれるものが実在するのか。そんな頼子に好奇心から探りを入れる莉々子。そして事態は取り返しのつかない様相に。推し活で救われるなら否定はしないが…。

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    2025年11月30日
  • ムーン・パレス(新潮文庫)

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    ジーンと心に染み入るような感動のある小説でした。
    悲劇に振り回されながら生きる登場人物たちはとても人間味があり、僕はなぜか読んでいて救われる気持ちになりました。
    登場する3人の男たちは、ある意味悲劇でつながっている深い関係だと思いました。
    不思議と読後感がとてもよい小説でした。
    また、このような小説を読みたいです

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    2025年11月30日
  • 隣人の愛を知れ

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    大好き。

    この作品が伝えたかった核心は、“当たり前だと思って見落としている他者の優しさや愛に気づくことの大切さ” なのかも知れない。

    作中で描かれる愛は、恋愛・情熱・大きな犠牲のような派手なものではなく、
    そばにいてくれること、見守ってくれていること、存在を認めてくれること といった静かな形。

    題名にある、隣人とは単なる隣に住む人ではなく、
    家族でも親友でも恋人でもないけれど、自分を救っていたり、気づかないうちに支えてくれている存在。

    この物語は、相手が愛を“くれるか”ではなく、自分が愛を“知れるか・感じられるか”の物語 。

    みんな愛し、愛され、繋がっている。
     

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    2025年11月30日
  • サンクチュアリ

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    ネタバレ

    新興宗教の教義VS正義。
    信じるものは救われるというけれど、信じているものが世界の通として外れているものであれば、どちらを信じるのか。信者は盲目的に教義を信じる。一つ一つの話が独立しているように見えて、最後のエピソードにかけて集約していく作品で、見事の一言。

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    2025年11月30日
  • 禁忌の子

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    久しぶりに一気読みした。ミステリーが絡み合う展開で最後の方はスリリングに展開が進み楽しめた。最後はそうなるしかないかと納得。センシティブな観点もあるがフィクションとしてよかったです。

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    2025年11月30日
  • 百鬼夜行 陰(全)【電子百鬼夜行】

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    憑き物が落ちる前。
    百鬼夜行シリーズの補完に当たる作品だけど、私はこちらの最後まで靄がかかった世界観の方が好き。
    本編→短編よりも、短編→本編の方がこの小説の世界観にどっぷり浸れる。

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    2025年11月30日
  • チョコレート革命

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    あとがきを読んで、チョコレート革命とはそういうことか!と
    日本語の曖昧さが活きる歌がたくさん
    不倫は私にはわからなく、誰かを傷つけたくはないけども、自分のための記録として記すならば、そこにある気持ちは普通の恋愛のように感じてしまう

    サラダ記念日に衝撃を受けて読んだこちらも良かったけど
    最初に読んだもののほうがインパクト強く感じてしまう
    時間が経てば、自分のコンディションが変わればまた感じ方も変わるかな

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    2025年11月30日
  • 読書について 他二篇

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    春日まほろさんの本棚より選書

    とても良い本に巡り会えた。思索、著作と文体、読書について、の三篇からなる本書はどれをとっても「知」にたいする凄まじいまでのこだわりを感じた。

    天才ゆえの思想なのだが、学者や著述家、出版者や評論家を次々に腐す言葉の数が圧倒的量にのぼり、読み始めは少し不快に感じた。人の悪口を聞いて気持ち良い事はない。言葉のプロフェッショナルによる罵詈雑言は凄い。

    しかし読み進めると、ドイツ語を愛しているからこそ、失われていく文体を嘆き、文学を扱う人々を批難する理由には一応納得がいくし、「言葉が貧しくなれば思想も貧しくなる」もその通り。

    以下は本文中から掬いとり噛み締めたい箇所

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    2025年11月30日
  • 絶縁病棟

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    安定の面白さ
    周りからは幸せと思われても、辛い。検査しても悪いところは見つからない。そんな3人が神田川病院でキワミ先生と出会い、キワミ先生は、不思議な聴診器を通して、患者の心の中の問題を探っていく。そして、手書きの処方箋。題名の絶縁は、自分に害を及ぼすものは切っていくというもの。もしかしたら私にも切るべき縁があるのかもしれない。それを切れば、肩こりが治るかもと思いました。

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    2025年11月30日
  • 森にあかりが灯るとき

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    たまらなく響いた。介護士の星矢はもちろん、施設長の福見、配置医の葉山、看護師の古瀬、利用者さんたちそれぞれの切実な現状と思いが、単に是非とか善悪とかを問うのではなくて丁寧に編まれる。介護に対して他人事だった若きころ、両親が衰えて自分なりに寄り添ったつもりでいた先ごろ、そして介護をはっきり我が事として感じ始めた今日このごろ。あれほど気丈夫だった父母が老い先を案じて気弱になったとき、ひたすら励まして気力を奮い立たせようとしたあの対応をここに省みる。この手の本にはもう少し早く出会っていたなら、といつも思うのだ。

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    2025年11月30日
  • 兇人邸の殺人

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    シリーズ3作目、一番切ない展開だった。

    本文中で問いかけられる。「犯人は探偵の敵なのか」。ミステリーの根幹が揺らぐような問いかけ。この問いかけが、ラストに効く。

    過去2作以上に「邸」の構造が複雑で、ロジックも複雑、見取り図を何度も何度も見直しながら読み進めなくてはならず、サラッと読めるタイプの作品ではないが、一層、読みごたえを感じた。
    そして、最後のトリックの鮮やかさ!

    続編が楽しみでならない。

    ちなみに、巻末には作者と綾辻行人さんの対談が収録されていたが、これがまたおもしろい!作者のデビュー作である『屍人荘の殺人』の創作エピソードには驚かされた。「才能」の一言で片付けては、産みの苦し

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    2025年11月30日
  • ビオレタ

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    主人公の妙を通していろんなことを考えさせられる。「幸福」とは自分にとって一番大切なものをちゃんと知っているということ。「孤独」や「さびしさ」は当たり前であること。みんな「ひとり」で戦って生きていかなければならないこと。「強さ」とは自分の弱さから目を逸らさないこと。「夢」や「目標」はその人だけの大切な尊いものであること。いま自分が何をどうしたいと思っているのか。

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    2025年11月30日
  • パッキパキ北京

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    主人公菖蒲の30代北京駐妻物語。
    彼女の無敵感がすごい。夫になんでも買ってもらっているし、もちろん家事はしないし、遊びに全力投球!
    その自信はどこからくるのかと思うが、本人も全くメタ認知ができていないわけではなく、どこでなら勝てるのか分かってやっている。無敵でいられるためのポジション選びは抜かりないく、潔いので気持ちが良い。

    北京の異国情緒をあらゆる場面で感じられるのも良い。

    インフルエンサーでいうところの妹尾さんに似た歯に衣着せぬ物言い。 

    本当は大事じゃないことに悩んだり、迷ったりしている自分って、大人なふりをしているだけなんじゃないかと気づかせてくれる一冊。
    生命力が強い女って最高

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    2025年11月30日
  • 楽隊のうさぎ

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    初めて読んだのはきっと発売後間もない頃。おそらく20年振りくらいに読みました。手にとったら一気であっという間、やっぱり素晴らしい世界でした。この年代だからこそ味わえる思いってありますよね。今もこのような子供たちが沢山いて練習していることでしょう。今はなき普門館が懐かしかったです。もちろん次は続編です。

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    2025年11月30日