あらすじ
風に吹かれ、水に流され、偶然に身をゆだねる旅。そうやって〈私〉はマレー半島を経て、やっとインドに辿り着いた。カルカッタでは路上で突然物乞いに足首をつかまれ、ブッダガヤでは最下層の子供たちとの共同生活を体験した。ベナレスでは街中で日々演じられる生と死のドラマを眺め続けた。そんな日々を過ごすうちに、〈私〉は自分の中の何かから一つ、また一つと自由になっていくのだった。此経啓助氏との対談「十年の後に」を収録。「あの旅をめぐるエッセイIII 仏陀のラーメン」が新たに追加された【増補新版】。※本電子書籍は、令和二年八月発行の新潮文庫(新版)を底本としています。
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Posted by ブクログ
ザダル・ストリート!
ダシャシュワメード・ガート!
懐かしい青春時代の地名に心が踊った。
ガヤで野宿したくだりの描写が美しすぎて、私もまた、旅に出たいという思いが強烈に湧いてきた。
いつかまたインドに戻りたい!
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もし『深夜特急』を一冊だけ読むとしたら、私はこの本を推します。
インド・ネパール編。
何もかもが違う。
死生観によるものなのか、カースト制によるものなのか、あくせくと日々の生活に摩耗している自分にとって、インドの風景はまさに別世界だった。病院で患者と向き合い、命や死に接しているはずの自分が、なお日本の枠組みの中でしか物事を見ていなかったことに気づかされる。そこでは生と死がもっと身近で、同時に自然なものとして受け入れられていた。
幸せとは何か、生きるとは何か。過去・現在・未来、そして価値観や空間を超えて、普遍的な問いを突きつけられる感覚があった。
同じ人間でもここまで違う。
それでも通じ合える瞬間があり、時には争いもある。
平和と戦争、光と影が共存している世界。
考えがまとまらず混乱する自分もいたが、むしろその混乱こそがこの本の魅力であり、自分の中に新しい問いを残してくれた価値なのだと思った。
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ディープなインドがとても衝撃的
ガンジス川は聖なる川で、身を清めたりするのは聞いたことがあったが、そのほとりで人身を焼いたり、沈めたりというのはとても信じられない
澤木さん、発熱後どうなってしまうのか、続きが気になる
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▪︎旅慣れた人の澱んだ感じ(責任のない放浪、金がなくて卑しくなって行く)
▪︎旅してもその国のことは知れない(暇な老人と子供としか触れ合わない)
▪︎語れない。行った場所の批評しかできないつまらなさ。
▪︎騙されたくないと必死になる自分が嫌になる(初心を忘れる)
▪︎虚無に耐えられなくなる。カトマンズ旅人の吹き溜まり。
→旅への憧れと現実。また、感じていた違和感への言語化にもなった。
▪︎臨機応変に次に行きたい街を選ぶ。
▪︎失敗だって当たり前にある。
▪︎交渉してもいい、気に入らなかったらやめていい、都度、判断していい。
→自身も旅行中だったので、沢木さんの失敗のレベルの高さに自分の失敗どうでも良くなる。そして、柔軟になる。ホテル変えたりね。健康大事。
かなり響いた。他のシリーズと出張に持って行きたい。
Posted by ブクログ
深夜特急を3巻まで読んで何故この本にはまっているのか考えてみたところ、理由は大きく分けて2つありそう。
1つ目は沢木さんの旅を追体験できること。計画性がありそうでない、彼の心と直感に従って旅をする経験に憧れるから。倹約精神と若さ故の無茶で乗り切る旅が好きだ。
2つ目は沢木さんの綴る言葉や表現が好きだから。枕詞に続く意外な言葉の組み合わせには、意表を突かれるような感覚に何度もなった。だから沢木さんの言葉たちを自分の中にインストールさせてもらっている。自分は ‘言葉は思考の体現’ だと思っているから、沢木さんの言葉というより以前に考えが好きなんだと思う。
対談で沢木さんのことを「上手く口ごもる人」と表現されていてその通りだと思ったし、私の夫もそんな人だから重なる部分があるのかな。
(ふと沢木さんとはどんな方なのかと気になりお写真を検索してみたら想像通りの見かけだった。)
それにしても耕太郎って良いお名前だね。
Posted by ブクログ
この本が執筆された1986年から、インドは著しく成長したのだろうなあ。コテンラジオのインド深掘り回を聞いて以降、インドの複雑さディープさに興味を持っていたので、時は遡るものの当時のインドの様子がわかるこの巻は読んでいてとっても興味深かった。
あと巻末に収録されている此経さんとの対談がとても良い。
再読を通して、15年前に読んだ時と全く違う感想がポンポン出てくる。当たり前っちゃ当たり前なのだが、自分の見てきたもの経験してきたことが、沢木さんの経験談とリンクする部分ができたからなのだろうな。沢木さんも今の私とほぼ同い年で旅していたのだもんな〜。中学生の頃は、浪漫感じる最高の旅行記!って感じで読んでいたのだけど、今は世界の不条理や人間の汚さ素晴らしさ、すべてが現実性を持って語りかけてくるような本になっている。
沢木さんは人間が好きなんだろうなあ。わたしも、活力を失わず行きずりの相手としっかり関われるような人間になりたい。
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ついにインド。強烈だった!
どのくらい強烈かわかるエピソードを一つ選ぶとするならば、街に巣食うドブネズミにピーナッツを投げて暴れさせ、それを鑑賞させることがちゃっかりビジネスになっているところ。
たとえば日本でも鯉にあげるための餌を売っている公園とかはあるけども、相手は野生のドブネズミだし、そのドブネズミを見世物にしようという発想が、びっくり。
そしてそれを楽しむ人たちがいることにも、びっくり。
他にも、印象深かったことを箇条書きで。
・胸が痛くなる子供たちの生活(売春、病気、物乞い等)
・電車の特等席は荷物置き
・ブッダガヤとアシュラムでの生活。ここで出会った日本人たちもまあパワフル。後書きで此経さん出てきて嬉しかった!
・カトマンズで行き場をなくしているヒッピーたち
・ついに沢木さん体調を崩す!(それまで下痢すらしてなかったって...すごすぎ)
さて、4巻も楽しみます。
Posted by ブクログ
先に4と5を読んでしまっていてけっきょく順番がめちゃくちゃになってしまったけれどじゅうぶん楽しい。インドは多くの旅人が言うように、やっぱり一味違う場所なんだろうなあ。
自分では絶対に真似できない旅をこうして読めるなんてありがたいことだと思う。
こうした体験をすると人はどう変化するものなんだろう。気になる。でもやっぱり怖くて自分で行こうとは思えない。
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大学生の今、この冒険を読めてよかった。今はもうインドも発展して当時のような凄まじい風景が見られることは少ないだろうけど、これを経験できたらこの先何があっても大したことないと思えるだろう。今まで私が思っていた旅の仕方は、表面的にその国に触ることしかしていないことに気付かされた。その国の人と会話や交渉をしたり、日常の風景に溶け込むことでこそ異文化を感じられる。私は体が強い方じゃないから、作者のような旅をするとしたら、確実に1国につき1回は病院に行くことになりそうだが、20代のうちにこのような旅をしてみたい。大学を卒業したら何をしたいのか全く想像がつかない私にとって、良い刺激となった。
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自分が若い頃に読んでたら憧れていただろうけど、今インドに行って数十円を一時間かけて値切る根気は全くない。友達の結婚式でインド旅行に行った直前に読んだのでした。読み物として絶対的に面白い。皆本当はインドに行きたいんですよ。
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インド出張の行きで読んでワクワクするも、令和の世なのでこの文章が書かれた時ほどの熱気はインドになかったかも。僕をぼったくろうとする奴らは本通り無限にいました♨︎
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カルカッタから始まるインド・ネパールの描写が鮮烈すぎた。生と死、貧しさと老いと病。放心したような子供たちの眼。
私が体験したことのある、東南アジアのねっとりした空気とはまったく違いそうな光景が衝撃的に伝わってきた。
「旅人にかまってくれるのは老人と子供だけ。その国のことはなにもわからない。わかるのは飯の味と土地の臭いくらい」ということばは本当にそうで、その土地で立ち止まり、通り過ぎることと、そこで生きることはまったく違う。心に刻んでおきたい。
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南下するに連れて下がっていく物価。その生々しい描写に息を飲むばかりだった。「ビール4本分か…」という呟きの空虚さと握った拳の行き場の無さよ。
あくまでも青年の放浪記といった様相の2までとは明確に違う。
「生と死。」その淵を彷徨い、実感し、目の当たりにする。それがこのインド・ネパール編だった。今のベナレスはどんな風になっているのだろうか。
多くの苦しさを味わう中でも、人の優しさに触れられ、救われていた。
どんな国にもいろんな人がいる。自分が出会った人だけでレッテルを貼るような愚かなことをしてはいけないと、改めて思った。
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世界一カオスといわれるインドを当てもなく歩くというルポであるが、インドのカオスさがリアルに伝わってきた。旅に求める目的とは一般には非日常の実感であると思われるが、日常からかけ離れたインドのカオスな非日常がリアルな追体験のように伝わる本書から、筆者の行動力と描写力を感じた。
Posted by ブクログ
沢木耕太郎が、自らの海外放浪の経験を記したシリーズの、第3巻です。
「インドのデリーから、イギリスのロンドンまで、バスで移動する」という目標を立てて旅をスタートした、20代後半の沢木青年。
航空チケットの都合で、香港とバンコクを経由して、デリーに至るルートを選びます。
香港およびマカオでの経験を第1巻、バンコクおよびマレー半島での経験を第2巻に記した沢木ですが、2巻の終盤で突如、「(インドの)カルカッタに行こう」と決めます。
予定変更にともなうゴタゴタを経て、カルカッタに着いた彼は、空港で立て続けに、二人の日本人に話しかけられます。
話の成り行きで、二人と行動を共にすることになった沢木。
二人を信用し、行動を共にして良いのか、この二人とずっと、一緒に行動するのか・・・という始まり。
中国と並ぶ、人口大国のインド。
「たくさん人がいる場所に行き、その地の空気、人の熱情を味わう」というスタンスで旅する沢木の、インドおよびネパールでの日々が記されています。
沢木が「驚いた」と書いているのが、インドという国で目にする、人間の姿の多様さ。
食べるもの、食べるためのお金を得るために見せる、人々の懸命な姿。
病気や怪我で、思うように動けなくなった人の姿。
このような人々の姿は、2020年代の日本では直接、目にすることは多くないかもしれません。
しかし、少なくない人たちが、このようなことで(現在も)困っているということに、思い至らせてもらいました。
そして、「目を背けてはいけない」と自らに言い聞かせる沢木の姿勢も、見習いたいと思いました。
第1巻、第2巻と比べて、日本人が多く登場するなあと感じました。
沢木が旅した1970年代後半のインドは、現在以上に、日本人を含む外国人に魅力的・神秘的に見えていたのでしょうね。
そして、現地の人と交流し、同じように行動する(例えば、紙を使わずに用を足す)ことで、自らの心の制約を外せた、心が軽くなったと言う沢木の感想も、印象に残りました。
続きが気になる終わり方だったので、第4巻も続けて、Audibleで聴こうと思います。
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☆インド編
インドのカースト制が私たち日本人からするととても奇妙で意味のないものに思えるが(神の子)と呼ばれる最低カーストに属する人々との交流も描かれておりカースト制によって保たれている物も多いということが伝わってきた。
インドに行くと人生観が変わるという言葉はよく聞くが意味がよくわかっていなかった。しかし日本の充実した暮らしに浸かっている自分には信じることのできないような体験ばかりで、自分もそんな体験をしてみたいと感じた。
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インドでの列車移動の過酷さ、カースト制度の根強さ、死の扱い方などカルチャーショックを感じる内容が多く引き込まれた。
また旅先で病気になり体がきつくなったときの描写もハラハラした。
後書きで、
だんだん肉体的な疲労がたまってくると人を拒絶するようになって、その果てに、人に対しても自分に対しても無関心になって、どうでもいいじゃないか、例え死んでもかまわないじゃないか、と思うようになってしまう。
そう思っていても、肉体的疲労が癒されると前へ進もうと思える。
と書いてあって、なるほどそうかもと思った。海外に長くいると日本のカレーや醤油ラーメンが恋しくなる、というのはすごく共感した。
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あっという間に、
読み終えてしまいました。
4巻目も、
読もうと思いました。
とっても面白くて、
本当にあっと言う間でした!
さてさて、
4巻をポチりします!
面白く、
興味深い本との出会いに感謝。
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擬似体験3巻目。人間の本質が見える国、それがインドである感じを受けた。現代日本にどっぷりと浸かっている自分からすれば、魅力的かと言われれば疑問が残る国。でも、実際に見てみたい、感じてみたいと思えるほどの文章力。
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旅の本来のスタート地点であるインドへ。しかし、一筋縄ではいかず、旅行記がようやく面白くなってきた。「ぢるぢる旅行記」を思い出す。
Audibleで耳読し、Google Mapsを見ながら聴くのは便利だが、紙の本の方が想像力が膨らむ気がする。
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インド オーディブルにて
昔インドを旅した時を思い出す
この本が書かれた30-40年後に旅したが、全然変わっていなくてとてもリアルであった。いまもあまり変わらないんだろうな
熱にうなされるみたいな話もとてもインドっぽい
Posted by ブクログ
筆者の体力にびっくりしながら読んだ。自分だったら体力的に取れない行動をしてくれるから、読んでて楽しい。ネパールのカトマンズの描写が、他のところと違いすぎて、本当に陰鬱としている雰囲気を感じた
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いよいよこの旅の本番、インド、ネパールです。
私も学生、社会人成り立ての頃、何度かに分けて、ですが、バングラデシュ、ネパール、ビルマ、インドを旅したので、出てくるエピソードに覚えのあるものも多くて懐かしい気持ちでした。特に主人公が体調を崩していく場面、私も熱で寝込んだこともありましたが、どの国でも一晩に10回以上トイレに行くようなひどい下痢になって、そのたびに薬が効かなくて絶食して治してました。今ではとてもできないことですが、インドの病気にはインドの薬、というセリフは私も同じことを聞かされたなと思いました。
電車が時間通りに来ないという話も、私は主人公とは反対方向でデリーからアグラ、ベナレス経由でカルカッタに下りましたが、途中ベナレスからカルカッタへの電車が12時間ほども遅れて飛行機に遅れるのではないかと心配になって駅の人に何度もいつ出るのかと聞きに行った時に、これがインドなんだよ、これも経験だよと言われたのを思い出しました。
一方で主人公が経験したカルカッタの少女の救いのなさは私が見なかったものでしたし、カトマンズで麻薬に浸って次々死んでいくバックパッカーも覚えのないものでした。時代のズレもありますが、同じ所を旅していても、見るもの、見えるものは人によって違うということですね。
病気になった主人公ですが、ようやく本来の旅の出発点、デリーに到着です。これからどうなっていくのか、楽しみです。
Posted by ブクログ
シリーズ3作目はインド、ネパール編。インドのガンジス川の描写がなんとも生々しい。糞尿垂れ流し、死体遺棄、もろもろ。そら旅行者は気をつけてても体調を崩してしまう。
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2から間空けて3を読み終えました。
筆者はインドを旅行しています。
インドという国、一文では語り尽くせない国ですよね、日本人の私達からは信じられない日常が繰り広げられ、強烈な印象だったんでしょうね。
それはもう日本なんて国が平和過ぎて信じられないくらい。
これまでの国より暗い場面が目立つように感じました。
この一冊を読んで、皆さんはどう思うのでしょう、観光客目線では、
日本に生まれて良かった
インドは恐い国だな
とかですかね、世界平和って何なんですかね。
何か言葉にするのが難しい感想を抱きました。
Posted by ブクログ
沢木耕太郎 さんが若い時の放浪記、3巻目。
僕も二十歳代の頃2回だけ放浪したので(て言うても、それぞれひと月と1か月半やけどね)、宿探しや行き先の決め方の行き当たりばったり感は共感することがたくさんある。
ただ、最初読み始めたときは最後の6巻目まで一気読みするつもりだったが、とりあえず今回はこの3巻目で「区切り打ち」にしておいて、また次回、という気持ちだ。