【感想・ネタバレ】巷説百物語のレビュー

あらすじ

怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人、そして、なにやら顔色の悪い僧――。長雨の一夜を、江戸で流行りの百物語で明かすことになったのだが……。闇に葬られる事件の決着を金で請け負う御行一味。その裏世界に、百介は足を踏み入れてゆく。世の理と、人の情がやるせない、妖怪時代小説、第一弾!

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Posted by ブクログ

京極夏彦氏の小説は読んだことがなかったのだが、昨年このうちの一作が浪曲化され、評判を呼んだことに刺激されて、原作であるこの小説を読むに至った。
怪異が語られ、のちにそれが、人間の作為によるものであったことが明かされるという定型のストーリー展開だが、流石にのちに大人気シリーズとなった第一作だけのことはあり、読者を心地よく酔わせてくれる。上質のミステリーの和風(擬似)古典版である。

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2026年02月03日

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直木賞を受賞した2作目を読みたくて、こちらを拝読。百鬼夜行シリーズを読んでいるところで、そちらとの共通点として、表紙が美しい。
陰摩羅鬼を挟んでから、この2作目に行こうかなと。

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2025年09月13日

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 江戸時代を舞台とした妖怪に纏わる怪異譚と関係がある闇に葬られた事件を小悪党達が金と引き換えに決着を着ける七つの短編が収録された妖怪時代小説で、それぞれの話に出てくる妖怪の言い伝えや事件の裏に隠された悲しい人の業、無情な世の移ろいに登場人物達の小気味の良いやり取りなどエンタメの楽しさが詰まった作品だった。

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2025年06月19日

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ネタバレ

京極夏彦の巷説百物語シリーズ第一弾。
シリーズ完結とのことで、なんとか最終巻が文庫落ちするまで追いつきたい。

妖怪に絡んだ事件を必殺仕事人かのように裁いていく短編集。
久しぶりに京極夏彦の作品を読んだけど、こんなにも読みやすかったかと驚いた。百鬼夜行のシリーズが難しいから、なおさらかもしれない(そこも大好きなのだが)…

どの作品も、人の業というか、悲しい話が多い。しかも悲劇が既に終わってしまっていて、なんともやるせないことが多く、故に、又市たちの仕掛けにスカッとさせられる。
第一作目しか読んだことがないので、次作以降もちまちまと読んでいきたい。


文庫落ち前のハードカバーで読んだよなぁと思い調べると、四半世紀、経って、いた………

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2025年01月25日

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なんというか、途中自分の中でダレることはあったけど、表紙にもある「帷子辻」がなんとも切なく、京極節もうまく効いてたから面白かった。

「人に魂などない!」

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2025年01月02日

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百鬼夜行シリーズとは真逆の作風。
読んでいてとても面白かった。
特に後半の三作品は読み応えがあった。

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2024年11月28日

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京極夏彦さんの作品。百鬼夜行シリーズのファンですが、こちらの作品にはしばらく手を出さない予定でいました。がどっこい、さすが京極さん、読んだら読んだで面白すぎました。積み本がまだまだあるので、どんどん百物語シリーズも読んでいけるのが楽しみです。

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2024年09月29日

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奇談怪談を蒐集するために諸国を旅する戯作者志望の青年山岡百助は、雨宿りに寄った越後の山奥で不思議な者たちと出会う。
妖怪時代小説連作短編集、七篇収録。

とりあえず「小豆洗い」から読んでくれ。話はそれからだッ!……ってレベルでなんも話せなぬ→

小豆洗い読んで、膝を打ったよね。そういうことかぁ!って(笑)
続く「白蔵主」「舞首」はライトな読み心地で楽しく読んで……「芝右衛門狸」でかなり読み心地が変わり、そこからの「塩の長司」「柳女」「帷子辻」と京極テイストがアップする。いやもう、最高デス。シリーズ一巻だからか→

すごく読みやすい。「姑獲鳥の夏」は長編で読みづらいんだよなぁっていう京極ビギナーにはこちらから入るのもアリ寄りのアリ!時代小説苦手な私もグイグイ引き込まれてあっという間に読み終わったし。

イチオシは「芝右衛門狸」の芝右衛門。あと事触れの治平。好きだぁぁぁ!!

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2024年06月26日

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 「小豆洗い」・「白蔵主」・「舞首」・「芝右衛門狸」・「塩の長司」・「柳女」・「帷子辻」を収録。アニメ版もよかったが、こちらのほうが生きた人間の暗部が表れているように感じた。
 晴らすに晴らせぬ恨み、闇に葬られる手前の事件の解決を金で請け負う小股潜りの又市をはじめとした小悪党一味。鮮やかな手練手管を以て逃れ潜む咎人を見出し、捕らえ、罪を暴く彼らの“仕掛け”は毎回見事。「小豆洗い」では偶然の参加者の一人に過ぎなかった山岡百介が、「白蔵主」以降は一味の協力者--彼が関係先に現れ、事情に因む怪異譚を語ることで“仕掛け”に真実味が加わる--として活躍する姿が頼もしい。又市と山猫廻しのおぎん・事触れの治平との悪口混じりの会話は、一味の気が置けないが気易くはない間柄が窺えるうえに、落語講談のようなおかしみもあって楽しい。

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2024年06月14日

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やはり、良いよねぇ。
又さんかっこいい。

読み返すのは
“小豆洗い”
「この先はおやめなせぇ」

江戸っ子訛りがうつりそうです。
あんなにかっこよく話せたら気持ちよいでしょう。

今年、最終巻が出ます。

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2024年04月15日

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ネタバレ

巷説百物語シリーズの始まり、やはり御大は面白い…。

『妖怪の宴 妖怪の匣』とかで顕著なんだけど、御大は妖怪の存在自体を信じてはいない。いない側の立ち位置なんだけど、いないのに巷説で語られてきたことにむしろ強く興味を持っている(もちろん、神秘否定というわけではなく、道理が成り立たないからいないとしているに過ぎないのが御大の面白い部分なんだけど)。
つまり妖怪が成り立つ理屈というか、何故そんなものが受け入れられたのか?ということに主題がある。

だから本書は一貫して”妖怪の実在を肯定していない”。けれど、妖怪の仕業とした方が収まりが良いように構成されている。芝右衛門狸なんて特にそうだし、柳女は加害者がその仕組みを利用した形だな。
冥界も妖怪も無いけれど、それを突き詰めていけば破滅しかない。
兎角渡世は生き辛く、故に妖怪/冥界(ブラックボックス)が必要とされる。説明されないことが救いになることもあるってことだな。

御大の妖怪観に馴染んでいると3倍くらい楽しい。思わずシリーズ全館買ってしまった。オススメです

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2023年06月22日

購入済み

巷説百物語

懐かしいなーと思って読み直したくなりました😀
又市の名言がかっこよすぎる👍🏻

軽快に読めるのに内容は深い、心理描写が秀逸です!

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2021年02月25日

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季刊『怪』に掲載されていた連作短編をまとめたもの。小股潜りの又市をどうやら中心に動いているらしい、この連作に登場する組織がいかなるものなのか、どうにもはっきりはしないが、<必殺仕事人>のようなものなのか?表立っては裁きようのない者を仕掛けを通じて「御行奉為(おんぎょうしたてまつる)」わけだけれど、その仕掛けに小豆洗いとか白蔵主とか妖怪がからんでいるところが京極夏彦的なのですね。
話としては、情をかけられた狸が人間の形に変化して礼に訪れるといったことを仕掛けに用いた「芝右衛門狸」が面白いです。狸の仕掛けと悪人退治の結び付け方が奇抜なのですよね。
それとやはり末尾を飾る「帷子辻」が何とも怖い。このテーマは古来よく怪談にとりあげられていますが、ここまで徹底しているのはちょっとないのでは?最後の一行の又市の台詞がなんともいえません。ちなみに、この編でとりあげられている九相詩絵巻は、作中でのものとはちょっと展開のさせかたがちがうようですが、本(※ハードカバー版)のカバーの裏側に入れられています。
余談ですが、帯にある「京極世界、初の映像化」ってのは間違いですよね?ご承知の通り「目目連」という短編がすでに<幻想ミッドナイト>というシリーズのひとつとしてTVドラマ化されています。

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2026年01月26日

Posted by ブクログ

初めての京極作品です。
本の厚みが気にならないくらい、物語に引き込まれました。
切なく、少し悲しい物語もありましたが、爽快な読後感です。百介、又市、おぎん、治平のチームプレイをもっと読みたいので続編も買おうと思います。

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2026年01月21日

Posted by ブクログ

世評高い「巷説百物語」がaudible(2025年12月15日)に入ったので、ヤツガレ早速耳を傾けまして御座います。

百物語と云い乍ら七編しか収めては無く、同事務所宮部嬢「三島屋変調百物語」の二番煎じかと思いきや、はや26年も前のお話と聞き、こちらが先と恥入り。而も、実は妖怪譚でさえ無いと云う。

流石、冒頭「小豆洗い」が一番で御座いました。何が一番て、山中深く大雨で避難した小屋に集まった5人の人物正体が一向に判らぬ儘語られ始まる百物語が不思議過ぎて、総てが妖しく怪しいので御座います。

いつも最後の章が謎解の回となっております。よって彼らの仕掛けと種明かしに興味の焦点が移る始末。それでも、江戸時代の世界の不思議は充分、小泉八雲の世界に通じます。庶民の恐い怖い怕い、畏ろしい、虞(こわい)、悲しい哀しいかなしい、そして小さな幸せが一杯なので御座います。

如何せん、各話冒頭「絵本百物語」の引用が気になり過ぎて、ヤツガレ、類書の森を掻き分け探し出して参りましてで御座います。そしたら、なんと京極うじが一筆認(したた)めていたという。それはまた、次の書評にて。

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2026年01月18日

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昔の言葉遣いなので理解に時間がかかったり、漢字の読みが覚えられず 読むのに苦労しましたが、後半慣れてだんだんスムーズに読めるようになりました、

難しいなあと思いつつ短編なので読みやすく内容も妖怪関連のコンフィデンスマンみたいな感じで最終的には丸くおさまる感じが好みでした。

解釈はあなた次第みたいなモヤっとした終わり方があまり得意ではないので、ちゃんとネタバラシ?があってスッキリして終わるのも良きです

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2025年12月24日

Posted by ブクログ

悪い奴がいたけど不思議なことが起きて懲らしめられました!きっと妖怪とかおばけとかそういうののせいだろうね!(すっとぼけ)みたいな話

メインの登場人物もみんなそれぞれいいキャラクターをしていて憎めない
1話完結系だからちょこちょこ時間の空いた時に読めるし、面白いし今後追っていきたいシリーズもののひとつになった

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

今日は、娘と息子と鬼滅の刃の映画に行ってきました。
近年稀にないくらいの人だかりでした。
私が行ったのは朝7:30からの上映だったのですが、ポップコーンに並ぶ行列。
見たこともないくらいの行列でした(^◇^;)
凄いな鬼滅の刃( ̄O ̄;)


先週は旦那と国宝を観に行ってきました。
こちらもかなりの盛況振りでしたよ。
主演のお二方の演技が凄かったです。
かなり練習なさったのだろうなぁ。。。
感心しかありませんでした。
この本もいつか読みたいなぁと思いました(*´꒳`*)


さて、京極夏彦さんの百鬼夜行シリーズはちょこちょこ読んでおりましたが、こちらは初となります。

雪さんのレビューで急に読んでみようかな?という気持ちになりました。

連作短編というか、連作中編なので私に読めるのか?若干心配でしたが(-。-;

やっぱり中編でも、短いとどうも私の集中力は切れてしまうようで、百鬼夜行シリーズほどガッツリはハマりませんでしたが、さすが京極夏彦先生。読ませるなぁって思いました。
漢字は難しいし、文章上手過ぎです!
読む度、勉強になるなぁって思います。
京極夏彦先生は天才ですなっ (๑˃̵ᴗ˂̵)و

短編でもかなり好きな作品があり、舞首や、芝右衛門狸などはかなり面白かったです。

短編はすぐ忘れちゃうので、一作一作かなりメモりました(笑)読書メモの方に貼り付けておこうかなって思います♪

この短編のうち、何編かで、陰摩羅鬼の瑕を思い出してしまいました(*´꒳`*)

百鬼夜行シリーズ、再読したいなぁ。
↑いつも言ってる(笑)
京極夏彦さんを読むと、昨日よりちょっとだけ頭良くなったんじゃない?って錯覚出来るのも嬉しい♪

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2025年07月20日

Posted by ブクログ

直木賞受賞作家の作品を読もうと、探していたところ、何度も名前を聞いたことがあるこの作家さんに辿り着きました( 直木賞を受賞したのは、本シリーズの別作品ですが、シリーズものは最初から読みたい派なので、まず本作を読みました。)。

辞書をひかないとわからない難しい言葉を多用しているのですが、不思議とすんなり読めてしまうそんな作品ばかりでした。

「天網恢恢疎にして漏らさず」という言葉が、作中何度か出てきましたが、まさに勧善懲悪の話ばかりで、読んでいて、スカッとしました。水戸黄門やアンパンマンのように、日本人にはスッと入ってくる展開ばかりだったと思います。ダークヒーローな感じがまたカッコよかったです。

話としては、一番最後の『帷子辻』が一番印象に残りました。高校の倫理の授業で「色即是空、空即是色」なんて言葉を習ったことを覚えていますが、よく意味はわかっていなかったです。『帷子辻』に出てくる九相図について知り、調べたことで、少し意味合いがわかってきたような気がします(実際にはわかった気になっているだけで、もっと徳の高い修行をつまないと「わかった」などと安易に言っていい言葉ではないのでしょうけど…)。いつか京都の西福寺に行き、本物の九相図を見たく思いました。

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2025年04月16日

Posted by ブクログ

百鬼夜行シリーズ以外、初めて読んだ…
かたちを変えた憑き物落としじゃないか!

シリーズ完結しているみたいなので地道に読んでいこう
最終巻のこれまた分厚いこと…

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2025年03月22日

Posted by ブクログ

昔の文豪の小説って面白いけど読みにくい。京極夏彦の小説の面白さは、昔の文豪みたいな古風な雰囲気を漂わせつつも、それほど読み難くない処にあると思う。もちろん難しい表現はある(意味わからないまま読み進めてる部分も多い笑)けど、雰囲気を味わってるだけで面白い。

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2025年02月28日

Posted by ブクログ

いいですね〜このシリーズ♪

巷で囁かれる不思議な話。
それを集める百介が出会った三人の怪しい者達。
京極夏彦ならではの妖怪、伝承、事件…そして鮮やかな解決‹‹\(´ω` )/››

時代物らしく粋!三人が粋でカッコ良い!!
又市の決め台詞
りん。 「御行 奉為」

って〜わぁ〜〜素敵:.゚٩(๑˘ω˘๑)۶:.。♡︎
京極版必殺仕事人♪


土瓶さん面白かったよ〜!!

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2025年01月10日

Posted by ブクログ

りん。
御行奉為ー。

御行又市さん一座が考えもつかないやり方で謎を解いていく?事件を解決していくシリーズ。

百鬼夜行シリーズとは雰囲気も解決方法もまったく違いますが、こちらもとても楽しいシリーズでした。テーマになっている妖怪との絡ませ方が素晴らしいです。

1話目の小豆洗いはお見事で、繰り返し読んでしまいました。狸のお話も好きです。

又市さんとおぎんがお気に入り。
私も一座に入りたいな...

シリーズを一気に読んでしまうのはもったいない気が既にしていて、他の本も読みながらゆっくり読み進めたいです。

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2024年10月25日

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百鬼夜行シリーズが大好きなのでいつかこれも読みたいなと思いつつ読んでこず。最近発売された京極夏彦サーガを読んでこれは読まねばと思って購入。
登場人物や時代が違うだけで、百鬼夜行と似たような構成展開なんかなと思ってたけど違う!
百鬼夜行だと戦犯がいて、それがたまたま妖怪の話に沿っててそれを解き明かしていくって流れだけど、こっちは戦犯側が妖怪の話になぞらえて仕掛けてる話って感じ。
読む前は百鬼夜行にはやっぱ劣るかなぁと思ってたけど全然物足りなさがなくちゃんとおもしろい。読んでる途中小休憩するとき毎回「いやオモロ〜…」って頭の中で言ってた。続編読んでいきます。

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2024年10月20日

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【2024年142冊目】
御行奉為――ある雨の日に山小屋に居合わせた人々。足止めを食らった彼らが始めたのは、江戸で流行している百物語だった。ひとり、またひとりと語るに連れ、一人の男の様子がおかしくなっていく。ついに男は雨の中――。小豆洗いから始まり帷子辻で終わる7つの短編集。巷説百物語シリーズ第一弾

再読です。読み始めのあの感覚は、何も知らずに読んだ方がきっと面白いので、未読の方はあらすじも何も読まずに読んで欲しいなと思います。そ後は、多少の流れは理解した上で読むことになるわけですが、どの話も「はい、はい、最後はそうなりますね」とはならない仕掛けが施されており、毎話「んぐわぁー!そういうことね!」と思って大変楽しめる建付けになっています。

これは人気のシリーズになったのも頷けますし、シリーズものはあんまり続けて読まずに、間に違う本を入れて読もうと思ってるのですが、続いてこのシリーズに手を伸ばしたくなってしまいました。んん。

一番好きなのは狸のお話です。私も狸と会話してみたい。

初読:2012年11月1日以前

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2024年07月21日

Posted by ブクログ

ものすごーく、久々に。
了のためにシリーズ再読。


いやー、改めて面白いの一言に尽きる。
憑き物落としとはまた違った味わい深さで。

どれを読んでも、全てが終わった後の読後感がとても好きだ。
仕掛けが分かった爽快感もありつつ、その裏にある無常さ…寂寥感がなんともたまらない。

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2024年06月27日

Posted by ブクログ

一見、不可解な事件を、小悪党の御行一味があやかしに見立てて鮮やかに決着させる。変幻自在な語り口で物語を紡ぐ著者の筆が冴え渡っています。

 江戸時代末期の天保年間。怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。御行姿の男・小股潜りの又市、垢抜けた女・山猫廻しのおぎん、初老の商人・事触れの治平、そして、何やら顔色の悪い僧・円海。長雨の一夜を、江戸で流行りの百物語で明かすことになったのだが…。闇に葬られる事件の決着を金で請け負う御行一味。その裏世界に、百介は足を踏み入れていく…。

 「小豆洗い/白蔵主/舞首/芝右衛門狸/塩の長司/柳女/帷子辻」の七編から成る時代小説。血腥い事件とあやかしを結び付けて着地させるだけでも凄いのですが、そこから妄執や情念、果ては人間の業まで立ち昇らせる著者の手腕に唸らせられっぱなしです。また、怪談とは言っても、単なる絵空事ではなく、それを生み出す人間の想像力を介して現実を映し出している作品でもあります。「必殺仕事人」を彷彿とさせるキャラ立ちした登場人物たちの手際の良さも堪能でき、シリーズ化も納得の著者渾身の一作です。

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2023年06月15日

Posted by ブクログ

再読。

改めて巷説百物語シリーズを「遠巷説百物語」まで揃えたので、第一巻の本作から読み始める。

物怪話しにからめて、世の悪人悪事をバッサバッサと切っていくその手際がまことに鮮やか。又一はじめおぎん、治平がなんとも魅力的で引き込まれる。
どういうふうに落とし前をつけるのだろうという話もあるが、又一達に絡め取られる悪人とおなじように、自分も見事に絡め取られて話の落とし所に納得してしまう。

切ない話も多いのだが基本的に悪事は裁かれるので読後感は悪くない。

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2023年06月04日

Posted by ブクログ

お友達に勧められた本です。1999年発表の、京極夏彦さんの時代小説。
勧めてくれた言葉通り、割と理屈抜きで愉しめる、勧善懲悪の江戸時代モノ。
味わいとしては、鬼平犯科帳が横溝正史さんになったような感じ、という印象。肩の凝らない、胃にもたれない、大人の娯楽小説、愉しめました。

江戸時代を舞台に、レギュラーの「必殺仕事人」的な、善玉小悪党たち?とでも言うべき、個性的な面々が、法を逃れた非道な殺人者を、懲罰していきます。
あるいは自殺に追い込み、あるいは、直接描写されないまでも殺します。
(中には、悪党というよりも、「可哀そうな殺人愛好者的な変態さん」というのも含まれますが)

で、この小説の仕掛けは、全てが「魑魅魍魎、妖怪、怪談」と言った類の仕業に見せかけて終える、というところです。例外はありますが。

読み始めて判ったのは、前に読んだ「姑獲鳥の夏」もそうだったんですが。
まあ、強引と言えば強引なんです。
「それってものすごい偶然というか…あり得なくない?」
という部分も、たいていあります。

だけど、そこは小説としての面白さとは別次元なんですね。
横溝正史さんの金田一耕助だって、ホームズだって、そういうところはありますから。

謎があって、それが解けて、勧善懲悪になる。そこに、ヒトの業とでも言うべきやるせなさとか、無常観みたいなものが残る。人間ドラマになっている。

そういうことですね。
言ってみれば、ホームズから始まって、殺人と解決のミステリー物語の王道、と言えます。
それが、舞台が江戸時代で、仕掛けが怪談妖怪話。
そこのところで、嘘が跳ねて、小説が粗筋から飛翔する娯楽があるなあ、と思いました。
「気味が悪い」を「鬼魅が悪い」と書くような、歴史的な整合性は知りませんが、京極さん独特の(かどうかも判りませんが)、深い(狭いのかもですが)博識を基にした、確信犯な演出が冴えていると思いました。

連作短編な訳ですが、俯瞰的に説明するところから、証人の一人称をぶん回す下りまで、実に読み易く自在な筆運び。パチパチ。

「姑獲鳥の夏」「巷説百物語」と読んでみて、成程、京極さんの持ち味と旨さ、なんとなく分かった気になりました。
この人の本は、なんていうか…「所詮、そういうことでしかない」という限定を自覚した上で、小説、コトバ、日本語、という武器をしたたかに使って、独自の水木しげる/横溝正史的世界観に、ぐいっと連れて行ってくれる強力さがありますね。
今後も、慌てず愉しみたいと思いました。

連作短編、ヒトによって好みがあると思います。
僕は、「殺人愛好者の変態さん」の巻よりは、「頭が下がるほどの悪党」が出てくる回の方が面白かったです。
「塩の長司」「白蔵主」あたり、好きでした。













####以下、思いっきりネタバレの個人的な備忘録です####



●小豆洗い
無念を持ち死んだ小僧がいた家で、小豆を数える?音が聞こえる、という怪談?をもとにして。
かつて殺人を犯した男を、百物語で脅して自殺させる。

●白蔵主
悪党の一味がいて、その手下の男がいる。
手下はかつて、キツネ狩りの猟師だった。
殺生を止めるように説いた僧を殺したのを、悪党の親玉に見られて、手下に。
狐の怨霊、みたいな怪談で騙して、親玉と手下を会わせ、親玉を殺させる。
親玉は長年、寺の僧に化けていた。

●舞首
女を誘拐してレイプして、というホントに悪い男がいる。
それに妹を浚われて、言いなりになっている巨漢がいる。
その街を仕切っている悪党のやくざがいる。
この三人をそれぞれに騙しておびき寄せ、殺し合いをさせる。
最後に、三人の首のない死体を遺棄。
クビが殺しあった、という怪談にのっとって。

●芝右衛門狸

徳川の御落胤という若者がいる。
表に出れずに失意の日々を送り、殺人愛好者になる。
この人を葬るために、淡路の国の狸の怪談というか言い伝えを利用。
狸が化けたもの、として、葬る。
淡路の国の人形浄瑠璃の話が印象的。

●塩の長司

加賀の国。
馬を売買する金持ちの商人がいる。
そこに、兄弟の悪党が、狙いを定める。
知能犯で馬に詳しい弟が入り込み、気に入られ、婿になる。子も出来る。もう、悪党であることを止める。
収まらない兄が、手下と、その商人の道中を襲う。
そして、ほぼみな殺し。弟と顔が似ているので、入れ替わる。
そのからくりを見破って、もともと兄がもう病身であったので、狂わせ自害させる。
馬の霊みたいなものが取りつく、という怪談を利用。

●柳女

品川宿。
大きな宿屋があり、中庭に大きな柳がある。
色々言い伝えがある。
そこの当代の主人が、良い人なんだけど、「赤ちゃんを殺す」という癖がある。
その人が、妻も含めて殺してはのち添えを貰っている。
そのからくりを暴いて、殺す?。
柳の仕業、みたいなことにする。

●帷子辻

京都、広隆寺近く、帷子ノ辻(今は撮影所がある)。
かつて皇族の誰かが、無常を知らせるため、自分の死骸を放置させた、という言い伝え。
京都の役人が妻を病気で失う。
この人が、死体愛好者?という癖がある。
妻も含めて連続して、殺しては死体を保持し、腐っては帷子の辻に捨てる。
狂ってくる。
このからくりを暴いて、自死させる。
全体を、無関係なヒトの犯行に見せて、役人の名誉を守る。

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2026年01月18日

Posted by ブクログ

京極作品、これは人に勧められまして新年一発目がコレです。

江戸時代の妖怪図鑑、「絵本百物語.桃山人夜話」を元ネタ(といっても絵しかない)に奇妙な事件が起こるんだけど、主人公らの御行、艶っぽい傀儡師、変装の妙手じいさんのチームが解決に導くその過程が練りに練られている。仕掛けに結構時間をかけていて答えは最後までこちらにはわからん。で、ここに諸国の怪異譚を集める書物師志望の百介が巻き込まれてるというか気がつけば三人のシナリオに巻き込まれてる。何も知らんヤツが追加されてるのでシナリオがリアル感を増してる。人情系時代小説なのは間違いねぇ。

江戸時代が舞台なのか?その時代の雰囲気を感じられるし、なんだかんだとあっという間に読んでしまったが、私は好きかといわれるとふうん、そうか。という感じ、すみません。妖怪とか怪異とかがどうも、、、。ファンタジーは好きなのだから、同じ穴の狢のような気もするが笑

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2026年01月03日

Posted by ブクログ

ずーっと気になっていた著者ではあったけれど、数が多くて何から読んでいいのやら分からず手を出せなかったけれど、たまたま入った書店で平積みされていたこの本を読んでみました。
思ったよりも読みやすく、また他の作品も読んでみたいと思わせてくれました。

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2025年11月28日

「歴史・時代」ランキング