あらすじ
「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。だれもが自分のことだと思わせられる、太宰治、捨て身の問題作。
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Posted by ブクログ
23にして恥ずかしながら初めての太宰治。彼のことを何も知らずに読み切ってしまったものだから、巻末に収録されている奥野健男氏による圧巻の解説に涙さえ流してしまいそうになった。太宰の決死の告白として必ずもう一度読み直したいと思う。
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解説まで読んで 太宰治を知ることができた気がする
どうせ滅びるなら、こういう愚かしい男もいたのだということを書き遺しておきたい。
それを読んで、救われた気持ちになる読者もいるかもしれない
と、遺書のように小説を書き始めたことは知らなかったし、
人間失格が3回にわけて連載されているその途中で太宰治が亡くなったこともここで初めて知った。
すごく暗ーーい話、と教えられた気がする作品だったけれど、
暗いというより、この人やばいなってちょっと笑えたし、それはつまり、太宰治が読者に感じてほしかったことなのでは?と思って面白く思えた。
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自分のようだと思った。
世間の人と感覚のズレがあって、色々迷惑をかけたりして最終的に廃人になる。
こういう人は一定数やはりいるんだと知れてよかった。
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初めての太宰さん、初めての『人間失格』。
こんなに読みやすかったんだ!
これについて多く語る必要があるのか?!ってのはあるけど、語れるだけ語らせていただきたい。(自分のために)
主人公には自分というものがなく、空腹もあまり感じず、食べ物を美味しいとも思えず、人間が怖いが故に、人にどう見られるかを気にするが故に、幼い時からずっと道化を演じて、何とか世渡りしてきたというところで、「これ、村田沙耶香さんの作品の主人公たちに通じるものがある!」とびっくりしました。
少しずつ違ってくるのは、『人間失格』の方の主人公は、画家になってやるって願望を抱いてみたり、人を愛したいと切望したり、人に図々しくなっていき迷惑をかけたりし始めてしまうところ。そして村田沙耶香さんの主人公たちは周りにいっさい迷惑をかけず、初めから終わりまで「無」を通そうとしているところで、違うんです。でも自分の殻に閉じこもって、外では人間を演じているというところがそっくりだし、自分の空の姿がバレてしまうのが怖いというところとかが本当によく似ているし、村田沙耶香の作品には『人間失格』の影響が何かしらあるのかなと思った。(勝手な素人の解釈)
これが太宰治か…と胸が締め付けられるのは、色んなところに沢山ある、美しい文章。とにかく風情が深くて心に響く。「趣深い」とはこのことなんですよ!
ちょっと付箋も貼らずにどんどん読んでしまったので、もっと他にも素晴らしい文があったと思うけど、とりあえず以下の文を書き留めておきたい。
ー「水底の岩に落ち附く枯葉」のように、わが身は、恐怖からも不安からも、離れる事が出来るのでした。ー
この隠喩よ!!!「水底の岩に落ち附く枯葉」って!!!綺麗だし、寂しいし、胸がギュとなります。
ー背後の高い窓から夕焼けの空が見え、鴎が、「女」という時見たいな形で飛んでいました。ー
「女」から逃れたいのに、鴎が女になってるって。この描写よ。表されていることをどんどん深読みしたくなる。
155ページで、こんなにも、人の価値観とかを揺るがすような、人生に影響を与えるような作品を書けるなんて。新潮文庫で令和7年5月の時点で217刷になる意味が分かる。
そして解説も含め、読み応えがこんなにもあるのに400円の文庫。
やっぱり本ってなんて素晴らしいんだろうって、本が、小説が、さらにもっと大好きになりますね。この文庫はずっと手放しません!!!また読む!!
最後に、美術への関心もある私にとってはサプライズな一面を書いて終わにします。
この本の初めの方に、19世紀末の巨匠画家たち(ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、ルノアール)とかの名前と、彼らの動向の素晴らしい描写が出てきて、「え?!太宰治って美術史家なの?!なんでそんな上手く表現できるの?」とびっくり。『人間失格』にこんな美術に関する表現が出てくるとは思わず、早速美術も好きな私は引き込まれました。
ーああ、この一群の画家たちは、人間という化け物に傷めつけられ、おびやかされた揚句の果、ついに幻想を信じ、白昼の自然の中に、ありありと妖怪を見たのだ、しかも彼等は、それを道化などでごまかさず、見えたままの表現に努力したのだ、ー
ー自分のそれまでの絵画に対する心構えが、まるで間違っていた事に気が附きました。美しいと感じたものを、そのまま美しく表現しようと努力する甘さ、おろかしさ。マイスターたちは、何でも無いものを、主観に依って美しく創造し、或いは醜いものに嘔吐をもよおしながらも、それに対する興味を隠さず、表現のよろこびにひたっている、つまり、人の思惑に少しもたよっていないらしいという、ー
この表現ができるだけで、まずもう優勝なんですよ。太宰治さん、他の作品ももちろん読みます!!!大好きです!!
まずはこの勢いに乗ってドスト氏(作中でそう呼ばれている)の『地下室の手記』を読みます!
Posted by ブクログ
人を信じれないからこそ自分を偽る主人公
人間の弱さだったり繊細さだったり上手くいかない人生だったり…人間失格といいながら、とても人間らしいなと思う。
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太宰治はひねくれ者なのかと思っていたが、それ以上に真っ直ぐすぎた、少しの矛盾を見過ごせなかったのではないかと思った。
「自分には、あざむき合っていながら、清く明るく朗らかに生きている、或いは生き得る自信を持っているみたいな人間が難解なのです。」
誰しも、人と接する時(建前)と1人でいるときの自分(本音)は違うだろう。そのズレに耐えられなかったのではないかと思った。だから、そのズレがない子どものシゲ子のことが好きだったのだと思う。
だから誰しもやっているであろう「道化」は人を騙しているような気になってしまったのだとも思う。そんな自分を許せなかったから「非合法」「罪人」でいることに安心したのだろう。
そして、皆がやっていることをできない自分を否定している。皆がおかしいのではなく、自分がおかしいと思っている自己肯定感の低さ。なぜそうなってしまったのか背景が気になる。
人間は日常的にみんな演じている。
この作品を踏まえて『走れメロス』を考えると面白い。『走れメロス』は太宰の信じたかった価値観。信じたいけど疑ってしまう自分と闘い続けて、祈るような気持ちで書いた小説だと思った。
Posted by ブクログ
初めて読んだ太宰作品。身も心もボロボロになりながら人間とはについて考え続ける執念深さを感じた。思っていたよりも重い内容ではなかったけど、自分だったら絶対に踏み入りたくない生活。
人を信じられないからこそ自分を偽り続ける人間の弱さを上手に描いている。1回では理解しきれていない部分もありそう、最初は文体に慣れなくて内容が入ってきませんでしたが、後半につれて気にならなくなりました。
あとがきのマダムの言葉があたたかかったです。
Posted by ブクログ
いつか読もうと思っていて、きちんと読んだことはなかった気がする。35歳にして初めてちゃんと向き合った。
口調や書きぶりが魅力的でどんどん読んでしまった。
さすが太宰治。
冒頭のほうで、性的虐待への言及が1文だけあり、そこから先一切出てこないけれど、今の時代この部分はかなり根本的な要素なのではないかと思った。
そのわりに、人間失格について論じるときに出てこない気がする。
性的虐待による心的外傷がゆえに病んでしまった物語とも取れるのではないか。。太宰治自身はどうだったのだろう。
色々とyoutubeなどで評論を見ていたら、やはり海外からはそういう評価もあるらしいが、日本の文壇ではあまり論じられていないそうだ。
京大の浜崎先生が、皆若いころに太宰病にかかるのは、この本が現代人の孤独を描いていて、誰しもが共感する部分があるからだと言っていてなるほどなと思った。
他人の評論は置いておくとして、
女に溺れるタイプの行動原理にはあまり共感できなかったし、本当にそんなにモテたのか?と思ったりもしたが、やはり独特の文体で、語彙が豊富なのがやはり私は好みだった。
全く本心でないことも、相手の意図を汲んでやってしまうことは、私自身も少なからずある。そこに太宰ほど深く闇を感じれずに生きているけど、どちらかといえば私も悩む方だと思う。
太宰が書きたかったのはどういうことなのだろう。
最後、「神様みたいにいい子だった」と言われながら、自殺してしまう。結局闇を選択している。
結局、闇を見過ぎず、適度に悩みながら、これからもぼんやり生きていくんだろうな。
そういえば、世間とは個人なのではないか、というのも面白かった。世間が許さないのではなく、あなたが許さないのでしょう?というところは、これから意識してみたいところ。
Posted by ブクログ
面白かったと思うがあまり覚えてない。
斜陽の方が好きだったため、この評価に落ち着いた。
正直、太宰ブランドみたいなとこはあるかもしれない。
ただ、この暗い世界観と弱い主人公像が何故か惹かれる。
Posted by ブクログ
中学生以来、十数年ぶりの再読。当時はすこしも良さがわからなかったけど、今読んでみるとスゲ〜面白い。これを「おとなになった」と言っていいのかはわからないけれど、でも、「失格」になることへの理解が、子どものころはできなかった気がする。たぶん潔癖だったんだなあ。言い方が悪いけど、このひねくれた文章さえも今はすきだと思えてくる不思議。
Posted by ブクログ
出口のない苦しみが循環しているような作品だった。根底にあるのは人間に対する原初的恐怖。救いを求めながらもそれらを破壊し自己欺瞞に走る葉蔵の姿が飾らない言葉で書かれていて余計に痛々しい。何を伝えたいのかは理屈では掴めなかったけれど、なんとなく心を鷲掴みにされる。罪深い作家。
Posted by ブクログ
人間が当たり前に持っている感情や動機がなく、「世間」に溶け込もうと、自分にはないものを見つめようとするあまり、人間へ過度な恐怖心を抱いているように思う。自分と同じだと思った。解説にある通り、そう思わせるのが太宰の手腕なのかもしれない。
Posted by ブクログ
人間の本性のうち負の一面が強く表現されており、純粋さ故に共感する所のある「奇妙な危うさ」に引き付けられました。
人間は良心を知らずに育つと失格した性格になってしまうのかもしれません。「人は鳥カゴ環境で育つとで破滅の道を歩むことになる」を強く意識させる作品でした。
Posted by ブクログ
意外と読みやすく、ユーモアがある文章に驚いた。
構成が面白い。
はしがきで登場する男に対し、語り手は嫌悪を剝き出しにしている。
その理由が、手記として描かれた男の人生を読み進めるうちに腑に落ちていく。
太宰治はどれほど自分を信じ、好きだったんだろう。
自己嫌悪は自己愛の裏返しだ。
太宰が友人だったら、何やってんの、ってこづきたい。
だけど、もう知らん、と言いながら、なんだかんだまた一緒に居酒屋でくだをまいたりしそうな気がする。
太宰はダメで、しょうもない。
しょうもなくて、情けなくて、まるで自分みたい。
どこか憎めなくて、みんな太宰を好きになるんだろう。
Posted by ブクログ
生い立ちのせいで人の顔色を窺いすぎて、そのくせ人の言葉を真に受けすぎて、自意識過剰で自分を繕いすぎて、本来の自分など分からなくなってる。頭が良すぎるのかもしれない。暗くてそんなに好みではないはずが何度か読み返しているのは、共感してしまうところもあるし内心ではこの作品に魅力を感じているのだろう。
Posted by ブクログ
本書は、好きになった人と心中して生き残り、本を書くようになるけど、アルコール、麻薬にはまって、最後は精神病棟に送られる話です。太宰治は走れメロスしか読んだことがありませんでしたが、自叙伝と言われるだけあって描写が生々しく同じ作家と思えない鬼気迫るものがありました。
Posted by 読むコレ
再読。晩年に心身ボロボロの状態で自身の思いの丈をぶつけた手記的な作品、という印象でしたが、全く異なりました。
言うなれば(生意気ですが)冷静そのもの。
主人公の持つキャラクター性は、世間一般に知られる著者の性格とはきちんと一線を画している様ですし、物語は伏線を張るなどしてリーダビリティにも気を遣っていた様子。ましてやコミカルな描写まで抜け目なく挟まれており、まさか人間失格でちょっと笑わされてしまうとは!
氏がどんな心境で本作を執筆されたかなど知る由もありませんが、作家の気迫と矜持は見せつけられました。
すげえ。
Posted by ブクログ
おどけることで周りの人から可愛がられていた少年がどんどん堕落していく男の話しだった。自殺未遂したり、アル中になったり、薬物やったりとめちゃくちゃになっていく。何でこうなるかよくわからない。小難しいこと考えないで楽しく生きればいいのに。
Posted by ブクログ
あまり本を読んでいるところを見たことのない母の鞄の中にあったので、自分も読んでみようと思った。
太宰治の自叙伝的な作品らしく、みんなを楽しませるためのものではなく、自分のために書いたもので、自分の内的事実を吐き出そうとしていると。
人の闇の部分や現実から逃げたくなってしまいそうな弱い部分は誰にもあると思うが、ここまで多いと、普通の人間と思われなくなってしまう。
読み始めた頃は、難しい表現や否定的な感情が多いし、文章が長くて、休憩する所がわからなくて馴染めなかったが、最後まで頑張って読み終えた。やっと解放されたような感覚。
妻や子供たちにも読んでもらい感想を聞きたい。
そして、忘れた頃に、もう一度読んでみようかと思ってきた。
Posted by ブクログ
初めての太宰作品。
幼少期から自分を偽り、隔離して生きてきた主人公。人の顔色ばかりを伺いながら生きており、そんな性格ゆえに歪んだ人格が形成されてゆく。
他人を過剰に意識しながら生きる主人公と、純粋無垢なヨシ子の対比は極端であると感じた。
家族に見捨てられ、女、酒に溺れて廃人と化した主人公はまさに「人間失格」
Posted by ブクログ
人間、特に日本人が薄ら感じ、考えていることをここまで突き詰めているのは凄まじいと思った。道化を演じる、他人の素性への無関心、父親への懐かしみと恐怖など激しく共感できる部分があったが、大ベストセラー小説というのもあって、読んでいる時の自分の感情を少し冷めた目線で見てしまうところもあった。正直、科学がより身近になった現代で、この小説が悩みのための「お薬」になることはなかった。シンプルに体を鍛えようと思ってしまう。太宰治がこの小説を書く時どのような感情が強かったのだろう。虚栄心、羞恥心は容易に想像できるが、芸術や小説そのものを壊してやろうという気概はあったのだろうか。彼の人生観と密接にリンクしている作品であるため、多層的な魅力があるのだろうと感じた。
Posted by ブクログ
人と付き合う上で誰しもが少なからず道化を演じることがあると思うが突き詰めるとこうなるのかと感じることが出来た。
整った顔のおかげもあり次から次へと女と交わるが、忽然と姿を消したり共に心中を試みてはを繰り返す様は中々に酷いと感じた。
女性は魅力的な人物が多く登場したが、自分は純粋無垢なヨシ子の人物像が好きだった。
後半にかけては金が尽きては家内のものを質屋に入れ手に入れた金で酒を飲み、挙句の果てには薬にまで手を出した様子はまさに"人間失格"の様に感じた。
繊細に記された自身の堕落していく様子は先日読んだろまん燈籠と同じ作者のものとは思えずまた違う太宰の人間性を知ることが出来た。
Posted by ブクログ
初めて触れる太宰治作品
昔特有の読みにくさはあるものの、
序盤は、少し分かる部分も有り、
太宰に勝手にリンクしたような気になり、
書いてる姿すら想像して、
妙な楽しみ方が出来た。
中盤あたりから、
これ、主人公のクズが太宰の表現と
時折見せる鬼気迫る文章力で
名作にされてるだけでは?と
袋小路に入ってしまい、楽しめなくなった。
最後に主人公の年齢を見て、
「ええッ?」
解説を読んで、
太宰が主人公のモデルと知って
「マジか。。」
更に遺作と知って、
「・・・」