【感想・ネタバレ】完訳ビーグル号航海記上のレビュー

あらすじ

進化論の原点となった大旅行記。未知の大陸でであう奇妙な動植物、地質・気象などを、読みやすい訳文でお届けする。(全2巻)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

後に『種の起源』で有名になる22歳のダーウィンによる5年間に渡る調査航海の記録。

 以前読んだ、ダーウィンの『ミミズと土』(平凡社ライブラリー)がとても面白かったので、他の本も探していた。『ミミズと土』は晩年の研究だったので、研究室に篭っている印章が強かった(狂気的な執念でミミズを観察するその姿勢が何より面白かったわけだが)が、本書は若かりし頃のダーウィン。その対比が面白く文章も溌剌としていて、ワクワクする探検の気分を味わうことができる。
 当時南米は未開の土地で、出会うもの全てに驚きと感動が満ちていて、昨今のグーグルマップを開けばどこに何があるのかわかる状況から照し返すと、不便で危険ではあるが羨ましく感じる。若き研究者ダーウィンの生き物や地質ひとつひとつに細かな目を向ける姿勢は、終生まで変わらなかったのだなと嬉しくなる。

 子供の頃に読んだ、冒険譚のワクワクを大人になった今でも同じ気持ちで読めることが何より嬉しかった。専門的な名称も多く、なかなか想像するのが難しい箇所もいくつかあったが(特に地質学周り。ダーウィンも最後のまとめは読み飛ばして良いと書いている)、本書下巻の荒俣宏氏の解説でも「読みやすい文章になるよう手を入れた」とあり、ほとんどは研究者でなくても読める内容になっていて、10代の学生でも十分に楽しむことができると思う。 スマホで調べながら読むと勉強にもなる(今もまた良い時代である)。
 また、これも荒俣宏氏の手によるものだと思うが、挿絵が豊富に載せられており、そのどれもが当時に近い博物画から選び抜かれていて、本書の雰囲気作りに一役かっている。
 荒俣宏氏の解説にあるが、この多くの人にお勧めできる良書が、100年近く完訳がされないままだったことは驚きだが、「ダーウィン著、荒俣宏訳」という贅沢な本が読めるようになったことは幸せというしかない。

0
2026年02月02日

Posted by ブクログ

22歳のダーウィンが南米大陸からオーストラリア、喜望峰を回った地球一周の探険の旅のうち、上巻は南米での自然、住人観察。ダーウィンの観察眼に改めて魅入られると同時に、1830年代の南米には想像以上に”未開”の地が多かったのだと改めて驚いた。
自然現象や動植物、地形の観察などは、門外漢の私にはとても興味深く、馬に乗っての移動、水の少なさ、インディオの襲撃など、ダーウィンの探険にはやはりかなり危険も伴っていたようだ。ある生物種の絶滅の原因が人間なのか、天敵の増加によるものかを正確に区別することは難しいとダーウィンは書く。彼はどんな観察についても、推察だ、こうだろうと思う、分からないが、という一歩引いた姿勢を崩さない。一つの種が絶滅することに驚く人間について、病気自体を死の前兆と認めていながら、病人が死んでしまうと急におそれおののき、この人は暴行を受けて死んだのだ、と信じ込むようなものだと書いている。

フエゴ島の「未開人」との接触の記述は驚きの連続。19世紀だということを考えると、そこから1世紀の間の変化というのはかなり激しいということが分かる。だが、彼らは平等だ。集団生活を営み、指導者に従って生きる本能を持つ種は大きな進歩をとげる。進化の進んだ種ほど自分たちで築き上げた統制システムを持っている、という分析には目からウロコ。統制がなく、完全な意味で共和的に仲良く暮らしている部族は劣る文明段階にしか到達していない、と。ある意味高度な統制システムを持ちながら平等な社会を目指す現代は、この時代のダーウィンの目から見てもなかなか困難な時代なのだろう。

0
2024年10月29日

「ノンフィクション」ランキング