あらすじ
アンカラで〈私〉は一人のトルコ人女性を訪ね、東京から預かってきたものを渡すことができた。イスタンブールの街角では熊をけしかけられ、ギリシャの田舎町では路上ですれ違った男にパーティーに誘われて……。ふと気がつくと、あまたの出会いと別れを繰り返した旅も、いつのまにか「壮年期」にさしかかり、〈私〉はこの旅をいつ、どのように終えればよいのか、考えるようになっていた――。高田宏氏との対談「旅を生き、旅を書く」を収録。「あの旅をめぐるエッセイV 書物の漂流」が新たに追加された【増補新版】。※本電子書籍は、令和二年九月発行の新潮文庫(新版)を底本としています。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ヨーロッパに近づく中で筆者も読者も物価の高さや街の雰囲気など、どこか日本と似通ったものを感じ、懐かしくなりつつも、旅の終わりを意識し始めるが、読んでて変わらず面白い
Posted by ブクログ
アジアを抜けヨーロッパに入り、日本のような近代化した土地になり、絵が想像しやすくなった一方、インドや香港などで感じたような「非常識感」は薄れていった。作者も、そういった非常識な刺激がなくなった分、考え事をしたり、内省している時間が増えたようだ。
イスタンブールは久しぶりに作者が気に入った土地だったようで、読んでて心地良かった。もっと長い期間滞在すればいいのに!と思ってしまった(笑)
アジアではヒッピー達からお金を巻き上げようという人たちが多かったけど、ヨーロッパに近づくにつれヒッピー達に対して純粋に好奇心をあらわにして近づいてくる人が増えた気がする。物質的に豊かになっているからだろうか?もちろん後者の方が安心だけど、前者も前者で読んでいる分には刺激的で面白かったので、名残惜しい気持ちもする。
めちゃくちゃハマっている深夜特急シリーズ、ついに次は最終巻。読み終わりたくないなー
Posted by ブクログ
大陸横断なんて好奇心をこんなにも刺激される機会はそうないように思うが、渦中にいると好奇心が摩耗されて命さえ粗末に思えるようになるものなのかと意外だったが、読み進めていると意味が分かるような気もする。この本が単に旅先のレポートではなくて、旅を通してうつろい変化していく筆者の内情を辿ることができるのが面白いのかなと思った。
Posted by ブクログ
面白いよなあ、やっぱり。
自分の知らない外国の世界を見せてくれるのと、独特の(ちょっと気どった)詩的な叙述が最高。
旅の流れが途切れない程度に感想や内省など旅と関係ない話が出てくるのも良い!飽きさせない工夫なのかな
Posted by ブクログ
長い旅を通して著者の旅論を随所に見ることができる。
終わりが決まっていない旅を人生と重ね合わせることで20代の心の揺れ動きに共感が持てる。
ヨーロッパに入り、アジアほどの刺激は無くなってきているが、それも著者自身の感じ方が変わってきたことも影響している。
Posted by ブクログ
沢木耕太郎の旅行記はなぜこんなにも面白いのだろうか?それは彼が単なるヒッピー的なバックパッカーではなく、知性を備え、学ぶ力や応用する力を持った若者だからである。オーディブルで聴いたのだが、ハッとするような表現力にときどき読み返したくなった。オーディブルだとそのフレーズをメモろうとする間に流れてしまう。
これも後から紙の本を買ってしまうかもしれない。
Posted by ブクログ
個人的には深夜特急の中でも1番好きだった。
トルコのブルーモスクでコーランを聴く日々。
鯖サンドたる物を食べる。
熊を散歩してるおじさん。
私が行きたい見たい聴きたい食べたい景色が浮かんできて、そこに行きたくなる。
同じ風を浴びたくなる。
最後の手紙もすごく良かった。
旅の終わりを想像してしまい、終わらないで欲しいと願う気持ちとどう終わるのかという興味と。
本当に言語化能力が高すぎる。
Posted by ブクログ
私はこの巻が1番好きだった。インドや香港の目まぐるしいイベントたちも読んでいて楽しかったけど、私は人が何を考えているのかを知るのが楽しいから、これらのイベントを経て作者が今考えていることを知ることができて楽しかった。
Posted by ブクログ
長い旅には人生と同じように、幼年期、少年期、青年期、壮年期があり、移ろい変わるのかもしれないという言葉にピンときた。私は一時期旅だけをして生きていきたいと思っていたことがあったが、何が目的なのか考えていくうちに、旅だけをする人生はつまらないと感じてしまった。でも、これは人生と旅を一緒に考えたからであって、歴史を勉強してから行ったり、どうしても経験してみたいことなど何か目的を持って行ったら素晴らしい経験になるのではないかと思う。作者の見てきた長旅をしている者たちは疲労で好奇心が摩耗し、外界に対し興味がなくなっている。そしていつ崩れるかわからない危うさと隣り合わせで旅の目的すらなくただシルクロードを通り道として通過する。私の旅の目的は、観光名所やお土産に興味がないことは作者と同じで、だったら何をしに外国へ旅に出るのかと聞かれると、食べ物やら人との出会いやら現実逃避やら自分探しやら、あまりパッとしない答えになってしまう。そしてそれらがどうしても旅じゃないと達成できないのかと聞かれたら、違うと言うと思う。これから旅をする理由とか目的とかを考えてみたい。
Posted by ブクログ
旅も終盤に差しかかり、著者の心の変化が綴られていて、読みながら完全ではないがその時の著者の気持ちを体験することができた。【旅をしていく中で、自信と鈍感さが身についた。】【人だけは必要としていた】【旅には旅の生涯があるかもしれない】【旅の終わりをどのようにするか考えるようになった】この巻も当然いろんな人と出会って、いろんな事が起こったが、この旅について考える巻になっている。続きが気になり、ラストの6巻を早急に読みたくなった。
Posted by ブクログ
やっぱりこの本は傑作なんだわ、と思えてきた。
5-6巻は旅からだいぶ経ってから書かれているらしい。こなれているというか、エッセンスがうまく抽出されていると感じる。
ギリシャいいなあ…そして船旅ってやっぱり良いよね。私もフェリー大好き。
Posted by ブクログ
物語はついに終盤へ。アジア圏からヨーロッパに入る。チャイとティーの違いでアジアかヨーロッパを区別する方法に驚き。アジアに比べてどんどん物価は上がってくるが、ゴールは目前。最終巻も楽しみ。
Posted by ブクログ
.
作家の沢木耕太郎が、自らが20代後半で経験した海外放浪の旅を記したシリーズの、第5巻です。
バスを使って、ユーラシア大陸を横断している沢木青年。
想定以上の月日を要しましたが、第4巻からは移動のペースが上がってきました。
第5巻では、沢木がトルコとギリシャで過ごした日々が、記されています。
長く滞在した「アジア」から、「ヨーロッパ」の玄関口へと移動した沢木。
トルコでは、沢木が日本人であることを知って、彼に親切にする人が複数、登場します。
そして、直近では移動優先で旅をしていた沢木が、イスタンブールにはしばらくの間、滞在します。
イスタンブールの街の情景や人々との交流について書かれた箇所を聴いて、「歴史のあるこの街は現在、どのような様子なのだろう?」と、興味が深まりました。
さらに、ギリシャへと進んだ沢木は、アテネやスパルタといった、古代都市の遺跡に足を踏み入れます。
都市間の戦いに勝利し繁栄したアテネよりも、スパルタなど、敗者となり破壊された都市の風景に感銘を受ける、沢木の反応が印象に残りました。
そして、沢木が魅力的な人々と出会い、美しい風景を目にしたペロポネソス半島には、「いつか行ってみたい」という憧れの気持ちを抱きました。
広大なユーラシア大陸を、東から西に進んできた沢木の旅も、終盤に近付いてきたようです。
彼がどのようにこの旅を終えるのかを見届けたいので、第6巻もAudibleで聴こうと思います。
.
Posted by ブクログ
長く旅を続けないと感じることのできない感情があるんだなとおもった。
なんとなく無感動になる、どこに向かうのか、どう終わるのかという気持ち。
人生も一緒で、というのもわかる気がする。
同じことをしても若い頃とは感じ方が何か違う。貪欲さとか飛び込んでいく勢いとか。
長く外国にいると食べ物より日本語の本が恋しくなるというのは本当に共感した。
Posted by ブクログ
旅を終えてからこの巻を書かれるまでに長い長い歳月を経たと知って、なるほど感動した。紀行文的要素よりも、抽象的・内省的表現が多くなっているのはそのせいか!素敵です。あとがき含めてとても良かった。
Posted by ブクログ
イランからトルコ、ギリシャに向かう。巻内にある地図では、トルコとイランに接しているのは「ソビエト連邦」今との違いを感じる。
チャイが、少しずつ飲み方が変わり登場するので非常に飲みたくなる。
何かが起こりそう起こらない。それはやはり私がこれまでとは違う土地へ来ていたからだ。
インドを出てから主人公からは少しマンネリ感のようなものが漂い出した。
ギリシャではコーヒーを飲む習慣が出てくる。茶の文化からコーヒー文化圏に来たことでアジアを抜けたと感じたシーンはよかった。
Posted by ブクログ
あてのない放浪の旅の中で、数少ない目的地となったトルコ・ギリシャ編。これまでの旅が青年期なら、今回は壮年期に入り、旅人も内省的に変化しているように感じた。いずれにせよ、終わりの兆しを意識する旅路となった。
Posted by ブクログ
アジアの旅が終わろうとしている
深夜特急シリーズ第5弾_
1年以上の旅を続けていくことで
旅の経験値があがり
思考がより深くなっているように感じた
日本人だと分かると
特にトルコでは皆が親切にしてくれる
親切にしてくれることに感謝はしつつも…
旅を始めた頃のような
感動や興奮がなくなっている
旅は自分探しだとよく言われるが
長く旅を続けることで 自分探しの沼にはまり
自分自身を見失う可能性もあるのだと感じた…
でも沢木耕太郎さんは
決してネガティブではない!
この旅で自分探しに折り合いをつけること…
旅の経験値があがることで
どんな場所でも生きていく力は得られるが
器用に生きていくことが全てではないこと…
そんな思考にいきつくことこそが
素晴らしい体験なのかもしれない…と
気付きはじめる
第6弾は旅の完結編_
さて無事にロンドンに辿り着くことができるのか…
完結編を見届けるのが今から楽しみです
Posted by ブクログ
旅の終わりが近づいてきたことを感じさせる。
人生の青年期のように、旅の渦中にいて楽しめる時期と、壮年期のように旅とは何かと考える時期があることは確かだと思った。
人は刺激を求めて旅をするが、数を経験してくると刺激がなくなり、その意味について考えるようになるのだろう。
Posted by ブクログ
アジアとヨーロッパの狭間。道を辿ってきたからこそ見えるグラデーションが面白かった。
特に好きだったのはトルコのトラブゾンで熊使いの男と繰り広げたバトル。このような強烈な事象が巻き起こっているのにもかかわらず沢木さんの心に斜陽がさし続けているのは、旅の老齢期を迎えたからであると。慎重に言葉を選びながらも旅を人生に例えるのには説得力があったし、読者をその境地まで引き連れていく深夜特急はやはり偉大だなと思った。
Posted by ブクログ
トルコに辿り着いて、ギリシャに入る。ついに欧州側に入り、旅の終わりを意識しだす。第三便は旅の16年後に書いたそうなので、自身も大分成熟してから書いたからか、これまでの旅の勢いとは少し違う。旅で起こる反応もアジアとは大分違う。これが西から出発してアジアに入るルートだとそれはそれでまた違った感情だったのだろう。トルコまでが刺激的だったから、落ち着いて物価も高い西洋社会は刺激に乏しいのかな。それでもトルコやギリシャは行った事がなく、ぜひ訪れてみたい。ギリシャのこうした素朴な街並みや日本に行った船乗りは今でも会えるのかしら?トルコの親日ぶりは今でも体感できるのかしら。食事も美味しそうだ。次はいよいよ最後の一巻。どうやって旅を終わらせるのか注目していきたい。
Posted by ブクログ
一巻から六巻のうちの五巻に突入しました
旅も終盤となると、ちょっと淋しい気持ちになります
今回は、沢山の世界遺産や有名地が出て来るので、私もネット検索しながら一緒に旅した気分に浸りました
トルコ(エルズルム、トラブソン、アンカラ、イスタンブール)から始まり
ギリシャ(アテネ、ペロポネソス半島のミケーネ、スパルタ、ミストラ、オリンピア、パトラス)
そして、地中海船旅でイタリアを目指します
トルコでは、ちょっとだけ贅沢をして、著者お気に入りのブルーモスクと海が見える部屋に泊まります
そして日本で頼まれていた事があり、それを果たしにアンカラに行きます
今まで、厳しい経済的な状況とその時の気分で動いていたのですが、初めて使者として役目を果たします
ギリシャでは、沢山の遺跡や廃墟を見ます
それと、「暇か?」とたまたますれ違った男性に声を掛けられ、そのまま男性の友人の家の誕生日パーティーに行き、そのまま泊まるという、面白いエピソードもありました
トルコとギリシャではどこに行っても、記念写真が大人気でした
カメラを向けると沢山の人達が集まって来て、みんなが撮って欲しいと撮影大会になって大騒ぎになります
トルコでたまたま知り合った若い男性に案内をしてもらい、そのお礼に日本の5円玉、今まで旅して来た国のコインを一つずつあげたらとても喜ばれました
みんな記念を大事にしているのに、著者の記念に残るものと言ったら、パスポートの各国のスタンプだけです
経済的な面も勿論ありますが、ちょっともったいないなあと、貧乏長旅の大変さがわからない私は余計な事を思ってしまいました
次はいよいよ最終巻、イタリアからです
『旅は人生に似ている』と語っていましたが、どうなるのでしょうか?!
そして、『最後のオチ』って何なんでしょう!
ワクワク(*'▽'*)します↑↑
Posted by ブクログ
舞台がアジアからヨーロッパへと移り、いよいよ旅の佳境を迎える第5巻。
作中でも、ギリシャに入ってから沢木氏は繰り返し、なぜ旅をするのか、そしてこの旅をどうやって終えるのかといったことを考える。
いつからか見聞きするものに目新しさを感じなくなり、自らの旅が青年期を終えた事に気づくのだ。
そして身も蓋もないことを言ってしまえば、読者である僕も同じ。
バスでジプシーを見かけた話や、パトラスで誕生日パーティーに呼ばれる話など、個々のエピソードとしては興味深いものも多い巻なのだが、そのどれもが1巻の香港編ほどに、自分も旅に出たいという思いを湧き立たせるものではなかった。
特に、バスで乗り合わせたギリシャの大学生に、なぜ日本は戦後成功したのかと沢木氏が聞かれ、ただ「ラック」と答えるシーン。
氏の人生観や世界観が象徴的に現れた箇所なのだろうが、むしろこの回答になんの意外さも感じない自分に驚いた。
思うに、旅を続けるうちに沢木氏の中で人生観、世界観が固まってくるのとまったく同様に、読者である僕の中でも「沢木耕太郎」観がいつの間にか出来上がっていたのだろう。
そしてそれは、僕自身の中に朧げにあるものとはまた違うもの。それだけのことだ。
乗りかかった船、とまで言うといささか失礼に過ぎるような気もするが、沢木氏の出す答えが何であれ見届ける。そんな気持ちで第6巻を読む事になりそうではある。
Posted by ブクログ
トルコは親日の国のせいか安心できるのかと思いきや、熊に脅かされたり、ペルポネソス半島で美景に出会ったり
私は、有名観光地に立ち寄らずに通り過ぎてしまうのは理解できないなぁと感じてしまう
読み終えた本が、中古本として他人に譲られていくのはなかなか良いことだと思う
Posted by ブクログ
トルコを経てヨーロッパ、旅も終盤です。
最初は見るもの聞くものあらゆる体験が新鮮だったものが、デリー辺りからだんだんと疲労が蓄積して鈍感になり、中東に入ってそれがひどくなっていきます。目的を失った長旅の中で命を落とす若者もいる中で、ヨーロッパまでたどり着いた主人公は、そうした旅を経て自分が変わり、二度とそうした旅をすることのないことに喪失感を憶えるようです。
しかし、この変わった先に主人公がどんな新しい地平を見るのか、次の最終巻が楽しみです。
Posted by ブクログ
インドから中東を経て、トルコ、ギリシャが本巻の舞台となっている。途上国のインドや中東と比べて経済的に発展する西欧に近づいていき、物価水準も市民感覚も日本の水準に近づいてきて、インドなどのカオスさは失われてきつつあるが、現地の人間とのコミュニケーションや風景描写はリアルである。また限られた資金で当てなく旅を続けている背景から、とことんまで値切る値段交渉はどこの国においても臨場感を感じる。
Posted by ブクログ
旅が終わりに近づくにつれ、日本に帰ったときのことを考えてしまう…目の前の光景に心を奪われなくなったのは、その土地のせいではなく、自分の中にある何かがこれまでと変わってしまったから。