【感想・ネタバレ】人間失格のレビュー

あらすじ

「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。だれもが自分のことだと思わせられる、太宰治、捨て身の問題作。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

上ではなく下を見るための小説。
面白いとは思わないけどこの作品を好きといえる大人になってしまったよ。

0
2025年12月21日

Posted by ブクログ

自分のようだと思った。
世間の人と感覚のズレがあって、色々迷惑をかけたりして最終的に廃人になる。
こういう人は一定数やはりいるんだと知れてよかった。

0
2025年12月04日

Posted by ブクログ

人と違うことを考える主人公に対して、共感する部分が多々あった。
自分の中の幸せを1つ持てるようにしたい。

0
2025年11月26日

Posted by ブクログ


初めての太宰さん、初めての『人間失格』。
こんなに読みやすかったんだ!
これについて多く語る必要があるのか?!ってのはあるけど、語れるだけ語らせていただきたい。(自分のために)

主人公には自分というものがなく、空腹もあまり感じず、食べ物を美味しいとも思えず、人間が怖いが故に、人にどう見られるかを気にするが故に、幼い時からずっと道化を演じて、何とか世渡りしてきたというところで、「これ、村田沙耶香さんの作品の主人公たちに通じるものがある!」とびっくりしました。

少しずつ違ってくるのは、『人間失格』の方の主人公は、画家になってやるって願望を抱いてみたり、人を愛したいと切望したり、人に図々しくなっていき迷惑をかけたりし始めてしまうところ。そして村田沙耶香さんの主人公たちは周りにいっさい迷惑をかけず、初めから終わりまで「無」を通そうとしているところで、違うんです。でも自分の殻に閉じこもって、外では人間を演じているというところがそっくりだし、自分の空の姿がバレてしまうのが怖いというところとかが本当によく似ているし、村田沙耶香の作品には『人間失格』の影響が何かしらあるのかなと思った。(勝手な素人の解釈)

これが太宰治か…と胸が締め付けられるのは、色んなところに沢山ある、美しい文章。とにかく風情が深くて心に響く。「趣深い」とはこのことなんですよ!

ちょっと付箋も貼らずにどんどん読んでしまったので、もっと他にも素晴らしい文があったと思うけど、とりあえず以下の文を書き留めておきたい。

ー「水底の岩に落ち附く枯葉」のように、わが身は、恐怖からも不安からも、離れる事が出来るのでした。ー

この隠喩よ!!!「水底の岩に落ち附く枯葉」って!!!綺麗だし、寂しいし、胸がギュとなります。

ー背後の高い窓から夕焼けの空が見え、鴎が、「女」という時見たいな形で飛んでいました。ー

「女」から逃れたいのに、鴎が女になってるって。この描写よ。表されていることをどんどん深読みしたくなる。

155ページで、こんなにも、人の価値観とかを揺るがすような、人生に影響を与えるような作品を書けるなんて。新潮文庫で令和7年5月の時点で217刷になる意味が分かる。
そして解説も含め、読み応えがこんなにもあるのに400円の文庫。

やっぱり本ってなんて素晴らしいんだろうって、本が、小説が、さらにもっと大好きになりますね。この文庫はずっと手放しません!!!また読む!!

最後に、美術への関心もある私にとってはサプライズな一面を書いて終わにします。
この本の初めの方に、19世紀末の巨匠画家たち(ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、ルノアール)とかの名前と、彼らの動向の素晴らしい描写が出てきて、「え?!太宰治って美術史家なの?!なんでそんな上手く表現できるの?」とびっくり。『人間失格』にこんな美術に関する表現が出てくるとは思わず、早速美術も好きな私は引き込まれました。

ーああ、この一群の画家たちは、人間という化け物に傷めつけられ、おびやかされた揚句の果、ついに幻想を信じ、白昼の自然の中に、ありありと妖怪を見たのだ、しかも彼等は、それを道化などでごまかさず、見えたままの表現に努力したのだ、ー

ー自分のそれまでの絵画に対する心構えが、まるで間違っていた事に気が附きました。美しいと感じたものを、そのまま美しく表現しようと努力する甘さ、おろかしさ。マイスターたちは、何でも無いものを、主観に依って美しく創造し、或いは醜いものに嘔吐をもよおしながらも、それに対する興味を隠さず、表現のよろこびにひたっている、つまり、人の思惑に少しもたよっていないらしいという、ー

この表現ができるだけで、まずもう優勝なんですよ。太宰治さん、他の作品ももちろん読みます!!!大好きです!!

まずはこの勢いに乗ってドスト氏(作中でそう呼ばれている)の『地下室の手記』を読みます!




0
2025年11月21日

Posted by ブクログ

 読むのは3、4回目。
 やっぱり面白い。内縁の妻が犯されて、主人公が感じたものが恐怖だったというのは太宰治のことをよく表していると思った

0
2025年11月08日

Posted by ブクログ

自殺した後に続きが発表されるその渦中を生きた人になってみたかった。

死ぬかもしれなと予想して、死なないかもしれないと予想して、死んでしまったとき。

続きを読んだ時の興奮。

そういうものを味わってみたかった。


年々、葉蔵要素が強くなっていっている自分と向き合わなくてはならず辛かった。なんてあほなんだと思える人になりたいのに。

0
2025年10月31日

Posted by ブクログ

彼にとって人間として生きるにはこの世は窮屈すぎたのかもしれない。目を瞑り心に蓋をして惰性で生きている人間にとって、内情の全てを露わにして書かれたこの作品は刺さるはず。
読み進んでいくにつれ主人公に重ねてしまい、胸の奥が苦しくなった。それと同時にその苦しみの言語化による快感もあり特別な読後感。私は好きな内容。

0
2025年10月20日

Posted by ブクログ

自意識過剰で臆病、死にたがりな主人公なのに、ユニークな会話や思考がおもしろくて読みやすい。
彼の人生観、死生観が垣間見えて、彼とは違う生き方をしているはずなのに、時々共感したり気づかされたりする。

0
2025年10月15日

Posted by ブクログ

なんだろう…。ものすごいものを読んでしまったというのが、率直な印象です。簡単に感想を書けないほど奥深く、著者がこの作品に人生を全振りしている、一種の覚悟のようなものを感じ取りました。

読んだあと、すぐに想起されたのは又吉直樹さんの『火花』でした。又吉さんが芥川賞を受賞された時に、当時話題になっていたので読んだと記憶しているので、もうかれこれ10年近く前に読んだものですが、どこかに『人間失格』との類似性を感じとり、頭に浮かんだのだと思います。調べると、又吉さんは『人間失格』を100回は読んでいるとか。「どおりで…。」となんだか勝手に納得してしまいました。

一回読んだだけでは、この作品の表層部分もわかっていないような気がするので、おそらく、私はこの本を何度か読み返すと思います。
また、又吉さんの作品も久々に読みたくなりました。

0
2025年09月11日

Posted by ブクログ

凄まじいの一言。読後は呆然自失となる。

太宰にとって、世界とは無意味にすぎなかった。
印象的な文言に「世間とは、個人ではないか」というのがある。
思慮深い真理として感じられ、皆が抽象的に想像していることを、見事に言葉として表現しているのではないだろうか。

圧倒的なニヒリズム。
彼はもしかすると、重度の対人恐怖、社交不安障害であったのかもしれない。
現在、心療内科、精神内科などは簡単に予約が取れないほど通う人間が多いという。
そんな生きづらい世の中の内に、太宰が今も読まれている理由があるのだろう。

自己破壊を繰り返すことでしか、生きる価値を見出せないような、文学を語る資格がないのだというような悲痛な叫びが聞こえてくるようだった。

ひたすら世間に恐怖し、逃げ続けつつも懸命に生きた太宰と、考えることを拒否し、本能のみで生きながら、群れることでしか自己を実感することができず、世界の半分がスマートフォンの中にあるような人間が蔓延る現在の世の中において、人間失格なのはどちらだろうか。

0
2025年10月10日

m

購入済み

素晴らしかった

小説嫌いな自分でしたが、初めて感激を受けました。

0
2020年05月22日

Posted by ブクログ

中学生以来、十数年ぶりの再読。当時はすこしも良さがわからなかったけど、今読んでみるとスゲ〜面白い。これを「おとなになった」と言っていいのかはわからないけれど、でも、「失格」になることへの理解が、子どものころはできなかった気がする。たぶん潔癖だったんだなあ。言い方が悪いけど、このひねくれた文章さえも今はすきだと思えてくる不思議。

0
2025年12月19日

Posted by ブクログ

出口のない苦しみが循環しているような作品だった。根底にあるのは人間に対する原初的恐怖。救いを求めながらもそれらを破壊し自己欺瞞に走る葉蔵の姿が飾らない言葉で書かれていて余計に痛々しい。何を伝えたいのかは理屈では掴めなかったけれど、なんとなく心を鷲掴みにされる。罪深い作家。

0
2025年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人間が当たり前に持っている感情や動機がなく、「世間」に溶け込もうと、自分にはないものを見つめようとするあまり、人間へ過度な恐怖心を抱いているように思う。自分と同じだと思った。解説にある通り、そう思わせるのが太宰の手腕なのかもしれない。

0
2025年12月07日

Posted by ブクログ

中学生の時に初めて読んで、漢字が難しく調べながら読み進めるうちに賢くなったと思います。太宰の一生、色気のある人だったんだろうな。

0
2025年12月06日

Posted by ブクログ

 人間の本性のうち負の一面が強く表現されており、純粋さ故に共感する所のある「奇妙な危うさ」に引き付けられました。
 人間は良心を知らずに育つと失格した性格になってしまうのかもしれません。「人は鳥カゴ環境で育つとで破滅の道を歩むことになる」を強く意識させる作品でした。

0
2025年12月02日

Posted by ブクログ

意外と読みやすく、ユーモアがある文章に驚いた。

構成が面白い。

はしがきで登場する男に対し、語り手は嫌悪を剝き出しにしている。
その理由が、手記として描かれた男の人生を読み進めるうちに腑に落ちていく。

太宰治はどれほど自分を信じ、好きだったんだろう。
自己嫌悪は自己愛の裏返しだ。

太宰が友人だったら、何やってんの、ってこづきたい。
だけど、もう知らん、と言いながら、なんだかんだまた一緒に居酒屋でくだをまいたりしそうな気がする。

太宰はダメで、しょうもない。
しょうもなくて、情けなくて、まるで自分みたい。

どこか憎めなくて、みんな太宰を好きになるんだろう。

0
2025年11月12日

Posted by ブクログ

生い立ちのせいで人の顔色を窺いすぎて、そのくせ人の言葉を真に受けすぎて、自意識過剰で自分を繕いすぎて、本来の自分など分からなくなってる。頭が良すぎるのかもしれない。暗くてそんなに好みではないはずが何度か読み返しているのは、共感してしまうところもあるし内心ではこの作品に魅力を感じているのだろう。

0
2025年11月04日

Posted by ブクログ

中学生以来の再読。人の反応を気にしてノビノビできないというのは、少し分かる気がする。でも、妻が酷い目にあったというのに、自分の方が傷ついたようになってからは、理解不能になった。人生を人のせいにせず、自分の機嫌は自分で取らないと、こうなっちゃうよね、って話?(流石に違うと思うので、皆さんのレビューを読んで、読み深めてみます)

0
2025年11月02日

Posted by ブクログ

こういう人間染みた本人の孤独を感じる本は好きだな〜。
他人にうまく馴染めず、笑顔の裏にある孤独や恐怖がリアルみある。

0
2025年10月15日

Posted by ブクログ

本書は、好きになった人と心中して生き残り、本を書くようになるけど、アルコール、麻薬にはまって、最後は精神病棟に送られる話です。太宰治は走れメロスしか読んだことがありませんでしたが、自叙伝と言われるだけあって描写が生々しく同じ作家と思えない鬼気迫るものがありました。

0
2025年12月21日

Posted by 読むコレ

再読。晩年に心身ボロボロの状態で自身の思いの丈をぶつけた手記的な作品、という印象でしたが、全く異なりました。
言うなれば(生意気ですが)冷静そのもの。

主人公の持つキャラクター性は、世間一般に知られる著者の性格とはきちんと一線を画している様ですし、物語は伏線を張るなどしてリーダビリティにも気を遣っていた様子。ましてやコミカルな描写まで抜け目なく挟まれており、まさか人間失格でちょっと笑わされてしまうとは!

氏がどんな心境で本作を執筆されたかなど知る由もありませんが、作家の気迫と矜持は見せつけられました。
すげえ。

0
2014年04月16日

Posted by ブクログ

おどけることで周りの人から可愛がられていた少年がどんどん堕落していく男の話しだった。自殺未遂したり、アル中になったり、薬物やったりとめちゃくちゃになっていく。何でこうなるかよくわからない。小難しいこと考えないで楽しく生きればいいのに。

0
2025年12月15日

Posted by ブクログ

あまり本を読んでいるところを見たことのない母の鞄の中にあったので、自分も読んでみようと思った。

太宰治の自叙伝的な作品らしく、みんなを楽しませるためのものではなく、自分のために書いたもので、自分の内的事実を吐き出そうとしていると。

人の闇の部分や現実から逃げたくなってしまいそうな弱い部分は誰にもあると思うが、ここまで多いと、普通の人間と思われなくなってしまう。

読み始めた頃は、難しい表現や否定的な感情が多いし、文章が長くて、休憩する所がわからなくて馴染めなかったが、最後まで頑張って読み終えた。やっと解放されたような感覚。

妻や子供たちにも読んでもらい感想を聞きたい。
そして、忘れた頃に、もう一度読んでみようかと思ってきた。



0
2025年12月07日

Posted by ブクログ

初めての太宰作品。
幼少期から自分を偽り、隔離して生きてきた主人公。人の顔色ばかりを伺いながら生きており、そんな性格ゆえに歪んだ人格が形成されてゆく。
他人を過剰に意識しながら生きる主人公と、純粋無垢なヨシ子の対比は極端であると感じた。
家族に見捨てられ、女、酒に溺れて廃人と化した主人公はまさに「人間失格」

0
2025年11月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恥の多い生涯を送ってきました。 男は自分を偽り、人を欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。

0
2025年11月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人間、特に日本人が薄ら感じ、考えていることをここまで突き詰めているのは凄まじいと思った。道化を演じる、他人の素性への無関心、父親への懐かしみと恐怖など激しく共感できる部分があったが、大ベストセラー小説というのもあって、読んでいる時の自分の感情を少し冷めた目線で見てしまうところもあった。正直、科学がより身近になった現代で、この小説が悩みのための「お薬」になることはなかった。シンプルに体を鍛えようと思ってしまう。太宰治がこの小説を書く時どのような感情が強かったのだろう。虚栄心、羞恥心は容易に想像できるが、芸術や小説そのものを壊してやろうという気概はあったのだろうか。彼の人生観と密接にリンクしている作品であるため、多層的な魅力があるのだろうと感じた。

0
2025年11月18日

Posted by ブクログ

人と付き合う上で誰しもが少なからず道化を演じることがあると思うが突き詰めるとこうなるのかと感じることが出来た。

整った顔のおかげもあり次から次へと女と交わるが、忽然と姿を消したり共に心中を試みてはを繰り返す様は中々に酷いと感じた。
女性は魅力的な人物が多く登場したが、自分は純粋無垢なヨシ子の人物像が好きだった。

後半にかけては金が尽きては家内のものを質屋に入れ手に入れた金で酒を飲み、挙句の果てには薬にまで手を出した様子はまさに"人間失格"の様に感じた。

繊細に記された自身の堕落していく様子は先日読んだろまん燈籠と同じ作者のものとは思えずまた違う太宰の人間性を知ることが出来た。

0
2025年11月15日

Posted by ブクログ

太宰治が自身について書き綴った、とあとがきにあったんだけど、だとしたら1番最後の「神様みたいな人でした」はどう捉えたらいいんだろう

0
2025年11月07日

Posted by ブクログ

初めて触れる太宰治作品
昔特有の読みにくさはあるものの、
序盤は、少し分かる部分も有り、
太宰に勝手にリンクしたような気になり、
書いてる姿すら想像して、
妙な楽しみ方が出来た。

中盤あたりから、
これ、主人公のクズが太宰の表現と
時折見せる鬼気迫る文章力で
名作にされてるだけでは?と
袋小路に入ってしまい、楽しめなくなった。

最後に主人公の年齢を見て、
「ええッ?」
解説を読んで、
太宰が主人公のモデルと知って
「マジか。。」
更に遺作と知って、
「・・・」

0
2025年11月07日

Posted by ブクログ

中学生の頃読んで、これこれ俺じゃんとなりひどく影響されたが、25歳の今読むと、こいつ生きるの下手だなーと少し苛つきに似た感情が湧いた。

0
2025年10月25日

Posted by ブクログ

読むのに時間がかかった。
昔の言葉遣いに慣れていないということもあるが、ものの言い回しがめちゃめちゃ遠回しで言ってくることにあると思う。長い時は半ページも言い回しに使っていたこともあった。後半は、それにも慣れてきてスイスイ読めたと思う。

内容については、はしがきとあとがきの使い方が上手だと感じた。物語の本編などにあまり関係しないものの上手く全てを包んでいる感じがした。本編は、葉蔵の最初は人間を真似ていたが、最後には人間でなくなってしまった。からのタイトル回収が気持ちよかった。ほとんどの葉蔵の気持は共感できなかったが、何事も個人なのだという部分には共感できた。

内容は難しくて、頭に入ってきづらかったが読んでおいて損はない本だと思う。

私は、分からない単語を途中から数えたのですが、36単語ほどもありました。昔の本ってムズカシッ!

0
2025年10月15日

「小説」ランキング