あらすじ
時代がどんなに困難でもあなたという星は輝き続ける。売れっ子コピーライターの文香は、出張後に立ち寄った道後温泉の宿でマッサージ師の老女と出会う。盲目のその人は上品な言葉遣いで、戦時中の令嬢だった自らの悲恋、献身的な女中との交流を語り始め――「星がひとつほしいとの祈り」。このほか、20代から50代まで各世代女性の希望と祈りを見つめ続けた物語の数々。「楽園のカンヴァス」で注目の名手が静かな筆致で描く、極上の短編集。
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Posted by ブクログ
表題作と長良川が私にとってはとても刺さりました。全て愛の物語で、出てくる人みんな苦労していて、それでも愛の中を生きていて、、。原田マハさんの言葉は本当に温かくて、読んでいて心がじんわりする。寂しいのも悔しいのも、誰かのためなら全部愛なんだな
Posted by ブクログ
読みながら涙がぽたぽたとこぼれ落ちる経験は久しぶりでした。
とにかく言葉選びが素敵で、文章が綺麗で。特に風景の表現がいちいち美しくて。
1つも取りこぼしたくなくて、途中でもう1回最初から読み直しました。
特に表題作がほんとうに良くて....
『斉唱』『長良川』も大好きです
結局一貫してるのは「愛」なんだけど、それが、完璧じゃないのが、心に刺さった理由なんだろうな。
静かで、もどかしくて、時に棘があって不誠実で。その中に描かれた愛だからこそ、強く惹き込まれたんだと思う。
この本は私にとってかけがえのない一冊になりそうです
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◼️椿姫
・朝日に溶け出した雪が、電信柱からぽたぽたと雫になって落ちている。それがきらきらと日差しに輝いてまぶしい。通勤の人々は、足を取られまいと懸命に歩いている。
・立ち上がると、さばさばと言った。
「じゃ、会議あるんで。またね」
さっさと出ていった。
・ボールペンで一文字一文字ていねいに書かれた手紙には、陽だまりのあたたかさがあった。
・サッシを開けると、日差しに緩んだ風がふわりと舞いこむ。
◼️夜明けまで
・母の目が、静かな湖のように深く潤った目が、ひかるをみつめる。
・愛する人が現れなかった夜明けに、たったひとり、列車に乗っていった母。
◼️星がひとつほしいとの祈り
・「どんなに明るいものなんでしょうねえ、そのパソコンとやらは。太陽のごとく、星のごとくでございますか?」
・それでもわたくしは、恋をしました。たちまち背中に羽根が生えるのを、心の庭に色とりどりの薔薇が咲き乱れるのを、わたくしは抑え切れなくなりました。
・勉強部屋の開け放った窓辺に風はそよとも吹かず、空気はじっと動きを止めておりました。
◼️寄り道
・そう言いながら、母は喜美のほうを向いた。笑いすぎたのか、うっすらと目が潤んでいた。少し疲れて寂しそうな、けれども優しい母の顔だった。
・真昼の海は、沁みるほどの青をたたえておだやかだ。
◼️斉唱
・水平線のかなたにぽつりと姿を現した島が、ゆっくりと成長していき、やがて海景のすべてを埋めつくした。尖った山の頂に向かって、鮮やかな絵具を散らしたように紅葉が駆け上っているのが見える。
・日の光があふれる空をトキの群れが飛べば、その翼はオレンジがかった薄桃色に輝いた。朱鷺色、という色の名は、唯一無二、このトキの翼のためにだけ生まれたのだ。
・もう何年も見たことがないような笑顔がこぼれた瞬間、梓の胸の中で、ことん、と心臓が静かに音を立てた。
・見られなくたっていいんだ。いま、この島のどこかに、ひっそり点り続ける命のともしびがある。
そう唯が気づいてくれれば、それでいいんだ。
・少年と少女の声は、遠慮がちに奏でる楽器のように、最初はてんでにばらばらで、やがて和音を作った。梓は、その青くたおやかな斉唱に、静かに耳を傾けた。
◼️長良川
・たっぷりと、豊かな川。その水面に身ひとつを浮かべて、悠々と、渺々と、こんこんと。
・まあ、こういうものかもしれないな。父親であるからには、いずれ娘を、誰かに持っていかれる運命なんだ。
・堯子の目には、いっさいが滲んで美しく見える。
◼️沈下橋
・どうしてこんなことになったのか、ではなく、これからどうしたいのかを。
Posted by ブクログ
様々な女性を主人公にした短編集。
辛いことや悲しいこと、大きな問題に直面する物語もありますが、どのお話も言葉の選び方がとても優しく、読み終える頃には心が温かくなる作品でした。
原田さんの作品は『本日は、お日柄もよく』で初めて読みましたが、誰かを傷つけるためではなく、そっと寄り添うために言葉を紡いでいるような文章が本当に好きです。
この一冊は、派手な展開で読ませる作品ではありません。
けれど、誰かを思いやる気持ちや、人生の苦しみ、家族や恋人への愛情を、優しい言葉で丁寧に描いてくれる作品でした。
原田さんの作品に触れている時間は、私にとって心を温めてくれる大切で愛おしい時間です。
Posted by ブクログ
とても、よかったです。
女性の、いのちの、短編集。
ざわざわまとまらない頭で、長いお話は読めない状態の私にも、ひとつひとつのお話が、まるで息づかいまで伝わってくるかのように響いてきました。
Posted by ブクログ
どの物語もジーンときて、涙が止まらなかった…!
全部続きが気になる。
一番好きなのは長良川かなあ。
純愛なストーリーで、2人の関係がものすごく素敵だった。
いつかこんな夫婦になりたいなって思うくらい、理想の2人。
原田マハさんの本はまだあまり読めていないけど、これまで読んだ数冊も今回読んだこの本も、ものすごく心が温まる。
どの人にも刺さる何かがある作品だと思う。
Posted by ブクログ
あなたはあなたのままで、そう、そのままで歩んでいきなさい、それでいいんだよと、静かに、確かに、心に明かりを灯してくれる。誰かを、自分を、もう一度信じようと思える。大いに心揺さぶられる短編集でした。
もー。どうしてだろう?原田マハの文章からは、匂いや色、登場人物の感情までも立ち込めてくるようだ。
表題作も捨てがたいが、特に「長良川」「沈下橋」もとても好き。満員電車で涙が止まらなくなってしまった。
Posted by ブクログ
短編集、全てとってもよかったです。長良川が特によかった。泣きました。どの話も、実際の土地、駅名が出てきて物語を思い返しながら行きたくなりました!メモたくさんしちゃった。
Posted by ブクログ
「星がひとつほしいとの祈り」と「長良川」は、
どちらも涙なしには読めませんでした。
表題作は、広告代理店で働く女性が、マッサージ師から「ある過去の物語」を聞かされる不思議な構成のお話です。
語られたのは、戦時中の盲目の少女と、彼女にフランス語を教えに来た家庭教師との儚い恋。そして、その彼女を近くでどんなときも献身的に支え続けた女性の物語。
決して幸せな結末ではないけれど、
明日をも知れぬ刹那的な時代だからこそ、
その恋や友情が、かけがえのない尊いものに感じられました。
「長良川」は、深い夫婦愛を描いた物語。
亡き夫との思い出の地を娘夫婦と訪ね、過去の会話を思い返すなかで、自分がどれほど夫に大切にされていたかを再確認していく姿に涙が止まりませんでした。
読み終えたあと、私もこんな素敵な夫婦になりたいと心から思えました。本当に素敵だった。。
キラキラした星を集めたよう
一編一編がどれもキラキラと輝く星のような短編集でした。楽園のカンヴァスを読んで、原田マハさんのほかの作品も読みたくなり、でも絵画に関係する小説のほうが面白いのかな、と思っていたのですが、本編は絵画に関係したお話ではなかったですが、すごく素敵でした。
Posted by ブクログ
七つの人生の物語。 どっぷり世界観に浸って読む長編もいいけど、短編も余韻の残る良いものばかり。
実は読み始めてから、再読に気づきました。かなり前の記憶で朧げだったので、もう一度楽しめて良かった。
心に灯る希望というか願いというか、静かだけど強い想いみたいなものを感じました。
どれも静かに心に染み込んで、優しく馴染んでいく。余韻に浸りたくなるような心地よさがある短編集でした。
良い再読でした。
Posted by ブクログ
原田マハさんの短篇集、じんわり沁みた。
様々な年代の女性が主人公で、どれも一筋の光が見える物語。アートに彩られた長篇とはまた違った良さがある。
解説の『本書には「動」の作家の「静」がある。』という言葉が腑に落ちた。
表題作が好き。情景描写が美しく、実際に訪れたくなるところも良い。
Posted by ブクログ
タイトルにある”星がひとつほしいとの祈り”
がこの中でもズバ抜けて良かった。
戦時中や敗戦後の日本にあった気高さと美しさを堪能できる。
ロマンチックな物語であった。しかし悲しい。
ここで描かれるような命を燃やすような大恋愛というのは、もう現代では無いのかもしれない。
周りの空気を喰らい尽くすほど強烈に燃え、ふっと消えてしまう。その儚さの中にある美しさを汲み取ったシーンにただただ涙を流した。
原田マハ作品は絵画のイメージが強いけれども、そうではないし、彼女の紡ぐ言葉の柔らかさに触れられる本書は読む価値あり。
本日は、お日柄もよく も積本してるから早々に読まねば。
↑読んだ。あんまおもんなかったっす。
Posted by ブクログ
2026/7/1
とても温かくて、素晴らしい短編集だった。
なかでも、私は「長良川」が1番好き。
癌で夫を早くに亡くした主人公。
夫婦の思い出の地を、娘とその婚約者と共に旅行に訪れた。
幸せだった結婚生活を振り返りながら、かつて2人で歩いた地を、娘夫婦と巡る。
なんて悲しくて、なんて幸せな作品なのだろう。
最後、主人公の気持ちは語られない。
でもきっと、これからも幸せに生きていけるだろう、という希望のあるラストで、涙が溢れた。
Posted by ブクログ
いずれも女性が主人公で心温まる、癒される思いのする短編7つ。読後にいずれもほんわかと幸福感を感じる佳品だった。
「椿姫」は不倫の子を宿した香澄が産婦人科の前で出会った少年との心の交流。「夜明けまで」はひかりが母あかりの不思議な遺言で大分県の田舎町を訪れて初めて知った母の過去。表題作は文香が道後温泉で出会った老婆マッサージから聞いた不思議な人生物語り。
老婆は名前が出てこないが、彼女の若い日に女中として仕えていたとして語るヨネという女性と2人の信頼関係が感動的。しかしこの物語りはもしかして文香の夢だった…?「寄り道」は2人の旅付きハグとナガラが白神山地ツアーで出会った若い菜々子との出会いと菜々子の秘密。「斉唱」は母子家庭の母・梓が感情を表さない娘・唯の希望により佐渡のトキに会うために1泊した島民宅での少年との会話の中で、唯の心が開かれていく様子。「長良川」は夫との死別後に娘とその婚約者の3人で思い出の長良川を旅し、幸福だった日々を思い出すとともに、その幸福の余韻を感じさせる物語り。「沈下橋」はかつて義娘として5年間生活を共にした多恵の元に、10年ぶりに小羽打ち枯れて訪れてきた由愛との再会。
Posted by ブクログ
多様な地域を舞台に多様な女性の視点の心の機微を描いている。寂しい日常の中にも最後は微かな希望が描かれて、「誰かを想い馳せる」美しさを感じました。
非日常な場所×現実的な問題(不倫、離婚、大切な人の死など)の対比が印象的でした。
方言などの地域の特性も感じることができ、「旅路」がテーマの一冊。
Posted by ブクログ
短編小説のなかで、全短編が印象に残るなんてあまりないから新鮮。どれを読んでも、その物語に入り込めた。特に『長良川』がよかった。夫にも娘にも、そんなふうに思ってもらえる人生いいな。
Posted by ブクログ
最初の読み出しから、一気に展開して引き込まれる物語がどれも美しく、哀しく、そして感動があり、どの作品も珠玉でした。
中でも表題となっている、星がひとつほしいとの祈り、そして、寄り道が好きだった。星がひとつほしいとの祈りは一夜の夢を一緒に見ているよう。
寄り道はうっかり電車で読んていて、大変でした。
Posted by ブクログ
原田マハさんの短編集。それぞれ地方が舞台になっておりつい旅行にでかけたくなってしまう。
少し寄り道をして自分を見つめ直してもいいんだ、人生は長いんだからゆっくり生きてもいいんだと思わせてくれます。
Posted by ブクログ
記念カバーが欲しくて購入、さまざまな年齢の女性が主人公の短編集。
素敵な娘を育て終え、夫に先立たれたばかりの女性の物語が一番心に残った。刺々しさは捨て、感謝を持って過ごしたいよ。
Posted by ブクログ
それぞれのお話を読み終えたとき、
雲で隠れた星が微かに見えてきたという感覚
になる。
表題作の「星がひとつほしいとの祈り」は、すごく良かったな。
昔話をするマッサージ師のおばあさん、
ヨネへの特別な想いが溢れていて、大切な人を想う気持ちって色褪せないなと思った。
人のことを星に喩えるのはよくあるけど、改めて空を見てみたい気持ちになった。
数えきれないくらい、大切な人を想う気持ちがいっぱいあるんだろうな〜。
「斉唱」のテーマである朱鷺、見たくなって検索したんだけど、朱鷺、朱鷺色、綺麗すぎるね!
Posted by ブクログ
星がひとつほしいとの祈り
「ローヌ川の星月夜 ゴッホ」の装丁で再販してくれなかったら読んでない気がする
たったひとつのひかる星の思いが得られたなら
生きていけるのかもしれない
だけど「戦争」というものは、、、
やりきれない
それにしても紙の本の装丁の力よ!
日々のタスクに忙殺される、、、ああもうこんな時間!
きっかけは、それでも手に取りたくなる本のしかけ
読後はなにやら心清らか
この本に関しては紙で読んでいる読者が多い気がする。
Posted by ブクログ
色んな人の人生にお邪魔させてもらって。その年代の悩みなんかに触れながら、自然に心が動くまでをジッと待つような、そんなあたたかい話ばかりだった。
Posted by ブクログ
久しぶりの原田マハさん。
孤独で、逃げ出したくなるほどの時間と向き合ってきたのだろうと思わせる、その言葉の温もり。
だから私は、マハさんの言葉が好きなんだなと改めて感じた。
時代がどんなに困難でも、私は私を諦めない。
星をひとつ、わたしも探して生きていきたい。
Posted by ブクログ
人生は思い通りにならない。それでも人は誰かを想い、何かを願いながら生きていく。そんな瞬間を描いた短編集。登場人物はそれぞれ違う人生を歩んでいるのに、抱える寂しさや迷いには思わず重なるものがあった。
Posted by ブクログ
言葉ひとつひとつが優しくて、心穏やかに読めた。
『星がひとつほしいとの祈り』は 目の前に風景、情景が見えてくるようで、素敵な話だった。
盲目のマッサージ師さん、私も会いたいな。
Posted by ブクログ
人生の岐路に立つ女性たちが
それぞれの「星」を見つける。
それは愛だったり、幸せだったり、
仕事の成功だったり、詩だったり。
全体的にさみしいお話なんだけど
人との繋がりに心があたたまった。
自然の表現の仕方が美しくて
そんな表現できるんだ?!って脱帽
Posted by ブクログ
特製カバーのフィンセント・ファン・ゴッホによる絵画「星降る夜、アルル」に惹かれて。
全体的に重い話が多く私には少し大人すぎたかなあと思ったけれど、最後にはしっとりと心に染み入るような心地がした。
表題作「星がひとつほしいとの祈り」はとても美しく、涙が止まりませんでした。
- 一生心に留めておきたい美しい言葉 -
「嬢さま、さあ、こちらへおいでくださいまし。今日のお庭のみずみずしいこと。すっかり開いた白薔薇の花のくぼみに、きのうの雨粒が留まってございます。その雨粒が光を集めて、世界をきらめかせております。枝々のあいだには、蜘蛛がうっすらと巣を張り巡らせて、その上にまた雨粒がきらきらと、嬢さまのお首につけてらっしゃる真珠のように、お日さまの光を弾いております」