小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
主人公を振った人が、次の章では主人公になって誰かに振られて(失恋して)いく連作短編集。
過去付き合う時に元カノの話を聞くことは何度かあって、『この人を振った人がいるのか。すごいな、どんな強者なんだろう』って考えたことは一度や二度じゃなかったから、振った側の視点で物語を読めるのがとても興味深く、そしてその人も誰かには振られているという展開もなんだか気持ちが良かった。
自分より相手からの好きの方が大きい相手なら、自分らしくいられるのに、自分が大好きな相手だと言いたいことが言えなくなって敗北してしまうというのはなるほどなぁ。だから、相手からの好きの方が大きい恋愛が幸せになれると言われるんだろうけど、今までの自分が無くなってしまうくらいに好きな相手と出会えることを、大恋愛と呼ぶんじゃないかと、ゆりえの話を読んで思った。
自分のことを特別に好きになってくれた人のことを好きになれなくて、自分が運命だと夢中になった相手にとっては、自分との交際を数ある交際の中の一つとしか位置付けていなかったりする。みんな矢印が一方通行で、それがお互いを向くことが結婚だとすればなんで奇跡なんだろうと思った。
「あの男よりずっといいや。よかった、あの時あの部屋を出て。あそこにいたらこの人に会えなかったもんな。」
「今まで好きになってきた人のこと、好きになってくれた人のこと、好きになってもらえなかった人のこと、その人たちが自分に何を与えてくれて何を与えてくれなかったかを、青くさいような言葉で話せたかもしれない。」
「誰しもその時に自分に必要な相手と必要な恋をし〜そしてあるとき、関係は終わる。それは必要であったものが、必要でなくなったからなのだろう。たぶん、双方にとって。」 -
Posted by ブクログ
犯人の動機やトリックの秀逸さ、とは違った事件自体が奇妙だったり怪奇的だったりする話が短編ならではという感じで良かった。
中でも「這う男」と「ライオンのたてがみ」は不気味で強烈な事件のインパクトに反して、解決後のあっさり穏やかな空気感が独特でなんとも言えず良い。
ホームズ著だったり第三者視点だったり、描かれ方自体の新鮮さが面白かった。
特にホームズが書いたとされる事件の話は、ワトソンが語る通りのホームズ像そのものが執筆上に表れていて思わず嬉しくなってしまった。
また「白面の騎士」で語られるホームズからワトソンへと真っ直ぐな称賛の言葉と強い友情には、嬉しさ越えてなんだか照れ臭くなってくる。こっちが思っていたより遥かに両想いだった。
「這う男」でのホームズからワトソンへ送る傍若無人な電報の内容も、それに対するワトソンの感想が特に無いのにも思わず面食らって笑ってしまった。
「ライオンのたてがみ」にてホームズがこんな平穏な生活に身を置いているのがすごく意外な気持ちだったけど、
実際あのホームズが、一軒家で家政婦とミツバチと共に静かに暮らし、親しい仲の隣人もいる生活を送っている事実は読んでいてホッとする嬉しさもあった。
それでいて奇妙な事件に対する熱意は全く失われていないようで安心もした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ下巻の感想は初めて書く
「幽冥の岸」を読んで、例によって再読(再々再々読?もっと?)
上巻は救いがなくて流し読み
下巻は楽俊を信じる陽子に変わっていくので、読み応えがある
楽俊がお母さんを残すことで危険にさらしてでも、長旅での陽子の付き添いをなぜしたのかは分からないけど
楽俊がいてくれてよかった
この上下巻の救い、光が楽俊に他ならない
なのに巧では辛い思いをする
お母さんも辛いだろうと思う
銀色の毛並み、ひげをさらりとなびかせる
ほとほとと歩く
すべてに愛を持って読んでいる
楽俊が好きだー
陽子ももちろん
玉座につくことに躊躇う陽子に投げかける楽俊の言葉は、責任の重さも知る人間の言葉だ
楽俊の聡明さがこれだけでも分かる
巧はバカだね
そしてラスト、苦労をしてきた陽子が、景麒と再会する
景麒が敬意を表す
いいシーン
全ての始まり
また全部を読む
陽子頑張れ -
Posted by ブクログ
ネタバレ大日本帝国憲法はどうしても、大正昭和の戦争のイメージがつよく、虎翼で描かれてた男女差別的な印象もあります。つまり、あまりいい感じではない。ただ、日本で憲法をつくるということが、どんなに大変だったかというのも、あまり考えたことはなかった。
今作は、非常にドラマチックにその経過を描きます。
ある種のお仕事小説であり、政治ドラマでもあります。伊藤博文、大隈重信、そして大久保利通など、有名人も個性的で、大河ドラマみたい。
とくに、伊藤博文が、一番美味しい役。幕末好きとしては、そんなにいい印象はないのですが、この作品では魅力的な策士として描かれます。
勿論井上毅は、魅力的な主人公です。こういう事務的な人を、派手な人たちと対峙させていくのは難しいと思いますか、しっかり主人公として機能しています。
憲法談義もありつつ、幕末の残り香というか破天荒な展開もあり。
伊藤博文が、井上毅の首を絞めるシーンは良かったですね。
伊藤が語るように、あの世代は文字通り人を殺してきたわけで。
明治になり洋装をしても、刀で人を斬って来た過去は変わらない。
井上毅以下の世代は、そこまで殺伐とした過去はないわけですが。
大久保殺害後くらいから、キャラクターが生き生きと動き出したような印象もあり、非常に読み応えがありました。
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Posted by ブクログ
ネタバレ異世界もののトップ独走(私の主観)
シリーズ通して何度読んだか分かりません
十二国記のスタートのこの1冊は、辛いばかりの1冊です
下巻は救いもある(というか、陽子が無事景王になる)ので、読むのに勢いづきますが、とにかく陽子が言葉もわからず、次々に辛い目に遭う上巻は読み進めるのが苦痛です
こちらの世界では親しい友だちもおらず、なんとなく浮いていた陽子
この辺の感じは、エピソード0とされる「魔性の子」と泰麒と似ているかな?
そもそもこちら側で生まれたのに、なぜ王になるのだろう
もう一度読み返すと分かるかな
泰麒は神隠しにあった間に戴国で麒麟となるのだったよね?
ああ、やはり読み返そう
でもそんな暇あるのかな
積読本が山となっている
読みたいものがいっぱいある幸せ
読書できるようになって本当に良かった!
2026年9月
再々再々読?もっと?
やっぱり上巻は流し読みでした…
蓬莱にいる時のエピソードから辛すぎる -
Posted by ブクログ
もう言うことはおまへん。
鳥井さん…500万点!!(点数も出世させとく)
2行で終わらせても良いのですが、それではあまりにも有能でいらっしゃる野宮様に失礼かと存じますので、本書が続編としていかに秀逸なのかを、皆様の貴重なお時間を頂戴して語らせていただきます、宜しいでしょうか?ありがとうございます!流石は私の見込んだ皆様です!(これでセールスNo1の営業マンに近付いたな)
まず、前作の『殺し屋の営業術』を書いた時に既に続編の構想があったのか、それとも売れたから続編を希望されたのかは分かりませんが、どちらにしても凄い。
野宮さんは漫画原作をされていたので恐らく前者だとは思うのですが、もし後者であった場合は、よくまあ前作の設定を生かして違和感なく繋げたなと思いますし、前者なら単純に作家としての情熱に感服。
極東コンサルティングのメンバーも、鳥井の元でゆっくりだけど成長をしているのも続編として楽しい。
耳津さんは、私がうにょうにょが天敵なので名前はマイナス5億点だけど、相変わらず性格は魅力的。
そして何より還暦近い樫尾さんですよ、可愛すぎるだろ。そして私強いおじ様キャラ好きすぎるだろ。
もうオジ専と自称しても良いと思う(誰も得しない)
鳥井にすっかり懐いて「昨日の自分より成長する」って素直に勉強して、生き生きと殺し屋家業を楽しんでる。
こんなおじ様になりたいなあ(ん?なんかおかしいぞ?)
そして私が前回、活躍を期待していた引き篭もりの籠原さん。応援したくなる!頑張れー!!
実は何気に鳥井さんも成長してるのが見所ですね。そもそもがスペック高いのですが、それでも初体験の事はある訳で。
まだ成長できる余地があると喜ぶ姿は徹底してエリートサラリーマン!
しかも仕事は楽しくがモットー!最高じゃないか!私もダンシングヒットマンとして雇って欲しい!!(殺せなくて解雇までがセット。いや、鳥井さんなら何かに使って下さる筈!!全裸で怯ませるとか!)
前に荒木飛呂彦先生のストーリーの作り方を読んだ事があるのですが、そこで1番印象に残った手法があって、本作でもそれと同じ事をやられていました。
もしかすると野宮さんも参考にされたのかな?勝手な憶測ですが、こんなにも面白くあの手法を使えるなんて語彙力無くすわ(そもそも無かった)
どんな手法かはこれから読まれる方の楽しみを奪ってしまうので書けませんが。
どうやら続くみたいなので、また楽しみが増えました♪
深町先生が、最近の読者にはキャラで読ませる作品が人気だと仰ってましたが、これもそのタイプかも知れませんね。もちろん、お話も面白い事が前提なのですが。
さて、まだ読むか悩まれている皆様、決断は今ですよ?
私の友人が以前、話題の作品をいつか読もうと先延ばしにしていたのですが、そうこうしている内に今年映画化が決まってしまいました。友人は大変後悔をしてこう言っていたのです。
「あの時、迷わずに読んでいれば、この波に乗れたのに」と。
友人と言うのは実は私の事で、『ハウスメイド』の事ではありませんので誤解の無きようお願い致します!
聡明な皆様なら、もうお分かり頂けますよね。さあ、ご決断を!!
(やばい、明日からトップセールスマンまっしぐらだな、おい)
ちなみに、冒頭の「おまへん」についてですが。
バイトで一緒になった奥様とリストを見て在庫があるか確認していたのですが、無い時に「おまへん」「おまへん」と言ってくれるのが面白くて気に入ってしまい、つい使ってしまいました。
了 -
Posted by ブクログ
好きでたまらんシリーズなのですが3巻のレビューを読んで怖くて読み進められなかった‥しかし!先を知ってしまえば3巻も読めるのでは?と6巻から先に読みました。
6巻から読んで大正解!!!!
3巻と6巻は密接な関わりがありました。
しかしね‥酷い。怒りが湧きました。
青い鳥だか学生さんだかなんだかしらんが無知は罪ですよ。モチロン大人が悪いのは大前提だけど弱き小さき者の前では人間の責任は学生とか関係ないですよ。家族にも頼らない相談しないなんて驕りでしかないですよ。
今時の子ならチャッピーに聞いてくれたのかな、と思うと相談できる相手ができた現代に感謝したくなりました。
でもね青い鳥さんにも癒されてほしいし慰められてほしいし励ましてあげたいです。
ちょっと読んではおうちの猫に「生まれてきてくれてありがとう」と好き好きしてしまう変な飼い主になりました。 -
Posted by ブクログ
一周読んで、解説に目を通して、もう一度始めの現代パートを読み返す。すると冒頭数ページが全く違う印象になる。こういう小説に出会うために紙の本を読んでいるのかもしれない。。
最初と最後が現代パート、全体の9割以上が小説イン小説の内容で、ナチス体制崩壊間近のドイツのある村が舞台。
エーデルヴァイス海賊団、ヒトラーユーゲント、強制労働施設など、実在した設定をもとに巧妙なフィクションを織り混ぜ、スタンドバイミー的冒険譚を加えたストーリー。
負の歴史を扱った暗いテーマではあるのだが、青春群像劇でもあり、過酷な環境で精一杯生きる少年少女の姿に励まされる。
同時に歴史とは何かを考えさせ、見て見ぬ振りすることの罪深さを意識させられる。
「ホロコーストはガス室から始まったのではなく、少数者に対するヘイトスピーチから始まった」という解説中のフレーズが記憶に残る。
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