あらすじ
「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。だれもが自分のことだと思わせられる、太宰治、捨て身の問題作。
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Posted by ブクログ
解説がめっちゃ良かった。
一度人間として太宰治は''死んだ''あと、心を無にして才能に溢れる作品を世に出し続けた。その後自分の心の底に眠っていた本当の自分を出して、本当に死んだ。戦後も戦時中も作品を出し続けるその気概や、孤独と向き合える力は単に酒や女に溺れた男と称して言い訳がない。
家庭であまり愛されずに育ち、親が資本主義の波に乗るエリートで、農民の土地を買い占める成金の息子であるというステータスに疑問を持ってマルクス主義の運動に参加するところが、最高。
精神疾患(アルコール中毒、薬中毒)といったものへの理解がまだあまり無い時代背景もあり、時代を感じた。芥川龍之介の自殺に影響されてるところも、文豪だーー!!となった
家庭環境って愛着形成に甚大な影響があるなぁと感じた。
Posted by ブクログ
人生で初めて文豪の作品を読んだが、表現力の豊かさに衝撃を受けた。圧倒的な重厚感がたまらない。人間の醜さや弱さが正直に描かれていて、絶望という名の救済に飲み込まれた。別作品だと話のテイストが違うと聞くので『斜陽』や『女学生』も読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
これは社会人になったら必ず読むべきだ
誰しも思い当たる節があるような、ないような
心を撃ち、今後の人生、生き方、モノの考え方について
読む前と読んだ後じゃ少し違うんじゃないか
Posted by ブクログ
家庭環境も、性別も、生きた時代も何もかもが違うのに、どこかしら「わかるな〜」と感じてしまう不思議。ろくでもないな〜と思うのに、ひどく葉蔵に惹かれてしまう。自分も、作中に出てきた女性と変わらないのかもしれない…
Posted by ブクログ
初めて太宰治を読んだ。構えていたよりも読みやすかった。牛が尾で虫を打つようにという表現がすごくしっくりきた。今まで漠然と思っていたことをこんなにしっくり表現できることがすごいと思った。
自叙伝的小説と知って驚いたし、とても切ない。でも恐れ多くもあるけど、共感できるところもあったし、自分自身がそれで悩んでしまうこともあったので、嬉しくもあった。最後のママの言葉が切ないなぁ。
Posted by ブクログ
人との関係を「自分と世間」という形で距離を取り、深く関わろうとしなかったがために、自分をよく知る人の自分への「いい子だった」という評価を知ることなく、自分自身に「人間失格」という評価を下してしまったのかな。
人との関わりを考えさせられた1冊。
Posted by ブクログ
これが書かれた時と今では時代が変わったはずなのに、人間は変わっていないなあと感じました。
自分の嫌なところを葉ちゃんが代わりにしてくれているように感じていました。
また全てが嫌になりそうになったら読み返そうと思っています。
Posted by ブクログ
学生時代に読んだ時は、これ私の事言ってる!?とかめちゃくちゃ共感したけど、大人になって読むと葉ちゃんしっかりしろよ!!と叱咤してしまいそうになった。文章がじめじめヌルヌルしてて心地がいい。埃くさい暗くて狭い部屋に入ったような妙な安心感がある。
Posted by ブクログ
話の内容は知っていたからスラスラ読めた
自分にもこんな所が多々ある
悲惨な話なのに救われた気がする
脳病院には入ってないが自分も人間失格だと感じた
人間とは演じる事なのか
この話は女でも共感するのか
ホラーのようにも思うが日常の一幕のような
人間の醜悪さが人間の誠実さがよく描かれている
何度も読みたい作品
Posted by ブクログ
学生の頃は文学に興味がなく、きっとこの作品を読んでも暗すぎて読んでいられなかったと思う。大人になった今、なぜか読みたくなり読んでみたら、自分も感じたことのある感覚が表現されていてゾッとした。
「その見はった眼には、驚愕の色も嫌悪の色も無く、ほとんど救いを求めるような、慕うような色が現れているのでした。ああ、このひとも、きっと不幸な人なのだ、不幸な人は、ひとの不幸にも敏感なのだから」
主人公が、人から同情してもらえない、身から出た錆のための不幸に苦しんでいる時に、抜け出すことのできない不幸を抱えた女性と出会うシーンでの表現が印象に残った。
大人になってから、というか深い希死念慮を経験してから、どこか陰のある人に惹かれるようになった。きっとお互いに通じるものを感じ取るのだと思う。そして痛みを抱える人同士で心を通わせたい衝動に駆られるのだ。
生きることに真面目すぎると、どうやら生きてはいけないらしい。この作品を読んで、ますますその考えが強まった。だからこそ、時には考えすぎず、けれど投げやりにもならずに、自分という人間と付き合っていきたいと思う。
Posted by ブクログ
太宰治がどういう人生を送ってきたかを知らなければ、普通の小説として読めただろうが、彼の生き様を知ると葉蔵の心理や行動が現実味を帯びたものに感じられる。
左翼の活動から逃げたのが自死を決意する理由になってしまえるのか。死へのハードルが低くて驚いた。
人間失格に至る責任は自分にあるが故に他人を責めたり恨んだり出来ない。他人に責任を押し付けられるだけそっちの方が幸せだという考え方は興味深い。自滅への道が明らかに描かれる。
人と関わったことで失敗を続けるのに人と関わり続けてしまう。なぜなら人に助けてもらわないと生きていけないから。これは逆説的に見えるが人間の実存を突いた一つの真実であるように思えた。
Posted by ブクログ
特別であったはずの葉蔵が自分の体験から身近になり、生きづらさみたいなものは、自分だけではなくて全ての人が持ちわせているものかもしれないと感じました。
相手との間に一枚隔てることで理解できないことを隠しながら生きていく。表と裏があり、それを知らずに信じてしまう怖さと隠すことが常になっていき、自分を見失う怖さみたいなものも感じ、何が正解でどう生きていくのが正解なのか、難しいなと思いました。
Posted by ブクログ
「ダメ男だ。」
と評価し読み終える人もいるかもしれない。
幼少期からの人生をここまで鮮明に、秀逸な文で心情を表した人は他にいないのではないかと思う。まさか彼と同じ人生を歩んだ人は殆ど居ないと思うが、そのダメ男の感情の中には私達の心の奥底にあった幾つもの共通点が、遂にその素晴らしい文で輪郭を浮かべられたはずだ。
この一冊は彼の人生を持ってして作られた唯一の本であり、死を予定した本人にしか造ることの出来ないもの。死を予定したことで許された走馬灯である。本作に追随する偉大な作品は、今後造られることは殆どないと思う。
ダメ男、ただこのダメ男によるあまりにも有名な「人間失格」という存在は間違いなく我々の心の柱になり、どれだけ多くの人々の心を和らげ、救ったのだろうかと想像する。この作品があまりにも有名であるという存在は、私には計り知れない程大きな意味を持っていると思う。その点日本人は幸運だとさえ思ってしまう。
Posted by ブクログ
2021.5.12
★4.0
葉蔵は、幼いころから人との関わり方が分からず、「本当の自分」を隠して生きてきた。周囲に合わせるために道化のように振る舞い、笑いを取ることで人間関係を保とうとしてきた。成長するにつれて、酒や女性、薬物に依存するようになり、心も生活も次第に崩れていき、最終的には精神的に追い詰められ、「自分はもう人間ではない」と感じるほどに破滅していく物語。
言葉が悪いけど胸糞悪かった。けど、それ以上にいい作品だった。だんだんと落ちぶれていく様子が苦しくて、自分はもう人間では無いっていってたけど、人間の弱さと孤独を最大限に極限まで詰め込んだ人生だったと思う。大人になって、人間に対する恐怖や不信感から自分を守るために道化に生きるのは、何となく理解できるんだけど、幼い頃から、道化に生きるって不思議だしなんか悲しいね。
✍︎恥の多い生涯を送ってきました。
#さとの本棚
Posted by ブクログ
多くの人が知る太宰治の名作だが、長年人々に読み続けられる名作たる所以を感じた。名のない主人公が不安や葛藤の中で生きながら、周囲に溶け込もうとしながらも人間そのものへの恐怖があり、自分自身に人間失格の烙印を押してしまう様が痛々しかった。人間とは一体何であり、その人間が形成する社会で生きるとはどういうことかを考えさせられる。
Posted by ブクログ
何を食べたらこれが書けるんだよ。
恐らく1日3食綺麗な和食を嫌になるほどきちんと食べているんじゃないか。
最初は葉蔵に共感できていたが、どんどんと観測の視点に変わったなー。
作中でもドストエフスキーの『罪と罰』に言及があったが、まさにそこの「罪と罰」は同義語ではなく、対義語なんだというところが葉蔵を表しているような気がした。
彼は何が悪かったとかの観念が曖昧模糊としていたのが1番の恐怖。
Posted by ブクログ
完全な私小説ではないが自叙伝
恥の多い人生を歩んできましたの書き出し
共感する部分があった
彼の人間性に共感し、人によっては救いやバイブルになりうる一冊と考える
Posted by ブクログ
はしがきから、あぁこれは最高な予感がすると感じた。
私はよく「優しい。」「性格がいい。」みたいなことを言われる。そう言われると私は嬉しい。自分が性格がいいと褒められたから嬉しいのでは無い。「あぁ、この人たちにはまだ、自分の本性がバレていない。」と安心できて嬉しいんだ。葉ちゃんと自分が重なるところがあり、
最後の「神様みたいないい子でしたよ」で自分に言ってもらえた気がして救われた。
「世間というのは、君じゃないか」この言葉にもハッとさせられた。
Posted by ブクログ
中学生くらいのころ以来の再読(オーディブル)。「愛着障害」の本でたびたび言及されていたことがきっかけ。おもしろかった。漱石もたびたび言及されていたのでなにか読んでみよう。
Posted by ブクログ
登場人物が面白い。読んでてすんなり入った。
主人公に情が湧く。
葉ちゃんを救いたい自分がいた。
自分はこんなのではないと言い切れない。どこかしら同じ人間の部分を持っている。
あなたは葉蔵をどう見ましたか?
Posted by ブクログ
今にも雨が降り出しそうな曇天の空模様が続くような物語。
解説を読んで、太宰治という人間が産まれてから死ぬまで、様々な考えや経験を経て、この作品ができたことが分かる。
そして多くの人が、この人に惹かれるのもすごく分かる。
Posted by 読むコレ
再読。晩年に心身ボロボロの状態で自身の思いの丈をぶつけた手記的な作品、という印象でしたが、全く異なりました。
言うなれば(生意気ですが)冷静そのもの。
主人公の持つキャラクター性は、世間一般に知られる著者の性格とはきちんと一線を画している様ですし、物語は伏線を張るなどしてリーダビリティにも気を遣っていた様子。ましてやコミカルな描写まで抜け目なく挟まれており、まさか人間失格でちょっと笑わされてしまうとは!
氏がどんな心境で本作を執筆されたかなど知る由もありませんが、作家の気迫と矜持は見せつけられました。
すげえ。
Posted by ブクログ
この本ははしがきのぶっ飛ばし方からして凄まじい。
久々に読んで改めて思った。人間が見せる人間らしくない造られた一面が子供の頃から出ており、それがゆくゆくの失格のルーツになっている。
淫売婦の軽い好意がとても心地よかったり、世間がどう思うかという説教は実は世間というより貴方の意見では?という問いだったり、誰かしらが金の工面を何とかしてくれたり。
この辺りは、当時読んだ時も印象には残っていたが、今は少し共感できる部分がある。ここまで薬つけになることはダメだし、彼の崩壊と一緒にしてはいけないが、どこか他人事ではない。
主人公を「人間失格」の対象として見ていたのが、自身にも少し重なってきたような気がする。そういう人はいるだろうか。
特に最近読んだ世界99の主人公もあらゆる人物にトレースして倫理的にグレーゾーンなコミュニケーションをしていたよな。。。やっぱ現代にも生きるな。と思った。
Posted by ブクログ
恥の多い生涯を送って来ました。
その前段があるのを、恥ずかしながら知らなくて。
名作。太宰治の行く末を知ってるから、より本人と重ねながら読んでしまうけれど、当時のリアルタイムの読者はそりゃ作者を心配したろう。
Posted by ブクログ
この物語は、生まれながらに聡明でありながら、どこか世の中を達観している主人公が、社会に適応しようともがきつつも、自身の怠惰な性格や周囲からの悪影響によって堕落していく半生を、手記という形で綴った作品である。
主人公の心理描写は非常に緻密であり、誤った方向へ進んでしまう思考についても、その過程には思わず納得してしまうような論理性が感じられた。
また、人間の弱さが色濃く描かれており、自分にも当てはまる部分に自己嫌悪を覚える一方で、主人公の生活がうまくいった際には安堵感を覚えた。こうした感情の揺れを通して、いつのまにか主人公を応援したい気持ちになり、不思議と作品に引き込まれていった。
Posted by ブクログ
主人公の語りが9割。会話はほとんどない。結構重大な出来事が起こっていそうだが、詳細はなく大枠のみで語られる。普通の小説で登場人物の心情を読み解くのに慣れた人には読みにくいかもしれない。一文がとても長い。主人公が自分はこういう人間で、こう生きてきてこう思った、と語る半生の話。関わってきた人間の心情などはほとんど語られない。いかに主人公が他者の気持ちがわからなかったかがよくわかる。自分の人生を生きる?見つめる?だけでいっぱいいっぱいだった。
人の心や常識がわからなくて怖いから、笑わせて敵ではないと思わせることで他者から自分を守っていた。そうでしか生きられない自分を歪な生き物と認識していて、なぜか寄ってきて情で迎えてくれる女性たちもしばらくは一緒にいるが彼女らの幸せは自分のようなものがそばにいると壊れてしまう、と離れていく。どうにもならなくなってまた別な女に迎えられる。そこからどうにも抜け出せない。
愛しい人間を見つけても、守ってやるという気概はない。自覚しながら落ちぶれていって、這い上がることも出来ない。害を加えるような人間ではないが、裸の心で生きすぎているせいで傷つけられやすく自分の行いでも傷ついてとても脆い。流されるままに生きている。でも、1箇所に留まると迷惑をかけるからと話も聞かず離れていく妙な我がある。
弱くて弱くて生きづらそうな人間の話。
彼が強くあるためには何が必要だったんだろう。
Posted by ブクログ
どこまで事実でどこまで虚構か分からないけれど、太宰のだらしなさとメンヘラ具合が全面に出ていたし、実体験も多くちりばめられているような印象を受ける作品。
社会の生きづらさとかアイデンティティの喪失とかテーマ的には共感するものが多かったけど、ものすごい傑作かと言われると、私はこの作品にそこまで特別な感情は抱けなかったかな~。
主人公の葉蔵は幼い頃から周りの人に本来の自分を悟られないように自分を取り繕って生きていたけど、太宰もこんなふうに、うわべで関係を築くだけで本当に信頼できる人が少なく、常に人間に怯えながら生きていたのかなと思った。
あとは、タイトルや手記では自分の事を「人間失格」と定義付けているけれど、末尾の章には第三者目線の語りが入り、そこでは「とても素直でよく気がきいて(中略)神様みたいにいい子でした」という一文が書かれていて、太宰は本当はそういう人間になりたかったのかなあ、とか、なりたかった理想の人間になれなくて自暴自棄になって自殺したのかなとか、葉蔵と太宰を重ね合わせて読んでしまった。
自分が努力を怠ったことで不幸になっているのに、そこから自分はもう何をしても駄目だ、ともっと破滅へ向かっている所が何とも無様だけれど、そこが人間らしくもあり、太宰作品ならではの空気感。また読み返したい。