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戦後80年、元日本兵の子や孫がようやく語り始めたことがある。戦争トラウマだ。
過酷で悲惨な戦場を経験した元兵士の多くが心を壊した。悪夢、酒浸り、家族への暴力……壊れた心が子や孫の心もむしばんでいく負の連鎖。
隠された戦争の実相に迫る。
【目次】
序 章 少年兵は幽霊になった
第1章 沖縄とベトナムが壊した人生
第2章 トラウマの歴史と社会への影響
第3章 父が家に持ち帰った心の傷
第4章 第3世代が語る「戦争体験」
第5章 何世代にもわたる負の連鎖
第6章 市民が見た沖縄、原爆、大空襲
第7章 日本軍が外国で残した爪痕
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Posted by ブクログ
この本を読み、あらためて戦争がもたらしたものの惨たらしさ、残酷さを再認識させられた。戦争が終わっても平和になった、他者から危害を加えられる恐れがなくなったと言えなかった人が一定数いたのだ。
戦争から戻って来た元兵士が、戦場の過酷さに精神を病み、廃人となったり、生活が立ち行かなくなったりした話は、聞いたことはあったが、これほどまでに、周囲の家族に影響を与えていたとは、驚きと共に深い同情を禁じ得なかった。しかもその影響は孫にまでも及ぼすこともあるという。この何とも悲惨な状況に慄然とした。
このような状況を生む戦争、紛争を再び起こしてはいけないと思うし、他国で現在進行中のものも早く終わらせるべきだ。
また、国はトラウマの影響下で苦しんでいる人々を調査し、必要な援助をするべきだ。
今まで、顧みなかった分、早急に。
国民が等しく負う受忍義務や家庭内の問題で
済ましておく話ではないと思う。
Posted by ブクログ
毎年、8月には戦争に関する本を読むことにしている。
戦争中の過酷な体験によって、心に深い傷を負った元日本兵たち。
これまで大きく取り上げられることはなかったが、彼らのPTSDは、アルコール依存症やDV、虐待、性暴力、さらには自殺という形をとって、戦後の家庭の中に現れていたという。
そして、その影響は世代を超えて連鎖している。
戦後80年以上が経ち、実際に戦争を体験した世代は少なくなっている。しかし、元日本兵の父親から暴力を受けて育った子どもが親になり、今度は自分の子どもにも暴力を振るってしまう。現在問題となっているDVや虐待の背景に、戦争トラウマが隠れている場合もあるということを初めて知り、衝撃を受けた。
戦争トラウマに苦しんでいるのは元兵士だけではない。原爆や空襲の被害に遭った人たち、さらには海外で日本軍の捕虜となった人たちも、長年その傷を抱えて生きてきた。
彼らの中では、戦争はまだ終わっていない。
Posted by ブクログ
「戦争トラウマ」とは、戦争や紛争の加害と被害、空襲体験や避難生活など、「いのちの危険を強く感じる出来事」によって、心に深い傷を負うことを言う。これまでの日本では、被爆や空襲などの被害の歴史に目を向けてきたが、戦争トラウマにはほとんど関心が払われてこなかったのではないか。
本書は、元日本兵の過酷な戦争体験によるトラウマだけではなく、沖縄戦、原爆、東京大空襲など、一般市民の戦争の被害と加害の多様な聞き取り調査を重層的に検証する。政府や上官による秘匿命令や自己抑止など、抑圧された加害や被害に苦しみは、無気力、飲酒と家庭内暴力(DV)、性虐待(近親性交)など心身に深刻な影響及ぼし、世代間連鎖していることも検証する。また、仲間や家族を失い、生き残った自責の念からサバイバーズ・ギルト(生存者罪悪感)に苦しむ人も少なくない。世代間連鎖の課題では、祖父・父からの家庭内暴力(DV)を受け止め、自身が起こしている家庭内暴力を内省的に捉えて、世代間連鎖を断ち切ろうとする戦争トラウマの家族も紹介する。戦後80年を超えた私たちは、家庭内暴力(DV)や虐待などの背景に、戦争トラウマが潜んでいないか、あらためて家族の生い立ちや境遇を知る必要があるかもしれない。まずは、戦争による加害と被害は、広範囲・多岐に渡っており、非戦を貫くことこそが、家庭内暴力や虐待を防ぐひとつの道ではないかと思う。STOP・WAR。
意外と知られていないが、第1次世界大戦は、大砲や戦車、毒ガス兵器など人類戦史上はじめの大規模殺戮が行われ、シェルショックを起こす兵隊が続出した。シェルショックとは、戦闘の激しさに対するストレス反応となり、パニックや恐怖反応、逃避行動、理性の欠如、睡眠や歩行障害など様々な形で現れ、無力感を引き起こす。第2次世界大戦では、日本の傷兵にもシェルショックを起こす兵隊が増えたが、日本帝国軍部は詐病などとして扱い、兵隊を含む家族も辛酸を舐めた。以後の、ベトナム戦争やイラク戦争でも戦争トラウマが社会問題となっており、非戦こそが戦争トラウマとその後の世代間の負の連鎖による被害を起こさない重要なキーワードであると言えるのではないか。
Posted by ブクログ
戦争トラウマがあると
・父が酒に酔って暴れる
・ちゃぶ台を返して怒鳴り散らかす
などが共通点になるのか、と驚き。多くの人に取材しているはずなのに似た話がよく出てくる。読み物として似た話ばかりで退屈、という意味ではなく戦争トラウマが持つ恐ろしさに驚いている。
読んだ限り、目を逸らしてはいけない事実だと思ったけど小中高大と今まで全く触れることがなかった。きっと日本全体がなんとなく目を逸らしていたんじゃないかと思う(自分が真面目じゃないというのも当然ある)。戦争トラウマを持つ人やその子孫から直接危害与えられたらもちろん良い思いはしないが、それでも知っているだけで少しは想像力を働かせられるはずなので、少しでも多くの人に届いたら良いな、という一冊だった。
Posted by ブクログ
3歳の頃から見る巨大なタイヤが剛速で目の前を回って走っている恐怖の夢。見るたび内臓を嫌なものが駆け巡り眠ってられなかった。
これはもしかして満州から一人で帰った5歳の母からのトラウマの移譲なのか、、、??
満洲の話を聞け聞けと小学校の頃から強制されイヤイヤ聞いていた。母親は号泣し、そんな母親の姿を見たくなかった私。
それは青春期まで、私が母になってからも続き、なぜ、いつも聞かせるのは私なのか?なぜ、大事にされ愛してる息子(私の兄)にではないのか?と理不尽に思ってきた。
この本に書いてあるおおよその戦時中戦後の辛苦の体験たちにその秘密が見え隠れする。
2026.2.1
Posted by ブクログ
戦争は戦時中だけでなく、戦後も元兵士も被害を受けた民間人も、また多大な民間人の被害を出した沖縄、原爆、大空襲など、また日本軍が諸外国で残した爪痕など、さまざまなPTSDを残し、それが次の世代やその次の世代にもつながっている。特に日本は精神論が強く、PTSDなど無かったことにされていたり、隠蔽されたり、国としての補償以前に調査すらされていない状況。日本の虐待などの問題にこのような履き系があることが最近になって知られるようになったが、改めて戦後80年として、この剣が世の人に知られ、研究が進むことを祈るばかりである。新聞記者が書いたものだけあり、読みやすく、そして説得力もあった。
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