あらすじ
「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。だれもが自分のことだと思わせられる、太宰治、捨て身の問題作。
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Posted by ブクログ
<どんな人におすすめ?>
古典をこれから読みたいと思っている人
<感想>
時代を超えて通じるものがある。
それが古典を古典としてたらしめているものなんだろう。
20代のときに3回読んで3回挫折していたこの本が、
アラフォーの今、最後まで読めた。
私はまだ古典に慣れ親しんでいないので、
お門違いなことを言っているかもしれないが、
夏目漱石『こころ』に描かれているエゴイズムのようなものがこの作品にも描かれている。
それがタイトルにも表されている『人間失格』なんだと思う。
途中から自伝的小説かと思い、太宰の年譜を見やる。
なるほど、そうか。
ヨシ子が犯されているのを見た直後の文章にものすごい熱がこもっていると思ったのだが、解説を見てやはり同様のことを経験していたのだと知る。
・隣人の苦しみがわからない
・道化は人間に対する最後の求愛
・二匹の動物を見たあと、若白髪がはじまり、よろこび、共鳴からは永遠にはなれるようになった(p129)
読み終わった今となっては太宰治記念館(青森県五所川原市)や
太宰治全集を手に入れたいと思った
言文一致体なので、これから古典を読み始めたいという方におすすめ
Posted by ブクログ
近代文学といえばみたいな作品。
最も印象的なのは
友人と世間について考えるシーン
世間とは君の意見だろ?
もうすぐ100年ほど前の作品になるが、このでの思想や哲学は今でも共感できる。
普遍的な名作には力があることを改めて実感した。
Posted by ブクログ
中学生の時に読んで、ほんとにほんとに救われた作品。恵まれているからと言って、死にたいと思ってはいけないわけじゃないことを教えてくれた。
23歳になった今改めて読むと、また違った見方ができる。
ネットでは「自虐風自慢」なんか言われていることもあるが、葉蔵の恵まれた容姿、才能、家柄は葉蔵を苦しめるものでしかない。
繊細すぎる性格と、それに伴って深くなる思考は、生きづらいとしか表現できない。
ラストでは少し希望も見えるような終わり方だったが、実際の太宰の死を考えると...
Posted by ブクログ
初めて読んだ時は「これは自分のことだ」と思いました。発表当時も多くの共感があったようで、例にも漏れず現代の二十歳過ぎの私も共感することが多くありました。共感した部分は女の人に結果的に溺れてしまうところでした。繊細な性格についても共感しましたが、強くシンパシーを感じた部分が女性関係でした。彼ほどの破天荒な、もしくは破滅的な交友はありませんが大なり小なり感情的な部分で気持ちが重なりました。
葉蔵の容姿が端麗だったことが彼を苦しめた一つの要因かなとも考えました。端麗さが幼少期での性的虐待につながり人間不信を加速させていました。相談できる家庭環境でなかったことも大きく関与していて葉蔵は当時は被害者でした。
人間に対する一定の信頼というのは社会生活において非常に重要で、それが欠けていると本当にしんどいです。私は上司から受けたハラスメントで極度の人間不信を四年経ったいまでも抱えています。そうした気持ちを葉蔵が全ての人間から受けていると考えると彼の精神力はある意味で非常に強かったとも言えると思います。
葉蔵の抱えた内面の脆さが容姿と相まって、女性をひきつける要因となっていました。何故か惹きつける・惹きつけられてしまうのは母性に関連していると思います。自分ではどうにも対処できないところで他人を巻き込んでいく様子は彼の罪悪感や恥に直結していました。彼が女のいないところへ行きたいと言ったことは彼にとっては恥辱・羞恥にまみれた言葉だったと思います。
Posted by ブクログ
解説がめっちゃ良かった。
一度人間として太宰治は''死んだ''あと、心を無にして才能に溢れる作品を世に出し続けた。その後自分の心の底に眠っていた本当の自分を出して、本当に死んだ。戦後も戦時中も作品を出し続けるその気概や、孤独と向き合える力は単に酒や女に溺れた男と称して言い訳がない。
家庭であまり愛されずに育ち、親が資本主義の波に乗るエリートで、農民の土地を買い占める成金の息子であるというステータスに疑問を持ってマルクス主義の運動に参加するところが、最高。
精神疾患(アルコール中毒、薬中毒)といったものへの理解がまだあまり無い時代背景もあり、時代を感じた。芥川龍之介の自殺に影響されてるところも、文豪だーー!!となった
家庭環境って愛着形成に甚大な影響があるなぁと感じた。
Posted by ブクログ
人生で初めて文豪の作品を読んだが、表現力の豊かさに衝撃を受けた。圧倒的な重厚感がたまらない。人間の醜さや弱さが正直に描かれていて、絶望という名の救済に飲み込まれた。別作品だと話のテイストが違うと聞くので『斜陽』や『女学生』も読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
これは社会人になったら必ず読むべきだ
誰しも思い当たる節があるような、ないような
心を撃ち、今後の人生、生き方、モノの考え方について
読む前と読んだ後じゃ少し違うんじゃないか
Posted by ブクログ
家庭環境も、性別も、生きた時代も何もかもが違うのに、どこかしら「わかるな〜」と感じてしまう不思議。ろくでもないな〜と思うのに、ひどく葉蔵に惹かれてしまう。自分も、作中に出てきた女性と変わらないのかもしれない…
Posted by ブクログ
初めて太宰治を読んだ。構えていたよりも読みやすかった。牛が尾で虫を打つようにという表現がすごくしっくりきた。今まで漠然と思っていたことをこんなにしっくり表現できることがすごいと思った。
自叙伝的小説と知って驚いたし、とても切ない。でも恐れ多くもあるけど、共感できるところもあったし、自分自身がそれで悩んでしまうこともあったので、嬉しくもあった。最後のママの言葉が切ないなぁ。
Posted by ブクログ
人との関係を「自分と世間」という形で距離を取り、深く関わろうとしなかったがために、自分をよく知る人の自分への「いい子だった」という評価を知ることなく、自分自身に「人間失格」という評価を下してしまったのかな。
人との関わりを考えさせられた1冊。
Posted by ブクログ
これが書かれた時と今では時代が変わったはずなのに、人間は変わっていないなあと感じました。
自分の嫌なところを葉ちゃんが代わりにしてくれているように感じていました。
また全てが嫌になりそうになったら読み返そうと思っています。
Posted by ブクログ
ずっと読んでみたかった作品。演技をしている自分他人の前でおどけてみせる自分をすごく冷静に見てたり女性と同じテンションではない自分を分かってるんだけどどっか自分に甘くて女関係も薬も沼っていく感じがすごく共感してしまった。葉蔵はほぼ太宰自身のことらしいけどどうなんだろう。ちょっと昔の文体?だしずっと心の中の独白と堕ちていく事しかないのにスルッと読めた。
Posted by ブクログ
【お、おもしろい】
あとがきの最後の一行を読んで鳥肌が立った。
この最後の着地をもって人間失格は名作になったんだと思う。
葉ちゃんほどではないがら誰しもが自分に重ねてしまう部分があるんじゃなかろうか。
自分の不幸は、拒否の能力の無い者の不幸でした。進められて拒否すると、相手の心にも自分の心にも、永遠に修繕し得ない白々しいひび割れができるような恐怖におびやかされているのでした。
物語としてインパクトのある描写がすーーっと過ぎてしまうのに違和感を持ちながら読み進めた。
言葉遣いが昔なので短編だけど読むのにちょっと時間がかかったがその分細かい描写が描かれていて現代の文学とは別の濃密さがあったと思う。
Posted by ブクログ
はしがきとあとがきで内容をサンドイッチすることによって、主人公の破滅的な人生を、読んでてつらくなり過ぎないよう、あくまで三人称視点で俯瞰しながら楽しめるようにしているのが読みやすかった。
解説に書いてあるように、一度精神病棟に入ってから人間としての太宰は死んで、余生を作家という生き物として燃やし尽くしたのだとしたら、太宰の死因は自殺じゃなくて殉職といっても過言じゃないかもしれない。
Posted by ブクログ
本書ほど一人の人間の人生に深く関心を持てる作品はないと言っても過言ではない。近代社会における著者の苦悩がありありと文字に起こされている。この短さにしてこの満足度は素晴らしいとしか形容し得ない。太宰の人生の濃さを知ればこそより楽しむことが出来るだろう。
Posted by ブクログ
特別であったはずの葉蔵が自分の体験から身近になり、生きづらさみたいなものは、自分だけではなくて全ての人が持ちわせているものかもしれないと感じました。
相手との間に一枚隔てることで理解できないことを隠しながら生きていく。表と裏があり、それを知らずに信じてしまう怖さと隠すことが常になっていき、自分を見失う怖さみたいなものも感じ、何が正解でどう生きていくのが正解なのか、難しいなと思いました。
Posted by ブクログ
「ダメ男だ。」
と評価し読み終える人もいるかもしれない。
幼少期からの人生をここまで鮮明に、秀逸な文で心情を表した人は他にいないのではないかと思う。まさか彼と同じ人生を歩んだ人は殆ど居ないと思うが、そのダメ男の感情の中には私達の心の奥底にあった幾つもの共通点が、遂にその素晴らしい文で輪郭を浮かべられたはずだ。
この一冊は彼の人生を持ってして作られた唯一の本であり、死を予定した本人にしか造ることの出来ないもの。死を予定したことで許された走馬灯である。本作に追随する偉大な作品は、今後造られることは殆どないと思う。
ダメ男、ただこのダメ男によるあまりにも有名な「人間失格」という存在は間違いなく我々の心の柱になり、どれだけ多くの人々の心を和らげ、救ったのだろうかと想像する。この作品があまりにも有名であるという存在は、私には計り知れない程大きな意味を持っていると思う。その点日本人は幸運だとさえ思ってしまう。
Posted by ブクログ
2021.5.12
★4.0
葉蔵は、幼いころから人との関わり方が分からず、「本当の自分」を隠して生きてきた。周囲に合わせるために道化のように振る舞い、笑いを取ることで人間関係を保とうとしてきた。成長するにつれて、酒や女性、薬物に依存するようになり、心も生活も次第に崩れていき、最終的には精神的に追い詰められ、「自分はもう人間ではない」と感じるほどに破滅していく物語。
言葉が悪いけど胸糞悪かった。けど、それ以上にいい作品だった。だんだんと落ちぶれていく様子が苦しくて、自分はもう人間では無いっていってたけど、人間の弱さと孤独を最大限に極限まで詰め込んだ人生だったと思う。大人になって、人間に対する恐怖や不信感から自分を守るために道化に生きるのは、何となく理解できるんだけど、幼い頃から、道化に生きるって不思議だしなんか悲しいね。
✍︎恥の多い生涯を送ってきました。
#さとの本棚
Posted by ブクログ
多くの人が知る太宰治の名作だが、長年人々に読み続けられる名作たる所以を感じた。名のない主人公が不安や葛藤の中で生きながら、周囲に溶け込もうとしながらも人間そのものへの恐怖があり、自分自身に人間失格の烙印を押してしまう様が痛々しかった。人間とは一体何であり、その人間が形成する社会で生きるとはどういうことかを考えさせられる。
Posted by ブクログ
一人の男の生涯を描いた作品。
人間に対して抱く恐怖が詳細に描かれていた。終盤、主人公が自身に人間失格の判定を下す大きなきっかけとなった事件が、これまでの登場人物ではなく名もない男というのがリアルでつらい。そこから酒や薬にどんどん溺れて抜け出せなくなっていくのがやるせない。
昔の作品だけど今でも使う表現や横文字が多用されていて意外と読みやすかった。
Posted by ブクログ
何を食べたらこれが書けるんだよ。
恐らく1日3食綺麗な和食を嫌になるほどきちんと食べているんじゃないか。
最初は葉蔵に共感できていたが、どんどんと観測の視点に変わったなー。
作中でもドストエフスキーの『罪と罰』に言及があったが、まさにそこの「罪と罰」は同義語ではなく、対義語なんだというところが葉蔵を表しているような気がした。
彼は何が悪かったとかの観念が曖昧模糊としていたのが1番の恐怖。
Posted by ブクログ
完全な私小説ではないが自叙伝
恥の多い人生を歩んできましたの書き出し
共感する部分があった
彼の人間性に共感し、人によっては救いやバイブルになりうる一冊と考える
Posted by ブクログ
五月のキュウリの青味には、胸がカラッポになるような、うずくような、くすぐったいような悲しさが在る。太宰治『女生徒』1939
幸福の便りは待っている時には決して来ないもの。『正義と微笑』1942
駄目な人間は幸福を受け取るときでさえ、下手くそを極めるものである。太宰治『貧の意地』1944
かず子。旧華族の娘。家は没落、東京の邸宅を失い、伊豆の小さな家に引越し。母は弱気になり病死。弟(直治)が戦地から帰国するが、家の金を持ち出し、酒に溺れて自殺。かず子は元カレの上原を訪ね、一夜を共にし妊娠▼もう一度お逢いして、その時、いやならハッキリ言って下さい。私のこの胸の炎は、あなたが点火したのですから、あなたが消して行って下さい。私ひとりの力では、とても消す事が出来ないのです▼生きていること。やりきれない息もたえだえの大事業。太宰治『斜陽』1947
よい仕事をしたあとで一杯のお茶をすする。お茶のあぶくにきれいな私の顔がいくつもいくつもうつっている。どうにか、なる。太宰治『葉』1947
常に自分を演出していると「自分とは何か」が霧散していくが、人間はそもそも複数の仮面の集合。葉蔵にとって致命的だったのは、演じていることより、演じてもなお誰ともつながれないこと。「もし本当の自分を見せたら壊れる」という感覚があり、幸福を実感できない。太宰治『人間失格』1948
弱虫は幸福さえ恐れる。綿で怪我をする。幸福に傷つけられる▼人間はこぶしを固く握りながら笑えるものでは無い▼それは世間がゆるさない。世間じゃない。あなたがゆるさないのでしょう?▼最初の喀血(かっけつ)でした。雪の上に、大きい日の丸の旗が出来ました。
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爆撃のさ中に、幼児達は奇妙に泣かないものである。彼等の心臓は波のような動悸をうち、彼等の言葉は失われ、異様な目を大きく見開いている。(彼らの目は)必ずしも不安や恐怖というものの直接劇的な表情を刻んでいるというほどではない。理智的に思われるほど情意を静かに殺している。坂口安吾『白痴』 1946
私は悪人です、と言うのは、私は善人です、と言うことよりもずるい。坂口安吾『私は海を抱きしめていたい』1947
虚空・狂気・桜。坂口安吾『桜の森の満開の下』1947
自由を与えられれば与えられるほど生きるのはつらいんだよ。縛られれば縛られるほど生きるのは易しいんだよ。坂口安吾『作品 創刊号』1948
Posted by 読むコレ
再読。晩年に心身ボロボロの状態で自身の思いの丈をぶつけた手記的な作品、という印象でしたが、全く異なりました。
言うなれば(生意気ですが)冷静そのもの。
主人公の持つキャラクター性は、世間一般に知られる著者の性格とはきちんと一線を画している様ですし、物語は伏線を張るなどしてリーダビリティにも気を遣っていた様子。ましてやコミカルな描写まで抜け目なく挟まれており、まさか人間失格でちょっと笑わされてしまうとは!
氏がどんな心境で本作を執筆されたかなど知る由もありませんが、作家の気迫と矜持は見せつけられました。
すげえ。
Posted by ブクログ
この本ははしがきのぶっ飛ばし方からして凄まじい。
久々に読んで改めて思った。人間が見せる人間らしくない造られた一面が子供の頃から出ており、それがゆくゆくの失格のルーツになっている。
淫売婦の軽い好意がとても心地よかったり、世間がどう思うかという説教は実は世間というより貴方の意見では?という問いだったり、誰かしらが金の工面を何とかしてくれたり。
この辺りは、当時読んだ時も印象には残っていたが、今は少し共感できる部分がある。ここまで薬つけになることはダメだし、彼の崩壊と一緒にしてはいけないが、どこか他人事ではない。
主人公を「人間失格」の対象として見ていたのが、自身にも少し重なってきたような気がする。そういう人はいるだろうか。
特に最近読んだ世界99の主人公もあらゆる人物にトレースして倫理的にグレーゾーンなコミュニケーションをしていたよな。。。やっぱ現代にも生きるな。と思った。
Posted by ブクログ
恥の多い生涯を送って来ました。
その前段があるのを、恥ずかしながら知らなくて。
名作。太宰治の行く末を知ってるから、より本人と重ねながら読んでしまうけれど、当時のリアルタイムの読者はそりゃ作者を心配したろう。
Posted by ブクログ
この物語は、生まれながらに聡明でありながら、どこか世の中を達観している主人公が、社会に適応しようともがきつつも、自身の怠惰な性格や周囲からの悪影響によって堕落していく半生を、手記という形で綴った作品である。
主人公の心理描写は非常に緻密であり、誤った方向へ進んでしまう思考についても、その過程には思わず納得してしまうような論理性が感じられた。
また、人間の弱さが色濃く描かれており、自分にも当てはまる部分に自己嫌悪を覚える一方で、主人公の生活がうまくいった際には安堵感を覚えた。こうした感情の揺れを通して、いつのまにか主人公を応援したい気持ちになり、不思議と作品に引き込まれていった。
Posted by ブクログ
主人公の語りが9割。会話はほとんどない。結構重大な出来事が起こっていそうだが、詳細はなく大枠のみで語られる。普通の小説で登場人物の心情を読み解くのに慣れた人には読みにくいかもしれない。一文がとても長い。主人公が自分はこういう人間で、こう生きてきてこう思った、と語る半生の話。関わってきた人間の心情などはほとんど語られない。いかに主人公が他者の気持ちがわからなかったかがよくわかる。自分の人生を生きる?見つめる?だけでいっぱいいっぱいだった。
人の心や常識がわからなくて怖いから、笑わせて敵ではないと思わせることで他者から自分を守っていた。そうでしか生きられない自分を歪な生き物と認識していて、なぜか寄ってきて情で迎えてくれる女性たちもしばらくは一緒にいるが彼女らの幸せは自分のようなものがそばにいると壊れてしまう、と離れていく。どうにもならなくなってまた別な女に迎えられる。そこからどうにも抜け出せない。
愛しい人間を見つけても、守ってやるという気概はない。自覚しながら落ちぶれていって、這い上がることも出来ない。害を加えるような人間ではないが、裸の心で生きすぎているせいで傷つけられやすく自分の行いでも傷ついてとても脆い。流されるままに生きている。でも、1箇所に留まると迷惑をかけるからと話も聞かず離れていく妙な我がある。
弱くて弱くて生きづらそうな人間の話。
彼が強くあるためには何が必要だったんだろう。