あらすじ
ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった――。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に1度だけ。これはぼくの闘いだ。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
★4.9/5.0
辛くて、切なくて、苦しくて、でも、とっても愛に溢れたお話だった。
この本を手に取ったきっかけは友達から泣けると勧められたからだったけど、本屋で購入してから読むまでにはかなり時間が空いてしまった。
ただ、この作品は「泣ける!」っていう風にオススメしたい本というより、とても辛く切なく苦しいけど、愛を感じられて、最後まで読んだら心に響くと思う、って感じだと思う。私ならこういう風に伝えるな。
ぼくとふみちゃん、そして秋山先生。
ふみちゃんの話から始まるのも良かったし、ぼくのふみちゃんに対する強い思いもものすごく伝わってきたし、秋山先生の授業と対応、最後ぼくに語ったたくさんの言葉。とても刺さりました。
残酷な描写はあったけど、泣ける作品では無くないか?って終盤まで思っていましたが、声を使った当日のところから一気に涙が止まらなくなりました。
ぼくの覚悟も、秋山先生のとっさの行動も、秋山先生がぼくをどう見ていたかも、さいごのふみちゃんも。
何度でも読み返したい!って思えるか?って聞かれたら何度も何度も読み返したい訳では無いけど、ただ、まっすぐな愛と覚悟に心打たれた作品になりました。
Posted by ブクログ
秋先生、全然気付かなくて終盤で「あぁ!あの秋先生だ!あの時の疑問をここで回収してくれるんだ、最高!」てなった。
それにしても、ふみちゃんのこと、自分のことにここまで深く考えたり悩んだりできることがすごい。今の私より、はるかに人間ができてる。
そういえば私が小学生の時も学校で飼ってた兎たちが、野犬に襲われて全滅するという事件があったんだけど…今思えばあれは本当に…野犬のしわざだったのだろうか…
Posted by ブクログ
うさぎ虐殺の描写は強烈だった。自分なら犯人に対してどのような感情を抱くか想像しながら読んだ。結局は絶対的な悪は変わらないから距離を置くというのが1番賢いんだろう。でも、主人公がとった行動も心情は理解できるな。マドレーヌの伏線は驚いた。
基本的に小学生の主人公の視点で進んでいくので難しい単語や表現が登場せず読みやすいです。不思議な力を持っている、という少し現実離れした設定がありますがそれをうまく溶け込ませたうまい作りになっているなあと思いました。
Posted by ブクログ
小学生の復讐劇を、哲学的かつ情緒的に書き上げた、素晴らしい作品。
デビューから4作目。明らかに化けた。
過去作品と共通の登場人物が出てくるのも、順に読んできた人にとっては驚かされる仕掛け。
秋山先生は「子どもたちは夜と遊ぶ」の先生だった。動物園に行く人は、月子と恭司か。
先生の、殴られた女学生を助けようとした、って言葉でやっと気づいた。
「子どもたちは〜」の該当箇所を読み返したら、完全につながってた。これ、キャラ設定の時点で、秋山先生が言霊的な能力持ってるって決めてたんだな。その種明かしをこの作品で行う。スケールでかいぜ。
もしかしたら、元々は「子どもたちは〜」で触れる予定だったけど、要素増えすぎて本筋がぶれるからカットしたのかも。だとすると、練っておいたものが無駄にならずむしろ熟成して輝いた感じかな。
秋山先生、授業でダブルバインドの話を月子にしてた。これも「子どもたちは〜」を読んだ時は、こんな描写いるか?って思ってたけど。そういうことか。
ピアノ発表会の天才くんは「凍りのくじら」の郁也かぁ。解説で知った。ふみちゃんも確かに同書に出てきてた。病院に一緒にいた、しゃべらない女の子。
他作品とのつながりは、あくまでもスパイス。
本筋も素晴らしい。
・うさぎの胸糞っぷりがすごい。
・マドレーヌが伏線だとは。
・主人公が小学生なのに感情移入させられる
・秋山先生の冷徹ぶりが良い
・復讐や命に関する議論も良い
とはいえ、言うことなし!ではなかった。
ピアノのところは導入としてはやや物足りなさを感じたし、小学4年生の一人称で「呵責」とか違和感表現も。
小4であそこまで頭回るのは東大にも滅多にいないはずだってところもひっかかった。
何より、他作品とつなげる弊害として、見てないと蛇足や違和感につながる描写。
秋山先生の象がサーカスとか、助けた女学生の飲み込んだメモとか、男の人のピアス穴とか。
Posted by ブクログ
初めからページをめくる手が止まらなかった。
「ぼくのメジャースプーン」という題からは想像出来ないストーリー。すごろくの通りに読んでるので、「凍りのくじら」に出てきたふみちゃんのもともとの人柄にギャップがあってびっくりした。
読んだことがないので合ってないかもしれないけど、現代版「罪と罰」のようだった。罪に対する罰を与えるには何が適当なのか、むしろ罰を与えるべきなのか。ぼくと秋山先生の対話やほかの登場人物の考えなどから色々と考えさせられた。
最後、決戦当日からの展開はもうこの世界に入り込んでしまって感情が大変だった。
読み終わって充実感はあったけど、自分が全てを消化出来てない気がするので、また日が経ったときに再読したい。
秋山先生の能力について知ったとき、「子どもたちは夜と遊ぶ」で先生が出てるところ読み直したい!と思ってたら、あの時使ってたのか!!と新たな発見があってより面白かった。ほかにも別作品の登場人物たちが出てきてその発見も楽しかった。
辻村作品は物語がその一冊で終わるのではなく、当たり前にそれぞれの時間が流れて登場人物たちも日々過ごしているんだなぁと感じられて読んでてうれしくなる。
Posted by ブクログ
感動ファンタジー系小説。
泣けると評判の作品のようだ。
友人に勧められて読んだ。
なんだろ、最近読んでいた小説がハマり過ぎていたからかな、普通にはおもしろかったんだけど、
読み終わった直後の率直な感想は、これで終わりか、だった、笑
泣けなかったというか、あまり感情移入できなかった、、、
主人公が小2〜4の話で、ちょうどうちの子と同じなんだよね。
だからか、頻繁に現実に引き戻されて、
声の力がある時点でフィクション?ファンタジー?なんだけど、最後まで小説の世界に入り込めなかった感じ。
でもおもしろかったし、復讐とかやり返すことに関して考えさせられたりして、また別の良さがある小説ではあった。
ただ他の小説と比較してしまうとイマイチ。
もし自分に声の力があったら、目には目をくらいのレベルで即使うね、笑
こんな主人公みたいに悩んだりしない、ってところも一歩引いちゃった要因かなぁ。