【感想・ネタバレ】ぼくのメジャースプーンのレビュー

あらすじ

ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった――。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に1度だけ。これはぼくの闘いだ。(講談社文庫)

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Posted by ブクログ

確か、昔、大学を卒業した頃にこの文庫本を買った。そして、読まないままずっと本棚で眠らせていた。
手に入れてから10年以上経っただろうか、やっとこの本を読んだ。

読みはじめたらとても読みやすく、すっと心の中に入ってくる物語だった。主人公の少年の心の機微や、巻き起こる事件に読んでて何度も涙腺が緩んだ。

読後の余韻もあって、センチメンタルな気分だ。

私はこの物語をずっと読みたかった。本屋で手に取ったあの日から、引っ越しがあっても断捨離をしても、この本はずっと本棚に共にあった。辻村深月の「凍りのくじら」がとても好きだったのでこの本を読みたかったのだ。ずっと、ずっと。

私も作中のふみちゃんのように、心が壊れるようなことが、人生にあった。その時から、小説を読めなくなった。でもこの本は手放さなかった。だってわたしは辻村深月が気になっていて、この本をとてもとても読みたくて、小説が好きで、諦めたくなかったからだ。

人と時間に癒されて、今、この本を読めた。私があの時失ったものと、今手に入れたもののことを思う。

まるで、私が読めるようになるのを待っててくれたような、物語だった。傷ついて、失っても、終わりじゃない。続いていくし、再生の道はある。

この物語を読めて良かった。心から。

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2026年05月17日

Posted by ブクログ

小学生が主人公ということもあり、最初は子供向けの作品かと思っていた。しかし実際にはまったく違い、途中から“正解のない問い”を突きつけられる、非常に哲学的な物語だった。
主人公は特殊な能力を持っているが、その力が「言葉」に由来しているのが面白い。どんな言葉を選び、どんな“言霊”を使うのかが気になり、どんどん読み進めてしまった。
読みやすい文章でありながら、扱っているテーマは重く深い。
主人公がどんな答えを出すのか、最後までハラハラしながら読めた。
読みやすさと深さを両立した、素晴らしい一冊だった。

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2026年05月09日

Posted by ブクログ

人生の1冊を選べと言われたらこれを選ぶ。

これを読んだら「名前探しの放課後」を続けて読んでほしい。

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2026年04月22日

Posted by ブクログ

小学生の少年が負うにはあまりにも重すぎる業。
スパイダーマンでベンおじさんの「大いなる力には、大いなる責任が伴う」みたいな言葉を感じる作品だった。多感な時期である小学生にとって、大きすぎる事件、大きすぎる力、大きすぎる好きな人の存在、どれもが考えさせられる材料として揃っていた。読んでいて胸が苦しくなったり、考えさせられたり、感情がぐちゃぐちゃになったけど、手が止まらない感じ。
あまりに面白いから、出会う全ての先輩、後輩、同期へ紹介しているぐらい笑
本当に読んでほしいな。

二回ぐらい泣きました。

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2026年04月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人は誰かのために泣けない
愛はエゴであるけれどそれでもいいんだ
自分のために一生懸命になってくれることが傷を癒す

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2026年03月18日

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不思議な力を持つぼく。
幼なじみのふみちゃんはある事件の後、心を閉ざし、声を失ってしまう。

読み始めてすぐ、ふみちゃんだ!って思いました。
「凍りのくじら」に少し出てきたあのふみちゃんなんですね、前書では喋らず視線も合わず、病院に通っている設定だったと思います。
本作では元気で溌剌としていたふみちゃんが、どうして心を閉ざしてしまったのかその経緯と訳が分かります。

力を使って犯人に挑もうとする“ぼく”ですが、同じ力を持つ親戚の大学教授、秋先生のもとに通い、力について学びます。
犯人との対峙は1週間後の日曜日。
このぼくと秋先生とのやりとりがとても興味深く、人間の心理をついていて考えさせられました。
でも秋先生はわかりますが、ぼくは小学4年生にしてはちょっと賢すぎやしませんか^^;

そして秋先生といえば…
この作品は単体でも十分楽しめるとは思いますが、できれば「子どもたちは夜と遊ぶ」を先に読むことを強くおすすめします!
「子どもたち…」では脇役、でも謎に存在感があった秋先生が堪能できます。
また「子どもたち…」を読んだ方は、秋先生はあの時なんて言ったんだろう?と疑問に思うはずです。
その答えが分かります。

決戦の日、残りページが少なくどうなるの!?と読み進めましたが驚きの真実が明かされます。
どうか最後まで、ぼくの戦いを見届けてほしいなと思います。

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2026年03月17日

ネタバレ 購入済み

基本的に小学生の主人公の視点で進んでいくので難しい単語や表現が登場せず読みやすいです。不思議な力を持っている、という少し現実離れした設定がありますがそれをうまく溶け込ませたうまい作りになっているなあと思いました。

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2025年01月10日

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ネタバレ

復讐は、復讐しか生まない。
この小説を読んで1番心に残った。世の中には数え切れないほどの悪意があるけれど、悪意に対して悪意を持って接していては、いつまでも平和にはならないと改めて思った。
この物語の主人公「ぼく」のふみちゃんに対する姿勢のように、常に愛を持って人に接していきたいと思った。

また、身近な人が酷い目にあった時、その犯人に対してどう復讐するのか、もしくは復讐せず忘れようと努めるのか。自分だったら、、と考えさせられる小説だった。
小学4年生のぼくは、うさぎ殺しの事件で心を閉ざしたふみちゃんを救おうと懸命に毎日を過ごす。
当事者にとっては、人生を狂わせられるような大きな出来事でも、世の中では数多くある事件の一つに過ぎない。
メディアは、世は、それらを消費するに過ぎない。
立場が変わればモノの見方も変わるという言葉があるが、それを改めて実感させられる小説だった。
自分の命をもって、犯人に償わせようとする「僕」。そのひたむきな姿勢に心を打たれると同時に、それは、またぼくを大事に思う家族を傷つける行為でもある。全ての行為はつながっているなぁと感じた。

悪意は無くならないけど、それならせめて自分のところで悪意を打ち切る。そんな人になりたいと思った。


2026.5.7再読
後半はずっと涙が止まらなかった。
好きな人を思う気持ち。たとえその気持ちの出発点が「自分のため」だったとしても、人はそれを愛と呼ぶ。
人間は、自分のためにしか泣けないというが、
誰かが悲しい思いをした時涙するのは、その誰かが自分にとって必要で大切に思う気持ちがあるからなのではないか。それが愛ではなくて何なのだろう。
「自分のため」に生きることは決して悪いことでは無い。むしろ人間の本質としてそれは当たり前のことなのだと思う。以前りりちゃんと性善説と性悪説について話をしたときに、りりちゃんが「性悪性は悲しいことでは無いと思う。生まれた時から汚い生き物なのに、人に優しくできるのは自分がすごいんだって思えるでしょ?」と言ってた。正直目から鱗だった。私たちは自分勝手に生きている。でも、そんな自分勝手な人間が誰かを思いやり誰かのために涙できるのは、素晴らしいことなのかもしれない。
「自己中心」な考えの中にも愛や優しさはたくさん詰まっているのだと教えてもらった。



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2026年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ


タイトルから想像できないほどの深い小説でした。

主人公がメジャースプーンを持って、ずっと計っていたのは罪の重さじゃないんだろうか。
それは犯人に対しての憤りと、意図せずにして、好きな子に辛い目に合わせてしまった自分への怒り、罪悪感。

ぐちゃぐちゃな気持ちで決心した選択は、大人さえも欺いて決行してしまった。子どもは侮れない。

だけど、子どもが故の無知、軽率さで他の人を悲しませるところだった事に後から気づく視野の狭さは正しく子どもだった。

子どもの無知が故の、世界が狭いから故の選択の壮絶さと、ひたむきな気持ちに気づいたら泣いてしまう。そんなお話でした。

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2026年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人間の思考、価値観について改めて考えさせられる。生きていく道中には想像もできないことがいくつも起こるし、それをどう乗りこなしていくのかを登場人物達に教わったような感覚。普遍的な愛の話じゃないけれど、その人のことを想うってなんなんだろうと考えさせられた。
電車でのシーンと、ぼくが秋山先生にふみちゃんは一年後には戻ってくると言われても、一年をすごく遠く感じるシーンが心に残った。

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2026年05月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わりました。

最後の1行で涙が止まりませんでした。
一言も喋れなかったふみちゃんが、1週間毎日お見舞いに来てるなんて。涙無しには読めませんでした


ただ、なんて言うんだろう、最後の終わり方が少ししっくりと来なかったです。
物語の内容は分かったけど、この物語を通して何を伝えたかったんだろう、1番伝えたかったものは何だったんだろう。と正直なところそう思っちゃいました。

皆さんの感想を聞いてみたい。

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2026年05月14日

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一つの出来事に対する評価や考え方、受け止め方は、もちろん人それぞれ。
その人それぞれを、判断に至るまでのプロセスをここまで細かに描く作品は初めてだった。

自分自身の判断基準や価値観について、改めて見直すきっかけとなった。

内省するときも、人に伝えるときにも、言葉はしっかりと考えて発しなければ。

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2026年05月13日

Posted by ブクログ

辻村ワールドすごろく6マス目。
前回の『子どもたちは夜と遊ぶ』から半年ぐらい経っていた(汗)
頼りない記憶力でうろ覚えになってるけど、あの秋先生が再登場するとあって、記憶を辿りながら一気に読んだ。

本作は小学4年生の「ぼく」を主人公に据えながらも、「罪と罰」という重たいテーマを突きつけてくる物語だった。

ある日、幼馴染みのふみちゃんを襲った残酷な事件。心を閉ざした彼女を前に、特別な「力」を持つぼくは、同じ力を持つ秋先生から力の効力やルールを学びながら、事件に対する罪と罰について一歩踏み込んで話し合う。その力で犯人に復讐するのか、それとも憎しみの連鎖を断ち切るため何もしないのか。相手の人生を左右する力の重みと、それを使うことの代償。自分だったら、どうするか、と自問自答させられる。

起きてしまった犯罪や事件に対して、これは本当に難しい問題。小学4年生の子どもにはあまりにも酷な選択だけど、主人公のぼくは、決して逃げないと決めていた。何度も怖いと言いながらも、その決心と覚悟に胸を打たれた。精神的な成長の途上にある子どもだからこそ、葛藤や機微がより純粋に刺さる。

辻村先生らしい子どもたちのピュアな描写と、それを取り巻く社会の闇。その対比の中で、一つの希望ある答えを示す作品だった。読後、「頑張ったね、ぼく」と声をかけたくなった。

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2026年05月07日

Posted by ブクログ

面白かったです。

物語の主人公の立場になって色々と考えさせられる作品でした。
主人公の最後の決断がどうなるのか、一緒に考えながら読み進められ、より没入感を得ることができました。

こういうテーマの作品はこの作者さんらしい良さが出ていてスッと馴染めました。

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2026年05月06日

Posted by ブクログ

クライマックスの先生と主人公の掛け合いがまっすぐな言葉の応酬で心動かされた。どっちの言葉も素敵だった。
小説で描かれるふみちゃんの人間像が素敵でそれでいて可愛さもあるから大好きになった。ふみちゃんと友達になりたい。

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2026年04月18日

Posted by ブクログ

話としては面白く、内容もよい話だと思ったが、愛について語られていたが、メインが小学生による物語だったためそこが個人的には微妙なポイント。

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2026年04月16日

Posted by ブクログ

軽い気持ちで読み始めたのに、内容は哲学問答のようで深く重苦しかった。
設定的にはあり得ない話。でも、もし
そんな選択ができたのだとしたら自分ならどうするか?
使われる言葉は平易でも、難しい内容だった。

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2026年04月09日

Posted by ブクログ

心理学の授業みたいだった。

人間は皆、先生と主人公が持つ特殊能力を持っていることを伝えるために作られたみたいな本。言葉とは力強く、重たいものだ。忘れないようにしよう。

ただの学校で起きている出来事を描く小説と思いきや、後半で急にネタが明かしが起きる展開は、凍りのくじらを如何にも彷彿とさせる、流石の仕掛けだった。

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2026年04月03日

Posted by ブクログ

特殊能力ものは多くの作品がありますが、本作のようにその能力を細かく分析し、それを踏まえてどのように発動させるかを一緒に考えさせられるような作品はとても新鮮でした。
能力はあくまでサブ的要素として、丁寧な心理描写によりページを割いてクライマックスに集約されていたのも好ましく感じました。
続編?の「名前探しの放課後」も読みたいと思います。

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2026年04月03日

Posted by ブクログ

「声」の力で、行動の命令『ゲーム発動』と、実行しなかったか出来なかった場合の『罰』を与える能力を持つ、主人公。

でも、ピアノの発表会で舞台に行けなくなったふみちゃんを動かしたのは、『罰』ではなくて、本当に主人公に言われて嬉しかった言葉だったんですね。

『条件ゲーム提示能力』なんて特集能力が無くとも、人の言葉には力があると思いました。

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2026年04月01日

Posted by ブクログ

主人公と一緒になって
どうすれば良いのか考えてしまう
没入型でしたね。
文章の組立て方
意味の取り方や考え方
哲学のようで哲学ではなく
難しいと思いながらも理解しやすく
すごい1冊でした。

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2026年03月31日

Posted by ブクログ

ぼくの周りで1番物知りだったふみちゃん。
いつも味方でいてくれたふみちゃん。

でももうそんなふみちゃんはいない。
あの事件を機に心を閉ざしてしまった。

「人間って、絶対に他人のために泣いたりできないんだって。」
いつか、どこかで見た言葉。
ふみちゃんのことを思っているはずのぼくでさえ、本当に彼女のためなのか分からなくなる。
人間は身勝手だ。

もう、何もかも信じられなくなったぼくに、
秋山先生が「愛」について語る。
とても感動した。

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2026年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

オーディブルで。

「不思議な力」を持ってる少年、、みたいな話は苦手で、その使い方を教えてもらうところはちょっと長いなーと思った。
でも後になって、その説明こそが大事だったとわかりました。どんな力を持っていようと、なにも持ってなくても、相手を思う気持ちの強さが全てなのかな。

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2026年03月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なかなか読んでいて辛く切ない物語だった。
ちょっとみんなよりも早熟で、クラスの誰からも好かれているけど一歩引いたところにいるふみちゃんと、そんなかっこいいふみちゃんのことが大好きで憧れを持つ僕。そんなふたりに大きな事件と凄惨な暴力が降りかかり、ふみちゃんは心を閉ざしてしまう。そこで僕はお母さんに禁じられた能力を使って犯人に復讐しようと試みる、というのがざっくりとしたあらすじだ。


▶僕という人物の大人顔負けの成熟ぶり
齢10歳にして、同じく能力を持つ秋山先生の複雑な説明に対しても理解を示し、かつその内容を実践で確かめ習得していく姿には凄すぎる、の一言に尽きる。また、ふみちゃんの早熟さや優しさ、聡明さに気がつくことができるという点でも、僕の知性の高さが伺える。ほかの子供たちはふみちゃんのそんな人となりを理解し尊敬することなんて全くできていなかった。ふみちゃんもすごいが、僕もそれと同等かそれ以上にすごいのである。
小学生らしからぬ僕だが、急に小学生に引き戻される場面もあり、そのアンバランスさが危うさに感じられた。なぜ主人公を中学生や高校生にせず小学生にしたのか疑問だったが、きっと周りの子供たちと2人の成熟度の対比、そして恋愛感情のようでそれをも超越した2人の純粋な絆を表現するためだったように思う。

▶僕がずっと抱えていた思いの正体について
物語の最後、犯人に対して僕は能力を行使し、呪いをかける。それは自己犠牲的なものだった。ふみちゃんを助けたい、戻ってきて欲しいという思いに違いは無いものの、僕はずっと犯人と同じくらい自分自身のことを責め続けていた。なぜあの日僕はうさぎの当番に行かなかったのか、もし行っていたらふみちゃんは今こうはなっていなかったのに、と。
そんな僕の命ひとつで犯人を縛ることができるなら、と呪いをかけるくらいには僕自身も事件の後遺症に苦しめられていたことがわかる。辛い…。
冷めきってコーヒーフレッシュの脂が浮いているコーヒーを平気な顔で飲んだり、塩辛いマドレーヌを美味しいと言って食べたりと、やや前兆というか怪しいな…と思う場面はあったがまさかここまで追い詰められていたとは…。というか自分のことはどうでもいい、ふみちゃんを助けたい、なんなら自分は死んでしまえという思いを抱え、復讐のために秋山先生をも欺きながら、虎視眈々と準備をしていたのだと思うとほんとうに切なくなる。

▶もし自分が条件ゲーム提示能力を持っていたら…?
まず、これがこの相手には1番効くだろう!ということを決めきれずなんだかんだ使えないのだろうと思う。ただ、感情的になってどうしても許せなくなったときはきっと必死になって訳も分からぬままに使うのだろう。
相手を縛るという意味では便利な能力だが、相手の行動がその能力によって受動的に動かされているものなのか、それとも本心からの能動的な行動なのかがわからなくなるというのが、人間関係の中で生きていく上で相当な弊害なりそうだということを強く感じた。
また、復讐するにはもってこいの力だが、そもそも自分がここまで酷い仕打ちを受け、また大切な人がそのような状況に陥ったときしっかりと使えるだろうか…とも思った。復讐にも色んな考え方があり、目には目を歯には歯をというハンムラビ的な考え方もあれば、全てを忘れる努力をし、諦めるというものもある。今の自分はそのときが来ない限り復讐について考えられないなというのが本心だ。

500ページ、重厚感のある小説だった。小学生が主人公でここまで頭をフル回転しないと振り落とされるものは、なかなかないと感じる。大切な人のために、そして自分を許さないために最善の考え方とその方法を探し、苦しみながら実行する僕の姿がもう本当に辛かった。
辻村深月、どんな脳内してるんだ…すごいな。

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2026年03月01日

mii

購入済み

もはや哲学書

凍りのくじらから。
あらすじにふみちゃんの名前を見つけて手に取りました。

主人公が小学生とするにはあまりに残酷な描写とストーリー展開でしたが、そのぶん読み手に語りかけてくることが非常に重かったです。
「ぼく」と秋山先生のやりとりは哲学的問答で、普段いかに自分の感情を蔑ろにしてたのかを痛感させられました。
もっと若い時にこの本に出会えてたら……と思う気持ちと、今だからこそ響いたんだろうなと思う気持ちと。きっと何度読み返しても新しい発見がある作品なんだろうと思います。

「ぼく」とふみちゃんが過去にとらわれず前向きに進んで行けますように。

#泣ける #切ない #怖い

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2025年02月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

罰とは何か、すごく考えながら読みました。
うさぎを殺したからと言って彼が罰を与える必要はどこにもなくて、何がやり過ぎとか適切とか、そんなことを決める権利は誰にもないのに。迷ったり考えたりしながら出した彼の答えは私には納得ができなかった。
もっといい反省のさせ方はなかったのかな…

動物が死んでも器物損害でしかないなんてそんな世の中が許せない。誰かに愛されている動物をもし殺したら、法的に罰せられるようにしたいです。
彼なら、法を変えられる方向に力をつかえたんじゃないでしょうか。

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2026年05月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中盤からは先生とぼくの会話が中心で、哲学的な要素が多かったからか、読むのに時間がかかった❕

ある事件をきっかけに、ぼくの目線を通して読者も考えさせられるという話の展開は「僕たちはどう生きるか?」に似ているなと思った
途中から秋山先生は杉下右京で脳内実写化してました(笑)

私はどちらかというと秋山先生寄りで、加害者には全く寄り添えないし正直相手が死んだっていいし、目には目を歯には歯をという感じだから、さすがは小学生。考えが甘いな〜と思ってたが結構裏切りもあっておもしろかった❕
大小の程度の差はあれど、悪意や加害性は誰にでもあるし、誰かに壊された人生もまた誰かの助けがあれば再生できるてことなのかな…

犯人が反省することもなく、悪意に理由がないという描写なのもとことん突き詰めてて個人的にはよかった❕(作中で勉強が辛かったからとか理由をつけて周りが相手に同情するというシーンがあったけど、犯人のバックボーンと罪を無理矢理紐づけてほしくなかったし、ずっと嫌なやつでいて欲しいから)

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2026年04月21日

Posted by ブクログ

 この作家の噂はかねがね聞いていて興味はあったけれど、読むのは初めて。率直に面白かった。

 読み進むたびにイメージがくるくると変わった。オーソドックスな児童文学として始まるのだけれど、途中から雰囲気が少しずつ変わり、さまざまな顔を見せてくれる。サイキックをテーマにした物語の印象もあり、途中からはちょっとサイコかかったネット社会批判的なサスペンス小説のようであり、ある部分ではロジカルな知恵比べをテーマにした硬派の物語のようでもある。いろんな楽しみ方ができるし、その変化の中に一貫した芯があり、それにぐいぐいと惹かれて読んでいった気がする。つまりこれは、プリンセスを守る騎士の物語なのである。

 実はひとつだけ大きく残念なことがあった。読みながら、「どうしてこの点には触れられないのだろう」と思いながら読んでいた。「この点」はとても大きい要素で、本当ならそれが主人公を動かす一番大きな動機になるはずだと思ったからだ。最後まで読むと、触れられなかった理由はよくわかる。登場人物というより、作者の事情なのだ。しかし、個人的にうまく納得できず、上手に感動できなくて、「ああ、そういう風にしたかったのね」と心に風が吹いてしまってがっかりした。

 そのほかにも、タイトルにもなっている「メジャースプーン」の含意がもうひとつ分かりにくかったり、ラストがちょっと甘くはないかと感じたりもした。だけど、そんなことはそれほど気にならず、幼さと強さを持ち合わせ、それゆえに健気さに目が離せなくなる小学生の頑張りを、ハラハラしながら見守る体験は、とても充実していた。読んで良かったなと思う物語だった。

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2026年04月11日

Posted by ブクログ

最初の方はペットを飼ってるっていうのもあって胸糞悪くて読むのが辛かった、「子供たちは夜と遊ぶ」の秋山先生も出てきてて、ぼくと同じ能力を持ってたことを知って驚いた、色々と難しい問題だよなぁと思った、2つの作品を読むと更に楽しめると思った✊

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2026年04月02日

Posted by ブクログ

26.03.29
3.6

言葉が持つ強み・重みがあった。
犯罪・イタズラ・いじめ、悪が出てくる。
1人女の子をショックから立ち直らせるために
少年が奮闘する。

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2026年03月29日

Posted by ブクログ

人間って、絶対に他人のために泣いたりできないんだって、という言葉が何度も出てきて印象的だった。ふみちゃんやぼくに何度か共感しながら読んだ。自分の顔は嫌いなところがいっぱいあるけど、可愛い子と顔を交換してもいいと言われても嫌なこととか。
秋山先生に、“ぼく”の立場だったらどうするかと聞かれたとき、小細工はせず真正面から立ち向かうと答えた学生の男の子に好感を持った。秋山先生の大学の中のレストランでの喫煙者と非喫煙者の話など、被害者と加害者のことについて改めて考え直せた。
全く本筋とは関係ないけど、動物だって人間と同じ生き物なのに見世物のように動物園というものが存在して、それっておかしいよなと思う。

自分のために一生懸命になってくれる誰かがいること。自分が誰かにとってのかけがえのない人間であることを思い出すことでしか、馬鹿にされて傷ついた心は修復されない。

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2026年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

惨殺されたうさぎを見て、ふみちゃんは心を失った。ぼくは声の力を使い、犯人への復讐を考えるがー。「子どもたちは夜と遊ぶ」で妙な怖さがあった秋先生の秘密。先生の声についての授業が話の半分くらいを占めるので増長さを感じましたが、その内容は薄ら寒くて興味深かったです。ぼくの決断もそうくるかと、おもしろく思いました。辻村さんの作品は読む順番が大事とのことですが、この作品を読むと、本当にそうだなあと身に染みます。個人的に作品にナンバリングをとてもしてもらいたい。作品は好きだけどちょっと複雑です。

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2026年03月23日

購入済み

辻村作品を読み漁るのでしたら

ふみちゃんが、その後の作品にも度々登場します。
辻村作品を継続して読破するのでしたら、読んでおいた方が楽しみが増えます。

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2018年10月24日

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