【感想・ネタバレ】人間失格のレビュー

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Posted by ブクログ

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自分の事を書いていると思った。

記憶にある3、4歳くらいの時から父を恐れて嘘をつき、その嘘がバレてまた怒られる。幼稚園でも自分だけが給食を時間までに食べきれなくて怒られた事を家では嘘をつき、その頃には両親の喧嘩が目立つようになり、自分がなんとかしなければとお道化、園でも小学校に上がってもお道化ていた。

中学からはそれに価値はなくなり、自分がどの輪にも属せていないと焦っていた。高校では運良く仲の良い友達ができたが、嘘をついたりお道化をする癖は抜けなかった。部活でもバスケを中学からしていたが、練習ではいいプレーができても試合になるとずっとダメだった。恋愛でも付き合うまでは良くても付き合ってからはすぐ別れる事ばかりだった。誰かと深く関わることになれば、自分の中身が何もない事がバレて、上手く関係を続かせる事が出来なかった。それにだんだん、中身の無い自分がバレるのが怖くなって人付き合いも希薄になっていった。付随して嘘をつくのもまた上手くなっていった。

それまでの人生のタイミングで本当に向き合うべき事を誤魔化してきた自分。そんな自分に気づいた時から、自分はずっと人の形をした人ではないものだと思っている。そんな自分を写真で表現しようとし、専門学校で写真を学んだ時期があるが、上手くできなかった。学校は中退し、今でもどうすれば表現しきる事ができるか考えるが、どうにも思いつかない。

今回この本を初めて読んで、自分と似たような悩みを抱えている人がいて、それを素晴らしい表現で形に残している事が分かり、自分の中にあった重しが少し軽くなった気がした。軽くなったと言うより、この軽くて片手に収まる文庫本が肩代わりして持っていったような感覚だ。本当に読んでよかった。

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2024年05月20日

Posted by ブクログ

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人生で1度は読んでおきたいと思った本。きっとお人好しすぎたんだろう、周りに気を使って、愛する妻の寝取られを経験した。そんな出来事があったらみんなこんな風になるだろうな。特に私は今年27になります、周りには40以上に見られます。人間失格として生きていたんだなあと分かる最高の終わり方だった。

17 何が欲しいと聞かれると、とたんに、何も欲しくなくなるのでした。どうでもいい、どうせ自分を楽しくさせてくれるものなんか無いんだという思いが、ちらと動くのです。と、同時に、人から与えられるものを、どんなに自分の好みに合わなくても、それを拒む事も出来ませんでした。

51 世の中の合法というもののほうが、かえっておそろしく、そのからくりが不可解で、とてもその窓の無い、底冷えする部屋に座っておられず、外は非合法の海であっても、それに飛び込んで泳いで、やがて死に至る方が、自分には、いっそ気楽のようでした。

64 弱虫は、幸福さえおそれるものです。綿で怪我をするんです。幸福に傷つけられる事もあるんです。傷つけられないうちに、早く、このまま、わかれたいとあせり、れいのお道化の煙幕を張りめぐらすのでした。

100 世間とは、いったい、なんのことでしょう。人間の複数でしょうか。どこに、その世間というものの実体があるのでしょう。

116 結婚しよう、どんなに大きな悲哀がそのために後からやって来てもよい、荒っぽいなどの大きな喜びを、生涯にいちどでいい、処女性の美しさとは、それは馬鹿な詩人の甘い感傷の幻に過ぎぬと思っていたけれども、やはりこの世の中に生きて在るものだ、結婚して春になったら2人で自転車で青葉の滝を見に行こう、と、その場で決意し、所謂、「一本勝負」で、その花を盗むのにためらう事をしませんでした。

138 ああ、この人もきっと不幸な人なのだ、不幸な人は、ひとの不幸にも敏感なものなのだから

とても素直で、よく気がきいて、神様みたいないい子でした

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2024年05月02日

Posted by ブクログ

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文豪の作品を初めて読んだ。
文章が自分に合うかと言われるとそうでもなくて、1ページに文章がギチギチなので、読むのにすごく時間がかかったし、進みの悪さに心折れそうになったりもしたけれど、それでもなぜか読むのをやめられなくて、最後まで読んでいた。
単純にただ面白いとも言いきれなくて、それでもこの本を最後まで読んでしまう理由が、自分でも言葉に表現できない。
明るい話ではなくて、すごく人生の苦の部分を詰め込んだような作品だったけれど、読み終えた後に、心がすごく沈むこともなく、不思議な作品だなと感じた。それはこの作品の中で、小さくとも自分なりに希望を見出すことができたからかな。

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2024年05月03日

Posted by ブクログ

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初めていわゆる文豪と呼ばれる人の作品を読んだ。
読み終えてまず一回読んだだけでは殆ど何も読み取れなかった。読み取れなかったが強烈になにか心を動かす何かがありこれから何度も読んでそれを見つけたいと思った。
以前何かの本で時間の洗練を受けても残った作品という表現を思い出し、この作品にピッタリだと感じた。時の洗練を受けてはいるが何か人の真理を表している気がする。
読み終えて、
心の何かが欠落しているため善と悪の違いがわからず判断もできない又、誰かを信じる辛さよりも誰も信じない辛さを受け入れる悲観的な立場である事。

既に大きな傷を抱えていてそのことに気づいていない、そして大きな傷を癒すため人に癒しを求め一時的には回復するが既にある傷が大きすぎるため塞がらないでより多くの傷となり返ってくること。そして物による継続的な回復を図るが人間として終わってしまう事。
一度読んでこの作品からは、人は結局人によってしか生かされないという事が何となく読み込めた気がしました。

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2024年04月26日

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