あらすじ
イタリアからスペインへと回った〈私〉は、ポルトガルの果ての岬サグレスで、ようやく「旅の終り」の汐どきを摑まえた。パリで数週間を過ごしたあとロンドンに向かい、日本への電報を打ちに中央郵便局へと出かけるのだが――。Being on the road――ひとつの旅の終りは、新しい旅の始まりなのかもしれない。旅を愛するすべての人々に贈る、永遠の「旅のバイブル」全6巻、ここに堂々の完結! 井上陽水氏との対談「森の少女とカジノの男」を収録。「あの旅をめぐるエッセイVI 恐れずに」「あの旅をめぐるエッセイVII 若い旅人たちへ」が新たに追加された【増補新版】。※本電子書籍は、令和二年九月発行の新潮文庫(新版)を底本としています。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
長い旅が終わった。
1巻から読み通して間もあけつつ約半年、いやもっと言えば、1巻だけ読んで投げてしまったのは4年も前だったか。
きわめて個人的な話だが、僕は続き物の本が苦手だ。司馬遼太郎なんかはいろんなシリーズの1巻だけを読んで放っておきどおしだし、そもそも複数巻というだけで尻込みして手を出せてすらいない本も多くある。
それでいて(元は3巻本とはいえ)6巻に及ぶこの小説を読み通せたのは、やはりデリーからロンドンへ、という地理的なタテ軸が明確にあったがゆえだろう。
いずれにせよ、長い「積ん読」を経て、僕の中の沢木氏もようやくロンドンに到達した。
感化されてアテのない旅に出るにはいささか手遅れの感もある年齢・状況だし、すでに何ヵ国かは旅したこともある。
それでもいい時期に読んだと思う。なぜなら僕だって「青春発墓場行」のバスの乗客に違いないのだから。
Posted by ブクログ
ラストが思ったよりあっさりしてた。でも実体験を基にしてるのだから、案外こんなもんかなぁ
この旅を実際に経験した沢木耕太郎にしか、このラストの感慨はわからないのかも知れない
Posted by ブクログ
15年前に出会って以来、ずっと私の宝物だった本。異国の地で再読することで、極めてシンプル、だけど大切なことを幾つも思い出させてくれたと思う。
ただひとつ分かることは、分からないということ。分からなくていいということ。
行くことを目的とせず、そこに吹く風を、流れる水を、降り注ぐ光を、そして行き交う人をどのように感受するか。
シンプルだけど難しい。とくに情報過多の現代では。この先の人生、旅中であろうが定住地であろうが、一瞬一瞬を楽しみながら生きていきたいな〜。
Posted by ブクログ
最後まで面白かった
最後はどう終わるのかと思ったら、まさかの
「俺たちの旅はまだまだ終わらないぜ!!」的な
それも良いけど、出来れば帰国するまで書いて欲しかったかな
巻末に載っている対談
他の巻みたいに、旅の途中で会った方とかなら未だしも
今回唐突に井上陽水(恐らく当時の付き合い等があったんだろうけど)
それでもこの本に関する事や、旅の話を中心にしてくれるなら未だしも
井上陽水氏の人生観とか語られても、余り興味持てない
Posted by ブクログ
ついに完結。
ヨーロッパに行った事がない自分としては、イタリア、スペイン、ポルトガルに行ってみたい気持ちになった。
海外旅行に行きたい欲が爆上がり。
Posted by ブクログ
有名な観光地や観光スポットを巡るわけではなく、自分の直感や旅で出会った人から情報をもとに訪れる地を決めていく。当然失敗することもあるし、思いがけない経験をすることもある。
-----------------------------------
旅の目的が単に「行く」ことだけになってしまっているのではないかということです。大事なのは、「行く」過程で、何を「感じ」られたかということであるはずだからです。目的地に着くことよりも、そこに吹いている風を、流れている水を、降り注いでいる光を、そして行き交う人をどのように感受できたかということの方がはるかに重要なのです。
6巻 p275より
-----------------------------------
6巻の最後に書かれていた文章。これが全てだと思う。この本を読んだことで、普段歩いている街の景色が変わった気がする。 何でもかんでも値段が高いもの=良いもの・良い体験が出来るわけではない。それよりも大事なことは、人との出会いだったり、自分なりに気持ちの良いものを感じとる力があれば、旅を豊かにすることが出来ると。
自分が若い時に読んでいたら、自分はどのような人生を歩んでいたのだろう。
Posted by ブクログ
ロンドンまでの旅の最終話。
旅が終わりに近づくにつれて、読者も「from youth to death」を感じる。
スマホがある現代では、全く同じような旅を実現することはおそらく困難であるが、人生で一度は味わってみたい魅力的な旅であった。
Posted by ブクログ
旅で自らの自意識やエゴイズムを脱却できた人は、すでにこの世にいない。現実を生きながらえている人は、必ず何かのエゴイズムを抱えて生きている。それを「我到着せず」
Posted by ブクログ
最終巻。単行本第三巻の後半部分だから、5巻と同様に如何に旅を終わらせるかと言う点について自問しながら旅をする。イタリアからモナコを経由してスペインに入りポルトガルまで行き、ヨーロッパの果てまで来て旅の終わりを確認する。その後はパリに出て、ロンドンに移動する。文庫本に入っている対談で沢木さんはあまり美術品などの感想を記していないと書いてあり、唯一あった風景がこの巻に出て来た。美術品の解説より人との触れ合いの方が面白いよな。パリでの出会いも素敵だったし、最果ての地での宿泊地の見つけ方も良かった。運がいいんだろう。しかし全巻通じてあっという間に読めた。今は出来ない旅になってしまっている。あとでやろうと思っても出来なくなる事もあるんだな。行こうと思った時に行かないと。旅がしたくなった。
Posted by ブクログ
Cの国から始まりTの国を渡り、そして再びCの国に舞い戻る。だからこんなに良い出会いが巡っていたわけだ。
イタリアの美しい街並み、アートが想像力を掻き立て、パスタを食べたくなる、人々の悪意のないいい加減さ。凄く行きたくなった。
沢木さんは色んなものを引き寄せている。
コミュニケーション能力も高くて誰からも愛され、それでいて人間臭さもあり、なんと魅力的な人間なのでしょうか。
彼の文章は自分も共に旅をしているかのような、彼が観ている景色が思わず浮かんでくるような、それでいて一癖あって面白くて中毒性がある文章。
旅はまだまだ終わらない。
旅行記の最高傑作
現代と状況は違うものの、そんなギャップは全く感じられない。
文章も頭の中にスラスラ入っていき旅行記としては最高傑作だと思う。
何度でも読み返したい秀作である。
Posted by ブクログ
面白くて結局全巻買って一気に読んでしまった。アジアからヨーロッパへの文化の移り変わりや当時の物価、世界情勢がリアルに伝わってくるのと、旅を通して筆者の人生観が少しずつ変わっていく様が読み応えあり。
Posted by ブクログ
長旅の最後、イタリアから、スペイン、ポルトガル、フランスを経てイギリスのロンドンへ。
前の巻の最後で旅の終わりを意識する主人公ですが、この頃の貧しいアジアの過酷な一人旅とは違って、このヨーロッパの旅では、いくら貧乏旅行でも(主人公は不本意かもしれませんが)ゆとりのある楽しさが感じられて、読んでいるこちらも肩の力を抜いて楽しく読めました。
ユーラシア大陸の西の先端のサグレス岬で気持ちの区切りを付けて、ロンドンでいよいよ本当に長旅も終わりかと思ったところでのどんでん返しが、洒落があって良いなと思いました。
でも、旅が続いたその後にはまた虚しさがやって来そうな気がしますが、それはその後の話ですね。
Posted by ブクログ
井上陽水と対談!!すごく面白かった。井上陽水ってこんなしゃべり方するのね。シニカルでとっても素敵。
ポルトガルのサグレス。いいなあ。
Cの茶、Tの茶。旅に出たいね。
Posted by ブクログ
.
沢木耕太郎が、20代の頃の海外放浪経験を記したシリーズの、第6巻です。
ギリシャから船に乗って、イタリアに渡った沢木。
「インドのデリーからイギリスのロンドンまで、バスに乗って旅をする」という、自らが決めたルールに沿って、ローマへ移動しようとします。
「ヨーロッパに入れば、楽に移動できるだろう」と考えていた沢木ですが、長距離バスが少ないイタリアで思わぬ苦労を味わいます。
当初の想定以上に、月日を要したこの旅。
宿代を値切るなど倹約はしてきましたが、旅の資金も残りわずかとなっています。
沢木は、自分が設定したルールで、この旅を終えることができるのか。
イタリアから、旅を終了するまでの日々が、記されています。
印象に残ったのが、沢木が「この旅をどう終わらせるのか」について、繰り返し考えていること。
フランス入国を前にして、最短距離を選択するかどうか迷った彼が下した決断には、「自分とは違うな」とうならされました。
「なぜ、自分は旅をしているのか」、「旅を続けている人というのは、どういう人なのか」、さらには、「自分はなぜ、生きているのか」。
ただ、「見聞を広める」だけではなく、「自分の人生の目的や、存在意義を知りたい」というような目的が、この旅にはあったのだろうなと、自分なりに推察しました。
ユーラシア大陸を横断する、壮大な旅。
自分とは言葉も考え方も違う人に出会い、交流する。
自分がその場所、その人たちの間で、“初心者”である状態にいる。
自分自身もそれなりに、海外渡航を経験してきたつもりでしたが、このような状況に身を置くことからしばらく、遠ざかっていることに気づかせてもらいました。
コロナ禍を経てしぼみつつあった、旅への情熱を思い出させてもらえた、一連のシリーズでした。
.
Posted by ブクログ
5話では、もう旅に新たな発見は見出せないと陳鬱な空気も漂っていたが、イタリアに入って元気を取り戻した。イタリアの美味くて安い飯、親切で温かいけどいい加減な人柄、元画家の奥さんの人との出会い。1リラ2.5円という驚くべきレートと、何よりユーロじゃない!
Posted by ブクログ
これまでで一番海外旅行っぽさがある旅だった。アートの楽しみ方を教えてもらった気がする。自分の感覚と想像力を働かせて見ることこそが醍醐味なんだろうなと思った。
Posted by ブクログ
サグレスでの話といい、ロンドンの中央郵便局での話といい、その「終わらせ方」に少しばかり心を震わせてしまった。
終わらせないという、(鮮やかで、ちょっと哀しい)終わり方。
Posted by ブクログ
昔はなんておもしろいんだろうと思って読んだものの、今あらためて読むと、そのあまりの計画性のなさに腹立たしく思う自分がいた。なぜだろう?これも成長なのかなあ
Posted by ブクログ
ロンドンを目指す自由な長い旅の終わり。時に彷徨い、時に何かに急かされるように進んだ若き日の旅路。不安と疲れの中で何度も眠り、新天地で迎える朝に生き返るような瞬間が印象深い。お世辞にも快適とは言えない貧乏旅行だったが、犠牲にして得たものは大きかったと思う。
「恐れずに。しかし、気をつけて。」
人生を旅になぞらえた筆者が、これから旅に出る若者へ残したメッセージ
Posted by ブクログ
賭けに勝った!
バスでユーラシア大陸横断の旅完結!
ヨーロッパ&女性の匂いがすると詩的な表現になるのは気になるが…
やっぱり携帯なし、ガイドブックが拙い時代にこれをやってのけた事は偉人だと思う。
後書にある
・恐れずに。しかし、気をつけて
・旅に教科書はない。教科書をつくるのはあなたなのだ
この文は沢木耕太郎が言うと重い
Posted by ブクログ
イタリア、モナコ、スペイン、ポルトガル、フランス、イギリス オーディブルにて
6巻目も素晴らしかった
20年近く前に読んだはずなのにまったく覚えておらず新鮮に読めた
旅をした気分になれる素晴らしい本
ネットやスマホが普及した今、こんな旅はできないんだろうな
ポルトガルへまた旅行したくなった
Posted by ブクログ
終わってしまった。
まだまだ読んでいたい気持ちが強い。
様々な国を渡り歩いていくが、乗り合いバス・チャイ・映画といった著者独自のものさしを使った比較が面白く、シリーズものとしてとても楽しめた。
また、道端の人やふらっと入ったお店にいる人に話しかけるなど、積極的に刺激と出会いを求める姿に憧れと羨ましさを感じて、旅をして、人との出会いを楽しみたいなーと心の底から思わせてくれました。
旅に出たいけど、働き出したら、そう簡単には出かけられない。
そんな事情でも、旅気分を味わえる貴重な本だと思います。
Posted by ブクログ
遂に最終巻
イタリアはローマ、フィレンツェ
そしてお隣りモナコではマカオのリターンマッチ
所持金総額500$を切っているのに、カジノに出陣しようとするのには驚いた
マルセイユ、バルセロナ、バレンシア、リスボン、サグレス、マドリード、パリ、ロンドン
マドリードではバルをはしご
旅を始めて酒場で楽しむのは初めて
最後は、そういうオチなんだ?
全巻通して一番前向きに見えたのは、香港とマカオのカジノだったかなあ〜
所持金1900$で一年以上の旅は凄い!
時代は違うとはいえ、なかなか出来ません
若いうちの苦労?は、大きな財産になりますね
公開中の沢木耕太郎さん原作の映画『春に散る』も観てみたい
Posted by ブクログ
舞台がアジアからヨーロッパに動き、インドや中東のようなカオス感が薄れてきた印象があるが、イタリアやスペイン、ポルトガル等の南欧でのエピソードは、同じ先進国であっても日本と違う異文化圏であることを感じる。そのような視点で観察し、臨場感あるエピソードが書かれた本作は読み応えがあるが、旅の終わりを迎えるに当たっての記載があっさりしすぎて物足りなく感じた。
Posted by ブクログ
ついに旅が終わる。
最後のオチが予想外でした。
少し過ごしたから、一部を見た、経験したからってその国や、人をわかったふうにするのは一番危険だ。
確かなのは、わからないということがわかっている、ということだ。
なんでもわかった風にして決めつけないようにしよう。自分のフィルターを通して物事をみていることに気がつこうと思った。
Posted by ブクログ
ついに旅の終着地のロンドンへ_!!
風に吹かれ
水に流され
偶然に身を委ね
遠路2万キロの旅を終えようとしている…
深夜特急シリーズ第6弾_
インドのデリーからイギリスのロンドンまで
乗合いバスで向かう放浪の旅
マカオでカジノにハマり 刺激的な旅が始まり
インドでは 生と死を傍らに感じる
世界を目の当たりにし…
懐かしい友人との再会や
トルコで人々の優しさを知る出会いを経験し
あまたの人と出会い 別れてきた…
1年以上の旅を続け
ようやくユーラシア大陸の最西端に到着した時は
私もその光景を想像してしまい…
感動しすぎて 涙があふれました!!
数ヶ月にわたり
深夜特急シリーズを読んできました
完読でき 感無量です!!
Posted by ブクログ
旅を始めた頃は戸惑いつつもいろんなことに興味を持ってスリルも楽しんでいたような気がするけど、後半になるにつれて「終わり」のきっかけを探しているような雰囲気が漂っていた。
それも含めて、長い旅を一緒に味わえた気がする。もちろん、私が感じるのは沢木さんの経験の何十分の一…なんだけど、終わりがきてホッとした。
旅の終わりとは
どこかの巻にに旅の終わり方が難しいと書いてあったが、そのとおりだと思う。
ロンドンにはついたものの、いつどうやって帰国の途に着いたのかがわからない。終わり方が気になる旅なんてなかなかないので、そういう意味で新鮮な気持ちにさせられた。わかったようでわからない。旅とは何か、旅に暮らすとはどんなことなのか、とりとめもなくそんなことを考えさせられた。