小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
「自分はなぜ、こんなに時間をかけて本を読んでいるんだろう」。
SNSを開けば要点が流れ、AIに聞けば答えが返ってくる。そんな時代に、何時間もかけて小説を読む意味はどこにあるのか。野崎まどさんの『小説』は、その問いに、予想もしない形で答えてくれる作品でした。
物語は、本に魅せられた少年・内海集司と親友の外崎真が、謎の作家“髭先生”のもとで本を読み続ける日々から始まります。前半は、読書好きなら思わず頬が緩むような、穏やかで懐かしい時間が流れます。
ところが、そこからが野崎まど。
ふたりが成長し、「書く人」と「読む人」に分かれていくにつれて、物語は思いもよらない方向へ加速します。小さな読書部屋にいたはずなのに、気づけば世界の見え方そのものを揺さぶられている。こんなに衝撃を受けた作品は、いつぶりだろうと思いました。
そして何より心に残ったのは、読書そのものへの圧倒的な肯定です。
本は、役に立たなくてもいい。答えをくれなくてもいい。ただ読んで、自分の中に言葉や感情や意味が少しずつ積もっていく。その時間が、自分の内側を広げていく。
効率ばかりが求められる今だからこそ、あえて遠回りして物語を読む。その豊かさを、ここまで大胆な物語で体験させてくれるとは思いませんでした。
未知の驚きに出会いたい人へ。
そして、本を読むことが好きなすべての人へ。
これは「小説についての小説」ではなく、小説を読むという行為そのものを根源的な意味を示してくれます。 -
Posted by ブクログ
第二部は、昭和元年生まれの4人の若者達を中心に物語が動くので読みやすいし、めちゃくちゃ良かった!
4人とも若いのに、戦争に翻弄されながらも体を張って、それぞれの道を切り開いていく姿がとても素晴らしかった。
この4人だけでなく、兵役忌避者で偽牧師の狭山や、闇取引が上手なヤクザの徳山まで、いいキャラしてる。
英語ができるというのは確かに強みだけど、それ以上に、視野が広く、皆が信じていることも疑い、簡単に感化されたり服従したりしないところが強い。愛国心はあっても盲信はしない。自分が信じることをすれば、どんな時代でも生きていけるんだなと思った。
GHQに日本を変えられるのは癪に障るが、逆にアメリカを利用して、いい日本を再建しようとするこの若者たちの生き様がとても良かった。
第三部が楽しみ。 -
Posted by ブクログ
ユングに対して抱いていたイメージが、全く変わったフロイトの弟子という認識でいたけれど、それも全く違った。フロイトとユングはそれぞれ別の道から心理学を探求して近づいて、そして離れていったそうだ。
ユングは西洋人でありながら、東洋哲学的な思想を持っていたり、光と影が常に存在していることを意識していたそうだ。
私たちは近代の学習で西洋哲学的な思考回路になっているものの、実はその闇というか影と言うものを認識しないでいたのだろう。私の専門分野の医学においても、エビデンスと言われるものは、ユングの言う光の部分しか見ていなくて、そこで切り落とされてきた情報やそれぞれの人たちの感情など、様々な影の部分というものが、実際にはすごく価値のあることなのだと改めて感じられた。
この本をきっかけに、私はユングファンになった。もっとユングの本を読んでみようと思う。
-
Posted by ブクログ
ずーっと楽しみにしていた『茜唄』。
同じ今村翔吾先生の『童の神』を読み、平安時代を舞台にした作品に続いて、今回は平安末期を描く『茜唄』を手に取った。
『平家物語』を題材に、今村翔吾先生らしく再構成して描かれた作品で、上巻では清盛が亡くなる少し前から木曽氏との合戦、水島の戦いまで、下巻では物語が大きく動き、平家の最期へと向かっていく。
自分自身、平安末期から鎌倉幕府の成立については学校で習った程度で、そのときの印象はどうしても源頼朝を中心としたものだった。
「源頼朝はすごい人物」というイメージがある一方で、平家には「平家であらずんば人にあらず」という言葉の印象もあり、正直、あまり良いイメージを持っていなかった。
しかし、初めて平家物語を題材とした作品を読んで、その印象が大きく変わった。
特に、不利な状況だと分かっていながらも颯爽と駆け抜けていく知盛と教経が好きになった。
勝てば官軍、負ければ賊軍――そんな単純なものではなく、そこにはそれぞれの信念があり、信念と信念がぶつかり合っていたのだと感じた。
これは現代にも通じるものがあると思う。
立場や結果だけを見て、どちらが正しい、どちらが悪いと簡単に決めつけるのではなく、それぞれの側にそれぞれの想いや正義がある。
題材としては決して簡単な時代ではない。それでも最後まで読み終えたとき、本当に最高の読書体験だったと思える作品だった。
そして、家族愛には何度も心を揺さぶられ、涙が出た。
物語自体が長く、途中で少しダレるところもあったものの、それを差し引いても十分すぎるほどの高評価。
子供への暴力や家庭内暴力などがニュースで取り上げられる今だからこそ、家族とは何なのか、人は何を守るために生きるのかを考えるきっかけとして、たくさんの人に読んでほしいと思える作品だった。 -
Posted by ブクログ
『なぜその凶器でなくてはならなかったのか』殺人事件に使われた風変わりな凶器を収集している『奇妙な凶器博物館』(EMWM)は警察の関連施設でもあり、警察関係者が事件の相談に訪れることも多い。相談料は無料だが、その代わり事件が解決した際には事件に使われた凶器を譲り渡すことになっている。謎を解く館長は言動も外見もどこか頼りない若者といった雰囲気で……。
ということで本作は他ではあまり見られない凶器が何故使われたのかを軸にした連作ミステリになっています。いわゆる安楽椅子探偵と言われる作品です。事件の当事者ではない人間が事件の現場ではない場所で、事件に対してあれこれと議論する作品が昔から好きです。どこか楽しげなやり取りの中からユニークな発想が飛び出すシーンが馴染むからなのかもしれません。そして本作の登場人物同士のやり取りが魅力的で、エピソードが進むごとに登場人物の背景を知り、よりその魅力が強まっていくのも楽しかったです。ふしぎな凶器をめぐる意外な真相は……。個人的には第三話の「黒斧剣ヴェリギオス」が印象に残りました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ夜間でもやっている保育園があることを知らなかった。夜勤の仕事があるってことは、夜に子供を預けなきゃいけない親もいるという当たり前の事に気づけていなかった。
私も子供を保育園に預けているので、先生目線で、保護者ってこんな感じなんだ〜と思った。
認可外の保育園は、親にとっては準備するものとかの負担が少ないけど、場所によっては子供にとって良い環境ではなかったりするのか…。そして、保育料が高いのか!とか、考えてみればそうだよなと思うけど、改めてそんな場所があることを考えさせられた。
「保育園は子どものためではなく、働く親のための施設」みたいなところも、はっとさせられた。 -
Posted by ブクログ
おすすめミステリランキング常連の本書。面白くて一気に読めました。角島と本島が並行して語られる構成だから、あの1行で全てが繋がった時の驚きは、、!
ただ、"ニックネームが代々引き継がられる"から例の1行の理解、消化のスピードが"え!!!!"というよりかは"ん、、?、、、、、、は!!!!!!?え!!!!"ってかんじでした(伝われ)
人がどんどん死んでくからどきどきはらはらページを捲る手が止まらない感じが、ストレスフルな退勤後の就寝前の相棒として最高でした。たくさんミステリを読んでいる方でも、このミステリ面白かったな〜って思える作品だと思います。 -
Posted by ブクログ
シチリー先生また変わった職業にスポットライトを当ててきましたね
それは特殊清掃人
私も昔やりました
やりましたと言うかやらされました
みんなが下校しているのにひとり残って掃除を
それは居残り清掃!
ま、掃除をサボってた自分が悪いんですけどね
特殊清掃人とは、孤独死、自殺、事件・事故、あるいはゴミ屋敷など、一般的な清掃業者では対応できない特殊な現場を原状回復させる専門職です
一言でいえばやばい部屋をちょちょいのちょいっとキレイにしてしまうプロフェッショナルということです
ま、実際はちょちょいのちょいっとというわけにはいかないですけど
だって、人が死んで放置されていた部屋って、すっんごい臭いがするらしですよΣ(゚Д゚)
ちょっと興味本位で臭いを買いでみたいかも
ぐふふふふふ…♡
ってどんな特殊フェチだ( ゚д゚ )クワッ!!
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。