あらすじ
ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった――。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に1度だけ。これはぼくの闘いだ。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
大学生の時に初めて呼んで、初めて感動して泣いた本。
愛は利他的でないといけないのかという問題提起なのか。罪と罰の話もあるけど、自分は愛とはなんだいうほうに目がいった。
ふみちゃんが傷つけられて本当に悔しかったんだと思う。大事な人を傷つけられて、やり返すことをあなたのための復讐だと言われ、じゃあこの気持ちは自分のためなのかと思い詰める。
ふみちゃんを大事に思う気持ちは偽物なのかという苦悩から、人のために泣くことができないって本当かという問いかけが出てくることが主人公の気持ちが痛いほど伝わってきて、読み進めるのが辛かった。
愛とは純粋な自己犠牲ではないこと。
利己的か利他的かという二択ではなく、「他人の存在が自分の感情の一部になってしまうこと」
ゆえに自分が傷つく可能性を引き受けることでもある。
エゴもある。執着もある。自分勝手さもある。相手が必要だから苦しい。相手が傷つくと自分が苦しい。
そんな不純なもの全部込みで、
「それでも、その人が大切なのであれば、それ愛と呼んでもいいのではないか」いう優しい答えなのかな。
Posted by ブクログ
ストーリーが良くて展開に目が離せなくなる。哲学的な思考が好きな人にもオススメできると思う。
自分ならどうするのだろうと考えても、その上をいくような思考をしていく主人公と先生。長期の目線、広い目線で捉えることで、見える世界も変わるということも表現されている。愛とは罰とは償いとはなど、様々な示唆がある作品でした。
基本的に小学生の主人公の視点で進んでいくので難しい単語や表現が登場せず読みやすいです。不思議な力を持っている、という少し現実離れした設定がありますがそれをうまく溶け込ませたうまい作りになっているなあと思いました。
Posted by ブクログ
かがみの孤城のような、こどもの視点で描かれる児童文学のようなテイストで読みやすいな〜と思っていたら、ショッキングな内容にビックリ!
法で裁かれない被害者感情がテーマにあり、どうすればこの悪意に報復できるのか、または何もしないのか?を特殊能力に向き合う小学生と秋先生という形でずっと考えさせられました。
後半の展開、伏線回収はさすが!という感じでした。一気読みでした〜
Posted by ブクログ
辻村深月流の道徳の教科書といった読み味。
悪意を持つ人は、突然あなたを襲い、悔い改めない。
描かれる事件の内容について、小学生にはあんまり辛すぎる内容だなと感じるがこれの被害者が中高生だった場合、途端にショックを受けすぎだとリアリティーが損なわれてしまう。
主人公の小学生男子の一人称視点で語られる内容が、実際にカギカッコで発する言葉と説明言葉の語彙力にギャップがある点は、気になる人は気になるかもしれない。
辻村深月作品について、刊行順に読み進めている中で個人的に非常に興味深いのが、やたらと登場人物の美醜の描写がある点だ。しかもかなり生々しい。今回はそれが物語のひとつの要素にすらなっている。これが気になるのは、時代のせいなのか?
Posted by ブクログ
ちょっと賢い男の子と、子供相手でも敬語で話す教授の会話劇大好き人間なのでとても良かった。
賢さの中に子供の怖いまでの素直さが覗く感じがある意味リアルで良いんですよね。
最後はモヤモヤっとしたが、このあと名前探しの放課後と子どもたちは夜と遊ぶを読み、ぐっとこの本に対する解釈が深まりすっきり。最終的にこの3作品の中では僕メジャが1番好きかな。
Posted by ブクログ
描写がグロくて気持ちが悪い。
実際似たような事件は起きたことがある訳で
本当に胸糞悪くなる。
動物を殺しても器物損壊にしかならないと
初めて知った時本当に驚いたものだ。
同じ相手に力を使えないことは
酷いことをもう言わなくていいという進化
という考え方は印象に残った。
自分ならたとえ犯人が本気で悔い改めていても
だから許せるとはならない。
全てが元に戻る訳でもないのに、
自分で勝手に始めて勝手に後悔してもただの身勝手だ。
この手の人間に反省や罰を与えることは難しいと思う。
経済封鎖が本当に罰になるだろうか。
味わったことがないことを想像できる能力があるとは思えない。
動物を賢いと思うことは見下していることではないかとは
自分も考えてみたことがある。
命は平等というエゴについても。
秋山先生の印象は割と良かったのだが
子供が来るとわかっているのに珈琲を出すだけでなく
禁煙の場所で来訪の直前まで煙草を吸っているのが
昭和感があってちょっと嫌な気持ちになった。
人に手作りのお菓子を渡すのも微妙だし、
味見をしていないというのにモヤっとしたが
仕掛けのひとつだったので納得はするし
秋先生周りの話が明かされることで
前作で気になっていたことが回収できるのは気持ち良かった。
自分なら事件のことを忘れて楽しく生きることで
復讐を考えたいところだが
主人公はよく頑張ったし闘ったと思う。
正解なんてないと思うし、先生は厳しく優しかった。
少し光の見えるラストでほっとできた。